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JP5670177B2 - プラズマエッチング方法 - Google Patents

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JP5670177B2 JP2010291132A JP2010291132A JP5670177B2 JP 5670177 B2 JP5670177 B2 JP 5670177B2 JP 2010291132 A JP2010291132 A JP 2010291132A JP 2010291132 A JP2010291132 A JP 2010291132A JP 5670177 B2 JP5670177 B2 JP 5670177B2
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Description

この発明は、プラズマエッチング方法、特に、処理対象に異方性のエッチングを施す方法に関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、基板をプラズマエッチングする装置として、磁気中性線放電(NLD:Neutral Loop Discharge)エッチング装置が知られている。NLDエッチング装置では、プラズマ生成領域内に磁気中性線を形成することによって、誘導放電によるプラズマの高密度化と均一化とが図られている。
近年では、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System )デバイス等の製造に、上記NLDエッチング装置が用いられつつある。そして、MEMSデバイスの製造方法においては、数十程度の高アスペクト比で数十から数百μmにも及ぶ深さの凹部を精度よく形成することが求められる。
そこで、上記NLDエッチング装置によって凹部が形成されるときには、上述した誘導放電によって高密度プラズマが生成されつつ、基板の載置されたステージに高周波電力が供給される。これによれば、基板の載置されたステージがプラズマに対して負のバイアス電位になるため、基板上に生成されたプラズマ中の正イオンが、基板の表面と略垂直な方向に沿って該表面に引き込まれる。その結果、基板の表面に形成されたマスクの開口から基板の厚さ方向と略平行にエッチングが進行しやすくなる。
特開2002−343775号公報
ところで、基板の表面に引き込まれた正イオンには、マスクの開口に進入することなくマスクそのものに衝突するイオンも含まれている。このようにマスクの表面に衝突する正イオンは、マスクそのものを正に帯電させて、マスクの開口に進入する正イオンをマスクから遠ざかるように飛行させる。その結果、上述のエッチング反応が凹部の開口に近い領域で進行しやすくなり、凹部の開口に近い領域ではその直径がマスクの開口径よりも大きくなる。
また上述したプラズマ中には、基板に対するエッチャントとして、上記正イオンの他にラジカルも含まれる。そして、電気的に中性であるプラズマ中の粒子は、上述したバイアス電位によって基板の表面に引き込まれることなく、ガスの流れに従って基板の表面に到達する。ここで、基板の厚さ方向に凹部が形成されるとき、凹部の内周面では、凹部の開口に近い部位ほど、上述したラジカルが到達しやすい。そのため凹部の開口に近い領域ほど、ラジカルによる等方性のエッチングが進むようになる。その結果、上述したマスクの帯電と同様に、凹部の開口に近い領域ではその直径がマスクの開口径よりも大きくなる、つまりボーイングが発生することとなる。
なお、こうした問題は、上記NLDエッチング装置のように磁気中性線を形成することなく、誘導放電のみによってプラズマを形成する誘導結合型(ICP)エッチング装置においても概ね共通するものである。また、誘導放電によりプラズマを形成するエッチング
装置に限らず、真空槽内に平行に設けられた二つの電極のうち、ステージ側の電極と対向する電極によってプラズマを形成する容量結合型(CCP)エッチング装置であっても概ね共通するものでもある。
この発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エッチングの異方性を高めることのできるプラズマエッチング方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、マスクが形成された基板を真空槽内でエッチングするプラズマエッチング方法であって、前記基板が載置されたステージ電極に第一の電力量で高周波電力を供給しつつ、前記基板の上方に配置された上部電極に第二の電力量で高周波電力を供給して前記真空槽内のエッチングガスをプラズマにするメインエッチング工程と、前記メインエッチング工程の前に、前記上部電極には高周波電力を供給せず、且つ、前記ステージ電極のみに高周波電力を供給するプレエッチング工程であって、前記ステージ電極に前記第一の電力量よりも大きい第三の電力量で高周波電力を供給して前記真空槽内のエッチングガスをプラズマにする前記プレエッチング工程とを有することをその要旨とする。
請求項1に記載の発明では、まず、プレエッチング工程において、第三の電力量で高周波電力がステージ電極に供給される。次いで、メインエッチング工程では、第二の電力量で高周波電力が上部電極に供給されつつ、第三の電力量よりも小さい第一の電力量で高周波電力がステージ電極に供給される。そのため、プレエッチング工程では、ステージ電極に供給される第三の電力量の高周波電力のみによってプラズマが生成され、相対的に高いバイアス電位によって、プラズマ中の荷電粒子が基板に向けて引き込まれる。次いで、メインエッチング工程では、基板に向けた荷電粒子の引き込みがプレエッチング工程よりも抑えられた状態でエッチングが進む。
このとき、基板に向けて引き込まれる荷電粒子は、マスクの開口から露出する基板の領域をエッチングし、これにより基板の厚さ方向に延びる凹部を形成する。また、基板に向けて引き込まれる荷電粒子は、基板上のマスクとも衝突する。この際、基板に向けて引き込まれる荷電粒子は、該荷電粒子の入射する見込み角が最も大きい部位、すなわちマスクにおける開口の縁に最も高い頻度で衝突する。なお、所定の部位における見込み角とは、
