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JP5657697B2 - 撮像レンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像レンズおよび撮像装置に関し、より詳しくは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いた車載用カメラ、携帯端末用カメラ、監視カメラ等に使用されるのに好適な撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
CCDやCMOS等の撮像素子は近年非常に小型化及び高画素化が進んでいる。それとともに、これら撮像素子を備えた撮像機器本体も小型化が進み、それに搭載される撮像レンズにも良好な光学性能に加え、小型化が求められている。一方、車載用カメラや監視カメラ等に搭載されるレンズでは、小型化とともに、高い耐候性を有し、軽量で安価に構成可能で、低照度の撮影条件下でも使用可能なようにF値が小さいことが求められている。
下記特許文献1には、車載用カメラや監視カメラ等に使用可能で、最も物体側のレンズが物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであり、5枚のレンズからなる撮像レンズが記載されている。下記特許文献2には、小型のCCDが搭載されたカメラに使用可能で、非球面レンズを含む、5枚のレンズからなる撮像レンズが記載されている。
特開2008−008960号公報 特開平11−142730号公報 特開2010−107606号公報 特開2003−066328号公報 特開2000−066091号公報 特開平10−213742号公報
ところで、近年では、CCD等の撮像素子との併用が一般的であることから、レンズ系と撮像素子との間に各種フィルタを配置可能なようにバックフォーカスが長いこと、および、周辺光線の撮像素子への入射角度が小さくなるようにテレセントリック性が高いこと、色収差が良好に補正されていることが望まれるようになっている。そして、これらの要求を満たしつつ、従来同様または従来以上に小型、安価、高性能、小さなF値を達成することが求められるようになってきている。
特許文献1、3〜6に記載のレンズ系は、全て球面レンズで構成されているため、レンズ材質をガラスとすると耐候性の良いレンズを安価に作成可能だが、非球面を使用した場合には、さらなる高性能化を期待できると考えられる。また、レンズ材質をプラスチックとすれば、低コスト化を図ることができると考えられる。特許文献2に記載のレンズ系は、F値が2.8と大きいか、F値が小さいものは最も物体側のレンズがプラスチックレンズであるため、車載カメラや監視カメラとして使用するには、カバーガラス等の保護手段が必要となり、コストアップになってしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、小型で安価に構成でき、テレセントリック性が高く、長いバックフォーカスと小さなF値を有し、良好な光学性能を実現可能な撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の撮像レンズは、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとを備え、絞りが、第1レンズの像側の面と第3レンズの物体側の面の間に配置され、第3レンズの材質のd線における屈折率、アッベ数をそれぞれNd3、νd3としたとき、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とするものである。
Nd3<1.75 … (1)
νd3<35 … (2)
本発明の第1の撮像レンズによれば、最少5枚構成のレンズ系において、系におけるパワー配置、絞り位置等を好適に設定し、条件式(1)、(2)を満足するように第3レンズの材質を選択しているため、小型で安価に構成でき、高いテレセントリック性、長いバックフォーカス、小さなF値を有し、色収差も含めた諸収差が良好に補正された高い光学性能を実現することが容易になる。
本発明の第2の撮像レンズは、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとを備え、絞りが、第1レンズの像側の面と第3レンズの物体側の面の間に配置され、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズそれぞれの少なくとも片側のレンズ面が非球面であり、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズ全ての材質がプラスチックであることを特徴とするものである。
本発明の第2の撮像レンズによれば、最少5枚構成のレンズ系において、系におけるパワー配置、絞り位置等を好適に設定し、非球面とプラスチックレンズを好適に配置しているため、小型で安価に構成でき、高いテレセントリック性、長いバックフォーカス、小さなF値を有し、色収差も含めた諸収差が良好に補正された高い光学性能を実現することが容易になる。
本発明の第3の撮像レンズは、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとを備え、絞りが、第1レンズの像側の面と第3レンズの物体側の面の間に配置され、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズそれぞれの少なくとも片側のレンズ面が非球面であり、第3レンズの像側の面は、中心が負のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて負のパワーが弱いか、もしくは、中心が負のパワーを持ち、有効径端で正のパワーを持つことを特徴とするものである。
本発明の第3の撮像レンズによれば、最少5枚構成のレンズ系において、系におけるパワー配置、絞り位置等を好適に設定し、非球面レンズを好適に配置し、第3レンズの面形状を好適に設定しているため、小型で安価に構成でき、高いテレセントリック性、長いバックフォーカス、小さなF値を有し、色収差も含めた諸収差が良好に補正された高い光学性能を実現することが容易になる。
本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第4レンズの材質のd線における屈折率をNd4とし、第5レンズの材質のd線における屈折率をNd5としたとき、下記条件式(3)、(4)を満足することが好ましい。
Nd4≦1.68 … (3)
Nd5≦1.68 … (4)
本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離をfとし、第2レンズと第3レンズとの光軸上の間隔をD23としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
0.05<D23/f<0.85 … (5)
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第1レンズが両凹レンズであることが好ましい。
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第5レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれR10、R11としたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
−1.40<(R10+R11)/(R10−R11)<−0.2 … (6)
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第1レンズの焦点距離をf1とし、第2レンズの焦点距離をf2としたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
−1.30<f1/f2<−0.65 … (7)
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第3レンズの物体側の面は、中心が負のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて負のパワーが弱いことが好ましい。
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第4レンズの像側の面は、中心が正のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて正のパワーが弱いか、もしくは、中心が正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つことが好ましい。
また、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、第5レンズの像側の面は、中心が正のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて正のパワーが弱いか、もしくは、中心が正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つことが好ましい。
なお、本発明の第1、第2、第3の撮像レンズにおいては、非球面レンズの場合は、面の凹凸形状、屈折力(パワー)の符号は特に断りのない限り、近軸領域で考えるものとする。また、本発明の撮像レンズにおける曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負とすることにする。
