以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる印刷装置及び印刷方法の実施形態を詳細に説明する。
まず、本実施形態の印刷装置を含む印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングの概略について説明する。
プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。このため、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
本実施形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける印刷を実行する部分に関わるもので、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られた画像データ(ビットマップデータ)の印刷とを別の装置で行う。RIP処理は印刷処理の中でも処理時間を要するため、RIP処理を行う装置と、印刷処理を行う印刷装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
なお以下では、本実施形態の印刷システムがカラー印刷を行う場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではなく、例えばモノクロ印刷であってもよい。
次に、本実施形態の印刷システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の印刷システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、印刷システム1は、上位装置10と、プリンタ装置13(印刷装置の一例)と、上位装置10とプリンタ装置13とを接続する複数のデータ線11(第1伝送路の一例)及び制御線12(第2伝送路の一例)とを、備える。
上位装置10は、図示せぬホスト装置から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理を行い、印刷用の各色の画像データ(ビットマップデータ)を作成する。また、上位装置10は、当該印刷ジョブデータやホスト装置の情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
上位装置10で作成された各色の画像データは、複数のデータ線11をそれぞれ介してプリンタ装置13のプリンタエンジン15に供給される。また、上位装置10とプリンタ装置13のプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ14は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン15を制御して、印刷ジョブに従った印刷を実行する。印刷方式は特に限定されないが、本実施形態では、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。
また本実施形態では、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙(連続帳票)であって、プレプリントデータが事前印刷されているプレプリント用紙(記録媒体の一例)を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこのプレプリント用紙を用いることが多い。プレプリント用紙の搬送方向(長手方向)を副走査方向とし、副走査方向に直交する方向(短手方向)を主走査方向とした場合、本実施形態のプリンタ装置13は、プレプリント用紙に事前印刷されているプレプリントデータの印刷位置に応じて印刷位置を主走査方向にずらして印刷を行う。つまり本実施形態では、画像データは、プレプリント用紙の印刷基準位置から主走査方向に補正量ずらした位置に印刷される。なお詳細には、副走査の正方向を下方向、副走査の負方向を上方向、主走査の正方向を右方向、主走査の負方向を左方向とした場合、プリンタ装置13は、印刷位置を右方向にずらして印刷を行う。
このように本実施形態では、連帳紙のプレプリント用紙を例に取り説明するが、勿論、これに限らず、プレプリントデータが事前印刷されていれば、A4サイズ、B4サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
図2は、本実施形態の上位装置10の詳細構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、上位装置10は、バス100と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、表示装置105と、入力装置106と、外部I/F110と、制御情報用I/F111と、画像データ用I/F112とを、備える。上位装置10の各部は、バス100に接続され、バス100を介して互いに通信可能となっている。
ROM102及びHDD104には、CPU101が動作するためのプログラムが予め格納されている。RAM103は、CPU101のワークメモリとして用いられる。即ち、CPU101は、ROM102及びHDD104に格納されているプログラムに従い、RAM103をワークメモリに用いて、上位装置10の全体の動作を制御する。
表示装置105は、オペレータに対して各種画面を表示するものであり、液晶ディスプレイやタッチパネル式ディスプレイなどの既存の表示装置により実現できる。入力装置106は、オペレータが各種操作の入力を行うものであり、キーボードやタッチパネルなどの既存の入力装置により実現できる。
外部I/F110は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置との通信を制御する。画像データ用I/F112は、画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置10において作成された色Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)、及びK(Black)による各色の画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。画像データ用I/F112は、高速な転送速度を実現するため、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。但し、これに限定されるものではなく、高速転送が可能な高速シリアルインタフェースであればよい。制御情報用I/F111は、制御情報の通信を制御する。なお、制御情報用I/F111の方式は特に限定されないが、本実施形態では、画像データ用I/F112と同様に、PCI Expressを用いるものとする。
このような構成において、外部I/F110は、ホスト装置から送信された印刷ジョブデータを受信する。CPU101は、外部I/F110により受信された印刷ジョブデータをHDD104に格納する。またCPU101は、HDD104から印刷ジョブデータを読み出し、読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色の画像データ(ビットマップデータ)をRAM103に生成する。例えば、CPU101は、RIP処理によりPDL(Page Description Language)をレンダリングして各色のビットマップデータをRAM103に書き出す。またCPU101は、RAM103に生成した各色の画像データを圧縮符号化してHDD104に一旦格納する。またCPU101は、例えばプリンタ装置13において印刷動作が開始される際に、HDD104から圧縮符号化された各色の画像データを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色の画像データをRAM103に書き込む。そしてCPU101は、RAM103から各色の画像データを読み出し、読み出した各色の画像データを画像データ用I/F112にパラレル−シリアル変換させて、画像データ用I/F112の各チャネルからそれぞれ出力させ、複数のデータ線11それぞれを介してプリンタ装置13に供給する。