該部位に入射が可能な荷電粒子の入射角度の範囲のことである。それゆえに、マスクにおける開口の縁が荷電粒子によって特に大きくスパッタされ、スパッタされたマスクの一部が凹部の内表面に再付着するようになる。
この際、基板に向けて引き込まれる荷電粒子の多くは、基板の表面に対する法線方向に沿って飛行する。また、荷電粒子の飛行する方向がバイアス電位によって概ね保たれるため、スパッタされたマスクの一部が飛行する方向もエッチングの期間全体で概ね保たれる。その結果、マスクにおける開口の縁から放出されたスパッタ粒子は、凹部の内表面のうち、凹部の底面にはほとんど付着せず、凹部の開口付近に堆積し続けることとなる。なお、荷電粒子によりスパッタされた粒子は、凹部のアスペクト比が低くなるほど、凹部の開口付近に到達し難くなり、凹部の底面に到達しやすくなる。ただし、エッチングの異方性が求められるようなアスペクト比、例えば数十程度の高アスペクト比では、上述したようにスパッタ粒子が凹部の底面にはほとんど付着せず、凹部の開口付近に堆積し続けることとなる。これにより、凹部の開口付近における内表面には、マスクと同じ材料からなる被膜、すなわち耐エッチング性の高い保護膜が形成されることとなる。
ここで、上述したプラズマに含まれるラジカルは、バイアス電位によって基板の表面に引き込まれず、ガスの流れに従って基板の表面に到達する。そのため、基板の表面に到達したラジカルは、凹部の内表面のうち、凹部の底面にはほとんど付着せず、凹部の開口付近に高い頻度で衝突する。その結果、凹部の開口に近い領域ほど、ラジカルによる等方性のエッチングが進むようになる。そして、凹部の開口に近い領域では、凹部の開口がマスクの開口よりも大きくなり、ボーイングが発生することとなる。
この点、上記請求項1に記載の発明では、プレエッチング工程において、上述した荷電粒子の引き込みがメインエッチング工程よりも大きくなっている。それゆえに、エッチングの初期段階であるプレエッチング工程では、メインエッチング工程よりも凹部の開口付近に保護膜が形成されやすくなる。そのため、メインエッチング工程において、プラズマ中のラジカルがマスクの開口付近に到達したとしても、凹部の内側面が保護膜によって保護されていることから、凹部の側面における過剰なエッチング、ひいては上述したボーイングを抑えることができる。つまり、上述のプラズマエッチング方法によれば、上部電極とステージ電極とに高周波電力を供給してエッチングを行う上では、エッチングの開始当初から上部電極に高周波電力を供給するエッチング方法に比べて、エッチングの異方性が高められることになる。
上述のように、プレエッチング工程によれば、相対的に高い高周波電力によってマスクがスパッタされるため、メインエッチング工程に比べて上記保護膜が形成されやすくはなる。しかしながら、保護膜が形成されやすい分だけ、基板に積層されたマスクが消費されやすくなるため、マスクに覆われている基板の表面が露出して、プラズマに曝される可能性が高くもなる。この点、上記請求項1に記載の発明によれば、プレエッチング工程よりも小さい高周波電力をステージ電極に供給することで、メインエッチング工程を実施するようにしている。そのため、凹部の開口付近に保護膜が形成されやすくしつつも、マスクに覆われている基板の表面が該マスクのスパッタによって露出することを抑えられる。しかも、マスクの帯電量が小さいエッチングの初期に上述のような保護膜が形成されるため、帯電量に起因するボーイングを抑えつつ、効果的に保護膜を形成することが可能である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ステージ電極に高周波電力を供給しながら前記プレエッチング工程から前記メインエッチング工程に切り替えることをその要旨とする。
請求項2に記載の発明では、プレエッチング工程からメインエッチング工程に切り替えるときにも、ステージ電極への高周波電力の供給を行うようにしている。そのため、プレエッチング工程とメインエッチング工程との間で、高周波電力の停止と供給の再開とを伴わないことから、工程間の移行を円滑に実施することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記プレエッチング工程及び前記メインエッチング工程では、前記真空槽内に磁気中性線を形成する磁場コイルに電流を供給しつつ、前記プラズマを生成することをその要旨とする。
請求項3に記載の発明では、真空槽内にプラズマを生成する工程であるプレエッチング工程、及びメインエッチング工程にて、磁場コイルに電流を供給することによって、真空槽内に磁気中性線を形成するようにしている。これにより、真空槽内の電子が磁気中性線に沿って集まることで、磁気中性線を形成しない場合よりも高密度のプラズマを形成できるようになる。また、磁場コイルに供給する電流値によってプラズマ密度の均一性も制御できるようになる。それゆえに、基板面内におけるエッチングの均一性が高められるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記基板は、シリコン基板であるとともに、前記エッチングガスには、フッ素含有ガスと酸素ガスとが含まれることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明では、シリコンからなる基板をエッチングするとき、エッチングガスにはフッ素含有ガスと酸素ガスとが含まれるようにしている。そのため、マスクの開口から基板の厚さ方向に延びる凹部をエッチングによって形成するときには、凹部の形成にともなって、該凹部の内側面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコンはシリコンよりもフッ素系ラジカルによってエッチングされにくいことから、フッ素系ラジカルによるエッチングが主である凹部の側面においては、フッ素系ラジカルによる等方的なエッチングが生じにくくなる。それゆえに、エッチングの異方性がより高められるようになる。
