JP5612427B2 - トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
a)化合物(1)又は(2)がシランカップリング剤と結合し、該シランカップリング剤とシリカとの結合を仲介する。
b)化合物(1)又は(2)が加硫(架橋)促進剤と結合し、該加硫促進剤とゴム成分との結合を仲介する。
c)上記a)及びb)の両方。
上記式(I)において、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又は炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。R1〜R4が表す直鎖若しくは分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、オクタデシル基等が挙げられ、一方、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、ゴム組成物中で分散し易く、かつ製造が容易であるという点から、R1〜R4は、炭素数2〜8の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましく、2−エチルヘキシル基、n−ブチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−オクチル基であることがより好ましい。
上記式(II)において、R5〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又は炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。R5〜R8が表す直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基の具体例としては、R1〜R4の場合と同様のものが挙げられる。なかでも、ゴム成分中で分散し易く、かつ製造が容易であるという点から、R5〜R8は、炭素数2〜8の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましく、n−ブチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−オクチル基であることがより好ましい。
第一〜第三の本発明に配合するゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等を使用することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、カーボンブラック、シリカ、オイル、架橋剤を分散させ易く、かつ耐疲労性及びウェットグリップ性能に優れるという点から、SBR、BRが好ましく、SBRがより好ましい。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、1H−NMR測定によって算出される。
化合物(1)は、亜鉛華と併用することにより、架橋促進作用を高めることができる。これは、製造工程において、化合物(1)と亜鉛華とを混練りすることにより、化合物(1)と亜鉛華中の亜鉛とが結合し、化合物(2)に類似した構造が形成されるためではないかと推測される。
化合物(2)は、化合物(1)よりも優れた架橋促進作用を有していることから、架橋剤である硫黄を減量し、耐摩耗性及び破断時伸びをより改善することができる。第二の本発明のゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1.1質量部以下、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0質量部(含有しない)である。同様に、第三の本発明のゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.4質量部以下、更に好ましくは1.2質量部以下、特に好ましくは1.0質量部以下である。
第一〜第三の本発明のゴム組成物は、一般的な加硫促進剤(TBBS、CBS、DPG、TBZTD)を配合してもよい。しかしながら、化合物(1)及び(2)は活性が高いため、配合すると混練り工程でゴム焼け(変色)が発生し易く、かつ架橋密度が高くなる傾向がある。したがって、第一〜第三の本発明のゴム組成物は、一般的な加硫促進剤を減量することが好ましい。具体的には、第一〜第三の本発明のゴム組成物において、一般的な加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。また、第二及び第三の本発明のゴム組成物は、化合物(1)よりも活性が高い化合物(2)を含有しているため、一般的な加硫促進剤を少量含むのみでよい。
第一〜第三の本発明のゴム組成物は、シリカを含有することが好ましい。これにより、補強性を高めながら、転がり抵抗特性をより改善することができる。シリカとしては、例えば、湿式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたシリカなどが挙げられるが、特に制限はない。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
第一〜第三の本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の混練機で上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを製造することができる。
BR:宇部興産(株)製のBR150B
変性S−SBR:JSR(株)製のHPR355(3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて変性、スチレン含有量:27質量%)
NR:TSR20
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220
オイル:(株)ジャパンエナジー製のTDAEオイル
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤6PPD:住友化学(株)製のアンチゲン6C
老化防止剤TMQ:FLEXSYS(株)製のFLECTOL TMQ
ステアリン酸:日油(株)製の椿
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の5%オイル含有粉末硫黄(以下に示す表1〜3では、硫黄分のみの質量を記載)
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N−ジフェニルグアニジン)
架橋助剤SDT−50:ラインケミー社製のSDT−50(式(I)で表される化合物(1)、R1〜R4:2−エチルヘキシル基、x:1以上、有効成分50質量%)
架橋助剤SDT−50類似品:試作品(式(I)で表される化合物(1)、R1〜R4:n−ブチル基、x:1以上、有効成分50質量%)
架橋助剤TP−50:ラインケミー社製のTP−50(式(II)で表される化合物(2)、R5〜R8:n−ブチル基、有効成分50質量%)
架橋助剤ZBOP−50:ラインケミー社製のZBOP−50(式(II)で表される化合物(2)、R5〜R8:アルキル基、有効成分50質量%)
表1〜3の配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、配合量の2/3のシリカと、硫黄、加硫促進剤及び架橋助剤以外の薬品とを排出温度150℃の条件で混練りした後、シリカの残部を添加し、排出温度150℃の条件で更に混練りし、混練り物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及び架橋助剤を添加し、100℃の条件下で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃の条件下で12分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を得た。
なお、加硫促進剤の量は、各配合で硬度(Hs)が同程度となるように調節した。
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪2%及び周波数10Hzの条件下で、40℃における上記加硫ゴム組成物の複素弾性率E*及び損失正接tanδを測定した。なお、E*が大きいほど、操縦安定性に優れることを示し、tanδが小さいほど、転がり抵抗特性に優れる(転がり抵抗が低い)ことを示す。
上記試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面において、速度100km/hでブレーキをかけた地点からの制動距離を測定した。そして、比較例1の制動距離を100とし、下記計算式により、各配合のウェットグリップ性能を指数表示した。ウェットグリップ性能指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
上記加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を実施し、破断時伸びEB(%)を測定した。EBが大きいほど、耐チップカット性に優れることを示す。
上記試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行させ、約30000km走行した後のパターン溝深さの減少量を求めた。そして、比較例1の減少量を100とし、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の減少量)/(各配合の減少量)×100
Claims (7)
- シリカを含む請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分が、変性スチレンブタジエンゴムを含む請求項1又は2記載のトレッド用ゴム組成物。
- ゴム成分100質量部に対して、
前記化合物(1)の含有量が0.2〜15質量部であり、
前記化合物(2)の含有量が0.2〜15質量部であるトレッド用ゴム組成物。 - 前記ゴム成分100質量部に対して、
酸化亜鉛の含有量が1.0質量部以下であり、
ジフェニルグアニジンの含有量が0.5質量部以下である請求項5記載のトレッド用ゴム組成物。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
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