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JP5608984B2 - 開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法 - Google Patents

開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼管の突き合わせ部外周面に形成される開先部における最深位置を検出する開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法に係り、特に、スパイラル溶接鋼管の造管工程に適用して、内面溶接後の外面開先部の開先最深部に代表される最適溶接位置としての開先部最深位置を検出し、その検出位置に、外面溶接機の芯線の位置を自動的に追従させる上で好適に用い得る開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法に関する。
例えば、スパイラル溶接鋼管の造管工程において、端面突き合わせ後の開先部の深さを測定することは、溶け込み不足と呼ばれる重欠陥を低減するために重要である。
また、内面溶接後の外面開先部の位置を外面溶接機の直前で検出することは、外面溶接機の芯線の位置を開先部に倣わせることができるため、内面溶接部と外面溶接部とが溶け込み合い、溶接部の品質を確保するとともに、自動化を達成する上で大変重要である。
ここで、従来の開先位置の検出方法としては、機械的方法や光学的方法などがある。
機械的方法としては、例えば図6に示すように、接触式の触覚センサ100を使用して、鋼管Kの突き合わせ部Ktに形成された開先部Ksに触覚センサ100を当接させて開先部Ksの形状を検出する方法が知られている。しかし、この方法では、触覚センサ100を別途使用するため、装置の構造が複雑になりやすい。また、鋼管Kの内面溶接工程における突き合わせのずれ(図7に示す径方向の段付き状態)が発生した場合、開先部KsにオフセットΔWが発生する。さらに、板厚の薄い材料(開先部Ksが狭いものや、鋼管外面に開先加工を実施しないもの)では、倣いロールが開先部Ksに入らずに測定ができないという問題がある。
特開昭55−50984号公報 特開平6−344145号公報 特開昭61−27178号公報
これに対し、光学的方法としては、図8に示すように、光源101からのスリット光Slをカメラ102で撮像する光切断法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、開先部は外面開先加工(研磨)によって反射率が高くなっている(開先部は、大きなもので深さが9mm(幅18mm)程度)。そのため、開先部の下部から中心部にかけては、多重反射によって不要な反射像が生じる。これは、開先部の下部において反対面の開先の壁にスリット光Slが反射して本来の像とは異なる光(虚像)が発生するからである。そのため、外面開先加工をしている面では、その反射率が高く、どこが本来の光切断線であるのかが判らないという問題がある。
そこで、虚像ができないようにスリット光Slの強度を落とすことも考えられるが、この場合、開先部の下部の虚像はなくなるものの、その他の部分では、スリット光Slの強度が低くなってしまい、光切断線がとぎれとぎれになって、正確な光切断線を得ることが困難であった(例えば特許文献2参照)。
他方、特許文献3には、図9に示すように、光源103からのスポット光Plを回転ミラー(振動ミラー)104で操作する方法が開示されている。しかし、鋼管Kのエッジ部分は、溶接シーム領域での屋根化(外側に膨らむ状態)を防止するために、エッジ部分をプリベンド(予め内向きに曲げておく)したプリベンド部Bを有しており(図10参照)、突き合わせ部の突き合わせ状態に応じて、プリベンド部Bが開先部Ksに現れたり現れなかったりする。そのため、外面開先加工による開先部Ksとプリベンド部Bとの切り分けが難しいという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、鋼管の突き合わせ部外周面に形成される開先部における最深位置を精度良く検出し得る開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の態様は、鋼管の突き合わせ部外周面に形成される溶接前の開先部における最深位置を検出する開先部最深位置検出装置であって、前記開先部に対向配置されてこれにレーザ光をスポット照射する投光部と、照射されたレーザ光の反射光を検出して受光素子上に結像させる受光部とを有し、該受光素子で受光した前記反射光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、前記反射光の前記受光素子上の結像位置に基づいてその位置での開先部深さを計測するスポット型レーザ距離計と、該スポット型レーザ距離計を前記開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させる駆動機構と、該駆動機構によって駆動された走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