本発明のプラズマエッチング装置における一実施形態の概略構成を示す図。 本発明のプラズマエッチング方法における一実施形態の(a)エッチングガス、(c)バイアス用高周波電源、及び(d)アンテナ用高周波電源の供給態様と、(b)真空槽内の圧力の変化とを示すタイミングチャート。 (a)(b)凹部及び保護膜の形状を模式的に示す図。 (a)(b)凹部の断面構造を撮像したSEM画像。
以下、本発明のプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置の一実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態のプラズマエッチング装置を概略的に示している。同図1に示されるように、プラズマエッチング装置10が有する有底円筒状の真空槽11は、上部の開口が例えば酸化シリコン等の誘電体で形成された円板状の誘電窓12によって覆われている。誘電窓12の下方には、真空槽11の底面に設けられた開口を塞ぐように基板ステージ13が設けられている。基板ステージ13には、例えばシリコン基板等の基板Sが載置されるステージ電極14が積載されているとともに、該基板Sの温度を調節する温調機構が内設されている。ステージ電極14は、真空槽11の搬出入口から搬入された基板Sを固定することで、真空槽11内での基板Sの位置を決める。
ステージ電極14には、所定の周波数、例えば12.5MHzの高周波電力を出力する電力供給部を構成するバイアス用高周波電源15が、バイアス用整合器16を介して接続されている。バイアス用高周波電源15は、ステージ電極14に高周波電力を供給することによって基板Sに負のバイアス電位にする。また、バイアス用整合器16は、基板Sに高周波電力が供給されるときに、バイアス用高周波電源15の出力インピーダンスと、真空槽11を含む負荷の入力インピーダンスとを整合させる。
ステージ電極14及び誘電窓12の上部には、上部電極として機能する渦巻き形状の高周波アンテナ17が配置されている。高周波アンテナ17では、上段アンテナ17a及び下段アンテナ17bが、渦巻きの中心部である入力部17Iと、端部である出力部17Oにおいて連結されている。上段アンテナ17aの入力部17Iには、所定の周波数、例えば13.56MHzの高周波電力を出力する電力供給部を構成するアンテナ用高周波電源18が、入力側可変コンデンサ19及びアンテナ用整合器20を介して接続されている。また、上段アンテナ17aの出力部17Oは、出力側可変コンデンサ21を介して接地されている。
アンテナ用高周波電源18は、高周波アンテナ17に高周波電力を供給することで、真空槽11内にプラズマを生成する。なお、アンテナ用高周波電源18の出力する高周波電力の周波数と、上記バイアス用高周波電源15の出力する高周波電力の周波数とが異なるため、これら高周波電力間での干渉を抑えることができる。このとき、アンテナ用整合器20は、アンテナ用高周波電源18の出力インピーダンスと、真空槽11を含む負荷の入力インピーダンスとを整合させる。
出力側可変コンデンサ21は、高周波アンテナ17の全体において、真空槽11内のプラズマとの誘導結合性を略均一化するため、誘電窓12の下面の全体にわたってプラズマの密度も略均一化される。それゆえに、エッチング時に誘電窓12の下面に付着する反応生成物は、該誘電窓12の下面の全体にわたりプラズマ中の粒子によってスパッタされるようになる。つまり、上記反応生成物は、誘電窓12の下面全体において略均一に除去されるようになる。他方、入力側可変コンデンサ19は、上記出力側可変コンデンサ21を含めた負荷の入力インピーダンスと、アンテナ用高周波電源18の出力インピーダンスとを整合させる。なお、入力側可変コンデンサ19の静電容量と出力側可変コンデンサ21の静電容量とは、例えば10pF〜100pFの範囲で変更することができる。
真空槽11の上部には、ガス供給管GLを介してエッチングガス供給部22が接続されている。エッチングガス供給部22は、例えば六フッ化硫黄(SF6)ガスと酸素(O2
)ガスとの混合ガスを、真空槽11内に所定の流量で供給する。また、真空槽11の底部には、排気管EPを介して、真空ポンプや各種のバルブ等によって構成される排気部23と、真空槽11内の圧力を計測する圧力計24とが接続されている。排気部23は、真空槽11内のガスを所定の流量で外部に排出する。このプラズマエッチング装置10では、排気部23が排出するガスの流量と、上記エッチングガス供給部22から供給されるガスの流量とによって真空槽11内の圧力が規定される。
真空槽11には、誘電窓12の外縁を囲むように、上段コイル25a、中段コイル25b、及び下段コイル25cから構成される磁場コイル25が配設されている。磁場コイル25には、上段電流供給部26a、中段電流供給部26b、及び下段電流供給部26cからなる電流供給部26が接続されている。より正確には、上段コイル25aには上段電流供給部26aが、中段コイル25bには中段電流供給部26bが、下段コイル25cには下段電流供給部26cがそれぞれ接続されている。上段電流供給部26aと下段電流供給部26bとから、上段コイル25aと下段コイル25cとに同じ向きの電流が供給されるとともに、中段電流供給部26bから中段コイル25bに逆向きの電流が供給されると、誘電窓12とステージ電極14との間に磁気中性線が形成される。
プラズマエッチング装置10には、真空槽11内で実施されるエッチング条件に基づいて該プラズマエッチング装置10の駆動態様を制御する制御部27が設けられている。制御部27には上記圧力計24が接続されており、該圧力計24が計測した真空槽11内の圧力に対応する信号が入力される。また制御部27には、バイアス用高周波電源15及びアンテナ用高周波電源18、エッチングガス供給部22、及び電流供給部26が接続されている。制御部27は、上記エッチング条件に基づく電力量に対応した制御信号を、上記エッチング条件に基づく電力供給のタイミングでバイアス用高周波電源15及びアンテナ用高周波電源18に対して出力する。また制御部27は、上記エッチング条件に基づくエッチングガスの供給流量に対応した制御信号をエッチングガス供給部22に出力する。さらにまた制御部27は、上記エッチング条件に基づく磁場強度に対応した制御信号を電流供給部26に出力する。
