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JP5526347B2 - 含フッ素化合物および高分子化合物 - Google Patents

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JP5526347B2 JP2009284441A JP2009284441A JP5526347B2 JP 5526347 B2 JP5526347 B2 JP 5526347B2 JP 2009284441 A JP2009284441 A JP 2009284441A JP 2009284441 A JP2009284441 A JP 2009284441A JP 5526347 B2 JP5526347 B2 JP 5526347B2
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Description

本発明は、新規な含フッ素化合物、および該含フッ素化合物をモノマー単位とし、レジスト組成物の配合成分として好適な高分子化合物に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ、焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光はあらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
近年、含フッ素化合物について、その撥水性、透明性等の特性が着目され、様々な分野での研究開発が活発に行われている。たとえばレジスト材料分野では、レジストパターン形成における種々のディフェクト発生を抑制するために、液浸露光用レジスト組成物に配合する添加剤として、浸漬露光時にはレジスト膜表面の疎水性を高め、現像時にはレジスト膜表面の親水性を高める特性を有する材料が検討されている(たとえば、特許文献1参照)。
なお、ディフェクト発生を抑制するために、現像時にレジスト膜表面の親水性を高める化合物を添加剤として用いることは、浸漬露光を行わないリソグラフィープロセスにおいても有用である。
特開2009−139909号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年).
しかしながら、上記の液浸露光用レジスト組成物に配合する添加剤においては、露光と現像とを行う際の疎水性から親水性への変化の度合いについて、さらなる改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジストパターン形成におけるディフェクトの発生を抑制できる、新規な含フッ素化合物、および該含フッ素化合物をモノマー単位とし、レジスト組成物の配合成分として好適な高分子化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために以下の手段を提案する。
すなわち、本発明の第一の態様は、下記一般式(a−i)で表される含フッ素化合物である。
Figure 0005526347
[式(a−i)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは下記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。]
Figure 0005526347
[式(x−1)中、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基である(ただし、X はOCOR 基と結合する)。]
また、本発明の第二の態様は、下記一般式(a−ii)で表される構成単位を有する高分子化合物である。
Figure 0005526347
[式(a−ii)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは上記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。]
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「構成単位」とは、樹脂成分(重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」とは、放射線の照射全般を含む概念とする。
「酸解離性基」は、酸の作用により解離し得る有機基である。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」とは、炭素原子数1〜5のアルキル基を意味する。
本発明によれば、レジストパターン形成におけるディフェクトの発生を抑制できる、新規な含フッ素化合物、および該含フッ素化合物をモノマー単位とし、レジスト組成物の配合成分として好適な高分子化合物を提供できる。
前進角(θ)、後退角(θ)および転落角(θ)を説明する図である。
≪含フッ素化合物≫
本発明の含フッ素化合物(以下「含フッ素化合物(A1)」という。)は、前記一般式(a−i)で表される。
前記一般式(a−i)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rのアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
Rのハロゲン化アルキル基として具体的には、上記Rのアルキル基の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
上記のなかでも、Rは、水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記一般式(a−i)中、Rは、フッ素原子を有する有機基である。
「フッ素原子を有する有機基」とは、有機基における水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
としては、たとえば、置換基を有していてもよく有していなくてもよいフッ素化炭化水素基が好ましく挙げられる。なかでも、フッ素化飽和炭化水素基又はフッ素化不飽和炭化水素基が好ましく、フッ素化飽和炭化水素基であることが特に好ましい。
ここでフッ素化炭化水素基が「置換基を有する」とは、該フッ素化炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、水素原子以外の基又は原子で置換されていることを意味する。フッ素化炭化水素基が有していてもよく有していなくてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、フッ素原子以外のハロゲン原子等が挙げられる。前記置換基としてのアルキル基は低級アルキル基が好ましく、上記におけるRの低級アルキル基と同じである。アルコキシ基は、炭素数が1〜5であることが好ましい。ハロゲン化アルキル基は、上記Rのハロゲン化アルキル基と同じである。フッ素原子以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。
は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが特に好ましい。
また、Rの炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましく、1〜5であることが最も好ましい。
また、Rのフッ素原子で置換されている水素原子の数は、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。そしてRは、その炭素原子のうち、前記一般式(a−i)中の「−X−O−C(=O)−」におけるC(=O)の炭素原子に結合している炭素原子とは反対側の末端の炭素原子に結合しているフッ素原子の数が多いものほど好ましい。
は、塩基の作用で解離する基であってもよく、例えば、塩基(アルカリ現像液)の作用により、一般式(a−i)中のRが結合している方のエステル結合「−O−C(=O)−R」が分解(加水分解)し、親水基「HO−C(=O)−R」が生成するようにしてもよい。このようにすることで、含フッ素化合物(A1)又は後述する高分子化合物(A2)は、アルカリ現像液に対して分解性を示すものとなる。
ここで、「アルカリ現像液に対して分解性を示す」とは、アルカリ現像液の作用により分解し(好ましくは、23℃において、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の作用で分解し)、アルカリ現像液に対する溶解性が増大することを意味する。
かかる本発明の含フッ素化合物(A1)と高分子化合物(A2)は、分解する前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、アルカリ現像液の作用により分解すると、親水基であるカルボキシ基が生成し、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
前記一般式(a−i)中、Xは前記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、酸解離性部位を有する。
「酸解離性部位」とは、当該有機基内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。具体的には、たとえば、カルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位、HC=C(R)−C(=O)−O−の末端の酸素原子と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位が挙げられる。
含フッ素化合物(A1)は、その分子内に酸解離性部位を有するため、露光部においては、他の添加化合物(下記高分子化合物(A2)の場合においては他の構成単位)と組み合わせることなく疎水性と親水性(現像液溶解性)の両方を同時に向上させることができる。
前記一般式(x−1)中、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的にはモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
一般式(x−1)中、R21およびR22は、相互に結合して一つの環構造を形成していてもよい。R21およびR22が形成する環状アルキル基としては、上記R21およびR22のアルキル基で説明した環状の場合の例示と同様のものが挙げられ、4〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。
一般式(x−1)中、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基である。
におけるアルキレン基としては、例えば、前記R21およびR22におけるアルキル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。なかでも、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
における脂肪族環式基は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
かかる「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素原子および水素原子からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なかでも、Xは、アルキレン基であることが好ましい。
含フッ素化合物(A1)としては、Xにおける酸解離性部位として、カルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位を有するものが好ましく、カルボキシ基と鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位を有するものがより好ましく、下記一般式(a−i−2)で表されるものが特に好ましい。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく;aは1〜10の整数である。]
一般式(a−i−2)中、R、Rは、前記一般式(a−i)中のR、Rと同じである。また、R21、R22は、前記一般式(x−1)中のR21、R22と同じである。
一般式(a−i−2)中、aは1〜10の整数であり、1〜5であることが好ましい。
含フッ素化合物(A1)は、レジスト組成物の添加剤として好適に用いることができる。
含フッ素化合物(A1)は、後述する高分子化合物(A2)の製造用モノマーとしても有用である。
<含フッ素化合物(A1)の製造方法>
含フッ素化合物(A1)を製造する場合には、例えば、一般式(a−i)中のRが結合しているカルボニル基(−C(=O)−)と、該カルボニル基に隣接してその炭素原子に結合している酸素原子(−O−)との間で結合を形成するようにするとよい。さらに、Xを含む基と、α,β−不飽和カルボニル化合物等とを反応させて、「HC=C(−R)−C(=O)−O−X−」の構造を形成するようにするとよい。
具体的には、含フッ素化合物(A1)のなかで好適な下記一般式(a−i−0)で表される化合物(以下、化合物(a−i−0)という。)は、例えば以下のようにして製造できる。
まず、下記一般式(a−i−01)で表される化合物(以下、化合物(a−i−01)という。)とエチルビニルエーテル(以下、化合物(a−i−02)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−03)で表される化合物(以下、化合物(a−i−03)という。)を得る第一工程を行う。
次いで、化合物(a−i−03)と下記一般式(a−i−04)で表される化合物(以下、化合物(a−i−04)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−05)で表される化合物(以下、化合物(a−i−05)という。)を得る第二工程を行う。
次いで、化合物(a−i−05)と下記一般式(a−i−06)で表される化合物(以下、化合物(a−i−06)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−07)で表わされる化合物(以下、化合物(a−i−07)という。)を得る第三工程を行う。
