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JP5619551B2 - ガスケット用材料、ガスケット及びハードディスク装置 - Google Patents

ガスケット用材料、ガスケット及びハードディスク装置 Download PDF

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Description

本発明は、室温(約15〜30℃)では適度な表面粘着性を有していて耐リーク性能に優れ、高温(例えば80〜90℃)環境下においたのちのガスケットの表面粘着性の増大が抑制されるガスケット用材料、ガスケット及び該ガスケットを用いたハードディスク装置に関する。
近年、コンピュータのHDD(ハードディスク装置)においては、高性能化、小型化が進み、複雑な回路構成を有するようになっており、わずかな塵や水分によっても障害が起こるため、実用上、防塵や水分侵入の防止の必要性が高まっており、ガスケットを使って塵や水分の侵入を防ぐことが一般に行われている。
近年、かかるHDDの小型化に伴い、又は設備投資や加工費削減などを図るために、従来のインジェクションによる成形から、光硬化性組成物をディスペンサーによって被着体に塗布し、成形した後、活性エネルギー線により硬化させることにより、ガスケットを製造する方法が採られるようになってきた(例えば、特許文献1〜3参照)。なお、ガスケットとしての十分なシール性を得るため、前記光硬化性組成物には、硬化物が低硬度のものとなるように、主成分としてウレタンアクリレートオリゴマーが用いられている。
国際公開第96/10594号パンフレット 特開2003−7047号公報 特開2004−26919号公報
HDD用ガスケットは、一般的に、その使用環境において、温度変化、圧縮や伸長などによって破壊してしまうことがある。そのため、HDD用のガスケットとしての使用に耐え得るか否かを検査するため、通常は、ガスケット用材料を圧縮しながらの熱衝撃試験(ヒートショック試験)が行われる。該試験は、低温と高温との間の環境変化を短期間に繰り返し行なうことにより、材料に負荷をかける試験である。従来公知のガスケットでは、該ヒートショック試験において破壊してしまう材料が多いため、従来の材料よりも耐久性に一層優れるガスケット材料の開発が切望されている。
よって、本発明の課題は、室温(約15〜30℃)では適度な表面粘着性を有していて耐リーク性能に優れ、高温(例えば80〜90℃)環境下においたのちのガスケットの表面粘着性の増大が抑制されるガスケット用材料、該材料に活性エネルギー線を照射して得られるガスケット、及び該ガスケットを用いたハードディスク装置を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、ヒートショック試験における材料破壊のメカニズムを解明することによって、ヒートショック試験に充分に耐え得る材料の開発に成功した。本発明者は、ヒートショック試験における材料破壊は、ガスケットの圧縮方向に負荷がかかるだけでなく、急激な温度変化によって、ガスケットを挟む2枚の金属基板が異なる比率で熱膨張・収縮し、そのために、2枚の金属基板に粘着しているガスケットに剪断応力がかかり、さらに、高温環境下におかれることによってガスケットの表面粘着性が増大して金属基板とガスケットがより強固に密着することで、ガスケットが前記剪断応力を受け易くなるために材料破壊が生じるものと推測した。この推測の基、室温(約15〜30℃)では適度な表面粘着性を有していて耐リーク性能に優れ、高温(例えば80〜90℃)環境下においたのちのガスケットの表面粘着性の増大が抑制される材料であれば、高温環境下での剪断応力を低減することができ、材料破壊が回避できるであろうという結論に至った。
具体的には、(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーを主成分とする材料であって、ある特定構造の(メタ)アクリルモノマーを含有する材料であれば、室温(約15〜30℃)では適度な表面粘着性を有していて耐リーク性能に優れ、高温(例えば80〜90℃)環境下においたのちのガスケットの表面粘着性の増大が抑制され、ヒートショック試験に充分に耐え得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]に関する。
[1](A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(B)下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレートモノマーを含有するガスケット用材料であって、前記(A)成分と(B)成分との配合比[(A):(B)]が、質量比で、80:20〜20:80であるガスケット用材料。
Figure 0005619551
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、炭素数4〜18の鎖式飽和脂肪族炭化水素基を表す。Wは、エチレン基又はプロピレン基を表す。また、nは、0〜2の整数を表す。)
[2]さらに、前記(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、光重合開始剤0.1〜10質量部、並びに無機充填材及び/又は有機系チクソ性付与剤を0.1〜30質量部含有し、かつ前記(A)成分と(B)成分との配合比[(A):(B)]が、質量比で75:25〜20:80である、上記[1]に記載のガスケット用材料。
[3]前記無機充填材がシリカである、上記[2]に記載のガスケット用材料。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の材料に活性エネルギー線を照射して得られるガスケット。
[5]ハードディスクドライブ(HDD)用である、上記[4]に記載のガスケット。
[6]上記[4]又は[5]に記載のガスケットを用いたハードディスク装置。
本発明のガスケット用材料は、室温(約15〜30℃)では適度な表面粘着性を有していて耐リーク性能に優れ、高温(例えば80〜90℃)環境下においたのちのガスケットの表面粘着性の増大が抑制される。そのため、該材料に活性エネルギー線を照射して得られるガスケットは耐久性に優れ、HDD用のガスケットを対象としたヒートショック試験に充分に耐えることができる。
