JP5663726B2 - パンク防止機能を具えたホットプレス装置と木質材料の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、木材原料(マット)の密度が0.4g/立方センチメートルである場合、製造される木質材料(木質ボード)の密度はそれよりも高くなり、その密度は0.7g/立方センチメートル以上までになる。 このように、圧縮されるため木材原料内部の水蒸気は外部に逃げられず、内部にこもりやすくなる。
上記のようなパンク現象は、連続ホットプレスや木質材料の側面をシールドして高温高圧下に熱圧して寸法安定性に優れる木質材料を得る場合にも同様に発生する。
しかし、このようなエネルギーの無用ともいえる費消を避けて木材原料を乾燥せず高い含水率のまま接着剤を塗布し、フォーミング・熱圧を行えば、パンクが発生し木質材料の製造は不可能ともいえる。 ここにおいて、木質材料を高含水率のまま熱圧しても、解圧時にパンクを防止できれば、乾燥工程の省略につながり、省エネルギー・省スペースが実現できるのである。
現在、ホットプレスを用いて製造される木質材料は、合板、OSB(Oriented Strand Board)、ファイバーボード、パーティクルボード等があるが、いずれの場合にも、パンクを防止して高品質の製品を省エネルギー下に効率よく生産できる。
このような構成の脱気手段は、熱圧部すなわち熱盤に加圧空気の放出孔を設けて構成してもよいが、熱盤面に接合して木質材料に当接する筺体を介して加圧空気を送給するような構成も可能である。
構成の脱気手段で排気するようにしているが、これを排気しないで、冷却処理により内部の水蒸気を露化させることにより解圧時のパンクを防止することができる。 一般に従来は、木材原料は接着剤塗布前の含水率を0%に近い状態まで乾燥を行っていたが、本発明では高含水率でもパンクを発生させずに高品質の製品を製造できる。
図面に基づいて本願発明に係るホットプレス装置の実施例を説明する。 図1は、ホットプレスの1実施例を示す構成概略図である。 図において、1は、熱圧部2を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段3が熱圧部2に設けられている。
シールド5内に積層された木質材料4の熱圧時に加圧空気が、矢符のように加圧空気供給手段としての空気タンク3bを介して木材原料4の上下面に圧入され、木材原料4の内部に達する。 次いで、この注入された加圧空気は熱圧に伴い木材原料4内部に発生した水蒸気とともに、矢符に示すようにシールド5の前記通気口5aからの外部に排気される。 この排気作用は、シールド5内を真空ポンプ6により負圧に維持することで、極めて効果的に木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させることになる。
脱気手段3は、木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6とを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面又は下面に多数の空気孔(不図示)を有してそれぞれホットプレスにおける熱圧部2の上側熱盤2a、下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としての空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
この実施例において、脱気手段3は木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aを具えている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。
一方、加圧空気源としてのコンプレッサー3aからシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4に圧入される空気は内部の水蒸気とともに、排気流として排気手段である空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6を介して外部に放散される。
この実施例において、前記シールド5には、通気口5aを介して吸気源としての真空ポンプ6に連結されている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。 併せて、同様に吸気源としての真空ポンプ6からシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4が吸引され負圧状態となる。 かくして、内部の水蒸気は、空気タンク3b、シールド5の通気口5cの両系統において空気流とともに外部に放散される。
脱気手段3は、いずれか一方の熱盤2aまたは2bにそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段としての空気タンク3b、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源としてのコンプレッサー3aと、前記排気手段に連結される吸気源真空ポンプ6とを具えていて、さらに木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成され通気口に切り替え弁7を介して連結される吸気源としての真空ポンプ6および加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
図において、11は、接着剤を添加した木材原料4を連続的に熱圧する上下一対の熱圧部12,12を具えて、接着剤の硬化により木材原料4を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料13を連続的に形成する連続式ホットプレス装置である。
また、熱圧部12の終段(図に置いて左端)に冷却手段を設けて木質材料13を冷却して内部を摂氏100度以下に下げ、内部に生じている水蒸気を露化し水分となして安定化させてパンクを防止する構成を具えることもある。 また、この冷却手段は熱圧部12に隣接して設けてもよい。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
