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JP5613410B2 - パターン形成方法、パターン、化学増幅型レジスト組成物、及び、レジスト膜 - Google Patents

パターン形成方法、パターン、化学増幅型レジスト組成物、及び、レジスト膜 Download PDF

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JP5613410B2 JP2009296418A JP2009296418A JP5613410B2 JP 5613410 B2 JP5613410 B2 JP 5613410B2 JP 2009296418 A JP2009296418 A JP 2009296418A JP 2009296418 A JP2009296418 A JP 2009296418A JP 5613410 B2 JP5613410 B2 JP 5613410B2
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Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、モールド作成プロセス、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィ工程に適用可能なパターン形成方法、該パターン形成方法から形成されたパターン、該パターン形成方法に用いられる化学増幅型レジスト組成物、及び、該レジスト組成物により形成されたレジスト膜に関する。特に、波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とするArF露光装置、ArF液浸式投影露光装置及びEUV露光装置での露光に好適な、パターン形成方法、該パターン形成方法から形成されたパターン、該パターン形成方法に用いられる化学増幅型レジスト組成物、及び、該レジスト組成物により形成されたレジスト膜に関する。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うためにレジストの画像形成方法として化学増幅という画像形成方法が用いられている。ポジ型の化学増幅の画像形成方法を例に挙げ説明すると、エキシマレーザー、電子線、極紫外光などの露光により、露光部の酸発生剤が分解し酸を生成させ、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)でその発生酸を反応触媒として利用してアルカリ不溶の基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像液により露光部を除去する画像形成方法である。
上記方法において、アルカリ現像液としては、種々のものが提案されているが、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
また、半導体素子の微細化の為に露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nm波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。また、更に解像力を高める技術として、従来から投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法、また、更に短波長(13.5nm)の紫外光で露光を行なうEUVリソグラフィなどが提唱されている。
しかしながら、性能が総合的に良好なパターンを形成するために必要な、レジスト組成物、現像液、リンス液等の適切な組み合わせを見出すことが極めて困難であるのが実情であり、更なる改良が求められている。特に、レジストの解像線幅が微細化するにつれて、ラインパターンのラインエッジラフネス性能の改良やパターン寸法の面内均一性の改良が求められている。
一方、現在主流のポジ型だけではなく、アルカリ現像によるパターン形成におけるネガ型化学増幅レジスト組成物の開発も行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。これは、半導体素子等の製造にあたってはライン、トレンチ、ホール、など種々の形状を有するパターン形成の要請がある一方、現状のポジ型レジストでは形成することが難しいパターンが存在するためである。
しかしながら、従来のネガ型レジストを用いたアルカリ現像によるパターン形成においては、現像時の膨潤が主要因と推測される、線幅バラツキ(LWR)、その他諸性能の更なる改善が求められている。
また、更に解像力を高める2重パターニング技術としての2重現像技術が特許文献5に記載されている。露光によってレジスト組成物中の樹脂の極性が、光強度の高い領域では高極性になることを、光強度の低い領域では低極性が維持されることを利用して、特定のレジスト膜の高露光領域を高極性の現像液に溶解させ、低露光領域を有機溶剤を含む現像液に溶解させることにより、中間露光量の領域が現像で溶解除去されずに残り、露光用マスクの半ピッチを有するラインアンドスペースパターンが形成されている。
特開2006−317803号公報 特開2006−259582号公報 特開2006−195050号公報 特開2000−206694号公報 特開2008−292975号公報
本発明は、上記課題を解決し、露光ラチチュード(EL)と、線幅バラツキ(LWR)又はCD(クリティカルディメンジョン)均一性(CDU)とに優れたパターンを形成できるパターン形成方法、該パターン形成方法から形成されたパターン、該パターン形成方法に用いられる化学増幅型レジスト組成物、及び、該レジスト組成物により形成されたレジスト膜を提供することを課題としている。
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記課題が解決される。
〔1〕
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜を露光する工程、及び、
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を含むパターン形成方法であって、
前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する樹脂であることを特徴とするパターン形成方法。

一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは非芳香族環状有機基を有する基を表す。
〔2〕
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜を露光する工程、及び、
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を含むパターン形成方法であって、
前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とするパターン形成方法。
〔3〕
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜を露光する工程、及び、
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を含むパターン形成方法であって、
前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とするパターン形成方法。
〔4〕
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜を露光する工程、及び、
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を含むパターン形成方法であって、
前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はビニルエーテル基であり、
前記現像液が、エステル系溶剤を含有する現像液であることを特徴とするパターン形成方法。
〔5〕
前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、
前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔6〕
前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔7〕
前記膜を露光する工程における露光が液浸露光であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔8〕
上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成されたパターン。
〔9〕
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、(イ)該膜を露光する工程、及び、(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、を含むパターン形成方法に供せられる化学増幅型レジスト組成物であって、
前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を含有しない樹脂であり、
前記樹脂(A)が実質的にアルカリ不溶性であり、
前記化学増幅型レジスト組成物が、下記式(B)〜(D)の少なくともいずれかで示される構造を有する塩基性化合物、アニリン構造を有する塩基性化合物、及び、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物、の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化学増幅型レジスト組成物。

一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは非芳香族環状有機基を有する基を表す。

〔10〕
前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、
前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする上記〔9〕に記載の化学増幅型レジスト組成物。
〔11〕
前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする上記〔9〕又は〔10〕に記載の化学増幅型レジスト組成物。
〔12〕
前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする上記〔9〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
〔13〕
前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする上記〔9〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
〔14〕
上記〔9〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物により形成されたレジスト膜。
本発明は上記〔1〕〜〔14〕の構成を有するものであるが、以下その他についても参考のため記載した。
<1>
(ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜を露光する工程、及び、
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を含むパターン形成方法。
<2>
前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する樹脂であることを特徴とする、上記<1>に記載のパターン形成方法。
一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは前記非芳香族環状有機基を有する基を表す。
<3>
前記架橋剤()が、2個以上の架橋性基を有し、
前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のパターン形成方法。
<4>
前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<5>
前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<6>
前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<7>
前記膜を露光する工程における露光が液浸露光であることを特徴とする前記<1>〜<6>に記載のパターン形成方法。
<8>
前記<1>〜<7>のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されたパターン。
<9>
前記<1>〜<7>のいずれかに記載のパターン形成方法に供せられる化学増幅型レジスト組成物。
<10>
前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する樹脂であることを特徴とする前記<9>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは前記非芳香族環状有機基を有する基を表す。
<11>
前記架橋剤()が、2個以上の架橋性基を有し、
前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする前記<9>又は<10>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<12>
前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする前記<9>〜<11>のいずれかに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<13>
前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする前記<9>〜<12>のいずれかに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<14>
前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする前記<9>〜<13>のいずれかに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<15>
前記<9>〜<14>のいずれかに記載の化学増幅型レジスト組成物により形成されたレジスト膜。
本発明は、更に、下記の構成であることが好ましい。
<16>
前記樹脂(A)が前記非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)を有するとともに、該繰り返し単位(a1)として、下記一般式(2)又は(3)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれかに記載のパターン形成方法。
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。
Rは、水酸基を有してもよい炭化水素基を表す。
上記一般式(2)中、R及びRの少なくとも一方がアルコール性水酸基を有する構造を表す。
一般式(3)において、2つのR及びRの少なくとも1つがアルコール性水酸基を有する構造を表す。2つのRは同一でも異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表す。
ただし、一般式(2)においては、R及びRの少なくとも一方は、前記非芳香族環状有機基を有する。
<17>
前記樹脂(A)が前記非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)を有するとともに、該繰り返し単位(a1)として、下記一般式(4)又は(5)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする前記<1>〜<7>及び<16>のいずれかに記載のパターン形成方法。
Raは、複数存在する場合互いに独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は水酸基及びシアノ基のいずれも有さない環状の飽和炭化水素基を有する基を表す。
nは0〜2の整数を表す。
<18>
前記樹脂(A)が前記非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)を有するとともに、該繰り返し単位(a1)として、ラクトン構造を有する繰り返し単位を有することを特徴とする前記<1>〜<7>、<16>及び<17>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<19>
前記樹脂(A)が前記非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)を有するとともに、該繰り返し単位(a1)として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする前記<1>〜<7>、<16>〜<18>のいずれかに記載のパターン形成方法。
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは、水酸基又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
RxとRxとが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
ただし、Rx〜Rxの少なくとも1つがシクロアルキル基であるか、あるいは、RxとRxとが結合してシクロアルキル基を形成する。
<20>
更に、現像後にリンス液を用いてリンスする工程を含む前記<1>〜<7>、<16>〜<19>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<21>
前記現像液に対する有機溶剤の使用量が、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜<7>、<16>〜<20>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<22>
前記リンス液に対する有機溶剤の使用量が、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜<7>、<16>〜<21>のいずれかに記載のパターン形成方法。
本発明により、露光ラチチュード(EL)と、線幅バラツキ(LWR)又はCD(クリティカルディメンジョン)均一性(CDU)とに優れたパターンを形成できるパターン形成方法、該パターン形成方法から形成されたパターン、該パターン形成方法に用いられる化学増幅型レジスト組成物、及び、該レジスト組成物により形成されたレジスト膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明のパターン形成方法に使用される化学増幅型レジスト組成物は、(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、(C)架橋剤を含有する。
[1]樹脂(A)
樹脂(A)は、実質的にアルカリ不溶性であることが好ましい。ここで実質的にアルカリ不溶とは、該樹脂(A)のみを酢酸ブチル等の溶剤に溶解し、固形分濃度3.5質量%とした組成物をシリコンウエハ上に塗布して得られる塗膜(膜厚100nm)を形成した際、QCM(水晶発振子マイクロバランス)センサー等を用いて測定した室温(25℃)における2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対して、該膜を1000秒間浸漬させた際の平均の溶解速度(膜厚の減少速度)が、1nm/s以下、好ましくは0.1nm/s以下であることを示し、これにより未露光部におけるレジスト膜の有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が良好となる。
実質的にアルカリ不溶となる範囲において、樹脂(A)は酸基を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有しないことが好ましい。