次いで、化合物(a−i−07)を酸と反応させて、下記一般式(a−i−08)で表わされる化合物(以下、化合物(a−i−08)という。)を得る第四工程を行う。
次いで、化合物(a−i−08)と下記一般式(a−i−09)で表わされる化合物(以下、化合物(a−i−09)という。)とを反応させて、化合物(a−i−0)を得る第五工程を行う。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基であり、WおよびWはそれぞれ独立してハロゲン原子である。]
前記式中、R、Rは、前記一般式(a−i)中のR、Rと同じであり、R21、R22、Xは、前記一般式(x−1)中のR21、R22、Xと同じである。
前記式中、Wはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
前記式中、Wはハロゲン原子であり、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
[第一工程]
第一工程は、化合物(a−i−01)に、好ましくは酸、より好ましくはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸も共存させて、ここへ化合物(a−i−02)を添加して反応を行うのが好ましい。その際、化合物(a−i−02)は、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は0.5〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜50℃が好ましく、5〜30℃がより好ましい。また、化合物(a−i−02)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜50℃が好ましく、5〜30℃がより好ましい。
化合物(a−i−02)の使用量は、化合物(a−i−01)1モルに対して1〜5モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、適宜必要に応じて、抽出、洗浄等の後処理を行い、化合物(a−i−03)を単離、精製してもよいし、単離することなくそのまま第二工程に使用してもよい。単離、精製には、公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上により、化合物(a−i−03)が得られる。
[第二工程]
第二工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中に、化合物(a−i−04)、マグネシウム、触媒量のヨウ素等を加え、常法によりグリニヤール試薬を調製する。得られたグリニヤール試薬に、化合物(a−i−03)を添加する。化合物(a−i−03)は、滴下により添加することが好ましい。滴下時間は0.2〜4時間が好ましく、0.3〜2時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜70℃が好ましく、5〜40℃がより好ましい。また、化合物(a−i−03)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜90℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
化合物(a−i−04)の使用量は、化合物(a−i−03)1モルに対して0.7〜4モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。マグネシウムの使用量は、化合物(a−i−03)1モルに対して0.7〜4モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−05)が得られる。
[第三工程]
第三工程は、第二工程と同様の反応溶媒を用いて、化合物(a−i−05)と化合物(a−i−06)とを反応させればよい。そして、第二工程に引き続き、化合物(a−i−05)を単離することなく、第三工程の反応を行う方法が好ましい。この場合には、第二工程終了後の反応液に、塩基、好ましくはトリエチルアミン等の有機塩基を加えてから、化合物(a−i−06)を添加すればよい。第三工程の反応時には、化合物(a−i−06)は、滴下により添加することが好ましい。滴下時間は0.2〜4時間が好ましく、0.3〜2時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。また、化合物(a−i−06)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。また、トリエチルアミン等の有機塩基添加後の反応時間は0.5〜24時間が好ましく、1〜7時間がより好ましい。反応温度は−5〜90℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
化合物(a−i−05)を単離せずに反応を行う場合、化合物(a−i−06)の使用量は、化合物(a−i−03)1モルに対して0.7〜4モルが好ましく、1.0〜2モルがより好ましい。塩基の使用量は、化合物(a−i−06)と同様でよい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−07)が得られる。
[第四工程]
第四工程は、水等の反応溶媒中で化合物(a−i−07)にp−トルエンスルホン酸等の酸を添加して反応を行うのがよい。p−トルエンスルホン酸添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は0〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−08)が得られる。
[第五工程]
第五工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中で化合物(a−i−08)に、化合物(a−i−09)を添加して反応を行うのが好ましい。その際、化合物(a−i−09)は、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は0.5〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。また、化合物(a−i−09)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
化合物(a−i−09)の使用量は、化合物(a−i−08)1モルに対して0.7〜5モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−0)が得られる。
また、含フッ素化合物(A1)は、R21及びR22が互いに結合して環構造を形成している場合、例えば、以下のようにして製造できる。
まず、下記一般式(a−i−10)で表される化合物(以下、化合物(a−i−10)という。)と下記一般式(a−i−11)で表される化合物(以下、化合物(a−i−11)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−12)で表される化合物(以下、化合物(a−i−12)という。)を得る第一工程を行う。
次いで、化合物(a−i−12)とエチルビニルエーテル(以下、化合物(a−i−13)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−14)で表される化合物(以下、化合物(a−i−14)という。)を得る第二工程を行う。
次いで、化合物(a−i−14)と下記一般式(a−i−15)で表される化合物(以下、化合物(a−i−15)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−16)で表される化合物(以下、化合物(a−i−16)という。)を得る第三工程を行う。
次いで、化合物(a−i−16)を酸と反応させて、下記一般式(a−i−17)で表される化合物(以下、化合物(a−i−17)という。)を得る第四工程を行う。
次いで、化合物(a−i−17)と下記一般式(a−i−18)で表される化合物(以下、化合物(a−i−18)という。)とを反応させて、下記一般式(a−i−19)で表される化合物(以下、化合物(a−i−19)という。)を得る第五工程を行う。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキレン基であり、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基であり、WおよびWはそれぞれ独立してハロゲン原子である。]
前記式中、R、Rは、前記一般式(a−i)中のR、Rと同じであり、R21、R22、Xは、前記一般式(x−1)中のR21、R22、Xと同じである。
前記式中、Wはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子がより好ましい。
前記式中、Wはハロゲン原子であり、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
[第一工程]
第一工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中に、化合物(a−i−11)、マグネシウム、触媒量のヨウ素等を加え、常法によりグリニヤール試薬を調製する。得られたグリニヤール試薬に、化合物(a−i−10)を添加する。化合物(a−i−10)は、滴下により添加することが好ましい。滴下時間は0.2〜4時間が好ましく、0.3〜2時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜70℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。また、化合物(a−i−10)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜90℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
化合物(a−i−11)の使用量は、化合物(a−i−10)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.7〜1.5モルがより好ましい。マグネシウムの使用量は、化合物(a−i−10)1モルに対して0.7〜5モルが好ましく、2〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、適宜必要に応じて、抽出、洗浄等の後処理を行い、化合物(a−i−12)を単離、精製してもよいし、単離することなくそのまま第二工程に使用してもよい。単離、精製には、公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上により、化合物(a−i−12)が得られる。
[第二工程]
第二工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中、化合物(a−i−12)に、好ましくは酸、より好ましくはp−トルエンスルホン酸等の有機酸も共存させて、ここへ化合物(a−i−13)を添加して反応を行うのが好ましい。その際、化合物(a−i−13)は、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は1〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。また、化合物(a−i−13)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜70℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
化合物(a−i−13)の使用量は、化合物(a−i−12)1モルに対して1〜5モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−14)が得られる。
[第三工程]
第三工程は、例えば、アセトニトリル等の反応溶媒中、化合物(a−i−14)、化合物(a−i−15)に、触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基も共存させ、ここへトリエチルアミンを添加して反応を行うのが好ましい。その際、トリエチルアミンは、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は0.5〜5時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜40℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。また、トリエチルアミン添加後の反応時間は0.5〜24時間が好ましく、1〜7時間がより好ましい。反応温度は−5〜90℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
化合物(a−i−15)の使用量は、化合物(a−i−14)1モルに対して1〜4モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−16)が得られる。
[第四工程]
第四工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中で化合物(a−i−16)に水の共存下、p−トルエンスルホン酸等の酸を添加して反応を行うのがよい。p−トルエンスルホン酸添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は0〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−17)が得られる。
[第五工程]
