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JP5508814B2 - コールドスプレー装置 - Google Patents

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Description

本件発明は、コールドスプレー装置に関する。
皮膜を形成する技術の分野では、従来の電気めっき、無電解めっき、スパッタリング蒸着法やプラズマ溶射法等に代わる手法として、固相状態の原料粉末を用いて皮膜を形成するコールドスプレー溶射法(以下、「CS溶射法」と称する。)が注目されている。このCS溶射法とは、コールドスプレーガン(以下、「CSガン」と称する。)の出口で超音速流とするキャリアガス中に、搬送ガスにより搬送された原料粉末をパウダーポート先端から噴出させて投入し、原料粉末を固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成する手法である。このとき、CSガン内のキャリアガスの温度は、皮膜を形成する金属、合金、金属間化合物、セラミックス等の原料粉末の融点又は軟化点よりも低い温度に設定している。このCS溶射法を用いて形成した金属皮膜は、従来の手法を用いて形成した同種の金属皮膜に比べて酸化や熱変質が少なく、緻密、高密度で密着性が良好であると同時に導電性や熱伝導率が高いことが知られている。
このCS溶射法の概念を、一般的なコールドスプレー装置(以下、「CS装置」と称する。)の概略図である図4を用いて説明する。窒素ガス、ヘリウムガス、空気等の高圧ガスが貯蔵されている圧縮ガスボンベ2からのガス供給ラインは、キャリアガスライン3と搬送ガスライン4とに分岐される。一方のキャリアガスは、キャリアガスの流路である金属配管の一部分に通電して発熱させたヒーター10を通過することにより原料粉末の融点又は軟化点以下の温度まで加熱された後、CSガン11のチャンバー12内に導入される。他方の搬送ガスは、原料粉末供給装置15に導入されて原料粉末を同伴し、上記チャンバー12内のパウダーポート1hの先端からキャリアガス中に原料粉末を供給する。キャリアガスは供給された原料粉末を同伴して円錐状の圧縮部からスロート部1aを通過して超音速流となり、円錐状の膨張部の先端に位置するノズル出口から噴出して、原料粉末は固相状態のまま基材18の表面に衝突して堆積し、皮膜を形成する。
このCS溶射法の課題は、ノズル先端から噴出する原料粉末の全てを基材表面に形成する皮膜とすることができないことである。即ち、噴出した原料粉末が皮膜を形成する効率である([皮膜となった原料粉末量]/[噴出した原料粉末量])×100%(以下、「溶射効率」と称する。)を100%とすることができない。そして、溶射効率が小さいと、皮膜の形成に寄与しなかった原料粉末が基材周辺に散乱することになり、資源とエネルギーとの無駄遣いになる。また、所期の皮膜を形成するために必要なCS装置の稼働時間も長くなる。従って、溶射効率を上げると、CS装置の稼働時間が短くなり、皮膜を形成できずに散乱する原料粉末も少なくなる。即ち、CS装置の生産性の向上と、資源とエネルギーとの有効活用が達成でき、皮膜の形成コストを大幅に低減できる。
ところで、CS溶射法の溶射効率は、基材表面における、原料粉末の温度と臨界速度との影響を大きく受ける。しかし、原料粉末の臨界速度を大きくすると基材に対するダメージが大きくなるため原料粉末の温度、即ち、キャリアガスの温度を高くするのが好ましい。ところが、キャリアガスを高温にして原料粉末の温度を融点又は軟化点に近づけようとしても、特許文献1が開示する発明では、電気抵抗発熱体をヒーターとして用いてキャリアガスを加熱できる上限温度は400℃程度である。このように、CS溶射法では、キャリアガスの温度、即ち、原料粉末の温度をいかにして上昇させるかが溶射効率を改善するための課題であった。
