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JP5530780B2 - 歩行型芝刈機 - Google Patents

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JP5530780B2 JP2010079418A JP2010079418A JP5530780B2 JP 5530780 B2 JP5530780 B2 JP 5530780B2 JP 2010079418 A JP2010079418 A JP 2010079418A JP 2010079418 A JP2010079418 A JP 2010079418A JP 5530780 B2 JP5530780 B2 JP 5530780B2
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Description

本発明は歩行型芝刈機に関し、特に芝刈り高さを調整する技術に関する。
歩行型芝刈機は、前輪及び後輪を備えるとともに下が開放されたハウジングと、ハウジング内に回転可能に収納された刈刃と、作業者が歩きながら操縦するための操作ハンドルとを有している。この歩行型芝刈機によれば、刈刃によって芝草を刈りながら走行することが可能であり、家庭の庭などの狭いエリアで芝草を刈るのに適している。
このような歩行型芝刈機は、芝刈り高さを調整するために、地面に対するハウジング及び刈刃の高さを調整することが可能な、高さ調整機構を備えている。この高さ調整機構は、ハウジングに対する前輪及び後輪の相対的な高さを手で調整するとともに、調整した高さにロックするために、ロック解除操作部材を手で操作するものである。ハウジングに対するロック解除操作部材の配置形式には、2つの形式がある。第1の配置形式は、ハウジングの後部(刈刃で刈った芝草を収納するグラスバッグの前)にロック解除操作部材を配置したものである。第2の配置形式は、ハウジングの側部にロック解除操作部材を配置したものである。この第2の配置形式は、作業者が歩行型芝刈機の奥の方まで手を伸ばさなくてすむので、調整作業が簡単であり、多用されている。第2の配置形式を採用した歩行型芝刈機としては、例えば下記の特許文献1に記載された技術が知られている。
特許文献1で知られている歩行型芝刈機の高さ調整機構は、ハウジングの前後に上下スイング可能に連結された前輪支持部材及び後輪支持部材と、ハウジングの上部に上下スイング可能に連結された高さ調節プレートと、高さ調節プレートのスイング運動を前及び後輪支持部材に伝える前部ロッド及び後部ロッドと、高さ調節プレートのスイング運動を規制するロック機構とからなる。前輪支持部材は前輪を支持し、後輪支持部材は後輪を支持する。
ロック機構は、高さ調節プレートに形成された複数の係止溝と、この複数の係止溝の1つに選択的に係止することが可能なロックピンと、このロックピンを複数の係止溝の1つに対して出入りするように操作する操作ノブ(ロック解除操作部材)とからなる。この操作ノブはハウジングに対して左側部の近傍に設けられており、上下スイング可能である。
作業者が一方の手の指で操作ノブを上にスイング操作すると、ロックピンが係止溝から外れるので、高さ調節プレートは上下スイング運動が可能となる。作業者がそのまま操作ノブを持ち上げながら、他方の手で芝刈機操縦用の操作ハンドルを握って上下動させることによって、ハウジング及び刈刃の高さを調整することができる。調整した後に、操作ノブから手を離すと、操作ノブが元の位置に自動復帰することにより、高さ調節プレートのスイングは規制される。
しかしながら、特許文献1で知られている高さ調整機構は、作業者が一方の手で操作ノブを操作しながら、他方の手で芝刈機操縦用の操作ハンドルを握って上下動させるというものである。つまり、2つの部材を両手によってそれぞれ操作する必要がある。高さ調整機構の操作性を一層高めるには、更なる改良の余地がある。
特許第2599658号公報
本発明は、高さ調整機構の操作性を一層高めることができる技術を、提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、作業者が歩きながら操縦するための操作ハンドルを有し、ハウジングに収納された刈刃によって芝草を刈りながら動力又は人力によって走行することが可能な歩行型芝刈機であって、地面に対するハウジング及び刈刃の高さを調整するための高さ調整機構と、この高さ調整機構の調整動作を規制状態から許容状態に切替操作する操作釦と、この操作釦が操作されることによって高さ調整機構の調整動作が許容されているときに、ハウジングを持ち上げて昇降させるように手で握る高さ調整グリップとを有し、高さ調整グリップは、ハウジングに対して左右一方の側部の近傍に設けられ、且つ操作釦は、高さ調整グリップの先部に位置し、指による高さ調節グリップの後方への押圧操作で操作部材をスイング動させて高さ調整機構のロック機構を規制状態から許容状態に切り替え、操作釦は、押し操作方向が高さ調整グリップの中心線に略平行となるように位置し、高さ調整グリップは、ハウジングに対して、前後方向を向いて前後方向に細長いことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、高さ調整グリップは、前下がりとなるように傾斜しており、前下がりの傾斜角は、地面に平行な基準水平線に対して20°から30°の範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、先ず、高さ調整機構の調整動作を規制状態から許容状態に切替操作する操作釦と、ハウジングを昇降操作するように手で握ることが可能な高さ調整グリップとを有している。高さ調整グリップは、ハウジングに対して左右一方の側部の近傍に設けられている。このため、ハウジングを昇降操作するときに、高さ調整グリップを容易に且つしっかりと(堅く)握ることができる。しかも、操作釦はグリップの先部に位置し、後方へ押圧可能である。高さ調整グリップをしっかりと握っている手の指によって、操作釦を後方へ押し圧し、容易に操作(押し操作、戻し操作)することができる。操作釦を操作するときに、高さ調整グリップを握っている手を離したり、握り直す必要もない。このように、高さ調整機構の操作性が一層高まるので、作業者は片手だけによって、芝刈り高さを容易に且つ楽に調整することができる。
