JP5654974B2 - 駆動システム - Google Patents
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Description
電気機械をジェネレータとして使用しない場合や、そもそも回生側にジェネレータを備えないシステムでは、駆動輪の回転力をエンジンに伝達して減速を行うエンジンブレーキが行われる。
エンジンブレーキを実施する際は燃料供給が停止されているが、エンジンのクランク軸の回転速度が所定の下限回転速度以上の場合、燃料供給を再開するだけで、エンジンを再始動させることができるが、クランク軸の回転速度が所定の下限回転速度未満の場合、燃料供給を再開するだけではエンジンを再始動させることができず、例えば、セルモータでクランク軸の回転速度を上昇させたり、第2変速機の変速比を変更してクランク軸の回転速度を上昇させたりする必要がある。
図1に示す本実施形態に係る駆動システム1は、図示しない車両に搭載されており、車両の駆動力を発生するシステムである。なお、車両は、四輪車の他、二輪車、三輪車でもよい。
なお、以下の説明において、「正方向」とは、第2軸82(第1軸81、エンジン10の図示しないクランク軸(出力軸))の回転力(動力)を第3軸83(足軸)に伝達する方向であるものとする。また、「減速動力伝達」とは、第3軸83(足軸)の回転力(動力)を第2軸82(第1軸81、エンジン10の図示しないクランク軸(出力軸))に伝達することをいうものとする。
エンジン10は、本実施形態では、シリンダブロック(図示しない)に2つのシリンダ11、11を有する直列2気筒型で構成されたレシプロエンジンである。ただし、シリンダの数・配列はこれに限定されず、適宜に変更自由である。
第1軸81は、エンジン10の図示しないクランク軸(出力軸)と連結されている。そして、第1軸81は、前記クランク軸と一体に回転するようになっている。
第2軸82は、第1クラッチ91を介して、第1軸81と連結されている。また、第2軸82には、ギヤ82aが固定されている。
モータジェネレータ20は、ECU200の指令に従って、モータ(電動機)又はジェネレータ(発電機)として機能するようになっている。そして、モータジェネレータ20の出力軸にはギヤ21が固定されており、ギヤ21は前記したギヤ82aと噛合している。また、モータジェネレータ20は、バッテリ121と接続されており、バッテリ121との間で電力を授受するようになっている。
一方、ジェネレータとして機能する場合、モータジェネレータ20は、第2軸82の回転力によって発電し、その発電電力がバッテリ121に充電されるようになっている。
また、エンジン10の始動時において、モータジェネレータ20は、ギヤ21、ギヤ82a、第2軸82、第1クラッチ91および第1軸81を介して、エンジン10の図示しないクランク軸(出力軸)を所定の回転速度まで回転させるセルモータとして機能するようになっている。
第1変速機30は、図1〜図3に示すように、ECU200の指令に従って、第2軸82の回転力(動力)を、変速する4節クランク機構式の変速機である。すなわち、第1変速機30は、第2軸82の回転運動を揺動運動に変換し、その揺動運動を第1ワンウェイクラッチ60に伝達すると共に、第1変速比i1(レシオ)を無限無段階で変速することで、後記する揺動部42の角速度ω2(揺動速度)・揺動角度θ2(揺動振幅)を可変する機構である(図3参照)。
なお、「第1変速比i1=第2軸82の回転速度/第3軸83の回転速度」であり、この場合の「第3軸83の回転速度」は、「外リング62の正方向の揺動(動力)のみで回転した場合における第3軸83の回転速度」である。
なお、揺動変換ロッド40、偏心部51b、ディスク52等の数は変更自由である。
回転半径可変機構50は、第2軸82と連結され第2軸82の動力が入力される入力軸51と、6枚のディスク52と、入力軸51とディスク52とを相対回転させることで、回転半径r1(偏心半径、偏心量)を可変するピニオン53と、ピニオン53を回動させるDCモータ54と、減速機構55と、を備えている。
これにより、後記する6つの第1ワンウェイクラッチ60の6つの外リング62の揺動運動の位相が等間隔(60°間隔)でずれることになり(図9参照)、その結果、位相がずれて揺動運動する6つの外リング62から内リング61に、6つの外リング62の揺動運動の正方向における動力が連続的に伝達されることになる。
さらに説明すると、図3に示すように、各ディスク52は円形を呈している。そして、ディスク52の中心である第1支点O3から外れた位置には、円形の偏心孔52aが形成されており、偏心孔52aには偏心部51bが回転可能に内嵌している。また、偏心孔52aの内周面には内歯車52bが形成されており、内歯車52bはピニオン53と噛合している。
