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JP5631941B2 - 容器詰飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、容器詰飲料に関し、特に油性成分を含む容器詰飲料に関する。
従来から、水に対して不溶性または難溶性の油性成分を水性飲料や水性食品に添加するために、一般に、乳化等の手段を用いて、いわゆるエマルションとして水性媒体中に分散させていた。しかし、水性飲料、水性食品にエマルションを添加した場合、経時によりエマルションに含有される油性成分が変化し、風味が変化することが問題であった。
これを解決するために種々の処方が開発されている。例えば特許文献1には、アスコルビン酸等の親水性酸化防止剤と、ビタミンE等の親油性酸化防止剤とをそれぞれ水相及び油相に添加することによって、風味の劣化が防止されたO/W型乳化物含有飲料が開示されている。
また、特許文献2には、イソクロロゲン酸、カフェー酸等と、リンゴ抽出物とを含有することによって、香味劣化を防止し、品質の安定化することができた飲料が開示されている。
特許第3710183号公報 特許第3420339号公報
しかしながら、特許文献1は、コーヒー、紅茶などの風味劣化を改善するものであるが、清涼飲料水の風味劣化を防止するには不十分であった。また、特許文献2の技術では、水中油型エマルションを含有する水性組成物の風味の変化に対する安定化効果は十分ではなかった。
従って、本発明は、長期にわたり安定した風味を有する容器詰飲料を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
[1] N−アセチルグルコサミンと、アスタキサンチンを含むエマルション粒子と、を含有し、N−アセチルグルコサミンの含有量が飲料50ml中に50〜600mgであり、アスタキサンチンの含有量が飲料全体の質量に対して0.001〜0.02質量%である、容器詰飲料。
[2] さらに界面活性剤を含有する、上記[1]記載の容器詰飲料。
] 前記界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種である、上記[]記載の容器詰飲料。
] さらにリン脂質を含有する上記[1]〜[]記載の容器詰飲料。
] 前記リン脂質がレシチンである、上記[]記載の容器詰飲料。
] 前記エマルション粒子の粒子径が200nm以下である上記[1]〜[]記載の容器詰飲料。
] 成分濃度が、前記容器詰飲料を構成する水性組成物の全質量に対して0.1質量%〜20質量%である上記[1]〜[]記載の容器詰飲料。
] さらにラジカル捕捉剤を含有する上記[1]〜[]記載の容器詰飲料。
] 前記ラジカル捕捉剤がアスコルビン酸類である上記[]記載の容器詰飲料。
本発明によれば、長期にわたり安定した風味を有する容器詰飲料を提供することができる。
本発明の容器詰飲料は、グルコサミン類であるN−アセチルグルコサミンと、キサントフィル類であるアスタキサンチンを含有する水中油型のエマルション粒子とを含み、N−アセチルグルコサミンの含有量が飲料50ml中に50〜600mgであり、アスタキサンチンの含有量が飲料全体の質量に対して0.001〜0.02質量%であるものである。
本発明では、水中油型(O/W)エマルション粒子を含む水性組成物に、グルコサミン類を組み合わせることによって、油性成分の風味を安定化させ、長期にわたり安定した風味を有する容器詰飲料とすることができる。
本発明は特に、成分濃度が低く風味を損ないやすい清涼飲料水に適用することが好ましい。本発明における「清涼飲料水」とは、成分濃度が低い水性組成物であって、乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除くエタノール分1容量パーセント未満を含有する飲料を言い、コーヒー、紅茶、茶、ココアは含まないものとする。
本発明の容器詰飲料における成分濃度は、容器詰飲料を構成する水性組成物の全質量に対して0.1質量%〜20.0質量%であることが好ましく、0.3〜17.0質量%であることが更に好ましく、0.5〜14.0質量%であることが特に好ましい。
本発明における「成分濃度」とは、容器詰飲料を構成する水性組成物のうち、純水を除くすべての成分の濃度をいい、アルコールや油脂など、常温で固体、液体を問わず、すべて「成分濃度」の範囲に包含される。
以下、本発明について説明する。
[グルコサミン類]
本発明におけるグルコサミン類とは、グルコサミンまたはその誘導体を意味する。グルコサミン類は、体内でグルコースから作られるアミノ糖の一種で、動物の体内では糖タンパク質の成分として軟骨、爪、腱、靭帯、心臓弁および結合組織に分布し、その代表的なものはプロテオグリカンである。グルコサミンは軟骨細胞を形成するため基礎なる栄養成分であり、関節部分の細胞の新陳代謝に重要な役割を果たしており、老化だけでなく、運動による関節の変性を防ぐのに有用である。またグルコサミンは変形制関節症の治療にも使用されている(特開昭62−185017号公報参照)。
ここで言うグルコサミンとは糖のヒドロキシル基がアミノ基に置換されたものである。天然には動物、植物、微生物の多糖、ムコ多糖、糖タンパク質、糖脂質、細菌細胞壁ペプチドグリカン、リポ多糖に含まれ、化学系統名としては2−アミノ−2−デオキシグルコースといわれている。グルコサミンは、工業的には例えばキチンを原料としてこれを加水分解することにより得られる。
本発明におけるグルコサミン類は、その安定性の面から硫酸塩または塩酸塩の形で使用されていてもよく、硫酸塩、塩酸塩をはじめとする無機酸のほか、酢酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩も使用することができるが、これらの中でも特に塩酸塩または硫酸塩が好ましい。また、本発明においてグルコサミン類は天然物であることが好ましいが、合成品でも使用可能である。
本発明におけるグルコサミン類としては、D−グルコサミン、N−アセチルグルコサミン等の誘導体であることが好ましく、特に、風味安定性の観点から、N−アセチルグルコサミンが好ましい。
N−アセチルグルコサミンは、砂糖の約2分の1程度の良質な甘味を有する吸湿性の少ない白色の結晶性粉末である。天然型のN−アセチルグルコサミンは、カニやエビなどの甲殻類の外殻を由来とする天然多糖類キチンを酸及び酵素により加水分解して得られる。また、同じくキチンを完全酸加水分解して得られるD−グルコサミン塩酸塩を化学合成によりアセチル化してN−アセチルグルコサミンを得ることもできるが、現在、N−アセチルグルコサミンに関しては、化学合成品が我が国においては食品として用いることができないため、清涼飲料水に用いる場合、N−アセチルグルコサミンは、キチンを酸及び/又は酵素により加水分解する方法、例えば、特許第1822027号公報に示された方法などにより製造された天然型のN−アセチルグルコサミンを用いなければならない。
グルコサミン類は、飲料の水相、油相のいずれに含有されてもよいが、溶解性の観点から水相に含有されることが好ましい。