なお、「面の有効径」とは、結像に寄与する全光線とレンズ面との交わる点を考えたとき、径方向における最も外側の点(最も光軸から離れた点)からなる円の直径を意味し、「有効径端」とは、この最も外側の点を意味するものとする。なお、光軸に対して回転対称の系においては、上記の最も外側の点からなる図形は円となるが、回転対称ではない系においては円とならない場合があり、そのような場合は、等価の円形を考えてその円の直径を有効径としてもよい。有効径は、例えばレンズ系が撮像素子と組み合わせて使用される場合は、撮像素子の撮像面のサイズに基づき決めることができ、撮像面が矩形の場合は例えば、その対角長の1/2を最大像高として決めて算出することができる。
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明の撮像レンズを備えたことを特徴とするものである。
本発明の撮像レンズによれば、最少5枚構成のレンズ系において、レンズ構成および絞り位置等を好適に設定しているため、小型で安価に構成でき、高いテレセントリック性、長いバックフォーカス、小さなF値を有し、色収差も含めた諸収差が良好に補正された高い光学性能を実現することができる。
本発明の撮像装置によれば、本発明の撮像レンズを備えているため、小型で安価に構成でき、低照度の撮影条件下でも使用可能であり、撮像素子を用いて解像度の高い良好な像を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかる撮像レンズの構成と光路を示す図 第3レンズの像側の面の非球面形状を説明するための図 第3レンズの像側の面の別の非球面形状を説明するための図 本発明の別の実施形態にかかる撮像レンズの構成と光路を示す図 本発明の実施例1の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例4の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例5の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例6の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例7の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例8の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例9の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例10の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例11の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例12の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例13の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例14の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例15の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例16の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例17の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例18の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例19の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例20の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例21の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例22の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例23の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 図27(A)〜図27(D)は本発明の実施例1の撮像レンズの各収差図 図28(A)〜図28(D)は本発明の実施例2の撮像レンズの各収差図 図29(A)〜図29(D)は本発明の実施例3の撮像レンズの各収差図 図30(A)〜図30(D)は本発明の実施例4の撮像レンズの各収差図 図31(A)〜図31(D)は本発明の実施例5の撮像レンズの各収差図 図32(A)〜図32(D)は本発明の実施例6の撮像レンズの各収差図 図33(A)〜図33(D)は本発明の実施例7の撮像レンズの各収差図 図34(A)〜図34(D)は本発明の実施例8の撮像レンズの各収差図 図35(A)〜図35(D)は本発明の実施例9の撮像レンズの各収差図 図36(A)〜図36(D)は本発明の実施例10の撮像レンズの各収差図 図37(A)〜図37(D)は本発明の実施例11の撮像レンズの各収差図 図38(A)〜図38(D)は本発明の実施例12の撮像レンズの各収差図 図39(A)〜図39(D)は本発明の実施例13の撮像レンズの各収差図 図40(A)〜図40(D)は本発明の実施例14の撮像レンズの各収差図 図41(A)〜図41(D)は本発明の実施例15の撮像レンズの各収差図 図42(A)〜図42(D)は本発明の実施例16の撮像レンズの各収差図 図43(A)〜図43(D)は本発明の実施例17の撮像レンズの各収差図 図44(A)〜図44(D)は本発明の実施例18の撮像レンズの各収差図 図45(A)〜図45(D)は本発明の実施例19の撮像レンズの各収差図 図46(A)〜図46(D)は本発明の実施例20の撮像レンズの各収差図 図47(A)〜図47(D)は本発明の実施例21の撮像レンズの各収差図 図48(A)〜図48(D)は本発明の実施例22の撮像レンズの各収差図 図49(A)〜図49(D)は本発明の実施例23の撮像レンズの各収差図 本発明の実施形態にかかる車載用の撮像装置の配置を説明するための図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態にかかる撮像レンズについて説明する。図1には、本発明の一実施形態にかかる撮像レンズ1のレンズ断面図、および、無限遠の距離にある物点からの軸上光束2、全画角2ωでの軸外光束3、4を示す。図1に示す構成例は、後述の実施例1の撮像レンズに対応している。図1では、図の左側が物体側、右側が像側である。
図1では、撮像レンズ1が撮像装置に適用される場合を考慮して、撮像レンズ1の像面Simに配置された撮像素子5も図示している。なお、図1では、撮像素子を簡略的に示しているが、実際には撮像素子5の撮像面が像面Simの位置に一致するように配置される。撮像素子5は、撮像レンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等を用いることができる。
なお、撮像レンズ1を撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、カバーガラスや、ローパスフィルタまたは赤外線カットフィルタ等の各種フィルタを設けることが好ましく、図1では、これらを想定した平行平板状の光学部材PPを最も像側のレンズと撮像素子5(像面Sim)の間に配置した例を示している。特に、撮像レンズ1が撮像素子5とともに使用される場合は、カバーガラスや各種フィルタをレンズ系と像面Simの間に配設することが多く、レンズ系にはこれらを配設するために十分なバックフォーカスが必要とされる。
撮像レンズ1は、光軸Zに沿って、物体側から順に、負の第1レンズL1と、正の第2レンズL2と、負の第3レンズL3と、正の第4レンズL4と、正の第5レンズL5とを備え、開口絞りStが第1レンズL1の像側の面と第3レンズL3の物体側の面の間に配置された構成を採り、これらが基本構成となる。
最も物体側に負の第1レンズL1を配置し、像側に正の第4レンズL4と正の第5レンズL5を配置することで、レンズ系をレトロフォーカスタイプとすることができ、レンズ系を広角化することが容易となるとともにバックフォ−カスを長くとることが容易となる。
図1に示す例のように、開口絞りStを第2レンズL2と第3レンズL3の間に配置し、物体側から順に、負、正、開口絞りSt、負、正、正のパワー配置とした場合には、開口絞りStの物体側と像側のパワーを略均等にすることができ、像面湾曲の補正が容易となる。開口絞りStをレンズ系のほぼ中間に位置させることで、各レンズにおける光線高を抑え、レンズ径を小さくすることができ、小型化および低コスト化に有利となる。
後述の実施例に示すように、開口絞りStを第1レンズL1と第2レンズL2の間に配置し、物体側から順に、負、開口絞りSt、正、負、正、正のパワー配置とした場合には、特に第1レンズL1における光線高を抑え、外部に露出する部分のレンズ径を小さくすることができ、小型化に有利となる。また、射出瞳位置を物体側に持って行けるため周辺光線が撮像素子5に入射する角度を抑えることが可能となり、シェーディングを抑制することが可能となるとともに、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5において軸上光線と軸外光線を分離しやすくなり、像面湾曲の補正が容易となる。
開口絞りStは、光軸方向における開口絞りStの位置が第2レンズL2の物体側の面頂点と像側の面頂点の間にあるように配置されていてもよい。このように配置することで、各レンズにおける光線高を抑え、レンズ系の径方向をより小さくすることができる。
最も像側に配置される正のパワーを第4レンズL4と第5レンズL5の2枚のレンズに分割して持たせることで、球面収差の補正が容易となり、F値が小さなレンズ系においても収差を良好に補正することが可能となる。
第3レンズL3を負レンズ、第4レンズL4と第5レンズL5を正レンズとすることで、色収差を抑えながら、周辺光線が撮像素子へ入射する角度を小さくすることができ、テレセントリック性の良いレンズ系を実現することが可能となる。