上記プラズマエッチング装置10では、例えば、レジストマスク等のマスクが形成された基板Sに凹部を形成するためのエッチングが以下のように行われる。まず、真空槽11の内部圧力が所定の基準圧力にまで減圧された状態で、上記搬出入口から真空槽11内に基板Sが搬入され、該基板Sがステージ電極14上に配置される。次いで、エッチングガス供給部22から真空槽11内にエッチングガスが供給された後、電流供給部26から磁場コイル25に電力が供給されること、及びアンテナ用高周波電源18から高周波アンテナ17に高周波電力が供給されることによって、エッチングガスのプラズマが生成される。
その後、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に高周波電極が供給されることによって、プラズマ中の正イオンが基板Sに向けて引き込まれる。加えて、プラズマ中のラジカルが、真空槽11内におけるガスの流れに従って基板Sの表面に到達する。こうして基板Sの表面に到達した正イオン及びラジカルが、マスクから露出した基板Sと物理的あるいは化学的に反応することによって、基板Sの厚さ方向に延びる凹部が形成される。
このとき、プラズマ中の正イオンは、基板Sの表面に略垂直な方向から該表面に引き込まれる。そのため正イオンは、基板Sをその表面から該基板Sの厚さ方向にエッチングする。一方、基板Sの表面に引き込まれた正イオンには、マスクの開口に進入することなくマスクそのものに衝突するイオンも含まれている。このようにマスクの表面に衝突する正イオンは、マスクそのものを正に帯電させて、マスクの開口に進入する正イオンをマスク
から遠ざかるように飛行させる。その結果、上述のエッチング反応が凹部の開口に近い領域で進行しやすくなり、凹部の開口に近い領域では直径がマスクの開口径よりも大きくなる。
また、プラズマ中のラジカル、例えばフッ素系のラジカルは、正イオンのような方向性を持たずに基板Sの表面に到達することから、凹部の開口が形成される基板Sの表面側ほど到達するラジカルの量が多くなる。そのためラジカルは、基板Sの表面付近において該基板Sを等方的にエッチングする。その結果、基板Sの表面付近、つまり凹部の開口付近においては、マスクの開口径よりも凹部の開口径の方が大きくなる、いわゆるボーイングが発生することになる。こうした傾向は、凹部のアスペクト比が高くなるほど顕著となるものであって、例えば10を超えるような場合には、概ね見られるものである。
そこで、本実施形態では、高周波アンテナ17とステージ電極14とに高周波電力を供給することで基板Sをエッチングするメインエッチング工程を行う以前に、ステージ電極14のみに高周波電力を供給して基板Sをエッチングするプレエッチング工程を行うようにしている。
上記メインエッチング工程とプレエッチング工程とを含む本実施形態のプラズマエッチング方法について図2を参照して説明する。図2は、(a)エッチングガス供給部22によるエッチングガスの供給態様、(b)真空槽11内の圧力の変動態様、(c)バイアス用高周波電源15による高周波電力の供給態様、及び(d)アンテナ用高周波電源による高周波電力の供給態様を示すタイミングチャートである。なお、以下に記載する各ガスや各高周波電力の供給を開始あるいは停止するタイミング、及び各ガスや各高周波電力等からの出力量は、上記制御部27からの制御信号によって制御されている。また、真空槽11内の圧力や、各工程の開始からの経過時間等は同制御部27によって監視されている。
本実施形態のプラズマエッチング方法では、まず、SF6ガスとO2ガスとの混合ガス(エッチングガス)が、上記エッチングガス供給部22から真空槽11内に供給される(タイミングT1)。このとき、混合ガスの単位時間あたりの供給流量F1は例えば200sccmであり、SF6ガスの供給流量及びO2ガスの供給流量が各々100sccmとされる。
タイミングT1にて混合ガスの供給が開始されると、真空槽11内の圧力は、排気部23によって排気された状態の圧力である基準圧力P0例えば0.5Paから、圧力P1例えば10Paにまで昇圧される(タイミングT2)。なお、混合ガスの供給が開始されるタイミングT1から真空槽11内の圧力が設定値である圧力P1に達するまでの時間は、真空槽11の容積、混合ガスの供給流量、排気部23の排気流量、及び圧力P1等により決まるものである。ちなみに、真空槽11内の圧力が上記圧力P1に達したとの判断は、混合ガスの供給を開始してから真空槽11内の圧力が圧力P1となるまでにかかる時間を予め計測し、タイミングT1からの経過時間と該算出時間とを比較することによって行うことができる。また、上記判断は、タイミングT1から真空槽11内の圧力を上記圧力計24で計測するとともに、上記圧力P1と圧力の実測値とを比較することで行うようにしてもよい。
真空槽11内の圧力が圧力P1に達した後、第三の電力量としての電力量PW1、例えば1000Wにて、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に高周波電力が供給される(タイミングT3)。高周波電力がステージ電極14に供給されると、真空槽11内、特にステージ電極14の周囲に存在するエッチングガスがプラズマ化される。また、ステージ電極14への高周波電力の供給により、基板Sの電位が負にバイアスされることから、プラズマ中の正イオンが基板Sに向けて引き込まれることになる。なお、本実施形
態では、真空槽11内の圧力が設定値である圧力P1に達してから、ステージ電極14に高周波電力を供給するようにしている。そのため、ステージ電極14のみから高周波電力を供給する構成であっても、真空槽11内にプラズマを生成すること、及びそのプラズマを安定させることが可能である。
バイアス用高周波電源15からの高周波電力の供給が開始された後、第二の電力量である電力量PW3、例えば1000Wにて、アンテナ用高周波電源18から高周波アンテナ17に高周波電力が供給される(タイミングT4)。本実施形態では、タイミングT3からタイミングT4までの期間であって、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に高周波電力を供給することのみによって、真空槽11内のエッチングガスをプラズマ化する期間をプレエッチング工程としている。プレエッチング工程が実施される期間(タイミングT3〜タイミングT4)は、例えば1分である。
