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JP5523681B2 - 医用画像処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に、被検体の形態画像と機能画像とを合成して表示する技術に関する。
近年、被検体の形態や機能を表す画像を取得する医用画像診断装置の普及が進んでいる。医用画像診断装置としては、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、核医学診断装置などがある。
医用画像診断装置の有効性が発揮される疾患の一つに虚血性心疾患がある。虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓等の影響により冠動脈に狭窄が生じ、心筋への酸素や栄養の供給が欠乏する疾患である。
虚血性心疾患の診断や治療では、従来、被検体の心臓の形態を表す画像(形態画像)を参照して血管の狭窄率を計測する方法が広く用いられていた。しかし、動脈硬化等が生じている血管(責任血管)と狭窄率との相関は一般にあまり高くないことが知られており、したがって、狭窄率のみを参照しても診断や治療を高い確度で行うことは容易ではない。
また、被検体の心臓の機能を表す画像(機能画像)を参照して診断を行うことも考えられるが、機能画像だけでは責任血管の位置を正確に特定できず、診断や治療を確度良く行うことは難しい。
このような事情に鑑み、形態画像と機能画像とを合成して表示する技術が開発された。このように複数の画像(形態画像同士又は機能画像同士でもよい)を合成して得られる画像は、フュージョン画像などと呼ばれる。
特許文献1、2には、フュージョン画像を表示可能な技術が開示されている。特許文献1に記載の技術は、X線CT装置により得られる断層画像(形態画像)と、超音波診断装置により得られる血流分布画像(機能画像)とを合成したフュージョン画像を作成して表示するものである。特許文献2に記載の技術は、MRI装置により得られる形態画像と超音波診断装置により得られる血流分布画像(機能画像)とを合成したフュージョン画像を作成して表示するものである。
特開平10−127623号公報 特開2003−153877号公報
しかしながら、前述した従来の技術では、次のような理由により診断や治療を良好な確度で行うことができない。
まず、形態画像のみ又は機能画像のみを参照する場合には、上述のように、診断の確度の問題がある。特に、形態画像を参照する場合、画像中の狭窄部位を見落とすおそれもある。
また、造影剤を投与して撮影した形態画像(造影画像)と通常の形態画像との差分を求めて血管の画像を抽出して表示する手法も知られているが(デジタル・サブトラクション・アンジオグラフィなどと呼ばれる)、この手法は一般に、細かな血管系を有する心臓の検査には適さないとされている。
また、特許文献1、2に記載のフュージョン画像を参照する場合、機能画像として血流分布画像しか得られないため、責任血管の位置を正確に特定することは困難であり、診断や治療を確度良く行うことは難しい。
また、従来では、責任血管の位置を特定するための検査と、その結果に基づく治療との双方を行う必要があった。しかし、双方のプロセスでカテーテル検査を実施する必要があり、被検者に大きな負担が掛かるという問題があった。また、双方のプロセスで被検者が放射線被曝を受けるという問題もあった。更に、検査と治療との間隔が長い(たとえば2週間程度)という問題もあった。
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、心臓等の臓器の診断や治療を確度良く行うことが可能な医用画像処理装置及び医用画像診断装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検体の静止画像及び動画像を受け付ける受付手段と、第1の装置により形成された被検体の心臓の形態を表す形態画像としての心臓領域の画像を前記静止画像から抽出する心臓領域抽出手段と、前記動画像に基づいて、前記第1の装置と異なる第2の装置により形成された前記心臓の壁運動を表す機能画像を生成する生成手段と、を含む取得手段と、表示手段と、前記動画像に基づいて心臓の断層画像を生成する断層画像生成手段を含み、前記心臓領域の画像及び前記機能画像に基づく合成画像と、前記断層画像とを前記表示手段に表示させる処理手段と、を備えることを特徴とする医用画像処理装置である。
また、請求項2に記載の発明は、前記断層画像生成手段は、前記動画像に基づいて、心臓の心基部、心尖部及び乳頭筋のうちの少なくとも一つの部位における断層画像を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置である。
また、請求項3に記載の発明は、前記受付手段は、前記静止画像における被検体の向きを表す体位情報を受け付け、前記処理手段は、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、前記長軸と前記心臓領域の画像の境界との交差位置を特定し、前記体位情報に基づいて前記交差位置が前記心基部であるか又は前記心尖部であるかを判定し、前記断層画像生成手段は、前記交差位置に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置である。
また、請求項4に記載の発明は、前記処理手段は、心臓の乳頭筋の形状情報を予め記憶し、前記形状情報に適合する前記静止画像の部分領域を特定し、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、前記断層画像生成手段は、前記部分領域に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置である。
また、請求項5に記載の発明は、前記処理手段は、前記断層画像の断面位置を表す断面位置情報を前記合成画像上に表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の医用画像処理装置である。
この発明に係る医用画像処理装置は、それぞれ別々の装置により形成された心臓の形態画像及び心臓の壁運動の状態を表す機能画像を取得し、これら画像に基づく合成画像を表示するように作用する。このような医用画像処理装置によれば、形態画像によって心臓の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して心臓の壁運動の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示できるので、心臓の機能が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。したがって、この発明に係る医用画像処理装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができる。
また、この発明に係る医用画像処理装置は、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示する。このような医用画像処理装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができるとともに、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能である。
また、この発明に係る医用画像診断装置は、臓器の形態画像を外部から受け付け、当該臓器の機能又は形態を反映するデータを検出して機能画像を形成し、更に、形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示するように作用する。このような医用画像診断装置によれば、臓器の診断や治療の確度向上を図ることができる。
また、この発明に係る医用画像診断装置は、被検体内の形態を反映するデータを検出して心臓の形態画像を形成し、当該心臓の壁運動の状態を表す機能画像を外部から受け付け、形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示する。更に、この医用画像診断装置は、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示する。このような医用画像診断装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができるとともに、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能である。
また、この発明に係る医用画像診断装置は、心臓の形態画像を外部から受け付け、当該心臓の機能又は形態を表すデータを検出して当該心臓の壁運動の状態を表す機能画像を形成し、形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示する。更に、この医用画像診断装置は、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示する。このような医用画像診断装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができるとともに、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能である。
この発明に係る医用画像処理装置及び医用画像診断装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下、この発明に係る医用画像処理装置の第1〜第4の実施形態を説明し、その後に、この発明に係る医用画像診断装置の実施形態を説明する。
〈第1の実施形態〉
第1の実施形態に係る医用画像処理装置は、心臓の形態を表す形態画像と、心臓の壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、これらの合成画像を表示することにより、高確度の診断や治療を実現するものである。
この実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を図1に示す。図1に示す医用画像処理装置1は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して医用画像データベース300に接続されている。
医用画像データベース300は、各種の医用画像診断装置により取得された医用画像などの医用情報を保管、管理する。医用画像データベース300は、ハードディスクドライブ等大容量の記憶装置と、この記憶装置に格納される医用情報を管理するコンピュータプログラムとを含んで構成される。
医用画像データベース300は、たとえば、PACS(Picture Archiving and Communication System)を含んで構成される。なお、RIS(Radiology Information System)や、HIS(Hospital Information System)などの医療情報システムを含んでいてもよい。
医用画像データベース300は、通信回線を介して各種の医用画像診断装置に接続されている。この実施形態では、医用画像データベース300は、医用画像診断装置100及び医用画像診断装置200にそれぞれ接続されている。
医用画像診断装置100は、被検体の体内の形態を表す画像を形成する。特に、医用画像診断装置100は、被検体内の形態を反映するデータを検出し、このデータに基づいて被検体の心臓を含む範囲の形態画像を形成する。医用画像診断装置100は、心臓を含む範囲の静止画像や動画像を形成する。
医用画像診断装置100は、たとえば、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、核医学診断装置(PET、SPECT等)のように、被検体の形態画像を取得可能な任意の医用画像診断装置により構成される。
医用画像診断装置200は、被検体の体内機能の検査に供される画像(機能画像)を形成する。特に、医用画像診断装置200は、被検体の心臓の壁運動の解析に供される画像を形成する。医用画像診断装置200は、たとえば被検体の心臓を含む範囲の動画像を形成する。
医用画像診断装置200は、たとえば、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、核医学診断装置(PET、SPECT等)のような装置により構成され、心臓の壁運動の解析に供される画像を形成する。一般に、心臓の壁運動解析は、超音波診断装置、MRI装置、心筋SPECT、心筋PETなどによって行われている。特に、壁運動の状態を表す機能画像としては、超音波診断装置により取得された画像(超音波画像)が用いられることが多い。超音波診断装置を用いる場合、たとえばドプラ画像等の機能画像を形成することも可能である。
なお、医用画像診断装置の台数は2台に限定されるものではない。たとえば、3台以上の医用画像診断装置を用いて形態画像と機能画像を形成するように構成できる。また、単一の医用画像診断装置によって形態画像と機能画像の双方を形成するようにしてもよい。
各医用画像診断装置100、200は、形成された画像(の画像データ)を医用画像データベース300に送信する。このとき、各画像には、被検体情報や検査情報等の情報が付帯される。
被検体情報は、被検体(患者)に関する情報である。被検体情報には、たとえば、患者ID、氏名、性別、年齢などが含まれる。
検査情報は、医用画像診断装置を用いた検査に関する情報である。検査情報には、たとえば、検査日時、撮影条件、画像における被検体の向き(頭部方向、下肢方向等)を表す体位情報などが含まれる。また、心拍に同期させて画像を取得する心電同期撮影を実施した場合、検査情報には、各画像に対応する心臓の時相を表す心電同期情報が含まれる。
これらの情報は、たとえばDICOM付帯情報として画像に付帯される。なお、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)とは、デジタル医用画像分野における標準規格である。
また、被検体(特に心臓)の形態画像と機能画像の双方が取得されている場合であって、これらの画像の位置合わせが既になされている場合には、医用画像データベース300は、この位置合わせ処理にて得られたパラメータを保管することができる。
画像の位置合わせは、形態画像が定義される座標系(第1の座標系)と、機能画像が定義される座標系(第2の座標系)とを対応付ける座標変換により行う。この座標変換パラメータは、たとえば座標変換を表現する変換行列として与えられる。
