JP5663859B2 - 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 - Google Patents
非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5663859B2 JP5663859B2 JP2009259807A JP2009259807A JP5663859B2 JP 5663859 B2 JP5663859 B2 JP 5663859B2 JP 2009259807 A JP2009259807 A JP 2009259807A JP 2009259807 A JP2009259807 A JP 2009259807A JP 5663859 B2 JP5663859 B2 JP 5663859B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gene
- succinic acid
- acid
- activity
- ptss
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
(1)非アミノ有機酸生産能を有し、ptsS遺伝子の発現が非改変株と比較して増強されるように改変された細菌。
(2)ptsS遺伝子が配列番号10のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、PtsS活性を有するタンパク質をコードする、(1)に記載の細菌。
(3)さらに、ラクテートデヒドロゲナーゼ活性が非改変株と比較して低減するように改変された、(1)又は(2)に記載の細菌。
(4)さらに、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変された、(1)〜(3)のいずれかに記載の細菌。
(5)さらに、アセテートキナーゼ、ホスフォオランスアセチラーゼ、ピルベートオキシダーゼおよびアセチルCoAハイドロラーゼから選択される1種類以上の酵素の活性が非改変株と比較して低減されるように改変された、(1)〜(4)のいずれかに記載の細菌。
(6)コリネ型細菌である、(1)〜(5)のいずれかに記載の細菌。
(7)コリネ型細菌がコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)である、(6)に記載の細菌。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の細菌またはその処理物を、炭酸イオン、重炭酸イオン又は二酸化炭素ガスを含有する反応液中でスクロースに作用させることによって反応液中に非アミノ有機酸を生成・蓄積させ、該非アミノ有機酸を採取することを特徴とする非アミノ有機酸の製造方法。
(9)スクロースを嫌気的雰囲気下で作用させることを特徴とする、(8)に記載の方法。
(10)非アミノ有機酸がコハク酸である、(8)又は(9)に記載の方法。
(11)(10)に記載の方法によりコハク酸を製造する工程、及び前記工程で得られたコハク酸を重合する工程を含む、コハク酸含有ポリマーの製造方法。
(12)(10)に記載の方法によりコハク酸を製造する工程、及び前記工程で得られたコハク酸を原料としてコハク酸誘導体を合成する工程を含む、コハク酸誘導体の製造方法。
得られた非アミノ有機酸は食品添加物や医薬品、化粧品等に用いることができる。また、得られた非アミノ有機酸を原料として重合反応を行うことにより非アミノ有機酸含有ポリマーを製造することもできる。
本発明の細菌は、非アミノ有機酸生産能を有し、ptsS遺伝子の発現が非改変株と比較して増強するように改変された細菌である。
地中に非アミノ有機酸を生成蓄積することができることをいう。非アミノ有機酸はアミノ酸以外の有機酸を意味するが、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、イソクエン酸、2−オキソグルタル酸、シス−アコニット酸およびピルビン酸が好ましく、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸などのジカルボン酸がより好ましく、コハク酸が特に好ましい。
とによって得ることができる。親株の種類は特に限定されないが、コリネ型細菌(coryneform bacterium)、バチルス属細菌、又はリゾビウム属細菌が好ましく、コリネ型細菌がより好ましい。
バチルス属細菌としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・プミルス(Bacillus
pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)等が挙げられ、リゾビウム属細菌としては、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)などが挙げられる。
コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌又はアースロバクター属に属する細菌が挙げられ、このうち好ましくは、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属するものが挙げられ、更に好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に属する細菌が挙げられる。
Systematic Bacteriology, 1991, vol. 41, p255-260)、本発明においては、ブレビバクテリウム・フラバムMJ-233株、及びその変異株MJ-233 AB-41株はそれぞれ、コリネバクテリウム・グルタミカムMJ-233株及びMJ-233 AB-41株と同一の株であるものとする。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ-233は、1975年4月28日に通商産業省工業技術院微生物
工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-3068として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-1497の受託番号で寄託されている。
