JP5531244B2 - 1−メチレンテトラリン重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)数平均分子量Mnの計算値
重合体の末端に存すると考えられる重合開始剤及び重合停止剤由来の部分構造の分子量と、モノマーの使用量(モル)と重合開始剤の使用量(モル)の比(モノマーの使用量/重合開始剤の使用量)を基に算出した重合鎖の分子量を、合計した値を、数平均分子量の計算値とした。
(2)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnを、Right Angle Laser Light Scattering GPC(RALLS−GPC)を用いて測定した。
より具体的には、屈折率計、散乱強度計及び粘度計を検出器として有するViscotek Model 302 Triple Detector Array(旭テクネイオン(株)製)を使用し、流量は1.0ml/min、カラムオーブンを30℃に設定して測定を行った。流出溶媒にはTHFを用い、分析カラムはTOSOH G5000HXL+G4000 HXL+G3000 HXLを使用した。
(3)分子量分布
上記(2)により得られた重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnを、分子量分布を示す値とした。
(4)核磁気共鳴分光法(NMR)
BLUKER製GPX(300MHz)を用い、ケミカルシフトはCDCl3 (1H:7.26ppm、13C:77.1ppm)を基準として、NMRスペクトルを求めた。
反応滴下口、ガス導入管を備え、スターラーバーを含む500ml三口フラスコを窒素置換し、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(32.0g、89.7mmol、東京化成工業(株)製)とカリウムtert−ブトキシド、(14.3g、127mmol、東京化成工業(株)製)及び脱水テトラヒドロフラン200ml(関東化学(株)製)を加えると系は明るい黄色に変化し、これを30分間攪拌した。系を0℃に冷却した後、脱水テトラヒドロフラン(100ml)に溶解させた1−テトラロン(10.1g、69.2mmol、東京化成工業(株)製)を0℃で30分かけて滴下すると、系は黄褐色に変化した。滴下終了後に系を室温に戻した後に10時間攪拌し、水3mlを加え反応を停止した。反応溶液中に析出した白色固体をシリカゲルを充填した桐山漏斗を用いた吸引ろ過によりろ別し、ろ液を濃縮後に300mlのヘキサンに注ぎ込んだ。その際生じた白色沈殿を再びシリカゲルを充填した桐山漏斗を用いた吸引ろ過によりろ別し、そのろ液をロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。その後、ヘキサンを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、CaH2存在下から減圧蒸留(bp.=74−76℃/3mmHg)することで、無色透明液体の1−メチレンテトラリン9.30g(収率90%(対1−テトラロン、モル%))を得た。
δ=1.89(m,2H,−CH2CH2CH2),2.55(t,2H,=CCH2),2.85(t,2H,=CCH2CH2CH2),4.95(s,1H,trans−CH2=),5.48(s,1H,cis−CH2=),7.11−7.20(m,3H,Hd,He,Hf),7.64(m,1H,Hc).
13C NMR(75MHz,CDCl3)
δ=23.9(−CH2CH2CH2),30.5(=CCH2CH2CH2),33.3(CH2=CCH2),107.9(CH2=),124.3(C4),126.0,127.7,129.3(C5,C6,C7),134.8(C3),137.4(C8),143.5(CH2=C).
1−メチレンテトラリンのアニオン重合をパイレックス(登録商標)製反応容器を用いて、ブレークシール法にて実施した。
具体的には、パイレックス(登録商標)製反応容器にブレークシールによって封じられたsec−ブチルリチウム6.8mg(0.106mmol)を含むヘプタン溶液2.0ml(関東化学(株)製)のアンプル、1−メチレンテトラリン979mg(6.79mmol)とテトラヒドロフラン(THF)3.4mlを含むアンプルを溶接した。その後、反応容器を高真空ライン(10−6mmHg)に接続して、高真空下で脱気とベーキングを2回繰り返し、反応容器を溶封した。次いで、sec−ブチルリチウム溶液が収容されているブレークシールを割り、反応容器にsec−ブチルリチウム溶液を移したのち、−78℃に冷却した。
sec−ブチルリチウム溶液を含む反応溶液を激しく攪拌し、同じく−78℃に冷却した1−メチレンテトラリンとTHFを含むブレークシールを割り、反応溶液に添加し、そのまま18時間反応させた。なお、1−メチレンテトラリンとTHFを含む溶液を加えた際、瞬時に溶液の色が薄い黄色から濃赤色に変化し、反応系の粘度の上昇が見られた。
重合終了後、反応容器を開封し、重合停止剤であるメタノール5mlを添加し、重合を停止した。
その反応溶液を200mlのメタノールに注ぎ込んだところ、白色の固体が沈殿した。その固体を桐山ろうとおよび桐山ろ紙を用いた減圧ろ過によってろ別した後に、20mlのベンゼンに溶解させ、凍結乾燥を行うことで1−メチレンテトラリン重合体724mgを得た。ポリマー収率は仕込んだ1−メチレンテトラリンに対して74質量%であった。得られたポリマーについて、上述の方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は7000であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.09と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
図3におけるa〜hのピーク、図4における1〜11のピークはそれぞれ同図に示す化学式において、同じ記号が付された水素及び炭素に帰属するものである。
図3および図4より、1−メチレンテトラリンのエキソメチレン部位の2重結合に由来するシグナルが消失していることから、エキソメチレン部位にて反応が進行してポリマーが生成し、カルド構造を有するポリマーが生成していることが確認された。
sec−ブチルリチウムの使用量を5.5mg(0.0863mmol)とし、1−メチレンテトラリンの使用量を1.3g(9.06mmol)とし、反応時間を24時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、51質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は9700であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.15と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
sec−ブチルリチウムの使用量を5.4mg(0.0848mmol)とし、1−メチレンテトラリンの使用量を2.2g(15.13mmol)とし、反応時間を24時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、60質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は17500であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.08と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
sec−ブチルリチウムの使用量を9.4mg(0.147mmol)とし、1−メチレンテトラリンの使用量を1.1g(7.66mmol)とし、反応時間を48時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、80質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は6200であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.19と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
sec−ブチルリチウムの使用量を7.2mg(0.113mmol)とし、1−メチレンテトラリンの使用量を1.0g(6.95mmol)とし、反応温度を−95℃、反応時間を12時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、38質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は3800であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.05と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
sec−ブチルリチウムにかえてリチウムナフタレン36mg(0.267mmol)を使用し、1−メチレンテトラリンの使用量を1.4g(9.77mmol)とし、反応時間を24時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、67質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は17200であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.12と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
sec−ブチルリチウムにかえてカリウムナフタレン33mg(0.198mmol)を使用し、1−メチレンテトラリンの使用量を1.4g(9.9mmol)とし、反応時間を24時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にアニオン重合を行い、1−メチレンテトラリン重合体を得た。ポリマー収率は、11質量%であった。得られた1−メチレンテトラリン重合体について、上述した方法で構造と物性値を求めた。得られた物性値は、表1に示す通りであり、Mnの実測値は1900であった。また、分子量分布を示すMw/Mnは1.05と小さく、分子量分布の狭い重合体が得られた。
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