[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP5689932B2 - トンネル磁気抵抗素子の製造方法 - Google Patents

トンネル磁気抵抗素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5689932B2
JP5689932B2 JP2013163153A JP2013163153A JP5689932B2 JP 5689932 B2 JP5689932 B2 JP 5689932B2 JP 2013163153 A JP2013163153 A JP 2013163153A JP 2013163153 A JP2013163153 A JP 2013163153A JP 5689932 B2 JP5689932 B2 JP 5689932B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
oxygen
metal
magnetoresistive element
metal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013163153A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014003313A (ja
Inventor
孝二 恒川
孝二 恒川
佳紀 永峰
佳紀 永峰
和正 西村
和正 西村
フランク エルヌ
フランク エルヌ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Anelva Corp
Original Assignee
Canon Anelva Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Anelva Corp filed Critical Canon Anelva Corp
Priority to JP2013163153A priority Critical patent/JP5689932B2/ja
Publication of JP2014003313A publication Critical patent/JP2014003313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5689932B2 publication Critical patent/JP5689932B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Description

本発明は、磁気ディスク駆動装置の磁気再生ヘッドおよび磁気ランダムアクセスメモリの記憶素子および磁気センサに関する。
結晶性のMgOをトンネルバリア層としたトンネル磁気抵抗素子は、室温で200%以上の巨大なMR比(磁気抵抗変化率)を示すことから、磁気ディスク駆動装置の磁気再生ヘッドや磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の記憶素子、磁気センサへの応用が期待されている。従来のMgOをトンネルバリア層としたトンネル磁気抵抗素子においては、MgOトンネルバリア層の形成には、MgOの焼結ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタリング法が用いられていた(特許文献1、非特許文献1〜5)。しかしながら、MgO焼結ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタリングによるMgO形成方法では、規格化トンネル抵抗値(RA)のバラツキが生じやすいという問題があり、デバイス製造時の歩留まりを著しく低下させる恐れがあった。
このような問題を回避するためにMgO焼結ターゲットを用いないで、MgOトンネルバリア層を形成する方法がいくつか知られている。
TsannらはMgOトンネルバリア層の形成方法として、第1に、金属Mg層を成膜し、第2に、酸素ドープした金属Mg層を積層し、第3に、その積層体を酸化処理するという3段階の形成方法を提案している(特許文献2)。
赴らはMgOトンネルバリア層の形成方法として、第1Mg層を成膜し、前記第1Mg層を自然酸化法によってMgO層とし、前記MgO層の上に第2Mg層を成膜するという3段階の形成方法と、第1Mg層を成膜し、前記第1Mg層上に反応性スパッタによってMgO層を形成し、前記MgO層の上に第2Mg層を成膜するという3段階の形成方法を提案している(特許文献3)。
洪らはMgOトンネルバリア層の形成方法として、第1Mg層を成膜し、前記第1Mg層をラジカル酸化によって第1MgO層とし、前記第1MgO層をアニールして(001)結晶配向性を持たせ、前記第1MgO層の上に第2Mg層を成膜し、前記第2Mg層を自然酸化して第2MgO層とするという5段階の形成方法を提案している。洪らはまた、第1Mg層を成膜し、前記第1Mg層をラジカル酸化によって第1MgO層とし、前記第1MgO層の上に第2Mg層を成膜し、前記第2Mg層をラジカル酸化して第2MgO層とし、前記第2MgO層の上に第3Mg層を成膜するという5段階の形成方法も提案している(特許文献4)。