揺動変換ロッド40は、図3に示すように、入力軸51の回転運動が入力される回転リング41と、回転リング41と一体であり、その揺動運動を第1ワンウェイクラッチ60に出力する揺動部42と、軸受43と、を備えている。
そして、回転リング41が一回転すると、回転半径r1の大小に関わらず、揺動部42が円弧状で一往復揺動運動し、外リング62も円弧状で一往復揺動運動するようになっている。
各第1ワンウェイクラッチ60は、各揺動変換ロッド40の揺動部42の正方向のみの動力を、第3軸83に伝達させるものである。
ここで、図4を参照して回転半径r1が可変する状況を説明し、次いで、図5〜図7を参照して、異なる回転半径r1におけるディスク52(回転リング41)の回転運動と、揺動部42の揺動運動を説明する。
そして、ピニオン53が偏心部51bと異なる回転速度で回転し、偏心部51bとディスク52とが相対回転すると、図4(b)に示すように、第1支点O3と中心軸線O1とが近づき、回転半径r1が「中」となるように構成されている。
さらに、偏心部51bとディスク52とが相対回転すると、図4(c)に示すように、第1支点O3と中心軸線O1とが重なり、回転半径r1が「0」なるように構成されている。
このように、回転半径r1は、「最大」と「0」との間で、無段階で制御可能となっている。
また、「第1変速比i1=入力軸51(第2軸82)の回転速度/第3軸83の回転速度」であり、「外リング62の揺動速度=外リング62の半径(固定値)×角速度ω2」であるから、第1変速比i1は「小」となる。
この場合、揺動部42(外リング62)の角速度ω2及び揺動角度θ2の振幅が「中」となる(図8参照)。そして、第1変速比i1は「中」となる。
この場合、揺動部42(外リング62)の角速度ω2及び揺動角度θ2が「0」となる(図8参照)。そして、第1変速比i1は「∞(無限大)」となる。
そして、中心軸線O1を中心とする第1支点O3の回転運動によって、第2支点O4が中心軸線O2を揺動中心として揺動運動するようになっている。
また、回転半径可変機構50により、回転半径r1を可変することで、第2支点O4の角速度ω2及び揺動角度θ2が可変されるようになっている。
図1に戻って説明を続ける。
第3軸83には、ギヤ83aが固定されており、ギヤ83aは後記するリングギヤ112と噛合している。よって、第3軸83は、駆動輪115L、115Rと一体に回転するようになっている。
第4軸84は、第2クラッチ92を介して、第3軸83と接続されている。
第2クラッチ92は、第1クラッチ91と同様に、ECU200の指令に従って、第3軸83と第4軸84との間における動力の伝達を断接、つまり、接続(ON)/切断(OFF)するものである。
そして、第2クラッチ92は、前記減速動力伝達経路に設けられ、この減速動力伝達経路を介しての動力の伝達を断接(接続(ON)/切断(OFF))する機能を備えている。また、第2変速機70は、前記減速動力伝達経路に設けられ、この減速動力伝達経路を介しての動力を変速する機能を備えている。
第2変速機70は、第4軸84の回転力(動力)を変速する変速機である。なお、第2変速機70は、第4軸84の回転速度によって、第2変速機70の変速比(第2変速比i2)を変更することができるようになっている。
図10に示すように、第2変速機70は、第4軸84に固定されたドライブフェイス71と、第4軸84の軸方向に移動可能な可動プーリ72と、第2軸82の側に設けられたプーリ73(後記する第2ワンウェイクラッチ75の外リング(図示せず))と、可動プーリ72(ドライブフェイス71)とプーリ73とを接続するベルト74と、を備えている。
可動プーリ72の内部は、図10(b)および図10(e)に示すように、第4軸84に固定されたプレート72aと、可動プーリ72をドライブフェイス71側に付勢する付勢部材72bと、第4軸84の径方向に移動可能なウェイトローラ72cとを備えている。
即ち、第2クラッチ92がON(接続)された状態かつ第2ワンウェイクラッチ75が動力伝達状態において、第2変速比i2は、「第2軸82の回転速度/第3軸83の回転速度」で与えられる。
第2ワンウェイクラッチ75は、外周面に第2変速機70のプーリ73が一体に固定されプーリ73と一体で回転する外リング(図示せず)と、第2軸82の外周面に一体に固定され第2軸82と一体で回転する内リング(図示せず)と、内リングと外リングとの間で周方向に複数設けられたローラ(図示せず)と、各ローラを付勢する付勢部材(図示せず)と、を備えている。
そして、外リングの正方向の回転速度が、内リングの正方向の回転速度を超えた場合、動力伝達状態となり、第4軸84の回転力(動力)が第2軸82に伝達するようになっている。