ptsS遺伝子の発現量が増強するように改変する場合、用いることのできる遺伝子は、PtsS活性を有するタンパク質をコードする限り特に限定されないが、例えば、配列番号9の塩基配列を有するコリネバクテリウム・グルタミカム由来の遺伝子を挙げることができる。また、ptsS遺伝子は、PtsS活性を有するタンパク質をコードするものである限り、上記塩基配列の相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、または上記塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAのようなホモログであってもよい。ここで、ストリンジェントな条件としては、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
また、ptsS遺伝子は、配列番号10のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有し、PtsS活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。
さらに、ptsS遺伝子は、配列番号10のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、PtsS活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。ここで、1または数個とは、好ましくは、1〜20個、より好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個を意味する。
ptsS遺伝子を組み込むことができるプラスミドベクターとしては、宿主細菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むものであれば特に制限されない。コリネ型細菌に遺伝子を導入するために使用できるプラスミドの具体例としては、特開平3−210184号公報に記載のプラスミドpCRY30;特開平2−72876号公報及び米国特許5,185,262号明細書公報に記載のプラスミドpCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KE及びpCRY3KX;特開平1−191686号公報に記載のプラスミドpCRY2およびpCRY3;特開昭58−67679号公報に記載のpAM330;特開昭58−77895号公報に記載のpHM1519;特開昭58−192900号公報に記載のpAJ655、pAJ611及びpAJ1844;特開昭57−134500号公報に記載のpCG1;特開昭58−35197号公報に記載
のpCG2;特開昭57−183799号公報に記載のpCG4およびpCG11等を挙げることができる。
それらの中でもコリネ型細菌の宿主−ベクター系で用いられるプラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子とコリネ型細菌内でプラスミドの安定化機能を司る遺伝子とを有するものが好ましく、例えば、プラスミドpCRY30、pCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KEおよびpCRY3KX等が好適に使用される。
形質転換は、例えば、電気パルス法(Res. Microbiol., Vol.144, p.181-185, 1993)
等によって行うことができる。
また、ptsS遺伝子の発現量の増強は、公知の相同組換え法によって染色体上でptsS遺伝子を多コピー化させることによって行うこともできる。
また、ptsS遺伝子の発現量の増強は、宿主染色体上でptsS遺伝子のプロモーターを置換または改変することによっても行うことができる。プロモーター置換の方法としては、例えば、sacB遺伝子を用いる方法(Schafer,A.et al.Gene 145 (1994)69-73)が挙げられる。
このように、プロモーターを適宜選択することによって、ptsS遺伝子の発現量の調節が可能である。
以上、コリネ型細菌を用いる例を述べたが、他の細菌を用いる場合も同様の方法によって、ptsS遺伝子の発現増強を達成することができる。
69-73)等が挙げられる。LDH活性が低減されptsS遺伝子の発現が増強されたコリネ型細菌は、例えば、LDH遺伝子が破壊された細菌を作製し、該細菌をptsS遺伝子を含む組換えベクターで形質転換することにより得ることができる。ただし、LDH活性低減のための改変操作とptsS遺伝子の発現増強のため改変操作はどちらを先に行ってもよい。
さらに、コリネバクテリウム・グルタミカム以外のコリネ型細菌、または他の微生物又は動植物由来のpc遺伝子を使用することもできる。特に、以下に示す微生物または動植物由来のpc遺伝子は、その配列が既知(以下に文献を示す)であり、上記と同様にしてハイブリダイゼーションにより、あるいはPCR法によりそのORF部分を増幅することによって、取得することができる。
ヒト [Biochem.Biophys.Res.Comm., 202, 1009-1014, (1994)]
マウス[Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 90, 1766-1779, (1993)]
ラット[GENE, 165, 331-332, (1995)]
酵母;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
[Mol.Gen.Genet., 229, 307-315, (1991)]
シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)
[DDBJ Accession No.; D78170]
バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)
[GENE, 191, 47-50, (1997)]
リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)
[J.Bacteriol., 178, 5960-5970, (1996)]
「PTA活性」とは、アセチルCoAにリン酸を転移してアセチルリン酸を生成する反応を触媒する活性をいう。「PTA活性が低減するように改変された」とは、PTA活性が、非改変株、例えば野生株よりも低くなったことをいう。PTA活性は非改変株と比較して、単位菌体重量当たり30%以下に低下していることが好ましく、単位菌体重量当たり10%以下に低下していることがより好ましい。また、PTA活性は完全に消失していてもよい。PTA活性が低下したことは、Klotzschらの方法(Klotzsch, H. R., Meth Enzymol. 12, 381-386(1969))
により、PTA活性を測定することによって確認することができる。