また本発明では、操作釦の押し操作方向が、高さ調整グリップの中心線に略平行である。このため、高さ調整グリップを手でしっかりと握る方向に対して、親指は概ね直交する方向から操作釦を押すことになる。この押し方向は、高さ調整グリップを握っている手の親指に最も力を入れ易い方向である。従って、操作釦を容易に且つ確実に押し操作することができる。
請求項2に係る発明では、高さ調整グリップは、ハウジングに対して、前後方向に細長く且つ前下がりとなるように傾斜しており、前下がりの傾斜角は20°から30°の範囲に設定されている。
歩行型芝刈機は小型であるから、高さ調整機構の調整作業をするときの作業者の姿勢は、前屈みになる。しかも、作業者は歩行型芝刈機の脇に立つことになる。例えば、高さ調整グリップがハウジングの左の側部の近傍に設けられているときには、作業者は歩行型芝刈機の左脇に前屈みになって立ち、右手によって高さ調整グリップを握ることになる。このような前屈み姿勢のときに、自然に下ろした手によって高さ調整グリップを楽に握って昇降作業をすることができるように、請求項3の発明では、ハウジングに対して高さ調整グリップを前後方向に細長く且つ前下がりとなるように傾けている。しかも、前下がりの傾斜角を20°から30°の範囲に設定することによって、一層容易に高さ調整グリップを握ることができる。高さ調整グリップを手で握り易いので、高さ調整グリップを握っている手の親指にも力を入れ易い。従って、高さ調整機構の操作性が高まる。
本発明に係る歩行型芝刈機の斜視図である。 図1に示されたハウジングに対する操作ハンドル、高さ調整機構及び高さ調整グリップの関係を示す斜視図である。 図1に示された高さ調整機構及び高さ調整グリップの斜視図である。 図3に示されたハウジングの地上高が最小のときの高さ調整機構及び高さ調整グリップを側方から見た断面図である。 図4に示された高さ調整機構及び高さ調整グリップの分解図である。 図4に示された高さ調整機構の後部の断面図である。 図1に示された歩行型芝刈機の後部を下から見た斜視図である。 図3に示されたロック機構の要部の斜視図である。 図8に示されたロック機構周りを側方から見た断面図である。 図9の10−10線断面図である。 図9の11−11線断面図である。 図1に示された高さ調整グリップの構成図兼作用図である。 図4に示された連結部材及び複数の係止溝の拡大図である。 図13に示された1つの係止溝の拡大図である。 図8に示されたロック機構の解除状態を示す斜視図である。 図4に示されたハウジングの地上高が最大のときの高さ調整機構及び高さ調整グリップを側方から見た断面図である。 図1に示されたハウジングの左前部に円弧部及び覗き孔が位置していることを示す要部平面図である。 図3に示された左の前輪支持部材に対する円弧部の関係の分解図である。 図17に示されたハウジングの左前部と円弧部と覗き孔を側方から見た側面図である。 図19の20−20線断面図である。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
実施例に係る歩行型芝刈機について説明する。なお、図中、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側、Upは上側、Dwは下側を示している。
図1に示されるように、歩行型芝刈機10は、芝草を刈る歩行型自走式作業機であって、下が開放されたハウジング11と、ハウジング11の前部に備えた左右の前輪12,12と、ハウジング11の後部に備えた左右の後輪13,13と、ハウジング11の中央内部に収納された芝刈用の刈刃14と、ハウジング11の上部に備えたエンジン15と、ハウジング11の後部から後方へ延びた操作ハンドル16とからなる。
ハウジング11(作業機本体11)は、例えば樹脂の成型品からなり、機体の役割を兼ねており、上面にエンジン15を重ねてボルト止めすることによって、一体的に組み付けたものである。エンジン15(動力源15)は、下端から下方の芝地(図示せず)へ向かってハウジング11内まで延びた、出力軸15aを有している、いわゆるバーチカルエンジンである。この出力軸15aは、芝地(地面)に対して略垂直な駆動軸である。
出力軸15aには、ハウジング11内において刈刃14が取り付けられている。エンジン15で刈刃14を駆動することにより、刈刃14はハウジング11内において、出力軸15aを中心として回転可能である。
歩行型芝刈機10(以下、単に芝刈機10という。)は、エンジン15によって刈刃14を回転させることにより、芝草を刈り取るとともに、ハウジング11内に空気の流れ(旋回流)を発生させ、この旋回流により、刈刃14で刈った芝草を刈り芝収納体Bgに送り込んで収納することができる。
図1及び図2に示されるように、操作ハンドル16は、芝刈機10を正面から見たときに、概ね門形状(逆U字状)に形成されている。操作ハンドル16の左右一対の基端部16a,16aは、それぞれステー17,17を介してハウジング11の後部に取り付けられている。ステー17,17は、ハウジング11の後部にボルト止めされている。
図1に示されるように、芝刈機10は、ハウジング11の後端部から垂れ下がったリヤシールド18を有している。このため、飛散物が後方の作業者へ向かって飛散しないように、リヤシールド18によって阻止することができる。
図1及び図3に示されるように、芝刈機10は、ハウジング11の左右一方側(図1及び図3では左側)に、高さ調整機構20及び高さ調整グリップ60を有している。高さ調整機構20は、地面に対するハウジング11及び刈刃14(図1参照)の高さ、つまり地上高を調整するものである。
図4は、地面Laに対するハウジング11の高さ、つまりハウジング11の地上高が最小に設定されていることを示している。図3〜図5に示されるように、高さ調整機構20は、左右の前輪支持部材21L,21Rと左右の後輪支持部材22L,22Rと前部連結ロッド23と後部連結ロッド24と連結部材25とロック機構50とからなる。