デフ装置110のデフケース111には、リングギヤ112が固定されており、リングギヤ112は、第3軸83に固定されたギヤ83aと噛合している。そして、ピニオンギヤ及びサイドギヤから構成されたデフギヤ113は、左右の駆動軸114L、駆動軸114Rを介して、左右の駆動輪115L、駆動輪115Rにそれぞれ連結されている。これにより、駆動輪115L及び駆動輪115Rは、第3軸83(足軸)と略一体で回転するようになっている。
バッテリ121は、例えば、リチウムイオン型で充放電可能に構成された蓄電装置である。バッテリ121は、モータジェネレータ20との間で電力を授受し、DCモータ54に電力を供給するようになっている。
アクセル開度センサ131は、アクセルペダル(図示しない)のアクセル開度を検出し、ECU200に出力するようになっている。
車速センサ132は、車速を検出し、ECU200に出力するようになっている。
ECU200は、駆動システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機能を発揮し、各種機器を制御するようになっている。
なお、EV走行モードはモータジェネレータ20を動力源とするモードであり、エンジン走行モードはエンジン10を動力源とするモードであり、パラレル走行モードはエンジン10及びモータジェネレータ20を動力源とするモードである。
そして、例えば、「要求トルク≦第1閾値」である場合、EV走行モードを選択し、「第1閾値<要求トルク≦第2閾値」である場合、エンジン走行モードを選択し、「第2閾値<要求トルク」である場合、パラレル走行モードを選択するように設定されている。
次に、駆動システム1の動作について説明する。
まず、ECU200は、アクセル開度センサ131で検出されたアクセル開度等に基づいてドライバ要求出力を算出する。なお、アクセル開度が大きくなるほどドライバ要求出力も大きくなり、アクセル開度が小さくなるほどドライバ要求出力も小さくなる。
次に、図12(a)に示すようなエンジン10の正味燃料消費率(BSFC:Brake Specific Fuel Consumption)のマップに基づいて、ドライバ要求出力に対して正味燃料消費率が小さくなるエンジン10の目標回転速度(ENG回転速度)ωBSFCを算出する。
iBSFC =ωBSFC/(V/L) ……(1)
ここで、Vは、車速センサ132で検出された車速[m/s]である。Lは、駆動輪115L,115Rの周長[m/回転]であり、ECU200にあらかじめ記憶されている。なお、(V/L)は、現在の第3軸83(足軸)の回転速度(rpm)となる。
ECU200は、図12(b)に示すような特性テーブルに基づいて、回転速度センサ83dで検出した第3軸83の回転速度R83(足軸回転速度)に対応する第2変速比i2を算出する。なお、図12(b)には、エンジンブレーキ時の第2軸82(エンジン10のクランク軸)の回転速度R82も図示されているが、これについては後記する。
目標変速比iBSFCが第2変速比i2に所定値Aを加えたもの以上である場合(S3・Yes)、ECU200の処理はステップS4に進む。一方、目標変速比iBSFCが第2変速比i2に所定値Aを加えたもの以上でない場合(S3・No)、ECU200の処理はステップS6に進む。
ステップS5において、ECU200は、第1変速機30の第1変速比i1が目標変速比iBSFCとなるように、DCモータ54を制御する。
そして、ECU200の第1変速機30の第1変速比i1および第2クラッチ92の制御の処理を終了する。
ここで、ドライバ要求出力が0未満とは、例えば、ブレーキペダル(図示せず)を操作された場合である。また、ドライバ要求出力が0とは、例えば、アクセルペダル(図示せず)およびブレーキペダル(図示せず)が操作されていない場合である。
ドライバ要求出力が0以下である場合(S6・Yes)、ECU200の処理はステップS7に進む。一方、ドライバ要求出力が0以下でない場合(S6・No)、ECU200の処理は、ステップS9に進む。
ステップS8において、ECU200は、第1変速機30の第1変速比i1が第2変速比i2に所定値Aを加えたものとなるように、DCモータ54を制御する。
そして、ECU200の第1変速機30の第1変速比i1および第2クラッチ92の制御の処理を終了する。
車両が減速中である場合(S9・Yes)、ECU200の処理はステップS7に進む。一方、車両が減速中でない場合(S9・No)、ECU200の処理は、ステップS10に進む。
ステップS11において、ECU200は、第1変速機30の第1変速比i1が目標変速比iBSFCとなるように、DCモータ54を制御する。
そして、ECU200の第1変速機30の第1変速比i1および第2クラッチ92の制御の処理を終了する。