三浦らはMgOトンネルバリア層の形成方法として、第1Mg層を成膜し、前記第1Mg層を自然酸化し、前記第1Mg層の上に第2Mg層を成膜し、前記第2Mg層を前記第1Mg層の酸化時よりも低い酸素圧力で自然酸化するという4段階の形成方法を提案している(特許文献5)。
DaveらはMgOトンネルバリア層の形成方法として、金属Mgをプラズマ酸化する方法、金属Mgをラジカル酸化する方法、Arと酸素の比を5:3とした反応性スパッタリング、MgO焼結ターゲットを用いたRFスパッタリングの4種類の方法を紹介している(非特許文献6)。OhらもまたMgOトンネルバリア層の形成方法として、金属Mgをラジカル酸化する方法を紹介している(非特許文献7)。
特開2006−080116号公報 米国特許第6,841,395号 特開2007−142424号公報 特開2007−173843号公報 特開2007−305768号公報
D.D.Djayaprawiraら「Applied Physics Letter」,86,092502(2005) J.Hayakawaら、「Japanese Journal of Applied Physics」,44,L587(2005) K.Tsunekawaら、「Applied Physics Letter」,87,072503(2005) S.Ikedaら、「Japanese Journal of Applied Physics」,44,L1442(2005) Y.Nagamineら、「Applied Physics Letter」,89,162507(2006) R.W.Daveら、「IEEE Transactions on Magnetics」,42,1935(2006) S.C.Ohら、「IEEE Transactions on Magnetics」,42,2642(2006)
単に金属Mgを酸化してMgOトンネルバリア層を形成しようとすると、非特許文献6や非特許文献7に紹介されているように、数100Ω・μm以下のRAを得ることは困難である。これは金属Mgが酸素雰囲気に曝されると表面に不動態皮膜が形成されて、それより深く酸化が進行しにくくなるためと考えられている。
そのため、特許文献4や特許文献5には、金属Mgの成膜と酸化を2回繰り返すことによって上記問題を解決する方法が提案されている。しかしながら金属Mgの成膜と酸化を2回繰り返す方法では、成膜チャンバーと酸化処理チャンバーを行ったり来たりして生産のスループットを著しく低下させてしまうという問題がある。もしくは、繰り返し搬送によるスループット低下を避けるために金属Mgの成膜チャンバーと酸化処理チャンバーを2チャンバーずつ設ける方法が考えられるが、その場合には装置コストの増加、設置面積の増加などによりデバイスの生産コストを増加させてしまうという問題が生じる。
特許文献2と特許文献3の方法においては比較的工程数が少なく済み、スループットや生産コストの問題は解消される。しかしながら、低RA領域におけるMR比が40%以下と、MgOトンネルバリア層を用いたトンネル磁気抵抗素子の性能が十分に発揮されていない。また、歩留まりに大きく影響するRAのバラツキについての実施例がないため、生産に適したプロセスかどうか不明である。
本発明は、工程数が比較的少なく、なおかつRAの均一性に優れた特性を有するとともに、低RAにおいて高MR比が得られるトンネル磁気抵抗素子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の一態様は、第1強磁性層、トンネルバリア層、および第2強磁性層を有するトンネル磁気抵抗素子の製造方法であって、前記トンネルバリア層を作製する工程が、金属ターゲットに電力を投入してプラズマを形成することで該金属ターゲットをスパッタして前記第1強磁性層の上に第1の金属層を成膜する工程であって、成膜の初期段階と後期段階のうち、いずれか一方の段階だけ酸素ガスを導入せずに、他方の段階だけ酸素ガスを導入することで酸素ドープされた第1の金属層を形成する工程をし、前記第1の金属層を形成する工程は、同一のチャンバ内で前記金属ターゲットに電力を投入した状態で連続して行われることを特徴としている。
本発明によれば、RAのバラツキが少なく、低RAにおいて高MR比が得られるトンネル磁気抵抗素子の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明のトンネル磁気抵抗素子の製造に使用しうるスパッタリング装置の構成を模式的に示す平面図である。 本実施形態に係るトンネル磁気抵抗素子の断面模式図である。 本発明の製造方法および製造装置を用いて作製したトンネル磁気抵抗素子の膜構成図である。 本実施例によるトンネルバリア層の形成フローである。 図5a、および図5bは、本トンネル磁気抵抗素子のMR比およびRAを酸化時間に対してプロットしたグラフである。 第1の金属層成膜時に酸素をドープする際、成膜の初期と最後に酸素ガスの混合を止めた場合のトンネルバリア層の形成フローである。 金属Mg層成膜時の投入Powerとシャッター開閉とArガス導入と酸素ガス導入の概略タイムチャートである。 本方法によって作製したトンネル磁気抵抗素子のRAとMR比の関係を示したグラフである。 実施例3に係るトンネル磁気抵抗素子において、ラジカル酸化の酸化時間のみを100秒とした時のRAの基板面内分布を示したグラフである。 実施例4に係るトンネル磁気抵抗素子であって、ラジカル酸化の酸化時間のみを20秒とした時のRAの基板間バラツキを示したグラフである。 実施例1の磁気トンネル素子において、第2の金属Mg層の膜厚を変えた時のMR比を示したグラフである。
