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JP5518698B2 - 軟質プロピレンポリマー組成物の製造方法 - Google Patents

軟質プロピレンポリマー組成物の製造方法 Download PDF

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JP5518698B2 JP2010508785A JP2010508785A JP5518698B2 JP 5518698 B2 JP5518698 B2 JP 5518698B2 JP 2010508785 A JP2010508785 A JP 2010508785A JP 2010508785 A JP2010508785 A JP 2010508785A JP 5518698 B2 JP5518698 B2 JP 5518698B2
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Description

本発明は、軟質のプロピレンポリマー組成物を製造するための重合方法に関する。本方法によって得られる組成物は、フィルム及び射出成形品を製造するために特に好適である。特に、かかる物品は、良好な可撓性、低温においても優れた衝撃特性、及び非常に低い化学物質放出性を有する。したがって、かかる物品は、食品と接触させて用いるのに、及び生物医学用途のために特に好適である。
軟質のプロピレンポリマー組成物の製造のためにはキシレン可溶分を高割合で存在させることが望ましいことが従来技術から周知である。しかしながら、キシレン可溶分が高い値であるとヘキサン抽出分の量が大きくなり、このためこの軟質組成物はしばしば食品包装の分野においては好適でないものになる。
ヨーロッパ特許出願WO03/046021においては、低温において良好な衝撃特性を有し、低いヘキサン抽出分も示す熱可塑性ポリオレフィン組成物が開示されている。かかる組成物は、85重量%以上のキシレン不溶フラクションを有するプロピレンコポリマー、及び8〜40重量%のα−オレフィンとのプロピレンコポリマーを含み、ISO−1133(230℃、2.16kg)にしたがって測定して3〜30g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。上記のMFR値は、より低いMFRを有する前駆体組成物をペルオキシド分解にかけることによって得られる。
上記の組成物は、ヘキサン抽出性フラクションの低い含量を示すが、低温及び極低温における軟質性(比較的高い曲げ弾性率/MFRの比)及び衝撃特性の観点では完全には満足できない。他方において、組成物がより軟質(実施例3において370MPaの曲げ弾性率)になり、全エチレン含量が増加(実施例1の8%から実施例3の9.3%)すると、プラークに関して測定されるヘキサン可溶フラクションが5.5重量%から7.4重量%に増加することを認めることができる。かかる組成物は、2つの相互接続重合区域を含む第1の気相重合装置内で成分(A)を製造する工程、及び別の流動床反応器内でモノマーを重合することによってエチレンに富むプロピレンコポリマーを製造する第2の工程(B)を含む逐次重合プロセスによって製造される。
ヨーロッパ特許出願WO03/046021
ここで本出願人は、ヘキサン可溶分と低い曲げ弾性率との間の更に改良されたバランスを有する軟質のプロピレンポリマー組成物の製造方法を見出した。したがって、本発明の1対象は、少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う少なくとも1つの重合工程を含む、500MPaより低い曲げ弾性率、9%より高い全エチレン含量、及び20%より高い室温におけるキシレン可溶フラクションを有するプロピレンポリマー組成物の製造方法であって、キシレン可溶フラクションの少なくとも30重量%が、少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う重合工程において製造されることを特徴とする上記方法である。
実際、驚くべきことに、かくして製造される組成物は非常に軟質であるにもかかわらずヘキサン抽出性フラクションの非常に低い値を有することを特徴とする。
好ましくは、本発明方法にしたがって製造される組成物は、500MPaより低く、好ましくは450MPaより低く、最も好ましくは400MPaより低い曲げ弾性率を有する。
室温においてキシレン中に可溶のフラクションは、20重量%より高く、好ましくは25%より高く、より好ましくは30重量%より高く、具体的には30〜40重量%の範囲である。
