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JP5693938B2 - 乳汁中の特定物質を検出する方法 - Google Patents

乳汁中の特定物質を検出する方法 Download PDF

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JP5693938B2 JP2010275384A JP2010275384A JP5693938B2 JP 5693938 B2 JP5693938 B2 JP 5693938B2 JP 2010275384 A JP2010275384 A JP 2010275384A JP 2010275384 A JP2010275384 A JP 2010275384A JP 5693938 B2 JP5693938 B2 JP 5693938B2
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Description

本発明は、抗原抗体反応を利用して乳汁中の物質を検出するためのイムノクロマトグラフ方法及びイムノクロマトグラフ装置に関する。
牛、羊、ヤギに代表される家畜の乳汁は無菌なものではなく、疾患や環境が原因で何らかの微生物が混入している場合がある。特に微生物の感染による疾患ではしばしば乳汁中に多くの微生物を排菌することが知られている。微生物の感染が原因で引き起こされる代表的な家畜の疾患に乳房炎がある。
乳房炎とは、乳管系、乳腺組織の炎症であり、主に微生物が乳房内に侵入・定着し、増殖することによって引き起こされる。乳房炎は多くの動物が罹患するが、特に乳牛における牛乳房炎は乳牛全体の15〜40%が罹患すると言われ、酪農家にとって極めて重要な疾患の一つである。乳牛が乳房炎に罹患すると、乳汁の合成機能が阻害され、泌乳量の減少や場合によっては泌乳の停止が起こるだけでなく、治療費や、乳価のペナルティーなど多大な経済的損失を酪農家に与える。さらには、伝染防止のために乳房炎罹患分房を個別に搾乳するなど、酪農家にかかる労働負担も増加する。
乳房炎は様々な微生物の感染によって引き起こされるが、原因菌によって効果を示す抗生物質が異なる、また、特定の微生物では他の分房や個体に伝染するなど性質やその後の対応が異なることから、乳汁中に存在する原因菌を迅速・簡便に同定することが極めて重要となる。
感染症の原因菌の同定方法としては、培養法、遺伝子による同定法、および抗原抗体反応による同定法が知られている。現在行われている家畜の乳房炎の原因菌の同定法は培養法が中心であるが、操作が煩雑なうえ、結果が得られるのに数日間を要するという問題がある。また、遺伝子増幅法(PCR法)による特定遺伝子の検出に基づく同定方法も報告されている(非特許文献1)。この方法では約1日で結果が得られるものの、やはり特別な機器や手技を要するという問題がある。近年では、抗原抗体反応に基づいて表面プラズモン共鳴(SPR)により、乳房炎の原因菌の一つである黄色ブドウ球菌や大腸菌を検出する装置が開発されている(非特許文献2)。これは、それぞれの細菌に特異的な抗原に対する抗体を作製し、この抗体をSPRチップ上に固定して使用する。この方法では、迅速に特定の原因菌を検出できるものの、特別な装置が必要なため、酪農現場等での測定が困難である。
一方、血液や尿などの生体試料に対して、家庭や診察室で迅速・簡便に測定できるイムノクロマトグラフ法を用いた簡易測定装置(イムノクロマトグラフ装置)が普及している(例えば、特許文献1参照)。この方法は、金コロイドなどの着色粒子を標識した測定対象物質(抗原)に特異的な抗体等を含有した試験紙と測定対象物質を捕捉する抗体を固定化した多孔性のメンブレンが連結した試験片を用いる。測定対象物質を含む検体を滴下すると、測定対象物質は着色粒子を標識した抗体あるいは多孔性メンブレン上に固定化した抗体と結合し、メンブレン上に目視で判別可能なライン等が出現する。したがって、このライン等の有無を確認することで測定物質の有無を検出することができる。しかしながら、家畜の乳汁に対して、酪農現場で迅速・簡便に測定できるイムノクロマトグラフ法を用いた簡易測定装置は提案されていなかった。
特開平1-244370号公報
J.Dairy.Sci. 84: 74-83 JRA先進的家畜管理システム実用化報告書(平成18-20年度)p58-65
