[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP5688641B2 - 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子 - Google Patents

微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子 Download PDF

Info

Publication number
JP5688641B2
JP5688641B2 JP2011111517A JP2011111517A JP5688641B2 JP 5688641 B2 JP5688641 B2 JP 5688641B2 JP 2011111517 A JP2011111517 A JP 2011111517A JP 2011111517 A JP2011111517 A JP 2011111517A JP 5688641 B2 JP5688641 B2 JP 5688641B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrator
substrate
beam portion
comb
micro mechanical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011111517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012240147A (ja
Inventor
山口 浩司
浩司 山口
玲皇 米谷
玲皇 米谷
直 石原
直 石原
割澤 伸一
伸一 割澤
裕樹 芦葉
裕樹 芦葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
University of Tokyo NUC
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp, University of Tokyo NUC filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2011111517A priority Critical patent/JP5688641B2/ja
Publication of JP2012240147A publication Critical patent/JP2012240147A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5688641B2 publication Critical patent/JP5688641B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Micromachines (AREA)

Description

本発明は、液体の表面張力に起因する固着現象を利用して振動子への応力印加を実現する微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子に関するものである。
微小機械振動子のQ値向上手法として、振動子に引張応力を印加する方法が知られている。これまで微小機械振動子への引張応力印加には、あらかじめ応力を印加した薄膜を構造材料として振動子を作製する手法(非特許文献1、特許文献1参照)が多く用いられてきた。
特開2009−231858号公報
S.Verbridge,et al.,"High Quality factor resonance at room temperature with nanostrings under high tensile stress",J.Appl.Phys.,99,124304,2006
しかしながら、非特許文献1、特許文献1に開示された従来の手法においては、振動子作製に付加的なプロセスおよび大規模な製造装置が必要であること、振動子材料が限られること、印加する応力の制御が困難であること等の問題点があった。引張応力印加微小機械振動子をセンサ等の様々な実用デバイスに応用するためには、簡易なプロセスかつ任意の構造材料選択および応力の制御が可能な引張応力印加方法が求められる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、製造時に任意の引張応力に設定可能な微小機械振動子を簡易なプロセスで実現することができる微小機械振動子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、振動子への引張応力印加を簡単な構造で実現することができる微小機械振動子を提供することを目的とする。