またCPU101は、生成した画像データの印刷位置の調整画面を表示装置105に表示させ、入力装置106から、印刷基準位置からの補正量の入力を受け付ける。ここで、印刷基準位置は、画像データのデフォルトの印刷位置を示し、補正量は、印刷基準位置からのずらし量を示す。補正量は、例えば、mm単位などの長さで表される。そしてCPU101は、受け付けた補正量を含む制御情報を制御情報用I/F111を介してプリンタ装置13に送信するなど、印刷動作の進行などに応じて、プリンタ装置13との間で制御情報用I/F111を介して制御情報の送受信を行う。
図3は、本実施形態のプリンタ装置13の詳細構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14と、プリンタエンジン15と、搬送制御部51とを、備える。
プリンタコントローラ14(制御部の一例)は、制御線12が接続され、上位装置10との間で制御線12を介して制御情報の送受信を行ってプリンタエンジン15の印刷動作の制御を行う。例えばプリンタコントローラ14は、上位装置10から制御線12を介して補正量を含む制御情報を受信し、受信した制御情報に含まれる補正量を補正ビット数に変換してプリンタエンジン15に通知する。プリンタコントローラ14は、バス20、CPU21、及び印刷制御部22を有する。CPU21及び印刷制御部22は、バス20に接続され、バス20を介して互いに通信可能となっている。バス20には、図示せぬ通信I/Fを介して制御線12も接続される。
CPU21は、図示せぬROMに格納されるプログラムに従い動作し、プリンタ装置13の全体の動作を制御する。例えばCPU21は、印刷制御部22により受信された制御情報に含まれる補正量及び画像データの解像度を印刷制御部22から受信し、受信した補正量を受信した画像データの解像度に応じた補正ビット数に変換して印刷制御部22に送信する。
印刷制御部22は、複数のエンジン制御線40a、40b、40c、及び40dが接続される。印刷制御部22は、制御線12を介して上位装置10との間で行われる制御情報の送受信に基づき複数のエンジン制御線40a、40b、40c、及び40dを介してプリンタエンジン15との間でコマンドやステータス情報の送受信を行い、プリンタエンジン15の動作を制御する。例えば印刷制御部22は、上位装置10から、補正量、画像データの解像度、及び印刷データサイズ(画像データサイズ)などを含む制御情報を受信し、受信した制御情報に含まれる補正量及び画像データの解像度をCPU21に送信する。そして印刷制御部22は、CPU21から、補正量から変換された補正ビット数を受信し、受信した補正ビット数及び印刷データサイズをプリンタエンジン15に通知する。
プリンタエンジン15は、複数のデータ線11a、11b、11c、及び11dがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、データ線11a、11b、11c、及び11dをそれぞれ介して上位装置10から転送された各色の画像データによる印刷処理を行う。プリンタエンジン15は、複数のデータ管理部30a、30b、30c、及び30dと、画像データに基づく画像を用紙に出力し画像形成を行う画像出力部50と、複数のデータ管理部30a、30b、30c、及び30dそれぞれと画像出力部50とを接続する複数の出力線32a、32b、32c、及び32dとを、有する。
複数のデータ管理部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれデータ線11a、11b、11c、及び11dが接続されるとともに、それぞれエンジン制御線40a、40b、40c、及び40dが接続され、それぞれメモリ31a、31b、31c、及び31d(記憶部の一例)を有する。そしてデータ管理部30a、30b、30c、及び30dは、上位装置10から、データ線11a、11b、11c、及び11dを介して転送された各色の画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31c、及び31dに格納する。なお本実施形態では、複数のメモリ31a、31b、31c、及び31dのそれぞれは、少なくとも3ページ分の画像データを格納可能な容量を有するものとする。3ページ分の画像データは、例えば、上位装置10から転送中のページの画像データと、現在出力中のページの画像データと、次のページの画像データとに対応する。さらに、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれエンジン制御線40a、40b、40c、及び40dを介して印刷制御部22と制御信号の送受信を行う。
図4は、本実施形態のデータ管理部30aの詳細構成の一例を示すブロック図である。なお、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、共通の構成を適用することができるので、図4では、データ管理部30a、30b、30c、及び30dを代表してデータ管理部30aの構成を示す。図4に示すように、データ管理部30aは、メモリ31a及びロジック回路33aを有する。
ロジック回路33aは、エンジン制御線40a、データ線11a、及び出力線32aと接続される。そしてロジック回路33aは、印刷制御部22からエンジン制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、上位装置10からデータ線11aを介して転送された画像データをメモリ31aに格納する。同様に、ロジック回路32aは、印刷制御部22からエンジン制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、メモリ31aから画像データを読み出して、出力線32aを介して画像出力部50に供給する。
なお、ロジック回路33aは、論理回路などの組み合わせによりハードウェア的に構成されており、例えば、印刷制御部22からエンジン制御線40aを介して受け取ったビット列による制御信号に対して論理判定を行い、実行する処理を決定する。ロジック回路33aによる制御は、プログラムに対する割り込みにより処理を分岐させることが可能あるという利点や、CPUを用いた制御に対してより高速な処理が可能であるという利点がある。
図5は、本実施形態のロジック回路33aに含まれるシリアル‐パラレル変換回路300の回路構成の一例を示すブロック図である。図5に示すシリアル‐パラレル変換回路300は、上位装置10から転送された画像データを予め定められたビット数毎にシリアル‐パラレル変換してメモリ31aに格納するものであり、所定のタイミングで、予め定められたビット数から補正ビット数シフトしてシリアル‐パラレル変換を行う。これにより、印刷位置の調整が行われる。図5に示すように、シリアル‐パラレル変換回路300は、シフトレジスタ302と、ビットカウンタ304と、セレクタ306と、コンパレータ308と、パラレルデータ出力用ラッチ310とを、備える。
シフトレジスタ302には、シリアルデータラッチEN信号とともに、シリアルデータが入力される。
ビットカウンタ304は、シリアルデータラッチEN信号が入力され、シリアルデータラッチEN信号が入力される毎にカウント値をカウントして出力する。つまり、ビットカウンタ304は、受信したシリアルデータのビット数を管理する。本実施形態では、ビットカウンタ304はアップカウンタであり、シリアルデータラッチEN信号が入力される毎にカウント値をインクリメントして出力する。
セレクタ306は、デフォルトビット数及び補正ビット数が設定されており、先頭フラグオン/オフの入力に応じたビット数を出力する。例えば、セレクタ306は、先頭フラグオンが入力されればデフォルトビット数−補正ビット数を出力し、先頭フラグオフが入力されればデフォルトビット数を出力する。