第五工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中で化合物(a−i−17)に、化合物(a−i−18)を添加して反応を行うのが好ましい。その際、化合物(a−i−18)は、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は1〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。また、化合物(a−i−18)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
化合物(a−i−18)の使用量は、化合物(a−i−17)1モルに対して0.7〜4モルが好ましく、1.0〜3モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、化合物(a−i−19)が得られる。
≪高分子化合物≫
本発明の高分子化合物(以下「高分子化合物(A2)」という。)は、下記一般式(a−ii)で表される構成単位(以下「構成単位(a1)」という。)を有する。
具体的には、前記含フッ素化合物(A1)から誘導される構成単位を有する高分子化合物である。
Figure 0005526347
[式(a−ii)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは下記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。]
Figure 0005526347
[式(x−1)中、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく;Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基である。]
一般式(a−ii)中、X、R、Rは、前記一般式(a−i)中のX、R、Rと同じである。
一般式(x−1)で表される二価の有機基は、前記一般式(x−1)で表される二価の有機基と同じである。
構成単位(a1)のなかで好適なものとしては、下記一般式(a−ii−10)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく;aは1〜10の整数である。]
一般式(a−ii−10)中、R、R、R21、R22、aは、前記一般式(a−i−2)中のR、R、R21、R22、aと同じである。
一般式(a−ii−10)で表される構成単位の好ましい具体例を以下に示す。
以下の各式中、Rβは、水素原子又はメチル基を示す。
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
高分子化合物(A2)中、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子化合物(A2)中、構成単位(a1)の割合は、高分子化合物(A2)を構成する全構成単位の合計に対し、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(a1)の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物に配合した際、レジストパターンの形成において、ディフェクト発生が抑制される。また、疎水性が高く、かつ、リソグラフィー特性も良好なレジスト膜が得られる。
高分子化合物(A2)は、構成単位(a1)以外の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、特に限定されないが、構成単位(a1)を誘導する含フッ素化合物(A1)と共重合可能な化合物から誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位としては、たとえば、後述する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(B1)が有していてもよい構成単位として挙げる構成単位(b1)〜(b4)等が挙げられる。また、後述する1,1−ジエチル−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(含フッ素化合物(9))等のフッ素原子を含有するモノマーから誘導される構成単位などが挙げられる。
高分子化合物(A2)中の構成単位(a1)以外の構成単位は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子化合物(A2)の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜25000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、レジスト組成物として用いた場合、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
高分子化合物(A2)は、上記含フッ素化合物(A1)と同様、レジスト組成物の添加剤として好適に用いることができる。
<高分子化合物(A2)の製造方法>
高分子化合物(A2)は、モノマーとして前記含フッ素化合物(A1)(たとえば前記一般式(a−i−2)で表される化合物等)を、必要に応じて所望の構成単位を誘導するモノマーと共に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル等のラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合することによって得ることができる。
以上説明した、含フッ素化合物(A1)又は高分子化合物(A2)(以下これらをまとめて「(A)成分」という。)はいずれも、レジスト組成物の添加剤として有用であり、なかでも液浸露光用レジスト組成物の配合成分として好適に用いることができる。
当該(A)成分を含有するレジスト組成物によれば、レジストパターンの形成において、浸漬露光時などのアルカリ現像液と接触する前には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性を有するレジスト膜を形成できる。
このように、アルカリ現像時に親水性が高まるレジスト膜を形成できるレジスト組成物を用いることにより、ディフェクトを効果的に低減できる。さらに、リソグラフィープロセスにおける露光が浸漬露光による場合は、水等の浸漬媒体の影響によるディフェクト(ウォーターマークディフェクト等)発生を低減できる。
<レジスト組成物>
上記の当該(A)成分を含有するレジスト組成物としては、たとえば、(A)成分と、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材成分(B)(以下、(B)成分という)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(C)(以下、(C)成分という)とを含有するものが挙げられる。
・(A)成分
(A)成分は、上述した含フッ素化合物(A1)又は高分子化合物(A2)を、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、含フッ素化合物(A1)と高分子化合物(A2)とを混合して用いてもよい。
なかでも、(A)成分としては、高分子化合物(A2)を用いることが好ましい。具体的には、上記式(a−ii−11)〜(a−ii−64)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有する高分子化合物が好ましく、
式(a−ii−11)〜(a−ii−19)、(a−ii−23)〜(a−ii−31)、(a−ii−35)〜(a−ii−43)、(a−ii−47)〜(a−ii−49)、(a−ii−51)〜(a−ii−53)、(a−ii−55)〜(a−ii−57)、(a−ii−59)〜(a−ii−61)、(a−ii−63)および(a−ii−64)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有する高分子化合物がより好ましく、
式(a−ii−11)〜(a−ii−13)、(a−ii−23)〜(a−ii−25)、(a−ii−35)〜(a−ii−37)、(a−ii−47)、(a−ii−51)、(a−ii−55)、(a−ii−59)、(a−ii−63)および(a−ii−64)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有する高分子化合物がさらに好ましい。
また、高分子化合物(A2)のなかでも、前記一般式(a−ii−10)で表される構成単位を有する高分子化合物を用いることが特に好ましい。
さらに上記のなかでも、構成単位(a1)の繰返しからなる高分子化合物(ホモポリマー)がレジスト膜表面により均一な状態で存在できるため最も好ましい。
レジスト組成物における(A)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.3〜30質量部が特に好ましく、0.5〜15質量部が最も好ましい。
上記範囲の下限値以上とすることで、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、特に液浸露光用として好適な疎水性を有するものとなり、上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
・(B)成分
(B)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(低分子材料)と、分子量が2000以上の高分子量の有機化合物(高分子材料)とに大別される。
前記低分子材料としては、通常、非重合体が用いられる。高分子材料としては樹脂(重合体、共重合体)が用いられ、その「分子量」はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。
(B)成分としては、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂を用いることができ、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する低分子材料を用いることもできる。
(A)成分を含有するレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(B)成分としてはアルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに当該ネガ型レジスト組成物には架橋剤が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物は、露光により(C)成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
ネガ型レジスト組成物の(B)成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、又はα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方又は両方を示す。
架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するグリコールウリル等のアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
(A)成分を含有するレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(B)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。該(B)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により前記(C)成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
レジスト組成物において、(B)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であることが好ましい。すなわち、当該レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であることが好ましい。
該(B)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(B1)(以下、(B1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子材料(B2)(以下、(B2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
・・(B1)成分
(B1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができ、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。
ここで、本明細書において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子又は基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての低級アルキル基」の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基又はフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
(B1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(b1)を有することが好ましい。
また、(B1)成分は、構成単位(b1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(b2)を有することが好ましい。
また、(B1)成分は、構成単位(b1)に加えて、又は構成単位(b1)および(b2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(b3)を有することが好ましい。
・・・構成単位(b1)
