JP5628483B2 - コンバインのクラッチ操作装置 - Google Patents
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Description
[1] 刈取クラッチや脱穀クラッチの操作とは関係なく、穀粒タンク内の穀粒を外部へ取り出すための穀粒搬出用スクリューコンベアの駆動用クラッチを独立して入り切り操作可能にしたもの(特許文献1参照)。
[2] 電動モータでカム機構を駆動して、刈取クラッチや脱穀クラッチ、及びフィードチェーンクラッチを操作するように構成したもの(特許文献2参照)。
また、特許文献2に記載のように、電動モータで駆動されるカム機構を用いて、刈取クラッチや脱穀クラッチ、及びフィードチェーンクラッチを順次的に操作するように構成したものでは、予め設定されているクラッチについては前記カム機構で設定された順序にしたがって誤操作少なく各クラッチを操作することができる。しかしながら、この特許文献2には記載されていないところの、穀粒搬出用スクリューコンベアの駆動用クラッチだけを別系統の操作具で操作するように構成すると、前記特許文献1に記載の構造のものと同様に、穀粒搬出用スクリューコンベアの駆動用クラッチを誤操作する可能性がある。
刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒搬出用クラッチと、前記刈取搬送装置における刈取速度を変速する刈取変速機構とを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、前記刈取クラッチが入り状態であると前記穀粒搬出用クラッチの入りを阻止すると共に、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において前記刈取クラッチが入り操作されると、これに伴って前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作し、かつ、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において刈取変速機構が高速側に操作されると、これに伴って前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作すると共に前記刈取クラッチを入り操作する制御手段が備えられた点にある。
そして、刈取クラッチを入り操作すると、入り状態にある穀粒搬出用クラッチを自動的に切り状態に切換操作するので、穀粒搬出用クラッチの切り忘れを防止するとともに、そのような穀粒搬出用クラッチの切り操作を行ってから刈取クラッチの入り操作を行うというような煩雑な操作を要さず、迅速にクラッチの切換を行うことができる。
そして、穀粒搬出作業終了後、もしくは排出作業中にも、刈取クラッチを作動させて直ちに刈取作業を開始したい場合には、単純に刈取クラッチの入り操作を行うだけで自動的に、穀粒搬出用クラッチを切り操作して刈取クラッチの入り操作が行われるので、誤操作なく迅速な切換操作を行える利点がある。
本発明においては、
前記制御手段は、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において前記刈取変速機構が高速側に操作されると、前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作してから、前記刈取クラッチを入り状態に切換操作し、その後、前記刈取変速機構を高速側に操作すると好適である。
〔コンバインの全体構成〕
図1には本発明を適用した自脱型コンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されている。
このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成した機体フレーム1を備え、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備している。機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置3が設けられ、機体フレーム1の左後部に脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1の右後部に穀粒貯留装置5を搭載し、さらに、機体フレーム1の右前部に設けた原動部6、原動部6の上方側に形成した搭乗運転部20などを備えている。
機体フレーム1は、図3に示すように、前後方向に長い角パイプ状の左右一対のメインフレーム10,10と、そのメインフレーム10,10に対して左右方向に横切る方向で交差する状態で搭載設置された多数の横向きフレーム11と、横向きフレーム11の機体外側端側に搭載設置される前後向きの側部フレーム12とを備えて格子枠状に形成されている。前記メインフレーム10,10の右側方で側部フレーム12との間には、図示しないが、断面形状がほぼ山形で連続した三角波形状の金属製板材で構成された機枠プレート13を備えている。
上記のメインフレーム10,10、横向きフレーム11、側部フレーム12、及び機枠プレート13が一体化されて機体フレーム構成材を構成している。