述の実施例に開示された方法に従って行うことができる。pta遺伝子およびack遺伝子としては、上記GenBank Accession No. X89084の塩基配列を有する遺伝子のほか、宿主染色体上のpta遺伝子およびack遺伝子と相同組換えを起こす程度の相同性を有する遺伝子を用いることもできる。ここで、相同組換えを起こす程度の相同性とは、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。また、上記遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAであれば、相同組換えは起こり得る。
活性が完全に消失した場合も含まれる。ACH活性は、Gergely,J.,らの方法(Gergely,J., Hele,P. & Ramkrishnan,C.V. (1952) J.Biol.Chem. 198 p323-334)により測定することが出来る。
が望ましい。
しい。培地には、例えばスクロースと炭酸イオン、重炭酸イオン又は二酸化炭素ガスを含有させ、嫌気的条件で反応させることができる。炭酸イオン又は重炭酸イオンは、中和剤としても用いることのできる炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムから供給されるが、必要に応じて、炭酸若しくは重炭酸又はこれらの塩或いは二酸化炭素ガスから供給することもできる。炭酸又は重炭酸の塩の具体例としては、例えば炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等が挙げられる。そして、炭酸イオン、重炭酸イオンは、1〜500mM、好ましくは2〜300mM、さらに好ましくは3〜200mMの濃度で添加する。二酸化炭素ガスを含有させる場合は、溶液1L当たり50mg〜25g、好ましくは100mg〜15g、さらに好ましくは150mg〜10gの二酸化炭素ガスを含有させる。
に、得られたコハク酸を用いてコハク酸誘導体を製造することができる。ここでコハク酸誘導体としては、コハク酸塩、無水コハク酸、無水マレイン酸、コハク酸エステル、コハク酸イミド、1,4-ジアミノブタン、コハク酸ニトリル、2−ピロリドン、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、1,4−ブタンジオール(1,4-BG)、テトラヒドロフラン(THF)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ポリテトラメチンエーテルグリコール(PTMG)などが挙げられる。例えば、コハク酸を水素化することによって、1,4−ブタンジオールを製造することができる。1,4−ブタンジオールは、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、テトラヒドロフラン(溶媒)、N-メチルピロリドンやN-ビニルピロリドンの前駆体であるγ−ブチロラクタンの原料等に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
(A)ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株ゲノムDNAの抽出
A培地[尿素 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5g、K2HPO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeSO4・7H2O 6mg、MnSO4・4−5H2O6mg、ビオチン 200μg、チアミン 100μg、イーストエキストラクト 1g、カザミノ酸 1g、グルコース 20g、蒸留水1Lに溶解]10mLに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株を対数増殖期後期まで培養し、遠心分離(10000g、5分)により菌体を集めた。得られた菌体を10mg/mLの濃度にリゾチームを含む10mM NaCl/20mMトリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。次に、上記懸濁液にプロテナーゼKを、最終濃度が100μg/mLになるように添加し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.5%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌した。この溶菌液に、等量のフェノール/クロロフォルム溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g、20分間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3Mとなるように添加した後、2倍量のエタノールを加え混合した。遠心分離(15,000×g、2分)により回収した沈殿物を70%エタノールで洗浄した後、風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(pH7.5)−1mM EDTA・2Na溶液5mLを加え、4℃で一晩静置し、以後のPCRの鋳型DNAに使用した。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来ptsS遺伝子のN末端領域のDNA断片の取得は、上記(A)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されているコリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株の該遺伝子の配列(GenBank Database Accession No.AP005276)を基に設計した合成DNA(配列番号1および配列番号2)を用いたPCRによって行った。反応液組成:鋳型DNA1μL、Ex−Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.2μM 各々プライマー、0.25μM dNTPsを混合し、全量を20μLとした。反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で1分からなるサイクルを30回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は4分とした。増幅産物の確認は、1.0%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、