酸基としては、例えばカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基、−C(CFOH)などを挙げることができる。樹脂(A)における酸基を有する繰り返し単位の含有量は10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。樹脂(A)が酸基を有する繰り返し単位を有する場合、樹脂(A)における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、通常、1モル%以上である。
ここで、電子求引性基とは、電子を引きつける傾向を有する置換基であり、例えば分子中において該基と接近した位置にある原子から電子を引きつける傾向をもつ置換基である。
電子求引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、ハロ(シクロ)アルキル基、ハロアリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された(シクロ)アルキル基を意味している。
該樹脂は、レジスト組成物を用いて膜を形成した時に該膜が、有機溶剤を含む現像液に対して溶解すれば、必ずしも樹脂単独で有機溶剤を含む現像液に対して溶解性を持つものでなくても良く、例えば、レジスト組成物中に含まれる他成分の性質や含有量によっては該レジスト組成物を用いて形成した膜が有機溶剤を含む現像液に対して溶解する場合であってもよい。
また、樹脂(A)は、非芳香族環状有機基を有する。
樹脂(A)が非芳香族環状有機基を有することによって、樹脂のガラス転移温度が上昇し、これに伴い、酸の拡散性が適度に制御されるものと推測される(露光量が多くなった場合でも、酸の拡散性が高くなりすぎることが抑制される)。また、パターンの線幅は、酸の量と酸の拡散性とに依存するものと考えられることから、上記のように、酸の拡散性が適度に制御されることにより、パターン線幅の露光量(すなわち、露光部において発生した酸の量)に対する依存性が緩和されるため、LWR及びにCDUが優れるとともに、ELが非常に優れるものと考えられる。
非芳香族環状有機基としては、芳香族とならなければ環内に不飽和結合を有していても良いが、環状の飽和炭化水素基、又は、飽和複素環基であることが好ましい。これらの基における環は、単環でも多環でも良い。
環状の飽和炭化水素基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ヘキサシクロヘプタデカニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基、スピロデカニル基、スピロウンデカニル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
飽和複素環基としては、ラクトン基、環状エーテル基、ラクタム環基、環状アミン基等を挙げることができるが、ラクトン基が特に好ましい。
ラクトン基におけるラクトン構造は、いずれも用いることができるが、後述する樹脂(A)が有していてもよい一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
上記非芳香族環状有機基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基、及び、これらの原子及び基から選択される2種以上が組み合わされてなる基等が挙げられる。置換基の総炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。なお、非芳香族環状有機基における環を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
樹脂(A)は、一般的に、重合する部分構造を有するモノマーをラジカル重合などにより重合することで合成され、重合する部分構造を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する。重合する部分構造としては例えばエチレン性重合性部分構造を挙げることができる。
(a1)非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位
本発明に用いられる樹脂(A)は、主鎖又は側鎖の少なくともいずれか一方に、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
樹脂(A)が、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)を有することによって、前述したように、LWR及びCDUに優れるとともに、さらにELが非常に優れるものである。
非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a1−0)であることが好ましい。
一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは非芳香族環状有機基を有する基を表す。
Rは、好ましくは−L−(Rn1で表される基を表す。Lは単結合又は(n1+1)価の連結基を表す(n1は、1〜5の整数を表し、好ましくは1〜3の整数である)。Rは、非芳香族環状有機基を表す。
で表される2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、−L’−COO−、−L’−OCO−、−L’−CO−、−L’−O−、−L’−S−、−L’−SO−、−L’−SO−、又はこれらの複数が連結した連結基(ここで、L’はアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表す)を挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。 Lで表される3価、4価、5価及び6価の連結基は、上記2価の連結基の任意の位置の水素原子を、それぞれ、1個、2個、3個及び4個除いた基を挙げることができる。
としては、好ましくは単結合、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜3)又はシクロアルキレン基(好ましくは炭素数5〜7)を表す。
の非芳香族環状有機基の具体例としては前記したものを挙げることができる。
Xaのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
Xaのアルキル基としては、炭素数1〜8のものが好ましく、炭素数2〜4のものがより好ましい。
Xaのシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基が挙げられる。
Xaとしてのアルキル基及びシクロアルキル基、並びに、Rとしての非芳香族環状有機基は、さらに置換基を有していてもよく、このような置換基としては、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。Xaのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
Xaとして好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、水酸基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
繰り返し単位(a1−0)の具体例としては、後述の繰り返し単位(a1−1)〜(a1−4)の具体例の内、一般式(1)を満たす繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a1−0)を1種で有していても、2種以上で有していてもよい。また、樹脂(A)は、繰り返し単位(a1−0)に該当しない他の繰り返し単位を含有しても良く、そのような他の繰り返し単位は特に限定されないが、後述する繰り返し単位(a2−1)、繰り返し単位(a2−2)及び繰り返し単位(a2−3)を好適に挙げることができる。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a1−0)及び他の繰り返し単位の内の少なくとも1種の繰り返し単位が、後述するアルコール性水酸基を有することが好ましく、これにより、水酸基が酸の作用によって架橋剤と反応し、該レジスト膜が有機溶剤を含む現像液に対して実質的に不溶となるほか、基板密着性の向上が期待できる。
また、樹脂(A)は、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)として、以下に詳述する各種の繰り返し単位の1種以上を有することも好ましい。これらの繰り返し単位について、以下に詳細に説明する。
(a1−1)アルコール性水酸基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、主鎖又は側鎖の少なくともいずれか一方に、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)として、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a1−1)を有することが好ましい(すなわち、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a1−1)は、非芳香族環状有機基を有し、該非芳香族環状有機基の具体例は前記したものと同様である)。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a1−1)を含有することにより、水酸基が酸の作用によって架橋剤と反応し、該レジスト膜が有機溶剤を含む現像液に対して実質的に不溶となるほか、基板密着性の向上が期待できる。
本発明におけるアルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外のものであれば限定されないが、本発明においては先に酸基として挙げた、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコールにおける水酸基以外のものが好ましい。架橋剤との反応効率が向上する為、該水酸基は1級アルコール性水酸基(水酸基が置換している炭素原子が、水酸基とは別に2つの水素原子を有する基)、又は水酸基が置換している炭素原子に他の電子求引性基が結合していない2級アルコール性水酸基であることが好ましい。
アルコール性水酸基は繰り返し単位(a1−1)あたり1〜6個有していることが好ましく、より好ましくは1個〜4個有する。
このような繰り返し単位としては、一般式(2)又は一般式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式(2)中、R及びRの少なくとも一方がアルコール性水酸基を有する構造を表す。
一般式(3)において、2つのR及びRの少なくとも1つがアルコール性水酸基を有する構造を表す。2つのRは同一でも異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表す。なお、一般式(3)においては、ノルボルニル基(ノルボルナン構造)が、上記非芳香族環状有機基に相当するものである。
一般式(2)及び(3)中、アルコール性水酸基を有する構造としては、例えばヒドロキシアルキル基(炭素数2〜8が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい)、ヒドロキシシクロアルキル基(好ましくは炭素数4〜14)、ヒドロキシアルキル基で置換されたシクロアルキル基(好ましくは総炭素数5〜20)、ヒドロキシアルコキシ基で置換されたアルキル基(好ましくは総炭素数3〜15)、ヒドロキシアルコキシ基で置換されたシクロアルキル基(好ましくは総炭素数5〜20)等が挙げられ、上述のように1級アルコールの残基が好ましく、−(CH)n’−OH(n’は1以上の整数、好ましくは2〜4の整数)で表される構造がより好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は置換基を有してもよいアルキル基(炭素数1〜4が好ましい)又は置換基を有してもよいシクロアルキル基(炭素数5〜12が好ましい)を表す。Rのアルキル基及びシクロアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rとして好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、水酸基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rは、水酸基を有してもよい炭化水素基を有する基を表す。ここで、炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、飽和炭化水素基としては、アルキル基(炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい)、単環若しくは多環の環状の飽和炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基)、又は、これらの群に属する基の2種以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
Rは、好ましくは−L−A−(OH)n2で表される基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜3)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数5〜7)、−L’−COO−、−L’−OCO−、−L’−CO−、−L’−O−、−L’−S−、−L’−SO−、−L’−SO−、又はこれらの複数が連結した連結基(ここで、L’はアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表す)を挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。Lは、好ましくは単結合又はアルキレン基を表す。Aは(n2+1)価の炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。n2は、1〜5の整数を表す。
及びRは更に置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基を挙げることができる。
ただし、一般式(2)においては、R及びRの少なくとも一方は、前記非芳香族環状有機基を有する。
すなわち、一般式(2)においては、
(i)Rが置換基を有してもよいシクロアルキル基を表す、及び
(ii)Rが水酸基を有してもよい環状の炭化水素基を有する基を表す、
の少なくとも一方の条件を満たす。 環状の炭化水素基を有する基としては、単環若しくは多環の環状の炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基)、又は、該環状の炭化水素基とアルキル基(炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい)とが組み合わされてなる基が好ましい。
上記(ii)の条件を満たす場合、上記した−L−A−(OH)n2においては、Aは(n2+1)価の環状の炭化水素基を表し、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基を好適に挙げることができる。
繰り返し単位(a1−1)は、主鎖のα位(例えば式(2)におけるRx)が置換されていても良いアクリル酸のエステルから誘導される繰り返し単位であることが好ましく、式(2)に対応する構造のモノマーから誘導されることがより好ましい。また、繰り返し単位(a1−1)は、単位中に、前記非芳香族環状有機基として、環状の飽和炭化水素基を有することが好ましい。環状の飽和炭化水素基としては、単環又は多環式の構造が考えられるが、エッチング耐性を考慮すると、多環式であることがより好ましい。
環状の飽和炭化水素基の具体例としては、前記したものを挙げられるが、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基がより好ましい。
繰り返し単位(a1−1)としては、一般式(2)で表される繰り返し単位が好ましい。
以下に繰り返し単位(a1−1)を例示するが、本発明は、これらに限定されない。具体例中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
繰り返し単位(a1−1)は、後述する繰り返し単位(a1−2)〜(a1−4)のうち少なくとも1種がアルコール性水酸基を有した構造であってもよい。例えば、後述の(a1−4)酸分解性基を有する繰り返し単位における、酸の作用により脱離する部分が、アルコール性水酸基を有していてもよい。このような繰り返し単位を含有することにより、架橋効率を最適化できるのではないかと推測される。このような構造として具体的には、後掲の一般式(AI)において、原子団−C(Rx)(Rx)(Rx)の部分が水酸基を有する場合、より具体的には、後掲の一般式(2−1)で表される繰り返し単位において、R10が水酸基、水酸基を有する直鎖又は分岐のアルキル基、又は水酸基を有するシクロアルキル基である場合、などが挙げられる。
(a1−2)非極性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、更に、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)として、非極性基を有する繰り返し単位(a1−2)を有することが好ましい(すなわち、非極性基を有する繰り返し単位(a1−2)は、非芳香族環状有機基を有し、該非芳香族環状有機基の具体例は前記したものと同様である)。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。非極性基を有する繰り返し単位(a1−2)は、繰り返し単位中に極性基(例えば前記酸基、水酸基、シアノ基等)を含まない繰り返し単位であることが好ましく、後述する酸分解性基及びラクトン構造を有さない繰り返し単位であることが好ましい。このような繰り返し単位としては、一般式(4)又は一般式(5)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式中、
は水酸基及びシアノ基のいずれも有さない環状の炭化水素基を有する基を表す。
Raは、複数存在する場合互いに独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
nは0〜2の整数を表す。
なお、一般式(5)においては、ノルボルニル基(ノルボルナン構造)が、上記非芳香族環状有機基に相当するものである。
における環状の炭化水素基を有する基は、単環若しくは多環の環状の炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基)、又は、該環状の炭化水素基とアルキル基(炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい)とが組み合わされてなる基が挙げられ、中でも、多環の環状の飽和炭化水素基を有する基であることが好ましい。
は、好ましくは−L−A−(Rn4で表される基を表す。Lは単結合又は2価の炭化水素基を表し、好ましくは単結合、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜3)又はシクロアルキレン基(好ましくは炭素数5〜7)を表す。Aは(n4+1)価の環状の炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20、例えば、環状の飽和炭化水素基として前掲した基)を表す。n4は、0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数である。Rは炭化水素基を表し、好ましくはアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜7)を表す。
単環の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数3〜7の単環の炭化水素基である。
多環の炭化水素基には環集合炭化水素基(例えばビシクロヘキシル基)、架橋環式炭化水素基が含まれる。架橋環式炭化水素環として、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環(例えば、5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環)も含まれる。好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