具体例として、形態画像及び機能画像の双方が3次元画像である場合には、形態画像のボリュームデータが定義される第1の3次元座標系と、機能画像のボリュームデータが定義される第2の3次元座標系とを対応付ける3×3行列が座標変換パラメータとして適用される。
なお、画像の位置合わせは、たとえば各画像中の特徴点の位置合わせを行う手法や、画像の相関係数を用いる手法など、任意の公知技術を用いて行うことができる。
医用画像データベース300は、医用画像診断装置100、200から送信された画像や付帯情報を保管、管理する。医用画像データベース300は、医用画像処理装置1等の通信回線上の装置からの要求を受け、画像等を検索して要求元の装置に送信する。
[医用画像処理装置]
医用画像処理装置1について説明する。医用画像処理装置1は、医用画像データベース300から画像の供給を受けて、形態画像と機能画像の合成画像を生成して表示する。
医用画像処理装置1は、一般的なコンピュータと同様の構成を有する。すなわち、医用画像処理装置1は、CPU等のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス(LANカード等)、表示デバイス(LCD、CRT等)、操作デバイス(キーボード、マウス等)を具備する。
ハードディスクドライブ等の記憶装置には、この実施形態に特徴的な動作を医用画像処理装置1に実行させるためのコンピュータプログラムや各種の情報が予め記憶されている。
医用画像処理装置1は、図1に示すように、制御部2、データ取得部3、データ処理部4、表示条件設定部5、表示部6及び操作部7を備える。
制御部2は、医用画像処理装置1の各部を制御する。制御部2は、上記コンピュータプログラムに基づいて動作するマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
データ取得部3は、心臓の形態を表す形態画像と心臓の壁運動の状態を表す機能画像とを取得するための各種処理を実行する。データ取得部3は、この発明の「取得手段」の一例である。
データ取得部3には、データ受付部31、心臓領域抽出部32、壁運動解析部33及び機能画像生成部34が設けられている。
データ受付部31は、通信回線を介して医用画像データベース300と通信し、医用画像や付帯情報などを受信する。
より具体的に説明すると、データ受付部31は、制御部2に制御され、医用画像データベース300にデータ送信要求を送る。データ送信要求には、たとえば患者ID、検査日時、要求元(医用画像処理装置1)のネットワークアドレス等の情報が含まれている。
医用画像データベース300は、患者IDや検査日時等に基づいて送信対象のデータを検索し、検索されたデータをネットワークアドレスに基づいて医用画像処理装置1に送信する。データ受付部31は、医用画像データベース300から送信されたデータを受信する。受信されたデータは、たとえばハードディスクドライブ等の記憶装置に格納される。
データ受付部31は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。データ受付部31は、この発明の「受付手段」の一例である。
データ受付部31は、心臓を含む範囲の画像を受信すると、この画像を心臓領域抽出部32に送る。心臓領域抽出部32は、たとえば、画像を形成する画素の画素値について閾値処理を実行し、心臓に相当する画像領域(心臓領域)を抽出する。この閾値は、ハードディスクドライブ等に予め記憶されている。心臓領域抽出部32は、特に、3次元画像(ボリュームデータ)から心臓領域を抽出する。
このように心臓領域を自動的に抽出する代わりに、オペレータが心臓領域を指定するようにしてもよい。その場合、まず、表示部6に画像を表示させる。なお、画像が3次元画像である場合には、ボリュームデータをレンダリングして擬似的な3次元画像を表示させる。オペレータは、たとえばマウスのドラッグ操作により、表示画像中の心臓領域を指定する。心臓領域抽出部32は、指定された領域を当該画像から抽出する。
心臓領域を抽出する処理は、上記のものに限定されるものではなく、任意の公知技術を適用することが可能である。心臓領域抽出部32は、抽出された心臓領域を画像位置合わせ部41に送る。心臓領域抽出部32は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。心臓領域抽出部32は、この発明の「心臓領域抽出手段」の一例である。
壁運動解析部33について説明する。データ受付部31は、心臓の壁運動の解析に供される画像を壁運動解析部33に送る。このような画像としては、超音波診断装置により得られた心臓の動画像がある。
壁運動解析部33は、動画像を形成する複数のフレームについて心臓壁の各位置の動きを追跡するなどして、心臓の壁運動の状態(変位量、変位方向、変位速度等)を取得する。このような壁運動解析は、従来の任意の手法を適用して行うことができる。壁運動解析部33は、壁運動の解析結果を機能画像生成部34に送る。
なお、医用画像診断装置200等により既に壁運動の解析が実施されている場合には、このような壁運動解析を行う必要はない。壁運動解析部33は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
機能画像生成部34は、壁運動解析部33により得られた壁運動の解析結果に基づいて、心臓の機能画像を生成する。この機能画像は、たとえば、壁運動の状態を表す変位量や変位速度等の値の分布を色や濃淡で表現した画像である。
一例として、変位量が所定値より大きい部位を第1の色で、当該所定値以下の部位を第2の色でそれぞれ表現する機能画像を生成することが可能である。このような色分け画像はカラーマップなどと呼ばれる。機能画像生成部34は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
次に、データ処理部4について説明する。データ処理部4は、心臓の形態画像及び機能画像に基づく合成画像を生成する。データ処理部4は、制御部2とともに、この発明の「処理手段」の一例として機能する。
データ処理部4には、画像位置合わせ部41と表示画像生成部42が設けられている。また、表示画像生成部42には、合成画像生成部43と断層画像生成部44が設けられている。
画像位置合わせ部41は、心臓の形態画像と機能画像との位置合わせを実行する。この位置合わせ処理は、たとえば次のようにして行うことができる。
形態画像が定義される第1の座標系と、機能画像が定義される第2の座標系との間の座標変換パラメータが既に得られている場合について説明する。この場合には、前述のように、この座標変換パラメータが医用画像データベース300に保管されている。データ受付部31は、この座標変換パラメータを医用画像データベース300から取得し、データ処理部4に送る。
画像位置合わせ部41は、この座標変換パラメータを用いて第2の座標系の座標値を第1の座標系の座標値に変換し、機能画像を第1の座標系の座標値で表現することで、形態画像と機能画像とを同じ座標系(ここでは第1の座標系)で定義する。
なお、これとは逆に形態画像を第2の座標系で定義するように処理することもできる。また、第1、第2の座標系の双方と変換可能な第3の座標系にて形態画像と機能画像とを定義するようにしてもよい。
形態画像と機能画像の双方が3次元画像である場合には、双方の画像のボリュームデータが同じ3次元座標系にて定義されることになる。
座標変換パラメータが医用画像データベース300に保存されていない場合には、画像位置合わせ部41は、前述のような任意の公知技術を用いて形態画像と機能画像との位置合わせを行う。
画像位置合わせ部41は、形態画像と機能画像との位置合わせ結果を表示画像生成部42に送る。画像位置合わせ部41は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
なお、たとえば心臓の特徴点(心基部、心尖部、乳頭筋、血管等)を用いるなどして形態画像と機能画像との位置合わせが既になされている場合には、画像位置合わせ部41による位置合わせ処理を省略することが可能である。
表示画像生成部42は、表示部6に表示される各種の画像を生成する。表示画像生成部42には、合成画像生成部43と断層画像生成部44が設けられている。表示画像生成部42は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
合成画像生成部43について説明する。形態画像と機能画像は、画像位置合わせ部41によって同じ座標系にて定義されている。たとえば双方の画像が3次元画像である場合には、双方のボリュームデータが同じ3次元座標系にて定義されている。
合成画像生成部43は、このように同じ座標系にて定義された形態画像と機能画像を合成することにより、一つの画像(画像データ)を生成する。また、合成画像生成部43は、この生成された画像を表示用の画像に変換する処理を適宜に行う。
双方の画像が3次元画像である場合、合成画像生成部43は、双方の画像の各ボクセルのボクセル情報(輝度、RGB値等)を融合し、双方の画像を一つのボリュームデータ(合成ボリュームデータ)で表現する。すなわち、合成ボリュームデータの各ボクセルには、形態画像の当該ボクセルのボクセル情報と、機能画像の当該ボクセルのボクセル情報とが割り当てられる。したがって、合成ボリュームデータの各ボクセルは、形態を表すボクセル情報と機能を表すボクセル情報とを含んでいる。
合成画像生成部43は、合成ボリュームデータに対してボリュームレンダリング等のレンダリング処理を施して、表示用画像(画像データ)を生成する。このようにして生成される表示用画像は、所定の視線方向から心臓等を見た状態における擬似的な3次元画像である。
また、合成画像生成部43は、必要に応じ、表示色やグラデーションなどを表示用画像に設定する。
以上に説明した処理の代わりに、たとえば、形態画像の表示用画像と機能画像の表示用画像とを個別に生成することも可能である。この場合、これらの表示用画像は、画像位置合わせ部41により、互いの位置が対応付けられている。したがって、一方の表示用画像を他方の表示用画像に重ねて表示させることにより、上記と同様の表示効果を得ることができる。このとき、上に表示される画像の透明度を調整し、下の画像が透けて見えるようにすることができる。
断層画像生成部44について説明する。断層画像生成部44は、形態画像や機能画像が3次元画像である場合に、そのボリュームデータに基づいて断層画像を生成する。たとえば、断層画像生成部44は、機能画像のボリュームデータや、合成ボリュームデータに基づいて、心臓の断層画像を生成する。このように断層画像を生成する処理は、たとえばMPR(multiplanar reconstruction)や曲線MPR(curved MPR)などの任意の公知技術を用いて実行される。また、3次元画像を形成するために用いられた断層画像(2次元断層画像)をそのまま表示用画像として用いることも可能である。断層画像生成部44は、この発明の「断層画像生成手段」の一例である。
表示条件設定部5について説明する。表示条件設定部5は、表示部6に表示される画像の各種の表示条件を設定するためのものである。表示条件としては、レンダリング条件や幾何条件や投影条件などがある。
レンダリング条件は、ボリュームレンダリングやMIP(maximum intensity projection)等のように、ボリュームデータから擬似的3次元画像を生成するためのレンダリング処理において設定される条件である。レンダリング条件としては、たとえば画像の解像度などがある。
幾何条件は、画像が定義される座標系について設定される条件である。幾何条件としては、たとえば、画像の表示範囲や表示倍率などがある。
投影条件は、擬似的3次元画像の表示態様に関する条件である。投影条件としては、投影方法(遠近法、平行投影等)、視線方向、移動(変位、方向)、回転(角度、方向)などがある。また、2つ以上の画像を重畳表示する場合には、画像の透明度等も投影条件に含まれる。
これらの表示条件は、たとえばオペレータにより指定される。オペレータが操作部7を用いて表示条件を設定すると、制御部2は、その設定内容を表示条件設定部5に送る。表示条件設定部5は、この設定内容に関連する情報(設定情報)を制御部2に送る。この設定情報は、当該表示条件を適用するための数式や各種データなどを含む。
制御部2は、この設定情報をデータ取得部3やデータ処理部4に入力する。その入力先は、当該設定情報に基づいて処理を実行する。たとえば、合成画像生成部43は、幾何条件の設定情報に基づいて合成画像を生成する。また、表示画像生成部42は、投影条件の設定情報に基づいて合成画像の表示態様を設定する。
デフォルト設定された表示条件を適用することも可能である。このデフォルトの表示条件の設定情報は、表示条件設定部5に予め記憶されている。制御部2は、たとえばデータ取得部3やデータ処理部4からの要求に対応し、当該表示条件の設定情報を表示条件設定部5から取得して当該要求元に入力する。
表示部6は、制御部2により制御され、各種の画面、画像、データ等を表示する。表示部6は、LCDやCRTディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。表示部6は、この発明の「表示手段」の一例である。
操作部7は、オペレータが医用画像処理装置1の操作を行ったり、表示条件等の設定を行ったり、患者ID等の各種データの入力を行ったりするために操作される。操作部7は、マウスやキーボード等の操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。操作部7は、この発明の「操作手段」の一例である。
[動作態様]
医用画像処理装置1の動作態様を説明する。図2に示すフローチャートは、医用画像処理装置1の動作態様の一例を表している。また、図3は、医用画像処理装置1により表示される画像の一例を表している。
まず、オペレータは、操作部7を操作し、患者ID等の患者識別情報を入力する(S1)。制御部2は、入力された患者識別情報をデータ取得部3に送る。
データ受付部31は、この患者識別情報を基に、医用画像データベース300にデータの送信を要求する。医用画像データベース300は、この要求に基づいてデータ(形態画像、機能画像、付帯情報等)を検索し、医用画像処理装置1に送信する。データ受付部31は、医用画像データベース300からのデータを受信する(S2)。
この動作態様では、データ受付部31は、当該患者の心臓を含む範囲の3次元形態画像のボリュームデータ(及びその付帯情報)と、心臓の3次元動画像(及びその付帯情報)とを受信したものとする。データ受付部31は、ボリュームデータを心臓領域抽出部32に入力し、動画像を壁運動解析部33に入力する。