グルコサミン類は、飲料50ml中に、10〜2000mg含有されることが好ましく、30〜1000mgがより好ましく、50〜600mgが特に好ましい。10mg/50ml以上の含有量であれば、水中油型のエマルション粒子を含有する飲料の風味を安定化する効果が十分であり、2000mg/50ml以下とすることにより、飲料(未経時)の甘みに与える影響を適度な大きさにすることができる。
<エマルション粒子>
本発明において水中油型のエマルション粒子とは、水中油型エマルション組成物中における油滴を意味する。
本発明の容器詰飲料における水中油型エマルション粒子は、最終的に容器詰飲料を構成する水性組成物に含まれていれば特に制限されないが、水中油型エマルション組成物を水性組成物に添加することにより、本発明の容器詰飲料を構成することができる。この場合、水中油型エマルション組成物は、容器詰飲料を構成する水性組成物の全質量に対して0.02質量%〜20質量%となるように配合することでき、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜4.0質量%であることが更に好ましい。0.02質量%以上であれば、機能性成分の機能を担保しつつ風味を長期間安定させることができ、20質量%以下であれば、上記水性組成物にエマルション粒子を効率よく配合することができるため、好ましい。
[油性成分]
本発明の容器詰飲料に適用可能なエマルション組成物に使用される油性成分について説明する。
本発明で使用することのできる油性成分としては、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する成分であれば、特に限定は無いが、カロチノイド類、脂溶性ビタミン類、脂溶性ビタミン様物質類、その他の油脂類を単独で又は2種以上を組み合わせて好ましく用いられる。
[カロチノイド類]
本発明におけるカロチノイド類(カロテノイド類ともいう)としては、天然色素を含むカロチノイド類を好ましく挙げることができ、これには、黄色から赤色のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリアのものが含まれる。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロチノイドに含まれる。例えば、後述のカロチノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造している。
カロチノイド類としては、炭化水素類(カロテン類)及びこれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。
カロテン類の例として、α−カロテン、β−カロテン、“カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、δ−カロテン、ε−カロテン、リコピンなどが挙げられる。
キサントフィル類としては、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン、アスタキサンチン、β−クリプトキサンチン、およびそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシル基を有するもののエステル類が挙げられる。
これら以外にも、「カロテノイド―その多様性と生理活性―、高市慎一編、裳華房、2006年発行」に記載のカロテノイドを適宜選択して本発明におけるカロテノイドとして使用することもできる。
カロチノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。
カロチノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロチノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
本発明においてカロチノイド類は、カロチノイド類の効果(例えば、人体における抗酸化効果、着色効果など)を十分に得る観点から、本飲料全体の質量に対して、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.0005〜0.05質量%、更に好ましくは0.001〜0.02質量%である。0.0001質量%以上であればカロチノイド類の効果が充分であり、0.1質量%以下であれば添加量に対して効率よく効果を得ることができるため好ましい。
本発明において用いられるカロチノイド類としては、風味の安定化の観点から、キサントフィル類が好ましい。特に好ましいキサントフィルの例としては、アスタキサンチン類(アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステルなどの誘導体)、ルテイン類(ルテイン及びルテインのエステルなどの誘導体)が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アスタキサンチン類は、超臨界炭酸ガスを用いて天然素材から抽出したものが、粉末としたときの臭気の点でより好ましい。
[アスタキサンチン類]
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロチノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C4052、分子量596.82)である。
アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)−位の水酸基の立体配置により、3S,3S’−体、3S,3R’−体(meso−体)、3R,3R’−体の三種の異性体が存在する。また、さらに分子中央の共役二重結合のcis−、trans−の異性体も存在する。例えば全cis−、9−cis体と13−cis体などの如くである。
前記3(3’)−位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル(Yamaguchi,K., Miki,W., Toriu, N., Kondo,Y., Murakami,M., Konosu,S., Satake,M., Fujita,T. : The composition of carotenoid pigments in the antarctic krill Euphausia superba, Bull. Jap. Sos. Sci. Fish., 1983, 49, p.1411-1415.)、H.pluvialisから得られるものは3S,3S’−体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている(Renstrom, B., Liaaen-Jensen, S. : Fatty acids of some esterified carotenols, Comp.Biochem. Physiol. B, Comp. Biochem., 1981, 69, p.625-627.)。
