JP5626176B2 - テレスコピックステアリング装置 - Google Patents
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Description
このうちのステアリングコラムは、筒状で、少なくとも軸方向一端部の内径を拡縮可能としたアウタコラムと、このアウタコラムの内径側に軸方向の変位を可能に嵌合支持されたインナコラムとを組み合わせて、伸縮可能としている。
又、前記変位ブラケットは、前記ステアリングコラムの一部に設けられてこの一部と共に変位するもので、前記アウタコラムと前記インナコラムとのうちの一方(後側)のコラムで、ステアリングホイールの前後移動に伴って軸方向に変位するコラムに固設されている。又、このコラムの軸方向に長い、前後方向長孔を備えている。
又、前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングコラムの内径側に回転自在に支持されている。そして、このステアリングコラムの後端開口よりも後方に突出した部分に、ステアリングホイールを固定する。
又、前記支持ブラケットは、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能として前記ステアリングコラムを車体に対し支持するもので、前記変位ブラケットを幅方向両側から挟む1対の支持板部と、これら両支持板部の互いに整合する部分に形成された通孔とを備えている。
又、前記調節ロッドは、これら両通孔及び前記前後方向長孔の内側を前記変位ブラケットの幅方向に挿通している。
更に、前記拡縮機構は、前記調節ロッドの両端部で前記両支持板部の外側面に対向する部分に設けた1対の押圧部同士の間隔を拡縮する事により、これら両支持板部の内側面同士の間隔を拡縮する。
又、前記変位ブラケットを、前記スリットを両側から挟む状態でこのアウタコラムの外周面に固設された1対の被挟持板部から成るものとする。そして、前記前後方向長孔をこれら両被挟持板部の互いに整合する部分に形成する。
又、前記前後方向長孔の内側に装着され、前後方向両端部がそれぞれ緩衝部材として機能するものである、弾性材により一体に造られた弾性スリーブを備える。そして、前記調節ロッドがこの前後方向長孔の前後方向端部に移動した状態で、これら調節ロッドと弾性スリーブの前後方向端部とを当接させる事により、これら調節ロッドの外周面と前後方向長孔の端部内周面とが直接衝突する事を阻止すると共に、前記弾性スリーブの前後方向端部を弾性変形させる事により衝突エネルギを吸収する、緩衝機構を設けている。
更に、前記前後方向両端部に設けた緩衝機構のうち、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能な最前位置にすべく、前記ステアリングコラムの全長を最も縮めた状態で前記調節ロッドが位置する側の端部に設けた、一方の緩衝機構の緩衝性能を、前記ステアリングコラムの全長を最も伸ばした状態で前記調節ロッドが位置する側の端部に設けた、他方の緩衝機構の緩衝性能よりも高くしている。
この為に、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記前後方向両端部に設けた緩衝機構を構成する前記弾性材のうち、前記一方の緩衝機構を構成する弾性材の前後方向に関する厚さ寸法を、前記他方の緩衝機構を構成する弾性材の同方向の厚さ寸法よりも大きくする。
又、前記弾性スリーブは、請求項4に記載した発明の様に、互いに別体とし、前記両被挟持板部にそれぞれ形成された1対の前後方向長孔にそれぞれ装着する事ができる。
或いは、請求項5に記載した発明の様に、前記両被挟持板部にそれぞれ形成された1対の前後方向長孔に、単一の弾性スリーブの幅方向両端部をそれぞれ内嵌して、この弾性スリーブを、前記両被挟持板部同士の間に掛け渡す事もできる。
この様な請求項6に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した発明の様に、前記弾性スリーブの端部内周面の中央部に凹部を形成して、この中央部で、この弾性スリーブの厚さを、両側部分よりも小さくする。
即ち、本発明によれば、ステアリングホイールの前後位置を調節可能な前後両端位置にまで勢い良く変位させると、調節ロッドの外周面が、前後方向長孔の内周面の前後両端部に設置した緩衝機構に衝突する。そして、これら前後両端部の緩衝機構により、前記調節ロッドと変位ブラケットとの間で伝達される衝撃エネルギが緩和されて、前記ステアリングホイールの前後位置を調節している運転者の手に与える違和感や不快感を低減できる。更に、このステアリングホイールを最前位置に移動させた場合には、大きな緩衝作用を受けられるので、前記調節ロッドを介して前記変位ブラケットを支持した支持ブラケットが前方に離脱する事を防止できる。前記ステアリングホイールを最後位置に移動させた状態で前記調節ロッドが衝突する緩衝機構に就いては、前記違和感等を抑えられるものであれば足りるので、小型に構成できる。従って、前後方向長孔の前後両端部に緩衝機構を設けた場合でも、前記変位ブラケットの前後方向寸法が徒に嵩む事を防止できる。