本実施形態では、補正ビット数は、画像データの転送が開始される前に、プリンタコントローラ14(印刷制御部22)から通知される。また、デフォルトビット数は8ビットとなっている。また、先頭フラグのオン/オフは、図示せぬ先頭フラグ切替部により切り替えられる。先頭フラグ切替部は、画像データの転送が開始される前にプリンタコントローラ14(印刷制御部22)から通知された印刷データサイズ、及び受信したシリアルデータのビット数などから、画像データを構成する各ラインの先頭ビットの受信が開始されるか否かを判定する。なお先頭フラグ切替部は、1ラインを構成するビット数を予め保持しているものとする。そして先頭フラグ切替部は、ラインの先頭ビットの受信が開始されると判定した場合には先頭フラグオンをセレクタ306に出力し、ラインの先頭ビットの受信が開始されないと判定した場合には先頭フラグオフをセレクタ306に出力する。なお本実施形態では、先頭フラグ切替部は、ラインの先頭ビットの受信が開始されるか否かの判定をシフトレジスタ302からパラレルデータ出力用ラッチ310へデータが出力される毎に行うものとする。
コンパレータ308には、ビットカウンタ304から、カウント後のビット数が入力されるとともに、セレクタ306から、デフォルトビット数又はデフォルトビット数−補正ビット数が入力される。そしてコンパレータ308は、ビットカウンタ304からビット数が入力される毎に、セレクタ306から入力されたデフォルトビット数又はデフォルトビット数−補正ビット数と一致するか否かを判定し、一致する場合にパラレルデータラッチEN信号を出力する。
パラレルデータ出力用ラッチ310は、コンパレータ308からパラレルデータラッチEN信号が入力されると、シフトレジスタ302に入力されているシリアルデータをパラレルデータとして読み出し(コピーし)、メモリ31aに格納する。
図6は、本実施形態のシリアル‐パラレル変換回路300によるシリアル‐パラレル変換の一例を示す説明図であり、デフォルトビット数によるシリアル‐パラレル変換例を示している。なお、図6に示す例でも、デフォルトビット数は「8」であるものとする。
図6に示す例の場合、シフトレジスタ302には、シリアルデータD7〜D0が右側から順次入力される。コンパレータ308には、セレクタ306からデフォルトビット数が入力されており、シリアルデータがシフトレジスタ302に入力される毎に、ビットカウンタ304からインクリメントされたカウント値が入力される。そして、コンパレータ308は、シフトレジスタ302にシリアルデータD7〜D0が入力され、ビットカウンタ304からカウント値「8」が入力されると、パラレルデータラッチEN信号をパラレルデータ出力用ラッチ310に出力する。これにより、パラレルデータ出力用ラッチ310は、シフトレジスタ302からシリアルデータD7〜D0をパラレルデータとしてコピーして、メモリ31aに格納する。
図7は、本実施形態のシリアル‐パラレル変換回路300によるシリアル‐パラレル変換の一例を示す説明図であり、デフォルトビット数−補正ビット数によるシリアル‐パラレル変換例を示している。なお、図7に示す例では、デフォルトビット数は「8」、補正ビット数は「2」であるものとする。
図7に示す例の場合、シフトレジスタ302には、シリアルデータD7〜D2が右側から順次入力される。なお、シフトレジスタ302の初期値は0となっている。コンパレータ308には、セレクタ306からデフォルトビット数−補正ビット数、即ち、「6」が入力されており、シリアルデータがシフトレジスタ302に入力される毎に、ビットカウンタ304からインクリメントされたカウント値が入力される。そして、コンパレータ308は、シフトレジスタ302にシリアルデータD7〜D2が入力され、ビットカウンタ304からカウント値「6」が入力されると、パラレルデータラッチEN信号をパラレルデータ出力用ラッチ310に出力する。これにより、パラレルデータ出力用ラッチ310は、シフトレジスタ302からシリアルデータD7〜D2をパラレルデータとしてコピーして、メモリ31aに格納する。図7に示す例の場合、2ビット右シフトしてシリアル−パラレル変換したことになる。
このように本実施形態では、画像データを構成する各ラインの先頭ビットを含むビットをシリアル・パラレル変換する際に、補正ビット数分のビットシフトを行い、各ラインの先頭ビットを含まないビットをシリアル・パラレル変換する際には通常のシリアル・パラレル変換を行う。このため本実施形態によれば、シリアル・パラレル変換時のビットシフトにより、画像データを、プレプリント用紙の印刷基準位置から補正量ずらした位置に印刷することができる。
画像出力部50は、各データ管理部30a、30b、30c、及び30dにより読み出された画像データに基づく画像をプレプリント用紙に出力する。なお本実施形態では、画像データによる印刷を、ヘッドに設けられたノズルからインクを射出して印刷を行うインクジェット方式により行う場合を例に取り説明するが、これに限られず、例えばレーザプリンタ方式などを用いることもできる。
図8は、本実施形態の画像出力部50の詳細構成の一例を示す。図8に示すように、画像出力部50は、出力制御部55と、色C、M、Y、及びK各色のヘッド56a、56b、56c、及び56dとを、有する。但し、各色とヘッド56a、56b、56c、及び56dとの関係は、この例に限られない。
出力制御部55は、出力線32a、32b、32c、及び32dと、ヘッド56a、56b、56c、及び56dとの接続を制御する。即ち、出力制御部55は、ヘッド56a、56b、56c、及び56dそれぞれに対して、出力線32a、32b、32c、及び32dから1を選択して接続するように経路を設定する。
例えば、出力制御部55は、出力線32a、32b、32c、及び32dと、ヘッド56a、56b、56c、及び56dとを、1対1に接続するように設定できる。また例えば、出力制御部55は、出力線32をヘッド56a、56b、56c、及び56dに接続するというように、出力線32a、32b、32c、及び32dと、ヘッド56a、56b、56c、及び56dとを、1対多に接続するように設定してもよい。
なお出力制御部55は、例えばディップスイッチなどを用いたユーザ操作に基づいて、出力線32a、32b、32c、及び32dとヘッド56a、56b、56c、及び56dとを接続する経路を設定する。但し、これに限られず、出力制御部55は、当該経路を印刷制御部22からの制御信号(図示省略)に基づいて設定してもよい。
上述したように、本実施形態によるプリンタ装置13では、上位装置10からの画像データの転送と、当該画像データによる印刷を制御する制御信号の上位装置10とプリンタ装置13との間の送受信とが、異なる経路を介して行われる。また、上位装置10から、各色の画像データがそれぞれ異なるデータ線11a、11b、11c、及び11dを介して転送されると共に、これらデータ線11a、11b、11c、及び11dを介して転送された各色の画像データが、互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ管理部30a、30b、30c、及び30dにそれぞれ供給される。さらに、画像出力部50において、各データ管理部30a、30b、30c、及び30dの出力と各色のヘッド56a、56b、56c、及び56dとの接続経路をユーザ操作などにより設定可能とされている。
したがって、本実施形態によるプリンタ装置13は、画像データの色数(C、M、Y、及びKの4色又はK色のみなど)や、画像出力部50において用いるヘッド数に応じて、プリンタエンジン15の構成を容易に変更することが可能である。このとき、プリンタエンジン15に対して、データ管理部30a、30b、30c、及び30dのうち、要求される構成に応じて必要とされるものだけを設けるようにできる。
