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JP5523527B2 - 雄ルアーコネクター - Google Patents

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Description

本発明は、雌ルアーコネクターとともに管状部材の途中に取り付けられ、雌ルアーコネクターと結合することによって、両コネクターに接続された管状部材内の流路空間を連通する雄ルアーコネクターに関する。
医療現場において、輸液、輸血、人工透析、あるいは採血回路などを形成するために、各種医療用チューブを接続するためのコネクターが使用される。このとき使用されるコネクターとして代表的なものに、ほぼ共通の規格を持つテーパー形状を有するルアーコネクターがある。
ルアーコネクターは、一般的に、雌ルアーコネクターと雄ルアーコネクターに分かれて形成されており、雄ルアーコネクターには一方の医療用チューブが、雌ルアーコネクターには他方の医療用チューブが取り付けられる。そして、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを結合させることによって、一方の医療用チューブと他方の医療用チューブとを連通させる。このとき、雌ルアーコネクターに形成されるテーパー状の内周壁と、雄ルアーコネクターの雄ルアー部に形成されるテーパー状の外周壁とが液密的に当接する。この当接状態で雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターに固定されることによって、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合が完了し、医療用チューブを接続する際の液密性が確保される。
雌ルアーコネクターには、その開口部分に常閉型の弁機構が搭載されているものもあり、雄ルアーコネクターと結合していない状態において、この弁機構が閉じている。したがって、雄ルアーコネクターと結合していない状態で医療用チューブ内の液体が雌ルアーコネクターから漏れ出すことはない。一方、雌ルアーコネクターが雄ルアーコネクターと結合した際には、上記弁機構が開き、雄ルアーコネクターと連通する。この状態で雄ルアーコネクターに接続された一方の医療用チューブから液体が雄ルアーコネクターに送られると、この液体は雄ルアーコネクターから雌ルアーコネクターに流れ、さらに雌ルアーコネクターからこの雌ルアーコネクターに接続された他方の医療用チューブに流れる。こうして、雄ルアーコネクターに接続された一方の医療用チューブと雌ルアーコネクターに接続された他方の医療用チューブとが連通される。
このようなルアーコネクターとして、例えば、特許文献1には、雌ルアーコネクターの開口部分に弾性シリコーン封止体を取り付けるとともに、このシリコーン封止体中に鋭利な先端を持つスパイク部が配置されているものが記載されている。スパイク部は、内部に流路が形成されるとともに先端近傍に開口を有し、さらに基端部分には前記流路に連通する医療用チューブが接続される。そして、雄ルアーコネクターの雄ルアー部が雌ルアーコネクターの先端開口を押圧すると、弾性シリコーン封止体が開口して、雄ルアー部と結合されるものである。
特表平7−505064号公報
上述のように、雌ルアーコネクターには常閉型の弁機構が搭載されたものが知られているが、雄ルアーコネクターにはこのような弁機構は搭載されていない。このため、雄ルアーコネクターの先端開口に菌が繁殖するおそれがあった。また、プライミング操作時に雄ルアーコネクターの先端開口から薬液がこぼれ、その部分からも菌が繁殖するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたのもので、開口部を無菌的に保つことができる雄ルアーコネクターを提供することを、その目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明に係る雄ルアーコネクターの特徴は、第一管状部材に接続されるとともに、雌ルアーコネクターと結合することによって、第一管状部材内の流路空間と雌ルアーコネクターに接続した第二管状部材内の流路空間とを連通する雄ルアーコネクターにおいて、先端側に向かうにつれて先細りとなるテーパー形状に形成されて、雌ルアーコネクターに形成されたテーパー状の内周壁に液密的に当接可能なテーパー状外周壁と、内部空間を形成する内側壁とを有する側壁部と、側壁部の小径端面に形成され内部空間を外部に連通する出口開口とを有する雄ルアー部と、一方側部分が雄ルアー部に連結されて内部に雄ルアー部の内部空間と連通する空間部が形成され、他方側部分が第一管状部材に接続可能とされたコネクター本体と、内部に連通用流路が形成された管状部材であり、連通用流路を外部に連通する開口が一方の端部および他方の端部にそれぞれ形成され、一方の端部が雄ルアー部の内部空間に移動可能に内挿され、内部空間内で移動することによって出口開口を液密的に封止可能な雄ルアー部封止手段が一方の端部に形成された移動本体管と、を備え、さらに、雄ルアー部封止手段は、一方の端部に形成された開口にて径方向に横断して形成された突片で構成され、雄ルアー部は、雄ルアー部封止手段が出口開口を液密的に封止しているときに、一方の端部に形成された開口を液密的に封止する本体管封止手段を備えることにある。
上記特徴を有する本発明の雄ルアーコネクターは、雄ルアー部内の内部空間に内挿された移動本体管の一方の端部が所定方向に移動されて、この一方の端部に形成される雄ルアー部封止手段が雄ルアー部の小径端面に形成される出口開口を液密的に封止する。このようにして液体の吐出口となる雄ルアー部の出口開口が液密的に封止されるので、不使用時に出口開口を無菌的に保つことができる。また、雄ルアー部封止手段によって出口開口が液密的に封止された状態から、移動本体管の一方の端部を雄ルアー部の内部空間内で上記所定方向とは反対の方向に移動することにより、雄ルアー部封止手段が出口開口から離れて出口開口が開放される。したがって、雌ルアーコネクターと結合するときは上記のようにして出口開口を開放することによって、液体を雌ルアーコネクター側に流通させることができる。
本発明によれば、上記した出口開口の液密的な封止および開放は移動本体管の一方の端部が雄ルアー部の内部空間内で移動することにより行われ、移動本体管が雄ルアー部の外部に露出するようなことはない。ここで、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとが結合した状態では雄ルアー部の小径端面よりも先の領域は雌ルアーコネクター内の空間となるので、このときに出口開口を開放するために雄ルアーコネクターの部品が雌ルアーコネクター内の空間中に露出すると、雌ルアーコネクター内の部品に干渉して動作不良を起すおそれがある。この点につき、本発明は上記した構成であるので、雌ルアーコネクターに干渉することなくスムーズに出口開口の開放を行い得る。