Ra及びRは更に置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基を挙げることができる。
繰り返し単位(a1−2)としては、一般式(4)で表される繰り返し単位が好ましい。
繰り返し単位(a1−2)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、水素原子、水酸基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Raのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Raのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Raとして好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
(a1−3)ラクトン構造を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)として、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有してもよい。ここで、繰り返し単位(a1−3)においては、ラクトン構造が、非芳香族環状有機基を構成するものである。
ラクトン構造はいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特定のラクトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII’)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AII’)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
ラクトン構造を有する繰り返し単位(a1−3)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
特に好ましいラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン構造を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。
ラクトン構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(III)で表される単位を含有することが好ましい。
式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
又はウレア結合
を表す。ここで、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、1〜5の整数を表し、1であることが好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
のアルキレン基、シクロアルキレン基、Rにおけるアルキル基は、各々置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であり、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
で表されるラクトン構造を有する1価の有機基は、ラクトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−17)におけるnは2以下のものがより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
以下に一般式(III)で表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、アセチルオキシメチル基を表す。
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(III−1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
一般式(III−1)に於いて、
、A、R、Z、及びnは、上記一般式(III)と同義である。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのRが結合し、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、置換基数であって、0〜5の整数を表す。mは0又は1であることが好ましい。
のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としては水酸基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。Rはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
Xのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Xは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
mが1以上である場合、少なくとも1つのRはラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換することが好ましく、特にα位に置換することが好ましい。
一般式(III−1)で表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、アセチルオキシメチル基を表す。
本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には一般式(III)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位から2種以上を選択し併用することも好ましい。
(a1−4)酸分解性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、更に、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)として、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位を有してもよい(すなわち、酸分解性基を有する繰り返し単位(a1−4)は、非芳香族環状有機基を有し、該非芳香族環状有機基の具体例は前記したものと同様である)。樹脂(A)が極性基を生じると、有機溶剤を含む現像液との親和性が低くなり、不溶化(ネガ化)が更に促進されると考えられる。また、酸分解性単位を含むことでラインウィズスラフネス(LWR)性能が改善する。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で不溶化する基であれば特に限定されないが、好ましくは、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01、R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)が含有し得る、非芳香族環状有機基を有し、かつ、酸分解性基を有する繰り返し単位(a1−4)としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは、水酸基又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基、より好ましくは水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
RxとRxとが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
ただし、Rx〜Rxの少なくとも1つがシクロアルキル基であるか、あるいは、RxとRxとが結合してシクロアルキル基を形成する。これらのシクロアルキル基が非芳香族環状有機基に相当する。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
RxとRxとが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
繰り返し単位(a1−4)の好ましい具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、後述する一般式(2−1)におけるR10の具体例及び好ましい例と同様である。
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(1)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する樹脂であることがより好ましい。
一般式(1)及び(2)中、
、Rは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは水酸基又は1価の有機基を表す。
、R、R、Rは、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。ただし、R、R及びRの内、少なくとも1つは、シクロアルキル基を表す。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
及びRは、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。Rにおける1価の有機基の具体例及び好ましい例は、一般式(AI)のRで記載したものと同様である。
におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。
は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10更に好ましくは1〜5のものであり、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Rが該炭素原子と共に形成する脂環構造としては、好ましくは、単環の脂環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは5又は6である。
、R、Rにおけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
、R、Rにおけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の例として、下記一般式(1−a)で表される繰り返し単位が挙げられる。式中、R及びRは、一般式(1)における各々と同義である。
一般式(2)で表される繰り返し単位が、以下の一般式(2−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
式(2−1)中、
〜Rは、それぞれ、一般式(2)におけるものと同義である。
10は極性基を含む置換基を表す。R10が複数存在する場合、互いに同じでも異なっていてもよい。極性基を含む置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基自体、又は、これらの少なくとも1つを有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基である。より好ましくは水酸基を有する分岐状アルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が特に好ましい。
pは0〜15の整数を表す。pは好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
樹脂(A)は酸分解性基を有する繰り返し単位を複数含んでいてもよい。
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(1)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂であることがより好ましい。また、他の形態において、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも2種を有する樹脂であることがより好ましい。
また、本発明のレジスト組成物が複数種類の樹脂(A)を含有し、該複数の樹脂(A)の含有する酸分解性基を有する繰り返し単位が互いに異なっていてもよい。例えば一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)と、一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)とを併用してもよい。
樹脂(A)が、酸分解性基を含む繰り返し単位を複数含んでいる場合、及び、複数の樹脂(A)が異なる酸分解性基を含む繰り返し単位を有する場合の、好ましい組み合わせとしては、例えば、以下のものが挙げられる。なお、下式において、Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
樹脂(A)は、(a1−4)酸分解性基を有する繰り返し単位を有さないことも、デフォーカスラチチュード特性の観点で好ましい。
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
例えば、樹脂(A)は、更に、非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)の1種以上を有することも好ましい。
以下、非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)として好ましい各繰り返し単位について説明する。
(a2−1)アルコール性水酸基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、主鎖又は側鎖の少なくともいずれか一方に、非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)として、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a2−1)を有することが好ましい(すなわち、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a2−1)は、非芳香族環状有機基を有さない)。繰り返し単位(a1−1)における説明と同様、樹脂(A)は、繰り返し単位(a2−1)を含有することにより、水酸基が酸の作用によって架橋剤と反応し、該レジスト膜が有機溶剤を含む現像液に対して実質的に不溶となるほか、基板密着性の向上が期待できる。
樹脂(A)が、前記繰り返し単位(a1−1)を含有しない場合、樹脂(A)は、特に、繰り返し単位(a2−1)を含有することが好ましい。
アルコール性水酸基の具体的な説明は、前記繰り返し単位(a1−1)における説明と同様である。
アルコール性水酸基は繰り返し単位(a2−1)あたり1〜3個有していることが好ましく、より好ましくは1個又は2個有する。
このような繰り返し単位としては、一般式(2’)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式(2’)中、R’及びR’の少なくとも一方がアルコール性水酸基を有する構造を表す。
アルコール性水酸基を有する構造の具体例及び好ましい例は、前記繰り返し単位(a1−1)における一般式(2)で説明したものと同様である。
’は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は置換基を有してもよいアルキル基(炭素数1〜4が好ましい)を表す。R’のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基の具体例及び好ましい例は、前記繰り返し単位(a1−1)における一般式(2)のRで説明したものと同様である。
R’は、水酸基を有してもよい直鎖または分岐の炭化水素基を表す。R’の炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、飽和炭化水素基としては、アルキル基(炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい)が挙げられる。
繰り返し単位(a2−1)は、主鎖のα位(例えば式(2’)におけるRx’)が置換されていても良いアクリル酸のエステルから誘導される繰り返し単位であることが好ましく、式(2’)に対応する構造のモノマーから誘導されることがより好ましい。
以下に繰り返し単位(a2−1)を例示するが、本発明は、これらに限定されない。具体例中、Rx’は水素原子又はメチル基を表す。
(a2−2)非極性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、更に、非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)として、非極性基を有する繰り返し単位(a2−2)を有することが好ましい(すなわち、非極性基を有する繰り返し単位(a2−2)は、非芳香族環状有機基を有さない)。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。非極性基を有する繰り返し単位(a2−2)は、繰り返し単位中に極性基(例えば前記酸基、水酸基、シアノ基等)を含まない繰り返し単位であることが好ましく、後述する酸分解性基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。このような繰り返し単位としては、一般式(4’)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式中、
’は水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を表す。
Ra’は、複数存在する場合互いに独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ra’は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
’における鎖状及び分岐の炭化水素基としては、たとえば、炭素数3〜12のアルキル基が挙げられる。
Ra’及びR’は更に置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基を挙げることができる。
繰り返し単位(a2−2)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Ra’は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ra’のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Ra’のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Ra’として好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
(a2−3)酸分解性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、更に、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)として、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(酸分解性基)を有する繰り返し単位を有してもよい(すなわち、酸分解性基を有する繰り返し単位(a2−3)は、非芳香族環状有機基を有さない)。前記酸分解性基を有する繰り返し単位(a1−4)でも述べたように、樹脂(A)が極性基を生じると、有機溶剤を含む現像液との親和性が低くなり、不溶化(ネガ化)が更に促進されると考えられる。また、酸分解性単位を含むことでラインウィズスラフネス(LWR)性能が改善する。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で不溶化する基であれば特に限定されないが、好ましくは、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36’)(R37’)(R38’)、−C(R36’)(R37’)(OR39’)、−C(R01’)(R02’)(OR39’)等を挙げることができる。
式中、R36’〜R39 ’は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