得する走査位置情報取得部と、前記スポット型レーザ距離計で計測された開先部深さ情報を取得する開先部深さ情報取得部と、それら取得された開先部深さ情報および走査位置情報に基づいて前記開先部の最深位置を算出する開先部最深位置算出部とを有し、前記スポット型レーザ距離計は、鋼管との対向方向、鋼管の開先部の延設方向、鋼管中心に対する睨み方向および走査方向に沿った方向の少なくとも一つまたは全部について手動で調整可能とされており、前記駆動機構は、前記開先部の深さの状況に対応して予め手動入力にて設定された前記走査方向での前記スポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、前記走査方向に前記スポット型レーザ距離計を移動させることを特徴としている。
第一の態様に係る開先部最深位置検出装置によれば、レーザ光をスポット照射するスポット型レーザ距離計を用いており、このスポット型レーザ距離計は、その照射されたレーザ光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、照射されたレーザ光とその反射光とからその位置での開先部深さを計測するので、従来は多重反射や鏡面反射の影響によって精度良く測定できなかった内面溶接後の外面開先部の開先深さを精度良く検出することができる。
そして、この開先部最深位置検出装置によれば、上記スポット型レーザ距離計を、開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させる駆動機構と、この駆動機構によって駆動された走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得する走査位置情報取得部と、スポット型レーザ距離計で計測された開先部深さ情報を取得する開先部深さ情報取得部と、それら取得された開先部深さ情報および走査位置情報に基づいて開先部の最深位置を算出する開先部最深位置算出部とを有するので、精度良く検出された開先深さのうち、走査方向での開先最深部の位置を確実に検出することができる。
したがって、この開先部最深位置検出装置を、例えば、スパイラル溶接鋼管の造管工程に適用すれば、内面溶接後の外面開先部の開先最深部に代表される最適溶接位置としての開先部最深位置を検出し、外面溶接機の芯線の位置を自動的に追従させる上で好適である。
ここで、第一の態様に係る開先部最深位置検出装置において駆動機構は、開先部の深さの状況に対応して予め手動入力にて設定された走査方向でのスポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、走査方向にスポット型レーザ距離計を移動させるので、駆動機構が走査方向でスポット型レーザ距離計の移動速度を、鋼管の突き合わせ部や前記開先部の深さの状況に応じて変えられる。そのため、開先部の最深位置を精度良く検出する上好適である。例えば、突き合わせ位置が急峻な場合に、予め手動入力にて設定された走査方向でのスポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、移動速度を下げることによって、レーザ光の最適出力調整に必要な時間を確保することにより、測定信号の安定化を図ることができる。
また、本発明のうち第二の態様は、鋼管の突き合わせ部外周面に形成される溶接前の開先部における最深位置を検出する方法であって、第一の態様に係る開先部最深位置検出装置を用い、前記開先部の深さの状況に対応して予め手動入力にて設定された前記走査方向での前記スポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、前記スポット型レーザ距離計を前記開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させ、その走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得するとともに、前記受光素子で受光した前記反射光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、前記反射光の前記受光素子上の結像位置に基づいてその位置での開先部深さを求め、その求めた開先部深さ情報および前記求めた走査位置情報に基づいて前記開先部の最深位置を検出することを特徴としている。
第二の態様に係る開先部最深位置検出方法によれば、レーザ光をスポット照射するスポット型レーザ距離計を用い、その照射されたレーザ光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、照射されたレーザ光とその反射光とからその位置での開先部深さを計測するので、従来は多重反射や鏡面反射の影響によって精度良く測定できなかった内面溶接後の外面開先部の開先深さを精度良く検出することができる。