そして、特許文献2が開示する発明は、図5に示すように、プレヒーター105で加熱したキャリアガスをCSガン101にフレキシブルチューブ104を通じて供給し、CSガン101が付帯するポストヒーター103でキャリアガスを更に加熱する技術である。この技術は、特許請求の範囲の記載によれば、プレヒーター105ではキャリアガス温度を100℃〜600℃、より好ましくは200℃〜500℃とし、ポストヒーター103では、キャリアガス温度を100℃〜1200℃、より好ましくは200℃〜1000℃、更に好ましくは500℃〜800℃にするとしている。また、このとき用いるヒーターの加熱能力は、実施形態によればプレヒーター105が10KW程度、ポストヒーター103が20KW程度であるとしている。更に、フレキシブルチューブ104の素材としてフッ素樹脂を採用する場合には、プレヒーター105出口のキャリアガス温度を230℃程度にするとしている。
また、特許文献3には、図6に示すプレヒーター105とポストヒーター103とを備えるCSガンの構成が開示されている。具体的には、長さが50mm〜250mmのポストヒーター103の中に複数の電気抵抗発熱線106を配置し、ポストヒーター103を通過するキャリアガスの温度を400℃以上、最高700℃に加熱できるとしている。そして、CGT GmbH社が開示している技術資料によれば、プレヒーターとポストヒーターとを備えるCS装置の最高ガス温度の保証値は800℃である。
米国特許第5302414号公報 特許国際公開WO2006/034777号公報 米国特許公開2007‐221746号公報
上述の特許文献2が開示する発明では、CSガンの操作性を損なわないように、フッ素樹脂などの柔軟なフレキシブルチューブで連結したプレヒーターとポストヒーターとを用いてキャリアガスを加熱している。その結果、プレヒーター出口のキャリアガス温度は230℃程度となるため、ポストヒーターの出口温度は500℃〜800℃を上限としている。そして、ポストヒーター出口のキャリアガス温度を800℃〜1000℃にする場合には、プレヒーター出口のキャリアガス温度を600℃とし、ポストヒーターの容量を25KWに大きくするとしている。即ち、800℃を超えるキャリアガス温度でのコールドスプレーの操作を前提とすれば、ポストヒーターは大きくなる。しかも、プレヒーターとポストヒーターとの連結には、金属製のフレキシブル管を用いる必要がある。従って、キャリアガス温度を800℃を超える高温に設定可能なCS装置に特許文献2に開示の技術を採用すると設計仕様上の制約が多くなり、ポストヒーターを備えるCSガンのサイズが大きくなって取り扱いが困難になる。
そして、特許文献3が開示する電気抵抗発熱線を複数、並列に配置して通電する構造を備えるポストヒーターにキャリアガスを流すと、ポストヒーター内部のキャリアガスの温度は、入口側から出口側に向けて上昇する。従って、電気抵抗発熱線の温度も入口側よりも出口側で高くなる。また、ポストヒーター内ではキャリアガスの流速が低下するため、キャリアガスの流れに対して垂直な断面内にはキャリアガスの流速にバラツキが生ずる。その結果、流速分布の影響を受け、ポストヒーターが備える電気抵抗発熱線には温度分布が存在することになる。そして、電気抵抗発熱線の電気抵抗は、自身の温度に対して固有の値を備えるのが通常である。従って、並列に配置した電気抵抗発熱線に一定電流を通電したとしても、ポストヒーター内のキャリアガスの流速分布が変動すれば、発熱量は大きくばらつくことになる。即ち、特許文献3が開示する技術は、通電量とキャリアガス温度との間に相関関係を見いだしがたく、ポストヒーター出口のキャリアガスを安定した温度に制御して加熱することは困難な技術である。
従って、CSガンの操作性を損なわず、原料粉末を安定して溶射効率が改善される温度に加熱でき、上述したバラツキの発生要素を排除したCS装置が必要とされていた。
そこで、鋭意研究の結果、本件発明者は、上記課題を解決する手段として、以下の発明に想到した。