左右の前輪支持部材21L,21Rは、ハウジング11の前部11aに対して上下スイング可能に連結された板材からなり、互いに向かい合って位置する。詳しく述べると、前部11aは、支持軸31,31を介して左右の前輪支持部材21L,21Rを上下スイング可能(回転可能)に支持している。左右の前輪支持部材21L,21Rは、支持軸31,31から前下方(図4参照)にオフセットした部位同士を、前部連結ロッド23によって連結されている。このため、左右の前輪支持部材21L,21Rは、互いに同期してスイングすることが可能である。
さらに、左右の前輪支持部材21L,21Rは、支持軸31,31から前上方(図4参照)にオフセットした部位に車軸32,32を有する。車軸32,32は、左右の前輪支持部材21L,21Rから車幅方向の外方へ延びて、端部に前輪12,12を回転可能に取り付けたものである。このため、左右の前輪支持部材21L,21Rは、前輪12,12を回転可能に支持することが可能である。さらに、左の前輪支持部材21Lは、支持軸32から後上方(図4参照)にオフセットした部位に連結孔21aを有している。この連結孔21aは、図4に示されるように、ハウジング11の地上高が最小であるときに、前輪12用の車軸32よりも上に位置する。
左右の後輪支持部材22L,22Rは、ハウジング11の後部11bに対して上下スイング可能に連結された板材からなり、互いに向かい合って位置する。詳しく述べると、ハウジング11は後部11bの左右側部に、それぞれ軸受41,41(図3では右のみを示す。)を介して左右の後輪支持部材22L,22Rの中央部Prを上下スイング可能(回転可能)に支持している。この中央部Prは、ハウジング11に対する左右の後輪支持部材22L,22Rのスイング中心Prとなる。
左右の後輪支持部材22L,22Rは、スイング中心Prから前下方(図4参照)にオフセットした部位同士が、後部連結ロッド24によって連結されている。このため、左右の後輪支持部材22L,22Rは、互いに同期してスイングすることが可能である。
さらに、左右の後輪支持部材22L,22Rは、スイング中心Prから前上方(図4参照)にオフセットした部位に車軸42,42を有する。車軸42,42は、左右の後輪支持部材22L,22Rから車幅方向の外方へ延びて、端部に後輪13,13を回転可能に取り付けたものである。このため、左右の後輪支持部材22L,22Rは、後輪13,13を回転可能に支持することが可能である。
左の後輪支持部材22Lは、スイング中心Prから後上方(図4参照)にオフセットした部位に連結孔22aを有するとともに、スイング中心Prから後下方(図4参照)にオフセットした部位にバネ掛けピン22bを有している。連結孔22aは、図4に示されるように、ハウジング11の地上高が最小であるときに、後輪13用の車軸42よりも上に位置する。
連結部材25は、ハウジング11に沿って前後方向に延びる細長い板状のバーであって、左の前輪支持部材21Lと左の後輪支持部材22Lとを、互いに連動可能に連結するものである。詳しく述べると、連結部材25は、左の前輪支持部材21L及び後輪支持部材22Lの各板面に重ね合わされる、縦板状に形成されている。
連結部材25の前端部25aは、左の前輪支持部材21Lの連結孔21aに連結ピン33によって、前後方向に相対的に回転可能に連結されている。連結部材25の後端部25bは、左の後輪支持部材22Lの連結孔22aに連結ピン43によって、前後方向に相対的に回転可能に連結されている。このため、連結部材25は、前及び後輪支持部材21L,22Lのスイング運動に応じて、前後方向及び上下方向へ変位することが可能である。
ところで、ハウジング11に対して前輪12及び後輪13の相対的な高さを調整する調整方式は、前・後輪12,13を連動させて調整する方式である。このため、前・後輪12,13を別々に調整する調整方式に比べて、作業者がハウジング11を持ち上げるのに必要な持ち上げ力が大きい。これに対処するために、図3〜図5に示されるように、ハウジング11の後上部に有している上部バネ掛けピン44と、前記バネ掛けピン22bとの間にはバネ45(付勢部材45)が掛けられている。このバネ45は、ハウジング11の地上高が高くなる方向に左の後輪支持部材22Lを付勢、つまり図4に示すように芝刈機10を左側方から見たときに、左の後輪支持部材22Lを反時計回りに回す方向に付勢しており、例えば「引張りコイルばね」によって構成される。このため、作業者はハウジング11を軽く持ち上げることが可能である。
なお、バネ45は、引張りコイルばねに限定されず、例えば圧縮コイルばねを採用することが可能である。この場合には、ハウジング11の地上高が最低のときに、圧縮コイルばねが最も圧縮された状態となるように構成する。圧縮コイルばねを予め圧縮した状態で設定しておくことにより、ハウジング11の地上高が低いときの付勢力を大きく設定することができる。このように設定することによって、「ばね定数」の小さい圧縮コイルばねであっても、作業者はハウジング11を軽く持ち上げることが可能である。
また、バネ45の代わりにガスダンパを採用することが可能である。
さらに、図3、図6及び図7に示されるように、ハウジング11は、後部11bに無段変速装置46及び伝動軸47を備えている。伝動軸47は、無段変速装置46に連結され、スイング中心Prにおいて車幅方向へ水平に延びている。この伝動軸47の両端は、左右の後輪13,13の内部において、図示せぬギヤ伝動機構を介して後輪13,13に連結されている。エンジン15(図1参照)によって無段変速装置46、伝動軸47及びギヤ伝動機構を介して後輪13,13を正転駆動することにより、芝刈機10を前方へ自走させて、芝刈り作業を進めることができる。
図4、図8及び図9に示されるように、ロック機構50は、連結部材25の前後方向の変位を規制及び解除するための機構であり、複数の係止溝51とロックピン52とピン案内部53と操作部材54とブラケット55とからなる。
図4及び図8に示されるように、複数(例えば7つ)の係止溝51は、連結部材25の長手方向中央部に、連結部材25の板面25cに沿って前後一列に配列され且つ形成されている。詳しく述べると、複数の係止溝51は、連結部材25を板面25cの方向から見たときにU字状の溝であり、板厚方向に貫通している。つまり、複数の係止溝51は、図8及び図9に示されるように、連結部材25の上端面25dから下方へ窪むように上端51aが開放され、底51bが円弧状に形成されている。