01’、R02’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)が含有し得る、非芳香族環状有機基を有さず、かつ、酸分解性基を有する繰り返し単位(a2−3)としては、下記一般式(AI’)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは、水酸基又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xa、R及びTの具体例及び好ましい例は、前記繰り返し単位(a1−4)における一般式(AI)のXa、R及びTの具体例及び好ましい例と同様である。
Rx’〜Rx’は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。Rx’〜Rx’のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
繰り返し単位(a2−3)の好ましい具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。
樹脂(A)は、(a2−3)酸分解性基を有する繰り返し単位を有さないことも、デフォーカスラチチュード特性の観点で好ましい。
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
樹脂(A)は2種以上の樹脂を混合してなる樹脂であってもよく、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で、例えば繰り返し単位(a1−1)を含む樹脂と繰り返し単位(a1−2)を含む樹脂とを混合した樹脂を用いることもできる。
また、繰り返し単位(a1−4)を含む樹脂と繰り返し単位(a1−4)及び(a2−3)を含まない樹脂とを混合して用いることも好ましい。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は実質的に芳香族基を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(A)が単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
なお、樹脂(A)は、後述する疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
本発明において、各繰り返し単位の含有量は以下のとおりである。各繰り返し単位は複数種類含有してもよく、下記含有量は複数種類含有する場合は合計した量である。
非芳香族環状有機基を有する繰り返し単位(a1)の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜90モル%、好ましくは30〜70モル%である。
非芳香族環状有機基を有さない繰り返し単位(a2)の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜90モル%、好ましくは30〜70モル%である。
具体的には、繰り返し単位(a1−0)の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜90モル%、好ましくは30〜70モル%である。
また具体的には、非芳香族環状有機基を有し、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a1−1)の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜70モル%、好ましくは10〜50モル%である。
非芳香族環状有機基を有し、非極性基を有する繰り返し単位(a1−2)を含有する場合、その含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜70モル%、好ましくは30〜60モル%である。
ラクトンを有する繰り返し単位(a1−3)を含有する場合、その含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜40モル%が好ましく、より好ましくは10〜30モル%である。
非芳香族環状有機基を有し、酸分解性基を有する繰り返し単位(a1−4)を含有する場合、その含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜70モル%が好ましく、より好ましくは30〜60モル%である。
非芳香族環状有機基を有さず、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a2−1)の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜70モル%、好ましくは10〜50モル%である。
非芳香族環状有機基を有さず、非極性基を有する繰り返し単位(a2−2)を含有する場合、その含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜70モル%、好ましくは30〜60モル%である。
非芳香族環状有機基を有さず、酸分解性基を有する繰り返し単位(a2−3)を含有する場合、その含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜70モル%が好ましく、より好ましくは30〜60モル%である。
すなわち、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜70モル%、好ましくは30〜60モル%である。
また、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に0〜70モル%、好ましくは20〜50モル%である。
なお、樹脂(A)において、各繰り返し単位の含有モル比は、レジストのドライエッチング耐性や現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定することができる。
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。詳細な合成方法、そして精製方法などは、丸善株式会社発行「第5版 実験化学講座26 高分子化学」の第2章「高分子合成」などに記載の方法を用いることができる。
また、本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
[2]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。Zは、非求核性アニオンを表す。
としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンとしては、下記式(BI)で表されるアリールスルホン酸を生じるアニオンも好ましい。
式(BI)中、
Arは、芳香族環を表し、スルホン酸基及びA基以外に更に置換基を有してもよい。
pは、0以上の整数を表す。
Aは、炭化水素基を有する基を表す。
pが2以上のとき、複数のA基は同一でも異なっていてもよい。
一般式(BI)について更に詳細に説明する。
Arにより表される芳香族環としては、炭素数6〜30の芳香族環が好ましい。
具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ペンタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、インデン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
上記芳香族環がスルホン酸基及びA基以外に有し得る置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、2以上の置換基を有する場合、少なくとも二つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
炭化水素基を有する基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基及び分岐アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンゾイル基、アセチル基、トリル基等のアシル基等が挙げられる。
Aにより表される、炭化水素基を有する基における炭化水素基としては、非環式炭化水素基、又は環状脂肪族基が挙げられ、該炭化水素基の炭素原子数は3以上であることが好ましい。
A基としては、Arに隣接する炭素原子が3級若しくは4級の炭素原子であることが好ましい。
A基としての非環式炭化水素基としては、イソプロピル基、t―ブチル基、t―ペンチル基、ネオペンチル基、s−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。非環式炭化水素基の有する炭素数の上限としては、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。
A基としての環状脂肪族基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基、ピネニル基等が挙げられ、置換基を有していてもよい。環状脂肪族基の有する炭素数の上限としては、好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。
上記非環式炭化水素基又は環状脂肪族基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基、及び分岐アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルボニル基、シアノ基等が挙げられる。
Aとしての環状脂肪族基又は非環式炭化水素基の具体例としては以下のものが挙げられる。
酸拡散抑制の観点から、上記の中でも下記構造がより好ましい。
pは0以上の整数を表し、その上限は化学的に可能な数であれば特に限定されない。酸の拡散抑制の観点から、pは通常0〜5、好ましくは1〜4、更に好ましくは2〜3、最も好ましくは3を表す。
A基は、酸拡散抑制の観点から、スルホン酸基の少なくとも1つのo位を置換していることが好ましく、2つのo位を置換している構造であることがより好ましい。
本発明の酸発生剤(B)は、一態様において、下記一般式(BII)で表される酸を発生する化合物である。
式中、Aは一般式(BI)におけるAと同様であり、二つのAは同一でも異なってもよい。R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭化水素基を有する基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基又はニトロ基を表す。炭化水素基を有する基の具体例としては、上記に例示した基と同様の基が挙げられる。
また、好ましいスルホン酸アニオンとして、下記一般式(I)で表される酸を生じるアニオンも挙げることができる。
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、及び、アルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。Aは、環状の有機基を表す。xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
一般式(I)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CFが好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R、Rの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。xは1〜8が好ましく、中でも1〜4が好ましい。zは0〜8が好ましく、中でも0〜4が好ましい。Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基を挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O―、―SO−が好ましく、―COO−、−OCO−、―SO−がより好ましい。
Aの環状の有機基としては、特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香属性を有するものだけでなく、芳香属性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(マスクエラーエンハンスメントファクター)向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも193nmにおける光吸光度の観点から低吸光度のナフタレンが好ましい。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環が挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環が好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げることができ、具体例としては、前述の樹脂(A)が有していても一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけるものと同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけるものと同様のアリール基を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけるものと同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
なお、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン中の2つのアルキル基は、同一のものであっても異なっていてもよい。同様に、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン中の複数のアルキル基は、同一のものであっても異なっていてもよい。
特に、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンとしては、下記一般式(A3)又は(A4)で表されるアニオンを挙げることができる。
一般式(A3)及び(A4)中、
Yは少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。アルキレン鎖中に酸素原子を含有していてもよい。更に好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基であり、最も好ましくはテトラフロロエチレン基、ヘキサフロロプロピレン基、オクタフロロブチレン基である。
式(A4)におけるRは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。なお、アルキル基又はシクロアルキル基中のアルキレン鎖中に酸素原子を含有していてもよい。
一般式(A3)又は(A4)で表されるアニオンを有する化合物としては、特開2005−221721号公報に記載されている具体例などを挙げることができる。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)〜(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)〜(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)に於いて、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フェニルチオ基、又はハロゲン原子を表す。R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。 R5cとR6cが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
Zcは、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基、炭素数3〜8の環状アルコキシ基を挙げることができる。
6c及びR7cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数6〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
6cとR7cとが結合して環を形成する場合に、R6cとR7cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R6cとR7cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐若しくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけるものと同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができ、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができ、アルキル基については、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を挙げることができる。
アリル基としては、特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたアリル基であることが好ましい。
ビニル基としては特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたビニル基であることが好ましい。
及びRが互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のR及びR(例えば、メチレン基、エチレンキ基、プロピレン基等)が一般式(ZI−3)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
及びRは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
化合物(ZI−4)とは、以下の一般式(ZI−4)で表される化合物である。
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。
これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜10の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)が挙げられ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロベンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロデカニル、アダマンチル等があげられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが好ましい。
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
13のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)が挙げられ、例えば、単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有することが好ましい。総炭素数7以上の単環のシクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロドデカニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基に、任意にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する単環のシクロアルキルオキシ基であって、該シクロアルキル基上の任意の置換基と合わせた総炭素数が7以上のものを表す。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキルオキシ基としては、ノルボルニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、アダマンタンチルオキシ基等が挙げられる。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基であることが好ましい。総炭素数7以上の、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、iso−アミルオキシ等のアルコキシ基に上述の置換基を有していてもよい単環シクロアルキル基が置換したものであり、置換基も含めた総炭素数が7以上のものを表す。たとえば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、トリシクロデカニルメトキシ基、トリシクロデカニルエトキシ基、テトラシクロデカニルメトキシ基、テトラシクロデカニルエトキシ基、アダマンタンチルメトキシ基、アダマンタンチルエトキシ基等が挙げられ、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基等が好ましい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基のうちメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