そして、この開先部最深位置検出方法によれば、スポット型レーザ距離計を開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させ、この走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得するとともに、照射されたレーザ光とその反射光とからその位置での開先部深さを求め、その求めた開先部深さ情報および前記求めた走査位置情報に基づいて開先部の最深位置を検出するので、精度良く検出された開先深さのうち、走査方向での開先最深部の位置を確実に検出することができる。したがって、この開先部最深位置検出方法を、例えば、スパイラル溶接鋼管の造管工程に適用すれば、内面溶接後の外面開先部の開先最深部に代表される最適溶接位置としての開先部最深位置を検出し、外面溶接機の芯線の位置を自動的に追従させる上で好適である。
上述のように、本発明に係る開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法によれば、鋼管の突き合わせ部外周面に形成される開先部における最深位置を精度良く検出することができる。
本発明に係る開先部最深位置検出装置の正面図である。 本発明に係る開先部最深位置検出装置の右側面図である。 開先部最深位置検出処理の一例を示すフローチャートである。 検出された開先部のプロフィルの一例を示す図である。 検出された開先部のプロフィルの一例を示す図である。 従来の開先部最深位置検出装置(機械的方法)の一例を説明する図である。 図6の例で、オフセットが発生した場合を説明する図である。 従来の開先部最深位置検出装置(スリット光を用いた光切断法)の一例を説明する図である。 従来の開先部最深位置検出装置(スポット光を回転ミラーで操作する方法)の一例を説明する図である。 鋼管の突き合わせ部での、開先部とプリベンド部とを説明する図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。ここで、本実施形態は、スパイラル溶接鋼管(以下、単に「鋼管」ともいう)の造管工程に適用し、内面溶接後の外面開先部での、開先最深部に代表される最適溶接位置としての開先部最深位置を検出し、その検出位置に、外面溶接機の芯線の位置を自動的に追従させるようにした例である。
図1に示すように、この開先部最深位置検出装置1は、外面溶接機の溶接機ヘッドHに装着されて用いられる。この開先部最深位置検出装置1は、スポット型レーザ距離計3を内蔵した検出ヘッド2と、この検出ヘッド2を支持する支持部14とを備えており、支持部14が、固定用ボルト(図2参照)を介して溶接機ヘッドHに装着されている。
詳しくは、図1に示すように、この支持部14は、その正面視が略T字状の固定ベース6を有し、この固定ベース6が、上記固定用ボルト12先端に固定されている。そして、この固定ベース6は、図2に示すように、図1の紙面後方に張り出す腕部6aを有し、この腕部6aに、スライドベース7が固定されている。このスライドベース7は、略矩形枠型をなして上下に延びる板部材であり、その上下の端部は、図1に示すように、水平方向に向けて互い違いに張り出した張り出し部7a,7bを有している。
スライドベース7上方の張り出し部7aには、上下に長いねじ部8aを有する高さ調節ノブ8がそのノブを上にして連結されている。そして、この高さ調節ノブ8のねじ部8aの先端側は、上記固定ベース6の腕部6aに螺着されており、また、スライドベース7(張り出し部7a)は、上記高さ調節ノブ8に、その回動を自在に且つ軸方向のスライド移動が拘束された状態で連結されている。これにより、高さ調節ノブ8を手でまわすと、固定ベース6に対してスライドベース7がねじに導かれてスライド移動し、鋼管Kとの対向方向(上下方向)の位置を調節できるようになっている。
さらに、スライドベース7下方の張り出し部7bには、その底面に、連結ブラケット9が連結ボルト17で固定されている。ここで、この張り出し部7bには、鋼管Kの開先部Ksの延設方向(前後方向であって、図1での紙面の直交方向)に沿って長穴(不図示)が形成されており、これにより、この長穴の延設方向(前後方向)に、上記連結ボルト17の締結を緩めることによって、スライドベース7に対して連結ブラケット9をスライド移動可能になっている。
この連結ブラケット9は、図1に示すように、その正面視が略コ字状をなし、その略コ字状をなす一対の腕部9aが鋼管Kに対向する側(図1の下側)に向けて張り出している。そして、この連結ブラケット9の凹部9bには、角度調整ブロック10が摺動しつつ回動可能なように、一対の腕部9a同士の間に、僅かな隙間をもって下方から嵌め込まれており、さらに、連結ブラケット9および角度調整ブロック10は、角度調整ブロック10の回動支軸となる回動支軸ボルト16によって相互に連結されている。
角度調整ブロック10は、その下端部が、連結ブラケット9よりも下方に張り出しており、その先端部が略尖頭状をなすヘッド装着部10aになっている。そして、このヘッド装着部10aに、上記検出ヘッド2のヘッドブラケット5が連結されている。これにより、上記回動支軸ボルト16を緩めることによって回動支軸ボルト16まわり(鋼管K中心に対する睨み方向であって、図2に示すθ方向)に角度調整ブロック10を回動させることで、角度調整ブロック10と一体の検出ヘッド2を回動可能になっている。