約0.6kbの断片を検出し、これをptsS遺伝子N末端断片とした。
DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.2μM 各々プライマー、0.25μM dNTPsを混合し、全量を20μLとした。反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で1分からなるサイクルを30回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は4分とした。増幅産物の確認は、1.0%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約0.8kbの断片を検出した。得られたTZ4プロモーターとptsS遺伝子N末端領域が連結したDNA断片はQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)を用いて精製後、制限酵素EcoRIおよびKpnIで消化した。このDNA断片を同制限酵素で処理し
た大腸菌ベクターpHSG299(タカラバイオ社製)と混合し、ライゲーションキットver.2(タカラバイオ社製)を用いて連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換し、50μg/mLカナマシンおよび50μg/mLX−Galを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上で白色のコロニーを形成したクローンを、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAは制限酵素EcoRIおよびKpnIで切断することにより約0.8kbの挿入断片が認められ、これをpHSGptsSと命名した。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDH(ピルベートカルボキシラーゼ遺伝子の発現が強化され、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊された株:特開2005−95169)の形質転換に用いたプラスミドDNAは、上記pHSGptsSのプラスミドDNAを用いて塩化カルシウム法(Journal of Molecular Biology,53,159,1970)により形質転換した大腸菌JM110株から再調製した。ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDH株の形質転換は電気パルス法(Res.Microbiol.Vol.144,p.181−185,1993)によって行い、得られた形質転換体をカナマイシン 25μg/mLを含むLBG寒天培地[トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、NaCl
5g、グルコース 20g、及び寒天15gを蒸留水1Lに溶解]に塗抹した。この培地上に生育した株は、pHSGptsSがブレビバクテリウム・フラバムMJ233株菌体内で複製不可能なプラスミドであるため、該プラスミドのptsS遺伝子とブレビバク
テリウム・フラバムMJ233株ゲノム上の同遺伝子との間で相同組み換えを起こした結果、ゲノム上に該プラスミドに由来するカナマイシン耐性遺伝子が挿入されているはずである。ゲノム上のptsS遺伝子のプロモーターがTZ4プロモーターに置換されたことの確認は、LBG培地にて液体培養して得られた菌体を直接PCR反応に供し、TZ4プロモーターおよびptsS遺伝子の領域を検出することによって確認できる。これらの領域をPCR増幅するためのプライマー(配列番号7および配列番号8)を用いて分析すると、プロモーター置換型では608bpのDNA断片を認めるはずである。上記方法にてカナマイシン耐性菌株を分析した結果、TZ4プロモーターが挿入された株を選抜し、該株をブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PtsS/PC−4/ΔLDHと命名した。
種培養培地(尿素:4g、硫酸アンモニウム:14g、リン酸1カリウム:0.5g、リン酸2カリウム:0.5g、硫酸マグネシウム・7水和物:0.5g、硫酸第一鉄・7水和物:20mg、硫酸マンガン・水和物:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:200μg、酵母エキス:1g、カザミノ酸:1g、蒸留水:1000mLにメスアップ)100mLを500mLの三角フラスコに入れ、120℃、20分加熱滅菌した。これを室温まで冷やし、0.22μmのメンブレンフィルター(MILLIPORE社製)により滅菌した50%スクロース水溶液を4mL、無菌濾過した5%カナマイシン水溶液を50μL添加し、実施例1(C)で作製したブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PtsS/PC−4/ΔLDH株または対照株であるブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDH株(特開2005−95169)を接種して16時間30℃にて種培養した。但し、MJ233/PC−4/ΔLDH株の培養は、カナマイシン非添加で行った。
Claims (7)
- コハク酸および酢酸から選ばれる非アミノ有機酸生産能を有し、ptsS遺伝子の発現が非改変株と比較して増強され、かつ、ラクテートデヒドロゲナーゼ活性が非改変株と比較して低減するように改変された細菌。
- ptsS遺伝子が、配列番号10のアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸配列において、1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、PtsS活性を有するタンパク質をコードする、請求項1に記載の細菌。
- さらに、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変された、請求項1または2に記載の細菌。
- コリネ型細菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細菌。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の細菌またはその処理物を、炭酸イオン、重炭酸イオン又は二酸化炭素ガスを含有する反応液中でスクロースに作用させることによって反応液中にコハク酸および酢酸から選ばれる非アミノ有機酸を生成・蓄積させ、該非アミノ有機酸を採取することを特徴とするコハク酸および酢酸から選ばれる非アミノ有機酸の製造方法。