図1に示す撮像レンズ1は、上記基本構成に加え、要求される仕様等に応じて、以下に述べる構成を適宜選択的に有することが好ましい。なお、好ましい態様としては、以下のいずれか1つの構成を有するものでもよく、あるいは任意の2つ以上を組合せた構成を有するものでもよい。
第3レンズの材質のd線における屈折率、アッベ数をそれぞれNd3、νd3としたとき、さらに下記条件式(1)、(2)を満足することが好ましい。
Nd3<1.75 … (1)
νd3<35 … (2)
条件式(1)を満足することで、第3レンズL3を安価に作製することができ、レンズ系全体のコストを下げることが可能となる。また、条件式(2)を満足することで、軸上色収差と倍率の色収差を良好に補正することが可能となる。
低コスト化のためには、条件式(1)に代えて、下記条件式(1−2)を満足することが好ましく、下記条件式(1−3)を満足することがより好ましく、下記条件式(1−4)を満足することがさらにより好ましい。
Nd3<1.70 … (1−2)
Nd3<1.68 … (1−3)
Nd3<1.66 … (1−4)
なお、負の第3レンズL3は正の第4レンズL4、第5レンズL5と協働して、色収差を抑えながらテレセントリック性を高める機能を有しているため、第3レンズL3と第4レンズL4、第5レンズL5のパワーバランスを良好に保つためには、下記条件式(1−5)を満足することが好ましく、さらには下記条件式(1−6)を満足することがより好ましい。
1.55<Nd3 … (1−5)
1.59<Nd3 … (1−6)
また、軸上色収差と倍率の色収差を良好に補正するためには、条件式(2)に代えて、下記条件式(2−2)を満足することが好ましく、さらには下記条件式(2−3)を満足することがより好ましく、下記条件式(2−4)を満足することがよりいっそう好ましい。
νd3<30 … (2−2)
νd3<27 … (2−3)
νd3<26 … (2−4)
なお、低コスト化のためには、下記条件式(2−5)を満足することが好ましく、さらには下記条件式(2−6)を満足することがより好ましい。
15<νd3 … (2−5)
20<νd3 … (2−6)
第4レンズL4の材質のd線における屈折率をNd4とし、第5レンズL5の材質のd線における屈折率をNd5としたとき、下記条件式(3)、(4)を満足することが好ましい。
Nd4≦1.68 … (3)
Nd5≦1.68 … (4)
条件式(3)の上限を上回ると、第4レンズL4のパワーが強くなってしまい、第5レンズL5とのパワーバランスが崩れて球面収差の補正が困難となるか、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5の材質にプラスチックを用いた場合に第3レンズL3の負のパワーと第4レンズL4、第5レンズL5の正のパワーのバランスが崩れてしまい、温度変化時のピント移動量が大きくなってしまう。または、現在使用可能な光学材質の中からアッベ数の大きい材質を選択することが困難となるため、色収差の補正が困難となる。
条件式(4)の上限を上回ると、第5レンズL5のパワーが強くなってしまい、第4レンズL4とのパワーバランスが崩れて球面収差の補正が困難となるか、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5の材質にプラスチックを用いた場合に第3レンズL3の負のパワーと第4レンズL4、第5レンズL5の正のパワーのバランスが崩れてしまい、温度変化時のピント移動量が大きくなってしまう。または、現在使用可能な光学材質の中からアッベ数の大きい材質を選択することが困難となるため、色収差の補正が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第2レンズL2と開口絞りStと第3レンズL3との光軸上の空気間隔をD23としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
0.05<D23/f<0.85 … (5)
条件式(5)の上限を上回ると、第2レンズL2と第3レンズL3の距離が大きくなりすぎてしまい、全長の小型化が困難となるとともに、第1レンズL1の小型化が困難となる。条件式(5)の下限を下回ると、第2レンズL2と第3レンズL3の距離が小さくなりすぎてしまい、像面湾曲とコマ収差を良好に補正することが困難となる。
第5レンズL5の物体側の面の曲率半径をR10とし、第5レンズL5の像側の面の曲率半径をR11としたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
−1.40<(R10+R11)/(R10−R11)<−0.2 … (6)
条件式(6)の(R10+R11)/(R10−R11)が負の値でありながら条件式(6)の上限を上回ると、第5レンズL5が物体側の面と像側の面の曲率半径の絶対値が近い両凸レンズ(物体側の面の曲率半径の絶対値が像側の面の曲率半径の絶対値より小さい)となるか、物体側の面と像側の面の曲率半径の絶対値が近い両凹レンズ(物体側の面の曲率半径の絶対値が像側の面の曲率半径の絶対値より小さい)となる。両凹レンズは負レンズであるため、第5レンズが正レンズという基本構成の要件に反してしまう。よって、条件式(6)の上限を上回るのは、第5レンズL5が物体側の面と像側の面の曲率半径の絶対値が近い両凸レンズとなる場合だが、第5レンズL5をこのような形状にすると、球面収差の補正が困難となる。
条件式(6)の下限を下回るのは、第5レンズL5が像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとなるか、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとなる場合であるが、第5レンズL5が像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとなると、第5レンズが正レンズという基本構成の要件に反してしまう。第5レンズL5が物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで、条件式(6)の下限を下回ると、第5レンズL5の物体側の面と像側の面の曲率半径の差が小さくなりすぎてしまい正のパワーが弱くなるため第4レンズL4と第5レンズL5のパワーのバランスが悪くなり球面収差の補正が困難となるか、第5レンズL5の物体側の面の曲率半径の絶対値が小さくなりすぎてしまい像面湾曲とコマ収差の補正が困難となる。
第1レンズL1の焦点距離をf1とし、第2レンズL2の焦点距離をf2としたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
−1.30<f1/f2<−0.65 … (7)
条件式(7)の上限を上回ると、第2レンズL2の正のパワーと比べて第1レンズL1の負のパワーが強くなりすぎてしまい、広角化は容易となるが、像面湾曲とコマ収差の補正が困難となる。条件式(7)の下限を下回ると、第1レンズL1の負のパワーと比べて第2レンズL2の正のパワーが強くなり過ぎてしまい、広角化とバックフォーカスの確保が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第4レンズL4の焦点距離をf4としたとき、下記条件式(8)を満足することが好ましい。
0.5<f4/f<2.5 … (8)
条件式(8)の上限を上回ると、第4レンズL4のパワーが弱くなりすぎて、第3レンズと協働しながら良好に色収差を補正することが困難となるか、第4レンズL4のパワーが弱くなりすぎるために第5レンズL5とのパワーのバランスが悪くなり、球面収差の補正が困難となる。条件式(8)の下限を下回ると、第4レンズL4のパワーが強くなりすぎるために第5レンズL5とのパワーのバランスが悪くなり、球面収差の補正が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第1レンズL1と第2レンズL2の光軸上の空気間隔をD2としたとき、下記条件式(9)を満足することが好ましい。
0.1<D2/f<0.6 … (9)
条件式(9)の上限を上回ると、第1レンズL1と第2レンズL2の間隔が大きくなりすぎて、第1レンズL1の径が大きくなってしまい、小型化を達成することが困難となる。条件式(9)の下限を下回ると、第1レンズL1と第2レンズL2が近接しすぎるため、バックフォーカスを長くすることが困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第3レンズL3から第5レンズL5の合成焦点距離をf345としたとき、下記条件式(10)を満足することが好ましい。
1.2<f345/f<3.8 … (10)
条件式(10)の上限を上回ると、第4レンズL4と第5レンズL5のパワーが弱くなりすぎてしまうか、第3レンズL3のパワーが強くなりすぎてしまい、レンズ系から撮像素子5へ入射する角度を抑えることが困難となり、テレセントリック性のよいレンズを作製することが困難となる。条件式(10)の下限を下回ると、像面湾曲とコマ収差を良好に補正することが困難となる。
第1レンズL1と第2レンズL2の合成焦点距離をf12とし、第3レンズL3から第5レンズL5の合成焦点距離をf345としたとき、下記条件式(11)を満足することが好ましい。
0.1<|f12/f345|<1.8 … (11)
条件式(11)の上限を上回ると、光学系の全長が長くなり、小型化の目的を達成できなくなる。条件式(11)の下限を下回ると、コマ収差と像面湾曲の補正が困難となる。
第1レンズL1と第2レンズL2の合成焦点距離をf12としたとき、f12は正の値であることが望ましい。f12を正の値とすることで、像面湾曲とコマ収差の補正が容易となる。
全系の焦点距離をfとし、第1レンズL1の物体側の面の曲率半径をR1としたとき、下記条件式(12)を満足することが好ましい。
−10.0<R1/f<−0.5 … (12)