本発明の微小機械振動子の製造方法は、基板上に2つの支持部を形成すると共に、両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される2本の梁部とを形成する加工工程と、前記支持部および梁部が形成された基板を試薬で洗浄する洗浄工程と、前記支持部および梁部が形成された基板を大気中で自然乾燥させる乾燥工程とを備え、前記乾燥工程において前記試薬の表面張力を利用して前記2本の梁部の一部を固着させることにより前記2本の梁部に引張応力を印加することを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の製造方法は、基板上に2つの支持部を形成すると共に、両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される梁部とを形成する加工工程と、前記支持部および梁部が形成された基板を試薬で洗浄する洗浄工程と、前記支持部および梁部が形成された基板を大気中で自然乾燥させる乾燥工程とを備え、前記2つの支持部のうち一方の支持部は、前記基板上に形成された第1の櫛歯状部材と、前記基板上に形成された2つの固定部と、前記第1の櫛歯状部材と対向するように配置され、前記梁部の一端を支持し、両端が前記2つの固定部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される第2の櫛歯状部材とから構成され、前記乾燥工程において前記試薬の表面張力を利用して前記第1の櫛歯状部材の歯の一部と前記第2の櫛歯状部材の歯の一部とを固着させることにより前記梁部に引張応力を印加することを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の製造方法の1構成例において、前記支持部の形状、寸法、材料および前記梁部の形状、寸法、材料は、前記梁部への所望の応力印加量が得られるようにあらかじめ選択される。
また、本発明の微小機械振動子の製造方法の1構成例において、前記洗浄工程で使用される試薬は、前記梁部への所望の応力印加量が得られるようにあらかじめ選択される。
また、本発明の微小機械振動子の製造方法の1構成例において、前記支持部の形状、寸法、材料および前記梁部の形状、寸法、材料は、微小機械振動子の所望の共振周波数およびQ値が得られるようにあらかじめ選択される。
また、本発明の微小機械振動子の製造方法の1構成例において、前記洗浄工程で使用される試薬は、微小機械振動子の所望の共振周波数およびQ値が得られるようにあらかじめ選択される。
また、本発明の微小機械振動子は、基板上に形成された2つの支持部と、両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される2本の梁部とを備え、前記2本の梁部の変形により該梁部の一部が固着しており、前記2本の梁部にはスティクションによる該梁部の変形量に応じた引張応力が印加されることを特徴とするものである。
本発明によれば、基板上に2つの支持部を形成すると共に、両端が2つの支持部で固定されることによって基板から浮いた状態で支持される2本の梁部とを形成する加工工程と、基板を試薬で洗浄する洗浄工程と、基板を大気中で自然乾燥させる乾燥工程とを実施し、乾燥工程において試薬の表面張力を利用して2本の梁部の一部を固着させることにより、2本の梁部に引張応力を印加することができる。本発明では、製造時に任意の引張応力に設定可能な微小機械振動子を簡易なプロセスで実現することができる。また、本発明では、微小機械振動子の梁部への引張応力印加に固着現象を利用することにより、高い共振周波数および高いQ値を有する微小機械振動子を作製することができる。また、本発明では、任意の機械特性、振動特性、応力制御性を有した微小機械振動子の設計、作製が可能である。また、本発明では、微小機械振動子の構造の簡略化を実現することができる。
また、本発明では、2つの支持部のうち一方の支持部を、基板上に形成された第1の櫛歯状部材と、基板上に形成された2つの固定部と、第1の櫛歯状部材と対向するように配置され、梁部の一端を支持し、両端が2つの固定部で固定されることによって基板から浮いた状態で支持される第2の櫛歯状部材とから構成し、乾燥工程において試薬の表面張力を利用して第1の櫛歯状部材の歯の一部と第2の櫛歯状部材の歯の一部とを固着させることにより、梁部に引張応力を印加することができる。本発明では、製造時に任意の引張応力に設定可能な微小機械振動子を簡易なプロセスで実現することができる。また、本発明では、微小機械振動子の梁部への引張応力印加に固着現象を利用することにより、高い共振周波数および高いQ値を有する微小機械振動子を作製することができる。また、本発明では、任意の機械特性、振動特性、応力制御性を有した微小機械振動子の設計、作製が可能である。また、本発明では、微小機械振動子の構造の簡略化を実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子の作製プロセスを説明する平面図および断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子を上から撮影した電子顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子の寸法の定義を説明する平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子の共振周波数およびQ値の測定結果を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る別の微小機械振動子を上から撮影した電子顕微鏡写真である。 本発明の第2の実施の形態に係る微小機械振動子の斜視図および平面図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明を用いた実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、集束イオンビーム化学気相成長法(focused-ion-beam chemical vapor deposition:FIB−CVD)およびウェットエッチングによりスティクション現象を利用した引張応力印加微小機械振動子を作製した。
FIB−CVDは、CVDの原料となるガスをガスノズルより噴射し、原料ガス分子を基板等に吸着させ、その吸着原料分子にガリウム集束イオンビームを照射することで原料分子を解離、堆積させ、微小構造を形成するものである(特開2001−107252号公報、文献「S.Matsui,et.al.,“Three-dimensional nanostrecture fabrication by focused-ion-beam chemical vapor deposition”,J.Vac.Sci.Tech.B,Vol.18,No.6,p.3181-3184,2000」)。イオンビーム照射位置を任意に制御することで任意形状の微小構造を作製することが可能であり、ナノマニピュレータ等様々な微小構造デバイスがFIB−CVDにより作製可能であることがこれまでに示されている(文献「R.Kometani and S.Ishihara,“Nanoelectromechanical device fabrications by 3-D nanotechnology using focused-ion beams”,Sci.Technol.Adv.Mater.10,034501,2009」)。
本実施の形態における微小機械振動子の作製プロセスを、図1(A)、図1(C)、図1(E)の平面図および図1(B)、図1(D)、図1(F)の断面図で説明する。
まず、FIB−CVDによりシリコン基板1上に図1(A)、図1(B)に示すような2つの平板状のエッチングマスクパターン2と、エッチングマスクパターン2よりも細い棒状で、両端がエッチングマスクパターン2に接続された2本の平行な両持ち梁型パターン3とを形成した。
ここでは、吸着原料分子に照射するイオンビームとして、加速電圧30kV、ビーム電流89pAのGa+集束イオンビームを用いた。また、CVDの原料ガスとしてフェナントレンを用いた。そのため、本実施の形態において作製した機械振動子の構造材料、すなわちエッチングマスクパターン2および両持ち梁型パターン3の構造材料は、ダイヤモンドライクカーボン(diamond-like carbon:DLC)である。フェナントレンガス雰囲気中でガリウム集束イオンビームの照射位置および照射量をビーム制御プログラムにより操作し、シリコン(100)面上にDLCを堆積させた。
次に、エッチングマスクパターン2および両持ち梁型パターン3を形成したシリコン基板1に対し、25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(Tetramethylammonium hydroxide:TMAH)水溶液を用いてシリコンの異方性エッチングを行った。両持ち梁型パターン3は、エッチングマスクパターン2に比べて細く形成されているので、ウェットエッチングを実施すると、両持ち梁型パターン3の下部のシリコンが取り除かれる一方、エッチングマスクパターン2の下部のシリコンは残る。したがって、図1(C)、図1(D)に示すように両持ち梁型パターン3が両側のエッチングマスクパターン2およびパターン2下部のシリコンによって支持される両持ち梁構造が形成される。
最後に、ウェットエッチングエッチングを行ったシリコン基板1を純水で洗浄して、大気中で自然乾燥させた。この自然乾燥工程において、エッチングマスクパターン2および両持ち梁型パターン3で囲まれた空間に水の液膜が形成され、乾燥の進行に伴って水の表面張力により2本の両持ち梁型パターン3が互いに引き合うようになり、最終的に2本の両持ち梁型パターン3が接触して固着する。以下、このような固着現象をスティクションと呼ぶ。
こうして、図1(E)、図1(F)に示すようにシリコン基板1上に形成された2つの支持部10(エッチングマスクパターン2)と、中心から両端に向かう一部の箇所が接触して固着し、各々の両端が2つの支持部10で固定されることによってシリコン基板1から浮いた状態で支持される2本の梁部11(両持ち梁型パターン3)とを備えた微小機械振動子が完成する。このとき、梁部11には、スティクションによる変形量に応じた引張応力が印加される。
本実施の形態では、図2(A)〜図2(D)に示す梁間隔の異なる4種類の微小機械振動子A〜Dを作製した。作製した微小機械振動子A〜Dの寸法および算出した応力印加量を表1に示す。
スティクションによって梁部11に加えられる応力印加量は、以下の式で定義する平均応力σmean[MPa]によって評価した。
ここで、Eはヤング率である。また、図3に示すようにlはスティクション前の両持ち梁型パターン3の長さ(支持部10の間隔)、wは両持ち梁型パターン3の幅(図3の上下方向の大きさ)、tは支持部10および梁部11の厚さ、lstはスティクションによって2本の両持ち梁型パターン3が接触した部分の長さ、dは両持ち梁型パターン3の間隔である。表1から明らかなとおり、梁間隔dの大きい微小機械振動子ほどスティクションによる梁部11の変形量が大きく、平均応力の値も大きくなった。
図2(A)〜図2(D)に示した微小機械振動子A〜Dの共振周波数およびQ値を、電子ビーム法により測定した。電子ビーム法については、文献「H.Ashiba,et al.,“Evaluation Method of the Quality Factor of Micromechanical Resonators Using Electron Beams”,Jpn.J.Appl.Phys.,48,06FG08,2009」に開示されている。図4は測定結果を示す図であり、横軸は平均応力σmean、縦軸は共振周波数およびQ値である。図4の40は平均応力σmeanと共振周波数との関係を示す特性、41は平均応力σmeanとQ値との関係を示す特性である。図4から明らかなように、微小機械振動子A〜Dの共振周波数およびQ値が、平均応力σmeanの大きさに従って向上していることが分かる。