- 非アミノ有機酸がコハク酸である請求項5に記載の方法によりコハク酸を製造する工程、及び前記工程で得られたコハク酸を重合する工程を含む、コハク酸含有ポリマーの製造方法。
- 非アミノ有機酸がコハク酸である請求項5に記載の方法によりコハク酸を製造する工程、及び前記工程で得られたコハク酸を原料としてコハク酸誘導体を合成する工程を含む、コハク酸誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009259807A JP5663859B2 (ja) | 2009-11-13 | 2009-11-13 | 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009259807A JP5663859B2 (ja) | 2009-11-13 | 2009-11-13 | 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011103782A JP2011103782A (ja) | 2011-06-02 |
JP5663859B2 true JP5663859B2 (ja) | 2015-02-04 |
Family
ID=44228057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009259807A Expired - Fee Related JP5663859B2 (ja) | 2009-11-13 | 2009-11-13 | 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5663859B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017192325A (ja) * | 2016-04-19 | 2017-10-26 | 三菱ケミカル株式会社 | 有機酸の製造方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TR200103854T2 (tr) * | 1999-07-01 | 2002-06-21 | Basf Aktiengesellschaft | Corynebacterium glutamicum gen kodlayıcı fosfonolpiruvat: şeker fosfotransferaz sistem proteini |
JP4623825B2 (ja) * | 1999-12-16 | 2011-02-02 | 協和発酵バイオ株式会社 | 新規ポリヌクレオチド |
JP4489660B2 (ja) * | 2005-08-11 | 2010-06-23 | 本田技研工業株式会社 | 除雪機 |
MX297190B (en) * | 2005-09-08 | 2012-03-16 | Scarab Genomics Llc | Oxygen-regulated microorganisms |
JP2008133131A (ja) * | 2006-03-08 | 2008-06-12 | Ibiden Co Ltd | 脱脂炉投入装置、及び、ハニカム構造体の製造方法 |
JP4146507B1 (ja) * | 2008-01-28 | 2008-09-10 | 新生 綱脇 | 陰茎拡大伸長装置 |
-
2009
- 2009-11-13 JP JP2009259807A patent/JP5663859B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011103782A (ja) | 2011-06-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5180060B2 (ja) | 有機酸生産菌及び有機酸の製造法 | |
US7563606B2 (en) | Method for producing non-amino organic acid | |
JP5088136B2 (ja) | コハク酸の製造方法 | |
EP1672077B1 (en) | Process for producing succinic acid | |
US7972823B2 (en) | Succinic acid-producing bacterium and process for producing succinic acid | |
JP4575086B2 (ja) | コハク酸の製造方法 | |
JP5572279B2 (ja) | コハク酸生産菌及びコハク酸の製造方法 | |
JP5493854B2 (ja) | 有機酸の製造方法 | |
JP5034630B2 (ja) | 有機酸生産微生物の菌体の調製法及び有機酸の製造法 | |
JP4760121B2 (ja) | コハク酸の製造方法 | |
EP2192189A1 (en) | Method for production of succinic acid | |
JP5602982B2 (ja) | コハク酸の製造方法 | |
JP2008067623A (ja) | 非アミノ有機酸の製造方法 | |
JP4720114B2 (ja) | オキザロ酢酸またはオキザロ酢酸誘導体の製造方法 | |
JP4428999B2 (ja) | 非アミノ有機酸の製造方法 | |
JP5663859B2 (ja) | 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 | |
WO2013069786A1 (ja) | コハク酸の製造方法 | |
JP5034395B2 (ja) | 有機酸生産菌及び有機酸の製造方法 | |
JP5810412B2 (ja) | 非アミノ有機酸の製造方法 | |
JP2008067627A (ja) | 非アミノ有機酸生産菌および非アミノ有機酸の製造方法 | |
JP2008067624A (ja) | 非アミノ有機酸の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140520 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140718 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5663859 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |