JP5647865B2 - 巻芯および巻体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明によれば、各巻胴部材のうち少なくとも1個の巻胴部材は、巻胴部材の一端側から他端側に向かって、前記周方向の幅が先細り形状に形成されている先細り巻胴部材である。この先細り巻胴部材を、隣接する巻胴部材との連結を維持しつつ、前記他端側から前記一端側に向かって、隣接する巻胴部材に対して摺動させると、先細り巻胴部材の移動量に略比例して巻芯の外周長が短くなる。これにより、各巻胴部材は、隣接する巻胴部材と連結された状態のまま内径側に変位していくため、巻芯が縮径する。このように、少なくとも3個の巻胴部材で巻芯を形成し、少なくとも1個の先細り巻胴部材を移動させることにより、簡単に巻芯を縮径することができる。したがって、部品点数が少なく低コストに縮径可能な巻芯を提供することができる。
本発明によれば、第1巻胴部材および第2巻胴部材は、先細り方向が逆方向とされ、巻芯の周方向に沿って交互に配置されている。このため、一対の第1巻胴部材および一対の第2巻胴部材のうち少なくとも一方を、先細り方向とは逆方向に移動させることにより、より簡単かつ大幅に巻芯を縮径することができる。これにより、巻体の内周面と巻芯との間に、より多くのクリアランスを確保できるので、巻体から巻芯を容易に引き抜くことができる。
本発明によれば、第1巻胴部材は第2巻胴部材よりも外周面積が小さいため、第1巻胴部材に作用する巻材の収縮力は、第2巻胴部材に作用する巻材の収縮力よりも小さくなる。これにより、第2巻胴部材を移動させるよりも、第1巻胴部材を移動させる方が、巻材から受ける摩擦力は小さくなる。したがって、第1巻胴部材を移動させることにより、小さい力で巻芯を簡単に縮径させることができる。
本発明によれば、巻芯を縮径させる縮径工程と、巻芯を巻材から引き抜く巻芯引抜工程と、を有している。縮径工程では、先細り巻胴部材と隣接する巻胴部材との連結を維持しつつ、先細り方向とは逆方向に先細り巻胴部材を移動させることで、簡単に巻芯を縮径している。また、巻芯引抜工程では、縮径した巻芯を巻材から引き抜いている。このように、巻芯を簡単に縮径して、巻材から巻芯を簡単に引き抜くことができる。したがって、巻芯の無い巻体を低コストでユーザに提供することができる。
図1は、巻芯1の斜視図である。
なお、以下の説明では、巻芯1の径方向をR方向とし、巻芯1の中心軸Cの軸方向をZ方向とし、巻芯1の周方向をθ方向と定義する。また、Z方向の一方側を+Z側とし、他方側を−Z側とする。R方向の外周側を+R側とし、内周側を−R側とする。−Z側から見て、時計回り方向を+θ側とし、半時計周り方向を−θ側とする。必要に応じてこれらR,Zおよびθの円筒座標系を使用して説明する。
本実施形態の巻芯1は、直径が例えば60mm程度、Z方向の長さが例えば190mm程度、R方向の肉厚が例えば15mm程度に形成されている。この各部の寸法は一例であり、巻芯1の直径やZ方向の長さ、巻芯1の肉厚等は、巻体3の大きさや巻材3aを巻き付けた後に、巻材3aの張力により作用する収縮力等により決定される。
図2は第1巻胴部材10の斜視図である。
図3は図2のA−A線における断面図である。
本実施形態の巻芯1は、一対の第1巻胴部材10と、一対の第2巻胴部材20とにより形成されている。
第1巻胴部材10は、+Z側から見て略円弧形状をした樹脂等からなる部材である。第1巻胴部材10の+Z側端部11は、θ方向の円弧長が短い幅狭部11aとなっており、第1巻胴部材10の−Z側端部13はθ方向の円弧長が長い幅広部13aとなっている。また、幅狭部11aから幅広部13aまでの第1巻胴部材10の縁は、直線状に形成されている。このように、第1巻胴部材10は、−Z側から+Z側に向かってθ方向の幅が漸次狭くなる先細り形状に形成されている。すなわち、本実施形態の第1巻胴部材10は、請求項でいう先細り巻胴部材に相当する。
内径側部材10aは、Z方向から見て略円弧形状に形成されている。内径側部材10aのθ方向の両端には、−R側壁部30b,35bが形成されている。
