本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明を外部から取得した画像データに応じた画像を多色または単色の画像を所定のシート(記録材)上に形成するカラープリンタに適用する場合について主に説明するが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。例えば、カラープリンタの他、モノクロプリンタ、カラー複合機、カラー複写機、モノクロ複合機、モノクロ複写機などに適用することができる。
(1−1.画像形成装置1の構成)
図1は画像形成装置1の機能構成を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置1は、操作パネル2、通信装置3、記憶装置4、制御部5、および画像形成部6を備えている。
操作パネル2は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部と設定ボタンなどからなる操作入力部により構成される(いずれも図示せず)。そして、操作パネル2は、制御部5に備えられる操作パネル制御部50の指示に応じた情報を上記表示部に表示するとともに、上記設定ボタンを介してユーザから入力される情報を操作パネル制御部50に伝達する。なお、操作パネル2として表示部と操作入力部とが一体化されたタッチパネルを用いてもよい。ユーザは、操作パネル2を介して入力画像データに対する処理モード、印刷枚数、用紙サイズなどの各種情報を入力することができる。例えば、操作パネル2を介して、記憶装置4に記憶している印刷実行データの中から再印刷を行う印刷実行データを選択する指示や、再印刷の実行指示などを行えるようになっている。
通信装置3は、制御部5に備えられる通信制御部51の指示に応じて、ネットワークを介して接続された他の装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ装置など)とデータ通信を行う。
なお、本実施形態では、画像形成装置1は、ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピュータ、サーバ装置等)から文字、図形、写真等の画像データをページ記述言語の形式で受信する。そして、画像形成装置1は、受信した画像データに基づいてラスタライズ処理(画像データをラスタ形式に変換する処理)等を施して印刷可能な印刷実行データを生成し、生成した印刷実行データに応じた画像を印刷するようになっている。ラスタライズ処理の処理方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。また、通信装置3が外部装置からラスタライズされた画像データ(例えば外部装置に備えられるプリンタドライバによってラスタライズされた画像データ)を受信し、当該画像データに応じた画像を画像形成装置1が印刷する構成としてもよい。
記憶装置4は、画像形成装置1で扱われる各種データ(外部装置から受信した画像データ、印刷実行データ、画像出力部6の出力特性情報、後述するパッチ画像の画像データなど)を記憶する記憶手段である。記憶装置4の構成は特に限定されるものではないが、例えばハードディスクなどを用いることができる。なお、記憶装置4に対するデータの書き込み、および記憶装置4からのデータの読み出しは、制御部5に備えられる記憶制御部52によって制御される。
図2は、画像形成部6の構成を示す説明図である。図1および図2に示したように、画像形成部6は、露光ユニットE、4組の可視画像形成ユニットpa〜pd、中間転写ベルトユニット10、二次転写ユニット14、定着装置30、内部給紙ユニット16、および手差し給紙ユニット17を備えている。
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。このため、図2に示すように、上記各色に対応する4組の可視画像形成ユニットpa〜pdが設けられている。そして、これら4組の可視画像形成ユニットpa〜pdによって形成された4色のトナー像が中間転写ベルトユニット10に備えられる中間転写ベルト11上で重ね合わされるようになっている。なお、可視画像形成ユニットpa〜pdは現像処理に用いるトナーの色が異なる以外は実質的に同様の構成である。各可視画像形成ユニットpa,pb,pc,pdの現像ユニットにはそれぞれブラック(B),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)のトナーが収容されている。