心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S3)。心臓領域抽出部32は、抽出された心臓領域を画像位置合わせ部41に送る。
また、壁運動解析部33は、心臓の動画像に基づいて、心臓の壁運動の状態を表す情報(変位量、変位方向、変位速度等)を取得する(S4)。壁運動解析部33は、取得された壁運動の状態を表す情報を機能画像生成部34に送る。
機能画像生成部34は、壁運動の状態を表す情報に基づいて、壁運動の状態を表す機能画像を生成する(S5)。機能画像生成部34は、生成された機能画像を画像位置合わせ部41に送る。
なお、上記のステップ3と、ステップ4、5は、どちらの処理を先に行ってもよい。また、これらの処理を並行して行ってもよい。
画像位置合わせ部41は、ステップ3で抽出された心臓領域と、ステップ5で生成された機能画像とについて、心臓の特徴点等による位置合わせが既になされているか判断する(S6)。この処理は、たとえば、心臓領域の基のボリュームデータと、機能画像の基のボリュームデータとが既に位置合わせされているか否かを判断することにより行う。
既に位置合わせがなされていると判断された場合(S6:Y)、画像位置合わせ部41は、心臓領域と機能画像とを合成画像生成部43に送る。
合成画像生成部43は、これらの画像(双方ともボリュームデータである)を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S7)。このとき、合成画像生成部43は、予め設定された幾何条件に基づいて、合成ボリュームデータの範囲や倍率等を設定する。また、合成画像生成部43は、各画像のボリュームデータをボクセルサイズに応じて拡大/縮小して再度サンプリングを行う。このとき、形態画像(心臓領域)の情報と機能画像の情報は、予め設定された表示条件に応じた比率で各ボクセルに指定される。
続いて、合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像(擬似的な3次元画像である)を生成する(S8)。この処理は、予め設定されたレンダリング条件に基づいて実行される。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像の投影方法、視線方向、移動、回転などを変更し、表示用画像を生成する(S9)。この処理は、予め設定された投影条件に基づいて実行される。表示画像生成部42は、生成された表示用画像を制御部2に送る。
断層画像生成部44は、データ受付部31により取得された心臓の動画像のフレームに対してMPR処理を施すなどして、心臓の断層画像を生成する(S10)。なお、ステップ7で生成された合成ボリュームデータから断層画像を生成してもよい。このとき、たとえば心基部、心尖部及び乳頭筋の各部位における断層画像が生成される。
制御部2は、ステップ9で生成された表示用画像と、ステップ10で生成された断層画像とを表示部6に表示させる(S11)。以上で、ステップ6において「Y」と判断された場合の処理は終了となる。
次に、ステップ6において「N」と判断された場合の処理について説明する。ステップ6において、心臓領域と機能画像との位置合わせが未だなされていないと判断されると(S6:N)、画像位置合わせ部41は、座標変換パラメータを取得する(S21)。
この座標変換パラメータは、前述のように、データ受付部31が医用画像データベース300から取得したものであってもよいし、画像位置合わせ部41が求めたものであってもよい。
更に、画像位置合わせ部41は、この座標変換パラメータに基づいて、心臓領域と機能画像との位置合わせを行う(S22)。画像位置合わせ部41は、この位置合わせ結果(座標値の対応関係)とともに、心臓画像と機能画像を合成画像生成部43に送る。
合成画像生成部43は、これらの画像を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S7)。
合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像を生成する(S8)。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像に基づく表示用画像を生成する(S9)。
断層画像生成部44は、心臓の動画像に基づいて、心臓の断層画像を生成する(S10)。
制御部2は、ステップ9で生成された表示用画像と、ステップ10で生成された断層画像とを表示部6に表示させる(S11)。以上で、ステップ6において「N」と判断された場合の処理は終了となる。
ステップ11にて表示される画像の表示態様について説明する。図3は、この表示態様の一例を表す。表示部6のスクリーン6Aには、合成画像表示領域61Aと断層画像表示領域61Bが設けられている。
合成画像表示領域61Aには、ステップ9で生成された表示用画像Gが表示される。この表示用画像Gは、心臓領域(形態画像)Gaと機能画像Gbとを合成した画像である。心臓領域Gaは、所定の視線方向から心臓を見たときの外観を表す画像である。機能画像Gbは、壁運動の状態を表示色や濃淡で表現した画像である。
機能画像Gbは所定の透明度で表示され、それにより、機能画像Gbの下に位置する心臓領域Gaの部分が透けて見えるようになっている。
断層画像表示領域61Bには、心臓の心基部における断層画像H1、乳頭筋における断層画像H2、及び、心尖部における断層画像H3が並んで表示される。なお、これらの断層画像H1〜H3は、たとえば心臓の長軸(心基部と心尖部とを結んだ直線)に直交する断面における断層画像とされる。
各断層画像H1〜H3は、或る時相(たとえば心臓の拡張末期)における静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
動画像を表示させる場合には、医用画像データベース300から取得された心臓の動画像の各フレームから断層画像H1〜H3をそれぞれ生成する(フレームを間引いてもよい)。また、動画像を表示させる場合には、時相を表す心電図等を同時に表示させることが望ましい。
また、各断層画像H1〜H3と同じ断面位置における機能画像の部分領域を特定し、この部分領域と同じ表示態様で各断層画像H1を表示させることが可能である。なお、各断層画像H1〜H3は、機能画像と同じボリュームデータから生成されているので、双方の画像中の位置を容易に対応付けることが可能である。
それにより、合成ボリュームデータに基づく断層画像と同様に、心臓の壁運動の状態を表す機能画像と断層画像H1〜H3との合成断層画像を表示することが可能となる。このような合成断層画像によれば、心臓の断面の形態と、当該断面における壁運動の状態の双方を観察することが可能である。
[作用・効果]
医用画像処理装置1の作用及び効果を説明する。
医用画像処理装置1は、以上に詳述したように、被検体の心臓の形態を表す形態画像と、壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、これら形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示するように作用する。
このような医用画像処理装置1によれば、形態画像(心臓領域)によって心臓の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して壁運動の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示しているので、心臓のどの部位の壁運動が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。
したがって、医用画像処理装置1によれば、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。また、心臓における壁運動の状態の分布を一目で把握することも可能である。
なお、虚血性心疾患の診断における責任血管の位置特定において、心臓の壁運動は、血管狭窄率よりも責任血管の位置との関連が強いことが知られている。したがって、医用画像処理装置1によれば、従来よりも高確度で責任血管の位置を特定することが可能である。
また、医用画像処理装置1によれば、ボリュームデータから心臓の形態画像(心臓領域)を抽出し、この心臓領域と機能画像の合成画像を表示することができるので、心臓の形態を詳しく観察することが可能である。特に、冠動脈の分布状態を詳細に把握することができる。それにより、責任血管の位置特定を容易に行うことが可能である。
なお、形態画像として2次元画像(断層画像)を用いる場合には、心臓領域を抽出する必要はない。
また、医用画像処理装置1によれば、心臓の形態画像と機能画像の合成画像とともに、心臓の断層画像を表示することができる。それにより、心臓壁の形態や動きを詳細に把握することが可能である。
なお、断層画像は、心基部、心尖部、乳頭筋の各部を断面とするものである必要はない。たとえば、これらのうちの少なくとも一つの断層画像を表示させることができる。また、これら以外の断面位置における断層画像を適宜に表示させることも可能である。
上記の動作態様では、事前に取得された心臓の形態画像と機能画像を取得し、それらの合成画像を表示しているが、心臓の形態画像や機能画像を撮影しつつ合成画像を表示するように構成することが可能である。
その場合、従来のように責任血管の位置特定の検査と治療との双方を実施する必要はなく、これらを一連のプロセスで行うことが可能である。そのために、たとえば次のようにして処理を行うことが可能である。
まず、事前に機能画像のみを取得しておく(形態画像と同時に取得してもよい)。被検体にカテーテルを挿入しつつ形態画像を撮影する。撮影された形態画像と機能画像との合成画像を表示する。この形態画像にはカテーテルの陰影が映っている。検者は、合成画像を参照して責任血管の位置を特定し、その特定位置にカテーテルを誘導して治療を行う。
このようなプロセスで治療を行うことで、検査期間や検査回数の低減、造影剤の投与回数の低減、被曝量の低減などにより、患者の負担軽減を図ることができる。
〈第2の実施形態〉
この発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置は、心臓の形態を表す形態画像と、心臓の壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、形態画像から冠動脈領域を抽出し、冠動脈領域と機能画像との合成画像を表示するものである。
この実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を図4に示す。この医用画像処理装置10には、第1の実施形態の医用画像処理装置1(図1参照)の構成に加え、データ取得部3に冠動脈領域抽出部35が設けられている。
冠動脈領域抽出部35は、心臓領域抽出部32により形態画像から抽出された心臓領域から、更に冠動脈領域を抽出する。冠動脈領域は、当該心臓領域において、心臓の冠動脈に相当する画像領域である。
冠動脈領域抽出部35は、心臓領域を形成する画素の画素値について閾値処理を実行することで冠動脈領域を抽出する。この閾値は、ハードディスクドライブ等に予め記憶されている。冠動脈領域抽出部35は、特に、3次元画像(ボリュームデータ)からなる心臓領域から冠動脈領域を抽出する。この冠動脈領域は、3次元画像(ボリュームデータ)である。
また、冠動脈の起点、分岐点、先端等の特徴点を抽出し、これらを結んだグラフ(樹形図)を作成することにより、冠動脈領域を抽出することもできる。
以上のように冠動脈領域を自動的に抽出する代わりに、たとえばマウスのドラッグ操作によりオペレータが冠動脈領域を指定するようにしてもよい。冠動脈領域抽出部35は、指定された領域を当該画像から抽出する。
冠動脈領域を抽出する処理は、上記のものに限定されるものではなく、任意の公知技術を適用することが可能である。冠動脈領域抽出部35は、抽出された冠動脈領域を画像位置合わせ部41に送る。冠動脈領域抽出部35は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。冠動脈領域抽出部35は、この発明の「冠動脈領域抽出手段」の一例である。
[動作態様]
医用画像処理装置10の動作態様を説明する。図5に示すフローチャートは、医用画像処理装置10の動作態様の一例を表している。また、図6は、医用画像処理装置10により表示される画像の一例を表している。
まず、オペレータは患者識別情報を入力する(S31)。制御部2は、入力された患者識別情報をデータ取得部3に送る。
データ受付部31は、この患者識別情報を基に、医用画像データベース300からデータ(形態画像、機能画像、付帯情報等)を取得する(S32)。この動作態様では、当該患者の心臓を含む範囲の3次元形態画像のボリュームデータ(及びその付帯情報)と、心臓の3次元動画像(及びその付帯情報)とを受信したものとする。データ受付部31は、ボリュームデータを心臓領域抽出部32に入力し、動画像を壁運動解析部33に入力する。
心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S33)。心臓領域抽出部32は、抽出された心臓領域を冠動脈領域抽出部35に送る。
冠動脈領域抽出部35は、心臓領域から冠動脈領域を抽出する(S34)。冠動脈領域抽出部35は、抽出された冠動脈領域を画像位置合わせ部41に送る。
また、壁運動解析部33は、心臓の動画像に基づいて、心臓の壁運動の状態を表す情報(変位量、変位方向、変位速度等)を取得する(S35)。壁運動解析部33は、取得された壁運動の状態を表す情報を機能画像生成部34に送る。
機能画像生成部34は、壁運動の状態を表す情報に基づいて、壁運動の状態を表す機能画像を生成する(S36)。機能画像生成部34は、生成された機能画像を画像位置合わせ部41に送る。
なお、上記のステップ33、34と、ステップ35、36は、どちらの処理を先に行ってもよい。また、これらの処理を並行して行ってもよい。
画像位置合わせ部41は、ステップ34で抽出された冠動脈領域と、ステップ36で生成された機能画像とについて、心臓の特徴点等による位置合わせが既になされているか判断する(S37)。この処理は、冠動脈領域の基のボリュームデータと、機能画像の基のボリュームデータとが既に位置合わせされているか否かを判断することにより行う。
既に位置合わせがなされていると判断された場合(S37:Y)、画像位置合わせ部41は、冠動脈領域と機能画像とを合成画像生成部43に送る。
合成画像生成部43は、これらの画像(双方ともボリュームデータである)を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S38)。