全エチレン含量は、9重量%より高く、好ましくは10重量%より高く、より好ましくは10〜30重量%の範囲である。
反応器グレードのポリマー組成物に関して測定されるキシレン可溶フラクションの固有粘度の値は、0.5dL/g〜5.0dL/g、好ましくは1.0〜4.0dL/g、より好ましくは2.0〜4.0dL/gの範囲である。
本発明方法にしたがって得られる組成物は、ISO−1133(230℃、2.16kg)にしたがって0.1〜50g/10分の範囲のメルトフローレート値を有する反応器グレードとして得ることができる。
好ましくは、これらは5未満、より好ましくは0.5〜4g/10分の範囲のMFRを有して得られる。これらは、次に所望の場合には、選択される用途に適した最終MFR値に到達するように公知の技術にしたがってビスブレーキングすることができる。ポリマーの化学的分解(ビスブレーキング)は、ペルオキシドのようなフリーラジカル開始剤の存在下で行う。この目的のために用いることのできるラジカル開始剤の例は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシド)ヘキサン及びジクミルペルオキシドである。分解処理は、適当量のフリーラジカル開始剤を用いることによって行い、好ましくは窒素のような不活性雰囲気中で行う。当該技術において公知の方法、装置、及び運転条件を用いてこのプロセスを行うことができる。
ビスブレーキング後のMFRは、2〜40g/10分、好ましくは4〜30g/10分の範囲にすることができる。
かくして得られるプロピレンコポリマーは、優れたアイゾッド衝撃強さを有することを特徴とする。試料は、ISO−180/1Aにしたがって試験した際に23℃において破断しない。0℃において試験すると、衝撃強さは10〜40kJ/mの範囲であり、一方、−20℃においては5〜10kJ/mの範囲であり、これにより低温においても高い弾性が示される。軟質性及び耐衝撃性が非常に低いヘキサン抽出分の存在下で示され、プラークについて測定して8重量%より低く、好ましくは7重量%より低いことは注目に値する。フィルム(100μm)についてヘキサン抽出分を測定すると、この値は更に6重量%より低い。
通常は、キシレン可溶分とヘキサン抽出分(フィルムについて測定)との間の重量比は、30重量%より高いキシレン可溶フラクションの量及び10%より高い全エチレン含量と関係する場合においても4より多く、好ましくは5より多く、より好ましくは6より多い。この特徴により、この軟質組成物を食品と接触する用途においても用いることが確保される。
上記で説明したように、本プロピレンコポリマー組成物は、少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う少なくとも1つの重合工程を含み、キシレン可溶フラクションの少なくとも30重量%が少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う重合工程において製造されることを特徴とする方法によって製造される。好ましくは、キシレン可溶フラクションの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%は、少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う重合工程において製造される。
少なくとも1つの重合工程を少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相反応器内で行い、他の重合工程を通常の液体重合反応器又は通常の流動床若しくは撹拌床気相反応器内で行う逐次プロセスで上記に開示のプロピレンコポリマー組成物を製造することができるが、その全てが少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相反応器内で行われる1以上の重合工程によって組成物全体を製造することが好ましい。特に、ポリマー組成物のキシレン可溶フラクションの全てをかかるタイプの反応器内で製造することが好ましい。少なくとも2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で行う重合プロセスは、ヨーロッパ特許EP−782587に記載されている。