可視画像形成ユニットpa〜pdは、回転可能に備えられた感光体ドラム(像担持体)101a〜101dの周囲に、帯電ユニット103a〜103d、現像ユニット102a〜102d、およびクリーニングユニット104a〜104dが感光体ドラム101a〜101dの回転方向に沿ってこの順で配置された構成である。
帯電ユニット(帯電手段)103a〜103dは、感光体ドラム101a〜101aの表面を所定の電位に均一に帯電させるためのものである。本実施形態では、帯電ユニット103a〜103dとして、帯電ローラ方式(接触帯電方式)を採用している。ただし、帯電ユニット103a〜103dの構成はこれに限るものではなく、例えば、コロナ放電方式などの非接触型の帯電器を用いてもよく、ブラシ帯電などの接触型の帯電器を用いてもよい。
現像ユニット102a〜102dは、感光体ドラム101a〜101d上に形成された静電潜像を現像剤によって顕像化する現像処理を行う。上記現像剤としては、例えば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナーおよびキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)等を用いることができる。
現像ユニット(現像手段)102a〜102dは、感光体ドラム101a〜101dに対向配置される現像ローラ(現像部材)105a〜105dを備えており、現像ローラ105a〜105dには現像バイアス電圧が印加されている。これにより、感光体ドラム101a〜101dにおける露光ユニットEによって露光された部分(静電潜像)と現像ローラ105a〜105dとの間に電位差(現像ポテンシャル)が生じ、この電位差に略比例した量のトナーが感光体ドラム101a〜101dの表面に付着して感光体ドラム101a〜101d上の静電潜像が現像される。このように、感光体ドラム101a〜101dに対するトナー付着量は露光ユニットEによって露光された部分と現像ローラ105aとの間に電位差に応じて変化する。
なお、本実施形態では、現像ローラ105a〜105に印加する現像バイアス電圧を、後述するプロセス制御条件補正情報に基づいて補正できるようになっている。具体的には、制御部5に備えられる現像電圧制御部64が、プロセス制御条件設定部67によって設定されるプロセス制御条件に基づいて電源供給手段(図示せず)を制御することにより、電源供給手段から現像ローラ105a〜105dへの供給電圧を制御して現像ローラ105a〜105dに印加される現像バイアス電圧を制御する。これにより、感光体ドラム101a〜101dにおける露光ユニットEによって露光された部分と現像ローラ105a〜105dとの間の電位差を補正して、感光体ドラム101a〜101dに対するトナー付着量を調整できるようになっている。
クリーニングユニット104a〜104dは、トナー像を中間転写ベルト11に転写した後に感光体ドラム101a〜101dの表面に残留したトナーを除去・回収するためのものである。
露光ユニット(露光手段)Eは、帯電ユニット103a〜103dによって帯電された感光体ドラム101a〜101dの表面を画像データに応じて露光することにより、各感光体ドラム101a〜101dの表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
露光ユニットEには、例えば、レーザ照射部4e、反射ミラー8e、集光レンズ5eなどを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられる。なお、露光ユニットEとして、発光素子をアレイ状に並べた、例えばELやLED書込みヘッドなどを用いてもよい。
本実施形態では、画像データに対応する露光光の強度(露光強度)を、後述するプロセス制御条件補正情報に基づいて補正できるようになっている。露光強度を可変にする方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。例えば、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式によって露光強度を可変としてもよく、その場合には後述するプロセス制御条件設定部67がPWM設定値を設定することによって露光強度を設定すればよい。これにより、感光体ドラム101a〜101dにおける露光ユニットEによって露光した部分と現像ローラ105a〜105dとの間の電位差を補正し、感光体ドラム101a〜101dに対するトナー付着量を調整できるようになっている。なお、画像データに対応する感光体ドラム101a〜101dの露光強度、および現像ローラ105a〜105dに印加する現像バイアス電圧の両方を補正可能な構成としてもよく、いずれか一方のみを補正可能な構成としてもよい。