[ガスケット用材料]
本発明のガスケット用材料は、(A)成分として、(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマー、及び(B)成分として、後述する一般式(1)で示される(メタ)アクリレートモノマーを含有するガスケット用材料である。
以下、各成分について詳細に説明する。
((A)エネルギー線硬化型液状オリゴマー)
本発明のガスケット用材料においては、(A)成分として、(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーが用いられる。このエネルギー線硬化型液状オリゴマーとしては、得られるガスケットの性能及び加工性などの観点から、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを、好適に用いることができる。1分子中の(メタ)アクリロイル基の個数は、通常2〜6個程度、好ましくは2〜4個、特に好ましくは2個である。
なお、上記(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を指す。
(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型オリゴマーとしては、特に制限はなく、例えばウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー及びその水素添加物などを挙げることができる。
ここで、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートジオールなどとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールオリゴマーの両末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールオリゴマーの両末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
また、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、液状スチレン−ブタジエン共重合体をアクリル変性して得られるSBRジアクリレート、ポリイソプレンをアクリル変性して得られるポリイソプレンジアクリレートなどが挙げられる。水素添加共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば両末端に水酸基を有する、水素添加ポリブタジエン又は水素添加ポリイソプレンの前記水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを指し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
本発明においては、前記(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ガスケット用途に用いる場合には、前記オリゴマーの中で、得られるガスケットの性能及び加工性などの観点から、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好適である。なお、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとは、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子中に、(メタ)アクリロイル基が2個含まれていることを意味する。
前記2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内にヒドロキシ基2個を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートジオールなどと、ポリイソシアナートとの反応により、得ることができる。
前記のヒドロキシ基2個を有するポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール及び1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスフェノールA等に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド等が付加した化合物などを用いることができる。
前記のヒドロキシ基2個を有するポリエステルポリオールは、アルコール成分と酸成分とを反応させて得ることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスフェノールA等にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド等が付加した化合物、あるいは、ε−カプロラクトンが付加した化合物等をアルコール成分とし、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の二塩基酸及びその無水物を酸成分として使用することができる。上記のアルコール成分、酸成分及びε−カプロラクトンの三者を同時に反応させることによって得られる化合物も、ポリエステルポリオールとして使用することができる。
前記のカーボネートジオールは、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トルイル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネート、2−トリル−4−トリル−カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアリールカーボネート類又はジアルキルカーボネート類とジオール類、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール又は上記のジオール化合物とシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸の反応生成物、又はε−カプロラクトンの反応生成物であるポリエステルジオール等とのエステル交換反応によって得ることができる。