続いて、合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像(擬似的な3次元画像である)を生成する(S39)。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像の投影方法、視線方向、移動、回転などを変更し、表示用画像を生成する(S40)。
断層画像生成部44は、心臓の動画像のフレームに対してMPR処理を施すなどして、心臓の断層画像を生成する(S41)。なお、ステップ38で生成された合成ボリュームデータから断層画像を生成してもよい。このとき、たとえば心基部、心尖部及び乳頭筋の各部位における断層画像が生成される。
制御部2は、ステップ40で生成された表示用画像と、ステップ41で生成された断層画像とを表示部6に表示させる(S42)。以上で、ステップ37において「Y」と判断された場合の処理は終了となる。
次に、ステップ37において「N」と判断された場合の処理について説明する。ステップ37において、冠動脈領域と機能画像との位置合わせが未だなされていないと判断されると(37:N)、画像位置合わせ部41は、座標変換パラメータを取得する(S51)。座標変換パラメータの取得方法は、第1の実施形態と同様である。
更に、画像位置合わせ部41は、この座標変換パラメータに基づいて、冠動脈領域と機能画像との位置合わせを行う(S52)。画像位置合わせ部41は、この位置合わせ結果(座標値の対応関係)とともに、冠動脈画像と機能画像を合成画像生成部43に送る。
合成画像生成部43は、これらの画像を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S38)。
合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像を生成する(S39)。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像に基づく表示用画像を生成する(S40)。
断層画像生成部44は、心臓の動画像に基づいて、心臓の断層画像を生成する(S41)。
制御部2は、ステップ40で生成された表示用画像と、ステップ41で生成された断層画像とを表示部6に表示させる(S42)。以上で、ステップ37において「N」と判断された場合の処理は終了となる。
ステップ42にて表示される画像の表示態様について説明する。図6は、この表示態様の一例を表す。表示部6のスクリーン6Aには、第1の実施形態と同様に、合成画像表示領域61Aと断層画像表示領域61Bが設けられている。
合成画像表示領域61Aには、ステップ40で生成された表示用画像Gが表示される。この表示用画像Gは、冠動脈領域(形態画像)Jaと機能画像Jbとを合成した画像である。冠動脈領域Jaは、所定の視線方向から冠動脈を見たときの外観を表す画像である。なお、図6に破線で示す領域は、心臓領域を表している。実際の表示画面では、この心臓領域を表示させなくてもよいし、薄い色で表示させるなどしてもよい。機能画像Jbは、壁運動の状態を表示色や濃淡で表現した画像である。
機能画像Jbは所定の透明度で表示され、それにより、機能画像Jbの下に位置する冠動脈領域Jaの部分が透けて見えるようになっている。
断層画像表示領域61Bには、第1の実施形態と同様に、心臓の心基部、乳頭筋、心尖部における断層画像H1、H2、H3がそれぞれ表示される。断層画像H1〜H3は、心臓の機能画像に基づく断層画像であってもよいし、合成ボリュームデータに基づく断層画像であってもよい。
[作用・効果]
医用画像処理装置10の作用及び効果を説明する。
医用画像処理装置10は、以上に詳述したように、被検体の心臓の冠動脈の形態を表す形態画像(冠動脈領域)と、壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、これら形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示するように作用する。
このような医用画像処理装置10によれば、形態画像(冠動脈領域)によって冠動脈の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して壁運動の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示しているので、冠動脈のどの部位において心臓の壁運動が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。
したがって、医用画像処理装置10によれば、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。また、壁運動の状態の分布を一目で把握することも可能である。
また、医用画像処理装置10によれば、心臓の実質部分を表示させなかったり、実質部分を薄い色で表示させたりできるので、冠動脈の形態や分布状態を特に詳細に観察することが可能である。それにより、たとえば責任血管の位置特定を容易に行うことが可能となる。
〈第3の実施形態〉
この発明の第3の実施形態に係る医用画像処理装置は、心臓の形態を表す形態画像と、心臓の壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、形態画像から心臓領域を抽出し、心臓領域領域と機能画像との合成画像を表示する。更に、この実施形態に係る医用画像処理装置は、機能画像に基づいて、心臓の所望の断面位置における断層画像を表示可能とするものである。
この実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を図7に示す。この医用画像処理装置20には、第1の実施形態の医用画像処理装置1(図1参照)の構成に加え、データ取得部3に特徴部位抽出部36が設けられている。更に、医用画像処理装置20のデータ処理部4には、断面設定部45、狭窄率演算部46が設けられている。
特徴部位抽出部36は、心臓領域抽出部32により抽出された心臓領域に基づいて、心臓の特徴部位を抽出する。この特徴部位としては、心基部、心尖部、乳頭筋などがある。これら部位に相当する画像中の位置を、それぞれ、心基部位置、心尖部位置、乳頭筋位置と呼ぶことにする。特徴部位抽出部36は、心臓領域における心基部位置、心尖部位置及び乳頭筋位置を特定するように作用する。
特徴部位抽出部36が実行する処理について説明する。以下、心基部位置及び心尖部位置を抽出する処理と、乳頭筋位置を抽出する処理とに分けて説明する。
心基部位置及び心尖部位置を抽出する処理について、図8を参照しつつ説明する。図8に示すフローチャートは、当該処理の一例を表す。
まず、データ受付部31は、医用画像データベース300から形態画像のボリュームデータ及びその付帯情報と、機能情報のボリュームデータ及びその付帯情報とを取得する(S61)。なお、機能画像のボリュームデータ及びその付帯情報は、特徴部位の抽出処理においては処理対象とはならない。
形態画像の付帯情報には、この形態画像についての体位情報が含まれている。体位情報とは、前述のように、画像における被検体の向き(頭部方向、下肢方向等)を表す情報である。
次に、心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S62)。
特徴部位抽出部36は、抽出された心臓領域の長軸を特定する(S63)。この処理は、たとえば、心臓領域の形状を近似する楕円体を求め、この楕円体の長軸を求め、これを心臓領域の長軸として定義することにより行うことができる。また、心臓領域の境界領域を抽出し、この境界領域上において距離が最大となる二つの点を求め、これら二つの点を結ぶ直線を長軸として定義することも可能である。ステップ63の処理は、心臓領域の長軸を特定可能な任意の公知技術を用いて行うことができる。
更に、特徴部位抽出部36は、心臓領域における心基部位置及び心尖部位置の候補位置を求める(S64)。この処理は、たとえば次のようにして行われる。
まず、心臓領域の長軸に直交する平面を求める。次に、この平面を長軸方向に移動させ、この平面に接する心臓領域の境界領域上の位置を探索する。それにより、心臓領域の境界領域と長軸との二つの交差位置が特定される。そして、これら二つの交差位置を心基部位置及び心尖部位置の候補位置とする。
続いて、特徴部位抽出部36は、ステップ61で取得された体位情報に基づいて、ステップ64で求められた各候補位置(交差位置)が心基部位置であるか心尖部位置であるかを判定する(S65)。
前述のように、体位情報は、形態画像における頭部方向や下肢方向を表す情報である。また、心臓(心臓領域)の長軸は、一般に、被検体の体軸方向に対して傾斜しており、その傾斜角度は90度ではない。よって、ステップ64で求められた二つの候補位置は、体軸方向における異なる位置に存在する。
特徴部位抽出部36は、二つの候補位置のうちのどちらが頭部方向に位置し、どちらが下肢方向に位置するか特定する。そして、特徴部位抽出部36は、頭部方向の候補位置を心基部位置と判定し、下肢方向の候補位置を心尖部位置と判定する。以上で、心基部位置及び心尖部位置を抽出する処理は終了となる。
次に、乳頭筋位置を抽出する処理について、図9を参照しつつ説明する。図9に示すフローチャートは、当該処理の一例を表す。
まず、データ受付部31は、医用画像データベース300から形態画像のボリュームデータ及びその付帯情報と、機能情報のボリュームデータ及びその付帯情報とを取得する(S71)。
なお、機能画像のボリュームデータ及びその付帯情報は、特徴部位の抽出処理においては処理対象とはならない。また、ステップ71の処理は、上記のステップ61の処理と同一である。
次に、心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S72)。この処理は、上記のステップ62の処理と同一である。
特徴部位抽出部36は、心臓領域における乳頭筋の近傍領域を抽出する(S73)。この近傍領域は、乳頭筋位置を含む画像領域である。ステップ73の処理は、たとえば次のようにして行われる。
心臓の乳頭筋は、前乳頭筋、中乳頭筋、後乳頭筋の三つの突起からなる。これら三つの乳頭筋は、心臓の特定範囲に位置している。特徴部位抽出部36は、この特定範囲を表す情報(乳頭筋範囲情報)を予め記憶している。この乳頭筋範囲情報は、たとえば、多数の被検体の心臓について乳頭筋の位置を検査し、その検査結果を統計的に処理にて乳頭筋の標準的な位置を求めることで得られる。
乳頭筋範囲情報は、たとえば、心臓の形状を模したテンプレート画像であり、このテンプレート画像における各乳頭筋が位置する範囲(乳頭筋範囲)を記録した情報である。
この場合、特徴部位抽出部36は、まず、心臓領域に対して、テンプレート画像のサイズや向きを合わせ、乳頭筋範囲に対応する心臓領域中の位置を特定する。それにより、心臓領域における各乳頭筋の近傍領域が抽出される。
また、乳頭筋範囲情報は、心基部及び心尖部に対する乳頭筋の位置を表す情報であってもよい。この乳頭筋範囲情報は、たとえば、心基部と心尖部とを結んだ直線(長軸)上において乳頭筋が位置する範囲を表す情報である。この情報も、多数の被検体の心臓について乳頭筋の位置を検査することにより得られる。
この場合、特徴部位抽出部36は、まず、前述のようにして心臓領域の長軸を求める。次に、特徴部位抽出部36は、乳頭筋範囲情報に基づいて、この長軸において乳頭筋が位置する範囲を特定する。それにより、心臓領域における各乳頭筋の近傍領域が抽出される。以上で、ステップ73の説明を終わる。
次に、特徴部位抽出部36は、ステップ73で抽出された乳頭筋の近傍領域に対してスムージングフィルタを適用する(S74)。
このスムージングフィルタ(smoothing filter)は、乳頭筋の突起の曲率半径と同程度の凹凸は消去せず、乳頭筋よりも相当程度小さな曲率半径の凹凸を消去するように設定されている。
なお、各乳頭筋は、それぞれ特有の形状を有している。特に、各乳頭筋の表面は、それぞれ特有の曲率半径(曲率)を有している。したがって、各乳頭筋の曲率半径の標準値(平均、標準偏差等)は、臨床的に取得できる。上記のスムージングフィルタは、このようにして得られた各乳頭筋の曲率半径に基づいて設定することができる。
このようなスムージングフィルタを適用することにより、乳頭筋の近傍領域における小さな凹凸を消去することができる。
続いて、特徴部位抽出部36は、スムージングフィルタが適用された近傍領域における乳頭筋位置を特定する(S75)。この処理は、たとえば次のようにして行われる。
特徴部位抽出部36は、上記のように臨床的に得られた各乳頭筋の曲率半径(曲率)の標準値に基づく、各乳頭筋の曲率半径の許容範囲(乳頭筋の形状情報)を予め記憶している。特徴部位抽出部36は、スムージングフィルタが適用された近傍領域から、当該許容範囲に含まれる曲率半径を有する突起部分を探索し、探索された突起部分を乳頭筋位置とする。以上で、乳頭筋位置を抽出する処理は終了となる。
[動作態様]
この実施形態に係る医用画像処理装置20の動作態様を説明する。図10に示すフローチャートは、医用画像処理装置20の動作態様の一例を表している。
まず、データ受付部31は、医用画像データベース300から形態画像のボリュームデータ及びその付帯情報と、機能情報のボリュームデータ(3次元動画像)及びその付帯情報とを取得する(S81)。この処理は、上記のステップ61の処理と同一である。
次に、心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S82)。この処理は、上記のステップ62の処理と同一である。抽出された心臓領域は、特徴部位抽出部36と画像位置合わせ部41にそれぞれ送られる。
特徴部位抽出部36は、前述の要領で、心臓領域中の特徴部位、つまり心基部位置、心尖部位置及び乳頭筋位置を抽出する(S83)。特徴部位抽出部36は、形態画像が定義された3次元座標系における各特徴部位の座標値を取得し、データ処理部4に送る。
また、壁運動解析部33は、心臓の3次元動画像(ボリュームデータ)に基づいて、心臓の壁運動の状態を表す情報(変位量、変位方向、変位速度等)を取得する(S84)。壁運動解析部33は、取得された壁運動の状態を表す情報を機能画像生成部34に送る。
機能画像生成部34は、壁運動の状態を表す情報に基づいて、壁運動の状態を表す機能画像を生成する(S85)。機能画像生成部34は、生成された機能画像を画像位置合わせ部41に送る。
なお、上記のステップ82、83と、ステップ84、85は、どちらの処理を先に行ってもよい。また、これらの処理を並行して行ってもよい。
