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JP5520630B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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JP5520630B2 JP2010037607A JP2010037607A JP5520630B2 JP 5520630 B2 JP5520630 B2 JP 5520630B2 JP 2010037607 A JP2010037607 A JP 2010037607A JP 2010037607 A JP2010037607 A JP 2010037607A JP 5520630 B2 JP5520630 B2 JP 5520630B2
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Description

本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品、詳しくは後側部分のヨレやズレの発生を無くし経血等の漏れを防止するとともに、装着感の維持を図った吸収性物品に関する。
従来より、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド等の吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パルプなどからなる吸収体を含む吸収要素が介在される本体部分の後側両側部に、それぞれ前記吸収要素が介在しない後部フラップが形成されたものが知られている。
近年では、この種の吸収性物品として、装着感の向上などを目的として薄型化・スリム化されたものが開発されている。
ところが、このようなスリム化された吸収性物品では、長時間の歩行や激しい運動などによって吸収性物品のズレやヨレが少なからず生じ、特に後側部分では吸収体が介在しない後部フラップのズレやヨレが頻繁に生じていた。この後側部分のズレやヨレは経血等の後漏れの原因となっていた。
このため、下着に対する固定性を高めることによってズレやヨレを防止しようとした種々の形態の吸収性物品が提案されている。例えば下記特許文献1では、後方フラップ部の着衣側表面には感圧接着剤層が設けられており、この感圧接着剤層は、後方フラップ部の半幅寸法が最大となる位置にその一部が存在していることによって、この最大幅部の内側が感圧接着剤層で下着にしっかり固定されるため、後方主吸収領域を臀部の溝に対向した状態で動きにくくした生理用ナプキンが開示されている。
また、下記特許文献2では、後部フラップが前方ウイング部と同じ最大延出幅を有し、且つ後部フラップの最大延出幅を有する領域の長手方向側縁が、本体長手方向と平行な直線状になっていることにより、ナプキンの着用時における後部フラップのめくれやヨレの基点となりやすい、後部フラップの後方端部に、大きな面積を有する後部粘着部を配することが可能となるため、粘着部による後部フラップの着衣に対する固定性が高まり、後部フラップによる液漏れ防止効果を安定的に発揮させるようにした吸収性物品が開示されている(特許文献2の段落[0016]参照)。
特開2009−559号公報 特開2009−118877号公報
しかしながら、上記特許文献1、2記載の生理用ナプキンでは、後部フラップを下着に固定するため下着当接面側に設けられるズレ止め粘着剤層が後部フラップに単独で形成されているため、本体部分と後部フラップとの連動性が図られず、本体部分の身体へのフィット形状と無関係に後部フラップが下着に固定されることによって、本体部分と後部フラップの変形状態の不整合によるあらたなヨレやズレが生じる場合があった。この後側部分のヨレやズレは、経血等の後漏れや装着感の悪化の原因となっていた。
そこで本発明の主たる課題は、後側部分において本体部分と後部フラップとの連動性を図ったズレ止め粘着剤層を設けることにより、後側部分のズレやヨレを無くし経血等の漏れを防止するとともに装着感の向上を図った吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性の表面シートと裏面シートとの間に吸収要素が介在される本体部分の後側両側部にそれぞれ後部フラップが形成され、かつ前記裏面シート側にズレ止め粘着剤層が形成された吸収性物品であって、
前記ズレ止め粘着剤層は、前記吸収性物品を個装する際の前記後部フラップの折り線又は前記後部フラップの前側基端点から吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線を跨ぐように前記本体部分から後部フラップにかけて形成される左右一対の後部フラップ用粘着剤層を含み、
前記左右一対の後部フラップ用粘着剤層は、その間隔が前記吸収性物品の後側に向けて両側に漸次拡大する配向方向で形成されていることを特徴とする吸収性物品
が提供される。
上記請求項1記載の発明では、下着当接面側に形成されるズレ止め粘着剤層のうち左右一対の後部フラップ用粘着剤層として、前記吸収性物品を個装する際の前記後側フラップの折り線又は前記後部フラップの前側基端点から吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線を跨ぐように前記本体部分から後部フラップにかけて形成したものとしているため、本体部分から後部フラップにかけて後側部分の変形や動きが連続的に行われ連動性が生じ、本体部分が臀部の溝など身体の形状に沿って変形した場合や、後部フラップが身体の動きによって激しく動いた場合でも、本体部分から後部フラップにかけてズレやヨレを生じることなくしっかりと下着に固定されるようになる。従って、経血等の漏れが防止できるとともに装着感の向上が図られるようになる。
また、上記請求項記載の発明では、左右一対の後部フラップ用粘着剤層をその間隔が前記吸収性物品の後側に向けて両側に漸次拡大する配向方向で形成することにより、後側部分において本体部分から後部フラップにかけて、臀部の動きの基点となる股下部から後側に向けて両側に漸次拡大する放射状に固定されるため、臀部の動きにフィットし易くなり、後側部分のズレやヨレがより効果的に防止できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記吸収性物品には、表面シートの表面側から長手方向中心線上の位置を基点として後側に向けて両側に漸次拡大する略逆V字形状部分を有する臀部溝対応エンボスが付与され、
前記後部フラップ用粘着剤層は、長手方向中心線を境に同じ側に形成される前記臀部溝対応エンボスの略逆V字形状部分とほぼ平行に形成されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明は、吸収性物品の後側部分を臀部の溝に沿う形状で変形させる臀部溝対応エンボスの形状に適合する配向方向で後部フラップ用粘着剤層を形成することにより、本体部分の変形や動きに合わせて後部フラップまで連続的に変形や動きが生じ、本体部分と後部フラップとの変形や動きの不連続による後側部分のズレやヨレが防止できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記後部フラップの前側基端点は、前記臀部溝対応エンボスの長手方向中心線上の基点を通る幅方向に沿って引いた仮想線の線上の近傍又はこれより後側に位置させている請求項記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明は、臀部溝の股下側の開始位置に対応する臀部溝対応エンボスの長手方向中心線上の基点に対して、後部フラップの前側基端点を、前記基点を通る幅方向に沿って引いた仮想線の線上の近傍又はこれより後側に位置させることにより、後部フラップ及び後部フラップ用粘着剤層を確実に臀部に対応する位置に形成するようにしたものである。
請求項に係る本発明として、前記後部フラップ用粘着剤層は、前記本体部分から後部フラップにかけて連続的又は離散的に形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明は、後部フラップ用粘着剤層を本体部分から後部フラップにかけて形成するパターンとして、帯状などの連続的パターンや、ドット状などの離散的パターンなどとしたものである。
以上詳説のとおり本発明によれば、後側部分のズレやヨレを無くし経血等の漏れを防止するとともに、装着感の向上を図った吸収性物品が提供できるようになる。
本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。 その裏面図である。 後部フラップ用粘着剤層22の形成パターン(その1)である。 後部フラップ用粘着剤層22の形成パターン(その2)である。 後部フラップ用粘着剤層22の形成パターン(その3)である。 後部フラップ用粘着剤層22の形成パターン(その4)である。 後部フラップ用粘着剤層22の形成パターン(その5)である。 生理用ナプキン1の個装要領(その1)を示す裏面図である。 生理用ナプキン1の個装要領(その2)を示す平面図である。 他の形態例(その1)に係る生理用ナプキン1の裏面図である。 他の形態例(その2)に係る生理用ナプキン1の裏面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4及びこの吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5を含む吸収要素6と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布7,7と、下着当接面側(前記裏面シート2の外面側)に形成されたズレ止め粘着剤層20〜22から構成されている。前記吸収要素6が介在される本体部分の周囲において、その上下端縁部では、前記裏面シート2と表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、外周に吸収要素6の存在しないフラップ部8が形成されている。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
次いで、前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
一方、本生理用ナプキン1の表面側両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とをホットメルトなどの接着剤によって接着し、これらサイド不織布7と不透液性裏面シート2との積層シート部分により、ほぼ排血口部R1に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイング状フラップW、Wが形成されるとともに、これより臀部側位置に後部フラップW、Wが形成されている。なお、本生理用ナプキン1において、前記ウイング状フラップW、Wは任意であり、形成されなくても良い。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、W及び後部フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。
図1及び図2に示される例では、前記ウイング状フラップWは、生理用ナプキン1の本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記生理用ナプキン1幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定された略三角形状の平面形状を有している。また、図示例では前記後側外形線は波状のフリル形状とされている。前記後部フラップWは、前記ウイング状フラップWとほぼ同形状に形成されるものである。
前記生理用ナプキン1には、図1に示されるように、表面シート3の表面側から所定形状のエンボス10〜13が形成されている。前記エンボス10は、装着時に着用者の排血口部及び会陰部に対応する排血口対応部に形成される排血口対応エンボス10であり、長手方向中心線CLの両側にそれぞれ、生理用ナプキン1の略長手方向に沿うとともに、ナプキン長手方向中心線側に曲率中心を有する弧状曲線によって形成したものである。なお、この左右一対のエンボス10、10は、前端部及び後端部がそれぞれ長手方向中心線の両側に離隔して設けられるとともに、前端部間の離隔幅SFより後端部間の離隔幅SBを狭くしてある。この排血口対応部エンボス10は、排血口対応部を排血口部R1及び会陰部R2に好適にフィットさせるためのものである。
前記エンボス11は、前記排血口対応部よりナプキン長手方向に離間幅を設けて前側に位置する前側部に形成される前側部エンボス11であり、前記排血口対応部エンボス10から離間して、生理用ナプキン1の略幅方向に沿う部分を有する弧状曲線によって形成したものである。この前側部エンボス11は、前側部で該前側部エンボス11が可撓軸となって、恥骨周辺の丸みに沿って変形しやすくし、身体の前側に好適にフィットさせるためのものである。
前記エンボス12、13はそれぞれ、前記排血口対応部よりナプキン長手方向に離間幅を設けて後側に位置する後側部に形成される臀部溝対応エンボス12、臀部潰れ対応エンボス13である。前記臀部潰れ対応エンボス13は、就寝時の仰向け寝及び横向き寝に臀部の肉が潰れ、この潰れた臀部の肉が股下を通じて排血口側にはみ出るように寄せられ、前記臀部溝領域と排血口対応部との間の両側に丸みを帯びて膨出する臀部潰れ領域に形成されるものであり、前記排血口対応部エンボス10から離間して、長手方向中心線CLの両側にそれぞれナプキン1の幅方向外側に曲率中心を有する円弧状に形成されるものである。前記臀部溝対応エンボス12は、臀部の谷間が形成される臀部溝領域に形成されるものであり、長手方向中心線CL上の位置を基点Qとして後側に向けて両側に漸次拡大する略V字形状部分12aを有する形状で形成したものである。前記臀部溝対応エンボス12及び臀部潰れ対応エンボス13はそれぞれ、当該エンボスが可撓軸となって、臀部の溝及び臀部潰れに沿って変形しやすくし、身体の後側に好適にフィットさせるためのものである。なお、前記臀部溝対応エンボス12の基点Qは、臀部の溝の股下側の開始点近傍に形成される。
前記臀部溝対応エンボス12は、長手方向中心線CLに跨って両側に形成されるエンボス線の成す角度θBが90°未満、好ましくは60°〜90°で形成されることが好ましい。これにより、臀部溝対応エンボス12を可撓軸として、後側部Bを着用者の臀部の谷間に沿う形状で変形させやすくなる。なお、前記臀部溝対応エンボス12の略逆V字形状部分12aは、長手方向中心線CLから後側に向けて両側に直線状に形成してもよいが、図示例のように、生理用ナプキン1の外方側に曲率中心を有する緩やかな曲線状に形成することが好ましい。また、生理期間中の陰鬱な気分を紛らわせることなどを目的として、その後端部を長手方向中心線CL側に湾曲させることにより、全体として略ハート形に形成することが好ましい。
また、図1に示される例では、前記臀部溝対応エンボス12は、略逆V字形状部分12a、12aの先端部が長手方向中心線CL上で交差せず、離隔して形成してある。これは、前記略逆V字形状部分12a、12aの先端部を長手方向中心線CL上で連続させた場合に、該略逆V字形状部分12aで囲まれた幅方向中央部の表面側に突出する山形の先端部が鋭角的に成りすぎて、臀部の溝にフィットしすぎることによる違和感を防止したものである。なお、前記略逆V字形状部分12a、12aの先端部が長手方向中心線CL上で連続するように形成することもできる。
(ズレ止め粘着剤層)
次に、下着当接面側(前記裏面シート2の外面側)に形成されるズレ止め粘着剤層20〜22について詳説する。ズレ止め粘着剤層は、図2に示されるように、吸収要素6が介在する本体部分に長手方向に沿って帯状に、図示例では前側に3本、後側に2本で形成される本体用粘着剤層20、20…と、ウイング状フラップW、Wに形成される左右一対のウイング用粘着剤層21、21と、本体部分から後部フラップにかけて形成される左右一対の後部フラップ用粘着剤層22、22とから構成されている。これらのズレ止め粘着剤層20〜22は、下着に対する装着時に、前記本体用粘着剤層20…及び後部フラップ用粘着剤層22、22が下着の肌当接面側(内面側)に止着されるとともに、ウイング用粘着剤層21、21がウイング状フラップW、Wを折り返し線RL、RL位置にて反対側に折り返し、下着のクロッチ部分に巻き付けて下着の非肌当接面側(外面側)に止着される。
前記ズレ止め粘着剤層20〜22を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
前記粘着剤層20〜22は、生理用ナプキン1の個装時に剥離材によって覆われる(図8参照)。この剥離材としては、ズレ止め粘着剤層20〜22に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。この場合、少なくともウイング状フラップW、Wを覆うウイング用剥離材については、個装状態から開封し個装材を剥離した際に、円滑にウイング状フラップW、Wを展開できるように可撓性に富むプラスチックシートを用いるのがよい。なお、特別に離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
以下、前記後部フラップ用粘着剤層22について詳説する。前記後部フラップ用粘着剤層22は、後部フラップWの前側基端点Pから生理用ナプキン1の長手方向に沿って引いた仮想線L1を跨ぐように本体部分から後部フラップWにかけて形成されている。
前記後部フラップ用粘着剤層22を本体部分から後部フラップWにかけて形成することにより、本体部分から後部フラップにかけて後側部分の変形や動きが連続的に行われ連動性が生じ、本体部分が臀部の溝など身体の形状に沿って変形した場合や、後部フラップWが身体の動きによって激しく動いた場合でも、本体部分から後部フラップWにかけてズレやヨレを生じることなくしっかりと下着に固定されるようになる。従って、経血等の後漏れが防止できるとともに装着感の向上が図られるようになる。さらに本生理用ナプキン1では、前記後部フラップ用粘着剤層22が後部フラップWの前側基端点Pから生理用ナプキン1の長手方向に沿って引いた仮想線L1を跨ぐように形成されているため、後部フラップWの基端部から外側に亘る広い範囲を下着に固定することができ、前述のズレやヨレがより効果的に防止できるようになる。
また、前記後部フラップ用粘着剤層22が跨って形成される基準となる線は、前記仮想線L1に代えて、生理用ナプキン1を個装する際に後部フラップWを折り畳む折り線RBとしてもよい(図8参照)。
前記左右一対の後部フラップ用粘着剤層22、22は、その間隔が生理用ナプキン1の後側に向けて両側に漸次拡大する配向方向で形成されるようにすることが望ましい。これにより、後側部分において本体部分から後側フラップWにかけて、臀部の動きの基点となる股下部から後側に向けて両側に漸次拡大する放射状に固定されるため、臀部の動きにフィットし易くなり、後側部分のズレやヨレがより効果的に防止できるようになる。
このときの後部フラップ用粘着剤層22の配向方向は、表面側に形成される臀部溝対応エンボス12の長手方向中心線CLを境に同じ側に形成される略逆V字形状部分12aの配向方向とほぼ平行にすることが好ましい。前記臀部溝対応エンボス12の略逆V字形状部分12aは、この略逆V字形状部分12aを可撓軸としてナプキン本体部分の後側部分を臀部の溝に沿って変形しやすくするためのものであるから、後部フラップ用粘着剤層22の配向方向をこの略逆V字形状部分12aの配向方向とほぼ平行にすることにより、本体部分の変形や動きに合わせて後部フラップWまで連続的に変形や動きが生じるようになり、本体部分と後部フラップWとの変形や動きの不連続による後側部分のズレやヨレが防止できるようになる。なお、前記後部フラップ用粘着剤層22の配向方向と略逆V字形状部分12aの配向方向との角度差は、概ね10°以内、好ましくは5°以内である。