例えば、色C、M、Y、及びKの4色でフルカラーの印刷を行いたい場合は、プリンタエンジン15に対してデータ管理部30a、30b、30c、及び30dを全て設け、出力制御部55において、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの各出力を、それぞれヘッド56a、56b、56c、及び56dに接続すればよい。また例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、装置コスト優先として、それぞれ1のデータ管理部30a及びヘッド56aのみを設け、出力制御部55においてデータ管理部30aの出力をヘッド56aに接続することができる。さらに例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、印刷速度優先として、1のデータ管理部30aと4のヘッド56a、56b、56c、及び56dとを設け、出力制御部55においてデータ管理部30aの出力をヘッド56a、56b、56c、及び56dにそれぞれ接続することができる。この場合、同一色を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば、各ヘッド56a、56b、56c、及び56dでのインクの噴出時間を通常の1/4とし、印刷用紙の搬送速度を通常の4倍として高速印刷を行うことが考えられる。
搬送制御部51は、印刷制御部22と搬送制御線41により接続され、画像出力部50により画像データに基づく画像が形成される用紙の搬送を制御する。
図9は、本実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置200の構造の一例を示す概略図である。なお本実施形態では、前述したように印刷用紙として連帳紙のプレプリント用紙を用いる。
プレプリント用紙201は、印刷用紙補給部210から電源操作ボックス220を介して第1搬送部230に供給される。プレプリント用紙201は、第1搬送部230において、搬送制御部51の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン15に対応するプリンタエンジン部240及び250に供給される。
プリンタエンジン部240及び250は、上述の画像出力部50に対応する印刷部241において、第1搬送部230から供給されたプレプリント用紙201に対して画像データに従った印刷を行う。印刷が終了したプレプリント用紙201は、搬送制御部51の搬送制御によりプリンタエンジン部250から排出され、第2搬送部260に供給される。印刷後のプレプリント用紙201は、第2搬送部260の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部270に供給される。印刷後のプレプリント用紙201は、裁断部270によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
ここで、プリンタ装置200は、ページが連続した連続紙であるプレプリント用紙201に印刷を行うため、プリンタエンジン部240及び250におけるプレプリント用紙201への印刷後当該プレプリント用紙201が第2搬送部260から排出されるまでの経路にも、プレプリント用紙201が絶えず存在することになる。
なお、第2搬送部260の後段に、第1搬送部230、プリンタエンジン部240及び250、並びに第2搬送部260を含む構成をもう一組用意し、前側の第2搬送部260から排出された印刷後のプレプリント用紙201を表裏反転して後側の第1搬送部230に供給するようにしてもよい。これにより、プレプリント用紙201に対する両面印刷が可能となる。
図10は、本実施形態の制御情報の一例を示す図である。図10に示すように、制御情報は、大まかに、(1)ジョブ(JOB)情報と、(2)プリンタ状態及び印刷プロセスを示す情報と、(3)印刷条件を示す情報と、(4)接続を示す情報とに、大別される。
(1)のジョブ情報は、ジョブ(JOB)開始又はジョブ終了を通知する情報である。
ジョブ開始は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するジョブ開始の通知、及び当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答などである。ジョブ終了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する、ジョブ開始により要求した全印刷プロセスの終了の通知、及び当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答などである。なお、ジョブ開始及びジョブ終了におけるプリンタコントローラ14から上位装置10への応答には、ジョブを識別するためのジョブ識別子(JOBID)が含まれる。
(2)のプリンタ状態及び印刷プロセスを示す情報は、印刷プロセス受付開始、プリンタ情報の要求及び通知、印刷プロセス開始、印刷プロセス要求、データ転送完了、データ受信完了、印刷プロセス完了、プロセス状態報告、SC(Service Control)通知、又はエラー発生及び解除を通知する情報である。
印刷プロセス受け付け開始は、プリンタコントローラ14が印刷プロセスの受け付けが可能となったことを上位装置10に対して通知する。
プリンタ情報の要求及び通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する必要なプリンタ情報の要求、及び当該要求に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答などである。
印刷プロセス開始は、画像データの準備が完了した旨の上位装置10からプリンタコントローラ14に対する通知、及び当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答などである。画像データの準備が完了した旨の通知は、画像データの出力順及びページ(プロセス)単位で行われる。ページは、一連の印刷動作で印刷が行われる印刷単位である。
印刷プロセス要求は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対する印刷プロセスの通知、及び当該通知に対する上位装置10からプリンタコントローラ14に対する応答などである。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス要求により、印刷を行う色C、M、Y、及びKをそれぞれ示す色情報(Yellow,Cyan,Magenta, or Black)、プロセス識別番号processID、及びプレーン識別番号を上位装置10に対して通知する。なおプレーンは、1ページに印刷される各色の画像データに基づく画像それぞれに対応するものとする。プリンタコントローラ14は、プレーン単位及びプリンタエンジン15、即ちデータ管理部30a、30b、30c、及び30dの要求順に従い、これらの情報を上位装置10へ通知する。つまり、プリンタエンジン15側から上位装置10に画像データ(ビットマップデータ)を取りに行くことになる。
データ転送完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して要求されたプレーンの画像データの転送完了を通知する。
データ受信完了は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、要求したプレーンの画像データの受信完了を通知する。
印刷プロセス完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して、全ページ(プロセス)の印刷要求の完了を通知する。
プロセス状態報告は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、ページ(プロセス)の印刷状態を通知する。このとき、プリンタコントローラ14は、プリンタエンジン15から給紙、排紙、及び印刷開始に関する情報を取得し、取得したこれらの情報をプロセス状態報告に付加して上位装置10に送信する。