このプロセスは、第1及び第2の相互接続重合区域内で行い、そこに触媒系の存在下でプロピレンとエチレン、又はプロピレンとα−オレフィンを供給し、そこから生成したポリマーが排出される。成長ポリマー粒子は、迅速流動化条件下で第1の重合区域(昇流管)を通して流れ、該第1の重合区域から排出されて該第2の重合区域(降流管)に入り、それを通って重力の作用下で緻密化形態で流れて、該第2の重合区域から排出されて該第1の重合区域中に再導入され、これにより2つの重合区域の間のポリマーの循環が確立される。一般に、第1の重合区域内での迅速流動化条件は、モノマー気体混合物を成長ポリマーの再導入点より下側で該第1の重合区域中に供給することによって確立される。第1の重合区域中への輸送ガスの速度は、運転条件下における輸送速度よりも高く、通常は2〜15m/秒である。第2の重合区域においては、ポリマーが重力の作用下で緻密化形態で流れ、固体の密度がポリマーの嵩密度付近の高い値に達し、このため流れの方向に沿って圧力の正の利得を得ることができ、これによりポリマーを機械的手段の助けを用いることなく第1の反応区域中に再導入することが可能になる。このようにして、2つの重合区域の間の圧力のバランス、及びシステム中へ導入されるヘッドロスによって画定される「ループ」循環が形成される。場合によっては、窒素又は脂肪族炭化水素のような1種類以上の不活性ガスを、不活性ガスの分圧の合計が好ましくはガスの全圧の5〜80%となるような量で重合区域内に保持する。例えば温度のような運転パラメーターは、気相オレフィン重合プロセスにおいて通常的なもの、例えば50℃〜120℃である。このプロセスは、0.5〜10MPa、好ましくは1.5〜6MPaの運転圧力下で行うことができる。好ましくは、種々の触媒成分を第1の重合区域の任意の位置で第1の重合区域に供給する。しかしながら、これらは、第2の重合区域の任意の位置に供給することもできる。当該技術において公知の分子量調整剤、特に水素を用いて成長ポリマーの分子量を調節することができる。
WO−00/02929に記載されている手段を用いることにより、昇流管内に存在する気体混合物が降流管に侵入することを完全か又は部分的に防ぐことが可能であり、特にこれは好ましくは、昇流管内に存在する気体混合物と異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を降流管内に導入することによって得られる。本発明の特に有利な態様によれば、昇流管内に存在する気体混合物と異なる組成を有するかかる気体及び/又は液体混合物を降流管中に導入することは、昇流管内に存在する混合物が降流管に侵入するのを防ぐのに有効である。したがって、異なるモノマー組成を有する2つの相互接続重合区域を与えることが可能であり、したがって異なる特性を有するポリマーを製造することができる。
上記の特徴により、異なる量のエチレンを2つの区域内に保持することが可能であり、これによりエチレンにより富まない区域内でキシレンに不溶のプロピレンコポリマーフラクションの相当量を製造し、エチレンに富む区域内でキシレン中に可溶のプロピレンコポリマーフラクションの相当量を製造することが可能になるので、これは本発明のプロピレンコポリマーを製造するために特に重要である。
通常は、エチレンに富む重合区域は昇流管であり、ここでは、プロピレンコポリマー組成物全体を2つの相互接続重合区域を含む気相重合反応器内で製造する場合には、エチレンのモル濃度(エチレンとモノマーの全モル量との間のモル比として表す)は、0.1〜0.3、好ましくは0.12〜0.20の範囲であり;降流管においては、上記に記載の気体及び/又は液体供給流によって与えられるバリヤ効果によって、気相の組成はよりエチレンにより富まず、一般に0.01〜0.05、好ましくは0.02〜0.04の範囲である。昇流管内のエチレン含量と降流管内のエチレン含量との間の比は、通常は5より高く、より通常的には6より高い。
異なるタイプの反応器内で更なる段階を行う場合には、通常の流動床気相反応器内で行うことが特に好ましい。好ましくは、この段階は第2段階として行う。重合混合物は降流管から気固分離器に排出され、次に通常の温度及び圧力の条件下で運転される流動床気相反応器に供給される。
それぞれの重合段階は、遷移金属化合物をベースとする高立体特異性触媒の存在下で行う。好ましくは、これは不均一チーグラー・ナッタ触媒である。本発明のプロピレンポリマー組成物を製造するために好適なチーグラー・ナッタ触媒は、いずれも塩化マグネシウム上に担持されている少なくとも1つのチタン−ハロゲン結合を有する少なくとも1種類のチタン化合物及び少なくとも1種類の電子ドナー化合物(内部ドナー)を含む固体触媒成分を含む。チーグラー・ナッタ触媒系は、更に、必須の共触媒として有機アルミニウム化合物、及び場合によっては外部電子ドナー化合物を含む。