前記後部フラップWの前側基端点Pは、前記臀部溝対応エンボス12の長手方向中心線CLの基点Qを通る幅方向に沿って引いた仮想線L2の線上の近傍又はこれより後側に位置させることが好ましい。前述の通り臀部溝対応エンボス12の基点Qは、臀部の溝の股下側の開始点近傍に形成されるため、この基点Qを通る幅方向に引いた仮想線L2の線上の近傍又はこれより後側に後部フラップWの前側基端点Pを位置させることにより、後部フラップW及び後部フラップ用粘着剤層22が確実に臀部に対応する位置に形成されるようになる。
ところで、前記後部フラップ用粘着剤層22は、図2〜図7に示されるように、本体部分から後部フラップWにかけて連続的又は離散的に種々のパターンで形成することができる。前記連続的パターンとしては、図2の本体部分から後部フラップWにかけてほぼ等幅の帯状に形成したもの、図3の本体部分から後部フラップWにかけて漸次拡幅する三角形状に形成したもの、図4の本体部分から後部フラップWにかけて漸次縮幅する逆三角形状に形成したもの、図5の本体部分から後部フラップWにかけて略ハート形に形成したものなどが例示できる。前記離散的パターンとしては、図6の円形状、図7の方形状などの複数のドットを本体部分から後部フラップWに亘る所定の領域内に形成したものが例示できる。
前記連続的パターンは下着に対する固定が連続的に行われる点で好ましく、また後部フラップW側に漸次拡幅する図3及び図5に示されるパターンでは変形が生じやすい後部フラップWを広範囲に下着に固定できる点で好ましく、逆に本体部分側に漸次拡幅する図4に示されるパターンでは臀部の動きの影響を受けやすい本体部分を広範囲に下着に固定できる点で好ましい。また、前記離散的パターンは製造工程のライン化が可能、資材の節約が可能及び接着力の調整が容易という点で好ましい。
前記後部フラップWは、生理用ナプキン1を個装する際に表面シート3側に折り返す腹折り可能な幅で形成することが好ましい。すなわち、個装時には、図8及び図9に示されるように、本体用粘着剤層20…が1枚の本体用剥離材30によって覆われるとともに、ウイング用粘着剤層21、21が幅方向に横断する1枚のウイング用剥離材31によって覆われ、後部フラップ用粘着剤層22、22が幅方向に横断する1枚の後部フラップ用剥離材32によって覆われている。ここで、前記ウイング用剥離材31は、ウイング状フラップWより前側の所定位置まで延在して設けられ、その外周はナプキン本体の周縁に沿って切断されることが好ましい。前記後部フラップ用剥離材32も同様に、後部フラップWより前側の所定位置まで延在して設けられ、その外周はナプキン本体の周縁に沿って切断されることが好ましい。また、前記本体用剥離材30、ウイング用剥離材31及び後部フラップ用剥離材32は、後述の包装シート35とそれぞれ固着される。
このように剥離材が配設された生理用ナプキン1を個装するには、一方のウイング状フラップWを本体部分の側部外周フラップ8側縁を結ぶ位置に設定された折り畳み線RLで、ウイング用剥離材31と共に表面シート3側に折り畳んだ後、他方のウイング状フラップWを本体部分の側部外周フラップ8側縁を結ぶ位置に設定された折り畳み線RLで、ウイング用剥離材31とともに表面シート3側に折り畳む。
同様に後部フラップW、Wも折り畳み線RB、RBにて後部フラップ用剥離材32とともに表面シート3側に折り畳むが、このとき後部フラップWでは後部フラップ用粘着剤層22が前記折り畳み線RBを跨ぐように本体部分から後部フラップWにかけて配設されているため、この折り畳み線RBで後部フラップ用粘着剤層22が折り畳まれるようになる(図9参照)。
この場合、前記ウイング状フラップW、W、後部フラップW、Wを透液性表面シート3側に単に折り畳んだだけでは、形状が安定せず前記ウイング状フラップW、W、後部フラップW、Wが浮き上がったり、バタツキが生じ、ライン搬送時に位置ズレや絡みなどの原因となることがある。そこで、操業を安定化するために、前記ウイング状フラップW、後部フラップWが透液性表面シート3側に前記ウイング用剥離材31と共に折り畳まれた状態を保持するようにすることができる。具体的には、前記透液性表面シート3側に折り畳まれた前記ウイング状フラップW、Wの先端部同士が重なるようにするとともに、該重なり部分でウイング状フラップW、W同士が、一方のウイング状フラップWの先端裏面側(又は表面側)に設けられた仮止め粘着剤層33によって、同図9に示されるように直接的に接着し仮止めすることが好ましい。同様に後部フラップW、Wも仮止め粘着剤層34によって接着し仮止めすることが好ましい。従って、前記ウイング状フラップW、Wの先端間距離と後部フラップW、Wの先端間距離はほぼ同等に形成されることが好ましい。具体的には、各フラップの先端間距離は最大で180mm程度とすることが好ましい。
前記ウイング状フラップW、Wをウイング用剥離材31と共に、前記後部フラップWを後部フラップ用剥離材32と共に、表面側に夫々折り畳んだならば、個装シート35により生理用ナプキン1を個装する。
個装方法は、図9に示されるように、幅寸法がナプキン1の展開幅(ウイング状フラップW、W、後部フラップW、Wの先端間距離)よりも幅狭で、ウイング状フラップW、W、後部フラップW、Wの折り畳み状態よりも幅広とされる所定長さの個装シート35を用い、少なくとも個装シート35の一方側短辺35bがナプキン1の前後端部の一方より外側に位置させるように個装シート35上にナプキン1を配置するとともに、前記個装シート35と、少なくともウイング用剥離材31及び後部フラップ用剥離材32とをホットメルト接着剤等により、所定の固着領域で堅固に固着する。望ましくは前記個装シート35と本体用剥離材30、ウイング用剥離材31及び後部フラップ用剥離材32とをホットメルト接着剤等により堅固に固着する。
その後、折り線(1)位置にてナプキン後端部側を折り畳んだならば、折り線(2)位置にてナプキン前端部側を折り畳み、個装シート35の開口した側縁部分をエンボス圧着、加熱融着、接着剤等、適宜の封鎖手段の単独または組み合わせによって封鎖するようにする。また、個装シート35の前後方向端縁35bは、接着剤により接合した後、好ましくはタブテープ36により封止する。ここで、前記折り線(2)より後側に後部フラップWを設けることが好ましい。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、前記臀部溝対応エンボス12は1箇所に設けられているが、図10に示されるように、排血口対応エンボス10より離間した後側の範囲に長手方向に沿って2箇所以上設けられるようにしても良い。この場合、最も前側に位置する臀部溝対応エンボス12の長手方向中心線CL上の基点Qを通る幅方向に沿って引いた仮想線L2の線上又はこれより後側に後部フラップWの前側基端点Pを位置させることが好ましい。
(2)上記形態例では、後部フラップWは、生理用ナプキン1の本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記生理用ナプキン1幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定された略三角形状の平面形状を有するように形成したが、図11に示されるように、ウイング状フラップW、Wの後側基端部から両側に円弧状に膨出させた形状のものでもよい。この場合、後部フラップWの前側基端点Pは、図示例のようにウイング状フラップWとの境界部分となる。
(3)上記形態例では、後部フラップ用粘着剤層22は、両側部にそれぞれ1箇所ずつ形成されるように図示されていたが、図11に示されるように、両側部にそれぞれ生理用ナプキン1の長手方向にほぼ平行するように2箇所以上形成されるようにしてもよい。
(4)上記形態例では、本体用粘着剤層20は、図2に示されるように、前側に3本、後側に2本設けられるように図示されていたが、図11に示されるように、後側2本の本体用粘着剤層20を設けないようにすることができる。これにより、ナプキン本体部分の後側部分が臀部溝対応エンボス12を可撓軸として臀部の形状に沿って変形しやすくなる。
1…生理用ナプキン、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…吸収要素、7…サイド不織布、8…フラップ部、10…排血口対応部エンボス、11…前側部エンボス、12…臀部溝対応エンボス、12a…略逆V字形状部分、13…臀部潰れ対応エンボス、20…本体用粘着剤層、21…ウイング用粘着剤層、22…後部フラップ用粘着剤層、P…前側基端点、W…ウイング状フラップ、W…後部フラップ

Claims (4)

  1. 透液性の表面シートと裏面シートとの間に吸収要素が介在される本体部分の後側両側部にそれぞれ後部フラップが形成され、かつ前記裏面シート側にズレ止め粘着剤層が形成された吸収性物品であって、
    前記ズレ止め粘着剤層は、前記吸収性物品を個装する際の前記後部フラップの折り線又は前記後部フラップの前側基端点から吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線を跨ぐように前記本体部分から後部フラップにかけて形成される左右一対の後部フラップ用粘着剤層を含み、
    前記左右一対の後部フラップ用粘着剤層は、その間隔が前記吸収性物品の後側に向けて両側に漸次拡大する配向方向で形成されていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記吸収性物品には、表面シートの表面側から長手方向中心線上の位置を基点として後側に向けて両側に漸次拡大する略逆V字形状部分を有する臀部溝対応エンボスが付与され、
    前記後部フラップ用粘着剤層は、長手方向中心線を境に同じ側に形成される前記臀部溝対応エンボスの略逆V字形状部分とほぼ平行に形成されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記後部フラップの前側基端点は、前記臀部溝対応エンボスの長手方向中心線上の基点を通る幅方向に沿って引いた仮想線の線上の近傍又はこれより後側に位置させている請求項記載の吸収性物品。
  4. 前記後部フラップ用粘着剤層は、前記本体部分から後部フラップにかけて連続的又は離散的に形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
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