SC通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するプリンタ装置13の障害情報の取得の要求、及び当該要求に対して取得された障害情報のプリンタコントローラ14から上位装置10への通知などである。
エラー発生および解除は、上位装置10側でのエラー発生及び当該エラーの解除を上位装置10からプリンタコントローラ14へ通知する。
(3)の印刷条件を示す情報は、印刷条件の設定、即ち、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する印刷条件の通知、及び当該通知に対するプリンタコントローラ14の応答などである。印刷条件としては、例えば、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷データサイズ、解像度及び階調、色情報、並びに補正量などが挙げられる。
印刷形態は、例えばプレプリント用紙201に対して両面印刷及び片面印刷のうち何れを行うかを示す。印刷種別は、画像データが存在しておりそれを印刷するのか、画像データが存在しておらず白紙ページとするのかを示す。給排紙情報は、プレプリント用紙201の給紙元及び排紙先のスタッカなどの識別情報を示す。印刷面順は、プレプリント用紙201に対して表面から裏面へと印刷するのか、裏面から表面へと印刷するのかを示す。印刷用紙サイズは、例えばプレプリント用紙201として連帳紙を用いる場合、印刷を行うページのプレプリント用紙201の搬送方向の長さを示す。印刷データサイズは、画像データのデータサイズを示す。解像度及び階調は、画像データをプレプリント用紙201に印刷する際の解像度及び階調を示す。また、色情報は、例えば印刷を色C、M、Y及びK各色を用いたフルカラーで行うのか、色Kのみを用いた単色(モノクロ)で行うかを示す。また、補正量は、印刷基準位置からのずらし量を示し、例えば、mm単位などの長さで示される。
(4)の接続を示す情報は、登録又は解除を通知する情報である。上位装置10及びプリンタコントローラ14のそれぞれで、互いの情報の登録、及び登録された情報の解除などを行う。
次に、本実施形態の印刷システムの動作について説明する。
図11は、本実施形態の印刷処理の一例を示すシーケンス図である。ここでは、色C、Y、M、及びKの各色を用いたフルカラー印刷を行う場合を例に取り説明するがこれに限定されるものではない。
印刷制御部22は、上位装置10から制御情報としてプレプリント用紙に関する情報を受信したら(SEQ100)、受信した情報に基づき搬送制御部51に対して用紙送り長を設定する(SEQ110)。用紙送り長は、例えば搬送方向における1ページのサイズである。
印刷制御部22は、上位装置10から1ページ目(ページ#1)の印刷ジョブを受信したら(SEQ101)、データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して、それぞれ色C、Y、M、及びKについて1ページ目のデータ転送を開始するように要求する(SEQ110a、110b、110c、及び110d)。
データ管理部30aは、この要求に従い、データ線11aを介して上位装置10に対して色Cの1ページ目の画像データを要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された色Cの1ページ目の画像データをメモリ31aに格納する。データ管理部30b、30c、及び30dのそれぞれについても同様に、SEQ110b、110c、及び110dの要求に従い、データ線11b、11c、及び11dを介して上位装置10に対して色Y、M、及びKの1ページ目の画像データをそれぞれ要求する。データ管理部30b、30c、及び30dは、この要求に応じて上位装置10からそれぞれ転送された色Y、M、及びKの1ページ目の画像データを、それぞれメモリ31b、31c、及び31dに格納する。
なお図11の例では、印刷制御部22からデータ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して1ページ目のデータ転送が要求されている間に、印刷制御部22は、上位装置10から送信された次の2ページ目の印刷ジョブを受信する(SEQ102)。受信された印刷ジョブは、図示しないメモリなどに保持される。
データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、上位装置10からの各色の1ページ目の画像データの転送が終了したら、それぞれ、その旨を印刷制御部22に通知する(SEQ111a、111b、111c、及び111d)。印刷制御部22は、当該通知にそれぞれ応答して、データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対してそれぞれ2ページ目(ページ#2)のデータ転送を開始するように要求する(SEQ112a、112b、112c、及び112d)。
データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、この要求に応じて、上位装置10に対して各色の2ページ目の画像データをそれぞれ要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された各色の2ページ目の画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31c、及び31dに格納する。
一方、印刷制御部22は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの全てから1ページ目のデータ転送終了の通知を受信したら、搬送制御部51に対して用紙搬送開始を要求する(SEQ113)。搬送制御部51は、この要求に応じてプレプリント用紙の所定速度での搬送を開始する。また、印刷制御部22は、搬送制御部51に対して用紙搬送開始の要求を行うと共に、データ管理部30a、30b、30c、及び30dのそれぞれに対して、1ページ目の印刷の開始を指示する(SEQ114)。
搬送制御部51は、例えばプレプリント用紙が所定位置に到達したら、印刷可能状態である旨を印刷制御部22に対して通知する(SEQ117)。印刷制御部22は、搬送制御部51からの印刷可能状態である旨の報告に応じて、データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して印刷の先頭位置を指示する(SEQ118)。
データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、印刷の先頭位置の指示に応じて印刷を開始する。この例では、プレプリント用紙の搬送方向に沿って色C、Y、M、Kのヘッドがヘッド56a、56b、56c、56dの順に並べられているものとする。この場合、プレプリント用紙における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56aによる印刷位置に達したら、先ずデータ管理部30aにおいて、メモリ31aからの1ページ目の画像データの読み出しが開始される。メモリ31aから読み出された色Cの画像データは、画像出力部50に転送される。そして、画像データが出力制御部55を介してヘッド56aに供給され、プレプリント用紙に対する印刷が行われる(SEQ119a)。色Cの1ページ目の印刷が終了すると、その旨が印刷制御部22に対して通知される(SEQ120a)。
続けて、プレプリント用紙における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56bによる印刷位置に達したら、データ管理部30bにおいて、メモリ31bからの1ページ目の画像データの読み出しが開始される。メモリ31bから読み出された色Yの画像データは、画像出力部50に転送される。そして、出力制御部55を介してヘッド56bに供給され、プレプリント用紙に対する印刷が開始される(SEQ119b)。色Yの1ページ目の印刷が終了したら、その旨が印刷制御部22に対して通知される(SEQ120b)。以下同様にして、色M及びKの印刷が順次開始され(SEQ119c、119d)、印刷が終了したら、その旨が印刷制御部22に対して通知される(SEQ120c及び120d)。