本件発明に係るCS装置: 本件発明に係るCS装置は、CSガンの出口で超音速流とするキャリアガス中に、搬送ガスにより搬送された原料粉末をパウダーポート先端から噴出させて投入し、原料粉末を固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成するCS装置であって、CS装置が備えるキャリアガスヒーターは、通電により電気抵抗発熱して内部に流入するキャリアガスを加熱する発熱抵抗体で構成された加熱機能付きガスチューブ(以下、単に「加熱ガスチューブ」と称する。)であり、加熱ガスチューブは、通電距離が長さ1m〜5mであり、且つ、その肉厚が0.5mm〜3.0mm、内径が4mm〜16mmの発熱抵抗体を1単位の加熱機能付きガスチューブユニット(以下、単に「チューブユニット」と称する。)とし、1単位のチューブユニットを複数直列配置すると共に、各ガスチューブユニットへの通電量を個別に制御するものとし、この複数の加熱機能付きガスチューブユニットのうち、コールドスプレーガンと接続する側に配置する加熱機能付きガスチューブユニットの発熱能力を他のガスチューブユニットの発熱能力以上とすると共に、その上限設定温度が1000℃以上であることを特徴としている。
本件発明に係るCS装置においては、加熱ガスチューブは、CSガンと接続する側に配置する1単位のチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さが、ほかの1単位のチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さよりも長いものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、加熱ガスチューブは、CSガンと接続する側に配置する1単位のチューブユニットが備える発熱抵抗体の内径が、ほかの1単位のチューブユニットが備える発熱抵抗体の内径よりも小さいものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、1単位のチューブユニットは、発熱抵抗体の長さが、キャリアガスの入口側に備える通電端子とキャリアガスの出口側に備える通電端子とを結ぶ直線距離の10倍〜30倍であり、巻数3〜10のコイル形状としたものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、1単位のチューブユニットは、キャリアガスの入口と出口とをコイル形状の中心軸上に配置したものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、1単位のチューブユニットは、キャリアガスの入口側の片端と出口側の他端とにそれぞれ通電端子を接続した継ぎ手を備えるものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、複数の1単位のチューブユニットへの通電量を個別に制御するものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、パウダーポートからスロート部までの長さが200mm〜1000mmのCSガンを用いたものであることが好ましい。
本件発明に係るCS装置においては、キャリアガスヒーターは、コイル形状の中心軸が、CSガンの中心軸と平行になるようにCSガンに固定して一体化したものであることが好ましい。
本件発明に係るコールドスプレー装置は、加熱機能付きガスチューブユニットを複数直列配置したキャリアガスヒーターを備えており、キャリアガスを900℃を超える高温に安定して加熱することができる。従って、従来のコールドスプレー溶射法では高い溶射効率を得ることが困難であった原料粉末を用いた場合の溶射効率が向上し、表面状態もより平滑な溶射皮膜を得ることができる。即ち、皮膜品質の安定化と同時に、省資源、省エネルギーに貢献できるコールドスプレー装置である。
図1は、キャリアガスヒーターの構成を示す模式図である。 図2は図1に示すキャリアガスヒーターをCSガンに固定して一体化した状態を示す模式図である。 図3は、実施例のU3設定温度と飽和温度との対比結果を示すグラフである。 図4は、一般的なCS装置の全体構成を示す模式図である。 図5は、特許文献2に開示されたCS装置のヒーター構成を示す図である。 図6は、プレヒーターとポストヒーターとを備えるCS装置の構成を示す模式図である。