ロックピン52は、複数の係止溝51の1つに選択的に係止することが可能で部材であって、例えば丸棒又は丸パイプの折り曲げ成形品である。このロックピン52は、図8及び図11に示されるように、概ねJ字状に形成されており、水平な被連結部52aと、被連結部52aの一端から下方へ延びた第1垂直部52bと、第1垂直部52bの下端から横へ延びた水平な係止部52cと、係止部52cの他端から上方へ延びた第2垂直部52dとからなる。
被連結部52aと第1垂直部52bと係止部52cと第2垂直部52dは、全て同一面上に整列する。係止部52cは、被連結部52aに対し平行であり、且つ被連結部52aとは反対側へ延びている。さらに、この係止部52cは、複数の係止溝51の1つに係止する部分であり、係止溝51を貫通する方向に延びている。第2垂直部52dは、第1垂直部52bに平行であり、且つ第1垂直部52bよりも短い。
図8〜図11に示されるように、ピン案内部53は、ロックピン52を、複数の係止溝51の1つに対して出入りする方向へ、スライド可能に案内するように、ハウジング11に備えている。つまり、ピン案内部53は、ハウジング11のグリップ取付部11cに下方から取り付けられている。グリップ取付部11cは、図1に示されるように、ハウジング11の上面から上方へ膨出した部分である。
このピン案内部53は、グリップ取付部11cの下端面に下から重ねられてボルト止めされるベース部分53aと、ベース部分53aの側部に一体に形成された案内部分53bとからなる。案内部分53bは、ロックピン52の第1垂直部52bを上下スライド可能に案内するように上下貫通した第1溝53cと、第2垂直部52dを上下スライド可能に案内するように上下貫通した第2溝53dと、係止部52cを通すように第1溝53cと第2溝53dとの間を貫通した第3溝53eと、連結部材25を前後スライド可能に案内するように前後貫通した第4溝53fとを有する。
第1溝53cは、ハウジング11の幅方向外方へ向かって開放している。第2溝53dは、ハウジング11の幅方向内方へ向かって開放している。第3溝53e及び第4溝53fは、ハウジング11の下方へ向かって開放している。
ロックピン52は、第1溝53c及び第2溝53dに案内されて上下スライドな可能である。また、連結部材25は、複数の係止溝51が位置している部分を、第4溝53fに案内されて前後スライド可能である。従って、ロックピン52の係止部52cは、第4溝53fを通っている複数の係止溝51の1つに対して、出入りする方向にスライドすることが可能である。第3溝53eの深さは、ロックピン52が上下に所定のスライド量だけスライドしても、当たらないように設定される。
図8〜図11に示されるように、操作部材54は、ロックピン52をスライド操作するようにハウジング11に備えている。つまり、この操作部材54は、ハウジング11に取り付けられているブラケット55に、前後スイング可能に支持された部材である。詳しく述べると、操作部材54は、芝刈機10を側方から見たときに、概ね逆Y字状に形成されており、後下部に位置する被支持部54aと、前下部に位置する連結部54bと、上部に位置する操作釦54cとからなる一体成形品である。
被支持部54aは、ブラケット55に支持ピン56を介してスイング可能に支持されている。連結部54bは、ロックピン52の被連結部52aを相対回転可能に連結している。操作釦54cは、芝刈機10の前方から後方へ向かって押し操作可能な、操作部分である。操作部材54がスイングすることによって、ロックピン52は上下スライドする。操作部材54は、ロックピン52を複数の係止溝51の1つに対して係止する方向、つまり中立位置へ復帰する方向に付勢部材57(リターンスプリング57)によって付勢されている。この付勢部材57は、例えば「ねじりコイルばね」からなる。
操作部材54の操作釦54cを押し操作することによって、高さ調整機構20(図4参照)の調整動作を規制状態から許容状態に切替操作することが可能である。規制状態は、ロックピン52が複数の係止溝51の1つに対して係止している状態である。許容状態は、ロックピン52が全ての係止溝51から外れている状態である。
図9及び図10に示されるように、ブラケット55は、グリップ取付部11cに上から取り付けられている。具体的には、ブラケット55の底板55aとピン案内部53とによって、グリップ取付部11cを挟み込むとともに、互いにボルト58,58によって止めることにより、ハウジング11に固定される。
図4及び図5に示されるように、高さ調整グリップ60は、操作釦54cが操作されることによって高さ調整機構20の調整動作が許容されているときに、ハウジング11を昇降操作(持ち上げ操作、押し下げ操作)するように手で握ることが可能な細長い部材であって、例えばパイプからなる。この高さ調整グリップ60は、上述のように、ハウジング11に対して左右一方の側部(図1及び図3では左側部)の近傍に設けられている。詳しく述べると、高さ調整グリップ60の一端部61は、左のステー17(図2参照)と共にハウジング11の後部にボルト止めされている。高さ調整グリップ60の他端部62は、ブラケット55に固定されている。この結果、高さ調整グリップ60はハウジング11に取り付けられる。
なお、操作部材54(操作釦54cを除く)、ブラケット55、高さ調整グリップ60の他端部62(前端部62)は、カバー70によって覆われている。
ここで、ハウジング11に対する操作釦54c及び高さ調整グリップ60の関係について説明する。図12(a)は、ハウジング11に対する操作釦54c及び高さ調整グリップ60の関係を示している。図12(b)は、図12(a)に示された操作釦54cと高さ調整グリップ60の関係を拡大して表している。
図12(a),(b)に示されるように、高さ調整グリップ60は、ハウジング11に対して、前後方向に細長く且つ前下がりとなるように傾斜しており、前下がりに傾斜した部位63(グリップ部63)を握ることができる。つまり、芝刈機10を側方から見たときに、高さ調整グリップ60は概ね山形状に形成されており、前半部分がグリップ部63となる。
図4に示されるように、高さ調整グリップ60の前下がりの傾斜角θ、つまりグリップ部63の傾斜角θは20°から30°の範囲(20°≦θ≦30°)に設定されている。ここで、前下がりの傾斜角θについて、次のように定義する。地面Laに対して前輪12及び後輪13が接地しているときに、前輪12の接地点Qfと後輪13の接地点Qrとを通る直線HLのことを、基準水平線HLという。基準水平線HLは地面Laに平行である。前下がりの傾斜角θは、基準水平線HLに対する高さ調整グリップ60のグリップ部63の中心線GCの傾き角のことを言う。