一方、上述のSEQ112a〜112dで開始された2ページ目の各色の画像データの転送が終了すると、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、その旨を印刷制御部22に対して通知する(SEQ115)。印刷制御部22は、このデータ転送完了の通知に応じて、各データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して、2ページ目の印刷の開始をそれぞれ指示する(SEQ116)。
データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、1ページ目の印刷の終了後に、それぞれ2ページ目の印刷を開始する。例えば、データ管理部30aは、1ページ目の印刷が完了(SEQ120a)した後、プレプリント用紙における2ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56aによる印刷位置に達したら、メモリ31aから2ページ目の色Cの画像データを読み出して画像出力部50に供給し、プレプリント用紙に対する印刷を開始する(SEQ121a)。色Cの印刷が終了したら、その旨が印刷制御部22に対して通知される(SEQ122a)。
データ管理部30b、30c、及び30dにおいても、同様にして、2ページ目の先頭位置がヘッド56b、56c、及び56dによる印刷位置に達したら、メモリ31b、31c、及び31dから各色の画像データを読み出し、プレプリント用紙に対する印刷を開始する(SEQ121b〜121d)。各色の印刷が終了したら、その旨が印刷制御部22に対してそれぞれ通知される(SEQ122b〜122d)。
印刷制御部22は、2ページ目の色Kの印刷終了通知をデータ管理部30dから受け取ると、印刷ジョブによる最終ページの印刷が終了したとして、搬送制御部51に対してプレプリント用紙の搬送の停止を要求する(SEQ123)。搬送制御部51は、この要求に応じてプレプリント用紙の搬送を停止させ、その旨を印刷制御部22に対して報告する(SEQ124)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
図12−1〜12−3は、本実施形態の印刷処理の一例を具体的に示すシーケンス図である。なお、図12−1〜図12−3において、符号A〜Fは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。また、以下では、印刷ジョブは、全2ページの印刷を行うものとする。
図12−1に示すように、まず、上位装置10からプリンタコントローラ14(印刷制御部22)に対して制御線12を介してジョブ開始の制御情報が送信される(SEQ200)。プリンタコントローラ14は、この制御情報に対して、ジョブ識別子jobID=1を応答する制御情報を、制御線12を介して上位装置10に送信する(SEQ201)。それと共に、プリンタコントローラ14は、ジョブの開始に伴いジョブを実行するためのリソースを獲得する。そして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス受け付け開始を示す制御情報を、制御線12を介して送信する(SEQ202)。
次に、上位装置10は、プリンタコントローラ14に対して、印刷条件を設定する制御情報を、制御線12を介して送信する(SEQ203)。プリンタコントローラ14に対して設定される印刷条件は、図10を用いて説明したように、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、画像データのデータサイズ、解像度及び階調、色情報、並びに、補正量が含まれる。なお、印刷を行うページ数の情報も、印刷条件に含ませることができる。この制御情報がプリンタコントローラ14に受信されると、受信した制御情報に含まれる各種の印刷条件が、例えば印刷制御部22のレジスタなどに書き込まれ、印刷条件が設定される。
次に、上位装置10は、1ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ204)。この制御情報は、当該プロセスを識別するためのプロセス識別番号processID=1と、1ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=1とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ205)。
次に、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス要求の制御情報を送信し、画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、M及びKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。この例では、プレプリント用紙の搬送方向に沿って色Y、C、M及びKのヘッドがヘッド56a、56b、56c、56dの順に並べられているものとする。
まず、プリンタコントローラ14は、色Yの画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ206)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=1と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=1を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ207)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ管理部30aに対して画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ208)。データ管理部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの画像データを要求し(図示省略)、この要求に応じて、上位装置10からデータ管理部30aに対して、色Yの画像データが転送される(SEQ209)。転送された画像データは、データ管理部30aのメモリ31aにおける、1ページ目の画像データのために割り当てられた領域に格納される。この際、データ管理部30aは、画像データを構成する各ラインの先頭ビットを含まないビットについては通常のシリアル・パラレル変換を行い、各ラインの先頭ビットを含むビットについては補正量から変換された補正ビット数分のビットシフトを行い、メモリ31aに格納する。
以下、他の色C、M、及びKについても、上述のSEQ206〜SEQ209と同様の処理が繰り返され、各色の画像データが上位装置10からデータ線11b、11c及び11dを介してデータ管理部30b、30c及び30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31c、及び31dそれぞれの、1ページ目の画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ210〜SEQ221)。
また、上位装置10は、1のプレーンの画像データの転送が終了すると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応じて、画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