好適な触媒系は、ヨーロッパ特許EP45977、EP361494、EP728769、EP1272533、及び国際特許出願WO00/63261に記載されている。
好ましくは、固体触媒成分は、Mg、Ti、ハロゲン、及び式(I):
Figure 0005518698
(式中、基R及びRは、互いに同一か又は異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり;同じ炭素原子に結合している基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい)
のスクシネートから選択される電子ドナーを含む。
及びRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRが、第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びR基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する分岐のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基であるものである。式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。更に、水素とは異なる少なくとも2つの基、即ちRとR又はRとRが異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。
特に好ましい触媒は、Mg、Ti、及びハロゲンに加えて、EP45977に開示されているフタル酸のエステル、特にジイソブチルフタレート又はジヘキシルフタレート或いはジエチルフタレート並びにこれらの混合物のいずれかから選択される電子ドナーを含む。
好ましい方法によれば、固体触媒成分は、式:Ti(OR)n−y(式中、nはチタンの価数であり、yは1〜nの数である)のチタン化合物、好ましくはTiClを、式:MgCl・pROH(式中、pは0.1〜6、好ましくは2〜3.5の数であり、Rは、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基である)の付加体から誘導される塩化マグネシウムと反応させることによって製造することができる。この付加体は、好適には、付加体と非混和性の不活性炭化水素の存在下において、付加体の融点(100〜130℃)において撹拌条件下で操作して、アルコールと塩化マグネシウムとを混合することによって、球状形態で製造することができる。次に、エマルジョンを速やかに急冷し、それによって球状粒子の形態で付加体の固化を行う。この手順にしたがって製造される球状付加体の例は、US4,399,054及びUS4,469,648に記載されている。かくして得られる付加体は、Ti化合物と直接反応させることができ、或いは、アルコールのモル数が一般に3よりも低く、好ましくは0.1〜2.5である付加体を得るために、熱制御脱アルコール化(80〜130℃)に予めかけることができる。Ti化合物との反応は、付加体(脱アルコール化又はそのまま)を冷TiCl(一般に0℃)中に懸濁し;混合物を80〜130℃に加熱し、この温度で0.5〜2時間保持することによって行うことができる。TiClによる処理は1回以上行うことができる。内部ドナーは、TiClによる処理中に加えることができ、電子ドナー化合物による処理は1回以上繰り返すことができる。一般に、内部電子ドナー化合物並びに式(I)の特定のスクシネートは、MgClに対して0.01〜1、好ましくは0.05〜0.5のモル比で用いる。球状形態の触媒成分の製造は、例えば、ヨーロッパ特許出願EP A395083及び国際特許出願WO98/44001に記載されている。上記の方法にしたがって得られる固体触媒成分は、一般に20〜500m/g、好ましくは50〜400m/gの表面積(BET法による)、及び0.2cm/gより高く、好ましくは0.2〜0.6cm/gの全孔隙率(BET法による)を示す。10,000Å以下の半径を有する孔による孔隙率(Hg法)は、一般に0.3〜1.5cm/g、好ましくは0.45〜1cm/gの範囲である。
有機アルミニウム化合物は、好ましくは、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物から選択されるアルキル−Alである。また、トリアルキルアルミニウムと、アルキルアルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウム水素化物、又はアルキルアルミニウムセスキクロリド、例えばAlEtCl及びAlEtClとの混合物を用いることもできる。