本件発明に係るCS装置の形態: 本件発明に係るCS装置は、通電により電気抵抗発熱する発熱抵抗体のチューブでキャリアガスヒーターを構成している。発熱抵抗体を用いたキャリアガスヒーターであれば、加熱ガスチューブ内のキャリアガスの流速が速く、長さ方向には温度分布が存在しても、加熱ガスチューブの断面方向の温度分布のバラツキは少なく、加熱ガスチューブとキャリアガスとの間では安定した熱伝達が行なわれる。従って、発熱抵抗体の加熱ガスチューブを用いたキャリアガスヒーターは、キャリアガスを安定した温度に加熱することができる。
そして、CS装置用の発熱抵抗体は、通電により発熱する材料であれば、金属やセラミックス等から選択されるいずれをも用いることができる。しかし、形状加工の自由度と機械強度とを勘案すると、合金材料を用いて作成するのが好ましい。合金材料はその合金を構成する純金属よりも耐蝕性と耐熱性とに優れており、電気抵抗も大きいのが通常である。そして、合金系の金属チューブは、高圧ガス用の配管等の用途に引き抜き加工で製造しているものも多く、市場での調達も容易で、品質も安定している。また、複数の発熱抵抗体を繋ぎ合わせて使用する場合には、溶接加工で継ぎ手を形成することもできる。中でも鉄基合金系であるステンレススチール系は種類も多く、その加工技術も確立されているため、コスト面では有利である。しかし、キャリアガスを900℃以上に加熱することを考えると、ステンレススチールでは耐熱性と耐蝕性に不安がある。
そこで、発熱抵抗体は、ニッケル基合金系であるインコネル600と同等以上の耐熱特性を備える鉄基合金系やコバルト基合金系等から選択される耐熱耐蝕材料を用いて作成する。具体的には、使用するキャリアガスの種類や圧量、そしてキャリアガスを加熱する最高温度と製作コスト等を勘案して最適な材料を選択すればよい。インコネル系以外の合金では、例えば、ニッケル基合金系ではハステロイ、鉄基合金系ではインコロイ、コバルト基合金系ではS810等が使用可能である。なお、インコネル600と同等以上であるとする耐熱特性は、例えば、加熱の上限設定温度を950℃とするのであれば、当該温度雰囲気での引っ張り強さを5.0kgf/mm以上等と規定することもできる。
ところで、発熱抵抗体の加熱ガスチューブを用いるキャリアガスの加熱方式では、通電量を一定とすれば、キャリアガスの温度は電気抵抗、即ち発熱抵抗体の長さから一義的に決定されると考えるのが通常である。しかし、発熱抵抗体が短かいと、キャリアガスと発熱抵抗体との接触時間が短くなるため、十分な加熱ができない場合がある。一方、発熱抵抗体を長くして、更に高温に加熱するために通電量を増加しても、キャリアガスの温度がほとんど上昇しない、所謂飽和温度が存在するというべき現象が見られるようになる。これは、金属の電気抵抗が温度依存性を備えるため、発熱抵抗体が長くなるほど長さ方向の温度バラツキが大きくなり、それに伴って電気抵抗のバラツキも大きくなってしまい、発熱量に大きなバラツキをきたす現象であると考えられる。
そこで、安定した加熱を可能にする発熱抵抗体長さを把握すべく、通電端子間隔の異なるチューブユニットをスロット径2mmのCSガンに接続し、キャリアガス温度を800℃以上に加熱する実験を行なった。このときのキャリアガスには窒素を選択して圧力を3MPaに設定し、発熱抵抗体には内径が6mm、外径が8mmのインコネル600製のチューブを用いた。その結果、通電端子間隔が1m以下では、キャリアガス温度は通電量の増加に従って上昇はするが、チューブユニットの温度を上限である1150℃に設定しても、キャリアガスの温度は800℃に達しなかった。この原因は、キャリアガスとチューブユニットとの接触時間が短かいためであると考えられる。一方、通電端子間隔を5mにすると、キャリアガスの温度は800℃を超えたが、キャリアガスの温度が通電量の増加に比例して上昇する傾向が明確には見られなくなり、キャリアガス温度の変動も大きくなった。上記実験の結果から、キャリアガスを所定の温度まで加熱するためには、1単位のチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さは1m〜5mの範囲とすることが好ましく、キャリアガス温度の変動を更に小さくするには、発熱抵抗体の長さを2m〜3mとすることが好ましいと判断した。