アンテナ用高周波電源18からの高周波電力の供給が開始された後、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に供給される高周波電力が、上記電力量PW1からこれよりも小さい電力量PW2に変更される(タイミングT5)。なお、電力量PW2が第一の電力量であって、電力量PW2は例えば100Wである。
このように本実施形態では、バイアス用高周波電源15から出力される高周波電力を、相対的に大きい電力量PW1から相対的に小さい電力量PW2に変更するよりも前に、アンテナ用高周波電源18から高周波アンテナ17に高周波電力を供給するようにしている。そのため、バイアス用高周波電源15から出力される高周波電力の電力量を相対的に小さい値に変更しても、真空槽11内のプラズマが不安定になりにくくなる。
バイアス用高周波電源15から出力される電力量を小さくした後、真空槽11内の圧力を上記圧力P1から、該圧力よりも小さい圧力P2、例えば6.65Paに変更する(タイミングT6〜タイミングT7)。このとき、エッチングガス供給部22からのエッチングガスの供給流量は、タイミングT1にてエッチングガスの供給を開始したときから変更されない。代わりに、排気部23によって真空槽11内から単位時間あたりに排気される流量を大きくすることによって、真空槽11内の圧力を圧力P2にまで下げるようにしている。そのため、真空槽11内における単位時間あたりの粒子数が変わるものの、その過渡期では電力量が変わらないことから、真空槽11内に生成されるプラズマが不安定になりにくくなる。
なお、タイミングT6から真空槽11内の圧力が圧力P2に達するまでにかかる時間は、上記タイミングT1からタイミングT2までの時間と同様に、真空槽11の容積、混合ガスの供給流量、排気部23の排気流量、及び圧力P1により決まる。そのため、圧力P2に達したか否かの判断も、上記圧力P1に達したか否かを判断するときと同様の方法を用いて行うことができる。
また、本実施形態では、バイアス用高周波電源15から出力される高周波電力の電力量を相対的に小さい電力量PW2に変更した後に、真空槽11内の圧力を相対的に低い圧力である圧力P2に変更するようにしている。これに対し、真空槽11内の圧力が相対的に低く、且つ、バイアス用高周波電源15から出力される高周波電力の電力量が相対的に大きいと、真空槽11内に存在する粒子の平均自由行程が相対的に大きくなるとともに、該粒子が基板Sの表面に相対的に引き込まれやすくなる。つまり、基板Sに向けて引き込まれる粒子の数が過剰になりやすくなる。この点、本実施形態によれば、真空槽11内に存在する粒子の平均自由行程が相対的に小さくなるとともに、基板Sの表面に相対的に引き込まれにくくなることから、基板Sに向けて引き込まれる粒子の数が過剰になりにくくなる。
真空槽11内の圧力が圧力P2に変更されてから所定期間の後に、バイアス用高周波電源15からの出力とアンテナ用高周波電源18からの出力を停止する(タイミングT8)。本実施形態では、アンテナ用高周波電源18から高周波アンテナ17への高周波電力の供給が開始されるタイミングT4から、該供給が停止されるタイミングT8までの期間をメインエッチング工程としている。メインエッチング工程が実施される期間(タイミングT4〜タイミングT8)は、例えば5分である。また、プレエッチング工程からメインエッチング工程への切り替えタイミングであるタイミングT4においては、ステージ電極14への高周波電力の供給を継続するようにしている。そのため、プレエッチング工程とメインエッチング工程との間で、高周波電力の停止と供給の再開とを伴わないことから、工程間の移行を円滑に実施することができる。
なお、本実施形態では、タイミングT4でのアンテナ用高周波電源18からの出力に併せて、上記電流供給部26から磁場コイル25に電流を供給することによって、真空槽11内に磁気中性線を形成する。そして、メインエッチング工程にわたって、磁気中性線の形成を継続するようにしている。
バイアス用高周波電源15とアンテナ用高周波電源18との出力を停止した後、エッチングガス供給部22から真空槽11内へのエッチングガスの供給を停止する(タイミングT9)。エッチングガスの供給が停止されると、真空槽11内の圧力が、エッチングガスの供給以前の圧力である上記基準圧力P0にまで低下する(タイミングT10)。
次に、上記プレエッチング工程及び上記メインエッチング工程の各工程について、図3を参照して詳述する。図3(a)は、プレエッチング工程が終了したときの凹部の形状を模式的に示すとともに、図3(b)は、メインエッチング工程が終了したときの凹部の形状を模式的に示している。
上述のように、プレエッチング工程では、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に高周波電力を供給することのみによって、真空槽11内のエッチングガスをプラズマ化するようにしている。また、プレエッチング工程では、ステージ電極14に供給される高周波電力の電力量PW1を、メインエッチング工程にて供給される高周波電力の電力量PW2よりも大きく設定するようにしている。そのため、プレエッチング工程によれば、プラズマに対する基板Sのバイアス電位がより大きくなる結果、プラズマ中の正イオンが基板Sの表面により引き込まれやすくなるとともに、引き込まれる正イオンの有するエネルギ量がより大きくなる。
ここで、基板Sに向けて引き込まれた正イオンは、マスクの開口から露出する基板Sの領域に衝突する。このとき、正イオンが衝突した領域では、正イオンの衝突によって基板Sの構成粒子が弾き出されること、及び、正イオンの衝突によって熱を与えられた基板Sの構成粒子とその周囲に存在するラジカルとが反応することにより、基板Sの厚さ方向へのエッチングが起こる。加えて、基板Sに向けて引き込まれる正イオンは、基板S上に形成されたマスクの表面にも衝突する。このとき、正イオンの衝突した領域では、正イオンの衝突によってマスクを構成する粒子が弾き出される、いわゆるスパッタが起こる。