また、上記の微小機械振動子A〜Dの例では、梁間隔dでスティクションによる変形量を変化させているが、梁間隔dのみならず、表面張力の異なる試薬で洗浄を行うことでスティクションによる変形量を変化させることが可能である。本実施の形態では、前述の純水による洗浄に代え、イソプロピルアルコール(IPA)による洗浄で振動子作製も行った。図5(A)に純水による洗浄で作製した微小機械振動子を示し、図5(B)にIPAによる洗浄で作製した微小機械振動子を示す。図5(A)、図5(B)の各々には、梁間隔d=0.60μm、1.00μm、1.40μm、1.80μm、2.20μm、2.60μm、3.00μm、3.40μmで作製した8個の微小機械振動子が写っている。図5(A)、図5(B)中には、それぞれの梁部11の下に梁間隔dを記している。純水の表面張力は72mN/m、IPAの表面張力は21mN/mである。
図5(A)、図5(B)によれば、梁間隔dが同じであっても、IPAによる洗浄で作製した微小機械振動子では、純水による洗浄で作製した微小機械振動子に比べてスティクションによる梁部11の変形量が小さくなることが分かる。図5(A)、図5(B)に示した微小機械振動子のスティクション長さlstの測定結果および平均応力σmeanの算出結果を表2に示す。
ウェットエッチング後の洗浄プロセスに純水と表面張力の異なる試薬を用いると、乾燥プロセスで2本の梁部11が引きつけ合う力が異なるため、梁部11の変形量に違いが生じ、純水による洗浄の場合とは異なる応力が梁部11に印加されることになる。表2から明らかなとおり、洗浄プロセスで使用する試薬の表面張力が小さいほど、スティクションによる梁部11の変形量が小さくなり、梁部11への応力印加量が小さくなる。こうして、本実施の形態では、洗浄に用いる試薬の表面張力を変化させることで、微小機械振動子の梁部11に印加する応力値を制御可能なことを確認した。図4で説明したとおり、梁部11への応力印加量が大きくなるほど、微小機械振動子の共振周波数およびQ値は高くなる。
以上のように、本実施の形態では、スティクション現象の利用により微小機械振動子の梁部11に引張応力を印加することができ、高Q値の微小機械振動子を作製することが可能である。また、本実施の形態では、振動子構造や洗浄に用いる試薬によってスティクションを制御することができ、応力値の制御された微小機械振動子を作製することが可能である。
本実施の形態では、微小機械振動子の梁部11への引張応力印加にスティクション現象を利用することにより、高い共振周波数および高いQ値を有する微小機械振動子を作製することができる。例えば本実施の形態で開示している大きさの微小機械振動子の場合、有限要素法解析ソフトANSYS(登録商標)による数値解析によると、引張応力が印加されていない単純な両持ち梁構造の微小機械振動子では共振周波数が147kHzであるのに対し、本実施の形態の微小機械振動子では共振周波数が1〜2MHz程度まで向上することが確認されている。また、Q値に関しては振動子構造や振動子材料、作製方法や作製条件、測定条件によっても異なるため一概には言えないが、図4に示したように同じ条件で作製した微小機械振動子であっても梁部に大きな応力がかかった微小機械振動子ほどQ値が高くなることが確認されている。
また、本実施の形態では、微小機械振動子の梁部11への引張応力印加にスティクション現象を利用することにより、任意の機械特性、振動特性、応力制御性を有した微小機械振動子の設計、作製が可能である。
また、本実施の形態では、微小機械振動子の梁部11への引張応力印加にスティクション現象を利用することにより、微小機械振動子の構造の簡略化を実現することができる。
また、本実施の形態では、微小機械振動子の製造プロセスの低減を実現することができる。
微小機械振動子は、高感度かつ高速応答の特性を有することから、次世代センサや次世代回路素子等の中核デバイスとして期待され、研究開発が進められている。それら次世代デバイス作製においては、高性能なデバイス実現のために高い振動特性を有した微小機械振動子が求められる。これに対して、本実施の形態のスティクション現象を利用した微小機械振動子への応力印加原理が及ぼす効果は、上記のとおり高性能微小機械振動子の製造工程の低減と低コスト化である。本実施の形態によれば、一般的な半導体プロセスに付加的な工程を加えることなく、梁部に引張応力を印加した微小機械振動子を作製することが可能となる。このため、低コストの微小機械振動子デバイスの高性能化を達成することが期待できる。
なお、微小機械振動子の梁部への応力印加量は、微小機械振動子の形状、寸法だけでなく、微小機械振動子の構造材料の機械材料物性(ヤング率、横弾性係数、密度、ポアソン比等)によっても決定される。本実施の形態では、支持部10および梁部11の材料としてDLCを用いているが、DLCに限るものではなく、微小機械振動子として使用し得る硬さの導電性材料であれば他の材料でも利用可能である。利用可能な材料としては、例えば、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、炭化シリコン(SiC)、ダイヤモンド等が考えられる。
微小機械振動子の梁部への応力印加量は、上記のとおり微小機械振動子のウェットエッチング後の洗浄プロセスで使用する試薬の表面張力および微小機械振動子の構造材料表面の表面物性(表面自由エネルギー)によって決定される。本実施の形態では、洗浄プロセスで使用する試薬として、純水とイソプロピルアルコール(IPA)を例に挙げて説明しているが、エタノールなどを利用することも可能である。基本的には、振動子材料に影響を及ぼさない液体であれば、洗浄プロセスで使用する試薬として適用可能である。
微小機械振動子の共振周波数およびQ値は、微小機械振動子の形状、寸法だけでなく、微小機械振動子の構造材料の機械材料物性(ヤング率、横弾性係数、密度、ポアソン比等)によっても決定される。利用可能な材料は上記のとおりである。
また、微小機械振動子の共振周波数およびQ値は、上記のとおり微小機械振動子のウェットエッチング後の洗浄プロセスで使用する試薬の表面張力および微小機械振動子の構造材料表面の表面物性(表面自由エネルギー)によって決定される。
なお、本実施の形態では、図1(A)、図1(B)に示した段階の微小機械振動子パターン(エッチングマスクパターン2および両持ち梁型パターン3)を形成する技術として、FIB−CVDを用いているが、これに限るものではなく、既存の超微細加工技術(電子ビーム露光技術、フォトリソグラフィー、ナノインプリント技術、ドライエッチング、ウェットエッチング、蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等)を複数組み合わせて微小機械振動子パターンを形成することも可能である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、本発明の微小機械振動子の例として支持部10および梁部11を有する形状の振動子について説明したが、本発明は、第1の実施の形態の振動子構造に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形・応用が可能である。本実施の形態では、微小機械振動子の別の例について説明する。
図6(A)は本実施の形態に係る微小機械振動子の斜視図、図6(B)はこの微小機械振動子の平面図である。
本実施の形態の微小機械振動子は、シリコン基板20上に形成された2つの支持部21,22と、両端が2つの支持部21,22で固定されることによってシリコン基板20から浮いた状態で支持される梁部23とから構成される。
支持部22は、シリコン基板20上に形成された第1の櫛歯状部材24と、シリコン基板20上に形成された2つの固定部25と、第1の櫛歯状部材24と対向するように配置され、梁部23の一端を支持し、梁部23の架設方向(図6(B)左右方向)と直角な方向(図6(B)上下方向)の両端が2つの固定部25で固定されることによってシリコン基板20から浮いた状態で支持される第2の櫛歯状部材26とから構成される。第1の櫛歯状部材24と第2の櫛歯状部材26とは、それぞれ対向する櫛歯状部材に向かって交互に突出する複数の歯を有している。そして、第2の櫛歯状部材26の歯の一部は、第1の櫛歯状部材24の歯の一部と固着している。
次に、本実施の形態の微小機械振動子の製造方法について説明する。まず、シリコン基板20上に支持部21、第1の櫛歯状部材24および固定部25のパターンが形成され、かつ梁部23の下部のシリコンおよび第2の櫛歯状部材26の下部のシリコンが取り除かれた構造を形成する。このような構造を形成するには、第1の実施の形態と同様に、シリコン基板20上に支持部21,22および梁部23のパターンをFIB−CVDにより形成した後に、ウェットエッチングを実施すればよい。梁部23および第2の櫛歯状部材26は、支持部21、第1の櫛歯状部材24および固定部25に比べて細く形成されているので、ウェットエッチングを実施すると、梁部23の下部のシリコンおよび第2の櫛歯状部材26の下部のシリコンが取り除かれる一方、支持部21の下部のシリコン、第1の櫛歯状部材24の下部のシリコンおよび固定部25の下部のシリコンは残る。
次に、ウェットエッチングを行ったシリコン基板20を純水、イソプロピルアルコール(IPA)またはエタノール等の液体(試薬)で洗浄して、大気中で自然乾燥させた。この自然乾燥工程において、第1の櫛歯状部材24および第2の櫛歯状部材26で囲まれた空間に試薬の液膜が形成され、乾燥の進行に伴って試薬の表面張力により第1の櫛歯状部材24と第2の櫛歯状部材26が互いに引き合うようになり、最終的に第2の櫛歯状部材26の歯の一部が第1の櫛歯状部材24の歯の一部と固着する。
第1の櫛歯状部材24はシリコン基板20上に形成され、一方、第2の櫛歯状部材26はシリコン基板20から浮いた状態なので、第1の櫛歯状部材24と第2の櫛歯状部材26が互いに引き合うと、第1の櫛歯状部材24は移動せず、第2の櫛歯状部材26がウェットエッチング終了時の位置から移動することになる。したがって、梁部23に引張応力が印加される。図6(B)では、第2の櫛歯状部材26がウェットエッチング終了時の位置よりも左側に移動して、第1の櫛歯状部材24と固着した例を記載している。
第1の実施の形態では、梁部自体にスティクションを生じさせて引張応力を発生させていたが、本実施の形態では、支持部22にスティクションを生じさせることにより、梁部23に引張応力を発生させている。
こうして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は、センサ等に使用される微小機械振動子に適用することができる。
1,20…シリコン基板、2…エッチングマスクパターン、3…両持ち梁型パターン、10,21,22…支持部、11,23…梁部、24,26…櫛歯状部材、25…固定部。

Claims (7)

  1. 基板上に2つの支持部を形成すると共に、両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される2本の梁部とを形成する加工工程と、
    前記支持部および梁部が形成された基板を試薬で洗浄する洗浄工程と、
    前記支持部および梁部が形成された基板を大気中で自然乾燥させる乾燥工程とを備え、
    前記乾燥工程において前記試薬の表面張力を利用して前記2本の梁部の一部を固着させることにより前記2本の梁部に引張応力を印加することを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  2. 基板上に2つの支持部を形成すると共に、両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される梁部とを形成する加工工程と、
    前記支持部および梁部が形成された基板を試薬で洗浄する洗浄工程と、
    前記支持部および梁部が形成された基板を大気中で自然乾燥させる乾燥工程とを備え、
    前記2つの支持部のうち一方の支持部は、前記基板上に形成された第1の櫛歯状部材と、前記基板上に形成された2つの固定部と、前記第1の櫛歯状部材と対向するように配置され、前記梁部の一端を支持し、両端が前記2つの固定部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される第2の櫛歯状部材とから構成され、
    前記乾燥工程において前記試薬の表面張力を利用して前記第1の櫛歯状部材の歯の一部と前記第2の櫛歯状部材の歯の一部とを固着させることにより前記梁部に引張応力を印加することを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の微小機械振動子の製造方法において、
    前記支持部の形状、寸法、材料および前記梁部の形状、寸法、材料は、前記梁部への所望の応力印加量が得られるようにあらかじめ選択されることを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  4. 請求項1または2記載の微小機械振動子の製造方法において、
    前記洗浄工程で使用される試薬は、前記梁部への所望の応力印加量が得られるようにあらかじめ選択されることを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の微小機械振動子の製造方法において、
    前記支持部の形状、寸法、材料および前記梁部の形状、寸法、材料は、微小機械振動子の所望の共振周波数およびQ値が得られるようにあらかじめ選択されることを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  6. 請求項1または2記載の微小機械振動子の製造方法において、
    前記洗浄工程で使用される試薬は、微小機械振動子の所望の共振周波数およびQ値が得られるようにあらかじめ選択されることを特徴とする微小機械振動子の製造方法。
  7. 基板上に形成された2つの支持部と、
    両端が前記2つの支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持される2本の梁部とを備え、
    前記2本の梁部の変形により該梁部の一部が固着しており、前記2本の梁部にはスティクションによる該梁部の変形量に応じた引張応力が印加されることを特徴とする微小機械振動子。
JP2011111517A 2011-05-18 2011-05-18 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子 Active JP5688641B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011111517A JP5688641B2 (ja) 2011-05-18 2011-05-18 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011111517A JP5688641B2 (ja) 2011-05-18 2011-05-18 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012240147A JP2012240147A (ja) 2012-12-10
JP5688641B2 true JP5688641B2 (ja) 2015-03-25