また、Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’−体(Andrewes, A.G., Starr, M.P. : (3R,3’R)-Asttaxanthin from the yeast Phaffa rhodozyma,Phytochem., 1976, 15, p.1009-1011.)であり、通常天然に見出される3S,3S’−体と反対の構造を持っている。また、これは脂肪酸とエステル形成していないフリー体で存在している(Andrewes, A.G., Phaffia, H.J., Starr, M.P. : Carotenids of Phaffiarhodozyma, a red pigmented fermenting yeast, Phytochem., 1976, 15, p.1003-1007.)。
アスタキサンチン及び同エステル体はR.Kuhnらによってロブスター(Astacus gammarus L.)から初めて分離され、その推定構造が開示された(Kuhn, R., Soerensen, N.A. : The coloring matters of the lobster (Astacus gammarus L.), Z. Angew. Chem.,1938, 51, p.465-466.)。それ以来、アスタキサンチンが自然界に広く分布し、通常アスタキサンチン脂肪酸エステル体として存在すること、甲殻類などでたんぱく質と結合したアスタキサンチン蛋白(オボルビン、クラスタシアニン)としても存在することが明らかにされている(Cheesman, D.F. : Ovorubin, a chromoprotein from the eggs of the gastropod mollusc Pomacea canaliculata, Proc. Roy. Soc. B, 1958, 149, p.571-587.)。
前記アスタキサンチン及びそのエステル(アスタキサンチン類)は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する天然物から分離・抽出したアスタキサンチン含有オイルとして、本発明の粉末組成物に含まれていてもよい。このようなアスタキサンチン含有オイルとして、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌等を培養し、その培養物からの抽出物、ナンキョクオキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとはエステルの種類及びその含有量の点で異なることが知られている。
本発明において用いることができるアスタキサンチン類は、前記抽出物(抽出エキス)、またさらにこの抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また合成品であってもよい。前記アスタキサンチン類としては、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(以下、ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)が、品質、生産性の点から特に好ましい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
前記ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含み、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものである。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、抽出コストの観点から好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
[ルテイン類]
ルテインは、ほうれん草等の緑黄色野菜に含まれるカロチノイド(分子式はC4056)であり、ジヒドロキシ−αカロテンに相当し、1重項酸素の消去活性をはじめとする抗酸化活性、あるいはガン予防効果なども確認されている。また、ルテインは網膜黄斑部に多く存在し、光からの防御作用として働いていると考えられており、加齢性網膜黄斑変性症の予防に繋がるという報告がなされている。
さらに、近年疫学的に白内障の予防効果が示唆されるとともに[Lyle BJ, Mares-Perlman JA, Klein BE, Klein R, Palta M, Bowen PE and Greger JL. 1999.Serum carotenoids and tocopherols and incidence of age-related nuclearcataract. Am J Clin Nutr 69:272-277 Lyle BJ, Mares-Perlman JA, Klein BE,Klein R and Greger JL. 1999. Antioxidant intake and risk of incidentage-related nuclear cataracts in the Beaver Dam Eye Study. Am J Epidemiol 149:801-809]、水晶体において検出されたカロチノイドがルテインのみであったことから、眼の健康を維持する物質として注目を集めている。
本発明におけるルテインの由来は、特に制限はなく、いずれの由来のものであってもよい。
[脂溶性ビタミン類]
本発明における脂溶性ビタミン類としては、脂溶性ビタミンE類(トコフェロール類)、レチノイド類、ビタミンD類、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体を挙げることができ、この内でも、抗酸化機能が高くラジカル捕捉剤としても使用可能な脂溶性ビタミンE類であることが好ましい。
脂溶性ビタミンE類には、特に限定されないが、トコフェロール及びトコトリエノール並びにこれらの誘導体などが含まれ、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよいが、混合物の状態で使用する場合が好ましく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれるものが含まれる。
脂溶性ビタミンE類の含有量は、脂溶性ビタミンE類の効果(人体への有益な効果やラジカル補足剤としての効果)の観点から、飲料の全質量に対し、0.001〜1.0質量%が好ましく、0.003〜0.7質量%がより好ましく、0.005〜0.5質量%が特に好ましい。
レチノイド類としては、レチノール,3−ヒドロレチノール,レチナール,3−ヒドロレチナール,レチノイン酸,3−デヒドロレチノイン酸,ビタミンAアセテート等のビタミンA類;α,β,γ−カロチン,β−クリプトキサンチン,エキネノン等のカロチノイドやキサントフィル等のプロビタミンA類を挙げることができる。ビタミンD類としては、ビタミンD2 乃至D7 等のビタミンD類を挙げることができる。