図1〜7は、請求項1〜4、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の構造では、車体に対し支持固定される車体側固定ブラケット27に対して支持ブラケット12bを、二次衝突時に加わる衝撃荷重により、前方への離脱を可能に支持している。この為に本例の場合には、前記固定ブラケット27の幅方向中央部に形成した、前方が開口した係止切り欠き28の周縁部を、前記支持ブラケット12bの上板部29の上面の幅方向両端寄り部分と、この上板部29の上面に溶接固定した抑えブラケット30の抑え板部31の下面との間で挟持している。更に、前記固定ブラケット27のうちで前記係止切り欠き28の周縁部と、前記支持ブラケット12bの上板部29と、前記抑えブラケット30の抑え板部31との互いに整合する部分に形成した、小通孔乃至は切り欠きに、合成樹脂等の裂断し易い材料製の結合部材を掛け渡している。この構成により前記車体側固定ブラケット27と支持ブラケット12bとを、通常時にがたつく事がなく、且つ、二次衝突時にこの支持ブラケット12bの前方への離脱を可能に結合している。尚、この部分に関しては、本発明の要旨とは関係せず、従来から知られている各種構造を含めて、図示以外の構成も採用できるので、詳しい説明は省略する。
又、本例の構造の変形例として、前記前側緩衝部37に関しては、凹部39aや隙間36、36を省略する事もできる。省略した場合には、前記鎖線βの右半部の、傾斜が比較的急な部分が、そのまま原点から始まる様な特性になる。
図9〜10は、請求項1〜4、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、衝撃吸収の為の隙間36a、36aを介在させる為、弾性スリーブ35aの前後両端部に設けた、前側、後側両緩衝部37a、38aの形状を、上述した実施の形態の第1例と異ならせている。具体的には、前後方向長孔25aの端部内周面の形状を、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、曲率半径が一定の半円形とし、前記弾性スリーブ35aの前後両端部の形状を、中央部の平板部45a、45bと、この平板部45a、45bを挟む両側部分の曲板部とから成るものとしている。そして、これら両平板部45a、45bに対応する部分で、前記前後方向長孔25aの両端部内周面と前記弾性スリーブ35aの両端部外周面との間に、前記両隙間36a、36aを存在させている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図11は、請求項1〜4、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の構造では、弾性スリーブ35bの前後方向両端部の外周面の形状を、幅方向両端部に関して、前後方向長孔25a(図9〜10参照)の端部内周面の形状に見合う半円形とし、同じく幅方向中央部に関して、前記幅方向両端部よりも前方に凹んだ形状としている。そして、この幅方向中央部で、前記弾性スリーブ35bの端部外周面と前記前後方向長孔25aの端部内周面との間に隙間を介在させる。この様な本例の構造の場合、上述した実施の形態の第2例の場合よりも、前側、後側両緩衝部37a、38a(図9参照)の剛性を少し高くして、調節ロッド19aを前記前後方向長孔25a(図9〜10参照)の前後両端部に勢い良く変位させた状態での衝撃吸収性能を変える事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第2例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図12は、請求項1、5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、アウタコラム13cと一体に設けた、変位ブラケット22bを構成する左右1対の被挟持板部34a、34aにそれぞれ形成された1対の前後方向長孔25b、25bに、単一の弾性スリーブ35cの幅方向両端部をそれぞれ内嵌している。要するに、この弾性スリーブ35cを、前記両被挟持板部34a、34a同士の間に掛け渡される状態で装着している。又、本例の場合には、支持ブラケット12cを車体に固定の部分に対し、左右1対の係止カプセル46、46を介して、二次衝突時に加わる衝撃エネルギにより、前方への離脱を可能に支持している。