前記機枠プレート13は、平面視で前記穀粒貯留装置5の下方側に部分的に重なる状態で設けられているが、この重なり部分では、前記穀粒貯留装置5の底面が、横幅方向中央部箇所のスクリューコンベヤ55側ほど低くなる斜面で形成されている。このため、実際には前記穀粒貯留装置5の底面側と機枠プレート13との間には上下方向の間隔がある。機枠プレート13の上面側には、その機枠プレート13の三角波形状の谷部によって上方開放の溝状部が形成されている。そして、穀粒貯留装置5が縦軸心y回りで外側に揺動開放されると、前記機枠プレート13の上面側は、作業者がメンテナンス作業等のために搭乗することも可能な状態に開放される。
前記機枠プレート13よりも前方側の機体フレーム1上には、その右側方にエンジン60、油圧ポンプ65、及びラジエータ61を搭載した原動部6が設けてあり、さらにその原動部6の前方側に延長されている機体フレーム1上に電源供給装置としてのバッテリ69が搭載してある。
また、機体フレーム1のうちのメインフレーム10,10の間には、左右のクローラ式走行装置2に対して駆動力を伝達するための駆動車軸(図外)を備えたミッションケース26を装備してあり、そのミッションケース26は、ミッションケース26内のギヤ類の潤滑及び冷却のための潤滑油を貯留するためのタンクを兼用している。
さらに、前記ミッションケース26よりも機体左側方寄りの機体フレーム1上に、各種油圧装置に対する作動油を供給するための作動油タンク27を搭載してある。
原動部6では、図3及び図5に示すように、機体フレーム1に搭載したエンジン60と、エンジン60の横側部に取り付けられた油圧ポンプ65と、エンジン冷却用のラジエータ61と、オイルクーラー66と、前記ラジエータ61に対する送風方向を正逆に切り換えて送風可能な送風ファン62とを備えている。前記送風ファン62に対向する箇所の機体右外側部には、図1に示すように、外部からの塵埃の吸入を抑制するための防塵網付きの外気導入用の開口部63が設けられている。
前記送風ファン62は、詳細は図示しないが、前記右側のエンジン出力軸60a上でスライド操作自在な操作体64を備え、その操作体64のスライド操作で送風ファン62の羽根の角度を変更して送風方向を正方向と逆方向とに切換操作自在に構成されている周知のものである。
図1,2,3に示すように、前記機枠プレート13よりも後方側の機体フレーム1の右後端部に設けられる穀粒搬出用オーガ52は、機体フレーム1側に固定されている電動アクチュエータの一例である駆動モータ5Mを備え、この駆動モータ5Mによって縦筒部分52Aが、前記穀粒貯留装置5の揺動中心である縦軸心y回りで旋回自在に、かつ、その穀粒貯留装置5のグレンタンク51に対しては相対回動自在に構成されている。
また、前記縦筒部分52Aの上端側に接続される横筒部分52Bは、横軸心x回りで起伏揺動自在に構成してあり、その起伏動作は、前記縦筒部分52Aと横筒部分52Bとの間にわたって設けた油圧アクチュエータとしての油圧駆動式の伸縮シリンダ5Sによって行われる。
図2に示すように、前記搭乗運転部20では、機体の前後進変速操作を行う変速レバー21、ならびに機体の操向操作を行う操向操作レバー22を備えるとともに、各種作業装置の駆動の入り切りや作動順を指令するための操作盤23を備えている。
高速刈取脱穀開始ボタンB3を操作すると、刈取変速機構35が高速側に切り換えられて、上記の刈取脱穀作業を高速で行うことができる。
さらに、穀粒搬出用ボタンB4は、上記の刈取作業関連機器の全ての作動が停止されている状態で穀粒貯留装置5のみを駆動し、穀粒を排出する作業状態となる。
上記の制御形態については、制御系の構成とともに後述する。
図3に示すように、エンジン60は、その出力軸60aの軸心方向が左右向きになる姿勢で機体フレーム1に搭載されている。そのエンジン60から左右の各クローラ式走行装置2への伝動は、図5に示すように、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン60の出力軸60aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置2の駆動輪2Aにわたる走行用の伝動系を介して行われる。走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置24、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置25、及び、ミッションケース26に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
図4及び図5に示すように、静油圧式無段変速装置25による変速後の動力がミッションケース26の上部横側部に設けてある刈取用出力プーリ36aから出力され、図4に示すように、その刈取用出力プーリ36aと、刈取主フレーム3Aに支持される刈取用入力プーリ36bと、前記刈取用出力プーリ36aと刈取用入力プーリ36bとの間に巻回した伝動ベルト37と、テンション輪38とで構成される刈取クラッチ30を介して、刈取主フレーム3A内の動力伝達軸(図外)に伝達される。
この刈取変速機構35による高低2段の変速操作は、周知のシフト操作具(図示せず)を、後述するクラッチ操作装置Aに対して操作ワイヤー35aを介して連係させてあり、クラッチ操作装置Aの操作によって、高速での刈取作業と低速での刈取作業とを選択できるように構成してある。
前記ベルトテンション式の脱穀クラッチ40は、エンジン側の出力プーリ60bと脱穀装置4の入力プーリ42との間に掛張された伝動ベルト43と、テンションプーリ44とで構成されている。そして、前記テンションプーリ44を引き操作してクラッチ入り状態に切換え操作するための操作ワイヤー40aを後述するクラッチ操作装置Aに連係させている。