構成単位(b1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(b1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(B1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(B1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状又は環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素原子および水素原子からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
構成単位(b1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(b1”−1)〜(b1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である。)を示す。]
一般式(b1”−1)〜(b1”−6)において、Rのアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基と同様である。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは低級アルキル基又は脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、0が最も好ましい。
’、R’の低級アルキル基としては、上記Rの炭素原子数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、R’、R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005526347
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yの低級アルキル基としては、上記Rの炭素原子数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。又は、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(b1)としては、下記一般式(b1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(b1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し、Yは2価の連結基を示す。]
一般式(b1−0−1)において、Rのアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(b1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(b1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基又はヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、「−A−O(酸素原子)−B−(ただし、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。)」等が挙げられる。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、水素原子以外の基又は原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基又はアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
構成単位(b1)として、より具体的には、下記一般式(b1−1)〜(b1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005526347
[上記式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基又は脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し、Yはアルキレン基、2価の脂肪族環式基又は「A−O−B」(ただし、A、Bは前記と同じである。)を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(b1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(b1−1)〜(b1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
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Figure 0005526347
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Figure 0005526347
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Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
構成単位(b1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(b1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(b1−1−1)〜(b1−1−7)および(b1−1−36)〜(b1−1−42)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(b1)としては、特に式(b1−1−1)〜式(b1−1−5)の構成単位を包括する下記一般式(b1−1−01)で表されるものや、式(b1−1−36)〜(b1−1−42)の構成単位を包括する下記一般式(b1−1−02)で表されるものも好ましい。
Figure 0005526347
[式中、Rはそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を示す。R11は低級アルキル基を示す。R12は低級アルキル基を示し、hは1〜3の整数を表す。]
一般式(b1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の低級アルキル基は、Rにおける炭素原子数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(b1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基は、Rにおける炭素原子数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
(B1)成分中、構成単位(b1)の割合は、(B1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・・構成単位(b2)
構成単位(b2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(b2)のラクトン環式基は、(B1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりする上で有効なものである。
構成単位(b2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(b2)の例として、より具体的には、下記一般式(b2−1)〜(b2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は−COOR”であり、前記R”は水素原子又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であり;mは0又は1であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。]
一般式(b2−1)〜(b2−5)におけるRは、前記構成単位(b1)におけるRと同様である。
R’のアルキル基としては、前記構成単位(b1)におけるRのアルキル基と同じである。
R”が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合は炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(b2−1)〜(b2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(b2−1)〜(b2−5)の具体的な構成単位を例示する。
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
Figure 0005526347
構成単位(b2)として、前記一般式(b2−1)〜(b2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(b2−1)〜(b2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
なかでも、化学式(b2−1−1)、(b2−1−2)、(b2−1−3)、(b2−2−1)、(b2−2−2)、(b2−2−9)、(b2−2−10)、(b2−3−1)、(b2−3−2)、(b2−3−9)及び(b2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
構成単位(b2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B1)成分中、構成単位(b2)の割合は、(B1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(b2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・・構成単位(b3)
構成単位(b3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(B1)成分が構成単位(b3)を有することにより、(B1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、又はアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等から2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(b3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(b3−1)で表される構成単位、(b3−2)で表される構成単位、(b3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(b3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(b3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
式(b3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基又は3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(b3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B1)成分中、構成単位(b3)の割合は、(B1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(b3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・・構成単位(b4)
(B1)成分は、上記構成単位(b1)〜(b3)以外の他の構成単位(b4)を含んでいてもよい。
構成単位(b4)は、上述の構成単位(b1)〜(b3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(b4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。
該多環式基は、例えば、前記の構成単位(b1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(b4)として具体的には、下記一般式(b4−1)〜(b4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 0005526347
[式中、Rは前記と同じである。]
かかる構成単位(b4)を(B1)成分に含有させる場合、(B1)成分中の構成単位(b4)の割合は、(B1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物において、(B1)成分は、構成単位(b1)、(b2)および(b3)を有する共重合体を含有することが好ましい。該共重合体としては、構成単位(b1)、(b2)および(b3)からなる共重合体、構成単位(b1)、(b2)、(b3)および(b4)からなる共重合体等が挙げられる。
(B)成分中、(B1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物において、(B1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
Figure 0005526347
[式中、Rは前記と同じであり、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20は低級アルキル基である。]
式(B1−1)中、Rは前記と同じであり、なかでも、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
20は低級アルキル基であり、Rの炭素原子数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
(B1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(B1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(B1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されず、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