このようにして得られるカーボネートジオールは、分子中にカーボネート構造を二つ以上有するポリカーボネートジオールである。
本発明のガスケット用材料においては、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとして、前記のポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールに、有機ジイソシアナートを反応させて得られる化合物が好ましい。上記有機ジイソシアナートとしては、例えばイソホロンジイソシアナート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート及びヘキサメチレンジイソシアナートなどの脂環式や脂肪族ジイソシアナートが好ましく用いられる。
本発明においては、当該2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとして、ハンドリング性などの観点から、数平均分子量4,000〜8,000程度のオリゴマーが好適である。なお、この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値である。
((B)(メタ)アクリレートモノマー)
本発明のガスケット用材料においては、(B)成分として、下記一般式(1)で表される特定の(メタ)アクリレートモノマーが用いられる。ガスケット用材料に該(B)成分を配合することにより、室温(約15〜30℃)での表面粘着性が適度であり耐リーク性能に優れていながら、ガスケットを高温環境下においたのちの表面粘着性の増大を抑制することができ、HDD用のガスケットを対象としたヒートショック試験に充分に耐えられるガスケットを製造することができる。
Figure 0005619551
前記一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、炭素数4〜18の鎖式飽和脂肪族炭化水素基を表す。Wは、エチレン基又はプロピレン基を表す。また、nは、0〜2の整数を表す。
1としては、入手容易性の観点から、水素原子が好ましい。
2が表す炭素数4〜18の鎖式飽和脂肪族炭化水素基としては、合計の炭素数が4〜18の範囲の鎖式飽和脂肪族炭化水素基であれば特に制限はないが、例えばn−ブチル基(C4)、イソブチル基(C4)、s−ブチル基(C4)、n−ヘキシル基(C6)、エチルヘキシル基(C8)、n−オクチル基(C8)、イソオクチル基(C8)、各種デシル基(C10)(「各種」とは、直鎖及びあらゆる分岐鎖を含むことを示す。以下、同様である。)、各種ドデシル基(C12)、各種トリデシル基(C13)、各種ヘキサデシル基(C16)、各種オクタデシル基(C18)等が挙げられる。これらの中でも、ガスケットを高温環境下においたのちの表面粘着性増大の抑制の観点から、炭素数7〜18の分岐状の鎖式飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、エチルヘキシル基、イソオクチル基(6−メチルヘプチル基)、n−ドデシル基(ラウリル基)、イソミリスチル基、イソステアリル基がより好ましい。
該R2の炭素数が3以下若しくは19以上であるか、又はR2が脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基であると、HDD用のガスケットを対象としたヒートショック試験に充分に耐えられるガスケットは得られない。
また、Wとしては、入手容易性の観点から、エチレン基が好ましい。
nは、0〜2の整数であれば、特に本発明のガスケットの高温環境下における粘着性増大の抑制効果には影響を及ぼさない。
(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(A)成分と前記(B)成分との配合比は、質量比で、(A):(B)=97:3〜20:80であるが、ガスケットを高温環境下においたのちの粘着性増大の抑制の観点から、好ましくは、95:5〜20:80、より好ましくは、90:10〜40:60、さらに好ましくは、80:20〜70:30である。
本発明のガスケット用材料は、活性エネルギー線硬化型であり、活性エネルギー線としては、紫外線;電子線;α線、β線、γ線などの電離性放射線を用いることができるが、操作性、生産性及び経済性などの観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線を用いる場合には、当該ガスケット用材料は、後述する光重合開始剤を含むことが好ましい。なお、電子線やγ線のような電離性放射線を用いる場合には、光重合開始剤を含有させなくても、速やかに硬化を進めることができる。
(光重合開始剤)
成分である光重合開始剤としては、公知のものを広く用いることができ、特に制限されるものではない。
例えば分子内開裂型の光重合開始剤が挙げられ、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4’−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。これらの中でも、プロピオフェノン系光重合開始剤が好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンがより好ましい。
また、その他水素引き抜き型の光重合開始剤としてベンゾフェノン/アミン系光重合開始剤、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン/アミン系光重合開始剤等を挙げることができる。
また、未反応光重合開始剤のマイグレーションを避けるために、非抽出型光重合開始剤を用いることができる。例えばアセトフェノン系開始剤を高分子化したもの、ベンゾフェノンにアクリル基の二重結合を付加したものがある。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のガスケット用材料に光重合開始剤を配合する場合、その配合量は、該ガスケット用材料に含まれる(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜10質量部程度、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。また、上記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用することもできる。