またその他の脂溶性ビタミン物質としては、ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK1〜K3等のビタミンK類を挙げることができる。
アスコルビン酸、エリソルビン酸などの油溶化誘導体には、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、ジオレイン酸アスコルビル等のビタミンCの脂肪酸エステル類、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシン、ジオクタン酸ピリドキシン等のビタミンB6の脂肪酸エステル類等が挙げられる。
[脂溶性ビタミン様物質]
ビタミン様物質とは体内で合成できる物質でビタミンのように働く物質の一般呼称で、その中で脂溶性のものである。
脂溶性ビタミン様物質としては、例えばユビキノン類、ω−3油脂類(EPA、DHA、リノレン酸等を含む油脂)が挙げられる。
[ユビキノン類]
ユビキノン類としては、コエンザイムQ10(ユビデカレノン)のようなコエンザイムQ類等が挙げられる。コエンザイムQ10は、日本において1974年に代謝性強心剤の医療用医薬品として承認・販売された。以後、OTCも含めて医薬品として扱われてきた。一方、海外(主に欧米)ではここ10年あまり、有効性・安全性の高い健康食品素材として需要が伸びてきた。そして日本においても、2001年厚生労働省医薬局長通知「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号)にて、コエンザイムQ10が「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り食品と認められる成分本質(原材料)」リストに収載され、食品として扱ってもよいという規制緩和がなされた。国内でもこの食品素材が持つ、多様な機能性に注目が集まり、コエンザイムQ10を含有した一般食品(いわゆる健康食品)が数多く商品化されつつある。
ユビキノン類の含有量は、ユビキノン類の効果(人体への有益な効果など)の観点から、飲料全体の質量に対し、0.002〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.5質量%がより好ましく、0.02〜1.0質量が特に好ましい。
[ω−3油脂類]
ω−3油脂類としては、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)並びにこれらを含有する魚油などを挙げることができる。
ω−3油脂類の含有量は、ω−3油脂類の効果(人体への有益な効果など)の観点から、飲料全体の質量に対し、0.002〜20質量%が好ましく、0.01〜14質量%がより好ましく、0.02〜8質量が特に好ましい。
[油脂]
上記以外にも油性成分として使用可能な化合物には、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
上記の中でも、エマルション組成物の粒子径、安定性の観点から、中鎖脂肪酸トリグリセライドであるココナッツ油が好ましく用いられる。
また他の油性成分として、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル類、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、その他、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などを挙げることができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
上記油性成分は、水への分散性をより高めるために、2種以上を併用することが好ましく、この目的で併用可能な油性成分としては、DHA、スクワレン、スクワランが好ましく、スクワレンが特に好ましい。特に、コエンザイムQ10のように常温で固体の油性成分の場合には、DHA、スクワレン、スクワランなどと併用することが特に好ましい。
エマルション組成物における油性成分の含有量は、乳化粒子径の微細化と乳化安定性の観点から、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
[リン脂質]
本発明においてリン脂質とは、複合脂質の内、脂肪酸、アルコール、リン酸、窒素化合物からなるエステルで、リン酸エステルおよび脂肪酸エステルを有する一群であり、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質をいい、レシチンとも称されることがある。以下、詳細に説明する。
本発明で用いることができるリン脂質としては、例えば、レシチン、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることができる。またこれらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンを挙げることができる。これらのリン脂質の由来は特に限定されないが、精製したものが特に好適である。
リン脂質は、分子内に親水基と疎水基を有しているため、従来から、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。産業的にはリン脂質の純度60%以上のものがレシチンとして利用されており、本発明でも利用できるが、微細な油滴粒径の形成及び機能性油性成分の安定性の観点から、好ましくは一般に高純度レシチンと称されるものであり、これはレシチン純度が80質量%以上、より好ましくは90質量%以上のものである。
また、本発明においては、グリセロリン脂質として、酵素分解したグリセロリン脂質を使用することができる。
例えば、前記レシチンを酵素分解したリゾレシチン(酵素分解レシチン)は、グリセロリン脂質の1位または2位に結合した脂肪酸(アシル基)のいずれか一方が失われたものである。脂肪酸基を1本にすることにより、レシチンの親水性を改善し、水に対する乳化性、分散性を向上させることができる。
リゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA1、又はA2を用いた、レシチンの加水分解により得ることができる。
このようなリゾレシチンに代表されるリゾ化合物を化合物名で示すと、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また更に、上記のレシチンに代表されるグリセロリン脂質は、水素添加、又はヒドロキシル化されたものも、本発明において用いることができる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