また、本発明に係る雌ルアーコネクターにおいては、雄ルアー部は、雄ルアー部封止手段が出口開口を液密的に封止しているときに、移動本体管の一方の端部に形成された開口を液密的に封止する本体管封止手段を備えている。雄ルアー部封止手段によって雄ルアー部の出口開口を液密的に封止すると同時に本体管封止手段によって移動本体管の一方の端部に形成された開口を液密的に封止すれば、確実に移動本体管から液体が漏れるのが防止される。また、このようにして互いの開口を液密的に封止し合うことにより、外部から雄ルアー部の内部空間内に他の薬液などが混入することが確実に防止される。
この場合、コネクター本体の内部における移動本体管の他方の端部に対応する部分に、移動本体管を一方に向って付勢するとともに移動本体管の連通用流路を塞ぐように設置され、移動本体管が他方に向って移動することにより開口する伸縮穴部を備えた弾性シール部材と、雌ルアーコネクターを結合する際における雌ルアーコネクターの移動に連動して、出口開口が雄ルアー部封止手段によって液密的に封止された状態から開放された状態となるように移動本体管を移動する連動機構とを備えることが好ましい。
この雄ルアーコネクターでは、雌コネクターと連通させるための雄ルアー部を、他方側部分が第一管状部材に接続されるコネクター本体の一方の端部から突出させた状態で設けている。そして、雄ルアー部の内部に移動本体管を軸方向に摺動可能に設けている。また、コネクター本体の内部における移動本体管の他方の端部に対応する部分には、伸縮穴部を備えた弾性シール部材が、移動本体管を一方に向って付勢するとともに移動本体管内の連通用流路を塞ぐようにして設けられている。そして、移動本体管が弾性シール部材によって一方に付勢されているときには、雄ルアー部封止手段によって雄ルアー部の出口開口が液密的に封止される。さらに、雄ルアーコネクターには、雌ルアーコネクターの移動に連動して、出口開口が雄ルアー部封止手段によって液密的に封止された状態から開放された状態となるように移動本体管を移動する連動機構が備わっている。
したがって、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとが接続されていないときには、弾性シール部材には外力が加わらず弾性シール部材の伸縮穴部は閉口した状態になり、この弾性シール部材によって、移動本体管内の連通用流路は閉塞される。このため、プライミングを行うときなどに、雄ルアーコネクターの流路内の薬液が弾性シール部材を越えて雄ルアー部の先端開口から外部にこぼれることはなくなる。この結果、薬液がこぼれて雄コネクターの外表面に付着し、付着部分から菌が繁殖するといったことを防止できる。また、薬液がこぼれて無駄になることもなくなる。
また、雄ルアー部の外周面は、先端側が徐々に細くなるテーパーを備えた曲面に形成され、雌ルアーコネクターの内周面は、雄ルアー部の外周面と液密的に接触できる曲面に形成されている。そして、雌ルアーコネクター内に雄ルアー部の先端側部分を入れて雌ルアーコネクターと雄ルアー部とを係合させて、雌ルアーコネクターの内周面と雄ルアー部の外周面とが液密的に接触したときに、連動機構の作用によって移動本体管が他方に移動して弾性シール部材が移動本体管に押されて伸縮穴部が開口する。
すなわち、雌ルアーコネクター内に雄ルアー部を入れていき、雌ルアーコネクターの内周面と雄ルアー部の外周面の先端側部分とが液密的に接触したときに、移動本体管が雌ルアーコネクターに押されて、雄ルアー部の出口開口を開口させるとともに、弾性シール部材の伸縮穴部を開口させるように構成している。これによって、第一管状部材と第二管状部材とは、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを介して連通するため薬液等の液体を流すことができる。また、そのときに、弾性シール部材の伸縮穴部の開口は液体を適正な状態で通すために必要な大きさになるようにしておく。
また、この場合、連動機構によって雌ルアーコネクターの移動力を利用して移動本体管を移動して、雄ルアー部封止手段が出口開口の液密的な封止を解除するとともに、弾性シール部材の伸縮穴部を開口させるため、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを接続させるための動作と、雄ルアー部の出口開口と弾性シール部材の伸縮穴部とを開口させるための動作を別々に行わなくてもよくなり、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合作業が簡単になる。
この場合、連動機構は、移動本体管に固定されるとともに、雌ルアーコネクターを結合するときに雌ルアーコネクターの端面に当接可能に配置された支持腕で構成するとよい。このように構成すれば、雌ルアーコネクターが雄ルアーコネクターに近づいてくるときに、支持腕が雌ルアーコネクターの端面に当接して雌ルアーコネクターの移動力を受ける。そして、この当接状態を維持したままさらに雌ルアーコネクターが移動されると、この移動力は支持腕を固定する移動本体管に伝達されて、移動本体管が移動される
また、移動本体管の雄ルアー部封止手段または雄ルアー部の本体管封止手段の少なくとも一方には、気体の通過が可能であるとともに液体の通過が不能な気体透過フィルターが取り付けられているとよい。気体透過フィルターが雄ルアー部封止手段に取り付けられていれば、雄ルアー部内の気体はこの気体透過フィルターを介して外部に放出されるが、液体は外部に放出されない。したがって、雄ルアー部封止手段で雄ルアー部の出口開口を液密的に封止した状態でプライミングを行って、出口開口から、雄ルアー部、移動本体管、または移動本体管に接続される管状部材内に滞留する空気等の気体のみを外部に放出することができる。
また、本発明の雄ルアーコネクターは、雄ルアー部の内側壁と移動本体管の外周との間にOリングなどのシール部材が設けられているものであるとよい。上記の位置にシール部材を配設することにより、雄ルアー部封止手段によって出口開口を液密的に封止した状態で移動本体管の一端部に形成された開口から雄ルアー部の内部空間内に液体が流れ込んだとしても、シール部材の存在により雄ルアー部の外部への液体の漏れが防止される。
また、本発明の雄ルアーコネクターは、雌ルアーコネクターに螺合接続可能な第一内ネジ部を有し、第一内ネジ部を雌ルアーコネクターに螺合することにより、テーパー状外周壁を雌ルアーコネクターの内周壁に当接した状態で雄ルアー部を雌ルアーコネクターに固定するロック部材をさらに備えるものであるとよい。このロック部材によって、雌ルアーコネクターへの雄ルアーコネクターの接続が確実になされ、外部からの予期せぬ力によって簡単に雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合が解除されるのを防止することができる。