また、外径側部材10bは、Z方向から見て略円弧形状に形成されている。外径側部材10bのθ方向の両端面および−R側面を凹ませることにより、底面30a,35aおよび+R側壁部30c,35cが形成されている。
図4は第2巻胴部材20の斜視図である。
図5は図4のB−B線における断面図である。
図4および図5に示すように、第2巻胴部材20は、+Z側から見て略円弧形状をした樹脂等からなる部材である。第2巻胴部材20の+Z側端部21は、θ方向の円弧長が長い幅広部21aとなっており、第2巻胴部材20の−Z側端部23はθ方向の円弧長が短い幅狭部23aとなっている。また、幅広部21aから幅狭部23aまでの第2巻胴部材20の縁は、直線状に形成されている。このように、第2巻胴部材20は、+Z側から−Z側に向かってθ方向の幅が漸次狭くなる先細り形状に形成される。なお、本実施形態の第2巻胴部材20は、前述の第1巻胴部材10と同様に、請求項でいう先細り巻胴部材に相当する。
そこで、本実施形態の第2巻胴部材20は、前述の第1巻胴部材10と同様に、−R側に配置された内径側部材20aと、+R側に配置された外径側部材20bと、の2部材により形成されている。
内径側部材20aは、Z方向から見て略円弧形状に形成されている。内径側部材20aのθ方向の両端面の+R側をθ方向に突出させることにより、−θ側凸部40および+θ側凸部45が形成されている。
また、外径側部材20bは、Z方向から見て略円弧形状に形成されている。外径側部材20bのθ方向の両端には、第2巻胴部材20の−θ側端面25および+θ側端面27が形成されている。前述の第1巻胴部材10と同様に、R方向に金型を離型して、内径側部材20aおよび外径側部材20bをインジェクション成型することができる。したがって、簡単かつ低コストに第2巻胴部材20を形成することができる。
具体的には、第1巻胴部材10の+Z側端部11に形成された幅狭部11aの周長は、第2巻胴部材20の+Z側端部21に形成された幅広部21aの周長の略半分になるように形成されている(図6(a)参照)。また、第1巻胴部材10の−Z側端部13に形成された幅広部13aの周長は、第2巻胴部材20の−Z側端部23に形成された幅狭部23aの周長と略同一になるように形成されている(図6(b)参照)。
このように第1巻胴部材10の+Z側端部11および−Z側端部13の周長を設定することで、第1巻胴部材10の外周面積を、第2巻胴部材20の外周面積よりも小さくすることができる。これにより、巻材3a(図8(a)参照)を巻き付けた際には、第1巻胴部材10を移動させる方が、第2巻胴部材20を移動させるよりも、巻材3aから受ける摩擦力は小さくなる。したがって、第2巻胴部材20に対して第1巻胴部材10を摺動させることにより、より小さい力で巻芯1を簡単に縮径させることができる。
図6は、Z方向から見た巻芯1の説明図であり、図6(a)は+Z側から見た巻芯1の説明図であり、図6(b)は−Z側から見た巻芯1の説明図である。
巻芯1を形成する第1巻胴部材10および第2巻胴部材20は、先細り方向が逆方向とされ、巻芯1のθ方向に沿って交互に配置されている。
具体的には、一対の第1巻胴部材10の幅狭部11aは、巻芯1の+Z側に配置されている。また、一対の第1巻胴部材10の幅広部13aは、巻芯1の−Z側に配置されている。これにより、一対の第1巻胴部材10は、先細り方向が+Z側となるように配置される。
これに対して、一対の第2巻胴部材20の幅狭部23aは、巻芯1の−Z側に配置されている。また、一対の第2巻胴部材20の幅広部21aは、巻芯1の+Z側に配置されている。これにより、一対の第2巻胴部材20は、先細り方向が−Z側となるように配置される。
次に、上述の巻芯1を使用した巻体3(図8(b)参照)の製造方法について説明する。
図7は、巻体3の製造工程のフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態の巻体3の製造方法は、巻芯1に巻材3a(図8(a)参照)を巻き付ける巻付工程S10と、巻芯1を縮径させる縮径工程S20と、巻芯1を巻体3から引き抜く巻芯引抜工程S30と、を有している。
図8は、巻付工程S10の説明図であり、図8(a)は巻材3aを巻き付けている時の説明図であり、図8(b)は巻材3aを巻き付けた後の説明図である。なお、以下の図面ではわかりやすくするために、巻材3aおよび巻体3を破線で表し、巻芯1が見えるようにしている。