そして、発熱抵抗体の内部を通過するキャリアガスは、3MP以上の高圧で供給されるのが通常である。従って、発熱抵抗体は、その肉厚の厚い方がピンホールなどの心配もなく、安定したキャリアガスの搬送が可能になる。しかし、肉厚が3.0mmを超えて厚くなると、電気抵抗が小さくなって、所望の発熱量を得るために必要な通電量が大きくなり、発熱抵抗体に電力を供給するための配線の引き回し等が困難になる。また、発熱抵抗体の質量も大きくなって取り扱いが困難になると同時に、通電用の電力源と発熱抵抗体自身に対して大きな費用が必要となるため好ましくない。一方、肉厚が0.5mmを下まわると機械強度が低下し、ハンドリング時に折れや凹みなどの外観損傷が発生しやすくなる。特に、折れが発生すると、折れの部分にピンホールが生じたり、変形が大きな部分では腐食が起きやすくなり、キャリアガスの漏洩につながるため好ましくない。上述した観点からは、本件発明で用いる発熱抵抗体の肉厚は0.5mm〜3.0mmとすることが好ましく、肉厚を1.0mm〜2.0mmとすることがより好ましい。
ところで、前述したように、内径が2mm程度のCSガンのスロート部から噴出するキャリアガスの流速は、ほぼ音速である。従って、発熱抵抗体の内径が4mmを下まわると、発熱抵抗体の内部を流れるキャリアガスの流速は、音速の1/4以上の高速となる。このような高流速では圧力損失が大きいため、キャリアガスを貯蔵しているボンベ内の圧力が低くなると、発熱抵抗体の内部を流れるキャリアガスの流速に変動が見られるようになる。キャリアガス流速の変動は、形成される溶射皮膜の品質バラツキに直結するため好ましくない。また、流速の変動に伴って加熱ガスチューブに振動が発生する場合があり、コイル形状としたチューブユニット等では隣接する発熱抵抗体同士が接触してショート現象が発生する危険性が増加するため好ましくない。一方、発熱抵抗体の内径が16mmを超えると、発熱抵抗体の内部を流れるキャリアガスの流速は内径4mmの場合に比べて約1/16以下になるため、圧力損失に起因する問題はない。しかし、発熱抵抗体とキャリアガスとの接触面積が減少する。更に、流速が小さくなると発熱抵抗体の内部を流れるキャリアガスに形成される層流境界層が厚くなり、発熱抵抗体からキャリアガスへの伝熱速度が小さくなる。その結果、伝熱効率が低下する傾向が見られるようになるため好ましくない。上述した観点からは、本件発明では発熱抵抗体の内径は4mm〜16mmが好ましく、内径を5mm〜10mmとするのがより好ましい。
そして、本件発明で用いる加熱ガスチューブは、チューブユニットを複数直列配置したものとしている。このようにチューブユニットを複数を組み合わせて構成した加熱ガスチューブを用いれば、キャリアガス温度の制御が容易になる。具体的な配置構成として、図1に、キャリアガスヒーター10を、コイル状に形成したチューブユニットU1〜U3を直列に配置し、それぞれのチューブユニットには、通電端子T1〜通電端子T4を設け、電力源9‐1、9‐2と9‐3でそれぞれのチューブユニットU1、U2とU3を並列に駆動する構成とした例を示している。
ここで、n個(但し、n≧2)のチューブユニットを直列に配置してキャリアガスを加熱する場合を考えてみる。係る場合には、キャリアガスの入口に配置した第1チューブユニットからCSガンに接続した第nチューブユニットに向けて発熱量を暫時増大させ、キャリアガスの温度を逐次上昇させてゆくのが通常である。ところが、第nチューブユニットと第(n−1)チューブユニットとを同一仕様にすると、第(n−1)チューブユニットがその加熱能力を十分に発揮すると、第nチューブユニットがそれ以上の温度にキャリアガスを加熱できない場合がある。
係る場合、発熱抵抗体の長さや内径、肉厚が異なる複数種類のチューブユニットを混在させた構成の加熱ガスチューブとすれば、効果的な加熱が可能になる場合がある。このとき、材質が共通であることを前提とすれば、仕様の違いが呈する効果を瞭然とさせるために、長さが異なる場合には内径と肉厚とを共通にし、内径が異なる場合には肉厚と長さとを共通にするのが通常である。
そこで、本件発明で用いる加熱ガスチューブは、CSガンと接続する側に配置するチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さが、ほかのチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さよりも長いものとする。発熱抵抗体の長さを長くすれば、電気抵抗が大きくなる。即ち、CSガンと接続する側に配置する第nチューブユニットが備える発熱抵抗体の長さを、第(n−1)チューブユニットが備える発熱抵抗体よりも長いものとすれば、第nチューブユニットの発熱能力は第(n−1)チューブユニットよりも大きくなり、キャリアガスをより効率的に昇温することが可能になる。
また、本件発明で用いる加熱ガスチューブは、CSガンと接続する側に配置するチューブユニットが備える発熱抵抗体の内径が、ほかのチューブユニットが備える発熱抵抗体の内径よりも小さいものにもできる。発熱抵抗体を長くした場合と同様、発熱抵抗体の内径を小さくすると電気抵抗は大きくなる。即ち、CSガンと接続する側に配置する第nチューブユニットの内径を、第(n−1)チューブユニットの内径よりも小さいものとすれば、第nチューブユニットの発熱能力は第(n−1)チューブユニットよりも大きくなり、キャリアガスをより効率的に昇温することが可能になる。上述したように、効果的にキャリアガスを加熱するためには、各チューブユニットが備える発熱抵抗体の長さや内径を、異なる設定とすることも好ましい。
ところで、ヒーターを用いて加熱操作を行なう場合、一般的には狭いスペースにヒーターを収納したうえで保温するなどの対策を施して放熱を少なくし、加熱を安定させている。従って、長尺のヒーターや熱交換器を用いる場合には、ヘアピン状に折りたたんだり、コイル形状として収納スペースを小さくし、放熱面積を小さくするのが通常である。しかし、発熱抵抗体では、ヘアピン形状やコイル形状の途中に接触部分が存在すると、電気の流れが変わって所期の発熱量が得られなくなるばかりか、放電によって発熱抵抗体が損傷する場合があるため、収納スペースの狭小化には限界がある。
そこで、本件発明のチューブユニットは、発熱抵抗体の長さが、キャリアガスの入口側に備える通電端子とキャリアガスの出口側に備える通電端子とを結ぶ直線距離の10倍〜30倍であり、巻数が3〜10のコイル形状とする。コイル形状であれば自重による撓みも小さく、隣接する発熱抵抗体同士が接触しにくい。また、キャリアガスの流れも安定する。
しかし、発熱抵抗体の長さを通電端子間長さの10倍未満とすると、発熱面積に対する収納スペースの表面積比が大きくなり、単位発熱量あたりの放熱面積が大きくなる。その結果、放熱に起因するキャリアガス温度の変動が大きくなる傾向が見られるようになるため好ましくない。一方、発熱抵抗体の長さを通電端子間長さの30倍を超えるものとすると、収納スペースの表面積を小さくするためにはコイルの巻数を多くせざるを得ず、コイル形状のピッチが狭くなる。その結果、キャリアガスが内部を通過する際に振動が発生したりすると、隣接する発熱抵抗体同士が接触する危険性が増加するため好ましくない。
また、コイルの巻数を3未満にするとコイル径が大きくなり、発熱面積に対する収納スペースの表面積比が大きくなる。一方、コイルの巻数が10を超えると、コイル径は小さくなるが、コイル形状のピッチが狭くなり、隣接する発熱抵抗体同士が接触する危険性が増加する。従って、上述した観点からは、放熱量を少なくし、安定した通電発熱でキャリアガスを加熱するには、通電端子間長さを150mm程度として、通電端子間長さの15倍〜25倍長さの発熱抵抗体を用い、巻数5〜7のコイル形状とするのがより好ましい。
更に、チューブユニットが備えるキャリアガスの入口と出口とを前記コイル形状の中心軸上に配置すれば、3つ以上のチューブユニットを連結してもそれぞれの重心が一直線上に並ぶことになる。その結果、加熱ガスチューブの長さ方向には撓み量の大きなバラツキが生ずることがなく、隣接する発熱抵抗体同士が接触する機会が少なくなるため好ましい。また、連結部分に保温材を施工しても、コイル形状部分に施工した保温材の外周からはみ出すことがなく、安定した保温効果が得られる。