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明のトンネル磁気抵抗素子の製造に使用しうるスパッタリング装置の構成を模式的に示す平面図である。係る装置においては、基板搬送用のロボット28が2機搭載された真空搬送室20と、真空搬送室20に接続されたスパッタリング室21乃至24と、基板前処理室25と酸化処理室26とロードロック室27から構成されている。ロードロック室27を除く全ての部屋は2×10−6Pa以下の真空室であり、各真空室間の基板の移動は真空搬送ロボット28によって真空中にて行われる。
スピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を形成するための基板は、初め大気圧にされたロードロック室27に配置され、ロードロック室27を真空排気した後、真空搬送ロボット28によって所望の真空室に搬送される。
一例として、後述する実施例で作製した磁化固定層として積層フェリ固定層を有するボトム型のスピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を製造する場合について説明する。
図2は本実施形態に係るトンネル磁気抵抗素子の断面模式図である。
図2を参照して各層の具体的構成を説明する。下部電極層2は、Ta(5nm)/CuN(20nm)/Ta(3nm)/CuN(20nm)/Ta(3nm)の積層構造を有する。反強磁性層3がPtMn(15nm)、磁化固定層4がCoFe(2.5nm)/Ru(0.85nm)/CoFeB(3nm)からなる積層フェリ固定層であり、4bのCoFeBが第1強磁性層に相当する。トンネルバリア層6がMgO(1.5nm)である。磁化自由層7がCoFeB(3nm)で、第2強磁性層に相当する。保護層8としては、Ta(8nm)/Cu(30nm)/Ta(5nm)/Ru(7nm)の積層構造を使用する。尚、( )内は膜厚を示す。
PtMn層は、アニールによって規則化し反強磁性が発現するように、スパッタリングターゲットの組成と成膜条件(ガス種、ガス圧、投入電力)を調整して、Pt含有量が47〜51(atomic%)となるようにPtMn層を形成する。
上記のような膜構成を効率的に成膜するために、次のようにスパッタリングターゲットを各スパッタリング室に配置する。スパッタリング室21にはTa(タンタル)、Cu(銅)を、スパッタリング室22には、Co70Fe30(コバルト−鉄)、PtMn(プラチナ−マンガン)、Ru(ルテニウム)、Co60Fe2020(コバルト−鉄−ボロン)を、スパッタリング室23にはMgをそれぞれスパッタリングターゲット21a〜21b、22a〜22d、23aとして配置する。また、スパッタリング室24にはTa、Co60Fe2020、Mg、Ru、Cuをスパッタリングターゲット24a〜24eとして配置する。
本発明において最も複雑な膜構成である積層フェリ構造を持ったスピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜は、次のようにして形成される。
初めに、基板1を基板前処理室25に搬送し、逆スパッタエッチングにより、大気中で汚染された表面層の約2nmを物理的に除去する。その後、基板1をスパッタリング室21に搬送して、Ta/CuN/Ta/CuN/Taの積層構造からなる下部電極層2を成膜する。この時、CuNの成膜時にはCuターゲットを用い、スパッタリングガスとしてArの他に微量の窒素を添加することによってCuNを形成している。その後、基板をスパッタリング室22に移動してPtMn/CoFe/Ruからなる反強磁性層3及びCoFeBからなる磁化固定層4(第1強磁性層)を成膜する。なお、ここで、反強磁性層3としてPtMnの代わりにIrMn(イリジウム−マンガン)を用いてもよく、その場合はIrMn層の下地層9としてRu層を用いるのが好ましい。そのような場合、スパッタリング室22で成膜される膜構成は、Ru/IrMn/CoFe/Ru/CoFeBとなる。
次に、トンネルバリア層の形成方法を説明する。第1強磁性層となるCoFeBまでをスパッタリング室22で成膜した後、基板1をスパッタリング室23に移動して酸素をドープしながら金属Mgを成膜する。酸素のドープ方法の例としては、スパッタリングガスとしてArと酸素を用いる。なお、ここで、混入させる酸素ガスは、スパッタリングガスの30%以下にすることが好ましい。これは、Mgターゲットの表面酸化を抑制するためである。
それぞれ個別のガス導入口を真空室に設けており、Arと酸素の流量を個別に制御しながらガスを導入する。酸素ドープ時における酸素ガスの導入のタイミングとしては、スパッタリングガスのArの導入タイミングと常に同じにする必要はなく、Arの導入タイミングより遅らせたり、Arの停止タイミングよりも早めたりしても良い。
次に、基板1を酸化処理室26に移動し酸化処理を行う。酸化処理の方法としては自然酸化とラジカル酸化のどちらを用いても良い。自然酸化の場合は、酸素雰囲気の圧力を0.01〜10Torrに維持し、所定の時間放置する。ラジカル酸化の場合は、酸素雰囲気の中で電極に高周波を印加して酸素プラズマを発生させ、長さ10mm程度、直径1mm程度の穴が複数個空いたシャワープレートを通過させることによってプラズマ中の荷電粒子以外の粒子(活性酸素種および酸素)を基板に照射させる。
次いで、基板1をスパッタリング室24に移動し、Mg/CoFeB/Ta/Cu/Ta/Ruを成膜する。Mgの膜厚は0.1nm以上0.6nm以下とすることが好ましい。こうすることにより、図11を用いて後述するように、100%以上のMR比を発現することができる。
この後、作製したトンネル磁気抵抗薄膜は、磁場中アニール炉に入れ、強さ8kOe以上の一方向に平行な磁場を印加しながら、真空中にて所望の温度と時間でアニール処理を行う。経験的には250℃以上360℃以下であり、低温の場合には5時間以上の長時間を、高温の場合には2時間以下の短時間が好ましい。
なお、上述の実施形態においては、スパッタリングガスとして、Ar(アルゴン)を主成分としたが、これに限定されるものではなく、例えば、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)のうち少なくとも1種類を主成分とするスパッタリングガスを用いても良い。
次に本発明の実施例について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図3は、本発明に係る製造方法および製造装置を用いて作製したトンネル磁気抵抗素子の膜構成図である。反強磁性層3として厚さ7nmのIrMnを用い、その下地層9として5nmのRu層を使用した以外は、図2の膜構成と同じである。
図4を参照して、本実施例に係るトンネルバリア層の形成方法を説明する。
図4は、本実施例によるトンネルバリア層の形成フローである。
ステップS401においては、前述した実施形態と同様にして、第1強磁性層までを成膜した。
ステップS403においては、第1強磁性層となるCoFeB層の上に、1.2nmの金属Mgを15sccmのArガスと5sccmの酸素を独立に導入した雰囲気中で成膜した(混合した酸素濃度は25%である)。次いでステップS405においては、酸化処理室で0.1Torrまたは1Torrの酸素雰囲気に60〜600秒放置して酸化処理した。
最後に、ステップS407においては、Arガスを15sccmのみ導入した雰囲気中で0.2nmの金属Mgを成膜した。その後、ステップS409においては、CoFeB/Ta/Cu/Ta/Ruまで成膜してトンネル磁気抵抗素子の成膜を終了した。
本トンネル磁気抵抗素子は成膜後に磁場中アニール炉に入れ、真空中で1Tの磁場を印加しながら360℃で2時間の磁場中アニール処理を行った。
図5a、および図5bは、本トンネル磁気抵抗素子のMR比およびRAを酸化時間に対してプロットしたグラフである。図5aに示すように、いずれの酸化条件においても100%を超えるMR比が得られていることがわかる。図5bに示すように、RAについては、いずれの酸化条件においても酸化時間が増すにつれてRAが増大しているが、0.1Torrの低圧条件の方が1Torrの高圧条件に比べて約半分の値に低くなっている。最も低いRAが得られたのは、0.1Torr条件で60秒の酸化処理を行った時で、2.6ΩμmのRAで121%のMR比を達成している。
なお、MR比とRAは、12端子プローブを用いたCurrent−In−Plane−Tunneling(CIPT)法によって測定した。CIPT法の測定原理はD.C.Worledge,P.L.Trouilloud,「アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)」,83(2003),84−86に記載されている。
(実施例2)
図6は、第1の金属層成膜時に酸素をドープする際、成膜の初期と最後に酸素ガスの混合を止めた場合のトンネルバリア層の形成フローを示している。この時、第1の金属層を酸化する方法としてラジカル酸化を用いた。トンネル磁気抵抗素子の膜構成は、図2の膜構成を用いた。
以下に、図6を参照してトンネルバリア層の形成フローを説明する。
ステップS601においては、前述した実施形態と同様にして、第1強磁性層までを成膜した。
ステップS603においては、以下の3つの工程を経て、第1強磁性層上に第1の金属層を成膜した。すなわち第1の金属層の成膜初期段階は、酸素ガスを導入せずに、Arガス雰囲気で第1の金属層を成膜した(第1の金属層の下部層)。成膜中期段階において、Arガスと酸素ガスを導入した雰囲気で第1の金属層を成膜した(第1の金属層の中間層)。さらに成膜後期段階は、酸素ガスを導入せずに、Arガス雰囲気で第1の金属層を成膜した(第1の金属層の上部層)。こうすることにより、第1強磁性層および第2強磁性層が酸化されてしまうことを抑制することができる。
以下、上記ステップS603をより詳細に説明する。