・・(B2)成分
(B2)成分としては、分子量が500以上2000未満であって、上述の(B1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(B2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール又はキシレノール等のフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物において、(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(B)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であることが好ましく、上記(B1)成分を含有することが特に好ましい。
かかるレジスト組成物中、(B)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
・(C)成分
(C)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(c−1)又は(c−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005526347
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基又はアルキル基を表し;式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(c−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表す。なお、式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部又は全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、R−O−[式中、Rは1価の芳香族有機基、1価の脂肪族炭化水素基又はヒドロキシアルキル基である。]で表される基、R51−O−C(=O)−[式中、R51は、へテロ原子を含んでいてもよい1価の脂肪族炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
前記R−O−で表される基において、Rの1価の芳香族有機基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いたアリール基;これらのアリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
これらのアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。該ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子などが挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
の1価の芳香族有機基としては、アリールアルキル基が好ましく、アリールメチル基がより好ましく、ナフチルメチル基が最も好ましい。
の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の1価の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基が挙げられる。
直鎖状の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状の1価の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
の1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。
のヒドロキシアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の1価の飽和炭化水素基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換されたものである。直鎖状又は分岐鎖状の1価の飽和炭化水素基の1つ又は2つの水素原子が水酸基に置換されたものが好ましい。具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
の1価のヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が特に好ましく、1〜3が最も好ましい。
前記R51−O−C(=O)−で表される基において、R51における1価の脂肪族炭化水素基としては、上記Rの1価の脂肪族炭化水素基に挙げたものと同様のものが挙げられ、特に環状アルキル基が好ましい。該環状アルキル基は、置換基を有していてもよい。
該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
1価の脂肪族炭化水素基は、へテロ原子を含んでいてもよい。たとえばヘテロ原子を含む環状のアルキル基としては、下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005526347
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−又は−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0又は1である。]
式(c−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてが、アリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(c−2)中のR”としては、上記式(c−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(c−1)、(c−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、前記一般式(c−1)又は(c−2)において、アニオン部を下記一般式(c−3)又は(c−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(c−1)又は(c−2)と同様)。
Figure 0005526347
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(c−5)又は(c−6)で表されるカチオンをカチオン部に有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 0005526347
[式中、R41〜R45はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基又はヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。]
41〜R45において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R45に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R45はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
前記式(c−5)又は(c−6)で表されるカチオンをカチオン部に有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(c−1)又は(c−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(c−3)又は(c−4)で表されるアニオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(C−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005526347
(式(C−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又はアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基又はアリール基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的又は完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。
なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的又は完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。
なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アリール基又はシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(C−2)又は(C−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005526347
[式(C−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005526347
[式(C−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。R37は2又は3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。p”は2又は3である。]
前記一般式(C−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(C−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2又は3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1又は2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基又はハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005526347
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(C)成分は、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(C)成分として、トリアリールスルホニウムイオンをカチオン部とし、置換基を有していてもよいフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオン部とするオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物における(C)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
・任意成分。
・・(D)成分
レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミン又はアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
(D)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(B)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
・・(E)成分
レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(B)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
・・(S)成分
レジスト組成物は、その配合成分を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
(S)成分は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、好ましくはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
レジスト組成物における配合成分の(S)成分への溶解としては、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じてディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
本発明に係る(A)成分、すなわち含フッ素化合物(A1)又は高分子化合物(A2)、をレジスト組成物に配合することにより、レジストパターン形成におけるディフェクトの発生を抑制できる。
かかる(A)成分は、フッ素原子を含み、塩基(アルカリ現像液)の作用により分解する前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、かつ、塩基(アルカリ現像液)の作用によって末端の基「−O−C(=O)−R」におけるエステル結合「−O−C(=O)−」が分解(加水分解)して親水基「HO−C(=O)−」が生成し、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。また、酸解離性部位を有することから、露光によってもアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
これにより、当該(A)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、当該(A)成分を含有しないレジスト組成物を用いた場合に比べてその疎水性が高く、かつ、アルカリ現像液に対して分解性を示す特性を有する。
当該(A)成分を含有するレジスト組成物によれば、レジストパターンの形成において、アルカリ現像液と接触する前には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性を有するレジスト膜を形成できる。