画像位置合わせ部41は、第1の実施形態と同様に、ステップ82で抽出された心臓領域と、ステップ85で生成された機能画像との位置合わせを行う(S86)。なお、事前に位置合わせがなされている場合についても、第1、第2の実施形態と同様の処理が実行されるが、ここでは説明を省略する。
合成画像生成部43は、心臓領域と機能画像(双方ともボリュームデータである)を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S87)。
続いて、合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像(擬似的な3次元画像である)を生成する(S88)。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像の投影方法、視線方向、移動、回転などを変更し、表示用画像を生成する(S89)。
断層画像生成部44は、ステップ83で得られた心基部位置、心尖部位置及び乳頭筋位置の座標値と、心臓領域及び機能画像の位置合わせ結果とに基づいて、3次元動画像のフレームにMPR処理を施すことにより、心基部位置、心尖部位置及び乳頭筋位置のそれぞれにおける断層画像を生成する(S90)。なお、ステップ87で生成された合成ボリュームデータからこれらの断層画像を生成してもよい。
制御部2は、ステップ89で生成された表示用画像と、ステップ90で生成された三つの断層画像とを表示部6に表示させる(S91)。
その表示態様は第1の実施形態と同様である(図3参照)。すなわち、表示部6のスクリーン6Aには、表示用画像が表示される合成画像表示領域61Aと、三つの断層画像が表示される断層画像表示領域61Bとが設けられている。
また、制御部2は、ステップ83で得られた座標値と位置合わせ結果とに基づいて、表示用画像上に断面位置画像を表示させる(S92)。この断面位置画像は、表示用画像における上記三つの断層画像の断面位置を表すものである(後述の図11参照)。
また、制御部2は、血管の狭窄率を計測するための計測ツール画像(後述の図11参照)を断層画像表示領域61Bに表示させる(S93)。
図11は、この実施形態において表示される画像の態様の一例を表す。合成画像表示領域61Aには、ステップ91の処理により、表示用画像Gが表示される。表示用画像Gは、心臓領域Gaと機能画像Gbとの合成画像に基づく画像である。
また、断層画像表示領域61Bには、ステップ91の処理により、第1、第2、第3の断層画像H1、H2、H3が並んで表示される。
表示用画像G上には、ステップ92の処理により、第1、第2、第3の断面位置をそれぞれ表す断面位置画像C1、C2、C3が表示される。ステップ92の段階では、各断面位置画像C1〜C3は、心臓領域の長軸(前述)に直交する平面として表示されている。また、ステップ92の段階では、断面位置画像C1は心基部位置に、断面位置画像C2は乳頭筋位置に、断面位置画像C3は心尖部位置にそれぞれ表示されている。
断面位置画像C1は、表示用画像Gにおける第1の断層画像H1の断面位置(第1の断面位置)を表している。同様に、断面位置画像C2、C3は、それぞれ、表示用画像Gにおける第2、第3の断層画像H2、H3の断面位置(第2、第3の断面位置)を表している。
オペレータは、操作部7を用いて、各断面位置画像C1〜C3の位置、つまり断面位置を変更することができる。この操作は、たとえばマウスのドラッグ操作などにより行う。なお、断面位置画像C1〜C3の位置の変更には、各断面位置画像C1〜C3の平行移動だけではなく、各断面位置画像C1〜C3の向きの変更も含まれる。
オペレータが断面位置画像Ci(i=1、2、3)の位置を変更すると(S94)、制御部2は、変更後の断面位置画像Ciの位置を表す座標情報をデータ処理部4に送る。この座標情報は、たとえば合成ボリュームデータが定義された3次元座標系における座標値で表現される。
断面設定部45は、この座標情報に基づいて、変更後の断面位置画像Ciの位置(向きを含む)を特定する情報(断面位置変更情報)を生成する(S95)。断面設定部45は、生成された断面位置変更情報を断層画像生成部44に送る。
断面位置変更情報は、たとえば、変更後の断面位置画像Ciの位置を表す座標値や、断面の法線方向(断面の向きを表す)を含んでいる。また、断面位置画像Ciが形成する平面の方程式を求め、この方程式を含む断面位置変更情報を生成することも可能である。
これらの情報は、合成ボリュームデータが定義された3次元座標系で表現される。なお、合成ボリュームデータが定義された3次元座標系は、形態画像のボリュームデータが定義された3次元座標系、及び、機能画像のボリュームデータが定義された3次元座標系に対応付けられている(前述の座標変換パラメータを参照)。
断層画像生成部44は、断面位置変更情報により特定される位置を断面とする断層画像を生成する(S96)。この新たな断層画像は、機能画像のボリュームデータや合成ボリュームデータに位置変更後の断面を設定してMPR処理等を施すことにより得られる。
制御部2は、断面位置変更前の第iの断層画像Hiに代えて、ステップS96で生成された新たな断層画像を表示させる(S97)。それにより、断層画像が更新表示されることになる。
オペレータは、表示用画像Gを観察することで、責任血管の位置を把握することができる。また、表示用画像Gや断層画像を観察することで、冠動脈の狭窄部位を発見することができる。ステップ94において、オペレータは、狭窄部位や正常部位(狭窄部位でない部位)に断面位置画像Ciを設定する。
ステップ93の処理により、断層画像表示領域61Bには計測ツール画像が表示される。図11に示す計測ツール画像Mは、両側矢印の形状の画像である。オペレータは、断層画像Hi上の距離を計測したい部位に計測ツール画像Mを移動させたり、計測ツール画像Mの長さを変更したりすることが可能である。この操作は、たとえばマウスのドラッグ操作等により行う。
また、オペレータが断層画像Hi中の二つの位置を指定すると、医用画像処理装置20は、これら二つの位置の間の距離を求めることができる。図11に示す計測ツール画像M1、M2は、このように指定された二つの位置を表している。
オペレータは、たとえば冠動脈の断層画像(拡大表示してもよい)を断層画像表示領域61Bに表示させるとともに、計測ツール画像M、M1、M2を利用して、当該断面位置における冠動脈の血管径の計測位置を指定することが可能である。
このようにしてオペレータが血管径の計測位置を指定すると(S98)、制御部2は、その指定位置を表す座標情報をデータ処理部4に送る。この座標情報は、たとえば合成ボリュームデータが定義された3次元座標系における座標値で表される。
狭窄率演算部46は、この座標情報に基づいて血管の狭窄率を演算する(S99)。この演算処理は、たとえば次のようにして行われる。
ここでは、Length法と呼ばれる手法で狭窄率を演算する場合の処理を説明する。Length法では、次の演算式を用いて血管狭窄率SLを求める。
Figure 0005523681
ここで、Lnは正常部位の血管径を表し、Lsは狭窄部位の血管径を表す。狭窄率SLの値が大きいほど狭窄の度合いが高く、SL=100%が完全狭窄を意味する。
Length法を用いる場合には、ステップ98において、正常部位における計測位置と、狭窄部位における計測位置とがそれぞれ指定される。狭窄率演算部46には、正常部位における計測位置の座標情報と、狭窄部位における計測部位の座標情報とがそれぞれ入力される。
狭窄率演算部46は、正常部位における計測位置の座標情報に基づいて、当該正常部位における血管径Lnを演算する。同様に、狭窄率演算部46は、狭窄部位における血管径Lsを演算する。更に、狭窄率演算部46は、これら二つの血管径Ln、Lsを上記演算式(1)に代入することにより、当該狭窄部位における血管狭窄率SLを演算する。
制御部2は、演算された血管狭窄率SLを表示部6に表示させる(S100)。以上で、この動作態様の説明を終了する。
なお、狭窄率演算部46は、この発明の「演算手段」の一例である。
[作用・効果]
この実施形態に係る医用画像処理装置20の作用及び効果を説明する。
医用画像処理装置20は、第1の実施形態の医用画像処理装置1と同様に、被検体の心臓の形態を表す形態画像(心臓領域)と、壁運動の状態を表す機能画像とを取得し、これら形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示するように作用するので、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能である。また、心臓における壁運動の状態の分布を一目で把握することも可能である。
更に、医用画像処理装置20は、心臓領域の特徴部位を自動的に特定し、その特徴部位における心臓の断層画像を表示するように作用する。したがって、心基部位置、心尖部位置、乳頭筋位置のように参照頻度の高い特徴部位を予め設定することにより、当該特徴部位を手作業で指定することなく、当該特徴部位の断層画像を容易に観察できる。
また、医用画像処理装置20は、表示用画像上の断面位置画像の位置をオペレータが変更したことに対応し、変更後の断面位置の断層画像を自動的に生成して表示するように作用する。それにより、オペレータは、所望の断面位置における断層画像を容易に観察することが可能である。
また、医用画像処理装置20は、計測ツール画像を用いて断層画像中の計測位置をオペレータが指定したことに対応し、その計測位置における血管の狭窄率を自動的に演算するように作用する。それにより、血管狭窄率の計測を簡単な操作で行うことが可能である。
〈第4の実施形態〉
この発明の第4の実施形態に係る医用画像処理装置は、第2の実施形態と同様に冠動脈領域と機能画像との合成画像を表示するとともに、心臓の外観を表す外観画像を表示するものである。
冠動脈領域と機能画像の合成画像だけでは、たとえば、冠動脈領域がどのような向きで表示されているか把握しにくい。また、冠動脈領域の特定部位に注目したときに、その特定部位が心臓のどの辺りに位置するものか把握しにくい。この実施形態では、外観画像を表示することで、このような不都合の解消を図る。
この実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を図12に示す。この医用画像処理装置30には、第3の実施形態の医用画像処理装置20(図7参照)の構成に加え、第2の実施形態と同様の冠動脈領域抽出部35が設けられている。
[動作態様]
医用画像処理装置30の動作態様を説明する。図13に示すフローチャートは、医用画像処理装置30の動作態様の一例を表している。
まず、データ受付部31は、医用画像データベース300から形態画像のボリュームデータ及びその付帯情報と、機能情報のボリュームデータ(3次元動画像)及びその付帯情報とを取得する(S111)。
次に、心臓領域抽出部32は、形態画像のボリュームデータから心臓領域を抽出する(S112)。この処理は、上記のステップ62の処理と同一である。抽出された心臓領域は、冠動脈領域抽出部35、特徴部位抽出部36及びデータ処理部4にそれぞれ送られる。
冠動脈領域抽出部35は、心臓領域から冠動脈領域を抽出する(S113)。冠動脈領域抽出部35は、抽出された冠動脈領域を画像位置合わせ部41に送る。
特徴部位抽出部36は、心臓領域中の特徴部位(心基部位置、心尖部位置、乳頭筋位置)を抽出する(S114)。特徴部位抽出部36は、形態画像が定義された3次元座標系における各特徴部位の座標値を取得し、データ処理部4に送る。
また、壁運動解析部33は、心臓の3次元動画像(ボリュームデータ)に基づいて、心臓の壁運動の状態を表す情報を取得する(S115)。壁運動解析部33は、取得された情報を機能画像生成部34に送る。
機能画像生成部34は、壁運動の状態を表す情報に基づいて、壁運動の状態を表す機能画像を生成する(S116)。機能画像生成部34は、生成された機能画像を画像位置合わせ部41に送る。
なお、上記のステップ112、113と、ステップ114と、ステップ115、116とは、どの処理を先に行ってもよい。また、これらの処理を並行して行ってもよい。
画像位置合わせ部41は、ステップ113で抽出された冠動脈領域と、ステップ116で生成された機能画像との位置合わせを行う(S117)。
合成画像生成部43は、冠動脈領域と機能画像(双方ともボリュームデータである)を合成し、合成ボリュームデータを生成する(S118)。
続いて、合成画像生成部43は、この合成ボリュームデータにレンダリング処理を施して3次元合成画像(擬似的な3次元画像である)を生成する(S119)。
更に、表示画像生成部42は、この合成画像の投影方法、視線方向、移動、回転などを変更し、表示用画像を生成する(S120)。
断層画像生成部44は、ステップ114で得られた特徴部位の座標値と、冠動脈領域及び機能画像の位置合わせ結果とに基づいて、3次元動画像のフレームにMPR処理を施すことにより、心基部位置、心尖部位置及び乳頭筋位置のそれぞれにおける断層画像を生成する(S121)。なお、ステップ118で生成された合成ボリュームデータからこれらの断層画像を生成してもよい。
制御部2は、ステップ120で生成された表示用画像と、ステップ90で生成された三つの断層画像とを表示部6に表示させる(S122)。
また、制御部2は、第3の実施形態と同様に、断面位置画像を表示用画像上に表示させ(S123)、計測ツール画像を断層画像上に表示させる(S124)。
更に、表示画像生成部42は、ステップ112で抽出された心臓領域(ボリュームデータ)に基づいて、心臓領域の外観画像(擬似的な3次元画像)を生成する(S125)。この処理は、合成画像生成部43のように、心臓領域のボリュームデータをレンダリングし、必要に応じてその表示用画像を生成することにより行うことができる。制御部2は、この外観画像を表示部6に表示させる(S126)。
図14は、この実施形態で表示される画像の態様の一例を表す。合成画像表示領域61Aには、ステップ122の処理により、表示用画像Jが表示される。表示用画像Jは、冠動脈領域Jaと機能画像Jbとの合成画像に基づく画像である。なお、この実施形態では、冠動脈領域Jaのみが表示され、心臓の実質部分(図中の破線部分)は表示されない。
また、断層画像表示領域61Bには、ステップ122の処理により、第1、第2、第3の断層画像H1、H2、H3が並んで表示される。
表示用画像J上には、ステップ123の処理により、断面位置画像C1、C2、C3が表示される。また、断層画像Hi(i=1、2、3)上には、ステップ124の処理により、計測ツール画像Mが表示される。更に、オペレータが計測位置を指定すると、制御部2は断層画像Hi上に計測ツール画像M1、M2を表示させる。
更に、合成画像表示領域61Aには、ステップ126の処理により、外観画像GSが表示される。この外観画像GSは、たとえば、心臓領域の擬似的3次元画像のサムネイルである。その場合、ステップS125の表示用画像生成処理において、サムネイル生成処理が実行される。なお、外観画像GSはサムネイルに限定されるものではない。ただし、外観画像GSは表示用画像Jの向き等を把握するためのものであり、主たる観察対象は表示用画像Jであるから、表示用画像Jの表示サイズを制限しないように外観画像GSは小さなサイズであることが望ましい。
また、図14の外観画像GSには、断層画像Hiの断面位置を表す断面位置画像も含まれている。
オペレータが断面位置画像Ci(i=1、2、3)の位置を変更すると(S127)、制御部2は、変更後の断面位置画像Ciの座標情報に基づいて、変更後の断面位置画像Ciの位置を特定する断面位置変更情報を生成する。断層画像生成部44は、この断面位置変更情報により特定される断面における断層画像を生成する(S128)。制御部2は、この新たな断層画像を表示させる(S129)。
また、表示画像生成部42は、変更後の断面位置画像Ciの座標情報に基づいて、外観画像GSの断面位置画像の表示位置を変更する(S130)。この処理は、表示用画像Jの基の合成ボリュームデータの座標系と、外観画像GSの基のボリュームデータ(心臓画像のボリュームデータ)の座標系との対応を用いて容易に行うことができる。
また、オペレータが、操作部7を用いて、表示用画像Jの向きを変更すると(S131)、制御部2は、変更後の向きを表す情報をデータ処理部4に送る。表示画像生成部42は、この情報に基づいて、変更後の向きの外観画像を生成する(S132)。この処理は、変更後の向きを視線方向として心臓領域のボリュームデータをレンダリングすることで得られる。制御部2は、変更前の向きの外観画像GSに代えて、この新たな外観画像を表示させる(S133)。
なお、冠動脈の狭窄率の演算については、第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。以上で、この動作態様の説明を終了する。
[作用・効果]
この実施形態に係る医用画像処理装置30の作用及び効果を説明する。
医用画像処理装置30は、冠動脈領域と機能画像との合成画像とともに心臓の外観画像を表示するように作用する。また、医用画像処理装置30によれば、合成画像の向きが変更されたことに対応し、心臓の外観画像の向きも変更される。それにより、合成画像の向きや、心臓領域における冠動脈領域の位置を容易に把握することが可能になる。
また、医用画像処理装置30によれば、合成画像とともに表示される断層画像の断面位置を表す断面位置画像が、心臓の外観画像に付されて表示される。更に、医用画像処理装置30によれば、合成画像上の断面位置画像の位置が変更されたことに対応し、外観画像上の断面位置画像の位置も変更される。それにより、断層画像の断面位置が心臓領域のどこに位置しているかを容易かつ正確に把握できる。
[変形例]
以上において詳述した実施形態は、この発明に係る医用画像処理装置を実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
第3の実施形態では、断面画像中における血管狭窄率の計測位置をオペレータが手作業で指定するようになっているが、これに限定されるものではない。たとえば、次のような処理を行うことで、血管狭窄率の計測の自動化を図ることが可能である(Length法を適用する場合)。
(1)心臓領域から冠動脈領域を抽出する:(2)この冠動脈領域における狭窄部位と正常部位を特定する:(3)この狭窄部位及び正常部位のそれぞれに対応する断面位置を設定する:(4)各断面位置における心臓の断層画像を生成する:(5)各断層画像における冠動脈の断面領域を特定する:(6)各断面領域の径を求める:(7)狭窄部位の断面領域の径の値と正常部位の断面領域の径の値とに基づいて狭窄率を演算する。
(1)の処理は、第2の実施形態と同様にして実行できる。(2)の処理は、たとえば次のようにして実行できる。狭窄部位の特徴量(たとえばX線CT装置の場合にはCT値)の閾値を予め設定しておく。データ処理部4は、冠動脈領域を形成するボクセルのボクセル値に対して当該閾値による閾値処理を行うことで、狭窄部位と正常部位とを特定できる。
(3)の処理は、特定された狭窄部位を通過する平面(たとえば心臓領域の長軸に直交する平面)を求めることにより、狭窄部位に対応する断面位置を設定できる。正常部位についても同様である。
(4)の処理は、合成画像(表示用画像)の座標系と機能画像の座標系との対応に基づいて機能画像における断面位置を求め、MPR処理等により当該断面位置における断層画像を生成することにより実行できる。(5)の処理は、(1)で抽出された冠動脈領域の位置(座標値)に対応する、断層画像中の位置を特定することで実行できる。
(6)の処理は、断面領域のたとえば最大径を求めることで実行できる。(7)の処理は、第3の実施形態と同様にして実行できる。
この変形例によれば、血管狭窄率を容易に求めることができる。なお、上記(1)〜(7)の処理のうちのいずれかを手作業で行うようにしてもよい。たとえば、(2)、(3)、(5)等の処理を手作業で行うように構成することが可能である。
上記の実施形態では、形態画像と機能画像の双方が3次元画像(ボリュームデータ)である場合について説明したが、少なくとも一方の画像が2次元画像(断層画像)であってもよい。
たとえば形態画像が2次元断層画像(断層形態画像)である場合のように、形態画像が2次元画像である場合には、心臓領域や冠動脈領域を抽出する処理を行う必要はない。すなわち、形態画像が3次元画像である場合には、心臓の周囲に存在する身体部位(たとえば肋骨)の画像によって心臓領域等を視認できない場合があるため、心臓領域等を抽出することが望ましい。一方、形態画像が2次元画像である場合には、その断面が心臓領域等を通過している限り、心臓領域等の断面を視認できるので、心臓領域等を抽出する必要はない。
また、機能画像が2次元動画像である場合、従来のように、この2次元画像に基づいて壁運動の状態を取得できる。また、機能画像が2次元画像である場合には、他の断面の断層画像を表示することはできない。なお、多数の断面について断層画像が取得されている場合において、隣接する断層画像の間を補間してボリュームデータを生成できることがある。その場合には、新たな断面の断層画像を新たに生成することができる。
上記のように形態画像や機能画像として2次元画像を用いる場合であっても、責任血管のおおよその位置を特定することは可能であり、カテーテル治療等に利用することが可能である。
上記の実施形態では、機能画像として動画像を用いているが、これは心臓の壁運動の状態を求めるためである。したがって、心臓の静止画像(3次元画像や断層画像)と、当該心臓の壁運動の状態を表す情報(壁運動情報)とが医用画像データベース300に保管されている場合には、この静止画像及び壁運動情報を機能画像として用いることが可能である。
上記の実施形態に係る医用画像処理装置によれば、合成画像を観察することで、責任血管を容易かつ高確度に特定することが可能である。このように特定された責任血管をマーキング(指定)する手段を設けることが可能である。この手段としては、たとえば操作部7(マウス)を適用することができる。マーキングされた責任血管の位置は、合成画像や合成ボリュームデータの座標系の座標値として得られる。この座標値をハードディスクドライブや医用画像データベース300などに保存することが望ましい。保存された情報は、たとえば治療時に読み出され、責任血管の位置を示す情報として利用される(治療時の画像中に位置を呈示するなど)。それにより、カテーテル治療の容易化を図ることができる。
また、責任血管に相当する画像領域(責任血管領域)が合成画像上に指定されたときに、この責任血管領域に対応する断層画像中の領域を明示することが可能である。この処理は、データ処理部4により、たとえば次のようにして実行される。
表示部6には、合成画像と断層画像とが表示されているものとする。まず、オペレータは、操作部7を用いて、合成画像上に責任血管領域を指定する。データ処理部4は、この責任血管領域に対応する3次元機能画像中の領域(血管領域)を特定する。この処理は、合成画像の座標系と機能画像の座標系との対応を参照することで行うことができる。
次に、データ処理部4は、当該座標系の対応を参照し、血管領域と断層画像との共通領域を特定する。この共通領域は、断層画像における責任血管の断面に相当する。制御部2は、この共通領域を表す情報を断層画像上に表示させる。この情報としては、たとえば表示色や濃淡などがある。また、共通領域を取り囲む画像を表示させることもできる。
この変形例によれば、合成画像上に指定された責任血管領域が、断層画像中のどの位置に存在するか容易に把握できる。
上記の実施形態では、被検体の3次元画像及び3次元動画像を外部から受け付けて形態画像と機能画像とを取得しているが、これに限定されるものではない。
たとえば、被検体の複数の断面位置における断層画像を装置外部から受け付け、これら複数の断層画像に基づいて3次元画像(ボリュームデータ)を生成し、この3次元画像に基づいて形態画像を取得するように、医用画像処理装置を構成することが可能である。このとき、機能画像の基になる3次元動画像は装置外部から受け付けられる。
同様に、被検体の複数の断面位置における断層画像(動画像)を受け付け、これら複数の断層画像に基づいて3次元動画像(ボリュームデータ)を生成し、この3次元動画像に基づいて機能画像を取得するように、医用画像処理装置を構成することも可能である。このとき、形態画像の基になる3次元画像は装置外部から受け付けられる。
また、形態画像の基になる複数の断層画像と、機能画像の基になる複数の断層画像(断層動画像)の双方を装置外部から受け付けるようにしてもよい。この場合、医用画像処理装置は、受け付けられた複数の断層画像に基づいて3次元画像(ボリュームデータ)を生成し、この3次元画像に基づいて形態画像を取得する。更に、医用画像処理装置は、受け付けられた複数の断層動画像に基づいて3次元動画像(ボリュームデータ)を生成し、この3次元動画像に基づいて機能画像を生成する。
上記の実施形態では、合成画像を観察して責任血管を特定する手法について特に詳しく説明したが、責任血管(の候補)を自動的に特定するように構成することも可能である。この処理は、たとえば、冠動脈の枝と壁運動の異常部位との相対的な位置関係に基づいて行うことが可能である。以下、この処理の4つの例を説明する。
近年、冠動脈の枝の解剖学的位置を特定する技術が進展を見せている(たとえば、インターネットホームページ http://www.inria.fr/chirを参照。)。第1の例では、まず、機能画像を解析して壁運動の異常部位を特定する。次に、上記技術を利用することにより、当該異常部位の解剖学的位置に相当する冠動脈領域中の枝を特定する。この特定された枝を責任血管の候補とする。責任血管の候補は、合成画像中において認識可能な態様で表示される。
第2の例として、心筋梗塞のシミュレーション結果に基づいて責任血管の候補を特定することが可能である。なお、心筋梗塞のシミュレーションについては、たとえば、電子情報通信学会論文誌 D−II Vol.J88−D−II No.5 pp.943−953 社団法人電子情報通信学会 2005(http://www.bme.sys.i.kyoto−u.ac.jp/〜amano/publications/j88−d2_5_943.pdf)などに記載されている。
第3の例では、まず、機能画像を解析して壁運動の異常部位を特定する。更に、この異常部位をモルフォロジカル・フィルタ(morphological filter)を用いて逐次に拡大していき、当該拡大領域に最初に交差した枝を責任血管の候補とする。なお、モルフォロジカル・フィルタは、画像処理分野において従来から広く利用されている技術である。なお、拡大領域に最初に交差した枝だけでなく、それ以降の拡大領域に交差した枝についても適宜に責任血管の候補とすることが可能である。
第4の例では、まず、機能画像を解析して壁運動の異常部位を特定する。更に、冠動脈領域の枝から当該異常部位までの距離を算出し、算出された距離が所定閾値以内である枝を責任血管の候補とする。
このように責任血管の候補を自動的に特定することにより、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能となる。すなわち、責任血管の候補を自動的に絞り込むことにより、責任血管の特定作業の容易化や時間短縮を図ることができる。
このように、この発明に係る医用画像処理装置は、心臓の形態画像と機能画像を取得し、これら画像に基づく合成画像を表示するとともに、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示させるように作用する。それにより、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができる。
また、この発明に係る医用画像処理装置は、上記の実施形態において説明したように、形態画像に基づいて心臓の断層画像を生成し、この断層画像と責任血管領域との共通領域を特定し、この共通領域を表す情報を断層画像上に表示させることも可能である。それにより、合成画像とともに断層画像をも参照することができ、診断や治療の確度の更なる向上を図ることが可能となる。
上記の実施形態では、心臓の検査について詳しく説明したが、心臓以外の臓器についても、形態画像と機能画像の双方を取得可能な臓器であれば同様の検査を実施することが可能である。たとえば、血流動態を反映したデータを取得するパーフュージョン(perfusion)と呼ばれる手法を適用することにより、心臓だけでなく、脳、肝臓、胆嚢、膵臓などの臓器の機能画像を形成できる。そして、上記の実施形態と同様にして、形態画像と機能画像との合成画像を表示することが可能である。なお、パーフュージョンについては、たとえば特開平6−269424号公報などに開示されている。また、この変形例で処理する画像は、3次元画像であってもよいし2次元画像であってもよい。
この変形例に係る医用画像処理装置は、それぞれ異なる医用画像診断装置によって形成された、被検体の臓器の形態を表す形態画像と、この臓器の状態を表す機能画像とを取得する取得手段と、表示手段と、当該形態画像及び当該機能画像に基づく合成画像を表示するように構成される。