好ましい外部電子ドナー化合物としては、ケイ素化合物、エチル4−エトキシベンゾエートのようなエステル、アミン、複素環式化合物、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ケトン、及び1,3−ジエーテルが挙げられる。好ましい外部ドナー化合物の他の種類は、式:R Si(OR(式中、a及びbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の合計は4であり;R、R、及びRは、場合によってはヘテロ原子を含む、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)のケイ素化合物のものである。メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2−エチルピペリジニル−2−t−ブチルジメトキシシラン、及び1,1,1−トリフルオロプロピル−2−エチルピペリジニル−ジメトキシシラン、並びに1,1,1−トリフルオロプロピル−メチルジメトキシシランが特に好ましい。外部電子ドナー化合物は、0.1〜500の有機アルミニウム化合物と該電子ドナー化合物との間のモル比を与えるような量で用いる。
触媒系は、別々の成分(固体触媒成分、共触媒としてアルミニウムアルキル、及び活性化剤として外部ドナー)を供給することによって反応器内で直接形成することができ、或いは成分を別々の容器内で混合し(予備接触)、次にかくして得られる触媒系を反応器内に供給することによって前もって形成することができる。他の好ましい態様によれば、予備重合触媒を製造するために予備形成された触媒系を少量のオレフィンと接触させ、次にこれを主重合反応器に送る。プロピレンポリマー組成物の分子量は、水素のような公知の調整剤を用いることによって調節することができる。
本発明方法によって得られるプロピレンコポリマー組成物には、次に、酸化防止剤、光安定剤、成核剤、耐酸剤、着色剤、及び充填剤のようなポリオレフィン分野において通常的に用いられる添加剤を加えることができる。
本発明のプロピレンポリマー組成物の主用途は、フィルム、特に軟質のブローンフィルム、及び成形物品、特に射出成形品の製造である。本発明のプロピレンポリマー組成物を含む射出成形物品は、低温における良好な可撓性及び優れた衝撃特性を有する。本発明のポリオレフィン組成物の低いヘキサン抽出性フラクションのために、これから得られるフィルム及び射出成形物品は食品用途のために特に好適である。本発明を説明するために以下の実施例を与えるが、これらは本発明を限定するものではない。
以下の方法にしたがってプロピレンポリマー材料のデータを得た。
キシレン可溶フラクション:
冷却器及び磁気スターラーを取り付けたガラスフラスコ内に、2.5gのポリマー及び250mLのo−キシレンを導入した。温度を30分間で溶媒の沸点まで上昇させた。かくして得られた溶液を次に還流下に保持し、更に30分間撹拌した。次にフラスコを閉止し、氷水浴中に30分間、更に25℃の温度制御水浴中に30分間保持した。かくして得られた固体を迅速濾紙上で濾過し、濾液を2つの100mLアリコートに分割した。濾液の1つの100mLアリコートを予め秤量したアルミニウム容器内に注ぎ入れ、窒素流下において加熱プレート上で加熱して、蒸発によって溶媒を除去した。次に、一定重量が得られるまで、容器をオーブン上において真空下80℃に保持した。残渣を秤量してキシレン可溶ポリマーの割合を求めた。
コモノマー(C2)含量:
IR分光法によった。
成分Bのコモノマー含量は、ポリマーの沈殿した「アモルファス」フラクションについて求めた。沈殿した「アモルファス」フラクションは以下のようにして得た。上記に記載のようにして得られた濾液の1つの100mLアリコートに、強撹拌下で200mLのアセトンを加えた。沈殿は明確な固体−溶液分離によって示されるように完了されなければならない。かくして得られた固体を金属スクリーン上で濾過し、一定重量に達するまで真空オーブン中70℃において乾燥した。
供給ガスのモル比:
ガスクロマトグラフィーによって測定した。
メルトフローレート(MFR):
ISO−1133(230℃、2.16kg)にしたがって測定した。
固有粘度:
テトラヒドロナフタレン中135℃において測定した。
曲げ弾性率:
ISO−178にしたがって測定した。
降伏点及び破断点応力:
ISO−527にしたがって測定した。
降伏点及び破断点伸び:
ISO−527にしたがって測定した。
アイゾッド衝撃強さ:
ISO−180/1Aにしたがって測定した。
延性/脆性遷移温度(D/B):