次に、駆動システム1の効果について説明する。
図13は、本実施形態に係る駆動システム1の一効果を示すタイムチャートである。
図13には、第3軸(足軸)の回転速度R83(車速Vに相当)と、第1変速機30の第1変速比i1と、第2変速機70の第2変速比i2と、第2クラッチ92のON(接続状態)/OFF(切断状態)と、を示している。
このため、第2クラッチ92をOFF(切断)状態として(ステップS10参照)、第1変速比i1が目標変速比iBSFCとなるように制御する(ステップS11参照)。
これにより、「第1変速比i1<第2変速比i2」となることにより引き起こされる変速機(第1変速機30、第2変速機70)の破損を防止することができる。また、第1変速比i1が目標変速比iBSFCとなるように制御することができ、ドライバビリティが悪化することを防止することができる。
このように、減速要求(ステップS6・Yes)、緩減速中(ステップS9・Yes;例えば、エンジン出力が走行抵抗に負けて減速)等のその後の減速が予測されているときは第2クラッチ92をOFF(切断)状態とせず、ON(接続)状態としている。
これにより、「第1変速比i1<第2変速比i2」となることにより引き起こされる変速機(第1変速機30、第2変速機70)の破損を防止することができる。
仮に、タイムT5において第2クラッチ92をOFF(切断)状態とした場合、タイムT6において第2クラッチ92をON(接続)状態とすることとなるが、減速中に第2クラッチ92をON(接続)状態とすると、接続に要する時間を要したり、接続時のショックが生じることとなる。これに対し、本実施形態に係る駆動システム1は、タイムT5において第2クラッチ92をON(接続)状態としているため接続時のショックが生じることを解消することができる。
これにより、ドライバビリティが悪化することを防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更できる。
例えば、入力軸51と同軸で同期回転する円板を設け、この円板の径方向に延びるスライド溝等によって、第1支点O3(図3参照)を径方向にスライド可能に構成し、アクチュエータによって第1支点O3を径方向にスライドさせ、回転半径r1を可変する構成としてもよい。
また、揺動変換ロッド40を伸縮可能に構成し、アクチュエータによって、第1支点O3と第2支点O4との距離を可変することで、角速度ω2及び揺動角度θ2を可変する構成としてもよい。
10 エンジン(内燃機関)
20 モータジェネレータ
30 第1変速機
60 第1ワンウェイクラッチ
70 第2変速機(減速動力伝達経路)
75 第2ワンウェイクラッチ(減速動力伝達経路)
81 第1軸
82 第2軸
83 第3軸(足軸)
84 第4軸(減速動力伝達経路)
91 第1クラッチ91
92 第2クラッチ92(断接手段)
115L、115R 駆動輪
200 ECU
i1 第1変速比
i2 第2変速比
iBSFC 目標変速比
Claims (4)
- 内燃機関と、
前記内燃機関の動力を入力する入力軸と、
前記内燃機関の下流側に配置され、前記入力軸から足軸へのみ動力を伝達する第1ワンウェイクラッチを有する第1変速機と、
前記第1変速機の下流側に前記足軸を介して配置された駆動輪と、
前記駆動輪の動力を前記第1変速機を迂回して前記内燃機関に伝達する減速動力伝達経路と、を備える駆動システムであって、
前記減速動力伝達経路は、
前記足軸に接続され、前記足軸から前記入力軸へのみ動力を伝達する第2ワンウェイクラッチを有する第2変速機を有し、
前記第2変速機は、
前記足軸の回転速度が低下すると変速比がアンダードライブ側に変更される
ことを特徴とする駆動システム。 - 前記第2変速機は、
前記足軸の回転による遠心力が低下すると変速比がアンダードライブ側に機械的に変更される遠心力レシオ変速機である
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動システム。 - 前記第1変速機の目標変速比が前記第2変速機の変速比に対して小さくなると、
前記第1変速機の目標変速比を前記第2変速機の変速比より大きくする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動システム。 - 前記減速動力伝達経路は、
動力の伝達可能状態および遮断状態を切り替え可能な断接手段を更に有し、
前記第1変速機の目標変速比が前記第2変速機の変速比に対して小さくなると、
前記断接手段を遮断状態とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の駆動システム。
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