上記の中でも、乳化安定性の点で、グリセロリン脂質であるレシチン、リゾレシチン、が好ましく、更に、リゾレシチンが好ましい。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明で用いるエマルション組成物において、リン脂質の含有量は0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.3〜2質量%である。
前記リン脂質の含有量を0.1質量%以上とすることにより、エマルション組成物の乳化安定性が良好となる傾向がある。また、前記含有量を10質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、エマルション組成物の乳化安定性の点から好ましい。
[界面活性剤]
本発明における界面活性剤としては、水性媒体に溶解する非イオン性の界面活性剤乳化剤(親水性の界面活性剤)がエマルション組成物中の油相/水相の界面張力を大きく下げることができ、その結果、粒子径を細かくすることができる点で好ましい。
具体的には、HLB8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が特に好ましい。
HLB値の上限値は、特に限定されないが、一般的には、20以下であり、18以下が
好ましい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(Mw/M0)
ここで、Mwは親水基の分子量、M0は疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
本発明で使用することのできる界面活性剤は、特に制限は無いが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。また、上記の界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル、L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
上記の中でも、好ましくは、NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,リョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DPである。
本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10,SP−10V,SS−10V,SS−10MV,SS−15V,SS−30V,SI−10RV,SI−15RV,SO−10V,SO−15MV,SO−15V,SO−30V,SO−10R,SO−15R,SO−30R,SO−15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110、花王(株)社製の、レオドールAS−10V、AO−10V、AO−15V、SP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30Vなどが挙げられる。
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。
本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
上記の中で、好ましくは、リュートーシュガーエステルS−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−1570、P−1670、M−1695、O−1570、L−1695、DKエステルSS、F160、F140、F110、コスメライクS−110、S−160、S−190、P−160、M−160、L−160、L−150A、L−160A、O−150である。
本発明に用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2〜100が好ましく、4〜50がより好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL TL−10、NIKKOL TP−10V、NIKKOL TS−10V、NIKKOL TS−10MV、NIKKOL TS−106V、NIKKOL TS−30V、NIKKOL TI−10V、NIKKOL TO−10V、NIKKOL TO−10MV、NIKKOL
TO−106V、NIKKOL TO−30V、花王(株)社製の、レオドールTW−L106、TW−L120、TW−P120、TW−S106V、TW−S120V、TW−S320V、TW−O106V、TW−O120V、TW−O320V、TW−IS399C、レオドールスーパーSP−L10、TW−L120、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲンTW−20、TW−60V、TW−80V等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量は、エマルション組成物に対して、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましい。
前記界面活性剤量を0.5質量%以上とすることにより、油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなくエマルション組成物の泡立ちがひどくなる等の問題を生じ難い点で好ましい。
<その他の成分>
本水性組成物は、上記の成分以外にも他の成分を含むことができる。各成分は、油溶性成分の場合には、上記エマルション組成物の油性成分として含むことができ、一方、水溶性成分の場合には、最終的に本水性組成物に含有されていれば、いずれの形態で組み合わされたものであってもよい。
[ラジカル捕捉剤]
本発明では、ラジカル捕捉剤を含むことが好ましい。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)。
前記ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
本発明においては、以下の実験条件下で、油脂の自動酸化反応を利用して、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上である化合物を「ラジカル捕捉剤」と定義する。油脂の過酸化物価(POV値)は常法により測定する。
<条件>
油脂:オリーブ油
検体添加量:油脂に対し0.1質量%
試験方法:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を常法により測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
本発明におけるラジカル捕捉剤は、エマルションの酸化に対する安定性の観点から、前記POV値60meq/kgになるまでに要する時間がブランクに対し5倍以上であるラジカル捕捉剤が好ましい。