(任意成分)
本発明のガスケット用材料においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、任意成分として、例えば、前記(B)成分以外の(メタ)アクリルモノマーや、無機充填材、有機系チクソ性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)、光安定剤、カルボジイミド類などや、その他にも、ステアリン酸などの脂肪酸;ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アミド;脂肪酸エステル;ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどの内部離型剤;プロセスオイルなどの軟化剤;着色剤;レベリング剤などを含有させることができる。本発明のガスケット用材料は、基本的には無溶媒であるが、必要に応じて各種溶媒を配合してもよい。
特に、無機充填剤や有機系チクソ性付与剤を、本発明のガスケット用材料に配合することにより、該材料に増粘性及び揺変性(チクソトロピー)が付与され、ガスケット用材料の成形性を向上させることができる。
以下、これらの任意成分について説明する。
((B)成分以外の(メタ)アクリルモノマー)
本発明は、(B)成分以外の(メタ)アクリルモノマーの配合を否定するものではない。(B)成分以外の(メタ)アクリルモノマーとしては、分子量1,000未満の(メタ)アクリルモノマーが好ましく、例えばシクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
本発明のガスケット用材料に(B)成分以外の(メタ)アクリルモノマーを配合する場合、その配合量は、本発明の効果を著しく損なわない程度であればよく、例えば、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
(無機充填材)
無機充填剤としては、シリカ(SiO2)、アルミナ、チタニア及び粘度鉱物などが挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300など]などが挙げられる。
無機充填剤の平均粒径は、増粘性、チクソトロピーの付与の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
本発明のガスケット用材料に無機充填剤を配合する場合、その配合量は、該ガスケット用材料に含まれる(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜30質量部程度、より好ましくは1〜15質量部、さらに好ましくは5〜15質量部である。
(有機系チクソ性付与剤)
有機系チクソ性付与剤としては、水添ひまし油、アマイドワックス又はこれらの混合物が好ましい。具体的には、ひまし油(主成分がリシノール酸の不乾性油)の水添品である水添ひまし油[例えば、ズードケミー触媒(株)製、商品名:ADVITROL100、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン305など]及びアンモニアの水素をアシル基で置換した化合物である高級アマイドワックス[例えば、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6500など]などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また前記無機充填剤と併用してもよい。
本発明のガスケット用材料に有機系チクソ性付与剤を配合する場合、その配合量は、該ガスケット用材料に含まれる(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜30質量部程度、より好ましくは1〜15質量部、さらに好ましくは5〜15質量部である。なお、有機系チクソ性付与剤と無機充填剤を併用する場合は、その合計量が、前記範囲であることが好ましい。
(カップリング剤)
カップリング剤は、ガスケット付き部材を作製する場合、ガスケットと基材との密着性を向上させるために、本発明のガスケット用材料に、必要に応じて適宜量用いてもよい。このカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などがあるが、中でもシラン系カップリング剤が好適である。
上記シラン系カップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの不飽和基含有シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジル基含有シランカップリング剤;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシラン系カップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガスケット用材料にカップリング剤を配合する場合、その配合量は、該ガスケット用材料に含まれる(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜20質量部程度、より好ましくは1〜15質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール,ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−プチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール),2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、α−トコフェロール等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート等が挙げられる。