本発明は、抗原抗体反応を利用して家畜の乳汁中の物質を検出するためのイムノクロマトグラフ方法及びイムノクロマトグラフ装置を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者は、乳房炎の原因菌をイムノクロマトグラフ装置を用いて抗原抗体反応により同定することを検討した。しかしながら、実際に本発明者が、乳汁を試料としたイムノクロマトグラフ法で微生物を検出できるかどうかを検討したところ、イムノクロマトグラフ装置の試験片上で抗原抗体反応が進行しないことが判明した。本発明者は、試験片上で抗原抗体反応が円滑に進行しない原因を調査した結果、乳汁中に含まれる多量の乳脂肪球が多孔性のメンブランが連結したイムノクロマトグラフ装置の試験片に詰まり、液が十分に流れないことが原因でないかと考えた。通常、イムノクロマトグラフ装置においては、展開液による輸送と抗原抗体反応の速度を適切にするために、数10〜数100nm程度の孔径を有する試験片が使用されている。これに対して、生乳の場合は、1〜10数μm前後の粒径の乳脂肪球が多数存在する(市販の牛乳等では、生乳中の乳脂肪球を均質化して1μm以下としている)。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イムノクロマトグラフ法で使用する試験片の上流側で乳汁中の乳脂肪球をトラップすることによって、乳汁中の特定の物質をイムノクロマトグラフ法にて測定することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 乳汁中の特定物質を検出するためのイムノクロマトグラフ方法であって、
(1)該特定物質に対する標識された第一の抗体または標識された該特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片に対して、該乳汁を該第3部分又はそれより上流部に接触させる工程;及び
(2)該乳汁を該第2部分又はそれより下流部まで流し、該第2部分又はそれより下流部で該標識による検出可能な信号を得る工程:
を含む、上記方法。
[2] 第3部分の空隙の保持粒子サイズが1〜3.5μmである、[1]に記載の方法。
[3] イムノクロマトグラフ方法がラテラルフロー型である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 該第1部分に、該特定物質に対する標識された第一の抗体が保持されている、[1]から[3]の何れかに記載の方法。
[5] 特定物質が、細菌の成分又は該細菌が分泌する物質である、[1]から[4]の何れかに記載の方法。
[6] 特定物質がリボゾームタンパク質L7/L12である、[5]に記載の方法。
[7] 第一の抗体及び第二の抗体が、リボゾームタンパク質L7/L12に対するモノクローナル抗体である、[6]に記載の方法。
[8] 第一の抗体及び第二の抗体が、乳房炎の原因となる特定の種又は属の細菌の成分あるいは該細菌が分泌する物質と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌の成分または該細菌が分泌する物質とは反応しないモノクローナル抗体である、[5]に記載の方法。
[9] モノクローナル抗体が、乳房炎の原因となる特定の種または属の細菌のリボゾームタンパク質L7/L12と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌のリボゾームタンパク質L7/L12とは反応しないモノクローナル抗体である、[8]に記載の方法。
[10] 該特定物質に対する標識された第一の抗体または標識された該特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片を含む、乳汁中の特定物質を検出するためのイムノクロマトグラフ装置。
本発明によれば、乳汁中の特定の物質の有無を迅速・簡便に、かつその場で検出することができる。特に、牛乳房炎を診断する場合において、標識が視認できるものである場合には装置等を用いずに酪農場で実施することができるため、病状の更なる悪化の前に原因菌を特定し、適切な抗生物質の選択などの的確な治療方針や、感染拡大防止のための措置を早期に決定することができる。
実施例で用いたイムノクロマトグラフ装置の試験片の断面模式図を示す。 イムノクロマトグラフ装置の試験片の別の一例の断面模式図を示す。 イムノクロマトグラフ装置の試験片の別の一例の断面模式図を示す。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のイムノクロマトグラフ装置は、イムノクロマトグラフ法によって乳汁中の特定物質を検出するための装置であって、該特定物質に対する標識された第一の抗体または標識された該特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片を含む装置である。具体的な試験片の構成としては、図1、図2、図3に断面模式図を示した試験片が挙げられる。図1においては、試料添加用部材4と脂肪球除去用部材(第3部分)7とは一体となって、標識抗体含浸部材(第1部分)1の上流に設置されている。図2においては、脂肪球除去用部材(第3部分)7は、標識抗体含浸部材(第1部分)1の下流、かつクロマト展開用膜担体(第2部分)2の上流に設置されている。図3においては、脂肪球除去用部材(第3部分)7は、試料添加用部材4の下流、かつ標識抗体含浸部材(第1部分)1の上流に設置されている。