機能画像は、次の2種類に分類される:(1)臓器の機能を反映するデータを検出し、このデータの検出結果を画像化して得られる画像;(2)臓器の形態を反映するデータを検出して形成される形態画像を解析して得られる画像。(1)の機能画像は、臓器の機能状態を計測して画像化したものである。(1)の機能画像の形成方法としては、たとえば、核医学診断(PET、SPECT等)、MRI装置によるスペクトロスコピー(spectroscopy)やディフュージョン(diffusion imaging)などがある。(2)の機能画像は、形態画像(特に動画像)を解析することにより、臓器の運動等の機能状態を画像化したものである。(2)の機能画像の形成方法としては、たとえば、造影撮影における血流速度画像、パーフュージョン、ファンクショナルMRI(functional MRI;f−MRI)などがある。
この変形例に係る医用画像処理装置によれば、形態画像によって臓器の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して臓器の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示できるので、臓器のどの部位の機能が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。したがって、臓器の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。
[医用画像診断装置について]
この発明に係る医用画像診断装置の実施形態を説明する。以下、図15〜図17に示す三つの実施形態について説明する。なお、ここでは、第1の実施形態に準じた構成を有する医用画像診断装置についてのみ説明するが、第2〜第4の実施形態並びに上記変形例に準じた構成を適用することも可能である。
この発明に係る医用画像診断装置は、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、核医学診断装置、若しくは、これらの装置の組み合わせ(たとえばPET−CT、SPECT−CT等)などである。
図15に示す医用画像診断装置50は、形態画像形成部8を備える。形態画像形成部8は、被検体内の形態を反映するデータを検出し、このデータに基づいて被検体の心臓を含む範囲の形態を表す形態画像を形成する。形態画像形成部8は、この発明の「形態画像形成手段」の一例である。
たとえば医用画像診断装置50がX線CT装置である場合、形態画像形成部8は、ガントリ、寝台、再構成基板等を含んで構成される。ガントリは、互いに対峙して配置されたX線管とX線検出器とを有する。また、ガントリには、X線管及びX線検出器とを一体的に回転させる回転機構が設けられている。更に、ガントリには、X線検出器による検出データを収集するDAS(data acquisition system)が設けられている。DASは、収集したデータを再構成基板に送る。再構成基板は、DASからのデータを投影データに変換する前処理や、この投影データに基づいて画像を再構成する再構成処理を実行する。
形態画像形成部8により形成された画像(形態画像)は、心臓領域抽出部32に送られる。
一方、機能画像は、第1の実施形態と同様に、医用画像診断装置200により形成され、医用画像データベース300に保管される。医用画像診断装置50のデータ受付部31は、医用画像データベース300から機能画像及びその付帯情報を取得する。
以降の処理は、第1の実施形態と同様である。
このような医用画像診断装置50によれば、形態画像によって心臓の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して壁運動の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示しているので、心臓のどの部位の壁運動が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。
したがって、医用画像診断装置50によれば、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。また、心臓における壁運動の状態の分布を一目で把握することも可能である。
図16に示す医用画像診断装置60は、動画像形成部9を備える。動画像形成部9は、被検体内の形態を反映するデータを検出し、このデータに基づいて被検体の心臓を含む範囲の動画像を形成する。動画像形成部9は、この発明の「動画像形成手段」の一例である。
たとえば医用画像診断装置60が超音波診断装置である場合、動画像形成部9は、超音波プローブ、超音波送受信基板、信号処理基板、画像処理基板などを含んで構成される。超音波プローブは、超音波送受信基板により制御され、所定のスキャン態様で超音波ビームを送受信する。信号処理基板は、超音波ビームの受信結果に基づいて、Bモード画像、ドプラ画像、CFM(color flow mapping)画像などの各種超音波画像を生成する。画像処理基板は、DSC(digital scan converter)を有する。DSCは、信号処理基板により生成された超音波走査に同期したデータを表示用のデータ(テレビ走査方式のデータ等)に変換する。また、画像処理基板は、多数のBモード画像に対して補間処理を施してボリュームデータを生成する。
動画像形成部9により生成された動画像(ボリュームデータ等)は、壁運動解析部33に送られる。
一方、形態画像は、第1の実施形態と同様に、医用画像診断装置100により形成され、医用画像データベース300に保管される。医用画像診断装置60のデータ受付部31は、医用画像データベース300から形態画像及びその付帯情報を取得する。
以降の処理は、第1の実施形態と同様である。
このような医用画像診断装置60によれば、上記の医用画像診断装置50と同様に、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。また、心臓における壁運動の状態の分布を一目で把握することも可能である。
図17に示す医用画像診断装置70は、形態画像形成部8と動画像形成部9の双方を備えている。医用画像診断装置70は、医用画像データベース300や他の医用画像診断装置に接続されている必要はない。よって、データ受付部31を備える必要はない。
このような医用画像診断装置60によれば、上記の医用画像診断装置50、60と同様に、心臓疾患の診断や治療を確度良く行うことが可能であり、また、心臓における壁運動の状態の分布を一目で把握することが可能である。
この発明に係る医用画像診断装置が形態画像を形成可能な装置である場合、この医用画像診断装置は、形態画像を形成する手段(形態画像形成手段)、外部から機能画像を受け付ける手段、表示手段及び処理手段を含んで構成される。
形態画像形成手段は、上記実施形態と同様に、被検体内の形態を反映するデータを検出し、検出されたデータに基づいて被検体の臓器を含む範囲の形態を表す形態画像を形成する。
機能画像を受け付ける手段は、他の医用画像診断装置により形成された当該臓器の状態を表す機能画像を受け付ける。たとえば当該医用画像診断装置がX線CT装置である場合、このX線CT装置は、超音波診断装置により形成された心臓の機能画像を受け付ける。この機能画像は、超音波診断装置から直接に入力されてもよいし、PACS等の記憶装置を経由して入力されてもよいし、記録メディア(DVD−R等)を介して入力されてもよい。
処理手段は、形成された形態画像と、受け付けられた機能画像とに基づく合成画像を表示手段に表示させる。
このような医用画像診断装置によれば、形態画像によって臓器の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して臓器の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示できるので、臓器のどの部位の機能が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。したがって、臓器の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。
逆に、この発明に係る医用画像診断装置が機能画像を形成可能な装置である場合、この医用画像診断装置は、機能画像を形成する手段、外部から形態画像を受け付ける手段、表示手段及び処理手段を含んで構成される。
機能画像を形成する手段は、上記実施形態と同様に、臓器の機能又は形態を反映するデータを検出し、検出されたデータに基づいて当該臓器の状態を表す機能画像を形成する。臓器の機能を表すデータを検出して機能画像を形成する手法としては、たとえば、ドプラ超音波診断、核医学診断(PET、SPECT等)、MRI装置によるスペクトロスコピーやディフュージョンなどがある。一方、臓器の形態を表すデータを検出して機能画像を形成する手法としては、たとえば、造影撮影における血流速度画像、パーフュージョン、ファンクショナルMRIなどがある。
形態画像を受け付ける手段は、他の医用画像診断装置により形成された当該臓器の形態を表す形態画像を受け付ける。たとえば当該医用画像診断装置が超音波診断装置である場合、この超音波診断装置は、X線CT装置により形成された心臓の形態画像を受け付ける。この形態画像は、X線CT装置から直接に入力されてもよいし、PACS等の記憶装置を経由して入力されてもよいし、記録メディアを介して入力されてもよい。
処理手段は、受け付けられた形態画像と、形成された機能画像とに基づく合成画像を表示手段に表示させる。
このような医用画像診断装置によれば、形態画像によって臓器の形態を詳細に観察できるとともに、機能画像を参照して臓器の状態を詳細に把握することが可能である。また、形態画像と機能画像とを合成表示できるので、臓器のどの部位の機能が良好であるか、そして良好でないかを高い確度で把握することが可能である。したがって、臓器の診断や治療を確度良く行うことが可能になる。
また、この発明に係る医用画像診断装置は、心臓の画像の処理に供されるものであり、上記と同様の形態画像形成手段、機能画像を受け付ける手段及び表示手段とともに、次のような処理手段を備えていてもよい。すなわち、この処理手段は、形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示手段に表示させるとともに、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示させる。
このような医用画像診断装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができる。特に、責任血管の候補を自動的に特定可能とすることにより、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能となる。
また、この発明に係る医用画像診断装置は、心臓の画像の処理に供されるものであり、上記と同様の形態画像を受け付ける手段、機能画像を形成する手段及び表示手段とともに、次のような処理手段を備えていてもよい。すなわち、この処理手段は、形態画像及び機能画像に基づく合成画像を表示手段に表示させるとともに、機能画像に基づいて合成画像中の責任血管領域を特定し、特定された責任血管領域を表す情報を合成画像とともに表示させる。
このような医用画像診断装置によれば、心臓の診断や治療の確度向上を図ることができる。特に、責任血管の候補を自動的に特定可能とすることにより、責任血管を特定する作業の効率化や省力化を図ることが可能となる。
(付記1)第1の装置により形成された被検体の臓器の形態を表す形態画像と、前記第1の装置と異なる第2の装置により形成された前記臓器の状態を表す機能画像とを取得する取得手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
(付記2)前記機能画像は、前記臓器の機能を反映するデータを検出し、前記データの検出結果を画像化して得られた画像、又は、前記臓器の形態を反映するデータを検出して形成される形態画像を解析して得られた画像である、
ことを特徴とする付記1に記載の医用画像処理装置。
(付記3)前記形態画像及び前記機能画像のそれぞれは3次元画像であり、
前記処理手段は、前記形態画像及び前記機能画像に基づく3次元の前記合成画像を表示させる、
ことを特徴とする付記1に記載の医用画像処理装置。
(付記4)前記臓器は心臓であり、
前記機能画像は、前記心臓の壁運動の状態を表す画像である、
ことを特徴とする付記1に記載の医用画像処理装置。
(付記5)被検体の心臓の形態を表す形態画像と前記心臓の壁運動の状態を表す機能画像とを取得する取得手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させるとともに、前記機能画像に基づいて前記合成画像中の責任血管領域を特定し、前記特定された責任血管領域を表す情報を前記合成画像とともに表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
(付記6)前記処理手段は、前記形態画像に基づいて前記心臓の断層画像を生成する断層画像生成手段を含み、前記責任血管領域と前記断層画像との共通領域を特定し、前記共通領域を表す情報を前記断層画像上に表示させる、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記7)前記取得手段は、被検体の静止画像及び動画像を受け付ける受付手段と、前記形態画像としての心臓領域の画像を前記静止画像から抽出する心臓領域抽出手段と、前記動画像に基づいて前記機能画像を生成する生成手段とを含む、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記8)前記取得手段は、被検体の複数の断層画像を受け付ける受付手段と、前記複数の断層画像に基づいて静止画像及び/又は動画像を生成する手段と、前記静止画像が生成されたときに前記形態画像としての心臓領域の画像を前記静止画像から抽出する心臓領域抽出手段と、前記動画像が生成されたときに前記動画像に基づいて前記機能画像を生成する生成手段とを含む、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記9)前記処理手段は、前記形態画像から冠動脈領域の画像を抽出する冠動脈領域抽出手段を含み、前記冠動脈領域の画像と前記機能画像とを合成した画像を前記合成画像として表示させる、
ことを特徴とする付記7に記載の医用画像処理装置。
(付記10)前記処理手段は、前記静止画像に基づいて前記心臓の外観を表す外観画像を生成し、前記冠動脈領域の画像と前記機能画像との合成画像とともに前記外観画像を表示させる、
ことを特徴とする付記9に記載の医用画像処理装置。
(付記11)前記処理手段は、前記動画像に基づいて心臓の断層画像を生成する断層画像生成手段を含み、前記心臓領域の画像及び前記機能画像の合成画像と前記断層画像とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴する付記7に記載の医用画像処理装置。