この様な、係止カプセル46、46を利用した離脱機構に就いては、従来から周知であるから、詳しい図示並びに説明は省略する。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図13も、請求項1、5に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、鋼板製の(電縫管又は引き抜き管である)アウタコラム13dの下面に、変位ブラケット22cを構成する1対の被挟持板部34b、34bを、このアウタコラム13dに形成した軸方向スリット32aを左右両側から挟む状態で、溶接固定している。そして、前記両被挟持板部34b、34bの互いに整合する部分に形成した前後方向長孔25b、25bに、単一の弾性スリーブ35dの幅方向両端部をそれぞれ内嵌して、この弾性スリーブ35dを、前記両被挟持板部34b、34b同士の間に掛け渡している。本例の構造の場合には、これら両被挟持板部34b、34bの板厚による制約がある為、前記両前後方向長孔25b、25bの内周面と、前記弾性スリーブ35dの外周面との接触面積を任意には調節しにくい。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第4例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
更に、図示の例では、何れも変位ブラケットをステアリングコラムの下側に配置した構造に就いて示したが、上側に設ける事もできる。
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a、5b ステアリングシャフト
6、6a、6b ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 車体
11 枢軸
12、12a、12b、12c 支持ブラケット
13、13a、13b、13c、13d アウタコラム
14、14a、14b インナコラム
15、15a、15b アウタシャフト
16、16a、16b インナシャフト
17 電動モータ
18、18a 調節レバー
19、19a 調節ロッド
20、20a カム装置
21 カム部材
22、22a、22b、22c 変位ブラケット
23、23a 支持板部
24、24a 上下方向長孔
25、25a、25b、25c 前後方向長孔
26a、26b スリーブ
27 車体側固定ブラケット
28 係止切り欠き
29 上板部
30 抑えブラケット
31 抑え板部
32、32a 軸方向スリット
33 周方向スリット
34、34a、34b 被挟持板部
35、35a、35b、35c、35d 弾性スリーブ
36、36a 隙間
37、37a 前側緩衝部
38、38a 後側緩衝部
39a、39b 凹部
40 頭部
41 ナット
42 スラスト軸受
43 駆動側カム
44 被駆動側カム
45a、45b 平板部
46 係止カプセル
Claims (9)
- ステアリングコラムと、変位ブラケットと、ステアリングシャフトと、支持ブラケットと、調節ロッドと、拡縮機構とを備え、
前記ステアリングコラムは、筒状で、少なくとも軸方向一端部の内径を拡縮可能としたアウタコラムと、このアウタコラムの内径側に軸方向の変位を可能に嵌合支持されたインナコラムとを組み合わせて伸縮可能としたものであり、
前記変位ブラケットは、前記ステアリングコラムの一部に設けられてこの一部と共に変位するもので、前記アウタコラムと前記インナコラムとのうちの一方のコラムで、ステアリングホイールの前後移動に伴って軸方向に変位するコラムに固設されていて、このコラムの軸方向に長い、前後方向長孔を備えており、
前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングコラムの内径側に回転自在に支持されて、このステアリングコラムの後端開口よりも後方に突出した部分に前記ステアリングホイールを固定するものであり、
前記支持ブラケットは、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能として前記ステアリングコラムを車体に対し支持するもので、前記変位ブラケットを幅方向両側から挟む1対の支持板部と、これら両支持板部の互いに整合する部分に形成された通孔とを備えており、
前記調節ロッドは、これら両通孔及び前記前後方向長孔の内側を前記変位ブラケットの幅方向に挿通しており、
前記拡縮機構は、前記調節ロッドの両端部で前記両支持板部の外側面に対向する部分に設けた1対の押圧部同士の間隔を拡縮する事により、これら両支持板部の内側面同士の間隔を拡縮するものである
テレスコピックステアリング装置に於いて、