イムノクロマトグラフ装置は公知の方法にて市販の材料を用いて作製することができる。
第1部分に使用する材料は、イムノクロマトグラフを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、セルロース誘導体等の繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿等である。
第2部分に使用する材料は、イムノクロマトグラフを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、ニトロセルロース、混合ニトロセルロースエステル、ポリビニリデンフロライド、ナイロン等である。
第3部分に使用する材料は、乳汁中に含まれる直径1〜10数μmの乳脂肪球を除去できる空隙を有していることが好ましい。第3部分は、試料溶液が孔径数10〜数100nmの多孔性のメンブレンからなる上記第2部分の上流側に配置されている必要があり、試料溶液が最初に接触・通過できる位置である、上記第1部分の上流側に配置されていることが好ましい。
第3部分が有する空隙は乳脂肪球を分離できる大きさであればよく、保持粒子サイズは好ましくは0.1から10μmであり、より好ましくは1から3.5μmである。材料は上記の範囲の空隙を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはセルロース誘導体等繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿等である。
上記第3部分は、特定の保持粒子サイズを有する材料のみを用いてもよく、乳脂肪球の分離効率を高めるために保持粒子サイズが大きいものから小さいものを段階的に張り合わせて用いてもよい。
上記第1部分には、特定物質に対する標識された第一の抗体、または標識された特定物質が保持されている。第1部分に、特定物質に対する標識された第一の抗体が保持されている場合には、サンドイッチアッセイ法により特定物質を検出することができる。また、第1部分に標識された特定物質が保持されている場合には、競合法により特定物質を検出することができる。本発明においては、検出感度が高く、陽性で抗体検出ラインが出現するサンドイッチアッセイ法の方が好ましいことから、第1部分には、特定物質に対する標識された第一の抗体が保持されていることが好ましい。
第1部分に特定物質に対する標識された第一の抗体を保持させる場合には、特定物質に対する第一の抗体と、特定物質に対する第二の抗体の、2種類の抗体を用いる。サンドイッチアッセイ法により特定物質を検出することができるように、上記第一の抗体と上記第二の抗体は、当該特定物質に同時に結合できることができる抗体であり、上記第一の抗体が認識する当該特定物質のエピトープは、上記第二の抗体が認識する当該特定物質のエピトープとは異なることが好ましい。
本発明において、検出可能な信号を得るために、第1部分に保持される第一の抗体又は特定物質は標識されている。本発明で用いる標識としては、着色粒子、酵素、ラジオアイソトープなどが挙げられるが、特殊な設備不要で目視によって検出可能な着色粒子を使用することが好ましい。着色粒子としては、金や白金などの金属微粒子、非金属粒子、ラテックス粒子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。着色粒子は、試験片の空隙内を通って下流に輸送されることができるサイズであればいかなるサイズでもよいが、直径が1nmから10μmが好ましい。より好ましくは、5nmから1μmであり、さらに好ましくは10nmから100nmである。
本発明で測定される特定物質は、イムノクロマトグラフ法で測定できる物質であれば何れでも可能であるが、細菌の成分または細菌が分泌する物質であることが好ましい。さらに好ましくは、細菌のL7/L12リボゾームタンパク質である。L7/L12リボソームタンパク質は、細胞内に多コピー存在するために検出感度が高い。また、後の実施例で示すように、以下に記載の公知の方法により、乳房炎の原因となる特定の細菌を他の細菌と種または属で識別可能な抗体を実際に取得可能である。
上記の抗体は、国際公開第00/06603号パンフレットに記載の方法で作製することができる。細菌リボゾームタンパク質L7/L12を抗原とする場合は、細菌リボゾームタンパク質L7/L12の全長タンパク質あるいはその部分ペプチドを抗原として用いて作製することができるが、全長タンパク質であることが好ましい。この部分ペプチドあるいは全長タンパク質をそのまま、またはキャリアタンパク質と架橋した後必要に応じてアジュバントとともに動物へ接種せしめ、その血清を回収することでRibosomal Protein L7/L12タンパク質を認識する抗体(ポリクローナル抗体)を含む抗血清を得ることができる。また抗血清より抗体を精製して使用することもできる。接種する動物としてはヒツジ、ウマ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット等であり、特にポリクローナル抗体作製にはヒツジ、ウサギなどが好ましい。また、抗体としてはハイブリドーマ細胞を作製する公知の方法により取得したモノクローナル抗体を適用することがより好ましいが、この場合はマウスが好ましい。当該モノクローナル抗体として、乳房炎の原因となる特定の細菌のリボゾームタンパク質L7/L12と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌のリボゾームタンパク質L7/L12とは反応しないモノクローナル抗体をスクリーニングすることにより、当該細菌による感染症にかかっているかどうかの診断に役立てることが可能となる。