ここで、電気抵抗発熱している加熱ガスチューブからキャリアガスへの熱伝達を考えてみる。加熱ガスチューブに発熱のない領域があると、この領域ではキャリアガスが加熱されず、場合によっては冷却されることになる。従って、発熱しない面積は極小とすることが好ましい。そこで本件発明では、複数のチューブユニットが備える発熱抵抗体の両端の継ぎ手に通電端子を接続し、チューブユニットの全長を発熱抵抗体として使用する。この構成であれば、加熱ガスチューブのほぼ全長を通して効果的にキャリアガスの加熱に用いることができるため、エネルギー効率も良好である。
また、上述した構成であれば、複数のチューブユニット間の接続部分を絶縁すれば、それぞれのチューブユニットに直列に通電することができるため、一つの電力源で複数のチューブユニットを発熱させることもできる。しかし、キャリアガスと発熱抵抗体との温度差が加熱操作に与える影響を考えてみると、温度差が大きいと伝熱効率が良好になり、温度差が小さいとキャリアガスの温度が安定する。そこで、複数を直列につなぐチューブユニットでは、必要に応じてそれぞれに異なる電流を通電して設定温度を調整できるようにしておき、キャリアガスの加熱を安定させるのが好ましい。そこで本件発明では、チューブユニットへの通電量を個別に制御する。具体的には、それぞれのチューブユニットへの通電量は、キャリアガスの種類と流量、キャリアガスの到達する最高温度や許容される温度のバラツキ等によって異なるため、予め実験によって最適条件を求めておくのが好ましい。
更に、本件発明でチューブユニットの複数を直列に配置するのは、キャリアガスを900℃以上に安定加熱することを目的としている。しかし、チューブユニットを2つ配置した場合には、通電量を多くしてもキャリアガス温度がばらつき、900℃に達しない場合が見られるため、キャリアガスを900℃を超える高温に安定して加熱することは困難となる。そこで、本件出願に係る加熱ガスチューブは、チューブユニットを3ユニット以上備えるものとする。ところで、直列に配置するチューブユニット数の上限には制約はない。そして、チューブユニットをより多く(U1〜U3〜Un)配置すればするほど、CSガンと接続する側に配置したチューブユニットUnが加熱するキャリアガスの温度は、チューブユニット自身の温度に近づく。しかし、特別な場合を除き、Unを追加しても後の実施例で詳述する昇温比が0.3を下まわってくると、資源とエネルギーとの無駄遣いになる傾向が現れる。従って、上述した観点からは、キャリアガスを最も効率よく加熱できる、3〜6個のチューブユニットを直列に配置することがより好ましい。更に、CSガンと接続する側に配置するチューブユニットUnの仕様を、前段のチューブユニットよりも長くしたり細くすれば、より効果的な加熱が可能となることは、すでに述べたとおりである。
そして、CS溶射法では、キャリアガスの流速を一定とすれば、形成される溶射皮膜の品質や溶射効率は、原料粉末の温度の影響を大きく受ける。即ち、キャリアガス温度を900℃以上にしても、このキャリアガスが同伴する原料粉末が十分且つ均一に加熱されていなければ、所期の効果が得られない場合がある。そして、原料粉末の粒子間及び粒子内の温度分布を小さくするためには、所定時間以上キャリアガスと原料粉末とを接触させる必要がある。ところが、CS溶射するために高温加熱する必要がある原料粉末は、純金属よりも伝熱係数が小さいのが通常である。従って、伝熱係数が小さい原料粉末をキャリアガスで十分に加熱するのであれば、金属粉末をキャリアガスで加熱する場合に比べ、より長時間キャリアガスと原料粉末との接触を可能にする構造がCSガンに要求される。
しかし、伝熱係数が小さな原料粉末を対象としてパウダーポートからスロート部までの長さが200mm未満のCSガンを用いると、粒子径の分布や形状の影響を受け、原料粉末を均一に加熱できない場合があるため好ましくない。一方、キャリアガスによる原料粉末の均一な加熱を目的とすれば、パウダーポートからスロート部までの長さには上限を設定する必要はない。しかし、取り扱い経験のある原料粉末に関していえば、パウダーポートからスロート部までの長さを1000mm程度とすれば、伝熱係数が小さい原料粉末であっても、均一な加熱がなされている。また、必要以上の長さを備えるCSガンを用いると、操作性が悪くなると同時に、CSガンを通過する間に温度の低下をきたす場合があり、結果として溶射効率の低下などを引き起こすため好ましくない。そこで、上述した観点から、本件発明に係るCSガンでは、パウダーポートからスロート部までの長さを200mm〜1000mmとする。そのうえで、実際のCS溶射に際しては、CSガンの操作性なども勘案し、原料粉末とキャリアガスとの組み合わせに対して最適になるように、パウダーポートからスロート部までの長さを設定しておく。