条件式(12)の上限を上回ると、第1レンズL1の物体側の面の曲率半径の絶対値が小さくなりすぎてしまい、広角化は容易となるがディストーションと像面湾曲を押さえることが困難となる。条件式(12)の下限を下回ると、第1レンズL1の物体側の面の曲率半径の絶対値が大きくなり、球面収差の補正が困難となるか、第1レンズL1の径方向の小型化が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第3レンズL3の焦点距離をf3としたとき、下記条件式(13)を満足することが好ましい。
−1.5<f3/f<−0.2 … (13)
条件式(13)の上限を上回ると、第3レンズL3のパワーが強くなりすぎるため、レンズ系から撮像素子5へ入射する角度を抑えることが困難となり、テレセントリック性のよいレンズを作製することが困難となる。条件式(13)の下限を下回ると、第3レンズL3のパワーが弱くなりすぎて、色収差の補正が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第1レンズL1の物体側の面から像面Simまでの光軸上の距離をLとしたとき、下記条件式(14)を満足することが好ましい。なお、Lはバックフォーカス分は空気換算長を用いるものとする。
2.5<L/f<5.0 … (14)
条件式(14)の上限を上回ると、レンズ系が大型化してしまう。条件式(14)の下限を下回ると、小型化は容易に達成可能だが、広角化が不十分となるか、全長が短くなりすぎてしまい、小型化は容易だが各レンズの厚さを薄くしなければならず、製造が困難となるかコストアップの原因となってしまう。
ここで、Lは22mm以下であることが好ましい。Lが22mmを超えると、レンズ系が大型化してしまい、小型化の目的を達成できなくなる。Lは20mm以下であることがより好ましく、Lは19mm以下であることがさらにより好ましい。
全系の焦点距離をfとし、第1レンズL1の焦点距離をf1としたとき、下記条件式(15)を満足することが好ましい。
−1.25<f1/f<−0.5 … (15)
条件式(15)の上限を上回ると、第1レンズL1のパワーが強くなりすぎてしまい、像面湾曲の補正が困難となるとともに、バックフォーカスが長くなりすぎてしまい、レンズ系の小型化も困難となる。条件式(15)の下限を下回ると、第1レンズL1のパワーが弱くなりすぎてしまい、広角化とバックフォーカスの確保が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第2レンズL2の焦点距離をf2としたとき、下記条件式(16)を満足することが好ましい。
0.4<f2/f<1.5 … (16)
条件式(16)の上限を上回ると、第2レンズL2のパワーが弱くなり、像面湾曲の補正が困難となるとともに、開口絞りStの物体側と像側でのパワーのバランスが崩れるため、コマ収差の補正が困難となる。条件式(16)の下限を下回ると、第2レンズL2のパワーが強くなりすぎてしまい、偏心に関する誤差の許容量が小さくなり、製造が困難となるか、コストアップの原因となる。
第1レンズL1の物体側の面の曲率半径をR1とし、第1レンズL1の像側の面の曲率半径をR2としたとき、下記条件式(17)を満足することが好ましい。
0.05<(R1+R2)/(R1−R2)<0.95 … (17)
条件式(17)の(R1+R2)/(R1−R2)が正の値となり、1.0以下となるのは、第1レンズL1が両凹レンズで物体側の面の曲率半径の絶対値が像側の面の曲率半径の絶対値より大きい場合か、両凸レンズで物体側の面の曲率半径の絶対値が像側の面の曲率半径の絶対値より大きい場合である。第1レンズL1が両凸レンズとなると、正のレンズとなり、第1レンズL1が負のレンズという基本構成に反するため、条件式(17)を満たすためには、両凹レンズで物体側の面の曲率半径の絶対値が像側の面の曲率半径の絶対値より大きい場合となる。条件式(17)の上限または下限を満たさないと、球面収差が補正不足または補正過剰となり、良好な像を得ることができない。条件式(17)の上限を上回ると、像面湾曲の補正が困難となる。条件式(17)の下限を下回ると、第1レンズL1の物体側の面と像側の面の曲率半径の絶対値の差が小さい両凹レンズとなるため、球面収差、コマ収差の補正が困難となる。
全系の焦点距離をfとし、第5レンズL5の焦点距離をf5としたとき、下記条件式(18)を満足することが好ましい。
0.99<f5/f<2.10 … (18)
条件式(18)の上限または下限を満たさないと、第5レンズL5のパワーが強くなりすぎる、もしくは弱くなりすぎることで、第4レンズL4と第5レンズL5のパワーのバランスが悪くなり、球面収差の補正が困難となる。
なお、上記の各条件式(5)〜(18)については、さらに以下のように下限と上限を変更したものを満足することが好ましい。また、好ましい態様としては、以下に述べる下限の変更値と上限の変更値を組み合わせて構成される条件式を満足するものでもよい。
条件式(5)の下限の変更値としては、0.20が好ましく、0.25がより好ましく、0.27がさらにより好ましく、0.30がさらによりいっそう好ましい。条件式(5)の上限の変更値としては、0.62が好ましく、0.61がより好ましく、0.60がさらにより好ましい。
条件式(6)の下限の変更値としては、−1.30が好ましく、−1.20がより好ましい。条件式(6)の上限の変更値としては、−0.3が好ましく、−0.4がより好ましい。
条件式(7)の下限の変更値としては、−1.25が好ましく、−1.20がより好ましく、−1.15がさらにより好ましい。条件式(7)の上限の変更値としては、−0.75が好ましく、−0.85がより好ましく、−0.90がさらにより好ましい。
条件式(8)の下限の変更値としては、0.7が好ましく、0.8がより好ましく、0.9がさらにより好ましい。条件式(8)の上限の変更値としては、1.5が好ましく、1.25がより好ましく、1.20がさらにより好ましい。
条件式(9)の下限の変更値としては、0.2が好ましい。条件式(9)の上限の変更値としては、0.51が好ましい。
条件式(10)の下限の変更値としては、1.3が好ましく、1.4がより好ましい。条件式(10)の上限の変更値としては、2.5が好ましく、2.4がより好ましく、2.3がさらにより好ましく、2.25がさらによりいっそう好ましい。
条件式(11)の下限の変更値としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましく、0.3がさらにより好ましい。条件式(11)の上限の変更値としては、1.5が好ましく、1.3がより好ましく、1.2がさらにより好ましい。
条件式(12)の下限の変更値としては、−6.0が好ましく、−5.5がより好ましく、−5.2がさらにより好ましい。条件式(12)の上限の変更値としては、−1.0が好ましく、−1.5がより好ましく、−1.7がさらにより好ましい。
条件式(13)の下限の変更値としては、−1.2が好ましく、−1.1がより好ましく、−1.0がさらにより好ましく、−0.9がさらによりいっそう好ましい。条件式(13)の上限の変更値としては、−0.3が好ましく、−0.4がより好ましく、−0.45がさらにより好ましい。
条件式(14)の下限の変更値としては、2.8が好ましく、3.0がより好ましく、3.4がさらにより好ましい。条件式(14)の上限の変更値としては、4.8が好ましく、4.6がより好ましく、4.5がさらにより好ましい。
条件式(15)の下限の変更値としては、−1.20が好ましく、−1.15がより好ましく、−1.10がさらにより好ましい。条件式(15)の上限の変更値としては、−0.55が好ましく、−0.6がより好ましく、−0.8がさらにより好ましい。
例えば、条件式(15)に代えて下記条件式(15−2)を満足することが好ましく、下記条件式(15−3)を満足することがより好ましい。
−1.15<f1/f<−0.55 … (15−2)
−1.10<f1/f<−0.60 … (15−3)
条件式(16)の下限の変更値としては、0.6が好ましく、0.7がより好ましく、0.8がさらにより好ましい。条件式(16)の上限の変更値としては、1.3が好ましく、1.2がより好ましい。
条件式(17)の下限の変更値としては、0.2が好ましく、0.4がより好ましく、0.6がさらにより好ましい。条件式(17)の上限の変更値としては、0.90が好ましく、0.86がより好ましく、0.79がさらにより好ましい。
条件式(18)の下限の変更値としては、1.00が好ましく、1.20がより好ましく、1.30がさらにより好ましい。条件式(18)の上限の変更値としては、2.05が好ましく、1.98がより好ましい。
第1レンズL1の物体側の面は凹面とすることが好ましく、これにより、第1レンズL1の負のパワーを強くすることが可能となり、広角化と長いバックフォーカスが容易となる。第1レンズL1は、両凹レンズであることが好ましく、かかる構成によれば、第1レンズL1の負のパワーを強くすることができ、広角化に有利であるとともにバックフォーカスを長くとることがより容易となる。
第2レンズL2は、両凸レンズであることが好ましく、かかる構成によれば、第2レンズL2のパワーを強くすることができ、第1レンズL1のパワーを強くした場合でも、第2レンズL2のパワーを強くすることが容易となり、負レンズの第1レンズL1で発生した収差を正レンズの第2レンズL2で発生した収差で打ち消すことができ、球面収差、コマ収差、像面湾曲の補正が容易となる。
第3レンズL3は、両凹レンズであることが好ましく、かかる構成によれば、第3レンズL3のパワーを強くすることができ、軸上色収差と倍率の色収差の補正が容易となる。
第4レンズL4は、両凸レンズであることが好ましく、かかる構成によれば、第4レンズL4のパワーを強くすることができ、第3レンズL3と協働しながら色収差を良好に補正することが容易となる。