抗体が乳房炎の原因となる特定の細菌の成分または該細菌が分泌する物質と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌の成分または該細菌が分泌する物質とは反応しないモノクローナル抗体であれば、リボゾームタンパク質L7/L12以外の抗体であっても使用することができる。
本発明においては、上述した試験片をそのまま使用してイムノクロマトグラフ装置としてもよいし、ケースに収納して、イムノクロマトグラフ装置としてもよい。前者の場合は、試料となる乳汁の量が多い場合に、容器に入った試料に直接試験片の一端を浸して使用することが好ましい。また、後者の場合は、試料となる乳汁の量が少ない場合に、ピペット等で所定量を計量して試験片に滴下して使用することが好ましい。後者の場合のケースの形状は、試験片を収納できればいかなる形状でもよい。ケースの材料はいかなる材料でもよく、ポリプロピレンやポリカーボネートなどが好ましいものとしてあげられる。
本発明のイムノクロマトグラフ装置は、容器、たとえばマイクロチューブ、及び添加液、例えば細菌を溶菌させてリボゾームタンパク質L7/L12を溶液内に溶出させるための液を組合せたキットとして提供することもできる。
本発明によるイムノクロマトグラフ方法は、乳汁中の特定物質を検出するためのイムノクロマトグラフ方法であって、
(1)該特定物質に対する標識された第一の抗体または標識された該特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片に対して、該乳汁を該第3部分又はそれより上流部に接触させる工程;及び
(2)該乳汁を該第2部分又はそれより下流部まで流し、該第2部分又はそれより下流部で該標識による検出可能な信号を得る工程:
を含む方法である。
乳汁はそのまま、または添加液を加えた混合溶液として、上記第3部分又はそれより上流部に位置する試料添加用部材に接触させる。上記特定物質が細菌の細胞内に存在する物質である場合は、界面活性剤成分を上記添加液に含有させるか、上記第1部分の上流側に該界面活性剤成分を保持させることで、該細菌を溶菌することができる。該添加液の他の成分としては、抗原抗体反応を阻害しない成分であれば特に限定されないが、適当な緩衝液(例えば、MOPSOなど)を用いることができる。
抗原抗体反応は、第1部分に保持されている「特定物質に対する標識された第一の抗体」と、第2部分に固定化された「特定物質に対する第二の抗体」を用いて、サンドイッチアッセイ法により検出することができる。あるいは抗原抗体反応は、第1部分に保持されている標識された特定物質と、第2部分に固定化された特定物質に対する抗体を用いて競合法にて検出してもよい。但し、本発明においては、検出感度が高く、陽性で抗体検出ラインが出現するサンドイッチアッセイ法が好ましい。
イムノクロマトグラフ方法は、試験片を横方向に配置して毛細管現象により液が移動することを利用したラテラルフロー型と、縦方向に配置して主に重力により上から下へ液を通過させるフロースルー型に大別される。本発明においてはラテラルフロー型またはフロースルー型のいずれでもよいが、より好ましくはラテラルフロー型である。
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:イムノクロマトグラフ法による乳汁サンプルの液流れの確認
(1)イムノクロマトグラフ装置の作製
図1に断面模式図で示されるイムノクロマトグラフ装置を以下のように作成した。
(a)リボゾームタンパク質L7/L12抗体の作製
金コロイド標識する抗体には、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)リボソームタンパク質L7/L12モノクローナル抗体を使用した。国際公開WO00/06603号パンフレットの実施例5に記載の方法に準じて、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusのL7/L12リボゾームタンパク質を取得し、同タンパク質を用いてモノクローナル抗体を作製した。当該モノクローナル抗体は、上記L7/L12リボゾームタンパク質の別のサイトに同時に結合しうる2種(SA-1およびSA-2)の組合せを選択した。