また、画像形成装置1における可視画像形成ユニットpa〜pdの近傍には、可視画像形成ユニットpa〜pdの雰囲気の温度および湿度を検出する温湿度センサ113が備えられている。温湿度センサ113の検出結果は制御部5に伝達される。
中間転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト(被転写体)11、中間転写ベルト駆動ローラ(テンションローラ)11a、中間転写ベルト従動ローラ(テンションローラ)11b、中間転写ベルトクリーニングユニット12、および中間転写ローラ(転写部材、転写手段)13a〜13dを備えている。
中間転写ベルト11は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムからなる無端状のベルトであり、中間転写ローラ13a〜13d、中間転写ベルト駆動ローラ11a、および中間転写ベルト従動ローラ11bに張架され、図2に示した矢印B方向に回転駆動される。また、感光体ドラム101a〜101d上に形成された各色のトナー像は中間転写ベルト11に順次重ね合うように転写され、この中間転写ベルト11上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成されるようになっている。
中間転写ローラ13a〜13dは、感光体ドラム101a〜101dにおける現像ユニット102a〜102dとの対向部とクリーニングユニット104a〜104dとの対向部との間の位置において中間転写ベルト11を介して感光体ドラム101a〜101dに対向するように配置されている。そして、これら中間転写ローラ13a〜13dにトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧を印加することによって感光体ドラム101a〜101d上のトナー像が中間転写ベルト11上に転写されるようになっている。
なお、本実施形態では、後述するプロセス制御条件補正情報に基づいて転写時に中間転写ローラ13a〜13dと感光体ドラム101a〜101dとの間に流れる転写電流量を補正できるようになっている。具体的には、制御部5に備えられる現像電圧制御部64が、プロセス制御条件設定部67によって設定されるプロセス制御条件に基づいて電源供給手段(図示せず)を制御することにより、電源供給手段から中間転写ローラ13a〜13dへの供給電流を制御して中間転写ローラ13a〜13dに供給される転写電流量を制御する。これにより、感光体ドラム101a〜101d上に形成されたトナー像の中間転写ベルト11に対する転写特性を補正できるようになっている。
また、中間転写ベルト11の回転方向に沿って中間転写ローラ13a〜13dよりも下流側の位置には、中間転写ベルト11上に転写されたパッチ画像(テスト画像)の濃度を検出する濃度センサ112が中間転写ベルト11に対向するように配置されている。濃度センサ112の構成は特に限定されるものではなく、例えば反射光学式センサ、あるいはCIS(Contact Image Sensor)などを用いることができる。また、濃度センサ112は、中間転写ベルト11上に転写されたトナーの付着量を検出するものであってもよい。濃度センサ112の検出結果は制御部5に伝達される。
中間転写ローラ13a〜13dとしては、例えば、直径18〜110mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラを用いることができる。このような導電性の弾性材を備えることにより、中間転写ベルト11に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、本実施形態では転写電極(中間転写ローラ13a〜13d)としてローラ形状のものを使用しているが、これに限るものではなく、例えばブラシ状のものなども用いてもよい。
また、中間転写ベルト11上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト駆動ローラ11aと二次転写ユニット14との対向部に搬送され、この対向部に搬送される記録用紙上に転写されるようになっている。
なお、中間転写ベルトクリーニングユニット12は中間転写ベルト11に当接し、記録材に転写されずに中間転写ベルト11上に残留したトナーを除去・回収する。
定着装置30は定着ローラ31と、定着ローラ31に対して所定の荷重で圧接する加圧ローラ34とを備えている。そして、二次転写ユニット14によってトナー像が転写された記録材を加圧ローラ34と定着ローラ31との圧接部に所定の定着速度および所定の用紙間隔で給紙し、この圧接部を通過させることで熱と圧力とによりトナー像を記録材に定着させる。なお、定着装置30の構成はこれに限らず、従来から公知の種々の構成を用いることができる。