本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターの平面図である。 本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターの正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 図2におけるB−B断面図である。 本発明の第一実施形態に係る外筒部の斜視図である。 本発明の第一実施形態に係る外筒部の断面図である。 本発明の第一実施形態に係る雄ルアー部の正面図である。 本発明の第一実施形態に係る内筒部の斜視図である。 本発明の第一実施形態に係る内筒部の断面図である。 本発明の第一実施形態に係る本体管の正面図である。 外筒部に内筒部が挿入された状態を示す斜視図である。 外筒部に内筒部が挿入された状態における正面図である。 本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターと結合したときの、図2におけるA−A断面図である。 本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターと結合したときの、図2におけるB−B断面図である。 第一実施形態の変形例を示す雄ルアーコネクターの、図2におけるA−A断面図である。 第一実施形態の変形例を示す雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターと結合したときの、図2におけるA−A断面図である。 本発明の第二実施形態に係る雄ルアーコネクターの断面図である。 本発明の第二実施形態に係る本体管の先端部分の斜視図である。 本発明の第二実施形態に係る本体管のフィルターを除いた状態を示す斜視図である。 本発明の第二実施形態に係る雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターと結合したときの断面図である。 本発明の第三実施形態に係る雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを接近させた状態を示した断面図である。 コネクター本体の支持部と雄ルアー部を正面から見た状態を示した正面図である。 本発明の第三実施形態に係る雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを接続させる状態を示した断面図である。 本発明の第三実施形態に係る雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを接続させた状態を示した断面図である。
(第一実施形態)
以下、本発明に係る雄ルアーコネクターについて、図面を用いて詳しく説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターの平面図、図2は正面図、図3は図2におけるA−A断面図、図4は図2におけるB−B断面図である。図1に示すように、本実施形態の雄ルアーコネクター101は、第一管状部材T1に接続されるとともに、雌ルアーコネクター10と結合することによって、第一管状部材T1内の流路空間と、雌ルアーコネクター10に接続した第二管状部材(図示省略)内の流路とを連通するものである。この雄ルアーコネクター101は、外筒部110と、内筒部120と、ロックリング130とを備えて構成されている。
図5は、外筒部110の概略斜視図、図6は図3の断面図のうち外筒部110のみの構成を示した図である。図3〜図6に示すように、外筒部110は、雄ルアー部111、リング保持部112、把持部113を有し、全体的に見て段付円筒形状に形成されている。雄ルアー部111は外筒部110の先端(図3、図4、図6において左端)部分に配置され、雌ルアーコネクター10の内壁と当接可能となる部分である。リング保持部112は雄ルアー部111に連結しており、後述するロックリング130を保持する部分である。把持部113は、外筒部110の基端(図3、図4、図6において右端)側に形成され、使用者が雄ルアーコネクター101を把持する部分である。
図6に示すように、雄ルアー部111は側壁部111aを有する円筒状に形成されている。この側壁部111aは先端側(図示左側)に向かうにつれて先細りとなるテーパー形状に形成されたテーパー状外周壁111bと、このテーパー状外周壁111bと反対側の面であってその内周側に内部空間111dを形成する内側壁111cを有している。テーパー状外周壁111bは、雌ルアーコネクター10に形成されたテーパー状内周壁10aに当接可能な面である。テーパー状外周壁111bが上記したような先細りテーパー形状とされているので、側壁部111aの先端面は、外径が最も小さくなる小径端面111eを形成する。また、側壁部111aの基端側(図示右側)は開口していて、この開口部分から後述の本体管121が内部空間111d内に内挿される。
図7は小径端面111eを正面から見たときの拡大図である。図7からわかるように、小径端面111eには出口開口111fが形成されているとともに、この出口開口111fを径方向に横断するように柱部111gが設けられている。したがって、出口開口111fは柱部111gによって二分され、出口開口111fの開口縁によって2つの半円形状の隙間111hが互いに向き合っているように形成される。図からわかるように柱部111gは小径端面111eの図示上部と図示下部とをつなぐように鉛直状に形成される。また、柱部111gは出口開口111f付近のみに形成されており、内部空間111dの全体にわたって形成されているわけではない。
図6に示すように、リング保持部112は、第一円筒部112a、第二円筒部112b、第三円筒部112cから構成されている。第一円筒部112aは雄ルアー部111のテーパー状外周壁111bから径方向外方に延び、雄ルアー部111と同軸的となるように円筒状に形成されている。第二円筒部112bおよび第三円筒部112cも円筒形状をしており、この順で第一円筒部112aに同軸的に連結している。図5および図6からわかるように第一円筒部112aおよび第三円筒部112cの外径は第二円筒部112bの外径よりも大きく形成されており、このため第一円筒部112aと第二円筒部112bとの境には周方向に第一段差部112dが、第二円筒部112bと第三円筒部112cとの境には周方向に第二段差部112eがそれぞれ形成される。
また、図5および図6によく示すように、第一円筒部112aの一方端面(雄ルアー部111に向いた側の端面)には、外部に開口した2つの窓部112fが形成されている。この窓部112fは、雄ルアー部111の外周に沿って所定の長さを持って形成されるとともに、径方向に所定の幅をもって形成されている。また、2つの窓部112fは、第一円筒部112aの軸心に対して対称的となるように180度の間隔を持って図示上下に2つ形成されている。窓部112fからは、第一円筒部112a内に向けて通路112gが形成されている。この通路112gは、図6に示すように第二円筒部112bの内周側の空間に連通している。
把持部113は、第三円筒部112cに接続されていて、その外径が第三円筒部112cの外径と等しくなるように形成される。また、把持部113は内部に円筒状の空間を形成する内壁113aを持つとともに、この内壁113aから径方向内方に突出した環状凸部113bが形成される。また、図6からわかるように、把持部113の第三円筒部112cとの接続端には、軸方向に沿って内径が滑らかに増減したくびれ状の接続部113cが形成されている。一方、第三円筒部112cの把持部113との接続端には、上記接続部113cに対応した相補形状を持つくびれ状の接続部112hが形成されている。そして、これらの接続部113cと112hとが嵌り合うことによって、把持部113が第三円筒部112cに固定される。
リング保持部112および把持部113はともに円筒状に形成されていて、内部に空間Sを形成している。この空間Sは、図6に示すように雄ルアー部111内の内部空間111dに連通している。また、第一円筒部112aに形成される通路112gは、この空間Sに開口している。
図8は、内筒部120の概略斜視図、図9は図3の断面図から内筒部120のみの構成を示した図である。図3、図4、図8、図9に示すように、内筒部120は、細長の段付円筒状に形成された本体管121と、本体管121の外周に形成された支持腕122とを有している。本体管121の内部には流路121aが形成されている。この流路121aは本発明の連通用流路に相当し、本体管121の軸方向に沿って形成される。また、本体管121は、第一開口121bおよび第二開口121cを有している。第一開口121bは本体管121の一方の端部(図4、図9において左側の端部)に形成される。第二開口121cは本体管121の他方の端部(図3、図4、図9において右側の端部)に形成されていて、この他方の端部に第一管状部材T1が接続されることによって、第一管状部材T1内の流路空間が第二開口121cを経て本体管121内の流路121a内の空間に連通される。
図10は、第一開口121bを正面から見たときの拡大図である。図10に示すように、第一開口121bは、左右縁が鉛直状に形成され、上下縁が凹状の円弧上に形成される。したがって、第一開口121bで囲われた空間の断面形状は、上下に膨らんだ太鼓形状とされる。本体管121内に形成される流路121a内の空間の断面形状も、上記太鼓形状と同様にされている。また、図8に示すように、第一開口121bから本体管121の軸方向に沿って切欠部121dが形成されており、この切欠部121dによって本体管121の一方の端部に2つの半円柱状の突片121eが形成される。この突片121eの断面形状は、雄ルアー部111の小径端面111eに形成される出口開口111fの開口縁で囲われる2つの半円形状の隙間111hと同様の形状をしている。
支持腕122は、本体管121の外周に固定されて径外方に延びて形成された支持部122aと、この支持部122aから本体管121の軸方向に沿って第一開口121b側に延びた2本の腕部122bを備える。2本の腕部122bは本体管121に対して対称的に配置するように180度の間隔で支持部122aに取り付けられており、その先端が本体管121の第一開口121bを越えない程度に第一開口121b付近まで延びている。なお、支持腕122が本発明の連動機構に相当する。支持腕122は、本体管121に固定されていれば、本体管121と一体に形成してもよいし別体で形成してもよい。
図3および図4に示すように、内筒部120は外筒部110内に軸方向移動可能に挿入されている。このとき、本体管121の第一開口121b(図3、図4において不図示)から支持腕122の支持部122aが取り付けられている部分までは雄ルアー部111の基端側の開口から内部空間111d(図6参照)に収容され、それよりも図示右側の部分はリング保持部112および把持部113の内周側に形成される空間S(図9参照)に収容される。また、支持腕122は、空間Sから第一円筒部112a内に形成された通路112g(図6参照)を通って外筒部110の外部に突出している。内筒部120が外筒部110に挿入されている状態の斜視図を図11に示す。図11からわかるように、支持腕122の腕部122bは第一円筒部112aの端面に形成された窓部112fから突出し、外筒部110の軸方向に突き出した状態で配設されている。また、図3および図4に示すように雄ルアー部111の内側壁111cの基端付近の部分と、本体管121の雄ルアー部111内に内挿されている部分の外周との間には、Oリング142が嵌め込まれている。このOリング142によって、本体管121の外壁面と雄ルアー部111の内側壁111cとの間からの液漏れが防止される。
図3、図4、図9からわかるように、本体管121の軸方向中央付近には、外径が小さくなっている小径部121fが形成されており、この小径部121fの軸方向両端にて周方向に第三段差部121gおよび第四段差部121hが形成される。そして、内筒部120が外筒部110内に内挿された状態で小径部121fと外筒部110の内壁との間にリング状の空間Rが形成され、このリング状空間Rにはベローズ141が配設されている。ベローズ141は本体管121の軸方向に伸縮可能なように本体管121の外周を覆って配置され、その一端が第三段差部121gに当接し、他端が小径部121fの外周に対面して配置されている把持部113の環状凸部113bに当接している。ベローズ141は図に示す状態で伸張力を発生しており、この伸張力によって環状凸部113bを第四段差部121hに押し付けるとともに、本体管121を図示左方向に移動するように付勢する。このため、本体管121の第一開口121bは雄ルアー部111の出口開口111f付近まで移動する。
このとき、ベローズ141の付勢力によって本体管121の一方の端部に形成された2つの突片121e(図8参照)が雄ルアー部111の出口開口111fの開口縁で形成される2つの半円形状の隙間111h(図5参照)に差し込まれ、図11に示すように丁度この半円形状の隙間111hが突片121eによって塞がれる。このため、出口開口111fが突片121eによって液密的に封止される。これとともに、雄ルアー部111の出口開口111fに形成された柱部111g(図5参照)が本体管121の一方の端面に形成された切欠部121d(図8参照)内に丁度嵌まり込み、柱部111gによって第一開口121bも液密的に封止される。また、柱部111gは切欠部121dにて本体管121内の流路121aを形成する円弧状の上下端面に当接し、この当接によって本体管121がそれ以上移動して外筒部110から突き抜けるのが防止される。このように、ベローズ141の付勢力によって本体管121が外筒部110内で移動して、常時は本体管121の突片121eが雄ルアー部111の出口開口111fを液密的に封止し、雄ルアー部111の柱部111gが本体管121の第一開口121bを液密的に封止し合う状態とされる。このときの雄ルアー部111の正面図を図12に示す。図12からわかるように、第一開口121bは柱部111gに収まるようにされて液密的に封止され、出口開口111fには突片121eが差し込まれて液密的に封止される。なお、このとき、突片121eが出口開口111fに容易に差し込まれるように、突片121eの外壁をテーパー形状にしてもよい。
ロックリング130は、図3、図4に示すように外筒部110の雄ルアー部111およびリング保持部112の外周を覆うように回転可能に取り付けられている。このロックリング130は、図示左方端から第一内ネジ部131が内周に形成されているとともに、図示右方端にて径方向内方に突出した係止部132が形成されている。この係止部132の内周面は、リング保持部の112の第二円筒部112bの外周面に対面するように配置されている。ここで、係止部132の内径は、第一円筒部112aの外径および第三円筒部112cの外径よりも小さく、且つ第二円筒部112bの外径よりも大きくされている。したがって、係止部132は第一段差部112dと第二段差部112eとの間で外筒部110の軸方向に移動可能であるが、その範囲を超えた移動は両段差部112d,112eにより規制される。
図3および図4に示すように、雌ルアーコネクター10は、図において左から右に向かって内径が大きくなるラッパ形状を呈しており、内部に流路空間15が形成され、大径端側にて開口されている。流路空間15を形成する雌ルアーコネクター10のテーパー状内周壁10aは、図において左方から右方に行くにつれて内径が大きくなるテーパー状に形成されている。このテーパー状内周壁10aは、雄ルアー部111のテーパー状外周壁111bに対応したテーパー角および径を有する部分を持つものとされる。また、雌ルアーコネクター10の外周の大径端に近い部分には、径方向外方に突出した突起部10bが形成されている。この突起部10bは、本実施形態においては雌ルアーコネクター10の外周に対称的に2箇所の位置に設けられており、雌ルアーコネクター10が雄ルアーコネクター101と結合した際に、ロックリング130の第一内ネジ部131と螺合可能に構成される。
上記構成において、雄ルアーコネクター101を雌ルアーコネクター10に結合しない場合は、図3、図4の状態が維持される。この状態は、上述したように雄ルアー部111の出口開口111fが本体管121に形成された突片121eによって液密的に封止されているとともに、本体管121の第一開口121bが雄ルアー部111の柱部111gにより液密的に封止されている状態である。したがって、第二開口121cにて本体管121に接続された第一管状部材T1内の流路空間内の液体が第二開口121cを経て本体管121内の流路121aに進入しても、第一開口121bおよび出口開口111fが液密的に封止されているために外部に液体が漏れ出すことはない。また、外部から液体が雄ルアーコネクター101内に混入することがない。
さらにこのような封止状態でプライミングを行おうとする場合には、柱部111gに、気体の通過が可能であるとともに液体の通過が不能である気体透過性のフィルターを取り付けておくとよい。このようにすれば、上記のような封止状態であっても、本体管121の流路121a内、および本体管121に接続された第一管状部材T1の流路に滞留する空気等の気体はこのフィルターを介して外部に放出可能であり、プライミングを行うことができる。このとき、液体はフィルターを通過することはできないので、プライミング時に液体が外部に漏れることはない。
雄ルアーコネクター101と雌ルアーコネクター10とを結合するときは、図3、図4に示す状態から、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター101との軸心が一致した状態のまま雄ルアーコネクター101に近づくように、図示右方へ雌ルアーコネクター10を軸方向移動する。このとき、雌ルアーコネクター10の図示右方への軸方向移動によって、雄ルアー部111が雌ルアーコネクター10内の流路空間15に進入するとともに、雌ルアーコネクター10の大径側の端面と雄ルアー部111の外側に軸方向に沿って突き出た腕部122bの先端面が当接する。この当接状態から、さらに雌ルアーコネクター10を図示右方に移動すると、この移動に連動して雌ルアーコネクター10の端面に当接した腕部122bも図示右方に移動し、腕部122bが形成された支持腕122を固定する本体管121も図示右方へ軸方向移動する。
このような本体管121の移動によって、突片121eが出口開口111fから離間し、出口開口111fが突片121eによって液密的に封止された状態から開放された状態となる。これとともに、柱部111gが第一開口121bから離間し、第一開口121bが柱部111gによって液密的に封止された状態から解放された状態となる。そして、さらに雌ルアーコネクター10が図示右方に移動すると、雄ルアー部111のテーパー状外周壁111bと雌ルアーコネクター10のテーパー状内周壁10aとが液密的に当接して、雄ルアーコネクター101と雌ルアーコネクター10とが結合する。この状態でロックリング130の第一内ネジ部131と雌ルアーコネクター10の突起部10bとの軸方向位置を合わせ、ロックリング130を回転させる。すると、ロックリング130に雌ルアーコネクター10が螺合されて、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター100とが強固に結合する。
雄ルアーコネクター101と雌ルアーコネクター10との結合が完了した状態の断面図を図13、図14(図13は図2のA−A断面、図14は図2のB−B断面に対応する。)に示す。図13、図14からわかるように、雌ルアーコネクター10のテーパー状内周壁10aと雄ルアー部111のテーパー状外周壁111bとは液密的に当接されて、両壁の間から液体が外部には漏れないようにされている。また、腕部122bが雌ルアーコネクター10の大径端部に押されることにより、本体管121が外筒部110内で図示右方向に後退移動し、この後退移動によって雄ルアー部111の出口開口111fと本体管121の第一開口121bとは離れた位置に配置される(図14参照)。
このような状態において、本体管121の第二開口121cに接続された第一管状部材T1の流路内の液体は、第二開口121cから本体管121内の流路121aに入り、第一開口121bを経て雄ルアー部111内の内部空間111dに導入される。さらにこの内部空間111dから出口開口111fを通って雌ルアーコネクター10内の流路空間15に入り、さらに雌ルアーコネクター10に接続された第二管状部材(図示省略)内の流路空間に流れる。このようにして、雄ルアーコネクター101と雌ルアーコネクター10との結合によって2つの管状部材間での流通が達成される
図15は、上記説明の実施形態における腕部に改良を加えた変形例を示す断面図である。なお、この断面図は、図2のA−A断面図を見た図に相当する。図15に示すように、本例における腕部122bの先端部分には、雄ルアー部の径方向外方にさらに延びるようにして当接部122cが形成されている。このため、図16に示すように当接部122cが雌ルアーコネクター10の端面に確実に当接することができ、雌ルアーコネクター10の移動に連動して確実に本体管121を移動することができる。
以上のように、本実施形態に係る雄ルアーコネクター101は、雄ルアー部111内の内部空間111d内に本体管121の一方の端部が内挿され、この一方の端部に形成された2つの突片121eが軸方向に移動して雄ルアー部111の出口開口111fを液密的に封止するように構成されるので、雄ルアーコネクター101,102の不使用時に出口開口111fを無菌的に保つことができる。また、出口開口111fの液密的な封止および開放は、上記2つの突片121eが雄ルアー部111の内部空間111d内で移動することによりなされ、この突片121eが雄ルアー部111の外部、特に雄ルアー部111の小径端面111eよりも先の領域に大きく露出するようなことはない。したがって、この突片121eは他の構成に干渉することなく動作可能であり、スムーズに出口開口111fの液密的な封止および開放を行い得る。