本発明のラジカル捕捉剤として使用できる化合物は、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)や、「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤のうち、ラジカル捕捉剤として機能するものであればよく、具体的には、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、また、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
以下に好ましいラジカル捕捉剤(酸化防止剤)としては、例えば、(i)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群、(ii)ポリフェノール類からなる化合物群より選ばれる少なくとも2種の化合物を挙げることができる。
ラジカル捕捉剤の含有量は、飲料全体の質量に対し、0.02〜4質量%が好ましく、0.03〜3質量%がより好ましく、0.05〜2質量%が特に好ましい。0.02質量%以下では風味の安定化効果が十分に得られない場合があり、4質量%以上では酸味が強くなりすぎる場合がある。
(i)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
本発明に用いる化合物群(i)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名 AA−2G:林原生物化学研究所)、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC−PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))、パルミチン酸アスコルビル(DSM ニュートリション ジャパン、金剛薬品、メルク、ほか)等が挙げられる。
(ii)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
本発明に用いる化合物群(ii)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる。
[多価アルコール]
本発明の容器詰飲料には、粒子径、安定性、及び防腐性の観点から多価アルコールを含有することが好ましく、特にエマルション組成物において含有していることが好ましい。
多価アルコールは、保湿機能や粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な微粒子を形成しやすくする機能も有している。
以上より、エマルション組成物が多価アルコールを含有することは、エマルション粒子径をより微細化でき、かつ該粒子径が微細な粒子径の状態のまま長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。
また、多価アルコールの添加により、エマルション組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができる。
本発明に使用できる前記多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず用いることができる。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
また、多価アルコールとしては、その1分子中における水酸基の数が、3個以上であるものを用いるのが好ましい。これにより、水系溶媒と油脂成分との界面張力をより効果的に低下させることができ、より微細で、かつ、安定な微粒子を形成させることができる。その結果、経口摂取の際の腸管吸収性をより高いものとすることができる。
上述したような条件を満足する多価アルコールの中でも、特に、グリセリンを用いた場合、エマルションの粒子径がより小さくなり、かつ該粒子径が小さいまま長期に亘り安定して保持されるため、好ましい。
前記多価アルコールの含有量は、前述の粒子径、安定性、防腐性に加えて、エマルション組成物の粘度の観点から、エマルション組成物全体の質量に対して10〜90質量%が好ましく、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、油脂成分の種類や含有量等によっても、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が90質量%以下であると、エマルション組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
[油中水型エマルション組成物の製造方法]
本発明の容器詰飲料におけるエマルション組成物の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、a)水性媒体(水等)に、界面活性剤を溶解させて、水相を得、b)前記油性成分(カロチノイド等)及びリン脂質(リゾレシチン等)を混合・溶解して、油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルション組成物を得る、ステップからなる製造方法が好ましい。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明のエマルション組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないためエマルション組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、エマルション組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
前記乳化分散は、1ステップの乳化操作を行うことでもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
[エマルション粒子の粒子径]
本発明に含まれるエマルション粒子(油滴)の粒子径は、特に限定されないが、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは250nm以下、最も好ましくは200nm以下である。
エマルション粒子の粒子径が300nm以上であると、エマルション粒子の比表面積が小さくなるため、エマルション粒子を含有する飲料の風味変化が小さく、グルコサミン類を含有させることによる改善度が小さくなる場合がある。また、エマルション粒子の粒子径を300nm以下とすることにより、その乳化物を用いて製造した飲料の透明性が悪化し難く、また、腸管吸収性が低下し難い点で好ましい。
本発明に用いるエマルションの粒子径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明におけるエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径は、前記動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)を用いて測定した値とし、具体的には、以下のよう計測した値を採用する。