内部給紙ユニット16は、画像形成に使用する記録材を蓄積しておくためのものである。また、手差し給紙ユニット17は、画像形成装置1の側壁に折り畳み自在に設けられ、手差しによる記録材の給紙を行うためのものである。また、排紙トレイ18は、画像形成済みの記録材を載置するためのトレイである。
また、画像形成装置1には、内部給紙ユニット16からピックアップローラ(搬送ローラ)16aによって給紙される記録材、および手差し給紙ユニット17からピックアップローラ(搬送ローラ)17aによって給紙される記録材を二次転写ユニット14や定着装置30を経由させて排紙トレイ18に送るための用紙搬送路が設けられている。用紙搬送路には、記録材を搬送するためのローラ部材(搬送ローラ)rが多数配置されている。
制御部5は、画像形成装置1に備えられる各部材の動作を制御するものであり、図1に示したように、操作パネル制御部50、通信制御部51、記憶制御部52、画像形成制御部53、印刷実行データ生成部54、および出力特性取得部55を備えている。
操作パネル制御部50は、操作パネル2の表示部に対する表示を制御するとともに、操作パネル2を介して入力されるユーザからの指示を受け付ける。
通信制御部51は、通信装置3の動作を制御し、ネットワークを介して接続される外部装置との通信を行う。
記憶制御部52は、記憶装置4に対するデータの書き込み、および記憶装置4からのデータの読み出しを制御する。
画像形成制御部53は、画像形成部6の各部の動作を制御して印刷実行データに応じた画像を記録材上に形成する処理、および後述するパッチ画像を中間転写ベルト11上に形成して当該パッチ画像を濃度センサ112で検出する処理を行わせるものである。なお、画像形成制御部53は、図1に示したように、記録材搬送制御部61、回転制御部62、露光制御部63、現像電圧制御部64、転写電流制御部65、温度制御部66、およびプロセス制御条件設定部67を備えている。
記録材搬送制御部61は、画像形成部6に備えられる記録材搬送用の各搬送ローラ(ピックアップローラ16a,17a,r等)の動作を制御し、可視画像形成ユニットpb〜pdの画像形成動作に応じたタイミングで記録材を搬送させる。
回転制御部62は、感光体ドラム101a〜101b、帯電ユニット103a〜103d、現像ユニット102a〜102d、中間転写ベルトユニット10、二次転写ユニット14、および定着装置30に備えられる各回転部材の回転速度を制御する。
露光制御部63は、露光ユニットEによる感光体ドラム101a〜101dの露光強度を制御する。
現像電圧制御部64は、現像ローラ105a〜105dに印加する現像電圧(現像バイアス電圧)を制御する。
転写電流制御部65は、中間転写ローラ13a〜13dに供給する転写電流量を制御する。
温度制御部66は、定着装置30に備えられる加熱部材(図示せず)に対する供給電力を制御することにより、定着装置30の各部の温度を制御する。
プロセス制御条件設定部67は、温湿度センサ113による現在の温度および湿度の検出結果に基づいてプロセス制御条件(印字設定。帯電ユニット103a〜103dによる感光体ドラム101a〜101dの帯電電位、露光ユニットEによる感光体ドラム101a〜101dの露光強度、現像ユニット102a〜102dに備えられる現像ローラ105a〜105dに印加する現像バイアス電圧、および中間転写ローラ13a〜13dに供給する転写電流など。)を設定する。また、プロセス制御条件設定部67は、必要に応じて、後述する出力特性取得部55の取得した出力特性情報等に基づいてプロセス制御条件を再設定(補正)する。
印刷実行データ生成部54は、初回印刷(新たに生成する印刷実行データに基づいて印刷を行う処理)の場合に、外部装置から受信した画像データ(例えばページ記述言語形式の画像データ)に対して階調補正処理、ハーフトーン処理、およびレンダリング処理(ラスタライズ処理)を行い、CMYK各々のラスタデータからなる印刷実行データを生成する。
出力特性取得部55は、画像形成部6の出力特性情報(画像濃度特性、階調特性、ドット再現特性、および色再現特性を示す情報)を取得し、記憶制御部52に伝達する。出力特性情報の取得方法については後述する。
また、画像形成制御部53は、再印刷(記憶装置4に記憶されている印刷実行データに基づいて印刷を行う処理)の場合、記憶制御部52を介して記憶装置4から印刷対象とする印刷実行データに対応する出力特性情報(前回の印刷時の出力特性情報)を読み出すとともに、出力特性取得部55から現在の画像形成部6の出力特性情報を取得する。そして、プロセス制御条件設定部67が、記憶装置4から読み出した出力特性情報と現在の出力特性情報とを比較し、両者が異なる場合には、前回の印刷時に印刷実行データに基づいて記録材上に形成した画像を忠実に再現できるように、画像形成部6のプロセス制御条件を補正する。そして、画像形成制御部53の各部は、記憶装置4から読み出した印刷実行データと、上記補正後のプロセス制御条件とに基づいて画像形成部6の各部の動作を制御し、上記印刷実行データに応じた画像を記録材上に形成する。