また、ヘッドブラケット5は、図1に示すように、同図左右に延びる長穴5aを角度調整ブロック10との連結部分に有している。そして、この長穴5aに角度調整ブロック10のヘッド装着部10aがヘッド固定ボルト18で固定されており、これにより、ヘッド固定ボルト18の締結を緩めることによって、角度調整ブロック10に対して長穴5aの延設方向(走査方向Sに沿った方向であって、左右方向)に沿って検出ヘッド2をスライド移動可能になっている。このように、上記支持部14は、検出ヘッド2の位置を、鋼管Kとの対向方向(上下方向)、鋼管Kの開先部Ksの延設方向(前後方向)、鋼管K中心Cに対する睨み方向(θ方向)および走査方向Sに沿った方向(左右方向)のそれぞれについて調整できるため、図2に示すように、鋼管K中心線CLに対する位置(W)や姿勢を、種々の寸法の鋼管K(R1,R2,R3)に対して最適になるように設置可能になっている。
そして、検出ヘッド2は、図1に示すように、そのヘッドブラケット5が略直方体状の箱形をなし、その内部には、スポット型レーザ距離計3と、このスポット型レーザ距離計3を、開先部Ksの延設方向に対して直交方向を走査方向Sとして移動させる駆動機構4とが内蔵されている。
駆動機構4は、電動シリンダ4aと、この電動シリンダ4aのシリンダヘッド4bに連結されてそのスライド駆動を案内するように電動シリンダ4aに並設された直動案内機構4sとを有して構成されている。シリンダヘッド4bには、その側面(図1での左側の面)に、スポット型レーザ距離計3が固定されている。この電動シリンダ4aは、後述するコントローラ20との間で信号を授受可能に接続され、コントローラ20からの指令に応じてシリンダヘッド4bの移動速度を変えることが可能なものを用いている。また、シリンダヘッド4bの後端部には、位置検出器4cが付設されており、基準端(例えばシリンダヘッド4bの最大張り出し位置)から反対側の端(例えばシリンダヘッド4bの最大引き込み位置)までのシリンダヘッド4bのスライド方向での位置情報(走査位置情報)をコントローラ20に随時出力可能である。
そして、この電動シリンダ4aは、ケーブル4dを介してコントローラ20(図2参照)に接続されており、上記走査位置情報がコントローラ20に送られるとともに、コントローラ20側から、電源および駆動に必要な指令が供給されるようになっている。
また、スポット型レーザ距離計3は、不図示の投光部と受光部とを有し、投光部から半導体レーザ光を、鋼管Kの突き合わせ部Ktの外周面に形成される開先部Ksにスポット照射し、その照射されたレーザ光Lの反射光を、受光部のCCD(受光素子)上に結像させ、これにより三角測量方式で検出可能に構成されている。すなわち、対象物までの距離が変動すると、集光される反射光の角度が変わり、それに伴ってCCD上に結像される位置が変化する。この変化が対象物までの距離と比例するため、当該レーザ距離計内のCPUによってCCD上の結像位置の変化量を読みとり、これに基づいてその位置に対応する開先部深さ値(開先部深さ情報)を計測するようになっている。
なお、このスポット型レーザ距離計3で計測される開先部深さ値は、サンプリングされた複数の開先部深さ値の平均値として取得しており、これによりノイズを抑えて測定精度を向上させている。さらに、このスポット型レーザ距離計3は、CCDで検出された反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を、自身内部のアンプ部(不図示)で変えるようになっている。つまり、CCDで検出された反射光量が少ないときにはレーザ照射強度を上げ、検出された反射光量が多いときにはレーザ照射強度を下げるようにレーザ照射強度が制御されており、これにより、外面開先加工(研磨)によって鏡面状となっている開先部Ksの表面に対して、その表面状態によらず安定した反射光量を得ており、測定精度を向上させている。さらに、走査方向Sでのスポット型レーザ距離計3の移動速度(検出ヘッド2の移動速度)を、鋼管Kの突き合わせ部Ktや開先部Ksの深さの状況に応じて変えることで、測定精度を一層向上させている。
ここで、上記「深さの状況に応じて変える」方法としては、鋼管Kの突き合わせ部Ktや開先部Ksの深さの測定結果に基づいて、コントローラ20が自動的に検出ヘッド2の移動速度を変えるように構成することができる。また、通常、板厚によって開先部Ksの深さはおおよそ決まっているため、予め設定された所定範囲毎に、対応する移動速度を設定しておき、この設定値を、予めタッチパネルから入力してコントローラ20に与え、コントローラ20から駆動機構4に検出ヘッド2の移動速度の指示を出すように構成してもよい。なお、予め設定された所定範囲、およびこれに対応する移動速度の設定としては、通常材(板厚20mm以下、開先深さ5mm以下)のときは、検出ヘッド2の移動速度を50mm/sとし、板厚が20mmを超えるときは、検出ヘッド2の移動速度を20mm/sとする、という設定を例示できる。
そして、このスポット型レーザ距離計3も、ケーブル4dを介してコントローラ20に接続されており、このスポット型レーザ距離計3で取得された開先部深さ情報がコントローラ20に送られるとともに、コントローラ20側から、電源および駆動に必要な指令が供給されるようになっている。