まず初めに、スパッタリング室23の中で第1強磁性層となるCoFeB層の上に1.2nmの金属Mg(第1の金属層)を成膜する。
この1.2nmの金属Mg層成膜時の投入Powerとシャッター開閉とArガス導入と酸素ガス導入の概略タイムチャートを図7に示す。まず初めにMgターゲットのついたカソードへのパワー投入と真空チャンバー内へのArガスの導入をほぼ同時に行いプラズマを発生させる。投入するパワーはDC50W,導入するArガスの流量は100sccmである。このプリスパッタ時間においては、ターゲットと基板の間に配置されたシャッターは閉じているので、基板には膜が付着しない。
次に、シャッターを開けて成膜を開始する。膜厚が0.6nmに達したら(第1の金属層の下部層に相当する)、5sccm(酸素濃度=4.76%)の酸素ガスを導入し、Mg層に微量の酸素をドープする。Mg層の膜厚が1.0nmに達したら(第1の金属層の中間層に相当する)酸素の導入を停止する。引き続き、残りの0.2nmのMg層をAr雰囲気中で成膜し(第1の金属層の上部層に相当する)、1.2nmの第1の金属層の成膜を完了する。
なお、本実施例においては、第1の金属層の成膜初期段階と成膜後期段階において、酸素を導入せず、Ar雰囲気で第1の金属層を成膜したが、必ずしも両段階で行う必要はなく、どちらか一方の成膜段階だけ酸素を導入せず、Ar雰囲気で第1の金属層を成膜する方法を採用してもよい。
次に、ステップS605においては、基板を酸化処理室26へ移動しラジカル酸化する。ラジカル酸化時には真空チャンバー内に700sccmの酸素ガスを導入し、電極に300WのRFパワーを投入した。酸化時間は10秒とした。
最後に、ステップS607もおいては、基板をスパッタリング室24に移動し、0.3nmの金属Mg(第2の金属層に相当する)を成膜する。次いでステップS609においては、前述の実施形態と同様にして、第2強磁性層以降を成膜した。
図8は、本方法によって作製したトンネル磁気抵抗素子のRAとMR比の関係を示したグラフである。比較のために、第1の金属Mg層成膜時に酸素を導入しない場合のデータもプロットした。第1の金属Mg層成膜時に酸素を導入し、金属Mg層に酸素をドープすることによって、2.5Ωμmの低RAで86%の高MR比を達成することができた。
(実施例3)
図9は、実施例2で使用したトンネル磁気抵抗素子の膜構成およびMgOトンネルバリアの形成方法と同様のトンネル磁気抵抗素子において、ラジカル酸化の酸化時間のみを100秒とした時のRAの基板面内分布を示したグラフである。横軸は直径300mmウエハの中心からの距離である。比較のためにMgOの焼結ターゲットからRFスパッタリングによってダイレクトにMgOトンネルバリアを形成したトンネル磁気抵抗素子のRA分布も載せた。これによれば、本発明の方法によって形成したトンネル磁気抵抗素子のRA分布は1.6%であり、MgO焼結ターゲットのRFスパッタリングによる方法のRA分布9.4%よりも明らかに良い結果であることがわかる。
(実施例4)
図10もまた実施例2で使用したトンネル磁気抵抗素子の膜構成およびMgOトンネルバリアの形成方法と同様のトンネル磁気抵抗素子であって、ラジカル酸化の酸化時間のみを20秒とした時のRAの基板間バラツキを示したグラフである。横軸は連続処理した基板の枚数である。比較のためにMgOの焼結ターゲットからRFスパッタリングによってダイレクトにMgOトンネルバリアを形成したトンネル磁気抵抗素子のRAバラツキも載せた。これによれば、本発明の方法によって形成したトンネル磁気抵抗素子の基板間RAバラツキは1.3%であり、MgO焼結ターゲットのRFスパッタリングによる方法のRAバラツキ6.7%よりも明らかに良い結果であることがわかる。
(実施例5)
図10は、実施例1の磁気トンネル素子において、第2の金属Mg層の膜厚を変えた時のMR比を示したグラフである。第2の金属Mg層を成膜することによって著しくMR比が増大することがわかった。本結果から第2に金属層として成膜する金属Mg層の膜厚は0.1nm以上0.6nm以下が好ましい。こうすることにより、100%以上のMR比を実現することができる。

Claims (9)

  1. 第1強磁性層、トンネルバリア層、および第2強磁性層を有するトンネル磁気抵抗素子の製造方法であって、
    前記トンネルバリア層を作製する工程が、
    金属ターゲットに電力を投入してプラズマを形成することで該金属ターゲットをスパッタして前記第1強磁性層の上に第1の金属層を成膜する工程であって、成膜の初期段階と後期段階のうち、いずれか一方の段階だけ酸素ガスを導入せずに、他方の段階だけ酸素ガスを導入することで酸素ドープされた第1の金属層を形成する工程を有し、
    前記第1の金属層を形成する工程は、同一のチャンバ内で前記金属ターゲットに電力を投入した状態で連続して行われること
    を特徴としたトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  2. 前記第1の金属層がMg(マグネシウム)であることを特徴とした請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  3. 前記第1の金属層の成膜方法が、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)のうち少なくとも1種類をスパッタリングガスの主成分とするスパッタリング法であることを特徴とした請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  4. 前記第1の金属層の成膜中に酸素をドープする方法として、前記スパッタリングガスに30%以下の酸素ガスを混合することを特徴とした請求項に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  5. 前記第1の金属層の成膜中に酸素をドープする方法として、スパッタリングガスの導入口と酸素ガスの導入口を個別に設け、スパッタリングガスの流量と酸素ガスの流量を独立に制御することを特徴とした、請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  6. 前記トンネルバリア層を作製する工程が、前記酸素ドープされた第1の金属層を酸化処理して金属酸化物層とする工程をさらに有し、
    前記酸素ドープされた第1の金属層を酸化処理する方法として、0.01〜10Torrの範囲の酸素圧力雰囲気に曝露することを特徴とした請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  7. 前記トンネルバリア層を作製する工程が、前記酸素ドープされた第1の金属層を酸化処理して金属酸化物層とする工程をさらに有し、
    前記酸素ドープされた第1の金属層を酸化処理する方法が、活性酸素種を用いたラジカル酸化であることを特徴とした請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  8. 前記トンネルバリア層を作製する工程が、
    前記酸素ドープされた第1の金属層を酸化処理して金属酸化物層とする工程と、
    前記金属酸化物層の上に第2の金属層を成膜する工程と
    をさらに有することを特徴とした請求項1に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
  9. 前記第2の金属層がMgであって、その膜厚が0.1nm以上0.6nm以下であることを特徴とした請求項8に記載のトンネル磁気抵抗素子の製造方法。
JP2013163153A 2013-08-06 2013-08-06 トンネル磁気抵抗素子の製造方法 Active JP5689932B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013163153A JP5689932B2 (ja) 2013-08-06 2013-08-06 トンネル磁気抵抗素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013163153A JP5689932B2 (ja) 2013-08-06 2013-08-06 トンネル磁気抵抗素子の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010517620A Division JP5341082B2 (ja) 2008-06-25 2008-06-25 トンネル磁気抵抗素子の製造方法および製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014003313A JP2014003313A (ja) 2014-01-09
JP5689932B2 true JP5689932B2 (ja) 2015-03-25

Family

ID=50036140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013163153A Active JP5689932B2 (ja) 2013-08-06 2013-08-06 トンネル磁気抵抗素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5689932B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9461242B2 (en) 2013-09-13 2016-10-04 Micron Technology, Inc. Magnetic memory cells, methods of fabrication, semiconductor devices, memory systems, and electronic systems
US9608197B2 (en) 2013-09-18 2017-03-28 Micron Technology, Inc. Memory cells, methods of fabrication, and semiconductor devices
US9281466B2 (en) 2014-04-09 2016-03-08 Micron Technology, Inc. Memory cells, semiconductor structures, semiconductor devices, and methods of fabrication