(1−2.画像形成装置1の動作)
次に、画像形成装置1において行われる処理について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制御部5は、操作パネル2または通信装置3を介して外部装置から印刷指示を受け付けると(S1)、その印刷指示が再印刷処理に関する指示であるか否かを判断する(S2)。この判断は、例えば、外部装置からの印刷指示である場合には初回印刷処理であると判断し、操作パネル2からの印刷指示である場合には再印刷処理であると判断してもよい。あるいは、操作パネル2のユーザ、または外部装置のユーザが再印刷処理であるか初回処理であるかを指定するようにしてもよい。
そして、再印刷処理ではないと判断した場合、すなわち初回印刷処理であると判断した場合、印刷実行データ生成部54は、外部装置から受信した画像データに対してレンダリング処理を行ってCMYK各々のラスタデータを生成し、このラスタデータに対して階調補正処理およびハーフトーン処理を行って印刷実行データを生成する(S3)。なお、階調補正処理及びハーフトーン処理は、例えばユーザからの指示に応じた濃度補正情報等に応じて行われる。
また、プロセス制御条件設定部67は、温湿度センサ113の検出結果等に基づいて画像形成部6のプロセス制御条件を設定する(S4)。なお、プロセス制御条件設定部67が、過去のプロセス制御条件の設定履歴を考慮して現在のプロセス制御条件を設定するようにしてもよい。また、後述するパッチ画像を所定のプロセス制御条件で中間転写ベルト11上に形成し、当該パッチ画像の濃度を濃度センサ112で検出した結果に基づいて現在のプロセス制御条件を設定するようにしてもよい。
また、出力特性取得部55は、S4で設定したプロセス制御条件に対応する現在の画像形成部6の出力特性情報(濃度特性、階調特性、およびドット再現特性を示す情報)を取得する(S5)。具体的には、画像形成制御部53が、記憶装置4に格納されているパッチ画像(テスト画像)の画像データと、S4で設定したプロセス制御条件とに基づいて画像形成部6の各部を制御し、中間転写ベルト11上に所定のパッチ画像を形成する。そして、この中間転写ベルト11上に形成されたパッチ画像の濃度を濃度センサ112で検出し、出力特性取得部55がその検出結果を出力特性情報として取得する。なお、上記のパッチ画像として、例えば、(1)CMYK各色のベタ濃度パッチ、(2)ハーフトーン処理未実施の中間濃度パッチ、ドットパターン、およびラインパターン、(3)1次色(C,M,Y,K)、2次色(CM,MY,CY,KC,KM,KY)、および3次色(CMY,KCM,KMY,KCY)のパッチを含むものを用いることができる。露光ユニットEの出力がPWM制御により多段階に制御される場合には、上記(2)のパッチを各段階について形成してもよい。
なお、S3の処理とS4〜S5の処理とを並行して行ってもよい。すなわち、S4〜S5の処理をS3の処理のバックグランドで行ってもよい。S3の処理とS4〜S5の処理とを並行して行う場合には、印刷実行データに応じた画像を記録材上に印刷出力までに要する時間を短縮できる。また、S4〜S5の処理をS3の処理よりも先に行ってもよい。
次に、記憶制御部52が、印刷実行データ生成部54から伝達された印刷実行データと、出力特性取得部55から伝達された出力特性情報とを対応付けて記憶装置4に記憶させる(S6)。図4は、S6において記憶装置4に記憶されるデータのデータ構造の一例を示す説明図である。この図に示す例では、記憶装置4に記憶されるデータは、出力特性情報のデータサイズ301、印刷実行データのデータサイズ302、出力特性情報303、および印刷実行データ304を含んでいる。
また、画像形成制御部53の各部が、印刷実行データ生成部54から伝達された印刷実行データと、現在のプロセス制御条件(ここではS4で設定したプロセス制御条件)とに基づいて画像形成部6の各部の動作を制御し、印刷実行データに応じた画像を記録材上に形成させ(S7)、処理を終了する。なお、S6の処理とS7の処理とを並行して行ってもよく、S7の処理をS6の処理よりも先に行ってもよい。