(付記12)前記処理手段は、前記動画像に基づいて心臓の断層画像を生成する断層画像生成手段を含み、前記心臓領域の画像及び前記機能画像の合成画像と前記断層画像とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴する付記8に記載の医用画像処理装置。
(付記13)前記断層画像生成手段は、前記動画像に基づいて、心臓の心基部、心尖部及び乳頭筋のうちの少なくとも一つの部位における断層画像を生成する、
ことを特徴とする付記11に記載の医用画像処理装置。
(付記14)前記断層画像生成手段は、前記動画像に基づいて、心臓の心基部、心尖部及び乳頭筋のうちの少なくとも一つの部位における断層画像を生成する、
ことを特徴とする付記12に記載の医用画像処理装置。
(付記15)前記受付手段は、前記静止画像における被検体の向きを表す体位情報を受け付け、
前記処理手段は、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、前記長軸と前記心臓領域の画像の境界との交差位置を特定し、前記体位情報に基づいて前記交差位置が前記心基部であるか又は前記心尖部であるかを判定し、
前記断層画像生成手段は、前記交差位置に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記13に記載の医用画像処理装置。
(付記16)前記受付手段は、前記静止画像における被検体の向きを表す体位情報を受け付け、
前記処理手段は、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、前記長軸と前記心臓領域の画像の境界との交差位置を特定し、前記体位情報に基づいて前記交差位置が前記心基部であるか又は前記心尖部であるかを判定し、
前記断層画像生成手段は、前記交差位置に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記14に記載の医用画像処理装置。
(付記17)前記処理手段は、心臓の乳頭筋の形状情報を予め記憶し、前記形状情報に適合する前記静止画像の部分領域を特定し、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、
前記断層画像生成手段は、前記部分領域に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記13に記載の医用画像処理装置。
(付記18)前記処理手段は、心臓の乳頭筋の形状情報を予め記憶し、前記形状情報に適合する前記静止画像の部分領域を特定し、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、
前記断層画像生成手段は、前記部分領域に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記14に記載の医用画像処理装置。
(付記19)前記合成画像上の位置を指定するための操作手段を更に備え、
前記断層画像生成手段は、前記指定された位置に対応する前記動画像の位置を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記11に記載の医用画像処理装置。
(付記20)前記合成画像上の位置を指定するための操作手段を更に備え、
前記断層画像生成手段は、前記指定された位置に対応する前記動画像の位置を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
ことを特徴とする付記12に記載の医用画像処理装置。
(付記21)前記処理手段は、前記断層画像の断面位置を表す断面位置情報を前記合成画像上に表示させる、
ことを特徴とする付記11に記載の医用画像処理装置。
(付記22)前記処理手段は、前記断層画像の断面位置を表す断面位置情報を前記合成画像上に表示させる、
ことを特徴とする付記12に記載の医用画像処理装置。
(付記23)前記合成画像中の責任血管領域を指定するための操作手段を更に備え、
前記処理手段は、前記指定された責任血管領域に対応する前記動画像中の血管領域を特定し、前記血管領域と前記断層画像との共通領域を特定し、前記共通領域を表す情報を前記断層画像上に表示させる、
ことを特徴とする付記11に記載の医用画像処理装置。
(付記24)前記合成画像中の責任血管領域を指定するための操作手段を更に備え、
前記処理手段は、前記指定された責任血管領域に対応する前記動画像中の血管領域を特定し、前記血管領域と前記断層画像との共通領域を特定し、前記共通領域を表す情報を前記断層画像上に表示させる、
ことを特徴とする付記12に記載の医用画像処理装置。
(付記25)前記断層画像中の血管領域上の位置を指定するための操作手段を更に備え、
前記処理手段は、前記指定された位置における前記血管領域の狭窄率を演算する演算手段を含み、前記狭窄率の演算結果を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする付記11に記載の医用画像処理装置。
(付記26)前記断層画像中の血管領域上の位置を指定するための操作手段を更に備え、
前記処理手段は、前記指定された位置における前記血管領域の狭窄率を演算する演算手段を含み、前記狭窄率の演算結果を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする付記12に記載の医用画像処理装置。
(付記27)前記取得手段は、前記形態画像として心臓の断層形態画像を取得し、
前記処理手段は、前記断層形態画像に前記機能画像を重畳した画像を前記合成画像として表示させる、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記28)前記処理手段は、前記形態画像が定義される第1の座標系と前記機能画像が定義される第2の座標系との間の座標変換パラメータを取得し、前記座標変換パラメータに基づいて前記形態画像と前記機能画像とを位置合わせして前記合成画像を表示させる、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記29)前記機能画像は超音波画像である、
ことを特徴とする付記5に記載の医用画像処理装置。
(付記30)被検体内の形態を反映するデータを検出し、前記検出されたデータに基づいて前記被検体の臓器を含む範囲の形態を表す形態画像を形成する形態画像形成手段と、
他の医用画像診断装置により形成された前記臓器の状態を表す機能画像を受け付ける手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
(付記31)他の医用画像診断装置により形成された被検体の臓器を含む範囲の形態を表す形態画像を受け付ける手段と、
前記臓器の機能又は形態を反映するデータを検出し、前記検出されたデータに基づいて前記臓器の状態を表す機能画像を形成する手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
(付記32)被検体内の形態を反映するデータを検出し、前記検出されたデータに基づいて前記被検体の心臓を含む範囲の形態を表す形態画像を形成する形態画像形成手段と、
他の医用画像診断装置により形成された前記心臓の壁運動の状態を表す機能画像を受け付ける手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させるとともに、前記機能画像に基づいて前記合成画像中の責任血管領域を特定し、前記特定された責任血管領域を表す情報を前記合成画像とともに表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
(付記33)他の医用画像診断装置により形成された被検体の心臓を含む範囲の形態を表す形態画像を受け付ける手段と、
前記心臓の機能又は形態を表すデータを検出し、前記検出されたデータに基づいて前記心臓の壁運動の状態を表す機能画像を形成する手段と、
表示手段と、
前記形態画像及び前記機能画像に基づく合成画像を前記表示手段に表示させるとともに、前記機能画像に基づいて前記合成画像中の責任血管領域を特定し、前記特定された責任血管領域を表す情報を前記合成画像とともに表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
この発明に係る医用画像処理装置の第1の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第1の実施形態により表示される画像の一例を表す概略図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第2の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第2の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第2の実施形態により表示される画像の一例を表す概略図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第3の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第3の実施形態が実行する処理の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第3の実施形態が実行する処理の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第3の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第3の実施形態により表示される画像の一例を表す概略図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第4の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像処理装置の第4の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 この発明に係る医用画像処理装置の第4の実施形態により表示される画像の一例を表す概略図である。 この発明に係る医用画像診断装置の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像診断装置の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る医用画像診断装置の実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。
符号の説明
1、10、20、30 医用画像処理装置
2 制御部
3 データ取得部
31 データ受付部
32 心臓領域抽出部
33 壁運動解析部
34 機能画像生成部
35 冠動脈領域抽出部
36 特徴部位抽出部
4 データ処理部
41 画像位置合わせ部
42 表示画像生成部
43 合成画像生成部
44 断層画像生成部
45 断面設定部
46 狭窄率演算部
5 表示条件設定部
6 表示部
7 操作部
8 形態画像形成部
9 動画像形成部
50、60、70、100、200 医用画像診断装置
300 医用画像データベース

Claims (8)

  1. 被検体の静止画像及び動画像を受け付ける受付手段と、第1の装置により形成された被検体の心臓の形態を表す形態画像としての心臓領域の画像を前記静止画像から抽出する心臓領域抽出手段と、前記動画像に基づいて、前記第1の装置と異なる第2の装置により形成された前記心臓の壁運動を表す機能画像を生成する生成手段と、を含む取得手段と、
    表示手段と、
    前記動画像に基づいて心臓の断層画像を生成する断層画像生成手段を含み、前記心臓領域の画像及び前記機能画像に基づく合成画像と、前記断層画像とを前記表示手段に表示させる処理手段と、
    を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
  2. 前記断層画像生成手段は、前記動画像に基づいて、心臓の心基部、心尖部及び乳頭筋のうちの少なくとも一つの部位における断層画像を生成する、
    ことを特徴とする請求項に記載の医用画像処理装置。
  3. 前記受付手段は、前記静止画像における被検体の向きを表す体位情報を受け付け、
    前記処理手段は、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、前記長軸と前記心臓領域の画像の境界との交差位置を特定し、前記体位情報に基づいて前記交差位置が前記心基部であるか又は前記心尖部であるかを判定し、
    前記断層画像生成手段は、前記交差位置に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
    ことを特徴とする請求項に記載の医用画像処理装置。
  4. 前記処理手段は、心臓の乳頭筋の形状情報を予め記憶し、前記形状情報に適合する前記静止画像の部分領域を特定し、前記心臓領域の画像の形状に基づいて心臓の長軸を特定し、
    前記断層画像生成手段は、前記部分領域に対応する前記動画像の位置において前記長軸に直交する平面を断面とする断層画像を前記動画像に基づいて生成する、
    ことを特徴とする請求項に記載の医用画像処理装置。
  5. 前記処理手段は、前記断層画像の断面位置を表す断面位置情報を前記合成画像上に表示させる、
    ことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の医用画像処理装置。
  6. 前記合成画像中の責任血管領域を指定するための操作手段を更に備え、
    前記処理手段は、前記指定された責任血管領域に対応する前記動画像中の血管領域を特定し、前記血管領域と前記断層画像との共通領域を特定し、前記共通領域を表す情報を前記断層画像上に表示させる、
    ことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の医用画像処理装置。
  7. 前記断層画像中の血管領域上の位置を指定するための操作手段を更に備え、
    前記処理手段は、前記指定された位置における前記血管領域の狭窄率を演算する演算手段を含み、前記狭窄率の演算結果を前記表示手段に表示させる、
    ことを特徴とする請求項に記載の医用画像処理装置。
  8. 前記機能画像は超音波画像である、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の医用画像処理装置。
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