図12(a),(b)に示されるように、操作釦54cは、高さ調整グリップ60を握っている手Haの指Fg(親指Fg)により、操作可能な範囲Arに位置している。より具体的に述べると、操作可能な範囲Arは、グリップ部63の中心線GCの線上に且つグリップ部63の前端部分(他端部62)の直前の位置及びその近傍のことである。図12(b)に示される例では、操作可能な範囲Arは、グリップ部63の前端部分を握っている手Haの親指Fgを、想像線のように前方へ伸ばしたときに、この親指Fgを実線のように内側へ曲げることによって、操作釦54cをグリップ部63側へ押し操作することが可能な範囲である。
高さ調整グリップ60は、ハウジング11に対して左右一方の側部の近傍に設けられている。このため、ハウジング11を昇降操作するときに、高さ調整グリップ60を容易に且つしっかりと(堅く)握ることができる。しかも、操作釦54cは、高さ調整グリップ60のグリップ部63を握っている手Haの指Fgにより、操作可能な範囲に位置している。このため、高さ調整グリップ60をしっかりと握っている手Haの指Fgによって、操作釦54cを容易に操作(押し操作、戻し操作)することができる。操作釦54cを操作するときに、高さ調整グリップ60を握っている手Haを離したり、握り直す必要もない。このように、高さ調整機構20の操作性が一層高まる。作業者Mnは片手だけによって、地面に対するハウジング11及び刈刃14(図1参照)の高さを調整することができる。この結果、芝刈り高さを容易に且つ楽に調整することができる。
操作釦54cは、押し操作方向Puが、高さ調整グリップ60のグリップ部63の中心線GCに略平行となるように位置している(例えば、中心線GC上に位置している)。このため、高さ調整グリップ60を手Haでしっかりと握る方向に対して、手Haの親指Fgは概ね直交する方向Puから操作釦54cを押すことになる。この押し方向Puは、高さ調整グリップ60を握っている手Haの親指Fgに最も力を入れ易い方向である。従って、操作釦54cを容易に且つ確実に押し操作することができる。
さらには、芝刈機10は小型であるから、高さ調整機構20の調整作業をするときの作業者Mnの姿勢は、前屈みになる。しかも、作業者Mnは芝刈機10の脇に立つことになる。例えば、高さ調整グリップ60がハウジング11の左の側部の近傍に設けられているときには、作業者Mnは芝刈機10の左脇に前屈みになって立ち、右手Haによって高さ調整グリップ60を握ることになる。このような前屈み姿勢のときに、自然に下ろした手Haによって高さ調整グリップ60を楽に握って昇降作業をすることができるように、ハウジング11に対して高さ調整グリップ60を前後方向に細長く且つ前下がりとなるように傾けている。しかも、前下がりの傾斜角θを20°から30°の範囲に設定することによって、一層容易に高さ調整グリップ60を握ることができる。高さ調整グリップ60を手Haで握り易いので、高さ調整グリップ60を握っている手Haの親指Fgにも力を入れ易い。従って、高さ調整機構20の操作性が高まる。
次に、複数の係止溝51について詳しく説明する。図13及び図14に示されるように、複数の係止溝51は互いに平行であり、複数の係止溝51の配列ピッチPi(間隔Pi)は一定である。このため、連結部材25は前後移動したときに、一定の配列ピッチPiでロックピン52にロックされる。
上述のように、複数の係止溝51は、連結部材25の上端面25dから下方へ窪むように上端51aが開放されたU字状の溝である。複数の係止溝51の溝幅はGwであり、ロックピン52の係止部52cの直径Dpよりも若干大きく設定されている。例えば、図1に示される芝刈機10に付着している刈芝(刈刃14によって刈られた芝草)を叩き落とす場合がある。この場合に発生する振動によっても、係止溝51に係止しているロックピン52が外れ難い。
さらに、複数の係止溝51は、互いに平行であり、しかも前側(図4に示される連結部材25の前端部25a側)に傾斜している。垂直線VLに対する係止溝51の傾斜角αは3°から7°の範囲(3°≦α≦7°)に設定されている。ここで、垂直線VLは、図4に示される基準水平線HLに対して、上下方向に直交する直線である。
つまり、係止溝51の上端は、係止溝51の底51bよりも前寄りに位置している。図14に示されるように、係止溝51が傾いている分だけ、傾きとは反対側の溝壁51cの一部51dが係止溝51内へ突出することになる。つまり、溝壁51cの一部51dは、係止溝51内へ突出して、離脱防止のための突出部51dを構成している。突出部51dの突出量はδである。係止溝51に係止しているロックピン52が、垂直線VLに沿って上方にスライドしたときに、突出部51dに当たる。従って、係止溝51に係止しているロックピン52が、振動等の影響によって係止溝51から外に飛び出ることはない。
ところで、図4及び上述のように、連結部材25は、ハウジング11に上下スイング可能に連結された前及び後輪支持部材21L,22L同士を互いに連動可能に連結するものである。このため、前及び後輪支持部材21L,22Lの上下スイングに応じて、連結部材25は前後方向へ変位するとともに上下方向にも変位する。
本実施例では、連結部材25は、前輪12用の車軸32及び後輪13用の車軸42よりも上の位置で、前輪支持部材21L及び後輪支持部材22Lに連結されている。このため、前及び後輪支持部材21L,22Lの上下スイングに伴う、連結部材25の変位軌跡Lt(図13参照)は、上に凸となる円弧状の軌跡となる。従って、連結部材25に前後一列に配列されている複数の係止溝51の変位軌跡Ltは、上に凸となる円弧状の軌跡となる。このように、連結部材25に前後一列に配列されている複数の係止溝51は、連結部材25と共に上下方向に変位する。
一方、操作部材54によって操作されるロックピン52のスライド量は、複数の係止溝51の上下方向の変位量とは無関係である。このため、複数の係止溝51の上下方向の変位量によっては、複数の係止溝51のいずれかに対する、ロックピン52の係止位置が浅くなり得る。