一方、S2において再印刷処理であると判断した場合、操作パネル制御部50あるいは通信制御部51は、ユーザからの印刷実行データの選択指示(記憶装置4に記憶している印刷実行データの中から再印刷を行う印刷実行データを選択する指示)を受け付ける(S8)。例えば、操作パネル制御部50が、記憶装置4に記憶している印刷実行データのリスト(あるいは印刷実行データを記憶している画像データのリスト)を操作パネル2の表示部に表示させ、操作パネル2の操作部を介して入力されるユーザからの印刷実行データの選択指示を受け付けるようにしてもよい。あるいは、通信制御部51が、記憶装置4に記憶している印刷実行データのリスト(あるいは印刷実行データを記憶している画像データのリスト)を通信装置3から外部装置に送信させ、通信装置3が外部装置から受信する当該外部装置のユーザからの印刷実行データの選択指示を受け付けるようにしてもよい。
次に、記憶制御部52がS7で選択された印刷実行データに対応する出力特性情報を記憶装置4から読み出す(S9)。
また、プロセス制御条件設定部67が、温湿度センサ113の検出結果等に基づいてプロセス制御条件を設定する(S10)。なお、プロセス制御条件設定部67が、過去のプロセス制御条件の設定履歴を考慮して現在のプロセス制御条件を設定するようにしてもよい。また、上記パッチ画像を所定のプロセス制御条件で中間転写ベルト11上に形成し、当該パッチ画像の濃度を濃度センサ112で検出した結果に基づいて現在のプロセス制御条件を設定するようにしてもよい。
また、出力特性取得部55が、S10で設定したプロセス制御条件に対応する現在の画像形成部6の出力特性情報(濃度特性、階調特性、およびドット再現特性を示す情報)を取得する(S11)。出力特性情報の取得方法はS5の処理と同様である。
なお、S8〜S9の処理とS10〜S11の処理とを並行して行ってもよい。すなわち、S10〜S11の処理をS8〜S9の処理のバックグランドで行ってもよい。S10〜S11の処理とS8〜S9の処理とを並行して行う場合には、印刷実行データに応じた画像を記録材上に印刷出力までに要する時間を短縮できる。また、S10〜S11の処理をS8〜S9の処理よりも先に行ってもよい。
次に、プロセス制御条件設定部67は、S9で記憶装置4から読み出した初回印刷時の出力特性情報とS11で取得した現在の出力特性情報とを比較し、これらの両出力特性情報が異なっているか否かを判断する(S12)。
そして、S12において両出力特性情報が異なっていないと判断した場合には、画像形成制御部53の各部が、記憶制御部52が記憶装置4から読み出した初回印刷時の印刷実行データと、現在のプロセス制御条件(ここではS10で設定したプロセス制御条件)とに基づいて画像形成部6の各部の動作を制御し、印刷実行データに応じた画像を記録材上に形成させ(S7)、処理を終了する。
一方、S12において両出力特性情報が異なっていると判断した場合、プロセス制御条件設定部67は、現在の出力特性情報を初回印刷時の出力特性情報に一致させるようにプロセス制御条件を再設定(補正)する(S13)。プロセス制御条件の再設定方法については後述する。
そして、画像形成制御部53の各部が、記憶制御部52が記憶装置4から読み出した初回印刷時の印刷実行データと、現在のプロセス制御条件(ここではS13で再設定したプロセス制御条件)とに基づいて画像形成部6の各部の動作を制御し、印刷実行データに応じた画像を記録材上に形成させ(S7)、処理を終了する。
(1−3.プロセス制御条件の再設定方法)
図5は、S13におけるプロセス制御条件の再設定(補正)方法の一例を示すフローチャートである。
まず、プロセス制御条件設定部67は、図3のS11における濃度センサ112の検出結果に基づいて、現在のベタ濃度(中間転写ベルト11上に形成したベタ濃度パッチの濃度検出結果)と初回印刷時のベタ濃度とが異なるか否かを判断する(S21)。そして、現在のベタ濃度と初回印刷時のベタ濃度とが同じであると判断した場合、後述するS24の処理に移行する。
一方、現在のベタ濃度と初回印刷時のベタ濃度とが異なると判断した場合、画像形成制御部53は画像形成部6の各部を制御して現像バイアス電圧を段階的に異ならせた複数のベタ濃度パッチを中間転写ベルト11上に形成させ、濃度センサ112に各ベタ濃度パッチの濃度を検出させる(S22)。
その後、プロセス制御条件設定部67は、S22における各ベタ濃度パッチの濃度検出結果と各ベタ濃度パッチに対応する現像バイアス電圧と初回印刷時のベタ濃度検出結果とに基づいて、初回印刷時のベタ濃度と同じ濃度を得るための現像バイアス電圧を各色について算出し、算出結果に基づいて現像バイアス電圧を再設定する(S23)。なお、算出方法は特に限定されるものではないが、例えば線形近似によって算出してもよい。また、S21で検出した各ベタ濃度パッチのうち初回印刷時のベタ濃度パッチに最も近い濃度が得られたベタ濃度パッチを検出し、現像バイアス電圧を当該ベタ濃度パッチに対応する現像バイアス電圧に設定してもよい。