すなわち、図11は、この試験に使用したホットプレス装置の要部である熱圧部と脱気手段を示す一部断面側面図である。
図1に示した脱気手段3は、該実施例では木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3b、これに連通する吸気源としての真空ポンプ6、木材原料4の側面部を囲繞するシールド5、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面に多数の空気孔(不図示)を有していてホットプレスにおける熱圧部の下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としてのこの空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
イ: 木質ボードの原料にはヒノキを用いた。ヒノキを円盤式のナイフリングで切削し、ボード原料としての木材原料を製造し、これを含水率が約0%まで乾燥した。
ロ: 前記ボード原料に所定量の水分を吹き付け、含水率が20%、30%、40%の3水準とした。
ハ: それぞれの含水率に調整した原料をそれぞれ回転ドラム式の塗布装置に入れ、スプレーでイソシアネート系接着剤を5%(重量)塗布した。
ニ: 接着剤塗布後に25cm×25cmのフォーミングボックスを用いて手巻きでマットを製造して、これを熱圧して木質ボードを得た。ボードの厚さは1cm、目標ボード密度を0.7g/cm3とした。ホットプレスの温度を180℃とし、前記3種の含水率のボード原料についてそれぞれ熱圧時間を4、6、8、10分としたものを制作した。
次いで、比較対照として従来のホットプレスにより上記仕様により同様の木質ボードを
制作した。
(1)本願に係るホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
(2)従来のホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生
熱圧時間 10分 パンク発生
Claims (5)
- 熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設けるとともに、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるようにしたパンク防止機能を具えたホットプレス装置において、上下一対の熱盤を具えるとともに、前記加圧空気供給手段は一対の熱盤それぞれに取り付けられ圧締時に木材原料に接合する一対の筐体形状の空気タンクを具え、これら空気タンクは加圧空気源に連結されるとともに、各空気タンクにおける木材原料への接合面には加圧空気を噴出するために多数の空気孔が形成されてなり、さらに前記加圧空気供給手段から供給される加圧空気は加熱空気で構成され、熱圧時に木材原料の上下両面を加圧空気により加圧して、加圧空気を木材原料内部に発生滞留した水蒸気とともに木材原料の側面から放散するようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
- 請求項1記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、シールド内を負圧に維持する吸気源と、前記シールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、シールド内に積層された木材原料の熱圧時に加圧空気の送給とシールドにおける前記通気口からの排気を行い、この排気に併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
- 熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、上下一対の熱盤と、木材原料内部に加圧空気を供給する加圧空気供給手段と木材原料内部から排気する排気手段を具え、前記加圧空気供給手段はいずれか一方の熱盤の内面に接合され加圧空気源に連結される筐体形状の空気タンクからなり、この空気タンクは木材原料との対向面に多数の空気孔が形成されており、前記排気手段は いずれか他方の熱盤の内面に接合され吸気源に連結される筐体形状の空気タンクからなり、この空気タンクは木材原料との対向面に多数の空気孔が形成されており、熱圧時に加圧空気供給手段としての前記空気タンクからの加圧空気が木材原料内部に発生滞留した水蒸気とともに木材原料の側面ならびに排気手段としての前記空気タンクから放散されるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
- 請求項3記載のパンク防止機能を具えたホットプレス装置において、さらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドを具え、このシールドの側面に設けた通気口からも排気するようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
- 熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段が熱圧部に設けられ、熱圧部は一対の熱盤A、Bを具え、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段と、これに連通する加圧空気源と、排気手段とを具え、前記熱盤の一方には前記加圧空気供給手段が設けられ、前記熱盤の他方には前記排気手段が設けられ、前記加圧空気供給手段は、加圧空気源に連結される送気管とこの送気管が連通する熱盤内の通気路と通気路の各所に複数形成されて加圧空気を木材原料に供給する通気口とで構成し、前記排気手段は、熱盤内に形成される排気路とこの排気路の各所に複数形成されて加圧空気を水蒸気とともに外部に排出する排気口で構成して、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧して、送給された加圧空気を木材原料の側面ならびに前記排気手段から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
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