例えば、上位装置10は、色Yのプレーンの画像データの転送が終了すると、画像識別番号image=1と色情報Yellowとを含むデータ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ222)。一方、データ管理部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての画像データの転送が終了すると、その旨を示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ223)。プリンタコントローラ14は、この通知に応じて、画像識別番号image=1と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ224)。
以下、他の色C、M、及びKについても、各画像データの転送終了に伴い上述のSEQ222〜SEQ224と同様の処理が繰り返され、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ225〜SEQ233)。
プリンタコントローラ14は、SEQ233で、1ページ目の最後の画像データ(色Kの画像データ)についてのデータ受信完了の制御情報を上位装置10に送信した後に、搬送制御部51に対して印刷の準備を指示する。搬送制御部51は、この指示に従いプレプリント用紙の印刷位置への搬送を開始する。
説明は図12−2に移り、1ページ目の各色の画像データの転送が完了すると、上位装置10は、2ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ234)。この制御情報は、当該2ページ目のプロセスを識別するプロセス識別番号processID=2と、2ページ目を構成する画像を示す画像識別番号image=2とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ235)。例えば全2ページの印刷を行う場合には、このSEQ234及びSEQ235の処理で印刷プロセス開始要求が完了することになる。このため上位装置10は、SEQ235で2ページ目の印刷プロセス開始要求に対する応答を受け取ると、SEQ236で、ジョブ識別子jobID=1が指定されたプロセス開始要求完了の制御情報を、プリンタコントローラ14に対して送信する。
次に、上述したSEQ206〜SEQ221と同様にして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して印刷プロセス要求の制御情報を送信し、画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、M、及びKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。
まず、プリンタコントローラ14は、色Yの画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ237)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=2と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=2を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ238)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ管理部30aに対して画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ239)。データ管理部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの画像データを要求し(図示省略)、この要求に応じて、上位装置10からデータ管理部30aに対して、色Yの画像データが転送される(SEQ240)。転送された画像データは、データ管理部30aのメモリ31aにおける2ページ目の画像データのために割り当てられた領域に格納される。
以下、他の色C、M、及びKについても、上述のSEQ237〜SEQ240と同様の処理が繰り返され、各色の画像データが上位装置10から各データ線11b、11c、及び11dを介してデータ管理部30b、30c、及び30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31c、及び31dそれぞれの2ページ目の画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ244〜SEQ251、SEQ255〜SEQ258)。
また、上述と同様に、上位装置10は、1のプレーンの画像データの転送終了毎に、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応答して、画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
図12−2の例では、上位装置10は、SEQ240で転送された色Yの画像データの転送が終了されると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ252)。データ管理部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ253)。プリンタコントローラ14は、この通知に応答して、画像識別番号image=2と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ254)。
以下、他の色C、M、及びKについても、画像データの転送終了に伴い上述のSEQ252〜SEQ254と同様の処理が行われ、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ259〜SEQ267)。
なお、図12−2の例では、上述したSEQ234の直前における搬送制御部51に対する印刷準備の指示に対する、搬送制御部51からの印刷準備が完了した旨の応答が、SEQ240の直後に、搬送制御部51からプリンタコントローラ14に対して通知されている。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、それぞれプロセス識別番号processID=1及びプロセス識別番号processID=2とした、印刷プロセス開始の2の制御情報を、上位装置10に対して送信する(SEQ241、SEQ243)。これにより、上位装置10に対して、1ページ目および2ページ目の印刷が可能となった旨が通知される。
また、SEQ241の時点で、1ページ目の各色の画像データのデータ管理部30a、30b、30c、及び30dへの転送が完了している。このため、プリンタコントローラ14は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して、1ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ242)。この印刷指示は、例えばデータ管理部30a、30b、30c、及び30dにおいて、メモリ31a,31b,31c、及び31dにそれぞれ格納されるなどにより保持される。この印刷指示に従った実際の印刷動作は、後続するページの印刷動作などとタイミングを合わせて実行される。
さらに、図12−2の例では、プリンタコントローラ14において、SEQ241及びSEQ243の印刷プロセス開始の制御情報の送信により、2番目に転送が開始される色Cのプレーンの画像データの上位装置10に対する要求が遅延している(SEQ244参照)。そして、この遅延に伴い、最初に転送が開始された色Yのプレーンの画像データの転送が、色Kのプレーンの画像データの転送が開始される前に完了してしまっている(SEQ253参照)。さらにまた、色Yのプレーンの画像データの転送完了の通知処理(SEQ253)の後に、色Kのプレーンの画像データの転送が開始されている(SEQ257、SEQ258)。