Family

ID=47462378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011111517A Active JP5688641B2 (ja) 2011-05-18 2011-05-18 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5688641B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19960604A1 (de) * 1999-12-16 2001-06-21 Bosch Gmbh Robert Mikromechanische Federstruktur, insbesondere für einen Drehratensensor
FR2818825B1 (fr) * 2000-12-21 2003-02-21 Commissariat Energie Atomique Dispositif comprenant une structure mobile a rigidite variable, de preference a commande electrostatique
EP1395835B1 (en) * 2001-05-15 2006-08-16 Honeywell International Inc. Accelerometer strain relief structure
JP5101410B2 (ja) * 2008-06-27 2012-12-19 セイコーインスツル株式会社 共振周波数可変mems振動子
JP5671742B2 (ja) * 2010-07-23 2015-02-18 学校法人立命館 電極構造要素と振動構造要素を近接して配置する方法およびこれを用いたmemsデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012240147A (ja) 2012-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2008102813A1 (ja) カーボンナノチューブからなる梁状体及びその製造方法
WO2011114628A1 (ja) Mems素子、およびmems素子の製造方法
JP5403519B2 (ja) 結晶ダイヤモンド・エアギャップ構造体の作製方法
Ben-Shimon et al. Graphene foam resonators: Fabrication and characterization
JP7037144B2 (ja) Mems振動素子の製造方法およびmems振動素子
JP5586067B2 (ja) 微小機械振動子とその製造方法
JP5688641B2 (ja) 微小機械振動子の製造方法および微小機械振動子
Liu et al. NEMS by sidewall transfer lithography
JP2009208975A (ja) カーボンナノチューブ構造体及びその製造方法
CN111024194B (zh) 一种谐振系统的质量检测方法
JP5030163B2 (ja) 微小機械共振器およびその製造方法
JP6156881B2 (ja) 微小機械振動構造の作製方法
KR101981702B1 (ko) 마이크로 스케일 실리콘 구조물과 통합되는 실리콘 나노 와이어 제조방법
Toshiyoshi et al. Fabrication of micromechanical tunneling probes and actuators on a silicon chip
KR100933560B1 (ko) 패턴화된 실리콘 나노팁 제작방법
Hutchison et al. High aspect ratio microelectromechanical systems: A versatile approach using carbon nanotubes as a framework
Savu et al. 100 mm dynamic stencils pattern sub-micrometre structures
Gajewski et al. Microfabricated support structures for investigations of mechanical and electrical graphene properties
JP6085235B2 (ja) 機械共振器の作製方法
JP5819766B2 (ja) 微小メカニカル素子およびその作製方法
KR101211793B1 (ko) 서스펜더를 가지는 나노구조체의 제조방법 및 이에 의해 제조된 나노구조체
JP2008233769A (ja) 光フィルタ装置及びその製造方法
Hwang et al. Porous silicon resonator for sensitive vapor detection
JP2008082865A (ja) 微小カンチレバー及びその製造方法
Merzsch et al. Fabrication of vertical nanowire resonators for aerosol exposure assessment

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130812

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140715

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5688641

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250