第5レンズL5は、物体側に凸面を向けたレンズであることが好ましく、かかる構成によれば、像面湾曲の補正が容易となる。第5レンズL5を両凸レンズとした場合には、像面湾曲の補正が容易となる。第5レンズL5を物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとした場合には、球面収差の補正が容易となる。
なお、少ないレンズ枚数で高い解像性能を実現するためには、効果的に非球面を用いることが好ましく、そのためには、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5それぞれの少なくとも片側のレンズ面を非球面とすることが好ましい。
第3レンズL3は、近軸領域で両凹形状であることが好ましく、かかる構成によれば、第3レンズL3のパワーを強くすることができ、軸上色収差と倍率の色収差の補正が容易となる。
第3レンズL3は、少なくとも物体側、像側のうち一方の面を非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差、像面湾曲とともに軸上色収差、倍率の色収差を良好に補正することが容易になる。
なお、非球面においては、各レンズ面の中心、すなわち、その面と光軸Zとの交点をCi(iは後述の実施例の説明で述べる面番号に相当)とし、レンズ面上のある点をXiとし、点Xiでのレンズ面の法線と光軸Zとの交点をPiとしたとき、点Xiでのパワーは点Piが点Ciの物体側、像側のどちら側にあるかで定義される。当該非球面が物体側の面の場合は、点Piが点Ciより像側にある場合は点Xiでのパワーは正のパワー、点Piが点Ciより物体側にある場合は点Xiでのパワーは負のパワーと定義される。逆に、当該非球面が像側の面の場合は、点Piが点Ciより物体側にある場合は点Xiでのパワーは正のパワー、点Piが点Ciより像側にある場合は点Xiでのパワーは負のパワーと定義される。
また、非球面においては、点Xiと点Piを結ぶ線分を点Xiでの曲率半径RXiと定義し、RXiの絶対値|RXi|=|Xi−Pi|とし、点Ciでの曲率半径の絶対値を|Ri|としたとき、点Xiと中心でのパワーが同符号の場合、点Xiでは中心と比較してパワーが弱い形状とは|RXi|が|Ri|より大きい形状であり、点Xiでは中心と比較してパワーが強い形状とは|RXi|が|Ri|より小さい形状である。
上記非球面における一般的な説明は、本撮像レンズの任意の非球面のレンズ面についても適用可能である。上記説明におけるCi、Xi、Pi、RXi、Riは説明の便宜上用いている記号であり、限定されるものではない。上記説明における点Xiはレンズ面上の任意の点とすることが可能であり、例えば、軸上光線径端の点や有効径端の点として考えることが可能である。
なお、「面の軸上光線径」とは、軸上の結像に寄与する全光線とレンズ面との交わる点を考えたとき、径方向における最も外側の点(最も光軸から離れた点)からなる円の直径を意味し、「軸上光線径端」とは、この最も外側の点を意味するものとする。軸上光線径は、レンズ系のF値により決まり、例えば、軸上光線径端は、開口絞りStの開口部の周縁を通過する光線がレンズ面と交わる点からなる。
第3レンズL3の像側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。第3レンズL3の像側の面は、中心で負のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して負のパワーが弱い形状、もしくは中心で負のパワーを持ち、有効径端では正のパワーを持つ形状であることが好ましい。第3レンズL3の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
ここで、図2Aを参照しながら、上記の第3レンズL3の像側の面の、「中心で負のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して負のパワーが弱い形状」について説明する。図2Aには、第3レンズL3の断面図と有効径端を決める光線6を示しており、図の煩雑化を避けるためその他のレンズの図示は省略している。有効径端を決める光線6とは、結像に寄与する全光線とレンズ面との交わる点を考えたとき、径方向における最も外側の点(最も光軸から離れた点)を通る光線である。有効径端を決める光線6は、レンズ面ごとに考慮されるべきものである。
図2Aにおいて、点C7は、第3レンズL3の像側の面の中心であり、第3レンズL3の像側の面と光軸Zとの交点である。図2Aの点X7は、第3レンズL3の像側の面の有効径端の点であり、有効径端を決める光線6と第3レンズL3の像側の面との交点である。ここで、点X7でのレンズ面の法線と光軸Zとの交点を図2Aに示すように点P7とする。
このとき、点X7と点P7を結ぶ線分X7−P7を点X7での曲率半径RX7と定義し、線分X7−P7の長さ|X7−P7|を曲率半径RX7の絶対値|RX7|と定義する。また、点C7での曲率半径、すなわち、第3レンズL3の像側の面の中心の曲率半径をR7とし、その絶対値を|R7|とする。すなわち、第3レンズL3の物体側の面の近軸領域での曲率中心を点O7としたとき、点C7と点O7を結ぶ線分の長さが|R7|となる。
上記の第3レンズL3の像側の面の「中心で負のパワーを持ち」とは、点C7を含む近軸領域が凹形状であることを意味する。また、上記の第3レンズL3の像側の面の「有効径端では中心と比較して負のパワーが弱い形状」とは、点P7が点C7より像側にあり、点X7での曲率半径の絶対値|RX7|が点C7での曲率半径の絶対値|R7|よりも大きい形状を意味する。
図2Aでは理解を助けるために、半径|R7|で点C7を通り、光軸上の点O7を中心とする円CC7を二点鎖線で描き、半径|RX7|で点X7を通り、光軸上の点P7を中心とする円CX7を破線で描いている。円CX7の方が円CC7よりも大きな円となっており、|RX7|>|R7|であることが明示されている。
次に、図2Bを参照しながら、上記の第3レンズL3の像側の面の、「中心で負のパワーを持ち、有効径端では正のパワーを持つ形状」について説明する。図2Bは図2A同様、第3レンズL3の断面図と有効径端を決める光線6を示しており、図の煩雑化を避けるためその他のレンズの図示は省略している。
図2Bにおいて、点C7’は、第3レンズL3の像側の面の中心であり、第3レンズL3の像側の面と光軸Zとの交点である。図2Bの点X7’は、第3レンズL3の像側の面の有効径端の点であり、有効径端を決める光線6と第3レンズL3の像側の面との交点である。ここで、点X7’でのレンズ面の法線と光軸Zとの交点を図2Bに示すように点P7’とする。
このとき、点X7’と点P7’を結ぶ線分X7’−P7’を点X7’での曲率半径RX7’と定義し、線分X7−P7の長さ|X7−P7|を曲率半径RX7の絶対値|RX7’|と定義する。また、点C7’での曲率半径、すなわち、第3レンズL3の像側の面の中心の曲率半径をR7’とし、その絶対値を|R7’|とする。すなわち、第3レンズL3の物体側の面の近軸領域での曲率中心を点O7’としたとき、点C7’と点O7’を結ぶ線分の長さが|R7’|となる。
上記の第3レンズL3の像側の面の「中心で負のパワーを持ち」とは、点C7’を含む近軸領域が凹形状であることを意味する。また、上記の第3レンズL3の像側の面の「有効径端では正のパワーを持つ形状」とは、点P7’が点C7より物体側にあり、点X7’での曲率半径の絶対値|RX7’|が点C7’での曲率半径の絶対値|R7’|よりも大きい形状を意味する。
図2Bでは理解を助けるために、半径|R7’|で点C7’を通り、光軸上の点O7’を中心とする円CC7’を二点鎖線で描き、半径|RX7’|で点X7’を通り、光軸上の点P7’を中心とする円CX7’を破線で描いている。円CX7’の方が円CC7’よりも大きな円となっており、|RX7’|>|R7’|であることが明示されている。
また、第3レンズL3の像側の面は、中心が負のパワーを持ち、軸上光線径端では中心と比べて負のパワーが弱いか、もしくは、中心が負のパワーを持ち、軸上光線径端で正のパワーを持つことが好ましい。第3レンズL3の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第3レンズL3の物体側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。第3レンズL3の物体側の面は、中心での曲率半径が負の値をとり、すなわち、中心で負のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して負のパワーが弱い形状であることが好ましい。第3レンズL3の物体側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
また、第3レンズL3の物体側の面は、中心で負のパワーを持ち、軸上光線端では中心と比較して負のパワーが弱い形状であることが好ましい。第3レンズL3の物体側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。この第3レンズL3の物体側の面の「軸上光線端では中心と比較して負のパワーが弱い形状」とは、点X6を軸上光線径端とした場合に、点P6が点C6より物体側にあり、点X6での曲率半径の絶対値|RX6|が点C6での曲率半径の絶対値|R6|よりも大きい形状を意味する。
第4レンズL4は、物体側の面を近軸領域で凸形状とすることが好ましく、これにより、第4レンズL4の正のパワーを強くすることができ、第3レンズL3と協働しながら良好に色収差を補正することが容易となる。より好ましくは、第4レンズL4は近軸領域で両凸形状であることであり、かかる構成によれば、第4レンズL4のパワーをより強くすることができ、第3レンズL3と協働しながら色収差をより良好に補正することが容易となる。
第4レンズL4は、少なくとも物体側、像側のうち一方の面を非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差、像面湾曲とともに軸上色収差、倍率の色収差を良好に補正することが容易になる。