前記粒子径の測定方法は、石英セルを用いて測定を行う。粒子径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した時のメジアン径として求めることができる。
[容器詰飲料]
本発明の容器詰飲料は、グルコサミン類および水中油型エマルション粒子を含有する水性組成物を飲料として適用した形態であり、例えば、本水性組成物を容器に充填等することによって得られる。
本発明の容器詰飲料では、カロチノイド類等の機能性成分を含有した場合には、成分に由来した機能も期待できる。特に、呈味料や、甘味料、香料等を配合することによって、飲料としての味等を適宜調整することができるため、これらの成分は好ましく含まれる。
[甘味料]
甘味剤は、甘味を呈する材料であればどのようなものでもよい。例えば、果汁、糖類または人工甘味料などが挙げられる。
上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、異性果糖などの単糖類、ショ糖、乳糖、パラチノースなどの二糖類、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノースなどのオリゴ糖類や、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の単糖アルコール類、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール類、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール類、オリゴ糖アルコール等の四糖以上アルコール類、粉末還元麦芽糖水飴等の糖アルコールが挙げられる。
上記人工甘味料としては、例えば、ステビア、アスパラテーム、サッカリン、グルチルリチン、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
[香料]
上記香料としては、例えば天然香料及び合成香料等が挙げられる。上記天然香料としては、例えば草根、木皮、花、果実、果皮又はその他動植物を素材として常法に従って調整された香成分含有物等が挙げられる。上記天然香料は、天然素材を水蒸気蒸留法、圧搾法又は抽出法等によって処理して分離した精油等も含まれる。
上記合成香料としては、例えば、コーヒー由来香料、紅茶由来香料、緑茶由来香料、ウーロン茶由来香料、ココア由来香料、ハーブ由来香料、スパイス由来香料及びフルーツ由来香料等が挙げられる。
本容器詰飲料に使用される容器としては、通常飲料用容器として使用されているものであればよく、例えば、PETボトル、紙パック、ガラス容器、アルミ缶、スチール缶等を挙げることができる。
[pH]
本発明の容器詰飲料のpHは、20℃におけるpHとして、1.0〜9.0が好ましく、1.5〜7.0がより好ましく、2.0〜5.0が特に好ましい。pH1.0以上であれば飲用として適格であることが多く、一方pH9.0以下であれば本発明の風味安定化効果を充分に得ることができる。
本発明の容器詰飲料のpHを調整するため又は酸味付けの観点から、pH調整剤を使用することができる。使用可能なpH調整剤としては、特に制限はなく、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸、L−酒石酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、コハク酸、酢酸及びこれらの誘導体を好ましく挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよいが、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びこれらの誘導体は含まれない。pH調整剤としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸及びこれらの誘導体であることがより好ましい。
以下に実施例で本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の記載で「部」と「%」表示してあるものは、特に断らない限り質量基準である。
なお、実施例〜40、42、43は本発明の参考例である。
<乳化物の作製>
(1)EM−01
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 37.5g
・ココナッツ油 92.5g
・レシチン(大豆由来) 20.0g
上記水相組成物を70℃に保ったままホモジナイザー(機種名HP93、(株)エスエムテー社製)で攪拌し(10000rpm)、前記水相組成物へ上記油相組成物を添加して乳化物を得た。
続いて、冷却し室温下、得られた予備乳化物をアルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、乳化物EM−01を調製した。
(2)EM−02〜EM−15
組成を表1に従った以外はすべてEM−01と同様にして、乳化物EM−02〜15を調製した。
<エマルション粒子含有水性組成物の作製>
[実施例1]
・EM−01 53.3g
・N−アセチルグルコサミン 10.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を1.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である水性組成物5Lを作製した。この水性組成物を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、140nmであった。
[実施例2〜40、比較例1〜35]
組成、pHを表2〜表11に従った以外は全て実施例1と同様にして、実施例2〜40、比較例1〜40の水性組成物を作製した。
実施例1〜40及び比較例1〜35にて使用した使用原材料は以下のとおりである。
ショ糖ステアリン酸エステル:
三菱化学フーズ株式会社
リョートーシュガーエステルS−1670(HLB=16)
モノオレイン酸デカグリセリル:
日光ケミカルズ株式会社
NIKKOL Decaglyn 1−O(HLB=12)
ヘマトコッカス抽出物
武田紙器株式会社 ASTOTS−S
マリーゴールド抽出物
協和発酵工業株式会社 ルテイン20S
ミックストコフェロール
理研ビタミン株式会社 理研Eオイル800
ユビデカレノン
日本油脂株式会社 コエンザイムQ10粉末
魚油
日本化学飼料株式会社 DHA27G
ココナッツ油
花王株式会社 ココナードMT
レシチン(大豆由来)
理研ビタミン株式会社 レシオンP
N−アセチルグルコサミン
焼津水産化学工業株式会社 マリンスウィートYSK
<風味の評価>
実施例1〜40、比較例1〜35で作製した水性組成物を35℃で1ヶ月経時し、未経時品からの風味の変化を、下記の評価方法に従い、10人の評価者によって評価した。
未経時品と比較して、
全く変化がなかった … 5点
ほとんど変化がなかった … 4点
少し変化があったが許容内であった … 3点
変化していて許容外であった … 2点
大きく変化があり許容外であった … 1点