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や前記穀粒搬出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。
前記伝動軸57に伝えられた動力は、その伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられ、かつ、その入力伝動軸58のベベルギヤ58aと前記スクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して前記スクリューコンベヤ55や前記穀粒搬出用オーガ52伝達されるように構成されている。
前記入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、前記伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58bを備えていて、伝動軸57からの回転動力は伝達されながら、軸線方向での抜き差しは可能に構成されているので、前記縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴なう係脱を許容することができる。
図中の符号59は、伝動軸57を入力伝動軸58側へ押しつけ付勢するための押圧用スプリングである。
図6乃至図11に示すように、本発明では、上記の各種作業装置が備えるクラッチを入り切り操作するためのコンバインのクラッチ操作装置としてカム駆動式のクラッチ操作装置Aを採用している。このクラッチ操作装置Aは、駆動力を発生する駆動装置7と、その駆動装置7によって駆動されるカム機構8とによって構成されている。
前記電動モータ70は、前記操縦盤20Cに備えられた各種操作ボタンB1〜B5の操作信号が制御装置100に入力されると、その操作信号に基づく制御指令が制御装置100から出力され、電動モータ70が正転方向、もしくは逆転方向に駆動操作される。電動モータ70の駆動力は、モータ出力軸71に装着された出力ギヤ74の回転動力として出力される。この出力ギヤ74と、後述するカム機構8のカム板の外周の一部に形成されたギヤ部75とで前記ギヤ機構72が構成されている。
出力ギヤ74によるカム機構8の駆動状態は、カム軸80の軸端に装備されたポテンショメータ73で検出され、その検出結果に基づくフィードバック信号が前記制御装置100に伝達される。
カムフォロワ群のうち、第1カム板81に対しては、カム軸80よりも機体前方側で接触して案内される穀粒搬出用クラッチ50を操作するグレンタンク系カムフォロワ84と、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される脱穀クラッチ40を操作する脱穀系カムフォロワ85とが備えられている。
第2カム板82に対しては、カム軸80よりも機体前方側で接触して案内されるフィードチェーンクラッチ49を操作するフィード系カムフォロワ86と、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される刈取クラッチ30を操作する刈取系カムフォロワ87とが備えられている。
第3カム板83に対しては、カム軸80よりも機体前方側にはカムフォロワはなく、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される刈取変速機構35のシフト操作手段を操作する刈取変速系カムフォロワ88が備えられている。また、前記電動モータ70の出力ギヤ74と共にギヤ機構72を構成するギヤ部75は、この第3カム板83の外周縁の一部に形成されている。
また、各揺動片85a,87a,88aの長手方向での中間部には、折り曲げられたU字状部分に入り込んだ状態で、前記カム板81,82、83の外周縁側に接触するローラ85b,87b,88bが設けてある。そして、各揺動片85a,87a,88aの長手方向での上端側には、それぞれ、脱穀クラッチ40を操作するための操作ワイヤー40a、及び刈取クラッチ30を入り切り操作するための操作ワイヤー30a、刈取変速機構35の変速操作手段を操作するための操作ワイヤー35aを連結してある。
前記第2カム板82には、その外周縁に、フィード系カムフォロワ86を操作するためのフィード系カム面82aと、刈取系カムフォロワ87を操作するための刈取系カム面82bとが、カム軸80を挟んでほぼ対向する箇所に形成してある。
前記第3カム板83には、その外周縁に、刈取変速系カムフォロワ88を操作するための刈取変速系カム面83aが設けてあるとともに、この第3カム板83、及び前記第1カム板81、第2カム板82に駆動力を伝達するためのギヤ部75を形成してある。
次に、上記クラッチ操作装置Aによる作動形態を図9乃至図11に基づいて説明する。
図9は、前記第3カム板83に形成されたギヤ部75の付設範囲によって設定されるカム軸80の回転角度範囲内における各カム板81,82,83の各カム面81a,81b,82a,82b,83aと、各カムフォロワ84,85,86,87,88とで現出される機能が発揮される範囲を、前記回転角度範囲内での角度分布図で表したものである。