モノクローナル抗体SA−1及びSA−2が、黄色ブドウ球菌のリボゾームタンパク質L7/L12と反応し、黄色ブドウ球菌以外の乳房炎の原因となる細菌のリボゾームタンパク質L7/L12とは反応しないことを以下のように確認した。
10μg/mlのモノクローナル抗体SA-1とPBS溶液100μlを96穴ELISAプレート(Nunc社Maxsorp ELISAプレート)に分注し4℃で一晩吸着させた。上澄み除去後、1%牛血清アルブミン溶液(PBS中)200μl添加し室温で1時間反応させてブロッキングした。上澄み除去後洗浄液(0.02%Tween20、PBS)で数回洗浄し、表1に示す各種細菌(約1×108 cells/ml)を0.5%TritonX-100、PBS にて10倍に希釈したものを100μl添加し室温にて1時間反応させた。さらに上澄み除去後、パーオキシダーゼ標識したモノクローナル抗体SA-2を0.02% Tween20、PBSにて最終濃度1μg/mlになるように希釈してそれぞれ100μl添加し室温にて1時間反応させた。上澄み除去後さらに洗浄液で数回洗浄したのち、TMB溶液(KPL社製)を100μlずつ加え室温10分間反応させた後1mol/lの塩酸を100μl添加して反応を停止したのち450nmの吸光度を測定し、陰性コントロール(細菌を除いた溶液)シグナルとの差により反応性を評価した。結果を表1に示す。ここで陽性(+)はELISAでの吸光度と陰性コントロールの吸光度の差が少なくとも0.5以上、陰性(−)は吸光度と陰性コントロールの吸光度の差が0.1以下である。
Figure 0005693938
(b)金コロイド標識含浸部材
BBInternational社製金コロイド溶液(粒径60nm)0.9mLに0.1M リン酸カリウム pH7.5を混合し、金コロイド標識するモノクローナル抗体SA-2100μg/mLを加え室温で5分間静置し、この抗体を金コロイド粒子表面に結合させた後、金コロイド溶液における最終濃度が1%となるようにウシ血清アルブミン(BSA)10%水溶液を加え、この金コロイド粒子の残余の表面をBSAでブロッキングして、金コロイド標識したモノクローナル抗体SA-2(以下、「金コロイド標識抗体」と記す)溶液を調製した。この溶液を遠心分離(15000×rpm、5分間)して金コロイド標識抗体を沈殿せしめ、上清液を除いて金コロイド標識抗体を得た。この金コロイド標識抗体を0.25%BSA、2.5%スクロース、35mm NaClを含有する20mmトリス塩酸緩衝液(pH8.2)に懸濁して金コロイド標識抗体溶液を得た。10mm×300mmの帯状のグラスファイバーパットに、金コロイド標識抗体溶液2mLを含浸せしめ、これを室温で減圧乾燥させて金コロイド標識抗体含浸部材1(第1部分)とした。
(c)抗原および金コロイド標識抗体との複合体の捕捉部位
幅25mm、長さ300mmのニトロセルロース膜をクロマトグラフ媒体のクロマト展開用膜担体2(第2部分)として用意した。
モノクローナル抗体 SA-1 1.5mg/mLが含有されてなる溶液を、このクロマト展開用膜担体2におけるクロマト展開開始点側の末端から10mmの位置に1μL/cmでライン状に塗布して、これを50℃で30分間乾燥し、その後、0.5%スクロース溶液に30分浸し、一晩室温で乾燥させた。Staphylococcus aureusリボソームタンパク質 L7/L12抗原と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉部位3とした。
(d)イムノクロマトグラフ装置の作製
上記標識抗体含浸部材1、上記クロマト展開用膜担体2の他に、試料添加用部材(第3部分)4として綿布と、吸収用部材5として濾紙を用意した。そして、これらの部材を基材6(厚さ254μm、ポリスチレン製で部材を貼り合わせるための粘着材がついたもの)に貼り合せた後、5mm幅に切断し、図1に断面図を示したイムノクロマトグラフ装置を作成した。試料添加用部材4には表2に示す部材を用いた。
Figure 0005693938
(2)試験
イムノクロマトグラフ装置による牛の乳汁の測定は、マイクロチューブに黄色ブドウ球菌が検出された生乳サンプルを100μl分取し、添加液(終濃度1% Tween20、0.05M NaCl、0.1M MOPSO pH7.5)150μlを加えて混合した。同混合溶液に上記(1)で得られたイムノクロマトグラフ装置を試料添加用部材4から浸漬してラテラルフロー方式でクロマト展開し、液が吸収用部材5まで流れるか検討した。
結果を表3に示す。保持粒径が3.5μmまでの部材のみ液が吸収用部材5まで流れた。それ以外はクロマト展開用膜担体2の途中で液流れが停止した。
Figure 0005693938
実施例2:イムノクロマトグラフ法による乳汁中の黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusの検出
(1)イムノクロマトグラフ装置の作製