これにより、現在のベタ濃度の方が初回印刷時のベタ濃度よりも低い場合には現像バイアス電圧が現在の設定電圧よりも高い電圧に補正され、現在のベタ濃度の方が初回印刷時のベタ濃度よりも高い場合には現像バイアス電圧が現在の設定電圧よりも低い電圧に補正される。
その後、プロセス制御条件設定部67は、図3のS11における濃度センサ112の検出結果に基づいて、中間階調パッチ、ドットパターン、およびラインパターンの検出結果が初回印刷時と異なるか否かを判断する(S24)。そして、初回印刷時と同じであると場合、後述するS27の処理に移行する。
一方、S24において中間階調パッチ、ドットパターン、およびラインパターンの検出結果が初回印刷時と異なると判断した場合、画像形成制御部53は画像形成部6の各部を制御して露光ユニットEの露光強度を段階的に異ならせた複数の中間階調パッチ、ドットパターン、およびラインパターンを中間転写ベルト11上に形成させ、濃度センサ112に各中間階調パッチの濃度、各ドットパターンのドットゲイン、および各ラインパターンのライン幅を検出させる(S25)。
その後、プロセス制御条件設定部67は、S25における各中間階調パッチの中間階調濃度、各ドットパターンのドットゲイン、および各ラインパターンのライン幅の検出結果と、各中間階調パッチ、各ドットパターン、および各ラインパターンに対応する露光強度と、初回印刷時の各中間階調パッチの中間階調濃度、各ドットパターンのドットゲイン、および各ラインパターンのライン幅とに基づいて、初回印刷時の中間階調濃度、ドットゲイン、およびライン幅と同じ中間階調濃度、ドットゲイン、およびライン幅を得るための露光強度を算出し、算出結果に基づいて露光強度を再設定する(S26)。なお、算出方法は特に限定されるものではないが、例えば線形近似によって算出してもよい。また、初回印刷時に最も近い結果が得られた中間階調パッチ、ドットパターン、およびラインパターンのセット(同じ露光強度で形成した中間階調パッチ、ドットパターン、およびラインパターンのセット)を検出し、露光強度をそれに対応する露光強度に設定してもよい。また、中間階調濃度、ドットゲイン、およびライン幅の各項目に優先順位を付け、これら各項目についてのS25における検出結果と初回印刷時との差が所定範囲内となり、かつ最優先する項目についてのS25における検出結果と初回印刷時との差が最小となる条件に基づいて露光強度を再設定してもよい。また、多段階の中間階調が存在する場合には、各段階について露光強度の最適値(初回印刷時と同じ中間濃度が得られる露光強度)を算出し、中間階調毎に露光強度を再設定してもよい。
次に、画像形成制御部53は画像形成部6の各部を制御し、S23で設定した現像バイアス電圧およびS26で設定した露光強度に基づいて1次色、2次色、3次色のパッチを中間転写ベルト11上に形成させ、濃度センサ112に各パッチの濃度を検出させる(S27)。
その後、プロセス制御条件設定部67は、S27で濃度センサ112が検出した1次色、2次色、3次色のパッチの濃度が初回印刷時のそれら各パッチの濃度と異なるか否かを判断する(S28)。そして、現在の1次色、2次色、3次色のパッチの濃度と初回印刷時のそれら各パッチの濃度とが同じであると判断した場合、現在の転写電流値を維持し、プロセス制御条件の再設定処理を終了する。
一方、S28において現在の1次色、2次色、3次色のパッチの濃度と初回印刷時のそれら各パッチの濃度とが異なると判断した場合、画像形成制御部53は画像形成部6の各部を制御して転写電流値を段階的に異ならせた複数の1次色、2次色、3次色のパッチを中間転写ベルト11上に形成させ、濃度センサ112に各パッチの濃度を検出させる(S29)。
その後、プロセス制御条件設定部67は、S29における各パッチの濃度検出結果と、各パッチに対応する転写電流値と、初回印刷時の各パッチの濃度検出結果とに基づいて、初回印刷時の1次色、2次色、3次色のパッチの濃度を得るための転写電流値を算出し、算出結果に基づいて転写電流値を再設定し(S30)、プロセス制御条件の再設定処理を終了する。
なお、再設定する転写電流値の算出方法は特に限定されるものではないが、例えば線形近似によって算出してもよい。また、初回印刷時に最も近い結果が得られた1次色、2次色、3次色のパッチのセット(同じ転写電流値で形成した1次色、2次色、3次色のパッチのセット)を検出し、転写電流値をそれに対応する露光強度に設定してもよい。また、1次色、2次色、3次色の各項目に優先順位を付け、これら各項目についてのS29における検出結果と初回印刷時との差が所定範囲内となり、かつ最優先する項目についてのS29における検出結果と初回印刷時との差が最小となる条件に基づいて露光強度を再設定してもよい。例えば、1次色についてのS29における検出結果と初回印刷時との差が第1所定範囲内になり、かつ2次色についてのS29における検出結果と初回印刷時との差が第2所定範囲内になり、かつ3次色についてのS29における検出結果と初回印刷時との差が最小になる転写電流値に基づいて転写電流値を再設定してもよい。これにより、1次色の濃度が極端に変化することを防止しつつ、2次色および3次色を重視した補正を行うことができる。