このように、アルカリ現像時に親水性が高まるレジスト膜を形成できるレジスト組成物を用いることにより、(液浸)露光におけるディフェクト(特に現像工程後の析出物によるディフェクト)の発生を効果的に抑制できる。
本発明に係る(A)成分は、上述のとおり、アルカリ現像液に対して分解性を示す性質を有することから、当該(A)成分を含有するレジスト組成物により、アルカリ現像液と接触する前には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性を有するレジスト膜を形成することができる。さらに、当該(A)成分を含有するレジスト組成物によれば、アルカリ現像時間が短くても(たとえば10秒間未満であっても)、当該(A)成分の末端の基「−O−C(=O)−R」におけるエステル結合「−O−C(=O)−」が速やかに分解(加水分解)して親水性の高いレジスト膜を形成することができる。
以上より、本発明に係る(A)成分を含有するレジスト組成物は、未露光部および露光部のいずれにおいても、ディフェクト(特に現像工程後の析出物によるディフェクト)の発生を効果的に抑制でき、さらには液浸露光プロセスにおいて有用性が高いと云える。
レジスト膜の疎水性は、水に対する接触角、たとえば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落し始めたときのレジスト膜の傾斜角度(転落角)と、水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)と、転落方向後方の端点における接触角(後退角)とがある。)等を測定することにより評価できる。たとえばレジスト膜の疎水性が高いほど、静的接触角、前進角および後退角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
図1は、前進角(θ)、後退角(θ)及び転落角(θ)を説明する図である。
ここで、前進角は、図1に示すように、その上に液滴1が置かれた平面2を次第に傾けていった際に、当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるときの当該液滴1の下端1aにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θである。また、このとき(当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるとき)、当該液滴1の上端1bにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θが後退角であり、当該平面2の傾斜角度θが転落角である。
本明細書において、前進角、後退角および転落角は以下の様にして測定される。
まず、シリコン基板上に、レジスト組成物溶液をスピンコートした後、110℃の温度条件で60秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(製品名、協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(製品名、協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
(A)成分を含有するレジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜における露光および現像を行う前の後退角の測定値が70°以上であることが好ましく、73°以上であることがより好ましく、75°以上であることがさらに好ましい。後退角の上限値の好ましい値は、特に限定されず、たとえば90°以下である。当該後退角の測定値が下限値以上であると、レジスト膜表面の疎水性に優れ、特に液浸露光において、物質溶出抑制効果が向上する。
また、(A)成分を含有するレジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜における露光および現像を行う前の静的接触角の測定値が90°以上であることが好ましく、90〜100°であることがより好ましい。当該静的接触角の測定値が前記範囲であると、レジスト膜表面の疎水性に優れ、液浸露光において、物質溶出抑制効果が向上する。
また、(A)成分を含有するレジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜における露光および現像を行う前の転落角の測定値が25°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。転落角が上限値以下であると、浸漬露光時の物質溶出抑制効果が向上する。また、転落角の下限値の好ましい値は、特に限定されず、たとえば5°以上である。
また、(A)成分を含有するレジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜における露光および現像を行う前の前進角の測定値が80〜100°であることが好ましく、80〜90°であることがより好ましい。前進角が前記範囲であると、ディフェクトの発生がより抑制され、リソグラフィー特性も良好となる。
上述の各種角度(動的接触角(前進角、後退角、転落角等)、静的接触角)の大きさは、レジスト組成物の組成、たとえば(A)成分の種類や配合量、(B)成分の種類等を選択することにより制御できる。
さらに、(A)成分は酸解離性部位を有するので、非露光部においてその構造は変わらないが、(C)成分から露光により酸が発生すると、当該酸の作用により、(A)成分中のXにおける酸解離性部位と当該酸解離性部位と結合している原子との間の結合が切断され、(A)成分中の「−O−C(=O)−R」を含む基が解離する。これにより、レジスト膜のアルカリ溶解性が増大する。すなわち、(A)成分を含有するレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合には、(A)成分は、レジスト膜の非露光部においては、アルカリ現像液に対する溶解抑止効果を発揮し、露光部においては溶解促進効果を発揮すると考えられ、露光部/非露光部の高コントラスト化が可能になると考えられる。
また、(A)成分は、一般式(a−i)で表されるように、比較的極性が高いカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を有するので、レジスト組成物中において他の成分との相溶性が向上している。したがって、(A)成分を含有するレジスト組成物は、経時安定性の向上が期待される。
このように、(A)成分を含有するレジスト組成物は、液浸露光においてもレジスト材料に求められる種々の特性を充分に備えたものであるから、液浸露光用としても好適に用いることができる。
<レジストパターン形成方法>
レジストパターン形成方法は、本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
レジストパターンの形成方法の好ましい一例を下記に示す。
まず、支持体上に、本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物をスピンナーなどで塗布した後、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB)処理)を行うことにより、レジスト膜を形成する。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
レジスト膜の形成後、レジスト膜上にさらに有機系の反射防止膜を設けて、支持体と、レジスト膜と、反射防止膜とからなる3層積層体とすることもできる。レジスト膜上に設ける反射防止膜は、アルカリ現像液に可溶であるものが好ましい。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するレジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
次いで、上記で得られたレジスト膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に露光を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fレーザーなどの放射線を用いて行うことができる。本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物は、KrF又はArFエキシマレーザーに対してより有効であり、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
レジスト膜を露光する工程において液浸露光(Liquid Immersion Lithography)を行う場合は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明の(A)成分を含有するレジスト組成物は、特に水による悪影響を受けにくく、感度、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性にも優れることから、かかるレジスト組成物においては、液浸媒体として、水が好ましく用いられる。また、水は、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
次いで、(浸漬)露光工程を終えた後、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行い、続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、支持体を回転させながら、該支持体表面に水を滴下又は噴霧して、支持体上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流すことにより実施できる。そして、乾燥を行うことにより、レジスト膜(レジスト組成物の塗膜)がマスクパターンに応じた形状にパターニングされたレジストパターンが得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)<含フッ素化合物(1)の合成>
Figure 0005526347
i)第一工程:4−(1−エトキシエトキシ)−2−ブタノン(化合物(III))の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、4−ヒドロキシ−2−ブタノン(化合物(I))200.0gと、触媒量のp−トルエンスルホン酸ピリジニウムを入れ、撹拌した。エチルビニルエーテル(化合物(II))327.4gを20℃で滴下し、さらに20℃で3時間撹拌を続けた。トリエチルアミン275mgを加えて反応を停止し、減圧濃縮し、4−(1−エトキシエトキシ)−2−ブタノン(化合物(III))362.0gを得た。
ii)第二工程〜第三工程:3−(1−エトキシエトキシ)−1−エチル−1−メチルプロピルメタクリレート(化合物(VII))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1600gと、マグネシウム72.8gと、触媒量のヨウ素と、臭化エチル(化合物(IV))391.8gを入れ、常法によりグリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬に、第一工程で得られた化合物(III)320.0gをTHF160.0gに溶解したものを25℃で滴下し、さらに60分間撹拌を続けて化合物(V)を得た。
次いで、トリエチルアミン181.7gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))313.2gを25℃で滴下し、さらに60分間撹拌を続けた。水1280gを加えて反応を停止し、酢酸エチル1280gを加え、3N塩酸水266gを滴下し、抽出した。得られた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をカラム精製し、減圧蒸留によって精製し、3−(1−エトキシエトキシ)−1−エチル−1−メチルプロピルメタクリレート(化合物(VII))264.8gを得た。
iii)第四工程:1−エチル−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピルメタクリレート(化合物(VIII))の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、第三工程で得られた化合物(VII)263.2gと、水2632gを入れ、撹拌した。20℃でp−トルエンスルホン酸・1水和物96.9gを入れ、さらに2時間撹拌を続けた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液790gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、1−エチル−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピルメタクリレート(化合物(VIII)207.6gを得た。
iv)第五工程:1−エチル−1−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロアセトキシ)−プロピルメタクリレート(含フッ素化合物(1))の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、第四工程で得られた化合物(VIII)207.6gと、テトラヒドロフラン1038gを入れ、撹拌した。20℃で無水トリフルオロ酢酸(IX)234.1gを滴下し、さらに60分間撹拌を続けた。水560gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をカラム精製し、減圧蒸留によって精製し、1−エチル−1−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロアセトキシ)−プロピルメタクリレート(含フッ素化合物(1))167.5gを得た。