第4レンズL4の物体側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差の補正が容易となる。第4レンズL4の物体側の面は、中心で正のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して正のパワーが弱い形状であることが好ましい。第4レンズL4の物体側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第4レンズL4の物体側の面は、中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では中心と比較して正のパワーが弱い形状であることが好ましい。第4レンズL4の物体側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第4レンズL4の像側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差の補正が容易となる。第4レンズL4の像側の面は、中心で正のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して正のパワーが弱い形状、もしくは中心で正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つ形状であることが好ましい。第4レンズL4の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第4レンズL4の像側の面は、中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では中心と比較して正のパワーが弱い形状、もしくは中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では負のパワーを持つ形状であることが好ましい。第4レンズL4の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第5レンズL5は、近軸領域で物体側に凸形状を向けたレンズであることが好ましく、かかる構成によれば、像面湾曲の補正が容易となる。第5レンズL5を近軸領域で両凸形状とした場合には、像面湾曲の補正が容易となる。第5レンズL5を近軸領域で物体側に凸面を向けたメニスカス形状とした場合には、球面収差の補正が容易となる。
第5レンズL5は、少なくとも物体側、像側のうち一方の面を非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差、コマ収差、像面湾曲を良好に補正することが容易になるとともに、テレセントリック性を高めることができる。
第5レンズL5の物体側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、コマ収差、像面湾曲の補正が容易となる。第5レンズL5の物体側の面は、中心で正のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して正のパワーが強い形状であることが好ましい。第5レンズL5の物体側の面をこのような形状とすることで、コマ収差と像面湾曲の補正が容易となるとともに、テレセントリック性を高めることができる。
第5レンズL5の物体側の面は、中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では中心と比較して正のパワーが強い形状であることが好ましい。第5レンズL5の物体側の面をこのような形状とすることで、コマ収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第5レンズL5の像側の面は、非球面とすることが好ましく、これにより、球面収差の補正が容易となる。第5レンズL5の像側の面は、中心で正のパワーを持ち、有効径端では中心と比較して正のパワーが弱い形状、もしくは中心で正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つ形状であることが好ましい。第5レンズL5の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第5レンズL5の像側の面は、中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では中心と比較して正のパワーが弱い形状、もしくは中心で正のパワーを持ち、軸上光線端では負のパワーを持つ形状であることが好ましい。第5レンズL5の像側の面をこのような形状とすることで、球面収差と像面湾曲の補正が容易となる。
第1レンズL1の材質のd線におけるアッベ数をνd1としたとき、νd1は40以上であることが好ましく、これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。より良好に軸上色収差を補正するには、νd1は45以上であることがより好ましく、55以上であることがさらにより好ましく、60以上であることがさらによりいっそう好ましい。
第2レンズL2の材質のd線におけるアッベ数をνd2としたとき、νd2は35以上であることが好ましく、これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。より良好に軸上色収差を補正するには、νd2は40以上であることがより好ましく、45以上であることがさらにより好ましい。
また、第4レンズL4の材質のd線におけるアッベ数をνd4としたとき、νd4は40以上であることが好ましく、これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。より良好に軸上色収差を補正するには、νd4は45以上であることがより好ましく、52以上であることがさらにより好ましい。
第5レンズL5の材質のd線におけるアッベ数をνd5としたとき、νd5は40以上であることが好ましく、これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。より良好に軸上色収差を補正するには、νd5は45以上であることがより好ましく、52以上であることがさらにより好ましい。
また、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5全ての材質をプラスチックとすることが好ましい。かかる構成によれば、非球面形状を正確に作製することが容易となり、良好な光学性能を確保しやすくなるとともに、低コスト化および軽量化に有利となる。
なお、プラスチックレンズは、温度変化時に焦点位置の移動量が大きいという欠点があるが、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5をプラスチックレンズとすることで、温度変化時の正レンズによる焦点位置の移動量と負レンズによる焦点位置の移動量を相殺することができるため、温度変化による性能劣化を抑制できる。
全系の焦点距離をfとし、最大半画角をωとしたときの理想像高がf×tan(ω)で表される系において、ディストーションが±10%以下であることが好ましく、これにより、歪みの少ない画像を得ることができる。理想像高がf×tan(ω)で表される系において、ディストーションを±5%以下とすることがより好ましく、これにより、さらに画像の歪みを抑えることができる。
レンズ系を構成するレンズは全て接合されていないことが好ましい。例えば車載レンズとして使用される場合、レンズ系には高い耐熱性、耐環境性が求められる。接合レンズを使用した場合、耐熱性、耐環境性を高めるためには特殊な接合剤を使用したり、耐環境性を高める処理が必要となるため高コストになってしまう。したがって、第1レンズL1〜第5レンズL5は全て単レンズであることが好ましい。
撮像レンズが例えば車載用カメラや監視カメラ用等の厳しい環境において使用される場合には、最も物体側に配置される第1レンズL1は、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材質、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材質を用いることが要望され、さらに、堅く、割れにくい材質を用いることが要望されることがある。材質をガラスとすることで、これらの要望を満たすことが可能となる。また、第1レンズL1の材質として、透明なセラミックスを用いてもよい。上記事情と低コスト化のためには第1レンズL1はガラス球面レンズであることが好ましいが、高い光学性能が重視される場合はガラス非球面レンズとしてもよい。
なお、第1レンズL1の物体側の面に、強度、耐キズ性、耐薬品性を高めるための保護手段を施してもよく、その場合には、第1レンズL1の材質をプラスチックとしてもよい。このような保護手段は、ハードコートであってもよく、撥水コートであってもよい。
第1レンズL1を構成する材質の屈折率をNd1としたとき、Nd1は1.80以下であることが好ましい。Nd1を1.80以下とすることで、第1レンズL1を構成する材質のコストを抑えることが可能となるとともに、アッベ数の大きい材質を選択することが可能となり、色収差の発生を抑えることが可能となり、広角でありながら良好な解像性能のレンズを作製することが可能となる。
Nd1は1.65以下であることがより好ましく、1.60以下であることがさらに好ましい。またNd1は、1.46以上であることが望ましい。Nd1が1.46より小さくなると、アッベ数の大きい材質を選択することが可能となり、色収差の発生を抑えることが可能となるが、材質の摩耗度が高く、柔らかい材質となってしまうため例えば車載カメラ用レンズや監視カメラ用レンズとして用いる場合、耐候性が不十分となる。Nd1は、は1.50以上であることがより好ましい。