これに対して、本実施例では、連結部材25の上端面25dは、複数の係止溝51の上端51a(開放端51a、開口51a)が位置している部分25eの全体にわたり、連結部材25の前後方向及び上下方向の変位軌跡Ltに対応した円弧状に形成されている、円弧面である。実施例では、上に凸となる円弧状の変位軌跡Ltなので、連結部材25の上端面25dは、複数の係止溝51の上端25dが位置している部分25eの全体にわたり、下に凹となる円弧状に形成された円弧面である。円弧面からなる上端面25dの半径はrsである。
このため、複数の係止溝51の上端51aが前後方向及び上下方向に変位しても、全ての係止溝51に対して、ロックピン52を十分に係止させることができる。従って、係止溝51に係止しているロックピン52が外れ難いので、高さ調整機構20の作動の確実性を、一層高めることができる。
また、図4、図8及び図13に示されるように、複数の係止溝51の中の、前端の係止溝51Fを形成する縁の前面51Fwと、後端の係止溝51Rを形成する縁の後面51Rwとは、前端の係止溝51Fの上端51a及び後端の係止溝51Rの上端51aよりも上方へ、連続して延びている。
図13に示されるように、前面51Fwや後面51Rwが上に延びる範囲Y1,Y2については、前後の係止溝51F,51Rから外れているロックピン52に対して、前面51Fwまたは後面51Rwが向かい合うように、設定される。
連結部材25が前後方向へ最大限、変位したときに、前端の係止溝51Fの上端51a、または後端の係止溝51Rの上端51aは、ロックピン52に臨む。係止溝51F,51Rにロックピン52を出し入れするときに、ロックピン52は前面51Fwまたは後面51Rwによって案内される。このため、係止溝51F,51Rに対するロックピン52の出し入れを、確実に行うことができる。従って、高さ調整機構20の作動の確実性を、一層高めることができる。しかも、連結部材25が前後方向に大きく変位しようとしても、ロックピン52は前面51Fwまたは後面51Rwに干渉するので、これ以上変位することはない。
さらに、図13に示されるように、前面51Fwは、前端の係止溝51Fの円弧状の底51bから前上方へ連続しつつ窪む、傾斜した段差部51Fdを有している。また、後面51Rwは、後端の係止溝51Rの円弧状の底51bから後上方へ連続しつつ窪む、傾斜した段差部51Rdを有している。このように、前面51Fw及び後面51Rwは、段付き面に形成されている。
より詳しく述べると、前後の段差部51Fd,51Rdは、係止溝51F,51Rの上端51a,51aの近傍に位置している。さらに、前後の段差部51Fd,51Rdは、上端51aから底51bへ向かって緩やかに傾斜した傾斜面からなる。この傾斜面には、ストレートな面の他に、下に凹となる円弧状に形成された円弧面を含む。前の段差部51Fdの段差の大きさはdfである。後の段差部51Rdの段差の大きさはdrである。このように傾斜した前後の段差部51Fd,51Rdは、ロックピン52が前端の係止溝51Fまたは後端の係止溝51Rへ入り込んで係止するときに、容易に入り込むように案内をする役割を果たす。
ここで、前面51Fw及び後面51Rwに段差部51Fd,51Rdを有していない場合について考える(段差の大きさdf=0、dr=0)。今、操作釦54c(図4参照)を押し続けることによって、ロックピン52が全ての係止溝51から外れている状態であると考える。この状態において、連結部材25が前方Frへ変位することによって、後端の係止溝51Rの上端51a(開口51a)は図13の想像線によって表されたロックピン52の真下に位置する。連結部材25が前方Frへ変位し終わった後に、操作釦54cの押し操作をやめた場合には、そのままロックピン52が後端の係止溝51Rに入り込んで係止する。
しかし、図4に示されるように、後輪支持部材22Lはバネ45を介してハウジング11に連結されている。バネ45は、作業者Mn(図12参照)がハウジング11を持ち上げるときの、持ち上げ力を軽減するための付勢部材である。バネ45の付勢方向は、高さ調整グリップ60によってハウジング11を持ち上げる方向に、概ね一致する。図16に示されるように、ハウジング11を最大限まで持ち上げたときに、ハウジング11の地上高は最大になる。バネ45の付勢力は、ハウジング11が持ち上がるにつれて減少し、ハウジング11が最大地上高に近い状態になったときには、極めて小さい。
一般に、作業者Mnが意識してハウジング11を最大地上高まで持ち上げるときには、一気に威勢良く持ち上げることがある。ハウジング11が最大地上高に近い状態になったときにおいて、バネ45が縮む速度は、作業者Mnによる持ち上げ速度よりも、若干遅くなる傾向になる。
従って、作業者Mnがハウジング11を最大地上高まで持ち上げて、手Haの指Fgを操作釦54cから放すことによって、ロックピン52が下降した後に、若干遅れて、後端の係止溝51Rの後面51Rwがロックピン52に後方から当たる場合が、あり得る。言い換えると、連結部材25が前方Frへ変位し終わる前に、操作釦54cの押し操作をやめた場合(中途ロック操作の場合)には、後端の係止溝51Rに向かってスライドしている途中のロックピン52に、後面51Rwが当たることが考えられる。つまり、後面51Rwがロックピン52に当たる。ロックピン52は前後方向へ若干の変位が可能なので、前方Frへ変位してしまう。この場合であっても、ロックピン52が後端の係止溝51Rよりも前方の係止溝51に入り込む現象、いわゆる歯飛び現象の発生を抑制できることが好ましい。
一方、図16に示されるように、ハウジング11が最大地上高の状態において、作業者Mnがハウジング11を押し下げるときの押し下げ方向は、バネ45の付勢方向に対して逆になる。つまり、作業者Mnはバネ45の付勢力に抗して、ハウジング11を押し込むことになる。このため、バネ45が元に戻る速度は、作業者Mnによる押し下げ速度と概ね一致する。従って、作業者Mnがハウジング11を最小地上高まで押し下げて、手Haの指Fgを操作釦54cから放すことにより、ロックピン52が下降しても、歯飛び現象が発生しない。
これに対し、本実施例では後面51Rwに51Rdを有している。このため、中途ロック操作の場合には、後端の係止溝51Rに向かってスライドしている途中のロックピン52は、傾斜した後の段差部51Rdに接する。この結果、ロックピン52は後の段差部51Rdに案内されることによって、後端の係止溝51Rに容易に入り込んで係止する。従って、後端の係止溝51Rにロックピン52を一層容易に且つ確実に係止することができる。