前記、R13、R14、R15の各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する基が望ましい。また、前記2価の基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。前記環構造に対する置換基は、複数個存在しても良く、また、それらが互いに結合して環(芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又はこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環など)を形成しても良い。
一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基は、上記のように置換されていてもよく、置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
以下に、一般式(ZI−4)で表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。R208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。 Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI−1)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI−2)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エチニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
酸発生剤の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、更に好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaが−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。酸発生剤のレジスト組成物中の含有率は、レジスト組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
[3]架橋剤(C)
本発明においては、樹脂(A)とともに、酸の作用により樹脂(A)を架橋する化合物(以下、架橋剤と称する)を使用する。ここでは公知の架橋剤を有効に使用することができる。
架橋剤(C)は、樹脂(A)を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基などを挙げることができる。架橋剤(C)はこのような架橋性基を2個以上有することが好ましい。架橋剤(C)としては、好ましくは、メラミン系化合物、尿素系化合物、アルキレン尿素系化合物、又はグリコールウリル系化合物の架橋剤である。
好ましい架橋剤の例として、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物を挙げることができる。
N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、下記一般式(CLNM−1)で表される部分構造を2個以上(より好ましくは2〜8個)有する化合物が好ましい。
一般式(CLNM−1)に於いて、RNM1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はオキソアルキル基を表す。一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1のアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。RNM1のシクロアルキル基は、炭素数5〜6のシクロアルキル基が好ましい。RNM1のオキソアルキル基は、炭素数3〜6のオキソアルキル基が好ましく、例えば、β‐オキソプロピル基、β‐オキソブチル基、β‐オキソペンチル基、β‐オキソへキシル基等を挙げることができる。
一般式(CLNM−1)で表される部分構造を2個以上有する化合物のより好ましい態様として、下記一般式(CLNM−2)で表されるウレア系架橋剤、下記一般式(CLNM−3)で表されるアルキレンウレア系架橋剤、下記一般式(CLNM−4)で表されるグリコールウリル系架橋剤、下記一般式(CLNM−5)で表されるメラミン系架橋剤が挙げられる。
一般式(CLNM−2)に於いて、
NM1は、各々独立に、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。 RNM2は、各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、又はシクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)を表す。
一般式(CLNM−2)で表されるウレア系架橋剤の具体例としては、例えば、N,N−ジ(メトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(エトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(プロポキシメチル)ウレア、N,N−ジ(イソプロポキシメチル)ウレア、N,N−ジ(ブトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(t−ブトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(シクロペンチルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(アダマンチルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(ノルボルニルオキシメチル)ウレア等が挙げられる。
一般式(CLNM−3)に於いて、
NM1は、各々独立に、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。
NM3は、各々独立に、水素原子、水酸基、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、オキソアルキル基(炭素数3〜6が好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)又はオキソアルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。
Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)又はカルボニル基を表す。より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、ヒドロキシメチレン基、シアノメチレン基等が挙げられる。
一般式(CLNM−3)で表されるアルキレンウレア系架橋剤の具体例としては、例えば、N,N−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジ(メトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(エトキシメチル)−4,5−ジ(エトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(プロポキシメチル)−4,5−ジ(プロポキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(イソプロポキシメチル)−4,5−ジ(イソプロポキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(ブトキシメチル)−4,5−ジ(ブトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(t−ブトキシメチル)−4,5−ジ(t−ブトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)−4,5−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(シクロペンチルオキシメチル)−4,5−ジ(シクロペンチルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(アダマンチルオキシメチル)−4,5−ジ(アダマンチルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(ノルボルニルオキシメチル)−4,5−ジ(ノルボルニルオキシメチル)エチレンウレア等が挙げられる。
一般式(CLNM−4)に於いて、
NM1は、各々独立に、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。
NM4は、各々独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表す。
NM4のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)として、より具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(CLNM−4)で表されるグリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(シクロヘキシルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(シクロペンチルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(アダマンチルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(ノルボルニルオキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
一般式(CLNM−5)に於いて、
NM1は、各々独立に、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。
NM5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は下記一般式(CLNM−5´)で表される原子団を表す。
NM6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は下記一般式(CLNM−5´´)で表される原子団を表す。
一般式(CLNM−5´)において、
NM1は、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。
一般式(CLNM−5´´)において、
NM1は、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものであり、RNM5は、一般式(CLNM−5)に於けるRNM5と同様のものである。
NM5及びRNM6のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、アリール基(炭素数6〜10が好ましい)として、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(CLNM−5)で表されるメラミン系架橋剤としては、例えば、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(シクロヘキシルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(シクロペンチルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アダマンチルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ノルボルニルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)ベンゾグアナミン、等が挙げられる。
一般式(CLNM−1)〜(CLNM−5)に於ける、RNM1〜RNM6で表される基は、更に置換基を有してもよい。RNM1〜RNM6が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルコキシ基(好ましくは炭素数4〜20)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20)等を挙げることができる。
架橋剤(C)は、分子内にベンゼン環を有するフェノール化合物であってもよい。
フェノール化合物としては、分子量が1200以下、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体が好ましい。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。更に、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
フェノール化合物としては分子内にベンゼン環を2個以上有するフェノール化合物であることがより好ましく、また、窒素原子を含まないフェノール化合物であることが好ましい。
具体的には、樹脂(A)を架橋しうる架橋性基を1分子あたり2〜8個有するフェノール化合物であることが好ましく、架橋性基を3〜6個有することがより好ましい。
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。式中、L〜Lは架橋性基を示し、同じであっても異なっていてもよく、架橋性基としては好ましくはヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。
フェノール化合物は、市販されているものを用いることもでき、また公知の方法で合成することもできる。例えば、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL〜Lが水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。このようにして合成されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤(C)は、分子内にビニルエーテル基を有する化合物であっても良く、下記一般式(CLV−2)で表される化合物が好ましい。
式(CLV−2)中、Rv1〜Rv3は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は有機基を表す。
v1〜Rv3における有機基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホン基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基などが挙げられる。
v1〜Rv3の好ましい態様としては、水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、等が挙げられる。Rv1〜Rv3は、前記好ましい態様の任意の組み合わせであってよい。
は、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、−N(RV0)−又はこれらの組み合わせからなる構造を表す。RV0は水素原子又は1価の有機基を表す。RV0における有機基としては、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホン基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基が挙げられる。Pの好ましい態様としては、メチレン基、エーテル基、メチレンカルボニルオキシ基、アミノ基、等が挙げられる。
また、Rv1、Rv2、Rv3、Pは、各々が互いに結合して環構造を形成していても良い。具体的には、Rv1とRv2、Rv3〜とP、Rv1とRv3、Rv2とP、とが互いに結合して環構造を形成した態様が挙げられる。これらの環構造は、単環式であっても多環式であっても良い。また、これら環構造は、その骨格が炭素原子のみでできていても、酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
は単結合若しくはn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表す。但し、Qが単結合のとき、n=2である。nの好ましい範囲としては、2〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜6である。nが2以上であることで、一般式(CLV−2)で表される化合物は、カチオン重合性モノマーとしての機能を持ち、露光部がより複雑にからまった架橋構造を形成し、アルカリ現像液に対する高い溶解コントラストを発現するとともに、膨潤が抑止され、高い解像性を達成するものと考えられる。
価の有機基としては、鎖状若しくは環状の脂肪族基、又は芳香族基が挙げられ、鎖状脂肪族基は、飽和脂肪族基であっても不飽和脂肪族基であってもよい。該n価の有機基の好ましい態様としては、上記一般式(IV)又は(V)で表される構造と、これらの構造からさらにn−2個の水素原子を除いたn価の構造が挙げられる。
一般式(CLV−2)で表される化合物は、一般式(CLV−2)の定義を満たせば、同一分子中に異なるビニル構造を複数持っていても良い。
本発明において、一般式(CLV−2)で表される化合物は1種類を用いても良いし、異なるものを複数種混合して用いてもよい。異なる官能基数、異なるビニル構造のカチオン重合性モノマーを用いることで、感度とその他性能のバランスをとることも可能である。
一般式(CLV−2)で表される化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体、及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態であってもよい。モノマー及びそれらの共重合体としては、多価カルボン酸のエステル類、アミド類や、多価アルコールのエステル類並びにエーテル類が挙げられる。本発明におけるカチオン重合性モノマーの分子量は、通常3,000以下であり、好ましくは1,500〜80、更に好ましくは1,000〜100である。
以下に、一般式(CLV−2)で表される化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
架橋剤(C)は、分子内にエポキシ基を有するエポキシ化合物であってもよい。
エポキシ化合物としては、下記一般式(EP2)で表される化合物が挙げられる。
式(EP2)中、
EP1〜REP3は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、該アルキル基及びシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。またREP1とREP2、REP2とREP3は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
アルキル基及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホン基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基、などが挙げられる。