また、突片121eが出口開口111fを液密的に封止しているときは、本体管121の第一開口121bも雄ルアー部111の柱部111gにより液密的に封止される。このようにして雄ルアー部111および本体管121の開口を互いに液密的に封止し合うことにより、確実に本体管121内の液体が外部に漏れるのを防止し得るとともに、外部から雄ルアー部111の内部空間111d内に他の薬液などが混入することが確実に防止される。
また、本体管121に固定された支持腕122によって、本体管121が雌ルアーコネクター10の移動動作に連動して移動されて出口開口111fが開放される。このように雌ルアーコネクター10の移動動作と出口開口111fの開放動作を連動することにより、雄ルアーコネクター101を雌ルアーコネクター10に結合する作業が簡単になる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態につき説明する。この実施形態は、本体管121の先端面にフィルターを設け、雄ルアー部111の出口開口111fが本体管121によって液密的に封止された状態でプライミングが可能とされている点、および、ロックリング130と本体管121が螺合されていて、ロックリング130の回転によって雄ルアー部111に対して本体管121を移動することができる点に特徴を有する。以下、上記特徴点を中心に説明する。
図17は、本実施形態に係る雄ルアーコネクター102の断面図である。なお、この断面図は、図2におけるA−A断面図に相当する。この図からわかるように、本体管121の先端面(図示左端面)にはフィルター151が取り付けられている。フィルター151は、内部に多数の微小孔が形成されており、気体の通過が可能であるが、液体の通過は不能である気体透過フィルターである。このような性質を持つフィルターの材質として、多孔質焼結体等が好ましく用いられる。
図18は、本体管121の先端付近の拡大斜視図、図19は図18の斜視図からフィルター151を取り除いた本体管121の先端付近の拡大斜視図である。図19からわかるように、本体管121の先端にて、本体管121内の流路121aが開口している端面121iから軸方向に沿って立設された2つの突設部121jが形成されている。この2つの突設部121jは本体管121の軸心に対して対称的に設けられており、且つ流路121aの開口を取り囲んで円弧状に湾曲した壁のように形成されている。ただし、2つの突設部121jによって上記開口の全周が覆われてしまうことがないように、2つの突設部121jは所定の間隔を隔てて形成される。
そして、図18に示すように、円柱形状のフィルター151が2つの突設部121jの内壁に囲まれた空間内に挟着され、抜け落ちないように取り付けられる。またフィルター151は、端面121iから所定の間隔を隔てて配置するように突設部121jの先端部分に取り付けられる。したがって、フィルター151および2つの突設部121jに囲まれた領域に隙間が形成され、この隙間が本体管121の第一開口121bとなる。
また、図17に示すように、本体管121には、その略中央付近に外ネジ部121kが形成されている。この外ネジ部121kに対応して、ロックリング130の内周には第二内ネジ部133が形成されている。第二内ネジ部133は第一内ネジ部131とはリードが同一方向となるように形成されている。すなわち、第一内ネジ部131が右ネジであれば第二内ネジ部133も右ネジとして、第一内ネジ部131が左ネジであれば第二内ネジ部133も左ネジとして形成される。そして、ロックリング130を本体管121に組み合わせた状態で、上記第二内ネジ部133部が本体管121の外ネジ部121kに螺合するような状態とされる。なお、その他の構成は上記第一実施形態と同様であるので、その具体的説明は省略する。
このような構成の雄ルアーコネクター102において、ロックリング130を所定の軸回り方向(例えば時計周り方向)に回転させると、本体管121の外ネジ部121kが第二内ネジ部133に螺合することによって本体管121が図示左方に移動する。そして、本体管121の先端部分が雄ルアー部111の出口開口111fに入る。このとき、雄ルアー部111の出口開口111fの形状は、2つの突設部121jにフィルター151が組み合わされたときの断面形状とほぼ等しい形状とされている。このため、突設部121jおよびフィルター151によって出口開口111fが液密的に封止される。
上記の状態においてプライミングを行った場合、本体管121の流路121a内に滞留していた空気はフィルター151を通過して外部に放出される。一方、流路121a内の液体はフィルター151を通過することができないので、液体がプライミング中に外部に放出されることはない。また、雄ルアー部111の内側壁111cと本体管121の外周との間にはOリング142が取り付けられているので、上記内側壁111cと本体管121の外周との間の隙間から液体が外部に漏れだすこともない。
プライミングが完了した後に雄ルアーコネクター102を雌ルアーコネクター10に結合するが、このとき、雌ルアーコネクター10に形成された突起部10bをロックリング130の第一内ネジ部131に当接させた状態でロックリング130が上記所定の軸回り方向とは反対の方向(例えば反時計回り方向)に回転される。すると、雌ルアーコネクター10の突起部10bがロックリング130の回転によって螺合されて雌ルアーコネクター10が雄ルアーコネクター102に近づく方向に移動して、雌ルアーコネクター10が雄ルアーコネクター102に当接される。また、ロックリング130の第二内ネジ部133は本体管121の外ネジ部121kと螺合しているため、ロックリング130の回転によって本体管121も軸方向に移動する。このとき、第二内ネジ部133は第一内ネジ部131とリードが同一方向に形成されているので、ロックリング130の上記回転に伴って本体管121は雌ルアーコネクター10の進行方向と同一方向に移動して、ロックリング130から遠ざかる。この移動によって、図20に示すように本体管121の突設部121jおよびフィルター151が雄ルアー部111の出口開口111fから離間し、出口開口111fが開放される。したがって、この状態で本体管121の流路121aからの液体が出口開口111fを通って雌ルアーコネクター10内に導入される。これによって液体の流通が達成される。
以上のように、上記実施形態に係る雄ルアーコネクター102は、本体管121の先端に気体の通過が可能であるとともに液体の通過が不能なフィルター151を取り付け、このフィルター151およびフィルター151を挟着する2つの突設部121jによって、雄ルアー部111の出口開口111fを液密的に封止している。このため、フィルター151によって液体の流出が防止された状態でプライミングが可能となる。よって、液漏れを生じることなく雄ルアー部111、本体管121、または本体管121に接続される管状部材内に滞留する空気等の気体を外部に放出することができる。
