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JP5668322B2 - 光学ガラス、ガラスフリット及びガラス層付き透光性基板 - Google Patents

光学ガラス、ガラスフリット及びガラス層付き透光性基板 Download PDF

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JP5668322B2 JP2010105716A JP2010105716A JP5668322B2 JP 5668322 B2 JP5668322 B2 JP 5668322B2 JP 2010105716 A JP2010105716 A JP 2010105716A JP 2010105716 A JP2010105716 A JP 2010105716A JP 5668322 B2 JP5668322 B2 JP 5668322B2
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Description

本発明は、光学ガラス、ガラスフリット及びガラス層付き透光性基板に関する。
従来、PとBiとZnOとを含有し、高屈折率と低温軟化性と低熱膨張率を有する光学ガラスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4059695号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光学ガラスは、ガラス作製時に失透しやすいという問題点があった。また、特許文献1に記載の光学ガラスは、ガラスフリットとして焼成したときに、容易に結晶化してしまうという問題点があった。結晶化してしまうと、光透過率が低下すると共に、ガラス表面の平滑性が損なわれるおそれがある。尚、以下の説明において、「結晶化」とは、ガラスフリットとして焼成したときの結晶化を意味する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、失透し難く、かつ結晶化し難い光学ガラス、ガラスフリット及びガラス層付き透光性基板を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
光学ガラスの粉末を含むガラスフリットであって、
前記光学ガラスは、
酸化物基準のモル%表示で、
を0〜20%、Bを15〜60%、Biを15〜28%、ZnOを20〜50%含有し、
の含有量をZnOの含有量で割った値が0.48未満であり、
とBの含有量の合量が30〜60%であり、
とBの含有量の合量が50%を超えるときはPの含有量は10%以下であることを特徴とする、ガラスフリットが提供される。
本発明によれば、失透し難く、かつ結晶化し難い光学ガラス、ガラスフリット及びガラス層付き透光性基板を提供することができる。
本発明のガラス層付き透光性基板の一例を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は、一例として示されたものであって、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変形をして実施することが可能である。
図1は、本発明のガラス層付き透光性基板の一例を示す断面図である。
図1に示す例では、ガラス層付き透光性基板は、透光性基板110と、透光性基板110上に形成されたガラス層120とを備える。
(透光性基板)
透光性基板110は、可視光に対する透過率が高い材料で構成され、例えばガラスやプラスチックで構成される。
透光性基板110を構成するガラスとしては、アルカリガラス、無アルカリガラス及び石英ガラスなどがある。一般的には、ソーダライムガラスが用いられる。一般的なソーダライムガラスは、50〜300℃における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」ともいう)が87×10−7/℃程度であり、徐冷点が550℃程度である。このようなソーダライムガラスで構成された透光性基板110は、550℃以上の温度で熱処理すると変形するおそれがあるので、ガラス層120を550℃よりも低い温度で形成することが好ましい。
透光性基板110をプラスチック基板で構成した場合、プラスチック基板は、ガラス基板に比較して耐湿性が低いので、バリア性をもたせた構成としてもよい。例えば、透光性基板110は、プラスチック基板上のガラス層120側と反対側に別のガラス層を更に形成した構成としてもよい。
透光性基板110の厚さは、通常0.1mm〜2.0mmである。透光性基板110であるガラス基板が薄い場合には強度が不足するおそれがある。透光性基板110であるガラス基板の厚さは、0.5mm〜1.0mmであることが特に好ましい。
透光性基板110上には、ガラス層120が形成されている。透光性基板110であるガラス基板上のガラス層形成面は、シリカコーティング等の表面処理が施されたものであってもよい。即ち、透光性基板110であるガラス基板とガラス層120との間には、シリカ膜等の保護層が形成されていてもよい。
(ガラス層)
ガラス層120は、酸化物基準のモル%表示で、Pを0〜20%、Bを15〜60%、Biを10〜37%、ZnOを5〜50%、SiOを0〜20%、Alを0〜10%、ZrOを0〜5%、Gdを0〜10%、TiOを0〜15%、LiOとNaOとKOを合計で0〜5%、アルカリ土類金属酸化物を合計で0〜10%含有し、Pの含有量をZnOの含有量で割った値が0.48未満であり、PとBの含有量の合量が30〜60%であり、PとBの含有量の合量が50%を超えるときはPの含有量は10%以下である光学ガラスを含む。
次に、この光学ガラスのガラス組成について説明する。なお、単位%は、モル%を意味する。
は、ガラスの骨格となり、ガラスを安定化させ、耐酸性を向上させる成分であり、20%まで含有しても良い。Pの含有量が20%超では失透し易くなり、結晶化し易くなり、屈折率が下がるおそれがある。耐酸性向上の効果を期待する場合は、2%以上含有することがより望ましく、5%以上含有することがさらに望ましい。
は、ガラスの骨格となり、ガラスを安定化させる成分であり、必須である。Bの含有量は、15%〜60%である。15%未満では失透し易くなり、結晶化し易くなり、平均線膨張係数が上がるおそれがある。一方、60%超では失透し易くなり、結晶化し易くなり、耐水性が悪くなるおそれがある。
ここで、PとBの含有量の合量は30〜60%である。30%未満では失透し易くなり、結晶化し易くなり、安定性を損なうおそれがある。一方、60%超では失透し易くなり、結晶化し易くなり、屈折率が下がるおそれがある。ここで、PとBの含有量の合量が50%を超える場合、Pの含有量は10%以下であることが好ましい。10%超では失透し易くなり、結晶化し易くなる。
ZnOは、ガラスを安定化させる成分であるとともに、屈折率を上げ、ガラス転移点と軟化点を低下させる成分であり、必須である。ZnOの含有量は、5〜50%であり、20〜50%であることが好ましい。5%未満では失透し易くなり、結晶化し易くなり、ガラス転移点と軟化点が上がるおそれがある。また、屈折率が下がる恐れがある。一方、50%超では、平均線膨張係数が上がりすぎるとともに、ガラス成形時に失透しやすくなる。
ここで、Pの含有量をZnOの含有量で割った値は、0.48未満である。0.48以上では失透し易くなり、結晶化し易くなるおそれがある。また、0.48以上では屈折率が下がり、ガラス転移点と軟化点が上がるおそれがある。
Biは、屈折率を上げ、粘性を下げる成分であり、必須である。Biの含有量は、10%〜37%であり、15〜28%であることが好ましい。10%未満では屈折率が下がりすぎるおそれがある。一方、37%超では、平均線膨張係数が大きくなり過ぎる。また、結晶化するおそれがある。
TiOは、必須ではないが、屈折率を上げる成分であり、15%まで含有しても良い。ただし、過剰に含有すると、結晶化し易く、ガラス転移点と軟化点が上がるおそれがある。なお、TiOの代わりに(または加えて)WOを使用することも可能である。TiOとWOとの含有量の合量は、0〜12%であることがより好ましい。
ZrOは、必須ではないが、ガラスの耐候性と耐酸性を高める成分であって、5%まで含有しても良い。5%超では結晶化し易く、ガラス転移点と軟化点が上がるおそれがある。
SiOは、必須ではないが、ガラスを安定化させ、結晶化を抑制する成分であって、20%まで含有しても良い。20%超では液相温度が上がり、失透するおそれがある。
Alは、必須ではないが、ガラスを安定化させる成分であって、10%まで含有しても良い。10%超では液相温度が上がり、失透するおそれがある。
Gdは、必須ではないが、平均線膨張係数を低く抑えながら屈折率を上げるとともに軟化点付近での結晶化を抑制する成分であって、10%まで含有しても良い。10%超では結晶化し易く、ガラス転移点と軟化点が上がるおそれがある。特に、低膨張と高屈折率を両立したい場合、2%以上含有することがより望ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、必須ではないが、粘性を下げる成分であって、いずれか1種又は2種以上の組合せで用いられる。ここで、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合量は、10%以下であることが好ましい。10%超では平均線膨張係数が大きくなり、屈折率が下がるおそれがある。7%以下であることがより好ましい。
LiO、NaO及びKOは、必須ではないが、粘性を下げる成分であって、いずれか1種又は2種以上の組合せで用いられる。ここで、LiO、NaO及びKOの含有量の合量は、5%以下であることが好ましい。5%超では平均線膨張係数が大きくなり、屈折率が下がるおそれがある。実質的に含有しないことが、より望ましい。
尚、これらのアルカリ金属酸化物が含まれると、熱処理工程において、そのアルカリ成分が拡散するおそれがある。そして、そのアルカリ成分は、電気的な特性に悪い影響を与える場合がある。そのため、用途によっては、光学ガラスは、アルカリ金属酸化物を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、不純物として含まれるのを除き、積極的に含有しないことをいう。
光学ガラスは、発明の効果を失わない範囲で、上記成分の他、例えば、GeO、Nb、Y、Ce、CeO、La、TeO、SnO、SnO、Sb、Ta等を含んでいてもよい。ただし、それらは合計で5%までにとどめることが好ましい。また、色味を調整するために、微量の着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、金属コロイドなどの公知のものが用いられる。これらの着色剤は、単独であるいは組み合わせて用いられる。尚、光学ガラスは、PbOを実質的に含有しないことが好ましい。
次に、この光学ガラスの物性について説明する。
光学ガラスの屈折率nは、Heランプd線(波長:587.6nm)で25℃で測定した場合に、1.75以上が好ましく、1.80以上がより好ましく、1.85以上が特に好ましい。
光学ガラスのガラス軟化点Tsは、600℃以下が好ましく、595℃以下がより好ましく、590℃以下が特に好ましい。
光学ガラスのガラス転移点Tgは、透光性基板110がソーダライムガラスで構成される場合、透光性基板110の熱変形を抑制するため、500℃以下が好ましく、495℃以下がより好ましく、485℃以下が特に好ましい。
光学ガラスの結晶化ピーク温度Tcは、結晶化を抑制するため、600℃以上が好ましく、650℃以上がより好ましく、700℃以上が特に好ましい。
光学ガラスの結晶化ピーク温度Tcとガラス軟化温度Tsとの差(Tc−Ts)は、結晶化を抑制するため、55℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。
光学ガラスの50〜300℃における平均線膨張係数αは、透光性基板110がソーダライムガラスで構成される場合、ソーダライムガラスの破損や反りを防止するため、60×10−7/℃以上が好ましく、65×10−7/℃以上がより好ましい。また、光学ガラスの50〜300℃における平均線膨張係数αは、100×10−7/℃以下が好ましく、90×10−7/℃以下がより好ましい。
この光学ガラスは、酸化物、リン酸塩、メタリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等の原料を秤取し、混合した後、白金等の坩堝を用いて900〜1400℃の温度で溶解し、冷却することによって得ることができる。その後、必要に応じて徐冷して歪みを取り除く場合がある。得られた光学ガラスを乳鉢、ボールミル、ジェットミル等により粉砕し、必要に応じて分級することによって光学ガラスの粉末が得られる。光学ガラスの粉末の表面を、界面活性剤やシランカップリング剤によって改質して用いても良い。
(ガラス層の製造方法)
ガラス層120は、ガラスフリットを透光性基板110上に塗布し、焼成することによって、製造することができる。
(1)ガラスフリット
ガラスフリットは、上記光学ガラスの粉末を含むものである。光学ガラスの粉末の粒径は、塗工性の観点から、1〜10μmであることが好ましい。光学ガラスの粉末の表面は、界面活性剤やシランカップリング剤によって改質されたものであってもよい。
ガラスフリットは、塗工性の観点から、樹脂や溶剤などと混練されたフリットペーストとして、透光性基板110上に塗布されることが好ましい。
(2)フリットペースト
フリットペーストは、ガラスフリットとビヒクルとを、プラネタリーミキサー等で混合し、3本ロール等で均一に分散させて得られる。粘度調整のため、混練機で更に混練してもよい。通常、ガラスフリットを70〜80質量%、ビヒクルを20〜30質量%の割合で混合する。
ここで、ビヒクルとは、樹脂、溶剤を混合したものをいい、界面活性剤を更に混合したものを含む。具体的には、50〜80℃に加熱した溶剤中に樹脂、界面活性剤などを投入し、その後4時間から12時間程度静置したのち、ろ過し、得られる。
樹脂は、塗布後のフリットペースト膜を保形するためのものである。具体例としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂などが用いられる。主剤として用いられるのは、エチルセルロースとニトロセルロースがある。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂は塗膜強度向上の為の添加として用いられる。焼成時の脱バインダ温度は、エチルセルロースで350〜400℃、ニトロセルロースで200〜300℃である。
溶剤は、樹脂を溶解すると共にフリットペーストの粘度を調整するためのものである。溶剤は、塗工中には乾燥せず、乾燥中にはすばやく乾燥するものが好ましく、沸点が200〜230℃のものが好ましい。具体例としては、エーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル、ダワノール)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))がある。これらの溶剤は、単独で用いられてもよいし、粘度、固形分比、乾燥速度調整のため、組み合わせて用いられてもよい。主に用いられているのは、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
(3)塗布
フリットペーストを透光性基板110上に塗布する方法としては、スクリーン印刷、ドクターブレード印刷、ダイコート印刷等が用いられる。また、フリットペーストをPETフィルム等に塗布して乾燥してグリーンシートとし、グリーンシートを透光性基板110上に熱圧着してもよい。
スクリーン印刷を用いる場合、スクリーン版のメッッシュ荒さ、乳剤の厚み、印刷時の押し圧、スキージ押し込み量などを調節することにより、塗布後のフリットペースト膜の膜厚を制御できる。
ドクターブレード印刷、ダイコート印刷を用いる場合、スクリーン印刷を用いる場合と比較して、塗布後のフリットペースト膜の膜厚を厚くすることができる。
尚、塗布、乾燥を繰り返すことにより、フリットペースト膜の膜厚を厚くしてもよい。
(4)焼成
透光性基板110上に塗布されたフリットペーストを焼成する。焼成は、フリットペースト中の樹脂を分解・消失させる脱バインダ処理と、脱バインダ処理後のフリットペーストを焼結、軟化させる焼成処理とからなる。脱バインダ温度は、エチルセルロースで350〜400℃、ニトロセルロースで200〜300℃であり、30分から1時間大気雰囲気で加熱する。焼成温度(焼成処理温度)は、ガラスフリットのガラス軟化点Tsを基準として−40℃〜+30℃の範囲内、あるいはガラスフリットのガラス転移点Tgを基準として+50℃〜+120℃の範囲内に設定される。焼成後、室温まで冷却することによって透光性基板110上にガラス層120が形成される。
焼成温度や焼成雰囲気、ガラスフリットの粒度分布などを調節することにより、ガラス層120の内部に残存する気泡の形状、大きさを調節することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実験1)
例1〜例46については、表1〜表6中の組成のガラスが得られるように、HBO、ZnO、Bi、TiO、WO、Zn(PO、LiCO、NaCO、KCO、MgO、CaCO、SrCO、BaCO、ZrO、Gd、SiO、Alの各粉末原料を合計で200gとなるよう秤取し、混合した後、白金坩堝を用いて、例1〜例26については1050℃で例27〜例46については1250℃で、1時間溶解し、続けて例1〜例26については950℃で例27〜例46については1100℃で、1時間溶解し、この融液の半量をカーボン鋳型に流しだしてバルク状のガラスを得、残りを双ロールの隙間に流しだして急冷しフレーク状のガラスを得た。また、バルク状ガラスは500℃の電気炉に入れ、1時間あたり100℃の速度で室温まで温度を下げることにより、歪みを取り除いた。
ここで、例1〜例23及び例27〜例46は実施例であり、例24〜例26は比較例である。
得られたガラスについて、バルク作製時の失透の有無、フレーク作製時の失透の有無、フリット焼成時の結晶化の有無、屈折率n、ガラス転移点Tg(単位:℃)、50〜300℃における平均線膨張係数α(単位:10−7/℃)、ガラス軟化点Ts(単位:℃)、結晶化ピーク温度Tc(単位:℃)、結晶化ピーク温度のピーク高さ(単位:μV)を以下の測定法によって、測定した。
1.バルク作製時の失透:
ガラスをカーボン型に流しだし、固化するまでの間に、目視でガラス内部に結晶析出や分相が確認できないものを○とし、部分的に結晶析出や分相が確認できるものを△とし、全体に結晶析出や分相が生じているものを×とした。
2.フレーク作製時の失透:
ガラスを双ロールの隙間に流しだして急冷し、固化した後に、目視でガラス内部に結晶析出や分相が確認できないものを○とし、部分的に結晶析出や分相が確認できるものを×とした。
3.フリット焼成時の結晶化:
フレーク状ガラスをめのう乳鉢で粉砕した後、粒径74μmから106μmまでのガラス粉末を篩い分け、この120mgを白金パンに入れ、昇温速度10℃/minで室温から600℃まで電気炉で加熱したとき、目視でガラス内部に結晶析出が確認できないものを○とし、結晶が析出し不透明になっているものを×とした。
4.屈折率n
バルク状ガラスを研磨した後、カルニュー社製精密屈折計KPR−2000によって、Vブロック法で、測定波長587.6nmで25℃で測定した。
5.ガラス転移点Tg(単位:℃):
バルク状ガラスを直径5mm長さ200mmの丸棒状に加工した後、ブルッカー・エイエックスエス社製熱膨張計TD5000SAによって、昇温速度を5℃/minにして測定した。
6.50〜300℃における平均線膨張係数α(単位:10−7/℃):
バルク状ガラスを直径5mm長さ200mmの丸棒状に加工した後、ブルッカー・エイエックスエス社製熱熱膨張計TD5000SAによって、昇温速度を5℃/minにして測定した。50℃におけるガラス棒の長さをL50とし、300℃におけるガラス棒の長さをL300としたとき、50℃〜300℃における平均線膨張係数αは、α={(L300/L50)−1}/(300−50)によって求められる。
7.ガラス軟化点Ts(単位:℃):
フレーク状ガラスをめのう乳鉢で粉砕した後、粒径74μmから106μmまでのガラス粉末を篩い分け、この120mgを白金パンに入れ、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱TG/DTA EXSTAR6000によって昇温速度を10℃/minにして測定し、ガラス転移点Tgよりも高温側に現れる軟化流動に伴うDTA曲線の屈曲点における温度をガラス軟化点Tsとした。
8.結晶化ピーク温度Tc(単位:℃):
フレーク状ガラスをめのう乳鉢で粉砕した後、粒径74μmから106μmまでのガラス粉末を篩い分け、この120mgを白金パンに入れ、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱TG/DTA EXSTAR6000によって昇温速度を10℃/minにして測定し、結晶化に伴うDTA曲線の発熱ピークの温度をTcとした。結晶化ピークがないか十分に低く検知できないときは「−」と記した。
9.結晶化ピーク温度のピーク高さ(単位:μV):
フレーク状ガラスをめのう乳鉢で粉砕した後、粒径74μmから106μmまでのガラス粉末を篩い分け、この120mgを白金パンに入れ、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱TG/DTA EXSTAR6000によって昇温速度を10℃/minにして測定し、結晶化に伴うDTA曲線の発熱ピークの高さを読み取った。結晶化ピークがないか十分に低く検知できないときは「−」と記した。
結果を表1〜表6に示す。なお、失透により、物性値測定のための試料を作製できなかった時、「N/A」と記した。
Figure 0005668322
Figure 0005668322
Figure 0005668322
Figure 0005668322
Figure 0005668322
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表1〜表6からわかるように、例1〜例23及び例27〜例46のガラスは、高屈折率と低温軟化性と低熱膨張率を有し、かつ、ガラス作製時の失透やフリット焼成時の結晶化を抑制することができた。また、例1〜例23及び例27〜例46のガラスは、いずれも、ガラス転移点Tgが500℃以下であり、平均線膨張係数αが60×10−7〜100×10−7/℃であるため、ソーダライムガラス基板上で焼成してガラス層を形成させることができる。
(実験2)
次に、例1の組成のフレーク状ガラスをアルミナ製のボールミルで2時間乾式粉砕して、ガラスフリットを得た。ガラスフリットの質量平均粒径は、3ミクロンであった。得られたガラスフリット75gを、有機ビヒクル(α―テルピネオールにエチルセルロースを10質量%溶解したもの)25gと混練してガラスペーストを作製した。このガラスペーストを、大きさ10cm×10cm厚さ0.55mmのソーダライムガラス基板上に、焼成後の厚みが30μmとなるよう均一に9cm角のサイズで中央に印刷した。これを150℃で30分間乾燥した後、一旦室温に戻し、450℃まで30分で昇温し、450℃で30分間保持して、有機ビヒクルの樹脂を分解・消失させた。その後、515℃まで7分で昇温し、515℃で30分間保持して、ガラスフリットを軟化させた。その後、室温まで3時間で降温し、ソーダライムガラス基板上に例1の組成のガラス層を形成した。目視試験の結果、ソーダライムガラス基板とガラス層の両面に割れは発見されなかった。また、透過型顕微鏡(ニコン社製ECLIPSE ME600)を用いてガラス層を観察した結果、ガラス層に結晶は発見されなかった。
また、例19の組成のフレーク状ガラスをアルミナ製のボールミルで2時間乾式粉砕して、ガラスフリットを得た。ガラスフリットの質量平均粒径は、3ミクロンであった。得られたガラスフリット75gを、有機ビヒクル(α―テルピネオールにエチルセルロースを10質量%溶解したもの)25gと混練してガラスペーストを作製した。このガラスペーストを、大きさ10cm×10cm厚さ0.55mmのソーダライムガラス基板上に、焼成後の厚みが30μmとなるよう均一に9cm角のサイズで中央に印刷した。これを150℃で30分間乾燥した後、一旦室温に戻し、450℃まで30分で昇温し、450℃で30分間保持して、有機ビヒクルの樹脂を分解・消失させた。その後、520℃まで7分で昇温し、520℃で30分間保持して、ガラスフリットを軟化させた。その後、室温まで3時間で降温し、ソーダライムガラス基板上に例1の組成のガラス層を形成した。目視試験の結果、ソーダライムガラス基板とガラス層の両面に割れは発見されなかった。また、透過型顕微鏡(ニコン社製ECLIPSE ME600)を用いてガラス層を観察した結果、ガラス層に結晶は発見されなかった。
また、例43の組成のフレーク状ガラスをアルミナ製のボールミルで2時間乾式粉砕して、ガラスフリットを得た。ガラスフリットの質量平均粒径は、3ミクロンであった。得られたガラスフリット75gを、有機ビヒクル(α―テルピネオールにエチルセルロースを10質量%溶解したもの)25gと混練してガラスペーストを作製した。このガラスペーストを、大きさ10cm×10cm厚さ0.55mmのソーダライムガラス基板上に、焼成後の厚みが30μmとなるよう均一に9cm角のサイズで中央に印刷した。これを150℃で30分間乾燥した後、一旦室温に戻し、450℃まで30分で昇温し、450℃で30分間保持して、有機ビヒクルの樹脂を分解・消失させた。その後、545℃まで10分で昇温し、545℃で30分間保持して、ガラスフリットを軟化させた。その後、室温まで3時間で降温し、ソーダライムガラス基板上に例1の組成のガラス層を形成した。目視試験の結果、ソーダライムガラス基板とガラス層の両面に割れや反りは発見されなかった。また、透過型顕微鏡(ニコン社製ECLIPSE ME600)を用いてガラス層を観察した結果、ガラス層に結晶は発見されなかった。
以上のように、本実施形態の光学ガラスは、ソーダライムガラス基板との密着性が良く、割れや結晶化等の問題も生じないことがわかる。
110 透光性基板
120 ガラス層

Claims (21)

  1. 光学ガラスの粉末を含むガラスフリットであって、
    前記光学ガラスは、
    酸化物基準のモル%表示で、
    を0〜20%、Bを15〜60%、Biを15〜28%、ZnOを20〜50%含有し、
    の含有量をZnOの含有量で割った値が0.48未満であり、
    とBの含有量の合量が30〜60%であり、
    とBの含有量の合量が50%を超えるときはPの含有量は10%以下であることを特徴とする、ガラスフリット
  2. 前記光学ガラスは、
    酸化物基準のモル%表示で、
    TiOとWOの含有量の合量が0〜12%であり、
    ZrOの含有量が0〜5%であり、
    MgOとCaOとSrOとBaOの含有量の合量が0〜10%であり、
    LiOとNaOとKOの含有量の合量が0〜5%であることを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット
  3. 前記光学ガラスは、Heランプd線(波長:587.6nm)で25℃で測定した屈折率が1.85以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラスフリット
  4. 前記光学ガラスは、50℃〜300℃における平均線膨張係数が60×10−7〜100×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のガラスフリット
  5. 前記光学ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Pの含有量が5〜20%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のガラスフリット
  6. 前記光学ガラスは、不純物として含有されることを除き、Pを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のガラスフリット
  7. 前記光学ガラスは、不純物として含有されることを除き、LiOとNaOとKOを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のガラスフリット
  8. 透光性基板と、前記透光性基板上に形成されたガラス層と備えるガラス層付き透光性基板であって、
    前記ガラス層光学ガラスを含み、
    前記光学ガラスは、
    酸化物基準のモル%表示で、
    を0〜20%、B を15〜60%、Bi を15〜28%、ZnOを20〜50%含有し、
    の含有量をZnOの含有量で割った値が0.48未満であり、
    とB の含有量の合量が30〜60%であり、
    とB の含有量の合量が50%を超えるときはP の含有量は10%以下であることを特徴とするガラス層付き透光性基板。
  9. 前記光学ガラスは、
    酸化物基準のモル%表示で、
    TiO とWO の含有量の合量が0〜12%であり、
    ZrO の含有量が0〜5%であり、
    MgOとCaOとSrOとBaOの含有量の合量が0〜10%であり、
    Li OとNa OとK Oの含有量の合量が0〜5%であることを特徴とする請求項8に記載のガラス層付き透光性基板。
  10. 前記光学ガラスは、Heランプd線(波長:587.6nm)で25℃で測定した屈折率が1.85以上であることを特徴とする請求項8または9に記載のガラス層付き透光性基板。
  11. 前記光学ガラスは、50℃〜300℃における平均線膨張係数が60×10 −7 〜100×10 −7 /℃であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一つに記載のガラス層付き透光性基板。
  12. 前記光学ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、P の含有量が5〜20%であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載のガラス層付き透光性基板。
  13. 前記光学ガラスは、不純物として含有されることを除き、P を実質的に含有しないことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載のガラス層付き透光性基板。
  14. 前記光学ガラスは、不純物として含有されることを除き、Li OとNa OとK Oを実質的に含有しないことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一つに記載のガラス層付き透光性基板。
  15. 酸化物基準のモル%表示で、
    を0〜20%、Bを15〜60%、Biを10〜37%、ZnOを5〜50%、SiOを0〜20%、Alを0〜10%、ZrOを0〜5%、Gdを0〜10%、TiOを0〜15%、LiOとNaOとKOを合計で0〜5%、アルカリ土類金属酸化物を合計で0〜10%含有し、
    の含有量をZnOの含有量で割った値が0.48未満であり、
    とBの含有量の合量が30〜60%であり、
    とBの含有量の合量が50%を超えるときはPの含有量は10%以下であることを特徴とする光学ガラス。
  16. Heランプd線(波長:587.6nm)で25℃で測定した屈折率が1.75以上であることを特徴とする請求項15に記載の光学ガラス。
  17. 酸化物基準のモル%表示で、
    の含有量が2〜20%であることを特徴とする請求項15または16に記載の光学ガラス。
  18. 酸化物基準のモル%表示で、
    Gdの含有量が2〜10%であることを特徴とする請求項1517のいずれか一つに記載の光学ガラス。
  19. 不純物として含有されることを除き、LiOとNaOとKOを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1518のいずれか一つに記載の光学ガラス。
  20. 請求項1519のいずれか一つに記載の光学ガラスの粉末を含むガラスフリット。
  21. 透光性基板と、前記透光性基板上に形成されたガラス層と備えるガラス層付き透光性基板であって、
    前記ガラス層は、請求項1519のいずれか一つに記載の光学ガラスを含むことを特徴とするガラス層付き透光性基板。
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