前記アウタコラムが後側に、前記インナコラムが前側に、それぞれ配置されており、前記一方のコラムがこのうちのアウタコラムであって、このアウタコラムの前端部に軸方向に長いスリットが形成されていて、このアウタコラムの前端部の内径が弾性的に拡縮可能であり、
前記変位ブラケットが、前記スリットを両側から挟む状態でこのアウタコラムの外周面に固設された1対の被挟持板部から成るものであり、前記前後方向長孔がこれら両被挟持板部の互いに整合する部分に形成されており、
前記前後方向長孔の内側に装着され、前後方向両端部がそれぞれ緩衝部材として機能するものである、弾性材により一体に造られた弾性スリーブを備え、前記調節ロッドがこの前後方向長孔の前後方向端部に移動した状態でこれら調節ロッドと弾性スリーブの前後方向端部とを当接させる事により、これら調節ロッドの外周面と前後方向長孔の端部内周面とが直接衝突する事を阻止すると共に、前記弾性スリーブの前後方向端部を弾性変形させる事により衝突エネルギを吸収する緩衝機構を設けており、
前記前後方向両端部に設けた緩衝機構のうち、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能な最前位置にすべく、前記ステアリングコラムの全長を最も縮めた状態で前記調節ロッドが位置する側の端部に設けた一方の緩衝機構の緩衝性能を、前記ステアリングコラムの全長を最も伸ばした状態で前記調節ロッドが位置する側の端部に設けた他方の緩衝機構の緩衝性能よりも高くした事を特徴とする
テレスコピックステアリング装置。 - 前記前後方向両端部に設けた緩衝機構を構成する前記弾性スリーブのうち、前記一方の緩衝機構を構成するこの弾性スリーブの後端部の前後方向に関する厚さ寸法が、前記他方の緩衝機構を構成するこの弾性スリーブの前端部の同方向の厚さ寸法よりも大きい、請求項1に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 少なくとも前記前後方向長孔の後端部内周面と前記弾性スリーブの後端部外周面との間に隙間を介在させている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記両被挟持板部にそれぞれ形成された1対の前後方向長孔に、互いに別体とされた弾性スリーブがそれぞれ装着されている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記両被挟持板部にそれぞれ形成された1対の前後方向長孔に、単一の弾性スリーブの幅方向両端部がそれぞれ内嵌されて、この弾性スリーブが、前記両被挟持板部同士の間に掛け渡される状態で装着されている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記前後方向長孔の端部内周面の形状が、曲率半径が一定の半円形であり、前記弾性スリーブの端部外周面の形状が、中央部の曲率半径がこの半円形の曲率半径よりも小さく、この中央部を挟む両側部分の曲率半径がこの半円形の曲率半径よりも大きな山形であり、この両側部分で、前記前後方向長孔の端部内周面と前記弾性スリーブの端部外周面との間に前記隙間が存在する、請求項3又は請求項3を引用した請求項4〜5のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記弾性スリーブの端部内周面の中央部に凹部が形成されていて、この中央部で、この弾性スリーブの厚さが、両側部分よりも小さくなっている、請求項6に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記前後方向長孔の端部内周面の形状が、曲率半径が一定の半円形であり、前記弾性スリーブの端部の形状が、中央部の平板部とこの平板部を挟む両側部分の曲板部とから成るものであり、この平板部に対応する部分で、前記前後方向長孔の端部内周面と前記弾性スリーブの端部外周面との間に前記隙間が存在する、請求項3又は請求項3を引用した請求項4〜5のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
- 前記弾性スリーブの前後方向両端部のうちの少なくとも後端部の外周面の形状を、幅方向両端部に関して、前記前後方向長孔の後端部内周面の形状に見合う半円形とし、同じく幅方向中央部に関して、前記幅方向両端部よりも前方に凹んだ形状とし、この幅方向中央部で、前記弾性スリーブの後端部外周面と前記前後方向長孔の後端部内周面との間に前記隙間を介在させた、請求項4又は請求項4を引用した請求項6〜8のうちの何れか1項に記載したテレスコピックステアリング装置。
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