巻付工程S10では、不図示の巻取り装置に巻芯1をセットし、巻芯1に巻材3aである紐を巻き付けている。
具体的には、まず、巻取り装置のシャフト50に巻芯1を外挿して、巻取り装置に巻芯1をセットする。
シャフト50は、その直径が巻芯1の内周面1a(図1参照)の直径よりも若干小径に形成されている。また、シャフト50は、油圧等により拡径する構造となっている。シャフト50に巻芯1を外挿した後、油圧によりシャフト50を拡径させて、シャフト50の外周面と巻芯1の内周面1aとを当接させる。これにより、シャフト50によって巻芯1が拘束されるので、シャフト50と巻芯1とが各方向に相対移動するのを規制できる。
図9は縮径工程S20の説明図であり、R方向から見た説明図である。
図10は、図9のD−D線における断面図である。
図11は、縮径時の第1巻胴部材10と第2巻胴部材20との連結部分の拡大図である。
なお、第1巻胴部材10と第2巻胴部材20との各連結部分は同一形状である。したがって、図11では、第1巻胴部材10の+θ側溝部35と第2巻胴部材20の−θ側凸部40との連結部分のみ表示し、第1巻胴部材10の−θ側溝部30と第2巻胴部材20の+θ側凸部45と連結部分の表示は省略している。
前述のとおり、一対の第1巻胴部材10は、−Z側から+Z側に向かって先細る先細り形状となっている。また、一対の第2巻胴部材20は、+Z側から−Z側に向かって先細る先細り形状となっている。このため、一対の第2巻胴部材20に対して、+Z側から−Z側に一対の第1巻胴部材10を摺動させると、図9および図10に示すように、第1巻胴部材10の移動量に略比例して巻芯1の外周長が短くなる。
最後に、巻芯1を巻体3から引き抜く巻芯引抜工程S30を行う。巻芯引抜工程S30では、巻芯1を縮径させた状態で、Z方向に移動して巻体3から巻芯1を引き抜く。巻体3の内周面3bと巻芯1との間にはクリアランスが生じているので、巻体3から巻芯1を容易に引き抜くことができる。これにより、巻芯1のない巻体3を製造することができる。以上で、巻芯引抜工程S30が終了する。巻芯引抜工程S30が終了した時点で、巻体3の製造工程が全て終了する。
本実施形態では、巻芯1は、一対の第1巻胴部材10および一対の第2巻胴部材20により合計4個の巻胴部材で形成されている。しかし、巻芯1は、少なくとも3個の巻胴部材で形成されていればよい。また、巻芯1は、5個以上の巻胴部材で形成されていてもよい。そして、複数の各巻胴部材のうち、少なくとも1個が先細り巻胴部材であればよい。
Claims (3)
- 巻材を巻き取って、巻体を形成するために使用する略円筒状の巻芯であって、
前記巻芯は、前記巻芯の周方向に沿って分割された少なくとも3個の巻胴部材を連結して形成され、
前記各巻胴部材は、隣接する前記巻胴部材に連結された状態で、前記巻芯の中心軸の軸方向に沿って、隣接する前記巻胴部材に対して摺動可能となっており、
前記各巻胴部材のうち少なくとも1個の前記巻胴部材は、前記巻胴部材の一端側から前記巻胴部材の他端側に向かって、前記周方向の幅が先細り形状に形成されている先細り巻胴部材であり、
前記先細り巻胴部材として、一対の第1巻胴部材および一対の第2巻胴部材を備え、
前記第1巻胴部材および前記第2巻胴部材は、先細り方向が互いに逆方向とされ、前記巻芯の周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする巻芯。 - 請求項1に記載の巻芯であって、
前記第1巻胴部材は、前記第2巻胴部材よりも外周面積が小さいことを特徴とする巻芯。 - 請求項1から2のいずれか1項に記載の巻芯を使用した巻体の製造方法であって、
前記巻芯に前記巻材を巻き付ける巻付工程と、
少なくとも1個の前記先細り巻胴部材を、前記他端側から前記一端側に向かって前記軸方向に沿って、隣接する前記巻胴部材に対して摺動させて、前記巻芯を縮径させる縮径工程と、
前記巻芯を前記巻材から引き抜く巻芯引抜工程と、
を有することを特徴とする巻体の製造方法。
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