ここで、このコントローラ20は、図2にブロック図を示すように、走査位置情報取得部22と、開先部深さ情報取得部24と、開先部最深位置算出部26とを有して構成されている。
詳しくは、コントローラ20は、以下不図示の、所定の制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPUと、CPUの制御プログラム等を所定領域にあらかじめ格納している記憶装置およびROMと、この記憶装置およびROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、開先部最深位置検出装置1のスポット型レーザ距離計3および駆動機構4を含む外部装置に対してデータの入出力を媒介するインターフェースとを備えて構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。そして、CPUは、上記記憶装置やROMの所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って開先部最深位置検出処理を実行するようになっている。
この開先部最深位置検出処理は、図3にフローチャートを示すように、測定指令によりステップS1に移行すると、測定動作条件(各部システム起動状態)のチェックがなされ、動作条件がOKであればステップS2に移行し、NGであれば測定動作条件が成立するまでステップS1で待機する。
ステップS2に移行すると、開先最深値およびその位置が初期値(例えば0)にセットされてステップS3に移行する。ステップS3では、上記駆動機構4により、例えば原点から出側に向かって、スポット型レーザ距離計3を開先部Ksの延設方向に対して直交方向を走査方向Sとして、スポット照射されたレーザ光の反射光量の程度に応じて、スポット型レーザ距離計3によりレーザ照射強度を変えつつ移動を開始させる。
そして、続くステップS4では、その走査方向Sでの位置に対応する走査位置情報を位置検出器4cから取得する。また、続くステップS5では、照射されたレーザ光とその反射光とからその位置での開先部深さがスポット型レーザ距離計3内において(実質的にステップS4と同時に)求められ、その求められた開先部深さ情報が、ケーブル4dを介して随時取得される。ここで、このステップS4が走査位置情報取得部22に対応し、ステップS5が開先部深さ情報取得部24に対応している。
さらに、続くステップS6では、取得された走査位置情報と開先部深さ情報に基づいて開先部Ksの最深位置Kdを算出するようになっている。ここで、このステップS6での開先部最深位置を算出する処理では、登録中の開先部深さ情報と取得された開先部深さ情報とを比較して、(登録中の開先部深さ情報)<(取得された開先部深さ情報)となったときには、(登録中の開先部深さ情報)=(取得された開先部深さ情報)と更新するとともに、登録中の走査位置情報=取得された走査位置情報に更新してステップS7に移行し、そうでないときは、登録中の開先部深さ情報およびこれに対応する走査位置情報を開先部Ksの最深位置Kdとして維持してステップS7に移行する。なお、このステップS6が開先部最深位置算出部26に対応する。
そして、ステップS7では、駆動機構4が出側の移動限に到達したか否かを判断し、到達していれば(YES)ステップS8に移行し、未到達であれば(NO)処理をステップS3に戻す。また、ステップS8では、開先部Ksの測定が全て終了したか否かを判断し、終了していれば(YES)処理を終了し、そうでなければ(NO)処理をステップS2に戻す。
次に、この開先部最深位置検出装置1およびこれを用いた開先部最深位置検出方法の作用・効果について説明する。
この開先部最深位置検出装置1は、レーザ光をスポット照射するスポット型レーザ距離計3を用いており、このスポット型レーザ距離計3は、鋼管Kの突き合わせ部Ktに形成された開先部Ksに向けてレーザ光をスポット照射し、その照射されたレーザ光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、照射されたレーザ光とその反射光とからその位置での開先部深さを計測する。
そのため、この開先部最深位置検出装置1によれば、従来は多重反射や鏡面反射の影響によって精度良く測定できなかった内面溶接後の外面開先部の開先深さを精度良く検出することができる。
そして、この開先部最深位置検出装置1によれば、スポット型レーザ距離計3を、開先部Ksの延設方向に対して直交方向を走査方向Sとして移動させる駆動機構4と、コントローラ20とを備えており、コントローラ20は、駆動機構4によって駆動された走査方向Sでの位置に対応する走査位置情報を取得する走査位置情報取得部22(ステップS4)と、スポット型レーザ距離計3で計測された開先部深さ情報を取得する開先部深さ情報取得部24(ステップS5)と、それら取得された開先部深さ情報および走査位置情報に基づいて開先部Ksの最深位置Kdを算出する開先部最深位置算出部26(ステップS6)とを有するので、スポット型レーザ距離計3で精度良く検出された開先深さのうち、走査方向Sでの開先最深部の位置を確実に検出することができる。図4および図5に、この開先部最深位置検出装置1で検出した開先部Ksのプロフィルの一例をそれぞれ示す。図4および図5から、この開先部最深位置検出装置1によれば、走査方向Sでの開先最深部の位置を精度良く検出できることがわかる。