EPは単結合若しくはnEP価の有機基を表す。REP1〜REP3は、これら同士だけでなくQEPとも結合して環構造を形成していても良い。
EPは2以上の整数を表し、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6である。但しQEPが単結合の場合、nEPは2である。
EPがnEP価の有機基の場合、鎖状若しくは環状の飽和炭化水素構造(炭素数2〜20が好ましい)若しくは芳香環構造(炭素数6〜30が好ましい)、又はこれらがエーテル、エステル、アミド、スルホンアミド等の構造で連結された構造などが好ましい。
以下に(B)エポキシ構造を有する化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤のレジスト組成物中の含有率は、レジスト組成物の全固形分を基準として、3〜15質量%が好ましく、より好ましくは4〜12質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。
[4]溶剤(D)
本発明におけるレジスト組成物は、溶剤を含有する。
本発明におけるレジスト組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
これらの溶剤の具体例及び好ましい例は、特開2008−292975号公報[0244]〜[0248]に記載のものと同様である。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有しても良いモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
[5]疎水性樹脂(HR)
本発明のレジスト組成物は、特に液浸露光に適用する際、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する疎水性樹脂を含有してもよい。これにより、膜表層に疎水性樹脂(HR)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂(HR)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
疎水性樹脂は、典型的には、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含んでいる。これらフッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、フッ素原子を含んだ部分構造として、フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、又はフッ素原子を含んだアリール基を備えていることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基及びフッ素原子を含んだアリール基の好ましい例として、下記一般式(F2)〜(F4)により表される基が挙げられる。
一般式(F2)〜(F4)中、R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R57〜R61のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R62〜R64のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R65〜R68のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。これらアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。
62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。なお、R62とR63とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
一般式(F2)により表される基としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、及び3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
一般式(F3)により表される基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、及びパーフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。これらのうち、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基又はパーフルオロイソペンチル基がより好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基又はヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)により表される基としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、及び−CH(CF)OHが挙げられる。これらのうち、−C(CFOHが特に好ましい。
以下に、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の具体例を示す。
具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。Xは、−F又は−CFを表す。
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、ケイ素原子を含んだ部分構造として、アルキルシリル構造又は環状シロキサン構造を備えていることが好ましい。このアリキルシリル構造は、好ましくは、トリアルキルシリル基を含んだ構造である。
アルキルシリル構造及び環状シロキサン構造の好ましい例として、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基が挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)中、R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
〜Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
以下に、一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基を有する繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)からなる群より選択される少なくとも1つの基を更に含んでいてもよい。
(x)酸基
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基
(z)酸分解性基
(x)酸基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基が挙げられる。好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基、スルホンイミド基及びビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。好ましいフッ素化アルコール基としては、ヘキサフルオロイソプロパノール基が挙げられる。
酸基を有する繰り返し単位は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、酸基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、酸基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜50モル%であることが好ましく、3〜35モル%であることがより好ましく、5〜20モル%であることが更に好ましい。
以下に、酸基を有する繰り返し単位の具体例を示す。式中、Rxは水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に(A)酸分解性樹脂の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜40モル%であることが好ましく、3〜30モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。
(z)酸分解性基としては、例えば、先に(A)酸分解性樹脂の項で説明したのと同様のものが挙げられる。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂は、下記一般式(III)により表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
Rc31は、水素原子、アルキル基(フッ素原子等で置換されていても良い)、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
Rc31は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、又はアリール基を有する基を表す。これら基は珪素原子を含む基、フッ素原子等で置換されていてもよい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
c32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
アルケニル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数が3〜20であるシクロアルケニル基が好ましい。
c32は、無置換のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、エーテル結合、フェニレン基、及びエステル結合(−COO−により表される基)、並びに、これらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。
る。
一般式(III)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂は、下記一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
式(CII−AB)中、
c11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Zc’は、Rc11’及びRc12’が結合している2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するために必要な原子団を表す。
一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
以下に、一般式(III)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
以下に、疎水性樹脂の具体例を挙げる。また、下記表1に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、及び分散度(Mw/Mn)を示す。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、ケイ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、ケイ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜15,000である。
疎水性樹脂の分散度は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましい。こうすると、より優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
疎水性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性樹脂の含有量は、組成物中の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂としては、市販品を使用してもよく、常法に従って合成したものを使用してもよい。この樹脂の一般的な合成方法としては、例えば、先に酸分解性樹脂について説明したのと同様の方法が挙げられる。
疎水性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体及びオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
[6]界面活性剤(F)
本発明のレジスト組成物は、更に界面活性剤を含有してもしなくてもよく、含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
本発明の組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)若しくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
上記に該当する界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)、C13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体等を挙げることができる。
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
レジスト組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の使用量は、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
一方、界面活性剤の添加量を、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、10ppm以下とすることで、疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることが出来る。
[7]塩基性化合物
本発明のレジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有しても良い。
そのような塩基性化合物の具体例としては、下記一般式(A)〜(E)で示される構造を有する塩基性化合物を挙げることができる。
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。
これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及び置換基を有するシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を示す。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造(特に好ましくは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。
これらの化合物としては、例えば、米国特許出願公開第2007/0224539号明細書の〔0066〕に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩基性化合物の分子量は、250〜2000であることが好ましく、更に好ましくは400〜1000である。
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。
塩基性化合物を含有する場合、その含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.05〜8.0質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5.0質量%、特に好ましくは0.05〜4.0質量%である。
[8]活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(以下、「化合物(PA)」ともいう)を含有しても良い。
化合物(PA)は、塩基性官能基又はアンモニウム基と、活性光線又は放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する化合物(PA’)であることが好ましい。すなわち、化合物(PA)は、塩基性官能基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する塩基性化合物、又は、アンモニウム基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有するアンモニウム塩化合物であることが好ましい。
化合物(PA)又は(PA’)が、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する、塩基性が低下した化合物として、下記一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を挙げることができ、LWR及びDOFに関して優れた効果を高次元で両立できるという観点から、特に、一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物が好ましい。
まず、一般式(PA−I)で表される化合物について説明する。
Q−A−(X)−B−R (PA−I)
一般式(PA−I)中、
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、−SOH、又は−COHを表す。Qは、活性光線又は放射線の照射により発生される酸性官能基に相当する。
Xは、−SO−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Rx)−を表す。
Rxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Rは、塩基性官能基を有する1価の有機基又はアンモニウム基を有する1価の有機基を表す。
における2価の連結基としては、好ましくは炭素数2〜12の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。より好ましくは少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、特に水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、Q部位と結合した炭素原子がフッ素原子を有することがより好ましい。更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、パーフロロエチレン基、パーフロロプロピレン基、パーフロロブチレン基がより好ましい。
Rxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
なお、置換基を有するアルキル基として、特に直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)を挙げることができる。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、Rxとして挙げたアルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
塩基性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、一〜三級アミン、含窒素複素環(ピリジン、イミダゾール、ピラジンなど)の構造が挙げられる。
アンモニウム基の好ましい部分構造として、例えば、一〜三級アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリニウム、ピラジニウム構造などを挙げることが出来る。
なお、塩基性官能基としては、窒素原子を有する官能基が好ましく、1〜3級アミノ基を有する構造、又は含窒素複素環構造がより好ましい。これら構造においては、構造中に含まれる窒素原子に隣接する原子の全てが、炭素原子又は水素原子であることが、塩基性向上の観点から好ましい。また、塩基性向上の観点では、窒素原子に対して、電子吸引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子など)が直結していないことが好ましい。