第2レンズL2の材質はガラスであることが好ましい。第2レンズL2をガラスレンズとすることで、第2レンズL2の屈折率の選択の幅が広がり、第2レンズL2の屈折率を高くすることが可能となる。第2レンズL2の屈折率を高くすることで、第2レンズL2のパワーを強くすることが容易となり、像面湾曲の補正が容易となる。
第2レンズL2を構成する材質の屈折率をNd2としたとき、Nd2は1.72以上であることが好ましく、1.75以上であることがより好ましく、1.80以上であることがさらにより好ましい。
なお、仕様によっては、第2レンズL2の材質はプラスチックとしても良い。第2レンズL2をプラスチックとすることで、レンズ系を安価に作成することが可能となる。また、第2レンズL2に非球面を用いた場合、非球面形状を正確に再現することが容易となり、高性能なレンズを作製することが可能となる。
なお、撮像レンズが例えば車載用カメラとして使用される場合、寒冷地の外気から熱帯地方の夏の車内まで広い温度範囲で使用可能なことが要望される。例えばこのような厳しい条件下では、全てのレンズの材質をガラスとしてもよい。第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5をガラスレンズとすることで、耐熱性の高いレンズ系を実現することが可能になる。
なお、撮像レンズ1の用途に応じて、レンズ系と撮像素子5との間にUV(Ultra Violet)カットフィルタやIR(InfraRed)カットフィルタ等の特定の波長域の光を遮断、透過、反射する各種フィルタを挿入してもよい。あるいはこのようなフィルタと同様の機能を持つコートをレンズ面に施してもよい。またはいずれかのレンズの材質として紫外光や青色光、赤外光などを吸収する材質を用いてもよい。
図1では、レンズ系と撮像素子5との間に各種フィルタ等を想定した光学部材PPを配置した例を示しているが、代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置するようにしてもよい。
レンズ系を第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5の5枚のみで構成することが望ましい。これにより、良好な光学性能を保ちながらレンズ系を安価にすることが可能となる。
なお、各レンズ間の有効径外を通過する光束は、迷光となって像面に達し、ゴーストとなるおそれがあるため、必要に応じて、この迷光を遮光する遮光手段を設けることが好ましい。この遮光手段としては、例えばレンズの有効径外の部分に不透明な塗料を施したり、不透明な板材を設けたりしてもよい。または、迷光となる光束の光路に不透明な板材を設けて遮光手段としてもよい。あるいは、最も物体側のレンズのさらに物体側に迷光を遮断するフードのようなものを配置してもよい。一例として、図1では、第1レンズL1の像側の面の有効径外に遮光手段11を設けた例を示している。なお、遮光手段を設ける箇所は図1に示す例に限定されず、他のレンズや、レンズ間に配置してもよい。例えば、図1に示すようなレンズ系では、第4レンズL4と第5レンズL5の間に、有効径外を通過する光線を遮光する遮光手段を設けることが好ましく、これによりゴーストを防止することができる。
さらに、各レンズの間に周辺光量比が実用上問題の無い範囲で周辺光線を遮断する絞り等の部材を配置してもよい。周辺光線とは、光軸Z外の物点からの光線のうち、光学系の入射瞳の周辺部分を通る光線のことである。このように周辺光線を遮光する部材を配置することにより、結像領域周辺部の画質を向上させることができる。また、この部材でゴーストを発生させる迷光も遮光することにより、ゴーストを低減することも可能となる。一例として、図1では、第5レンズL5の物体側の面に、周辺光線と迷光を遮光する遮光手段12を設けた例を示している。ここでは、遮光手段12は、ビネッティング(ビグネッティング:vignetting)を行うビネッティング絞りとして機能している。
なお、本発明の撮像レンズは、必ずしも上記のような周辺光線を遮光する遮光部材を必要とするものではなく、例えば図3の撮像レンズ10の構成図に示すように、周辺光線を遮光する遮光部材を用いない構成も可能であり、このような構成においても良好な光学性能を得ることができる。図3に示す撮像レンズ10は、後述の実施例11に対応したものである。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。実施例1〜実施例23の撮像レンズのレンズ断面図をそれぞれ図4〜図26に示す。図4〜図26において、図の左側が物体側、右側が像側であり、開口絞りSt、光学部材PPも合せて図示している。各図の開口絞りStは形状や大きさを表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。各実施例において、レンズ断面図の符号Ri、Di(i=1、2、3、…)は以下に説明するレンズデータのRi、Diと対応している。
表1〜表23にそれぞれ実施例1〜実施例23の撮像レンズのレンズデータを示す。各表の(A)には基本レンズデータを、(B)には各種データを、(C)には非球面データを示している。
基本レンズデータにおいて、Siの欄は最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄はi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。なお、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。また、Ndjの欄は最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄はj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。なお、基本レンズデータには、開口絞りStおよび光学部材PPも含めて示しており、開口絞りStに相当する面の曲率半径の欄には、(開口絞り)という語句を合わせて記載している。
各種データにおいて、L(in Air)は第1レンズL1の物体側の面から像面Simまでの光軸Z上の距離(バックフォーカス分は空気換算長)、Bf(in Air)は最も像側のレンズの像側の面から像面Simまでの光軸Z上の距離(バックフォーカスに相当、空気換算長)、fは全系の焦点距離、f1は第1レンズL1の焦点距離、f2は第2レンズL2の焦点距離、f3は第3レンズL3の焦点距離、f4は第4レンズL4の焦点距離、f5は第5レンズL5の焦点距離、f12は第1レンズL1と第2レンズL2の合成焦点距離、f345は第3レンズL3から第5レンズL5までの合成焦点距離である。
なお、実施例1、3、6、7、23の撮像レンズは、周辺光線および迷光を遮光する遮光手段であるビネッティング絞りを設けることを想定して設計されたものであり、このビネッティング絞りを設ける面番号とその半径をそれぞれ、ビネッティング面番号、ビネッティング絞り径として表記している。
基本レンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸曲率半径(中心の曲率半径)の数値を示している。非球面データには、非球面の面番号と、各非球面に関する非球面係数を示す。非球面データの数値の「E−n」(n:整数)は「×10−n」を意味し、「E+n」は「×10」を意味する。なお、非球面係数は、以下の式で表される非球面式における各係数KA、RBm(m=3、4、5、…20)の値である。
Figure 0005657697
Zd:非球面深さ(高さYの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に 下ろした垂線の長さ)
Y:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率
KA、RBm:非球面係数(m=3、4、5、…10)
なお、本明細書の表には、所定の桁でまるめた数値を記載している。各数値の単位として、長さについては「mm」を用いているが、これは一例であり、光学系は比例拡大または比例縮小しても使用可能なため、他の適当な単位を用いることもできる。
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上記実施例1〜23の撮像レンズでは全て、第1レンズL1、第2レンズL2はガラス球面レンズであり、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5はプラスチック非球面レンズである。
実施例1〜23の撮像レンズにおける条件式(1)〜(18)に対応する値を表24に示す。実施例1〜23では、d線を基準波長としており、表24にはこの基準波長における各値を示す。
Figure 0005657697
上記実施例1〜23にかかる撮像レンズの各収差図をそれぞれ、図27(A)〜図27(D)、図28(A)〜図28(D)、図29(A)〜図29(D)、図30(A)〜図30(D)、図31(A)〜図31(D)、図32(A)〜図32(D)、図33(A)〜図33(D)、図34(A)〜図34(D)、図35(A)〜図35(D)、図36(A)〜図36(D)、図37(A)〜図37(D)、図38(A)〜図38(D)、図39(A)〜図39(D)、図40(A)〜図40(D)、図41(A)〜図41(D)、図42(A)〜図42(D)、図43(A)〜図43(D)、図44(A)〜図44(D)、図45(A)〜図45(D)、図46(A)〜図46(D)、図47(A)〜図47(D)、図48(A)〜図48(D)、図49(A)〜図49(D)に示す。