これにより、スパイラル溶接鋼管の造管工程において、内面溶接後の外面開先部の開先最深部に代表される最適溶接位置としての開先部最深位置を精度良く検出することができる。そして、外面溶接機は、その溶接機ヘッドH側で、予め記憶されている最適溶接位置を、開先部最深位置検出装置1側からの精度良く検出された開先部最深位置になるように制御することにより、外面溶接機の芯線の位置を精度良く自動的に追従させることができる。
以上説明したように、この開先部最深位置検出装置1およびこれを用いた開先部最深位置検出方法によれば、鋼管Kの突き合わせ部外周面に形成される開先部における最深位置を精度良く検出することができる。
なお、本発明に係る開先部最深位置検出装置および開先部最深位置検出方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、開先部最深位置検出装置1が、検出ヘッド2を支持する支持部14を備え、この支持部14は、調整機構を有する例で説明したが、これに限らず、鋼管Kが限定され得る場合であれば、調整機構を有しない構造としてもよい。しかし、例えば図2に示すように、鋼管K中心線CLに対する位置(W)や姿勢を、種々の寸法の鋼管K(R1,R2,R3)に対して最適になるように設置可能とする上では、上記実施形態のように、検出ヘッド2の位置を、鋼管Kとの対向方向(上下方向)、鋼管Kの開先部Ksの延設方向(前後方向)、鋼管K中心に対する睨み方向(θ方向)および走査方向Sに沿った方向(左右方向)の少なくとも一つまたは全部について調整可能とすることは好ましい。
1 開先部最深位置検出装置
2 検出ヘッド
3 スポット型レーザ距離計
4 駆動機構
5 ヘッドブラケット
6 固定ベース
7 スライドベース
8 高さ調節ノブ
9 連結ブラケット
10 角度調整ブロック
12 固定用ボルト
14 支持部
16 回動支軸ボルト
17 連結ボルト
18 ヘッド固定ボルト
20 コントローラ
22 走査位置情報取得部
24 開先部深さ情報取得部
26 開先部最深位置算出部
H 溶接機ヘッド
K 鋼管
Kt 突き合わせ部
Ks 開先部
Kd 最深位置
L レーザ光
S 走査方向

Claims (2)

  1. 鋼管の突き合わせ部外周面に形成される溶接前の開先部における最深位置を検出する開先部最深位置検出装置であって、
    前記開先部に対向配置されてこれにレーザ光をスポット照射する投光部と、照射されたレーザ光の反射光を検出して受光素子上に結像させる受光部とを有し、該受光素子で受光した前記反射光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、前記反射光の前記受光素子上の結像位置に基づいてその位置での開先部深さを計測するスポット型レーザ距離計と、該スポット型レーザ距離計を前記開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させる駆動機構と、該駆動機構によって駆動された走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得する走査位置情報取得部と、前記スポット型レーザ距離計で計測された開先部深さ情報を取得する開先部深さ情報取得部と、それら取得された開先部深さ情報および走査位置情報に基づいて前記開先部の最深位置を算出する開先部最深位置算出部とを有し、
    前記スポット型レーザ距離計は、鋼管との対向方向、鋼管の開先部の延設方向、鋼管中心に対する睨み方向および走査方向に沿った方向の少なくとも一つまたは全部について手動で調整可能とされており、
    前記駆動機構は、前記開先部の深さの状況に対応して予め手動入力にて設定された前記走査方向での前記スポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、前記走査方向に前記スポット型レーザ距離計を移動させることを特徴とする開先部最深位置検出装置。
  2. 鋼管の突き合わせ部外周面に形成される溶接前の開先部における最深位置を検出する方法であって、
    請求項1に記載の開先部最深位置検出装置を用い、
    前記開先部の深さの状況に対応して予め手動入力にて設定された前記走査方向での前記スポット型レーザ距離計の移動速度に基づいて、前記スポット型レーザ距離計を前記開先部の延設方向に対して直交方向を走査方向として移動させ、その走査方向での位置に対応する走査位置情報を取得するとともに、前記受光素子で受光した前記反射光の反射光量の程度に応じてレーザ照射強度を変えつつ、前記反射光の前記受光素子上の結像位置に基づいてその位置での開先部深さを求め、その求めた開先部深さ情報および前記求めた走査位置情報に基づいて前記開先部の最深位置を検出することを特徴とする開先部最深位置検出方法。
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