このような構造を含む一価の有機基(基R)における一価の有機基としては、好ましい炭素数は4〜30であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができ、各基は置換基を有していても良い。
Rにおける塩基性官能基又はアンモニウム基を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基に於けるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は、それぞれ、Rxとして挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基と同様のものである。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更に1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。
Bが−N(Rx)−の時、RとRxが結合して環を形成していることが好ましい。環構造を形成することによって、安定性が向上し、これを用いた組成物の保存安定性が向上する。環を形成する炭素数は4〜20が好ましく、単環式でも多環式でもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでいてもよい。
単環式構造としては、窒素原子を含む4〜8員環等を挙げることができる。多環式構造としては、2又は3以上の単環式構造の組み合わせから成る構造を挙げることができる。
単環式構造、多環式構造は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜15)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜15)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが好ましい。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基としては1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
一般式(PA−I)で表される化合物の内、Q部位がスルホン酸である化合物は、一般的なスルホンアミド化反応を用いることで合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的にアミン化合物と反応させて、スルホンアミド結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物をアミン化合物と反応させ開環させる方法により得ることができる。
次に、一般式(PA−II)で表される化合物について説明する。
−X−NH−X−Q (PA−II)
一般式(PA−II)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有してもよい。
及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
一般式(PA−II)に於ける、Q、Qとしての1価の有機基は、好ましくは炭素数1〜40であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
、Qにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子、窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
、Qにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
、Qにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、上記アルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜10)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。置換基を有するアルキル基として、例えば、パーフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基などのパーフルオロアルキル基を挙げることができる。
、Qの少なくともいずれかが有する塩基性官能基の好ましい部分構造としては、一般式(PA−I)のRが有する塩基性官能基として説明したものと同様のものが挙げられる。
とQとが、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有する構造としては、例えば、QとQの有機基が更にアルキレン基、オキシ基、イミノ基等で結合された構造を挙げることができる。
一般式(PA−II)に於いて、X及びXの少なくとも片方が、−SO−であることが好ましい。
次に、一般式(PA−III)で表される化合物を説明する。
−X−NH−X−A−(X−B−Q (PA−III)
一般式(PA−III)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有していてもよい。
、X及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
は、2価の連結基を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Qx)−を表す。
Qxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Bが、−N(Qx)−の時、QとQxが結合して環を形成してもよい。
mは、0又は1を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
は、一般式(PA−II)に於けるQと同義である。
の有機基としては、一般式(PA−II)に於けるQ、Qの有機基と同様のものを挙げることができる。
における2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜8のフッ素原子を有する2価の連結基であり、例えば炭素数1〜8のフッ素原子を有するアルキレン基、フッ素原子を有するフェニレン基等が挙げられる。より好ましくはフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基が特に好ましい。
Qxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30の有機基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は上記式(PA−I)におけるRxと同様のものを挙げることができる。
一般式(PA−III)に於いて、X、X、Xは、−SO−であることが好ましい。
化合物(PA)としては、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のスルホニウム塩化合物、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のヨードニウム塩化合物が好ましく、更に好ましくは下記一般式(PA1)又は(PA2)で表される化合物である。
一般式(PA1)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表し、具体的には、前記酸発生剤における式ZIのR201、R202及びR203と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
前記一般式(PA2)中、
204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、具体的には、前記酸発生剤における式ZIIのR204及びR205と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解し、例えば、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する。
一般式(PA−I)で表される化合物は、塩基性官能基又はアンモニウム基とともにスルホン酸基又はカルボン酸基を有することにより、化合物(PA)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物は、塩基性官能基とともに有機スルホニルイミノ基若しくは有機カルボニルイミノ基を有することにより、化合物(PA)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
本発明に於いて、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下することは、活性光線又は放射線の照射により化合物(PA)のプロトン(活性光線又は放射線の照射により発生された酸)に対するアクセプター性が低下することを意味する。アクセプター性が低下するとは、塩基性官能基を有する化合物とプロトンとからプロトン付加体である非共有結合錯体が生成する平衡反応が起こる時、あるいは、アンモニウム基を有する化合物の対カチオンがプロトンに交換される平衡反応が起こる時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
このように、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物(PA)がレジスト膜に含有されていることにより、未露光部においては、化合物(PA)のアクセプター性が十分に発現されて、露光部等から拡散した酸と樹脂(A)との意図しない反応を抑制することができるとともに、露光部においては、化合物(PA)のアクセプター性が低下するので、酸と樹脂(A)との意図する反応がより確実に起こり、このような作用機構の寄与もあって、露光ラチチュード(EL)、線幅バラツキ(LWR)及びクリティカルディメンジョン均一性(CDU)に優れるパターンが得られるものと推測される。
なお、塩基性は、pH測定を行うことによって確認することができるし、市販のソフトウェアによって計算値を算出することも可能である。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物(PA)の具体例としては、例えば特開2006−208781号公報、特開2006−330098号公報に記載のものを挙げることができる。
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−I)で表される化合物を発生する化合物(PA)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
これらの化合物の合成は、一般式(PA−I)で表される化合物又はそのリチウム、ナトリウム、カリウム塩と、ヨードニウム又はスルホニウムの水酸化物、臭化物、塩化物等から、特表平11−501909号公報又は特開2003−246786号公報に記載されている塩交換法を用いて容易に合成できる。また、特開平7−333851号公報に記載の合成方法に準ずることもできる。
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する化合物(PA)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
これらの化合物は、一般的なスルホン酸エステル化反応あるいはスルホンアミド化反応を用いることで容易に合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的に一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールなどと反応させて、スルホンアミド結合、スルホン酸エステル結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物を一般式(PA−II)で表される部分構造を含むアミン、アルコールにより開環させる方法により得ることができる。一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールは、アミン、アルコールを塩基性下にて(R’OC)Oや(R’SOO等の無水物、R’OCClやR’SOCl等の酸クロリド化合物と反応させることにより合成できる(R’は、メチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基等)。特に、特開2006−330098号公報の合成例などに準ずることができる。
化合物(PA)の分子量は、500〜1000であることが好ましい。
本発明のレジスト組成物中の化合物(PA)の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
化合物(PA)は、単独であるいは2種以上で用いられる。また、化合物(PA)は、前述の塩基性化合物と併用してもよい。
[9]その他の添加剤(G)
本発明のレジスト組成物には、必要に応じて更に、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、溶解阻止剤及び溶解促進剤等を含有させることができる。
本発明のレジスト組成物の全固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、好ましくは、2.0〜5.7質量%、更に好ましくは2.0〜5.3質量%である。固形分濃度を前記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインエッジラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下、好ましくは5.7質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できるものと考えられる。
固形分濃度とは、レジスト組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
[10]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法(ネガ型パターン形成方法)は、
(ア)化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
(イ)該膜(レジスト膜)を露光する工程、及び
(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
を少なくとも有する。
レジスト膜は、上記した本発明のレジスト組成物から形成されるものであり、より具体的には、基板上に形成されることが好ましい。レジスト膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜120℃で行うことが好ましく、80〜110℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。
本発明における露光装置に用いられる光源波長に制限は無いが、KrFエキシマレーザー波長(248nm)、ArFエキシマレーザー波長(193nm)とFエキシマレーザー波長(157nm)等を適用できる。
本発明のレジスト膜に対しては、活性光線又は放射線の照射時に膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては、空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが、好ましくは純水である。
この場合、レジスト組成物に、前述の疎水性樹脂を予め添加しておいてもよいし、また、レジスト膜を形成した後に、その上に液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。
トップコートに求められる性能、その使用法などについては、シーエムシー出版「液浸リソグラフィのプロセスと材料」の第7章に解説されている。
トップコートは、波長193nmのレーザーに対する透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。前述の疎水性樹脂(HR)はトップコートとしても好適なものである。また、市販のトップコート材料も適宜使用可能である。
露光後にトップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が膜の現像処理工程と同時にできるという点では、現像液により剥離できることが好ましい。
本発明において膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、シリコン、SiN、SiOやSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて有機反射防止膜を膜と基板の間に形成させても良い。
・現像工程
有機溶剤を含む現像液による現像を行う際に使用し得る有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、又は炭化水素系溶剤を含有する現像液を用いることができ、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有することが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。特に、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸アルキルエステルが好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、性能を有する範囲内で、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
特に、有機溶剤を含む現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
有機溶剤を含む現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
・界面活性剤
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては、前記した、レジスト組成物に用いられる界面活性剤と同様のものを用いることができる。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
・樹脂(A’)
有機溶剤を含む現像液、及び後述するリンス液は、有機溶剤に可溶な樹脂(A’)を含有してもよい。これにより、処理液に樹脂(A’)が前もって溶解していることで、レジスト膜の処理液への溶解や、処理液のレジスト膜への浸透が促進されることが推測される。
樹脂(A’)としては、有機溶剤に可溶であれば特に制限されず、レジスト組成物に用いられる樹脂が好適に用いることができるが、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等も使用できる。
有機溶剤に可溶な樹脂(A’)としては、例えば、以下のような繰り返し単位を有するものが挙げられる。
・アルコール性水酸基を有する繰り返し単位(a1−1),(a2−1)
・非極性基を有する繰り返し単位(a1−2),(a2−2)
・ラクトン構造を有する繰り返し単位(a1−3)
・酸分解性基を有する繰り返し単位(a1−4),(a2−3)
・酸基を有する繰り返し単位
・ヒドロキシスチレン及びその誘導体由来の繰り返し単位
・側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリルエステル繰り返し単位
具体的には、レジスト組成物が含有する樹脂と同様のものが挙げられる。
本発明の樹脂(A’)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは3,000〜25,000であり、より好ましくは5,000〜15,000である。
樹脂(A’)の分散度(分子量分布)は、好ましくは1.2〜3.0、更に好ましくは1.4〜1.8である。
樹脂(A’)の処理液全体中の配合量は、処理液全量に対して0.0001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜5質量%である。
また、樹脂(A’)は、処理液中に1種含まれていても複数含まれていてもよい。
本発明の樹脂(A’)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することでを変える方法などを挙げることができる。
・リンス工程
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