またこのとき、正イオンは、マスクにおける正イオンの入射する見込み角が最も大きい部位に最も高い頻度で衝突する。この見込み角が最も大きい部位とは、図3(a)に二点鎖線で示されるマスクMにおける開口Moの縁部Eaであり、該縁部Eaにおける見込み角は角度θとなる。そのため、プレエッチング工程が進むにつれて、縁部Eaが特にスパッタされるとともに、正イオンによって弾き出されたマスクMの一部が凹部Hの側面Hsに再付着する。そして、プレエッチング工程が終了するときまでには、マスクMの縁部E
aがスパッタされることで、より開口径の大きい縁部Ebとなる。
この際、基板Sに向けて引き込まれる正イオンの多くは、基板Sの表面Saに略垂直な方向に沿って飛行する。しかも、マスクMの帯電量が小さいプレエッチング工程では、正イオンの飛行する方向が、基板Sのバイアス電位によって略同一に保たれる。そのため、スパッタされたマスクMの一部が飛行する方向も略同一に保たれる。それゆえに、上記縁部Eaから弾き出されたスパッタ粒子は、凹部Hの底面Hbtにはほとんど付着せず、側面Hsの特に開口Ho付近に堆積し続けることになる。
ちなみに、正イオンによって弾き出されたスパッタ粒子は、凹部Hのアスペクト比が低くなるほど、凹部Hの開口Ho付近に到達しにくくなる一方、凹部Hの底面Hbtに到達しやすくなる。ただし、エッチングの異方性が求められるようなアスペクト比、例えば上述した10を超えるような高アスペクト比であれば、図3(a)に示されるように、凹部Hの底面Hbtにはスパッタ粒子がほとんど付着しない一方、凹部Hの側面Hsにおける開口Hoの付近に堆積し続けることになる。
したがって、凹部Hの側面Hsにおける開口Ho付近には、マスクMと同じ材料からなるスパッタ膜、つまり基板Sよりも耐エッチング性の高い保護膜OCが形成されることとなる。
他方、メインエッチング工程では、先の図3(a)に示されるように、その開始時から凹部Hの側面Hsにおける開口Ho付近が保護膜OCによって保護されている。そのため、図3(b)に示されるように、凹部Hの開口Ho付近にラジカルが到達したとしても、該ラジカルは保護膜OCをエッチングするようになることで、基板Sの過剰なエッチングによるボーイングの発生を抑えることができる。
また、メインエッチング工程では、バイアス用高周波電源15からステージ電極14に供給される高周波電力の電力量PW2を、プレエッチング工程での電力量PW1よりも小さくするようにしている。そのため、メインエッチング工程においては、正イオンによって最もスパッタされやすい上記縁部Ebであっても、単位時間あたりにマスクMから弾き出されるスパッタ粒子の量がプレエッチング工程よりも少なくなる。それゆえに、メインエッチング工程の終了までに、縁部Ebがより開口径の大きい縁部Ecになるとともに、マスクMにおける他の部位がスパッタされたとしても、マスクMに覆われている基板Sの表面Saが該スパッタによって露出することが抑えられるようになる。
ちなみに、本実施形態においては、シリコンからなる基板Sをエッチングする際のエッチングガスとして、SF6ガスとO2ガスとの混合ガスを用いるようにしている。そのため、マスクMの開口Moから基板Sの厚さ方向に延びる凹部Hをエッチングによって形成するときには、凹部Hの形成にともなって、該凹部Hの内側面にシリコンよりもエッチングされにくい酸化シリコンの膜が形成される。
なお、凹部Hの内側面に形成された保護膜OCは、凹部Hを形成した後に、基板Sの表面Saに形成されたマスクMを除去する工程で、該マスクMと同時に除去される。
[実施例]
直径300mmのシリコン基板に、直径1μmの貫通孔を複数有したレジストマスクを形成し、以下の条件にて凹部を形成するためのエッチングを実施した。
[プレエッチング工程]
・バイアス用高周波電源の出力電力量 1000W
・アンテナ用高周波電源の出力電力量 0W
・エッチングガス(SF6/O2)の流量 100sccm/100sccm
・真空槽内の圧力 12Pa
・基板温度 −20℃
・処理時間 1分
[メインエッチング工程]
・バイアス用高周波電源の出力電力量 100W
・アンテナ用高周波電源の出力電力量 1000W
・エッチングガス(SF6/O2)の流量 100sccm/100sccm
・真空槽内の圧力 6.65Pa
・基板温度 −20℃
・処理時間 5分
[比較例]
直径300mmのシリコン基板に、直径1μmの貫通孔を複数有したレジストマスクを形成し、以下の条件にて凹部を形成するためのエッチングを実施した。
・バイアス用高周波電源の出力電力量 100W
・アンテナ用高周波電源の出力電力量 1000W
・エッチングガス(SF6/O2)の流量 100sccm/100sccm
・真空槽内の圧力 6.65Pa
・基板温度 −20℃
・処理時間 6分
図4(a)は上記実施例に記載の条件にて形成した凹部の断面形状を示すSEM画像であり、図4(b)は上記比較例に記載の条件にて形成した凹部の断面形状を示すSEM画像である。
実施例によれば、図4(a)に示される凹部Haの深さDaが24.60μm、最大径Waが2.22μmであった。凹部Haにおける最大径Waは、該凹部Haの開口付近に認められた。実施例におけるレジストマスクの開口径が1μmであることから、凹部Haでは、その最大径において、レジストマスクの開口径に対して2.2倍拡径されていた。これに対して、比較例によれば、図4(b)に示される凹部Hbの深さDbが19.64μm、最大径Wbが3.94μmであった。凹部Hbにおける最大径Wbは、該凹部Hbの開口付近に認められた。比較例におけるレジストマスクの開口径が1μmであることから、凹部Hbでは、その最大径において、レジストマスクの開口径に対して3.94倍拡径されていた。このように、上記実施例のように、メインエッチング工程に先立って、プレエッチング工程を実施して凹部Hを形成することにより、上記比較例のように、メインエッチング工程のみによって凹部Hを形成するよりも、凹部Hの開口付近に生じるボーイングを抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)プレエッチング工程において、電力量PW1の高周波電力をステージ電極14に供給した後、メインエッチング工程において、電力量PW3の高周波電力を高周波アンテナ17に供給しつつ、電力量PW1よりも小さい電力量PW2の高周波電力をステージ電極14に供給するようにした。つまり、プレエッチング工程では、正イオンの引き込みがメインエッチング工程よりも大きくなるようにした。そのため、エッチングの初期段階であるプレエッチング工程では、メインエッチング工程よりも凹部Hの開口Ho付近に保護膜OCが形成されやすくなる。それゆえに、メインエッチング工程において、プラズマ中のラジカルがマスクMの開口Ho付近に到達したとしても、凹部Hの内側面が保護膜OCによって保護されていることから、凹部Hの側面Hsにおける過剰なエッチング、ひいてはボーイングを抑えることができる。つまり、高周波アンテナ17とステージ電極14とに高周波電力を供給してエッチングを行う上では、エッチングの開始当初から高周波アンテナ17に高周波電力を供給するプラズマエッチング方法に比べて、エッチングの異方性
が高められることになる。
(2)また、プレエッチング工程よりも小さい高周波電力をステージ電極14に供給することで、メインエッチング工程を実施するようにしているため、凹部Hの開口Ho付近に保護膜OCが形成されやすくするとともに、マスクMのスパッタによる基板Sの表面Saが露出することを抑えられる。
(3)プレエッチング工程からメインエッチング工程に切り替えるときにも、ステージ電極14への高周波電力の供給を行うようにした。そのため、プレエッチング工程とメインエッチング工程との間で、高周波電力の停止と供給の再開とを伴わないことから、工程間の移行を円滑に実施することができる。
(4)メインエッチング工程にて、磁場コイル25に電流を供給することによって、真空槽11内に磁気中性線を形成するようにした。これにより、真空槽11内の電子が磁気中性線に沿って集まることで、磁気中性線を形成しない場合よりも高密度のプラズマを形成できるようになる。また、磁場コイル25に供給する電流値によってプラズマ密度の均一性も制御できるようになる。それゆえに、基板Sの面内におけるエッチングの均一性が高められるようになる。
(5)シリコンからなる基板Sをエッチングする際のエッチングガスとして、SF6ガスとO2ガスとの混合ガスを用いるようにした。そのため、マスクMの開口Moから基板Sの厚さ方向に延びる凹部Hをエッチングによって形成するときには、凹部Hの形成にともなって、該凹部Hの内側面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコンはシリコンよりもラジカルによってエッチングされにくいことから、ラジカルによるエッチングが主である凹部Hの側面Hsにおいては、ラジカルによる等方的なエッチングが生じにくくなる。それゆえに、エッチングの異方性がより高められるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・プレエッチング工程とメインエッチング工程とを連続して行うに際し、アンテナ用高周波電源18からの出力(タイミングT4)、バイアス用高周波電源15の出力値の変更(タイミングT5)、及び真空槽11内の圧力の変更(タイミングT6)をこの順で行うようにした。
これに限らず、タイミングT3にてバイアス用高周波電源15からの出力を開始した後、バイアス用高周波電源15の出力値の変更(タイミングT4−1)、アンテナ用高周波電源18からの出力(タイミングT5−1)、及び真空槽11内の圧力の変更(タイミングT6−1)をこの順に行うようにしてもよい。この場合、タイミングT3からタイミングT5−1までがプレエッチング工程であり、タイミングT5−1から上記タイミングT8までがメインエッチング工程である。
また、タイミングT3にてバイアス用高周波電源15からの出力を開始した後、バイアス用高周波電源15の出力値の変更(タイミングT5−2)、真空槽11内の圧力の変更、及びアンテナ用高周波電源18からの出力(タイミングT6−2)をこの順に行うようにしてもよい。この場合、タイミングT3からタイミングT6−2までがプレエッチング工程であり、タイミングT6−2から上記タイミングT8までがメインエッチング工程である。
こうした方法によれば、バイアス用高周波電源15から出力される電力量を低くした後に、アンテナ用高周波電源18からの出力を開始するようにしている。これにより、基板Sのバイアス電位が相対的に高いときには、アンテナ用高周波電源18からの出力が開始
されない、つまり、真空槽11内のプラズマ密度が相対的に高められることが回避できるため、基板Sのエッチングが過剰になることを避けることができる。
ただし、こうした方法では、バイアス用高周波電源15の出力値を低下させてからアンテナ用高周波電源18からの出力を開始するまでの間は、ステージ電極14に供給される相対的に小さい高周波電力のみによってプラズマを形成することになる。そのため、プラズマが不安定になるおそれがある。これに対し、上記実施形態によれば、タイミングT4からタイミングT5の間は、バイアス用高周波電源15からの出力値が相対的に大きく、且つアンテナ用高周波電源18からの出力がなされているために、プラズマが安定に保たれることになる。
・プレエッチング工程でステージ電極14に供給される高周波電力の電力量PW1を1000Wとするとともに、メインエッチング工程で同ステージ電極14に供給される高周波電力の電力量PW2を100Wとするようにした。これに限らず、電力量PW1が電力量PW2よりも大きくなるように、電力量PW1と電力量PW2として任意の電力量を設定してもよい。
・メインエッチング工程で高周波アンテナ17に供給される高周波電力の電力量PW3を1000Wとしたが、これに限らず、他の任意の電力量としてもよい。ただし、メインエッチング工程時にステージ電極14に供給される電力量PW2よりも該電力量PW3が大きい方が好ましい。
・プレエッチング工程の実施時間を1分とするとともに、メインエッチング工程の実施時間を5分とするようにした。これに限らず、形成する凹部Hの直径及び深さや、エッチング速度等に応じて変更可能である。
・プレエッチング工程とメインエッチング工程とを順に1回ずつ行うことによって、基板Sに凹部Hを形成するようにした。これに限らず、プレエッチング工程とメインエッチング工程とを順に複数回繰り返すことによって凹部Hを形成するようにしてもよい。これによれば、凹部Hの形成し始めるときだけでなく、凹部Hを形成する途中でも凹部Hの開口Ho付近に保護膜OCを形成することができるため、より確実にボーイングの発生を抑えることができる。
・プレエッチング工程からメインエッチング工程へ移行する間に、バイアス用高周波電源15の出力値が「0」になる期間が別途設けられる構成であってもよい。例えば、プレエッチング工程では、マスクMの一部がスパッタされやすくなるように、アルゴン等の不活性ガスが添加される。次いで、このようなプレエッチング工程が終了した後、バイアス用高周波電源15の出力値が「0」に設定されるとともに、真空槽11内がメインエッチング用のガスに置換される。そして、メインエッチング工程では、まずアンテナ用高周波電源18の出力によってプラズマが生成され、その後、バイアス用高周波電源15の出力によってエッチングが進められる。このような構成であれば、上述した効果に加えて、プレエッチング工程での保護膜OCの形成、及びメインエッチング工程でのプラズマ生成が容易になる。
・混合ガスに含まれるSF6ガス及びO2ガスのいずれの流量も100sccmとしたが、混合ガスとしての全流量、及びSF6ガスとO2ガスとの流量比は、エッチングによって凹部Hが形成できる範囲で任意に変更可能である。
・エッチングガスとしてSF6ガスとO2ガスとの混合ガスを用いるようにした。これに限らず、エッチングガスには、少なくともフッ素を含有するガスが含まれるようにすれ
ばよい。あるいは、フッ素含有ガスとO2ガスに、他のガス、例えばハロゲン化水素ガスを混合するようにしてもよい。
・基板Sの形成材料がシリコンであって、エッチングガスとしてSF6ガスとO2ガスとの混合ガスを用いるようにした。これに限らず、基板Sとしては、例えばガラス基板、樹脂基板等を用いるようにしてもよい。また、ガラス基板を用いる場合であれば、エッチングガスとしてフルオロカーボンガスを用いることが好ましく、他方、樹脂基板を用いる場合であれば、エッチングガスとして酸素あるいは酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることが好ましい。
・シリコンから形成される基板Sに対して、マスクMとしてレジストマスクを積層するようにした。これに限らず、例えばガラス基板を用いるのであれば、マスクMとしてシリコンを用いるようにしてもよい。あるいは、樹脂基板を用いるのであれば、マスクMとしてSiO2を用いるようにしてもよい。
・メインエッチング工程では、磁場コイル25に電流を供給することで、真空槽11内に磁気中性線を形成するようにした。これに限らず、プレエッチング工程においても磁気中性線を形成するようにしてもよい。あるいは、プレエッチング工程及びメインエッチング工程のいずれにおいても、磁気中性線を形成しないようにしてもよい。言い換えれば、上記プラズマエッチング装置10は、磁場コイル25と電流供給部26とを割愛した構成として具現化してもよい。
・プラズマエッチング装置10を、上部電極として高周波アンテナ17を有する装置として具現化した。これに限らず、上記ステージ電極14の上方にこれと対向するように真空槽11に内設された平板電極を上部電極として有するプラズマエッチング装置に具現化するようにしてもよい。このとき、誘電窓12に変えて金属板を設けるようにしてもよい。
10…プラズマエッチング装置、11…真空槽、12…誘電窓、13…基板ステージ、14…ステージ電極、15…バイアス用高周波電源、16…バイアス用整合器、17…高周波アンテナ、17a…上段アンテナ、17b…下段アンテナ、17I…入力部、17O…出力部、18…アンテナ用高周波電源、19…入力側可変コンデンサ、20…アンテナ用整合器、21…出力側可変コンデンサ、22…エッチングガス供給部、23…排気部、24…圧力計、25…磁場コイル、25a…上段コイル、25b…中段コイル、25c…下段コイル、26…電流供給部、26a…上段電流供給部、26b…中段電流供給部、26c…下段電流供給部、27…制御部、Ea,Eb,Ec…縁部、EP…排気管、GL…ガス供給管、H,Ha,Hb,Hc…凹部、Ho…開口、M…マスク、Mo…開口、OC…保護膜、S…基板、Sa…表面。

Claims (4)

  1. マスクが形成された基板を真空槽内でエッチングするプラズマエッチング方法であって、
    前記基板が載置されたステージ電極に第一の電力量で高周波電力を供給しつつ、前記基板の上方に配置された上部電極に第二の電力量で高周波電力を供給して前記真空槽内のエッチングガスをプラズマにするメインエッチング工程と、
    前記メインエッチング工程の前に、前記上部電極には高周波電力を供給せず、且つ、前記ステージ電極のみに高周波電力を供給するプレエッチング工程であって、前記ステージ電極に前記第一の電力量よりも大きい第三の電力量で高周波電力を供給して前記真空槽内のエッチングガスをプラズマにする前記プレエッチング工程とを有する
    ことを特徴とするプラズマエッチング方法。
  2. 前記ステージ電極に高周波電力を供給しながら前記プレエッチング工程から前記メインエッチング工程に切り替える
    請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
  3. 前記プレエッチング工程及び前記メインエッチング工程では、
    前記真空槽内に磁気中性線を形成する磁場コイルに電流を供給しつつ、前記プラズマを生成する
    請求項1又は2に記載のプラズマエッチング方法。
  4. 前記基板は、シリコン基板であるとともに、
    前記エッチングガスには、フッ素含有ガスと酸素ガスとが含まれる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマエッチング方法。
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