ここでは、実施例1の収差図を例にとり説明するが、他の実施例の収差図についても同様である。図27(A)、図27(B)、図27(C)、図27(D)はそれぞれ、実施例1にかかる撮像レンズの球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の収差図を示す。球面収差図のFno.はF値を意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。ディストーションの図は、全系の焦点距離f、画角φ(変数扱い、0≦φ≦ω)を用いて、理想像高をf×tan(φ)とし、それからのずれ量を示す。各収差図には、d線(587.56nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図には、F線(波長486.13nm)、C線(波長656.27nm)、s線(波長852.11nm)、正弦条件違反量(SNCと表記)についての収差も示し、倍率の色収差図にはF線、C線、s線についての収差を示す。倍率の色収差図の線種は球面収差図のものと同じであるため、その表記を省略している。
以上のデータからわかるように、実施例1〜23の撮像レンズは、小型で安価に構成され、Fナンバーが1.60〜2.00と小さく、全画角が45.0°〜65.4°であり、十分長いバックフォーカスを有し、諸収差が良好に補正されて良好な光学性能を有する。これらの撮像レンズは、監視カメラや、自動車の前方、側方、後方などの映像を撮影するための車載用カメラ等に好適に使用可能である。
図50に使用例として、自動車100に本実施形態の撮像レンズを備えた撮像装置を搭載した様子を示す。図50において、自動車100は、その助手席側の側面の死角範囲を撮像するための車外カメラ101と、自動車100の後側の死角範囲を撮像するための車外カメラ102と、ルームミラーの背面に取り付けられ、ドライバーと同じ視野範囲を撮影するための車内カメラ103とを備えている。車外カメラ101と車外カメラ102と車内カメラ103とは、本発明の実施形態にかかる撮像装置であり、本発明の実施形態にかかる撮像レンズと、該撮像レンズにより形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子とを備えている。
本発明の実施形態にかかる撮像レンズは、上述した長所を有するものであるから、車外カメラ101、102および車内カメラ103は、車の外観を損ねることはなく、小型で安価に構成でき、低照度の撮影条件下でも使用可能であり、撮像素子を用いて解像度の高い良好な像を得ることができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、撮像装置の実施形態では、本発明を車載用カメラに適用した例について図を示して説明したが、本発明はこの用途に限定されるものではなく、例えば、携帯端末用カメラや監視カメラ等にも適用可能である。

Claims (19)

  1. 物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとからなり、
    絞りが、前記第1レンズの像側の面と前記第3レンズの物体側の面の間に配置され、
    前記第3レンズの材質のd線における屈折率、アッベ数をそれぞれNd3、νd3としたとき、下記条件式(1)、(2−4)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    Nd3<1.75 … (1)
    νd3<26 … (2−4)
  2. 物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとからなり、
    絞りが、前記第1レンズの像側の面と前記第3レンズの物体側の面の間に配置され、
    前記第1レンズが両凹レンズであり、
    前記第3レンズの材質のd線における屈折率、アッベ数をそれぞれNd3、νd3としたとき、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    Nd3<1.75 … (1)
    νd3<35 … (2)
  3. 物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズと、正の第4レンズと、正の第5レンズとからなり、
    絞りが、前記第1レンズの像側の面と前記第3レンズの物体側の面の間に配置され、
    前記第3レンズの材質のd線における屈折率、アッベ数をそれぞれNd3、νd3とし、全系の焦点距離をfとし、第1レンズと第2レンズの光軸上の空気間隔をD2としたとき、下記条件式(1−2)、(2)、(9)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    Nd3<1.70 … (1−2)
    νd3<35 … (2)
    0.1<D2/f<0.6 … (9)
  4. 前記第3レンズ、前記第4レンズ、前記第5レンズそれぞれの少なくとも片側のレンズ面が非球面であり、前記第3レンズ、前記第4レンズ、前記第5レンズ全ての材質がプラスチックであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一記載の撮像レンズ。
  5. 前記第3レンズ、前記第4レンズ、前記第5レンズそれぞれの少なくとも片側のレンズ面が非球面であり、
    前記第3レンズの像側の面は、中心が負のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて負のパワーが弱いか、もしくは、中心が負のパワーを持ち、有効径端で正のパワーを持つことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の撮像レンズ。
  6. 前記第4レンズの材質のd線における屈折率をNd4とし、前記第5レンズの材質のd線における屈折率をNd5としたとき、下記条件式(3)、(4)を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一記載の撮像レンズ。
    Nd4≦1.68 … (3)
    Nd5≦1.68 … (4)
  7. 全系の焦点距離をfとし、前記第2レンズと前記第3レンズとの光軸上の間隔をD23としたとき、下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    0.05<D23/f<0.85 … (5)
  8. 前記第1レンズが両凹レンズであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の撮像レンズ。
  9. 前記第5レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれR10、R11としたとき、下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    −1.40<(R10+R11)/(R10−R11)<−0.2 … (6)
  10. 前記第1レンズの焦点距離をf1とし、前記第2レンズの焦点距離をf2としたとき、下記条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    −1.30<f1/f2<−0.65 … (7)
  11. 前記第3レンズの物体側の面は、中心が負のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて負のパワーが弱いことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の撮像レンズ。
  12. 前記第4レンズの像側の面は、中心が正のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて正のパワーが弱いか、もしくは、中心が正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の撮像レンズ。
  13. 前記第5レンズの像側の面は、中心が正のパワーを持ち、有効径端では中心と比べて正のパワーが弱いか、もしくは、中心が正のパワーを持ち、有効径端では負のパワーを持つことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載の撮像レンズ。
  14. 前記第3レンズの材質のd線における屈折率をNd3としたとき、下記条件式(1−4)を満足することを特徴とする1から13のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    Nd3<1.66 … (1−4)
  15. 前記第3レンズの材質のd線におけるアッベ数をνd3としたとき、下記条件式(2−4)を満足することを特徴とする1から14のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    νd3<26 … (2−4)
  16. 全系の焦点距離をfとし、前記第2レンズと前記第3レンズとの光軸上の間隔をD23としたとき、下記条件式(5−1)を満足することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    0.30<D23/f<0.60 … (5−1)
  17. 前記第5レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれR10、R11としたとき、下記条件式(6−1)を満足することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    −1.20<(R10+R11)/(R10−R11)<−0.4 … (6−1)
  18. 前記第1レンズの焦点距離をf1とし、前記第2レンズの焦点距離をf2としたとき、下記条件式(7−1)を満足することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項記載の撮像レンズ。
    −1.15<f1/f2<−0.90 … (7−1)
  19. 請求項1から18のいずれか一項記載の撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
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