有機溶剤を含む現像液による現像の後には、リンス液を用いてリンスする工程を含むことが好ましい。リンス液としては、有機溶剤を含むリンス液が好ましい。
有機溶剤を含む現像液による現像後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。前記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。リンス液はより好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有し、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有し、更により好ましくは、1価アルコールを含有し、特に好ましくは炭素数5以上の1価アルコールを含有する。ここで、現像後のリンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチルー2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、イソアミルエーテルなどを用いることができ、特に好ましい炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチルー2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどを用いることができる。これらの中でもとりわけ、炭素数5以上の分岐アルキルアルコールが好ましい。
前記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%未満が好ましく、より好ましくは5質量%未満、特に好ましくは3質量%未満である。含水率を10質量%未満にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
すなわち、リンス液に対する有機溶剤の使用量は、リンス液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、97質量%以上100質量%以下であることが最も好ましい。
有機溶剤を含む現像液による現像後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤、樹脂(A’)を適当量添加して使用することもできる。含有しうる界面活性剤及び樹脂(A’)の種類及び添加量は、現像液におけるものと同様である。
リンス工程においては、現像を行ったウェハを前記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
以下、樹脂(1)〜(34)、(ref−1)〜(ref−3)及び疎水性樹脂(1b)〜(4b)の構造を示す。また、樹脂(1)〜(34)、(ref−1)〜(ref−3)及び疎水性樹脂(1b)〜(4b)の組成比(モル比)、重量平均分子量、分散度を、表2に示す。また、樹脂(1)〜(3、(ref−1)〜(ref−3)について以下のように測定した溶解速度も共に示す。
(溶解速度の測定)
樹脂(1)〜(34)、(ref−1)〜(ref−3)のみを酢酸ブチルに溶解させ全固形分濃度3.5質量%とした組成物をシリコンウエハ上に塗布して、100℃で60秒間ベークを行なって形成したそれぞれ膜厚100nmの樹脂膜を、2.38質量%TMAH水溶液に1000秒間浸漬して、該膜が溶け残った場合は残膜厚を測定し、該膜が完全に溶けた場合には、該膜が完全に溶解しきるまでの時間から平均溶解速度(nm/秒)を算出した。結果測定はQCMを使用して室温(25℃)で行った。
合成例 酸発生剤の合成
・化合物(PAG−4)
トリフェニルスルホニウムヨージド 5.07g(13mmol)、酢酸銀 2.25g(13.5mmol)、アセトニトリル120mL、水60mLを加え室温で1時間攪拌した。反応溶液を濾過し、トリフェニルスルホニウムアセテート溶液を得た。
窒素気流下1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルジフロリド28.0g(88.55mmol)、トリエチルアミン17.92g(177.1mmol)、ジイソプロピルエーテル210mLを氷冷し、これにピペリジン7.56g(88.2mmol)とジイソプロピルエーテル105mLの混合溶液を30分かけて滴下した。氷冷下1時間攪拌し、更に室温で1時間攪拌した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液、水で順次洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を除去し、エタノール140mL、水酸化ナトリウム1400mgを加え室温で2時間攪拌した。希塩酸を加え反応溶液を中和し、スルホン酸エタノール溶液を得た。
上記スルホン酸溶液にトリフェニルスルホニウムアセテート溶液を加え室温で2時間攪拌した。クロロホルム2100mLを加え、有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液、水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(SiO、クロロホルム/メタノール=5/1)により精製して下式(PAG−4) 21.0g(32.76mmol)を白色固体として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.64(bs,6H),3.29(bs,2H),3.64(bs,2H),7.70(m,15H)
19F−NMR(300MHz,CDCl)δ−111.1(t,2F),−114.3(t,2F),−119.4(m,2F)
同様にして、下式の光酸発生剤(PAG−1)〜(PAG−3)、(PAG−5)〜(PAG−9)、及び上記化合物(PA)に相当する化合物(PA−105)を合成した。
<レジスト組成物の調製>
下記表3に示す成分を表3に示す溶剤に溶解させ全固形分濃度3.5質量%とし、それぞれを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、レジスト組成物Ar−01〜Ar−34、ref−Ar−01〜ref−Ar−03を調製した。
表3における略号は、次の通りである。
Amine−1〜Amine−6:各々下記化合物を示す。
X−1〜X−6:各々下記化合物を示す。
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2:γ−ブチロラクトン
A3:シクロヘキサノン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2:乳酸エチル
調製したレジスト組成物を用い、下記の方法でレジストパターンを形成した。
〔実施例(A−1)〕
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−01を塗布し、100℃で、60秒間ベーク(PB)を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハを、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。その後105℃で、60秒間加熱(PEB)した後、表4に記載の現像液で30秒間現像し、表4に記載のリンス液でリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させた後に、90℃60秒間ポストベークをすることにより、ピッチ150nm、線幅75nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターンを得た。
〔実施例(A−2)〜(A−34),参考例(A−1)〜(A−3)、比較例(A−1)〕
表4に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例(A−1)の方法と同様にして、ピッチ150nm、線幅75nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターンを得た。なお、表4中、TMAHは、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を意味する(表5〜7も同様)。
〔実施例(B−1)〕
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−1を塗布し、100℃で、60秒間ベーク(PB)を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハをArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100)を用い、ライン幅90nmの露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、第1のパターン露光を行った。次いで、同マスクを、第1の露光と直交する方向に回転し、これを介して、第2のパターン露光を行った。その後105℃で、60秒間加熱(PEB)した後、表5に記載の現像液で30秒間現像し、表5に記載のリンス液でリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させた後に、90℃60秒間ポストベークをすることにより、ピッチ180nm、孔径90nmのホールパターンを得た。
〔実施例(B−2)〜(B−34),参考例(B−1)〜(B−3)、比較例(B−1)〕
表5に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例(B−1)の方法と同様にして、ピッチ180nm、孔径90nmのホールパターンを得た。
〔実施例(C−1)〕
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−01を塗布し、100℃で、60秒間ベーク(PB)を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、パターン露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後105℃で、60秒間加熱(PEB)した後、表6に記載の現像液で30秒間現像し、表6に記載のリンス液でリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させた後に、90℃60秒間ポストベークをすることにより、ピッチ110nm、線幅55nmのパターンを得た。
〔実施例(C−2)〜(C−34),参考例(C−1)〜(C−3)、比較例(C−1)〕
表6に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例(C−1)の方法と同様にして、ピッチ110nm、線幅55nmのパターンを得た。
〔実施例(D−1)〕
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−1を塗布し、100℃で、60秒間ベーク(PB)を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハをArF液浸エキシマレーザースキャナー(ASML社製 XT1700i)を用い、ライン幅55nmの露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、第1のパターン露光を行った。次いで、同マスクを、第1の露光と直交する方向に回転し、これを介して、第2のパターン露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後105℃で、60秒間加熱(PEB)した後、表に記載の現像液で30秒間現像し、表7に記載のリンス液でリンスした後、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させた後に、90℃60秒間ポストベークをすることにより、ピッチ110nm、孔径55nmのホールパターンを得た。
〔実施例(D−2)〜(D−34),参考例(D−1)〜(D−3)、比較例(D−1)〕
表7に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例(D−1)の方法と同様にして、ピッチ110nm、孔径55nmのホールパターンを得た。
<評価方法>
〔露光ラチチュード(EL)〕
実施例及び比較例の各例において前述したサイズのレジストパターンを形成する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが当該サイズの±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光ラチチュード(EL)が良好である。
〔ラインウィズスラフネス(LWR)〕
実施例(A−1)〜(A−34),参考例(A−1)〜(A−3),比較例(A−1),実施例(C−1)〜(C−34),参考例(C−1)〜(C−3),比較例(C−1)の各例において前述したサイズのラインパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察し、ラインパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その標準偏差から3σを算出することで測定した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔クリティカルディメンジョン均一性(CDU)〕
実施例(B−1)〜(B−34),参考例(B−1)〜(B−3),比較例(B−1),実施例(D−1)〜(D−34),参考例(D−1)〜(D−3),比較例(D−1)の各例において前述したサイズのホールパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察し、90個のホールパターンの直径を測定し、その標準偏差から3σを算出することで測定した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
表4〜7において、PBは露光前の加熱を、PEBは露光後の加熱を意味する。また、PB、PEBの欄において、例えば“100℃60s”は、100℃,60秒間の加熱を意味する。現像液A1、A2、A3、B1、B2は、前記した溶剤を表す。
また、現像液(2)の欄に溶剤の記載がある場合は、現像液として、表4〜7における現像液(1)及び現像液(2)の欄に記載の溶剤を、表4〜7に示す溶剤比(質量比)で用いたことを意味する。同様に、リンス液(2)の欄に溶剤の記載がある場合は、リンス液として、表4〜7におけるリンス液(1)及びリンス液(2)の欄に記載の溶剤を、表4〜7に示す溶剤比(質量比)で用いたことを意味する。
表4〜7から、有機溶剤を含む現像液で本発明のレジスト組成物を現像することにより、LWR及びCDUに優れるとともに、さらにELに非常に優れた、高精度な微細パターンを安定的に形成できることは明らかである。

Claims (14)

  1. (ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
    (イ)該膜を露光する工程、及び、
    (ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
    を含むパターン形成方法であって、
    前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する樹脂であることを特徴とするパターン形成方法。

    一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは非芳香族環状有機基を有する基を表す。
  2. (ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
    (イ)該膜を露光する工程、及び、
    (ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
    を含むパターン形成方法であって、
    前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とするパターン形成方法。
  3. (ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
    (イ)該膜を露光する工程、及び、
    (ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
    を含むパターン形成方法であって、
    前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とするパターン形成方法。
  4. (ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、
    (イ)該膜を露光する工程、及び、
    (ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、
    を含むパターン形成方法であって、
    前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はビニルエーテル基であり、
    前記現像液が、エステル系溶剤を含有する現像液であることを特徴とするパターン形成方法。
  5. 前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、
    前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  7. 前記膜を露光する工程における露光が液浸露光であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成されたパターン。
  9. (ア)(A)非芳香族環状有機基を有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)架橋剤、を含む化学増幅型レジスト組成物により膜を形成する工程、(イ)該膜を露光する工程、及び、(ウ)有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程、を含むパターン形成方法に供せられる化学増幅型レジスト組成物であって、
    前記樹脂(A)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を含有しない樹脂であり、
    前記樹脂(A)が実質的にアルカリ不溶性であり、
    前記化学増幅型レジスト組成物が、下記式(B)〜(D)の少なくともいずれかで示される構造を有する塩基性化合物、アニリン構造を有する塩基性化合物、及び、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物、の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化学増幅型レジスト組成物。

    一般式(1)中、Xaは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。Rは非芳香族環状有機基を有する基を表す。
  10. 前記架橋剤(C)が、2個以上の架橋性基を有し、
    前記2個以上の架橋性基の各々が、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、ビニルエーテル基又はエポキシ基であることを特徴とする請求項9に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  11. 前記樹脂(A)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  12. 前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  13. 前記樹脂(A)中の繰り返し単位のうち、酸基を有する繰り返し単位が10モル%以下であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  14. 請求項9〜13のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物により形成されたレジスト膜。
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