図10は、作業装置の種別を縦軸に、操作タイミングを横軸にとったタイムチャートである。また、図11は、各カム板とカムフォロワとの関連動作状態を、横軸に作業装置の種類を、縦軸に時間軸をとって図示したグラフである。
このとき、第2カム板82や第3カム板83の位置に関しては、図9では直接的には示されていないが、図10では、脱穀クラッチ40と穀粒搬出用クラッチ50の動作を示す線が第1カム板81に関係したものであり、刈取変速機構35の動作を示す線が第3カム板83に関係したものであることが分かる。
したがって、この図10をみても、前記aの位置では、穀粒搬出用クラッチ50のみが「入」で、他の全てのクラッチは「切」となっており、刈取変速機構35は低速状態である。
図11では、符号aの段において、フィード系カムフォロワ86が第2カム板82のフィード系カム面82aに接した状態であるが、フィードチェーンクラッチ49は、もともと入り側に付勢されているので、前記フィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86を切り側へ操作して、フィードチェーンクラッチ49を切り状態に保っている。
図10においても同じ符号bで示す位置が同じ状態に相当する。また、図11においては、上から3段目に図示されている符号bの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で示されている。
このとき、第2カム板82は、図10及び図11に示すように、フィードチェーンクラッチ49も刈取クラッチ30もクラッチ切りの状態に維持している。
また、第3カム板83は、図10及び図11に示すように、刈取変速機構35の低速状態を維持したままである。
そして、このとき、時計回りに回動する第2カム板82では、フィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作状態を解除し、フィードチェーンクラッチ49をクラッチ入りの状態に切換操作する。
このとき、第2カム板82の刈取系カム面82bは、刈取系カムフォロワ87を作用する状態には至っておらず、刈取系カムフォロワ87は刈取クラッチ30の切り状態を維持している。
図10においても同じ符号cで示す位置が同じ状態に、つまり、脱穀クラッチ40とフィードチェーンクラッチ49がクラッチ入りの状態で、かつ刈取クラッチ30が切りの状態を示している。
図11においては、符号cの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82のフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ49をクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されている。そして、第2カム板82の刈取系カム面82bは、刈取系カムフォロワ87を作用する状態には至っておらず、刈取系カムフォロワ87は刈取クラッチ30の切り状態を維持している。
また、第3カム板83は、図10及び図11に示すように、刈取変速機構35の低速状態を維持したままである。
時計回りに回動する第2カム板82のフィード系カム面82aはフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除した状態であり、フィードチェーンクラッチ49をクラッチ入りに切換操作した状態を維持している。
そして、このとき、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、刈取クラッチ30を、クラッチ入りの状態に切換操作する。
図10においても同じ符号dで示す位置が同じ状態に、つまり、脱穀クラッチ40に加えて、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換操作された状態を示している。
図11においては、符号dの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されている。
また、第3カム板83は、図10及び図11に示すように、刈取変速機構35の低速状態を維持したままである。
引き続き時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除していて、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換られた状態を維持している。
そして、このとき第3カム板83の刈取変速系カム面83aが、刈取変速系カムフォロワ88を操作して、刈取変速機構35の操作用シフタを高速側に操作する。
図10においても同じ符号eで示す位置が同じ状態に、つまり、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態であり、刈取変速機構35が高速側に操作されている状態を示している。
図11においては、符号eの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されており、第3カム板83の刈取高速系カム面(図外)が、刈取変速系カムフォロワ(図外)を操作して、刈取変速機構35の操作用シフタを高速側に操作している。
図12に示すように、刈取クラッチ30、脱穀クラッチ40、フィードチェーンクラッチ49、穀粒搬出用クラッチ50、及び刈取変速機構35を操作するカム機構8の動力源である電動モータ70の作動を制御するモータ制御回路101を、制御プログラムとしてインプットされているマイクロコンピュータからなる制御装置100は次のように構成されている。
制御装置100では、前記各ボタンB1,B2,B3,B4,B5の何れが操作されたかの判断に基づいて、また、ポテンショメータ73での検出結果に基づいて、前記制御回路がクラッチ操作装置Aの電動モータ70に対して次のように制御指令を出力する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、枕扱き脱穀開始位置cよりも時計回りで中立位置から離れている位置である場合には、電動モータ70が逆回転でギヤ機構72を駆動し、カム機構8のカム軸80を反時計回りに回転させる。そして、枕扱き脱穀開始位置cに達したことがポテンショメータ73で検出されると電動モータ70に停止指令を出力する。また、前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、枕扱き脱穀開始位置cである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作されている。その後、作業開始・終了ボタンB5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、低速刈取脱穀開始位置d、もしくは低速刈取脱穀開始位置dよりも時計回りで中立位置から離れている位置である場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作された状態を維持しているとともに、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している。
その後、作業開始・終了ボタンB5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作された状態を維持しているとともに、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ49と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している。
また、この高速刈取脱穀位置eへの操作に伴って第3カム板83の刈取変速系カム面83aが、刈取変速系カムフォロワ88を操作して、刈取変速機構35の操作用シフタを高速側に操作している。
その後、作業開始・終了ボタンB5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、穀粒搬出位置aである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。この状態では、第1カム板81のグレンタンク系カム面81aがグレンタンク系カムフォロワ84を操作して穀粒搬出用クラッチ50が入りとなっている。
その後、作業開始・終了ボタンB5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
クラッチ操作装置Aのモータ制御回路101による制御の流れを、図13及び図14のフローチャートに基づいて説明する。
[1]図13に示すように、モータ制御回路101のメインルーチンでは、制御開始直後のステップ#1で、フラグf=0を初期設定し、次のクラッチ制御ルーチン#2を開始する。クラッチ制御ルーチン#2を脱出した後は、キースイッチ(図外)切りなどの制御終了条件の有無を判断し、終了でなければ再度クラッチ制御ルーチン#2を実行する。
[2]まず、作業開始・終了ボタンB5がON(入り)操作されたことを検出し、かつ、ONが検出されると、フラグfの値を判断する(ステップ#4,#5)。
[3]前記フラグfの値がf=0である場合に、枕扱き脱穀開始ボタンB1がOFF(切り)でなければ、つまり枕扱き脱穀開始ボタンB1がONであれば、フィードチェーン47の駆動を開始し、前記フラグfの値をf=1にセットする(ステップ#6,#7、#17)。逆に、枕扱き脱穀開始ボタンB1がOFF(切り)であれば、次の低速刈取脱穀開始ボタンB2の操作状態を判別する(ステップ#6,#8)。
[4]低速刈取脱穀開始ボタンB2がOFF(切り)でなければ、つまり低速刈取脱穀開始ボタンB2がONであれば、穀粒搬出用クラッチ50をOFF(切り)操作した後、刈取クラッチ30をON(入り)操作するとともに、刈取変速機構35を低速側へ切換操作する。逆に、低速刈取脱穀開始ボタンB2がOFF(切り)であれば、次の高速刈取脱穀開始ボタンB3の操作状態を判別する(ステップ#8,#9,#10,#11)。
[5]高速刈取脱穀開始ボタンB3がOFF(切り)でなければ、つまり高速刈取脱穀開始ボタンB3がONであれば、穀粒搬出用クラッチ50をOFF(切り)操作した後、刈取クラッチ30をON(入り)操作するとともに、刈取変速機構35を高速側へ切換操作し、前記フラグfの値をf=1にセットする(ステップ#11,#12,#13,#17)。逆に、高速刈取脱穀開始ボタンB3がOFF(切り)であれば、次の穀粒搬出用ボタンB4の操作状態を判別する(ステップ#11,#14)。
[6]穀粒搬出用ボタンB4がOFF(切り)でなければ、つまり穀粒搬出用ボタンB4がONであれば、穀粒搬出用クラッチ50をON(入り)操作した後、前記フラグfの値をf=1にセットする(ステップ#15,#17)。
[7]穀粒搬出用ボタンB4がOFF(切り)であれば、つまり、上記各ボタンB1,B2,B3,B4の何れもがOFF(切り)であれば、脱穀クラッチ40のみをON(入り)操作した後、前記フラグfの値をf=1にセットする(ステップ#16,#17)。
[9]低速刈取脱穀開始ボタンB2がOFF(切り)でなければ、つまり低速刈取脱穀開始ボタンB2がONであれば、刈取クラッチ30をOFF(切り)操作し、前記フラグfの値をf=0にセットする(ステップ#20,#21,#27)。逆に、低速刈取脱穀開始ボタンB2がOFF(切り)であれば、次の高速刈取脱穀開始ボタンB3の操作状態を判別する(ステップ#20,#22)。
[10]高速刈取脱穀開始ボタンB3がOFF(切り)でなければ、つまり高速刈取脱穀開始ボタンB3がONであれば、刈取クラッチ30をOFF(切り)操作するとともに、刈取変速機構35を低速側へ切換操作し、前記フラグfの値をf=0にセットする(ステップ#22,#23,#27)。逆に、高速刈取脱穀開始ボタンB3がOFF(切り)であれば、次の穀粒搬出用ボタンB4の操作状態を判別する(ステップ#22,#24)。[11]穀粒搬出用ボタンB4がOFF(切り)でなければ、つまり穀粒搬出用ボタンB4がONであれば、穀粒搬出用クラッチ50をOFF(切り)操作した後、前記フラグfの値をf=0にセットする(ステップ#24,#25,#27)。
[12]穀粒搬出用ボタンB4がOFF(切り)であれば、つまり、上記各ボタンB1,B2,B3,B4の何れもがOFF(切り)であれば、脱穀クラッチ40のみをOFF(切り)操作した後、前記フラグfの値をf=0にセットする(ステップ#24,#26,#27)。
図15は、搭乗運転部20における計器パネル9を示している。
この計器パネル9には、中央部に車速を示す作業速度計90と、負荷メータ91とを備え、左側部にエンジン回転計92を備え、右側部に燃料計93を備えて構成されている。
つまり、表示演算回路102で算出された偏差が大きい範囲である大負荷範囲94cでは、赤色のLED94の表示動作は、負荷の変動とほぼ同期して敏感に行われる。そして、前記偏差が大負荷範囲94cよりも小さい中負荷範囲94bでは、黄色のLED94の表示動作が、大負荷範囲94cでの表示速度よりも鈍感になるように、適宜遅延回路(図示せず)などを介して表示速度を遅くしている。さらに、表示演算回路102で算出された偏差が最も少ない範囲である軽負荷範囲94aでは、緑色のLED94の表示動作は、中負荷範囲94bでの表示速度よりも鈍感で、最も遅くなるように、適宜遅延回路(図示せず)などを介して表示速度をさらに遅くしている。
つまり、負荷メータ91の動きがあまりに敏感すぎると調節操作を行い難いのであるが、この構造のものでは、緊急を要する虞の高い大負荷範囲94cでの負荷変動は敏感に表示し、負荷の大きさがそれほど大きくない中負荷範囲94bや軽負荷範囲94aでの負荷変動は鈍感に表示することにより、負荷メータ91の表示を見やすくして、調節操作を行い易くしている。
本発明の駆動装置7としては、単一の電動モータ70、もしくは複数個の電動モータ70で駆動されるカム駆動式のものに限らず、例えば、制御対象の全てのものを、電動モータ70やソレノイドなどの各種アクチュエータを用いて、各別に操作するようにした構造のものでもよい。
負荷メータ91で表示される負荷の検出対象としては、上述のような、アクセルセット位置とエンジン回転数とから演算するものに限らず、例えば、脱穀処理対象の穀物量と車速との比較に基づいて、あるいは、排ワラ量と車速との比較に基づいてなど、エンジン回転数に影響を及ぼす要因となる種々のものを対象として負荷を演算するようにしてもよい。
4 脱穀装置
5 穀粒貯留装置
8 カム機構
30 刈取クラッチ
35 刈取変速機構
40 脱穀クラッチ
47 フィードチェーン
49 フィードチェーンクラッチ
50 穀粒搬出用クラッチ
70 電動モータ
100 制御装置(制御手段)
N 中立位置
Claims (2)
- 刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒搬出用クラッチと、前記刈取搬送装置における刈取速度を変速する刈取変速機構とを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記刈取クラッチが入り状態であると前記穀粒搬出用クラッチの入りを阻止すると共に、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において前記刈取クラッチが入り操作されると、これに伴って前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作し、かつ、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において刈取変速機構が高速側に操作されると、これに伴って前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作すると共に前記刈取クラッチを入り操作する制御手段が備えられたコンバインのクラッチ操作装置。 - 前記制御手段は、前記穀粒搬出用クラッチの入り状態において前記刈取変速機構が高速側に操作されると、前記穀粒搬出用クラッチを切り状態に切換操作してから、前記刈取クラッチを入り状態に切換操作し、その後、前記刈取変速機構を高速側に操作する請求項1に記載のコンバインのクラッチ操作装置。
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