US9349945B2 (en) * 2014-10-16 2016-05-24 Micron Technology, Inc. Memory cells, semiconductor devices, and methods of fabrication
US10439131B2 (en) 2015-01-15 2019-10-08 Micron Technology, Inc. Methods of forming semiconductor devices including tunnel barrier materials

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6841395B2 (en) * 2002-11-25 2005-01-11 International Business Machines Corporation Method of forming a barrier layer of a tunneling magnetoresistive sensor
US7780820B2 (en) * 2005-11-16 2010-08-24 Headway Technologies, Inc. Low resistance tunneling magnetoresistive sensor with natural oxidized double MgO barrier
US7800868B2 (en) * 2005-12-16 2010-09-21 Seagate Technology Llc Magnetic sensing device including a sense enhancing layer
JP2008028362A (ja) * 2006-06-22 2008-02-07 Toshiba Corp 磁気抵抗素子及び磁気メモリ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014003313A (ja) 2014-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5341082B2 (ja) トンネル磁気抵抗素子の製造方法および製造装置
JP4908556B2 (ja) 磁気抵抗素子の製造方法
JP4292128B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
US10002973B2 (en) Magnetic tunnel junction with an improved tunnel barrier
US20130134032A1 (en) Method of fabricating and apparatus of fabricating tunnel magnetic resistive element
KR101374325B1 (ko) 자기 저항 소자의 제조 방법
US8993351B2 (en) Method of manufacturing tunneling magnetoresistive element
JP5351140B2 (ja) 磁気トンネル接合デバイスの製造方法
US20110143460A1 (en) Method of manufacturing magnetoresistance element and storage medium used in the manufacturing method
JP5689932B2 (ja) トンネル磁気抵抗素子の製造方法
JP4774082B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
WO2017134697A1 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
WO2007105472A1 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法及び製造装置
US20110084348A1 (en) Magnetoresistance element, method of manufacturing the same, and storage medium used in the manufacturing method
JP4774092B2 (ja) 磁気抵抗効果素子およびそれを用いたmram
JP4902686B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
US20240341199A1 (en) Magnetoresistive stack device fabrication methods
JP4774116B2 (ja) 磁気抵抗効果素子
WO2009096033A1 (ja) トンネル磁気抵抗効果素子の製造方法
JP2009044173A (ja) 磁性多層膜形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5689932

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250