またリン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガスケット用材料に酸化防止剤を配合する場合、その配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
(光安定剤)
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系又はトリアジン系の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられるが、これらの中でも、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,N,N',N",N"'−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5.1.11.2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステルプロパンジオイックアシッド、〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等が挙げられる。
光安定剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガスケット用材料に光安定剤を配合する場合、その配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
(カルボジイミド類)
カルボジイミド類としては、例えば「Elastostab H01」(日清紡績株式会社製)などの市販品を使用することができる。
本発明のガスケット用材料にカルボジイミド類を配合する場合、その配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、通常、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
(接着性向上剤)
本発明のガスケット用材料において、所望により用いられる接着性向上剤としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体などが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ガスケット用材料の調製]
本発明のガスケット用材料の調製方法に特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。例えば、前記の(A)成分、(B)成分及び所望により用いられる光重合開始剤や前記任意成分を、温度調節可能な混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、高剪断型ミキサーなどを用いて混練することにより、調製することができる。
このようにして得られた本発明のガスケット用材料は、温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度が1〜10,000Pa・sの範囲にあることが好ましい。粘度が前記範囲にあれば、当該ガスケット用材料は、適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット形状を保持することができる。該粘度は、より好ましくは10〜2,000Pa・s、さらに好ましくは30〜1,000Pa・sである。
なお、上記粘度は、下記の方法で測定された値である。
(ガスケット用材料の温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度)
レオメーター「RS−600」(ハーケ社製)を用いて測定した。ガスケット用材料を50℃に調整し、ギャップ0.2mmで、剪断速度を1〜10s-1の範囲で変えながら、剪断応力を測定し、剪断速度と応力の1/2乗をプロットしたキャソンプロットから最小二乗法による近似線を引き、1s-1における粘度を算出した。
[ガスケット]
本発明のガスケットは、前述した本発明のガスケット用材料に活性エネルギー線を照射して得られるガスケットである。エネルギー線としては、前述したように操作性や生産性及び経済性などの観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線を用いる場合には、上記ガスケット用材料は、光重合開始剤を含むものを用いることが好ましい。紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも十分に硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。また、照射時間は、通常、好ましくは10秒〜60分であり、積算光量は、通常、好ましくは1,000〜20,000mJ/cm2である。
当該ガスケット用材料のエネルギー線、好ましくは紫外線照射による硬化方法としては、得られるガスケットの用途に応じて、適宜選択することができる。
次に、当該ガスケットを、コンピュータのHDD(ハードディスク装置)用ガスケットのようなガスケット付き部材を作製する場合の例を挙げ、その製造方法の好ましい態様について説明する。
(ガスケット付き部材)
本発明のガスケット用材料を被着体に塗布し、エネルギー線、好ましくは紫外線照射により硬化させることにより、ガスケット付き部材を製造することができる。被着体としては、例えば、硬質樹脂からなるものも使用することができるが、加工性等から金属製のものが好ましい。金属としては特に制限はなく、例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板などの中から、適宜選択して用いることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。耐食性の点から、ニッケルめっき処理を施した金属が好適である。
また、ガスケット付き部材としては、HDD用等のガスケット、インクタンク用シール、液晶装置用シールなどが挙げられる。ガスケットの厚さは、用途により適宜選定することができるが、通常、0.1〜2mm程度である。