なお、バネ45の付勢力については、作業者Mnがハウジング11を押し下げるときの押し下げ力が過大にならないように、設定される。つまり、バネ45の付勢力については、作業者Mnがハウジング11を持ち上げるときの持ち上げ力と、作業者Mnがハウジング11を押し下げるときの押し下げ力との、両方のバランスを考慮して、最適な値となるように設定される。
例えば、バネ45の付勢力を小さく設定した場合には、次のことがあり得る。つまり、作業者Mnがハウジング11を最小地上高まで、一気に威勢良く押し下げるときには、ハウジング11を最大地上高まで、一気に威勢良く持ち上げる場合と同様のことが起こり得る。
この場合には、前面51Fw及び後面51Rwに段差部51Fd,51Rd(図13参照)を有する。前後に段差部51Fd,51Rdを有することによって、前の段差部51Fdとロックピン52との関係が、後の段差部51Rdとロックピン52との関係と同様になる。従って、前端の係止部51Fや後端の係止溝51Rに、ロックピン52を一層容易に且つ確実に係止することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施例では、前端の係止溝51Fを形成する縁の前面51Fwと、後端の係止溝51Rを形成する縁の後面51Rwとの、少なくとも一方の面に、傾斜した段差部51Fdや段差部51Rdを有している。
次に、上記構成の高さ調整機構20及び高さ調整グリップ60の作用を説明する。なお、図3に示される右の前輪支持部材21R、右の後輪支持部材22R、前部連結ロッド23、後部連結ロッド24の作用については省略する。
上述のように、図4は、地面Laに対するハウジング11の高さ、つまりハウジング11の地上高が最小に設定されていることを示している。このときには、図4及び図8に示されるように、ロックピン52は前端の係止溝51Fに係止している。このため、高さ調整機構20の調整動作は規制された状態にある。
その後、図12(a),(b)に示されるように、作業者Mnは高さ調整グリップ60を握りながら、握っている手Haの親指Fgで操作釦54cを押し方向Puに押す。すると、図8に示されるように、操作部材54は支持ピン56を中心として図時計回り(図8の矢印Cw方向)にスイングして、ロックピン52を上方にスライドさせる。この結果、ロックピン52が前端の係止溝51Fから外れることによって、高さ調整機構20が規制された状態を解除する。この結果が図15に示されている。
この解除状態において、図12(a)に示されるように、作業者Mnは高さ調整グリップ60を握っている手Haの親指Fgで操作釦54cを押しながら、高さ調整グリップ60を任意の高さまで持ち上げる。ハウジング11は高さ調整グリップ60と共に持ち上がる。このため、図4に示されるように、前輪支持部材21Lが車軸32を基準として反時計回り方向(矢印A1方向)へ回転変位するとともに、後輪支持部材22Lが車軸42を基準として反時計回り方向(矢印A2方向)へ回転変位する。このときに、前輪支持部材21Lの連結ピン33が上方(矢印A1方向)にスイングするとともに、後輪支持部材22Lの連結ピン43が上方(矢印A2方向)にスイングする。前及び後の連結ピン33,43に連結されている連結部材25は、前方(矢印Af方向)へ移動する。
その後、図12(b)の想像線によって示されるように、操作釦54cから親指Fgを放す(ロック操作する)。図8に示されるように、操作部材54は、付勢部材57(図9参照)の付勢力により、支持ピン56を中心として図反時計回りに自動的にスイングし、元の中立位置に復帰する。ロックピン52は、操作部材54に押し下げられて下方にスライドし、ハウジング11の地上高に対応した係止溝51に入り込む。ロックピン52が1つの係止溝51に入り込んで係止することにより、高さ調整機構20が再び規制される。このように、操作釦54cをロック操作することによって、ハウジング11は調整された地上高を維持する。ハウジング11の地上高が最大になった状態が図16に示されている。
その後、操作釦54cを再びロック解除操作した後に、高さ調整グリップ60を降ろすことによって、ハウジング11の地上高を下げることができる。
以上の説明から明らかなように、操作部材54によってロックピン52をスライド操作すると、ロックピン52はピン案内部53に案内されて、複数の係止溝51の1つに対して出入りする。つまり、ロックピン52が1つの係止溝51に係止している状態においては、連結部材25の前後方向の変位は規制されている。このため、前及び後輪支持部材21L,22Lのスイング運動が規制されるので、地面Laに対するハウジング11及び刈刃14の高さを調整できない。その後、作業者Mnが操作部材54によりロックピン52をスライド操作して、係止溝51から外したときに、連結部材25の前後方向の変位は許容される。このため、前及び後輪支持部材21L,22Lのスイングが許容されるので、地面Laに対するハウジング11及び刈刃14の高さを調整することができる。高さを調整した後に、再びロックピン52を複数の係止溝51の1つに係止するように操作することによって、連結部材25の前後方向の変位は規制される。
このように、ピン案内部53は、連結部材25に前後一列に配列されている複数の係止溝51の1つに対して、出入りする方向にのみ、ロックピン52をスライド可能に案内する。このため、操作部材54の操作状態や連結部材25の変位状態にかかわらず、複数の係止溝51の1つに対してロックピン52を確実に出入りさせることができる。
しかも、上述のように、ピン案内部53は、複数の係止溝51の1つに対して出入りする方向にのみ、ロックピン52をスライド可能に案内するので、複数の係止溝51の配列ピッチPiや溝幅Gwを、最適なものに設定することは容易である。配列ピッチPiや溝幅Gwを最適なものに設定することにより、係止溝51に対してロックピン52を確実に出入りさせることができる。この結果、高さ調整機構20の作動の確実性を高めることができる。
さらには、配列ピッチPiや溝幅Gwを、塵埃の影響を受け難くするように、最適なものに設定することにより、係止溝51とロックピン52の耐久性を高めることができる。この結果、高さ調整機構20の耐久性を高めることができる。