得られた含フッ素化合物(1)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.92(t,3H,−C−CH)、1.50(s,3H,−CH)、1.90(s,3H,C=C−CH)、1.76〜2.08(m,2H,−CH−)、2.18−2.50(m,2H,−CH−C−O−)、4.49(t,2H,−CH−O−C(=O)−)、5.55(s,1H,C=CH)、6.03(s,1H,C=CH
上記の結果から、含フッ素化合物(1)が上記構造を有することが確認できた。
(実施例2)<含フッ素高分子化合物(1)の合成>
Figure 0005526347
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール139.6gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール209.4gに化合物(1)149.6gとアゾビスイソ酪酸ジメチル11.0gを溶解した溶解液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ3時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。上澄み液を抜き出し、テトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。上澄み液を抜き出し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、減圧濃縮して、含フッ素高分子化合物(1)の21.5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液452.3gを得た。
含フッ素高分子化合物(1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は8500であり、分散度(Mw/Mn)は1.72であった。
(実施例3)<含フッ素高分子化合物(2)の合成>
上記実施例2において、重合開始剤をアゾビスイソ酪酸ジメチルからアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)へ変更した以外は同様にして、含フッ素高分子化合物(2)を合成した。
得られた含フッ素高分子化合物(2)の質量平均分子量(Mw)は7900、分散度(Mw/Mn)は1.72であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
含フッ素高分子化合物(2)の構造は、含フッ素高分子化合物(1)と同じである。
(実施例4)<含フッ素化合物(2)の合成>
Figure 0005526347
上記実施例1−i)〜iv)において、出発原料を4−ヒドロキシ−2−ブタノンから6−ヒドロキシ−3−ヘキサノンへ変更した以外は同様にして、1,1−ジエチル−4−(2,2,2−トリフルオロアセトキシ)−ブチルメタクリレート(含フッ素化合物(2))を得た。
得られた含フッ素化合物(2)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.83(t,6H,−C−CH)、1.68〜2.00(m,11H,−CH−,C=C−CH)、4.35(t,2H,−CH−O−C(=O)−)、5.50(s,1H,C=CH)、6.02(s,1H,C=CH
上記の結果から、含フッ素化合物(2)が上記構造を有することが確認できた。
(実施例5)<含フッ素高分子化合物(3)の合成>
Figure 0005526347
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール5.1gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール13.3gに含フッ素化合物(2)20.0gとアゾビスイソ酪酸ジメチル1.34gを溶解した溶解液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。上澄み液を抜き出し、テトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。上澄み液を抜き出し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、減圧濃縮して、含フッ素高分子化合物(3)の20.0質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液38gを得た。
含フッ素高分子化合物(3)について、質量平均分子量(Mw)は7000、分散度(Mw/Mn)は1.52であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
(実施例6)<含フッ素高分子化合物(4)の合成>
上記実施例5において、重合開始剤をアゾビスイソ酪酸ジメチルからアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)へ変更した以外は同様にして、含フッ素高分子化合物(4)を合成した。
得られた含フッ素高分子化合物(4)の質量平均分子量(Mw)は6800、分散度(Mw/Mn)は1.52であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
含フッ素高分子化合物(4)の構造は、含フッ素高分子化合物(3)と同じである。
[ポリマー合成例1:含フッ素高分子化合物(5)の合成]
i)第一工程:2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルブロモアセテート(化合物(III−b))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにアセトン400g、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(化合物(I−b))100g、トリエチルアミン121.3gを入れ、窒素置換後、0℃に冷却した。ブロモアセチルブロミド(化合物(II−b))86.1gを0〜5℃で3時間かけて滴下し、さらに0℃で2時間撹拌を続けた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を減圧蒸留によって精製し、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルブロモアセテート(化合物(III−b))49.6gを得た。
ii)第二工程〜第三工程:1,1−ジエチル−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(含フッ素化合物(9))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン224.7g、3−ペンタノン(化合物(IV−b))24.7g、亜鉛粉末23.6gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、第一工程で得られた化合物(III−b)7.6gを45℃で加えた。その後、第一工程で得られた化合物(III−b)68.3gを55℃で30分間かけて滴下し、さらに90分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン42.5gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))41.0gを20℃で40分間かけて滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。10%炭酸水素ナトリウム水溶液250gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を減圧蒸留によって精製し、1,1−ジエチル−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(含フッ素化合物(9))51.1gを得た。
Figure 0005526347
得られた含フッ素化合物(9)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.90(tr,6H,−CH)、1.90(s,3H,=C−CH)、1.86〜2.08(m,4H,−C−CH−)、3.08(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.53(q,2H,CF−CH−)、5.52(m,1H,C=CH)、6.03(s,1H,C=CH
上記の結果から、含フッ素化合物(9)が上記構造を有することが確認できた。
iii)含フッ素高分子化合物(5)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール4.16gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール12.0gに含フッ素化合物(9)18.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.682gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素高分子化合物(5)7.1gを得た。
得られた含フッ素高分子化合物(5)の質量平均分子量(Mw)は7100であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.36であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 0005526347
[ポリマー合成例2:含フッ素高分子化合物(6)の合成]
(i)含フッ素化合物(11)の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン444.0g、シクロヘキサノン(化合物(IV−d))70.6g、亜鉛粉末51.0gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、ポリマー合成例1のi)で得られた化合物(III−b)15.0gを55℃で加えた。その後、化合物(III−b)135.0gを60℃で30分間かけて滴下し、さらに90分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン72.8gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))69.4gを20℃で40分間かけて滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。10%炭酸水素ナトリウム水溶液250gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を減圧蒸留によって精製し、1−シクロヘキサン−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(含フッ素化合物(11))38.1gを得た。
Figure 0005526347
得られた含フッ素化合物(11)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.21〜1.38(m,1H,c−C10)、1.48〜1.72(m,7H,c−C10)、1.94(s,3H,=C−CH)、2.28〜2.39(m,2H,c−C10)、3.13(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.51(t,2H,−CF−CH−)、5.55(m,1H,C=CH)、6.07(s,1H,C=CH
上記の結果から、含フッ素化合物(11)が上記構造を有することが確認できた。
(ii)含フッ素高分子化合物(6)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール3.84gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール10.0gに含フッ素化合物(11)15.0g、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.916gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素高分子化合物(6)9.6gを得た。
得られた含フッ素高分子化合物(6)の質量平均分子量(Mw)は8900であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.44であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 0005526347
[ポリマー合成例3:含フッ素高分子化合物(7)の合成]
i)工程1
8.00g(37.7mmol)の[化合物1]を、45.33gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601(重合開始剤)を1.88mmol加え、溶解させた。この溶液を、窒素雰囲気下にて70℃、6時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール溶液に滴下し、重合体を析出させる操作を3回繰り返した。このようにして得られた重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を4.25g得た(収率53%)。これを[高分子化合物1]とする。
この[高分子化合物1]について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は13,500であり、分散度は1.37であった。
Figure 0005526347
ii)工程2
次に、窒素雰囲気下0℃で、[高分子化合物1]3.20g(15mmol相当)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.406g(3.32mmol)のTHF溶液10gを調整し、ここにメタノール3.20gを添加した。室温まで戻し、70℃加熱条件下、15時間撹拌した。室温まで冷却したのち、酢酸エチルで3回抽出し得られた有機層を1N塩酸水溶液、水でそれぞれ2回ずつ洗浄し、有機層を減圧下溶媒留去して赤色結晶として[高分子化合物2]を2.5g得た。