また、ロックリング130には、雌ルアーコネクター10に螺合する第一内ネジ部131と、本体管121に螺合する第二内ネジ部133を形成されており、ロックリング130の回転動作によって、雄ルアーコネクター102を雌ルアーコネクター10に固定する動作と、本体管121を移動して出口開口111fを開放する動作を同時に行うことができる。
(第三実施形態)
図21ないし図24は、本発明の第三実施形態に係る雄ルアーコネクター201を示している。この雄ルアーコネクター201は、第一管状部材T2の先端部に取り付けられたコネクター本体210と、コネクター本体210の先端側に設けられた雄ルアー部220と、雄ルアー部220内に移動可能に設けられた移動本体管230と、コネクター本体210の先端側の外周に取り付けられたロックリング240と、コネクター本体210の内部中央側に設けられた弾性シール部材250とで構成されている。
コネクター本体210は、第一管状部材T2に接続される基端側部分から先端側に向って徐々に直径が大きくなった略円筒状の基端連結部211と、基端連結部211の先端部から前方に延びる段付き円筒状の先端支持部212とで構成されている。基端連結部211の内部は、薬液を通すための流路211aに形成されており、その先端側部分は直径の大きな空間部211bに形成されている。また、基端連結部211の後部側部分における流路211aの外周側部分には後部側から先端側に向かって延びるリング状の固定用凹部213が形成されており、この固定用凹部213に第一管状部材T2の先端部を係合させることにより、基端連結部211は、第一管状部材T2に連結されている。そして、基端連結部211の先端外周には外径が小さくなった組付け用の段部214が形成されている。
先端支持部212は、基端連結部211の段部214に固定される大径の固定部215と、固定部215の先端中央から前方に延びる細径の支持部216とで構成されている。固定部215は、段部214を内部に入れた状態で固定される大径部215aの内側に、大径部215aよりも直径および軸方向の長さがともに小さく設定された小径部215bを形成して構成されている。この大径部215aと小径部215bとは前端部で連結され、大径部215aと小径部215bとの後端部の間は開口している。そして、弾性シール部材250が、大径部215aと小径部215bとの間に周縁部を挿し込んだ状態で取り付けられている。
すなわち、弾性シール部材250の周縁部を大径部215aと小径部215bとの間に挿し込んで、弾性シール部材250を固定部215に取り付け、その状態の固定部215の大径部215a内に基端連結部211の段部214を挿し込んで固定部215を基端連結部211に固定することにより、弾性シール部材250は固定部215と基端連結部211との間に固定されている。この場合、弾性シール部材250における大径部215aと小径部215bとの間の開口側に位置する部分は、段部214の先端部に押圧されて大径部215aと小径部215bとの間から外れることを防止される。
この弾性シール部材250は、弾性および伸縮性を備えた板状のゴムで構成されており、その中央に、伸縮することにより開口したし閉口したりする伸縮穴部251が形成されている。このため、弾性シール部材250は、前面に後方に向かう所定の押圧力が加わることにより伸びて伸縮穴部251を開口させ、その押圧力が解除されることにより収縮して伸縮穴部251を閉口させる。この伸縮穴部251が閉口しているときには、基端連結部211内の流路211aは遮断されて、薬液は流れなくなる。また、弾性シール部材250の後面における中央部(伸縮穴部251の周囲部分)には、後方に向って突出した円錐状の小さな突起252が形成されている。この突起252によって、流路211a内に薬液が充填された際に、弾性シール部材250の中央部にかかる圧力が分散されて弾性シール部材250の耐圧性が向上する。
支持部216は、固定部215の小径部215bと内径が同じで外径が小さくなった小径部215bよりもやや細く軸方向の長さが長くなった筒状に形成されている。また、支持部216の外周面における先端側部分を除く部分には、先端側部分よりも外径がやや小さくなったスライド用の凹部216aが形成されている。そして、支持部216の内部側に、支持部216の内周面と間隔を保って、略円筒状の雄ルアー部220が、先端部を支持部216の先端開口から突出させた状態で設けられている。この雄ルアー部220は、リング状の壁部216b(図22参照)を介して支持部216に連結されており、その先端側部分は、雌ルアーコネクター20のテーパー状内周壁20aと液密的に接触できるように形成されている
雄ルアー部220は、先端側(図示左側)に向かうにつれて先細りとなるテーパー形状の円筒形に形成されており、その先端面は、外径が最も小さくなる小径端面221を形成する。また、雄ルアー部220の基端側(図示右側)は開口していて、この開口部分から後述する移動本体管230が雄ルアー部220の内部に内挿される。図22は支持部216および雄ルアー部220を正面から見た状態を示しており、雄ルアー部220の小径端面221には細長い出口開口222が形成されている。また、壁部216bには、出口開口222の長手方向の部分を挟んで外部側が凸状になった円弧状の一対の窓部217が形成されている。
移動本体管230は、内部に流路231が形成された略円筒体で構成されており、外周に一対の支持腕232が形成されている。流路231は本発明の連通用流路に相当し、移動本体管230の軸方向に沿って形成されており、移動本体管230の両端は、それぞれ開口されている。また、移動本体管230の先端面中央からは、雄ルアー部220の出口開口222内に入って出口開口222を液密的に封止できる突片233が前方に向って突出しており、移動本体管230の先端面における突片233の両側部分に開口(図示せず)が形成されている。この開口は、移動本体管230が前方に移動したときに、小径端面221によって閉塞される。
一対の支持腕232は、移動本体管230の後端部から、移動本体管230の外周面と所定の間隔を保った状態で前方に延びている。一対の支持腕232は移動本体管230に対して対称的に配置するように180度の間隔で移動本体管230に取り付けられており、その先端が移動本体管230の先端側の開口を越えない程度に延びている。このように構成された移動本体管230は、雄ルアー部220内に軸方向移動可能に挿入されており、支持腕232の先端部は、壁部216bに形成された一対の窓部217を通って外部に突出している。また、雄ルアー部220の内側壁の中央部付近と、移動本体管230の外周面との間には、Oリング235が嵌め込まれている。
この移動本体管230は、弾性シール部材250の弾性によって前方に付勢されて移動し、突片233が出口開口222内に入って出口開口222を液密的に封止したときに、
弾性シール部材250の伸縮穴部251も収縮して閉口するように構成されている。この雄ルアーコネクター201および雄ルアーコネクター201に接続される雌ルアーコネクター20のそれ以外の部分の構成は、前述した第一実施形態と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