さらには、ピン案内部53はロックピン52を常にスライド可能に案内することができる。操作部材54の操作形態(プッシュ操作、スイング操作など)にかかわりなく、ロックピン52はスライド可能である。従って、芝刈機10の種類や大きさに合わせて、操作性の高い操作部材54を選択することができる。この結果、高さ調整機構20の操作性を高めることができる。
ところで、図17〜図20に示されるように、左の前輪支持部材21Lは円弧部81を備えている。この円弧部81は、前輪支持部材21Lの板面(側面)にボルト82によって取り付けられることにより、前輪支持部材21Lと共に上下スイング可能である。円弧部81は、芝刈機10を側方から見たときに扇形状に形成されており、ハウジング11に対する前輪支持部材21Lの上下スイングの中心Pfを基準とした円弧状の外周面81aを有している。この外周面81aは、ハウジング11の幅方向の端11dよりも内側に位置しており、表示部83を有している。この表示部83は、ハウジング11及び刈刃14(図1参照)の高さ、つまり地上高を表示するものである。
表示部83の表示形態は、前輪支持部材21Lと共にスイングする円弧部81のスイング量に応じて変化するように設定される。表示部83は、例えば図17に示されるように、複数の係止溝51の数に合わせた、複数の表示目盛パターン83aの集合からなる。複数の表示目盛パターン83aは、外周面81aに対して円周方向に等ピッチで配列される。さらに、複数の表示目盛パターン83aは、数字(例えば”1”〜”7”)やマークを付した表示片を外周面81aに貼付してもよい。
ハウジング11は、表示部83を目視可能な覗き孔84を有している。この覗き孔84は、前輪支持部材21Lに連結部材25を連結する連結ピン33の近傍に位置しており、ハウジング11の一部に形成された切欠き部又は貫通孔からなる。覗き孔84の大きさは、複数の表示目盛パターン83aの1つだけを目視可能な大きさに設定される。
前輪支持部材21Lのスイング運動に応じて、複数の表示目盛パターン83aが変位する。覗き孔84からは、1つの表示目盛パターン83aだけを目視可能である。作業者は、上から覗き孔84を透して表示部83を目視することによって、ハウジング11及び刈刃14(図1参照)の地上高を的確に且つ容易に確認することができる。
しかも、前輪支持部材21Lに備えた円弧部81の外周面81aに表示部83を有した構成であるから、連結部材25が上下方向に変位しても、覗き孔84から表示部83までの距離は一定である。覗き孔84から表示部83を目視するときの見やすさを十分に確保することができる。
このように、前輪支持部材21Lに備えた円弧部81の外周面81aには表示部83を有し、一方、ハウジング11には表示部83を目視可能な覗き孔84を有するという、簡単な構成によって、ハウジング11及び刈刃14の高さの表示構造を構成することができる。
さらには、円弧部81の外周面81aが、ハウジング11の幅方向の端11dよりも内側に位置しているので、外周面81aがハウジング11の幅方向の端11dから外方へ突出しない。このため、芝刈機10には、円弧部81を配置するための余分なスペースを設ける必要がない。
なお、本発明では、歩行型芝刈機10は、エンジン15等の駆動源による自走式芝刈機に限定されるものではなく、動力又は人力によって走行することが可能であればよい。
また、表示部83を有している円弧部81は、前及び後輪支持部材21L,22Lのいずれか一方に備えていればよい。また、円弧部81は、前及び後輪支持部材21L,22Lのいずれか一方に一体に形成された構成であってもよい。
本発明の歩行型作業機は、ロータリ式芝刈機に適用するのに好適である。
10…歩行型芝刈機、11…ハウジング、11a…前部、11b…後部、11c…グリップ取付部、11d…幅方向の端、12…前輪、13…後輪、14…刈刃、16…操作ハンドル、20…高さ調整機構、21L,21R…前輪支持部材、22L,22R…後輪支持部材、25…連結部材、25d…連結部材の上端面(円弧面)、25e…複数の係止溝の上端が位置している部分、50…ロック機構、51…複数の係止溝、51a…係止溝の上端、51F…前端の係止溝、51Fd…段差部、51Fw…縁の前面、51R…後端の係止溝、51Rd…段差部、51Rw…縁の後面、52…ロックピン、53…ピン案内部、54…操作部材、54c…操作釦、60…高さ調整グリップ、81…円弧部、81a…外周面、83…表示部、84…覗き孔、Ar…操作可能な範囲、Fg…指、GC…高さ調整グリップの中心線、Ha…手、Lt…連結部材の前後方向及び上下方向の変位軌跡、Pf…前輪支持部材の上下スイングの中心、Pr…後輪支持部材の上下スイングの中心、Pu…押し操作方向、θ…傾斜角。

Claims (2)

  1. 作業者が歩きながら操縦するための操作ハンドルを有し、ハウジングに収納された刈刃によって芝草を刈りながら動力又は人力によって走行することが可能な歩行型芝刈機であって、
    地面に対する前記ハウジング及び前記刈刃の高さを調整するための高さ調整機構と、この高さ調整機構の調整動作を規制状態から許容状態に切替操作する操作釦と、この操作釦が操作されることによって前記高さ調整機構の調整動作が許容されているときに、前記ハウジングを持ち上げて昇降させるように手で握る高さ調整グリップとを有し、
    前記高さ調整グリップは、前記ハウジングに対して左右一方の側部の近傍に設けられ、且つ前記操作釦は、前記高さ調整グリップの先部に位置し、指による高さ調節グリップの後方への押圧操作で操作部材をスイング動させて前記高さ調整機構のロック機構を規制状態から許容状態に切り替え、
    前記操作釦は、押し操作方向が前記高さ調整グリップの中心線に略平行となるように位置し、
    先部に操作釦を有する前記高さ調整グリップは、前記ハウジングに対して、前後方向を向いて前後後方に細長い、
    ことを特徴とする歩行型芝刈り機。
  2. 前記高さ調整グリップは、前下がりとなるように傾斜しており、前下がりの傾斜角は、地面に平行な基準水平線に対して20°から30°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1記載の歩行型芝刈機。
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