この[高分子化合物2]について、13C−NMRよりアセチル基の脱保護を確認したところ、脱保護率は100%であった。この結果から、[高分子化合物1]中のアセチル基が全て解離したことが確認できた。
Figure 0005526347
iii)工程3
次に、窒素雰囲気下0℃で、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸4.3g(34mmol)、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDCI)塩酸塩8.0g(41mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.2g(2mmol)のTHF溶液50mlに[高分子化合物2]2.5g(15mmol相当)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。反応液を0℃に冷やし、水を加えて反応を停止した。得られた有機層を水で3回洗浄し、減圧下溶媒留去した。得られた粗成物の酢酸エチル溶液をヘプタンに滴下する再沈操作で、目的とする含フッ素高分子化合物(7)を無色固体として2.9g得た(収率71%)。
この含フッ素高分子化合物(7)について、13C−NMRにより、−CO−CH−CFの導入を確認したところ、導入率は100%であった。この結果から、[高分子化合物2]中の−OHが全て−O−CO−CH−CFとなったことが確認できた。
また、含フッ素高分子化合物(7)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は17500であり、分散度は1.37であった。
Figure 0005526347
<ポジ型レジスト組成物の調製>
(試験例1〜6、試験例11〜16)
表1に示す各成分を混合して溶解することによりポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 0005526347
表1中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:前記含フッ素高分子化合物(1)。
(A)−2:前記含フッ素高分子化合物(2)。
(A)−3:前記含フッ素高分子化合物(5)。
(A)−4:前記含フッ素高分子化合物(6)。
(A)−5:下記化学式(A)−5で表される含フッ素高分子化合物。特開2008−134607号公報に記載の合成例1と同様にして合成した。Mw8200、Mw/Mn1.50。
(A)−6:前記含フッ素高分子化合物(7)。
Figure 0005526347
(B)−1:下記化学式(B1−1−1)で表される共重合体。Mw7000、Mw/Mn1.8。化学式中、構成単位( )の右下の数値はその構成単位の割合(モル%)を示す。
Figure 0005526347
(C)−1:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
<レジスト膜の疎水性の評価>
得られたポジ型レジスト組成物を用いて、以下の手順で、露光前のレジスト膜表面とアルカリ現像後のレジスト膜表面の静的接触角をそれぞれ測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。
[静的接触角の測定(露光前)]
8インチシリコンウェーハ上に、得られたポジ型レジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
当該レジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に、水2μLを滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて静的接触角の測定を行った。この測定値を「Coat後接触角(°)」とした。その結果を表2に示す。
[静的接触角の測定(アルカリ現像後)]
静的接触角の測定(露光前)後のウェーハを、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で、
試験例2、試験例5、試験例11〜14については「4秒間」の現像処理を行い、
試験例15については「30秒間」の現像処理を行い、
いずれの例もその後15秒間、純水を用いて水リンスした後、上記と同様にして静的接触角の測定を行った。この測定値を「現像後接触角(°)」とした。その結果を表2に示す。
また、Coat後接触角と現像後接触角との差をΔ接触角(°)で示した。
Figure 0005526347
表2の結果から、試験例2、5のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、Coat後接触角の値が大きいことから、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できることが確認できた。
また、試験例2、5におけるレジスト膜は、「4秒間」という短時間のアルカリ現像後において現像後接触角が60°未満の値を示し、アルカリ現像後には、フッ素含有化合物を添加していない試験例11よりも親水性が高くなっていることが確認できた。さらに、試験例2、5におけるレジスト膜は、現像後接触角がCoat後接触角より30°以上も小さくなっていることが分かる。
したがって、試験例2、5のポジ型レジスト組成物は、試験例11〜15のポジ型レジスト組成物に比べて、浸漬露光時には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性に優れていると云える。
<溶出物の測定>
上記[静的接触角の測定(露光前)]と同様にして、得られたポジ型レジスト組成物を用いて、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(50μL)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト積層体表面の総接触面積221.56cm)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Ag1lent−HP1100 LC−MSD(商品名、Ag1lent Technolog1es社製)により酸発生剤成分と含窒素有機化合物成分を分析し、これら成分のレジスト膜からの溶出量(×10−12mol/cm・s)の合計を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 0005526347
表3の結果から、試験例2、5のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、試験例11のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜に比べて、レジスト膜からの溶出量が少なく、レジスト膜中からの物質溶出を抑制する効果に優れていることが確認できた。よって、本発明に係る含フッ素高分子化合物を含有するレジスト組成物は、液浸露光用レジスト組成物として有用であるといえる。
<レジストパターンの形成(1)>
試験例1、3、4、6及び試験例11のポジ型レジスト組成物を用いて、以下の手順に従ってレジストパターンを形成し、以下に示す評価をそれぞれ行った。
[レジストパターンの形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、塗布装置ACT8(製品名 東京エレクトロン社製)で塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、該反射防止膜上に、上記ポジ型レジスト組成物をそれぞれ、前記塗布装置で塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302A(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、マスクを介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で30秒間のアルカリ現像処理を行い、その後30秒間、純水リンスし、100℃で60秒間のポストベーク処理を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅130nmのラインが等間隔(ピッチ260nm)に配置されたラインアンドスペースのレジストパターン(以下「L/Sパターン」という。)が形成された。
ライン幅130nm(ピッチ260nm)のL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)、すなわち感度を求めた。
その結果、試験例1、3、4、6及び試験例11のいずれにおいても24mJ/cmであった。
また、試験例1、3、4、6及び試験例11のポジ型レジスト組成物について、前記ライン幅130nm(ピッチ260nm)のL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(24mJ/cm)にて、ライン幅140nm(ピッチ280nm)のL/Sパターンと、ライン幅120nm(ピッチ240nm)のL/Sパターンをそれぞれ形成した。
その結果、いずれの例においても、矩形性の高い、良好な形状のレジストパターンが形成されることが確認できた。
よって、本発明に係る含フッ素高分子化合物を含有することによるレジストパターン形成への悪影響はない、と云える。
<レジストパターンの形成(2)>
試験例2、5及び試験例12〜14、16のポジ型レジスト組成物を用いて、以下の手順に従ってレジストパターンを形成し、以下に示す評価をそれぞれ行った。
[レジストパターンの形成]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚70nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、該反射防止膜上に、上記ポジ型レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S308F(ニコン社製;NA(開口数)=0.85,σ=0.95)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、110℃60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅65nmのラインが等間隔(ピッチ130nm)に配置されたラインアンドスペースのレジストパターン(L/Sパターン)が形成された。かかるL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)、すなわち感度を求めた。その結果を表4に示す。
[ディフェクトの評価]
得られたライン幅65nm(ピッチ130nm)のL/Sパターンの未露光部及び露光部のそれぞれにおいて、欠陥測定装置(KLAテンコール社製:KLA)により欠陥数を測定した(ここで、試験例2、5は、L/Sパターンの未露光部と露光部におけるそれぞれの欠陥数を測定し、酸解離性部位を有する(A)成分を含有する試験例12〜14のポジ型レジスト組成物については、未露光部のみの欠陥数を測定し、酸解離性部位を有さない(A)成分を含有する試験例16のポジ型レジスト組成物については、露光部のみの欠陥数を測定した)。
各例における当該欠陥数の測定の結果を、試験例2のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたL/Sパターンの未露光部における欠陥数を100としたときの相対的な割合で表4に示した。この割合が小さい値ほど、ディフェクトの発生が抑制されていることを意味する。
Figure 0005526347
表4の結果から明らかなように、試験例2、5のポジ型レジスト組成物は、試験例12〜14のポジ型レジスト組成物に比べて、未露光部ディフェクトの発生が抑制されていることが確認できた。
よって、上記の静的接触角の測定において試験例2、5の現像後接触角が低いという結果が反映されていることが確認できた。
また、試験例2、5のポジ型レジスト組成物は、試験例16のポジ型レジスト組成物に比べて、露光部ディフェクトの発生が抑制されていることが確認できた。酸解離性部位を有さない(A)成分を含有する試験例16のポジ型レジスト組成物においては、現像残渣によるディフェクトが相対的に増加したものと考えられる。
1…液滴 1a…下端 1b…上端 2…平面 θ…前進角 θ…後退角 θ…転落角

Claims (2)

  1. 下記一般式(a−i)で表される含フッ素化合物。
    Figure 0005526347
    [式(a−i)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは下記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。]
    Figure 0005526347
    [式(x−1)中、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基である(ただし、X はOCOR 基と結合する)。]
  2. 下記一般式(a−ii)で表される構成単位を有する高分子化合物。
    Figure 0005526347
    [式(a−ii)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは下記一般式(x−1)で表される二価の有機基であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。]
    Figure 0005526347
    [式(x−1)中、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキル基であり、これらが相互に結合して一つの環構造を形成していてもよく、Xはアルキレン基又は二価の脂肪族環式基である(ただし、X はOCOR 基と結合する)。]
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