このように構成された雄ルアーコネクター201を雌ルアーコネクター20に連結する場合には、まず、図21に示したように、雌ルアーコネクター20の先端開口に雄ルアーコネクター201の先端部を対向させて接近させる。ついで、雄ルアー部220を、雌ルアーコネクター20の内部に進入させて、図23に示したように、雌ルアーコネクター20のテーパー状内周壁20aと雄ルアー部220の先端側部分の外周面とを液密的に接触させる。このとき、支持腕232の先端部は、雌ルアーコネクター20の先端面に当接して、移動本体管230を雄ルアー部220内の後方に向って移動させる。これによって、出口開口222および弾性シール部材250の伸縮穴部251が開口する。
そして、ロックリング240の第一内ねじ131と雌ルアーコネクター20の突起部10bとを接触させたのちに、ロックリング240を所定の軸周り方向に回転させることにより第一内ねじ131と突起部10bとを螺合させていく。そして、第一内ねじ131と突起部10bとの螺合が適度な状態になると、図24に示したように、雌ルアーコネクター20と雄ルアーコネクター201とは、液漏れが生じない適度な連結状態で連通する。
以上のように、本実施形態に係る雄ルアーコネクター201では、雄ルアーコネクター201と雌ルアーコネクター20とが接続されていないときには、弾性シール部材250の弾性力によって、雄ルアー部220が前方に付勢され出口開口222が閉塞されるとともに、弾性シール部材29自身の伸縮穴部251も閉口する。このため、雄ルアーコネクター201の流路211a内の薬液が移動本体管230の流路231内に浸入することが防止されるとともに、雄ルアー部220の出口開口222から外部にこぼれることも防止される。この結果、薬液がこぼれて雄ルアーコネクター201の外表面に付着し、付着部分から菌が繁殖するといったことを防止できる。また、薬液がこぼれて無駄になることもなくなる。
また、雌ルアーコネクター20内に雄ルアー部220を入れることにより、雌ルアーコネクター20のテーパー状内周壁20aと雄ルアー部220の外周面とが液密的に接触したときに、弾性シール部材250が移動本体管230に押されて伸縮穴部251が開口する。このため、薬液を外部に漏らすことなく適度な流量で第一管状部材T2から雌ルアーコネクター20に接続された第二管状部材に流すことができる。また、雄ルアーコネクター201と雌ルアーコネクター20とを外したときにも、弾性シール部材250の復元力により伸縮穴部251が閉口するため雄ルアーコネクター201内の流路211aは閉塞される。
このとき、移動本体管230が前方に移動して出口開口222が閉塞される。このため、雄ルアーコネクター201と雌ルアーコネクター20とを外す際に、雄ルアー部220の出口開口222から薬液がこぼれることがなくなる。この雄ルアーコネクター201のそれ以外の作用効果については、前述した雄ルアーコネクター101と同様である。なお、本実施形態の雄ルアーコネクター201においても、前述した実施形態の変形例が備える気体透過性のフィルターやその他の機構や部材等を利用することができる。
20…雌ルアーコネクター、20a…テーパー状内周壁、10b…突起部、15…流路空間、201…雄ルアーコネクター、220…雄ルアー部、221…小径端面、222…出口開口、211a,231…流路、232…支持腕(連動機構)、235…Oリング(シール部材)、210…コネクター本体、230…移動本体管、233…突片、250…弾性シール部材、251…伸縮穴部

Claims (6)

  1. 第一管状部材に接続されるとともに、雌ルアーコネクターと結合することによって、前記第一管状部材内の流路空間と前記雌ルアーコネクターに接続した第二管状部材内の流路空間とを連通する雄ルアーコネクターにおいて、
    先端側に向かうにつれて先細りとなるテーパー形状に形成されて、前記雌ルアーコネクターに形成されたテーパー状の内周壁に液密的に当接可能なテーパー状外周壁と、内部空間を形成する内側壁とを有する側壁部と、前記側壁部の小径端面に形成され前記内部空間を外部に連通する出口開口とを有する雄ルアー部と、
    一方側部分が前記雄ルアー部に連結されて内部に前記雄ルアー部の内部空間と連通する空間部が形成され、他方側部分が前記第一管状部材に接続可能とされたコネクター本体と、
    内部に連通用流路が形成された管状部材であり、前記連通用流路を外部に連通する開口が一方の端部および他方の端部にそれぞれ形成され、前記一方の端部が前記雄ルアー部の内部空間に移動可能に内挿され、前記内部空間内で移動することによって前記出口開口を液密的に封止可能な雄ルアー部封止手段が前記一方の端部に形成された移動本体管と、
    を備え、さらに、
    前記雄ルアー部封止手段は、前記一方の端部に形成された開口にて径方向に横断して形成された突片で構成され、前記雄ルアー部は、前記雄ルアー部封止手段が前記出口開口を液密的に封止しているときに、前記一方の端部に形成された開口を液密的に封止する本体管封止手段を備えることを特徴とする雄ルアーコネクター。
  2. 請求項1に記載の雄コネクターにおいて、
    前記コネクター本体の内部における前記移動本体管の他方の端部に対応する部分に、前記移動本体管を一方に向って付勢するとともに前記移動本体管の連通用流路を塞ぐように設置され、前記移動本体管が他方に向って移動することにより開口する伸縮穴部を備えた弾性シール部材と、
    前記雌ルアーコネクターを結合する際における前記雌ルアーコネクターの移動に連動して、前記出口開口が前記雄ルアー部封止手段によって液密的に封止された状態から開放された状態となるように前記移動本体管を移動する連動機構とを備えることを特徴とする雄ルアーコネクター。
  3. 請求項2に記載の雄ルアーコネクターにおいて、
    前記連動機構は、前記移動本体管に固定されるとともに、前記雌ルアーコネクターを結合するときに前記雌ルアーコネクターの端面に当接可能に配置された支持腕であることを特徴とする雄ルアーコネクター。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1に記載の雄ルアーコネクターにおいて、
    前記雄ルアー部封止手段または前記本体管封止手段の少なくとも一方には、気体の通過が可能であるとともに液体の通過が不能な気体透過フィルターが取り付けられていることを特徴とする雄ルアーコネクター。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1に記載の雄ルアーコネクターにおいて、
    前記内側壁と前記移動本体管の外周との間にシール部材が設けられていることを特徴とする雄ルアーコネクター。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1に記載の雄ルアーコネクターにおいて、
    前記雌ルアーコネクターに螺合接続可能な第一内ネジ部を有し、前記第一内ネジ部を前記雌ルアーコネクターに螺合することにより、前記テーパー状外周壁を前記雌ルアーコネクターの内周壁に当接した状態で前記雄ルアー部を前記雌ルアーコネクターに固定するロック部材をさらに備えることを特徴とする雄ルアーコネクター。
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