上記ガスケット用材料の被着体への塗布は、上記材料を必要に応じて温度調節し、一定粘度に調整した塗液を用いて任意の方法で行うことができ、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディッピング、ディスペンシングなどの方法を用いることができる。上記ガスケット用材料を塗布し、成形した後、エネルギー線、好ましくは紫外線を照射することにより塗布層を硬化させて、ガスケット付き部材を得ることができる。
(ガスケットの用途)
本発明のガスケットは、HDD用などのガスケットとして好適に用いられるほか、インクタンク用シール材、各種表示装置のシール材、土木、建築などの構造物用シール材、Oリングなどのパッキン、防振部材などの用途に用いることができる。
本発明はまた、前記本発明のガスケットを用いたハードディスク装置をも提供する。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で得られたガスケット用材料について、以下の方法に従って、高温処理後の室温(ここでは25℃)における表面粘着性を評価し、また、ヒートショック試験を行なった。
(1.表面粘着性)
各例で調製したガスケット用材料を用い、ニッケルめっきしたアルミプレート上に一段目の塗膜を形成し、次いでその上に同じガスケット用材料を用いて二段目の塗膜を、全体の厚みが1.1mmになるように形成した後、紫外線(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)「ライトハンマー6」使用)を、照度700mW/cm2、積算光量10,000mJ/cm2の条件で照射し、該塗膜を硬化させてガスケット付き部材を作製した。
次に、このガスケット付き部材のガスケットに、ニッケルめっきしたアルミプレートで40%圧縮し、85℃にて24時間放置した。その後、室温(25℃)に戻して30分後に圧縮を開放し、このときのアルミプレートを引き剥がす力を測定した。
−引き剥がす力を測定する際の条件−
測定温度:室温(25℃)
引き上げスピード:50mm/分
(2.ガスケットのヒートショック試験)
各例で調製したガスケット用材料を用い、ニッケルメッキしたアルミプレート上に一段目の塗膜を形成し、次いでその上に同じガスケット用材料を用いて二段目の塗膜を、全体の厚みが1.1mmになるように形成した後、紫外線(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)「ライトハンマー6」使用)を、照度700mW/cm2、積算光量10,000mJ/cm2の条件で照射し、該塗膜を硬化させてガスケット付き部材を作製した。
次に、このガスケット付き部材のガスケットに、圧縮率40%の圧力をかけ、−40℃にて30分⇔85℃にて30分の1サイクルを、100サイクル(比較例)又は1000サイクル(実施例)行ない、下記評価基準に従って評価した。
◎:1000サイクル後にも破壊が確認されなかった。
○:100サイクルでは破壊が確認されなかったが、
1000サイクル後には破壊が確認された。
×:100サイクル後に破壊が確認された。
参考例1、2、実施例3〜9及び比較例1〜10>
表1に示す各成分を混合し、ガスケット用材料を調製した。該ガスケット用材料を用いて、上記方法に従ってヒートショック試験を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0005619551
表1中の実施例より、本発明のガスケット用材料は、高温環境下におかれた後でも表面粘着性があまり増大しておらず、おそらく、この特性のために、HDD用ガスケットを対象としたヒートショック試験にも耐えることができたものと推測される。なお、ガスケットの室温における耐リーク性能は充分であった。
一方、比較例より、(B)成分のエステル部位の構造が異なるだけで、HDD用ガスケットを対象とするヒートショック試験には耐えることができず、HDD用ガスケット用としては適さないガスケットになることがわかる。
本発明のガスケット用材料は、HDD用ガスケットに有用であり、特に2.5インチサイズのHDD用ガスケット、さらには3.5インチサイズのHDD用ガスケットにも有用である。他にも、インクタンク用シール材、各種表示装置のシール材、土木、建築などの構造物用シール材、Oリングなどのパッキン、防振部材などの用途にも有用である。

Claims (6)

  1. (A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(B)下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレートモノマーを含有するガスケット用材料であって、前記(A)成分と(B)成分との配合比[(A):(B)]が、
    質量比で、80:20〜20:80であるガスケット用材料。
    Figure 0005619551
    (式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、炭素数4〜18の鎖式飽和脂肪族炭化水素基を表す。Wは、エチレン基又はプロピレン基を表す。また、nは、0〜2の整数を表す。)
  2. さらに、前記(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、光重合開始剤0.1〜10質量部、並びに無機充填材及び/又は有機系チクソ性付与剤を0.1〜30質量部含有し、かつ前記(A)成分と(B)成分との配合比[(A):(B)]が、質量比で75:25〜20:80である、請求項1に記載のガスケット用材料。
  3. 前記無機充填材がシリカである、請求項2に記載のガスケット用材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の材料に活性エネルギー線を照射して得られるガスケット。
  5. ハードディスクドライブ(HDD)用である、請求項4に記載のガスケット。
  6. 請求項4又は5に記載のガスケットを用いたハードディスク装置。
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