この方法によれば、自動コンピューター制御打撃ハンマーによる衝撃によって二軸耐衝撃性を求めた。
円形のハンドパンチ(直径38mm)を用いて切断することによって円形の試験片を得た。これらを23℃及び50RHにおいて少なくとも12時間コンディショニングし、次に温度制御浴内において試験温度に1時間配置した。環状支持体上に載置した円形の試験片についての打撃ハンマー(5.3kg、1/2”の直径を有する半球形パンチ)の衝撃中に力−時間曲線を検出した。用いた機械はCEAST 6758/000タイプモデルNo.2であった。
D/B遷移温度は、上記の衝撃試験にかけた際に試料の50%が脆性破壊を起こす温度である。
以下の方法にしたがって127×127×1.5mmの寸法を有するD/B測定用のプラークを製造した。
射出プレスは90トンのクランプ力を有するNegri Bossiタイプ(NB90)であった。成形体は長方形のプラーク(127×127×1.5mm)であった。
主プロセスパラメーターを以下に報告する:
背圧(バール):20;
射出時間(秒):3;
最大射出圧(MPa):14;
射出水圧(MPa):6〜3;
第1の保持水圧(MPa):4±2;
第1の保持時間(秒):3;
第2の保持水圧(MPa):3±2;
第2の保持時間(秒):7;
冷却時間(秒):20;
成形型温度(℃):60;
溶融温度は220〜280℃であった。
ヘキサン抽出分:
厚さ100μmのプラーク又はフィルムに成形したポリマーについて、修正FDA法(連邦規定、表題21、1章、177部、1520節、付録B)にしたがってヘキサン抽出性フラクションを求めた。プラークは圧縮成形によって製造し、一方、フィルムは押出によって製造した。
溶融温度、溶融エンタルピー、及び結晶化温度:
DSCにより、20℃/分の温度変動を用いて測定した。
実施例1〜5:
ヨーロッパ特許EP728769の実施例5、48〜55行にしたがってチーグラー・ナッタ触媒を調製した。共触媒としてトリエチルアルミニウム(TEAl)、及び外部ドナーとしてジシクロペンチルジメトキシシランを、表1に示す重量比で用いた。
実施例のプロピレンコポリマー組成物は、ヨーロッパ特許EP782587及びWO00/02929に記載されている2つの相互接続重合区域である昇流管及び降流管を含む単一の気相重合反応器内で製造した。共触媒としてトリエチルアルミニウム(TEAl)、及び外部ドナーとしてジシクロペンチルジメトキシシランを、表1に示す重量比で用いた。運転条件を表1に示す。
重合工程から排出されたポリマー粒子を水蒸気処理にかけて未反応のモノマーを除去し、乾燥した。
表3に示す添加剤をプロピレンポリマー組成物に加え、二軸押出機Berstorff(L/D=33)内において以下の運転条件下で押出した。
供給セクションの温度:190〜210℃;
溶融温度:240℃;
ダイセクションの温度:230℃;
流速:16kg/時;
回転速度:250rpm;
試料について測定した特性を表3にまとめる。
実施例6:
実施例4によるプロセスを繰り返し、相違点は、2つの相互接続重合区域を含む重合反応器から排出されるポリマー組成物を通常の流動床反応器中に送り、ここで更なるエチレン−プロピレンコポリマーを製造したことであった。
重合工程から排出されたポリマー粒子を水蒸気処理にかけて未反応のモノマーを除去し、乾燥した。
かかる通常の流動床反応器において用いた条件、及び最終的な反応器グレードの組成物の特性を表2に報告する。ビスブレーキングされた組成物の特性を表3に報告する。
Figure 0005518698
Figure 0005518698
Figure 0005518698

Claims (3)

  1. 相互接続された第1の重合区域である昇流管と第2の重合区域である降流管とをみ、昇流管におけるエチレンの量が降流管におけるエチレンの量よりも多い気相重合反応器内で行う少なくとも1つの重合工程を含む、500MPaより低い曲げ弾性率、9重量%より高い全エチレン含量、及び20重量%より高い室温におけるキシレン可溶フラクションを有するプロピレンコポリマー組成物の製造方法であって、キシレン可溶フラクションの少なくとも30重量%が、前記気相重合反応器内で行う重合工程において製造されることを特徴とする上記方法。
  2. キシレン可溶フラクションの少なくとも50重量%が、前記気相重合反応器内で行う重合工程において製造される、請求項1に記載の製造方法。
  3. プロピレンコポリマー組成物が10重量%より高いエチレン含量を有する、請求項1または2に記載の方法。
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