また、中間転写ローラ13a〜13dに供給する転写電流値を共通の値に設定してもよく、各中間転写ローラ13a〜13dについて転写電流値を個別に設定してもよい。各中間転写ローラ13a〜13dについて転写電流値を個別に設定する場合、S29において各中間転写ローラ13a〜13dに対する転写電流値の組み合わせを異ならせた1次色、2次色、3次色のパッチを形成しておき、それら各パッチの濃度検出結果に基づいて最適な転写電流値の組み合わせに再設定すればよい。
以上のように、本実施形態にかかる画像形成装置1は、画像形成部6の画像出力特性を検出する出力特性取得部55と、画像形成部6における印刷処理時の動作条件であるプロセス制御条件を設定するプロセス制御条件設定部67と、印刷実行データを記憶する記憶装置4とを備え、初回印刷時に印刷実行データと画像出力特性とを対応付けて記憶装置4に記憶させる。そして、再印刷処理を行う際、出力特性取得部55がその時点における画像出力特性を検出し、プロセス制御条件設定部67が、初回印刷処理時の画像出力特性とその時点における画像出力特性とを比較し、再印刷処理時の画像出力特性が初回印刷処理時の画像出力特性に近づくように再印刷処理に適用するプロセス制御条件を再設定する。
これにより、例えば環境条件の変化や部品の消耗等により初回印刷時と再印刷時とで画像形成手段の画像出力特性が変化した場合であっても、記憶装置4から読み出した印刷実行データに基づいて初回印刷時の画像を再現性よく再印刷することができる。また、再印刷処理時に画像データに対するラスタライズ処理を再度行う必要がないので、再印刷処理に要する時間を短縮できる。すなわち、初回印刷時に形成した画像を、印刷速度を低下させることなく再現性よく再印刷することができる。
なお、本実施形態では、現像ローラ105a〜105dに印加する現像バイアス電圧(プロセス制御条件)、露光ユニットEによる感光体ドラム101a〜101dの露光強度(プロセス制御条件)、および中間転写ローラ13a〜13dに供給する転写電流量(プロセス制御条件)を補正する構成について説明したが、プロセス制御条件の補正方法はこれに限るものではない。例えば、上記現像バイアス電圧、上記露光強度、および上記転写電流量に加えて、帯電ユニット103a〜103dによる感光体ドラム101a〜101dの帯電電位(プロセス制御条件)を補正するようにしてもよい。帯電電位の再設定方法としては、例えば、上述した現像バイアス電圧の再設定方法と同様の方法を用いることができる。この場合、帯電電位を段階的に異ならせた複数のベタ濃度パッチを各色について中間転写ベルト11上に形成し、濃度センサ112で各ベタ濃度パッチの濃度を検出し、初回印刷時のベタ濃度と同じ濃度を得るための帯電電位を各色について算出して再設定すればよい。また、画像形成制御部53は、例えば、電源供給手段(図示せず)から帯電ユニット103a〜103dに供給する電圧を制御することにより、帯電ユニット103a〜103dによる感光体ドラム101a〜101dの帯電電位を制御する。
また、必ずしも上記現像バイアス電圧、上記露光強度、上記転写電流量、および上記帯電電位の全てを補正する必要はなく、これら各プロセス制御条件のうちの少なくとも1つを補正するようにしてもよい。
また、本実施形態において、画像形成装置1に備えられる各部(各ブロック)、特に制御部5を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、画像形成装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像形成装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、画像形成装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
また、画像形成装置1の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよい。また、画像形成装置1の各ブロックは、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。