実施例1に記載の方法により、イムノクロマトグラフ装置を作成した。試料添加用部材4には表2に記載のGF/DVAを用いた。
(2)試験
イムノクロマトグラフ装置による牛乳汁の測定は、マイクロチューブに生乳サンプル1〜6を100μl分取し、添加液(終濃度1% Tween20、0.05M NaCl、0.1M MOPSO pH7.5)150μlを加えて混合した。同混合溶液に上記イムノクロマトグラフ装置を試料添加用部材4から浸漬して、ラテラルフロー方式で室温で15分静置して展開後、上記補足部位3で補足されたリボソームタンパク質L7/L12抗原と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉の有無を捕捉量に比例して増減する赤紫色のラインの有無により目視で判定した。
一方、乳汁中のStaphylococcus aureusの有無を確認するために、培養法にて検出を行った。トリプチケースソイII5%ヒツジ血液寒天培地(日本ベクトンデッキンソン社製)およびStaphylococcus aureus選択培地X-SA寒天培地(ニッスイ社製)に乳汁を100μl播種後、37℃で24時間培養し、出現したコロニーを確認した。
目視判定結果および培養結果を表4に示す。
Figure 0005693938
乳汁中から何も細菌が検出されなかった2検体についてはラインが出現しなかった。また、レンサ球菌が検出された2検体についてもラインが出現しなかった。一方、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusが検出された検体についてはラインが出現し、黄色ブドウ球菌を検出することができた。
以上のように、本発明のイムノクロマトグラフ装置を使用することで、乳脂肪球が存在する乳汁において、メンブレンが目詰まりすることなく乳汁サンプルを展開させ、正確に測定を行うことが可能となった。
本発明は、家畜の感染症診断に利用することができる。
1.標識抗体含浸部材(第1部分)
2.クロマト展開用膜担体(第2部分)
3.捕捉部位
4.試料添加用部材
5.吸収用部材
6.基材
7.脂肪球除去用部材(第3部分)

Claims (8)

  1. 乳汁中の特定物質を検出するためのイムノクロマトグラフ方法であって、
    (1)乳汁に、界面活性剤を含有する添加液を加えて混合溶液とする工程;
    )該特定物質に対する標識された第一の抗体または標識された該特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片に対して、該混合溶液を該第3部分又はそれより上流部に接触させる工程;及び
    )該混合溶液を該第2部分又はそれより下流部まで流し、該第2部分又はそれより下流部で該標識による検出可能な信号を得る工程:
    を含み、第3部分の空隙の保持粒子サイズが1〜3.5μmであり、特定物質が細菌の成分である、上記方法。
  2. イムノクロマトグラフ方法がラテラルフロー型である、請求項に記載の方法。
  3. 該第1部分に、該特定物質に対する標識された第一の抗体が保持されている、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 特定物質がリボゾームタンパク質L7/L12である、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 第一の抗体及び第二の抗体が、リボゾームタンパク質L7/L12に対するモノクローナル抗体である、請求項に記載の方法。
  6. 第一の抗体及び第二の抗体が、乳房炎の原因となる特定の種又は属の細菌の成分あるいは該細菌が分泌する物質と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌の成分または該細菌が分泌する物質とは反応しないモノクローナル抗体である、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  7. モノクローナル抗体が、乳房炎の原因となる特定の種または属の細菌のリボゾームタンパク質L7/L12と反応し、前記特定の細菌以外の乳房炎の原因となる細菌のリボゾームタンパク質L7/L12とは反応しないモノクローナル抗体である、請求項に記載の方法。
  8. 定物質に対する標識された第一の抗体または標識された特定物質が保持された第1部分と、該第1部分の下流に連結され、かつ該特定物質に対する第二の抗体が固定化された第2部分と、該第1部分又は該第2部分の上流に連結され、かつ該乳汁中の乳脂肪球を除去できる空隙を有する第3部分とを有する試験片を含み、第3部分の空隙の保持粒子サイズが1〜3.5μmであり、特定物質が細菌の成分である、イムノクロマトグラフ装置、及び界面活性剤を含有する添加液を含む、乳汁中の細菌の成分を検出するためのキット
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