このように本実施形態によれば、色Y、C、M、及びKのデータ転送を制御するデータ管理部30a、30b、30c、及び30dがそれぞれ独立した構成とされ、プリンタコントローラ14は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dとそれぞれ独立して通信を行うことができ、また、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれ独立して処理を実行する。このため、このように、データ管理部30a、30b、30c、及び30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。
SEQ267で、プリンタコントローラ14が上位装置10に対して色Kのプレーンの画像データの転送が完了したことを通知すると、プリンタコントローラ14は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dに対して2ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ268)。
説明は図12−3に移り、プリンタエンジン15においてSEQ242の印刷指示に従い1ページ目の印刷が実行され、プレプリント用紙の給紙が開始される。プリンタエンジン15は、この1ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ269)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ270)。給紙が開始されると、プリンタエンジン15は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの動作を互いに同期させて、メモリ31a、31b、31c、及び31dから色Y、C、M、及びKの画像データをそれぞれ読み出し、プレプリント用紙に対する1ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
同様に、プリンタエンジン15は、1ページ目の印刷が完了し、2ページ目の印刷に移行すると、2ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ271)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=2として、2ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ272)。そしてプリンタエンジン15は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの動作を互いに同期させて、メモリ31a、31b、31c、及び31dから色Y、C、M、及びKの画像データをそれぞれ読み出し、プレプリント用紙に対する2ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
また、プリンタエンジン15は、1ページ目の各色の印刷が終了しプレプリント用紙の1ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ273)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目のプレプリント用紙が排紙されたことを示す制御情報を送信する(SEQ274)。同様に、プリンタエンジン15は、2ページ目の各色の印刷が終了し、プレプリント用紙の2ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知し(SEQ275)、プリンタコントローラ14は、この通知に応じてプロセス識別番号processID=2として2ページ目の印刷用紙が排紙されたことを示す制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ276)。
上位装置10は、プリンタコントローラ14から、例えばSEQ203で印刷条件の設定の制御情報に含まれる、印刷ページ数を示す情報に対応する排紙報告を受信したら、SEQ200で開始を通知したジョブによる印刷が終了したとして、ジョブ識別番号jobID=1としたジョブ終了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ277)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、ジョブ識別番号jobID=1として、応答の制御情報を上位装置10に送信する(SEQ278)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
このように本実施形態によれば、色Y、C、M、及びKのデータ転送を制御するデータ管理部30a、30b、30c、及び30dがそれぞれ独立した構成とされている。それと共に、プリンタコントローラ14と各データ管理部30a、30b、30c、及び30dとがエンジン制御線40a、40b、40c、及び40dでそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14とデータ管理部30a、30b、30c、及び30dとの間の通信は、データ管理部30a、30b、30c、及び30dそれぞれで独立して行われる。また、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれ独立して処理を実行する。
このため、上述の例えばSEQ237〜SEQ266のように、データ管理部30a、30b、30c、及び30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。また、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの処理が独立しているため、データ管理部30a、30b、30c、及び30dの追加や削除を容易に行うことができ、システム構成の様々なバリエーションを共通の構成で提供することができる。
また本実施形態では、画像データを構成する各ラインの先頭ビットを含むビットをシリアル・パラレル変換する際に、補正ビット数分のビットシフトを行い、各ラインの先頭ビットを含まないビットをシリアル・パラレル変換する際には通常のシリアル・パラレル変換を行う。このため本実施形態によれば、シリアル・パラレル変換時のビットシフトにより、画像データを、プレプリント用紙の印刷基準位置から補正量ずらした位置に印刷することができる。つまり、本実施形態によれば、シリアル・パラレル変換時のビットシフトにより、印刷の高速化を図りつつ、印刷位置を調整することができる。
また本実施形態では、制御情報の転送と画像データの転送とを独立して実行可能であるため、印刷位置の調整に失敗し、印刷位置の再調整を要する場合であっても、プリンタエンジン15による画像データの受信処理と同時にプリンタコントローラ14による画像データの再転送依頼を行うことが可能であり、効率良く印刷することができる。
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば上記実施形態では、補正方向、即ち、ずらし方向を右方向(主走査の正方向)である場合を例に取り説明したが、これに限定されるものではなく、補正方向を選択できるようにしてもよい。この場合には、オペレータが入力装置106を用いて補正方向(例えば、右方向又は左方向)を上位装置10で入力し、上位装置10は、補正方向を制御情報に含めてプリンタコントローラ14に送信し、プリンタコントローラ14は、補正方向をデータ管理部30a、30b、30c、及び30dに通知し、データ管理部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれ通知された補正方向に補正ビット数分のビットシフトを行うようにすればよい。
また上記実施形態において、補正ビット数がデフォルトビット数以上の場合には、従来技術と同様に、不要となる部分のデータリード処理をスキップするなどして、シリアル・パラレル変換するようにすればよい。