10人の評価の平均値を各水性組成物の「評価点」として、表2〜表11に記載した。また、N−アセチルグルコサミンの含有/不含有のみが異なる実施例と比較例の点数の差を「改善度」として表2に記載した。
「評価点」は3〜5点が好ましく、4〜5点がより好ましく、4.5〜5点が特に好ましい。
「改善度」は1〜4点が好ましく、2〜4点がより好ましい。
表2〜表11に示されるように、N−アセチルグルコサミンを添加することにより、「評価点」が改善された。
また、さらにアスコルビン酸類を添加することにより、「評価点」がさらに改善された。
また、pH=5.5の水性組成物に比べ、pH=2.5、3.5、4.5において、「評価点」が高い傾向があった。
また、粒子径が200nm以上の乳化物を使用した場合に比べ、粒子径が200nm以下の乳化物を使用した場合に、「改善度」が高い傾向があった。
<乳化物、飲料の作製>
EM−16
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 37.5g
・ミックストコフェロール 19.0g
・ココナッツ油 73.5g
・レシチン(大豆由来) 20.0g
次いで、EM−01と同様に乳化を行い、乳化物EM−16を調製した。
[実施例41]
・EM−16 53.3g
・N−アセチルグルコサミン 10.0g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、141nmであった。成分濃度は12.4質量%であった。
[比較例36]
・EM−16 53.3g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を45.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、140nmであった。
<評価>
実施例41、比較例36の評価点を実施例1と同様に評価したところ、それぞれ4.8、2.5であった。
[実施例42]
・EM−16 53.3g
・グルコサミン塩酸塩 10.0g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を43.5g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、141nmであった。成分濃度は12.4質量%であった。
実施例42の評価点を実施例1と同様に評価したところ、4.6であった。
[実施例43]
・EM−16 53.3g
・グルコサミン硫酸塩 10.0g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、141nmであった。成分濃度は12.4質量%であった。
実施例43の評価点を実施例1と同様に評価したところ、4.5であった。
[実施例44]
・EM−16 53.3g
・N−アセチルグルコサミン 10.0g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
・デキストリン(DE=25) 149.5g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、142nmであった。成分濃度は14.5質量%であった。
[比較例37]
・EM−16 53.3g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
・デキストリン(DE=25) 159.5g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、144nmであった。成分濃度は14.5質量%であった。
<評価>
実施例44、比較例37の評価点を実施例1と同様に評価したところ、それぞれ4.6、2.6であった。実施例44の改善度は2.0であった。
[実施例45]
・EM−16 53.3g
・N−アセチルグルコサミン 10.0g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
・デキストリン(DE=25) 260.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、140nmであった。成分濃度は17.6質量%であった。
[比較例38]
・EM−16 53.3g
・コラーゲンペプチド 100.0g
・糖転移ヘスペリジン 10.0g
・ヒアルロン酸 8.0g
・L−アスコルビン酸 25.0g
・L−アスコルビン酸ナトリウム 25.0g
・エリスリトール 350.0g
・スクラロース 0.2g
・ピーチ香料 10.0g
・デキストリン(DE=25) 270.0g
上記に純水を添加し、均一になるまで攪拌した。さらにクエン酸(結晶)を44.0g添加し、液のpHが3.5(20℃)である飲料5Lを作製した。この清涼飲料水を50mlずつガラス瓶容器に分注、密閉した後、85℃で15分間殺菌した。エマルション粒子の平均粒子径を測定したところ、143nmであった。成分濃度は17.6質量%であった。
<評価>
実施例45、比較例38の評価点を実施例1と同様に評価したところ、それぞれ4.1、2.9であった。実施例45の改善度は1.2であった。
このように本発明によれば、水中油型エマルション粒子を含む容器詰飲料としての風味を安定して長期間、維持することができる。

Claims (9)

  1. N−アセチルグルコサミンと、アスタキサンチンを含むエマルション粒子と、を含有し、N−アセチルグルコサミンの含有量が飲料50ml中に50〜600mgであり、アスタキサンチンの含有量が飲料全体の質量に対して0.001〜0.02質量%である、容器詰飲料。
  2. 更に界面活性剤を含有する、請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. 前記界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種である、請求項に記載の容器詰飲料。
  4. 更にリン脂質を含有する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  5. 前記リン脂質がレシチンである、請求項に記載の容器詰飲料。
  6. 前記エマルション粒子の粒子径が200nm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  7. 成分濃度が、前記容器詰飲料を構成する水性組成物の全質量に対して0.1質量%〜20質量%である請求項1〜請求項のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  8. さらにラジカル捕捉剤を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  9. 前記ラジカル捕捉剤がアスコルビン酸類である請求項記載の容器詰飲料。
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