また、キャリアガスヒーターで加熱したキャリアガスの温度低下を最小にしてCSガンに供給するためには、キャリアガスヒーターとCSガンとを近接配置するのが好ましい。そこで本件発明では、キャリアガスヒーター10をCSガン11に固定するにあたり、図2に示すように、コイル形状の中心軸21がCSガン11の中心軸20と平行になるようにして一体化する。コイル形状の中心軸21とCSガンの中心軸20とが平行であれば、キャリアガスヒーターを一体化したCSガンの重心バランスも良好になる。また、キャリアガスを供給するガスボンベとキャリアガスヒーターとの接続には高耐熱性を必要としないため、柔軟性の大きな耐圧プラスチック製チューブで接続でき、CSガンの操作性は良好な状態を維持できる。
<加熱ガスチューブ>
実施例では、図1に示すような、3つのチューブユニットU1、U2及びU3を継ぎ手を介して直列に連結した加熱ガスチューブを製作し、キャリアガスヒーター10として用いた。それぞれのチューブユニットに用いた発熱抵抗体は、内径が6mm、外径が8mmで長さ約3mのインコネル600製のパイプであり、継ぎ手部分に接続した通電端子間の距離約150mmのほぼ中央に、外径が約180mm、ピッチが約13mmで巻数5のコイルを形成している。この構成では、U1とU2とを接続する継ぎ手にU1とU2とが共用する通電端子T2を設け、U2とU3とを接続する継ぎ手にU2とU3とが共用する通電端子T3を設けた。そして、それぞれのチューブユニットU1〜U3を駆動する独立した電力源9‐1〜9‐3は、インコネル600の耐熱特性を考慮して最高加熱設定温度を1150℃とした。そして、この加熱ガスチューブをガラスウールで囲い断熱した。
<加熱試験>
加熱試験では、キャリアガスに窒素を用い、ガスボンベの出口圧力を3MPaに設定してキャリアガスヒーターのU1側から供給した。そして、U1〜U3のチューブユニットそれぞれに設定した温度を維持するように、接続した電力源からの通電量を自動制御し、キャリアガスを加熱した。この試験では、チューブユニット自身の温度を、出口側の発熱抵抗体と継ぎ手との接合端部近傍の発熱抵抗体外周表面で測定した。そして、キャリアガスの温度は、U3の出口のみで、発熱抵抗体の温度測定位置とほぼ同一部分の流路内で測定した。
そして、キャリアガスヒーターの加熱能力は、3つの指標で評価した。第1の指標は、U3の出口におけるキャリアガスの最高到達温度(以下、「飽和温度」と称する。)とした。そして第2の指標は、U3の設定温度に対する飽和温度の割合([飽和温度]/[U3の設定温度]:以下、「温度比」と称する。)とし、第3の指標は、U3の設定温度の変更幅に対するU3の出口のキャリアガス温度の変化幅の割合([U3出口のキャリアガス温度の変化]/[U3の設定温度の変更幅]:以下、「昇温比」と称する。)とした。
[試験1]
試験1では、加熱ガスチューブにキャリアガスを供給した状態で、U1/U2/U3の設定温度を1000℃/800℃/750℃として通電を開始し、キャリアガスの飽和温度と、その飽和温度に到達するまでの時間を測定した。その結果、通電開始後、320秒でキャリアガス温度は飽和温度627℃に達した。従って、試験1の温度比は0.836である。そして、通電開始時の温度を25℃とすれば昇温比は、0.830である。設定条件及び結果を、後の表1及び表2に示す。
[試験2]
試験2では、試験1からU1/U2/U3の設定温度を1000℃/1000℃/900℃に変更して、キャリアガスの到達した飽和温度と、その飽和温度に到達するまでの時間を測定した。その結果、設定温度の変更後、110秒でキャリアガス温度は飽和温度735℃に達した。従って、試験2の温度比は0.817、昇温比は0.720である。設定条件及び結果を、後の表1及び表2に示す。
[試験3]
試験3では、試験2からU1/U2/U3の設定温度を1000℃/1000℃/1000℃に変更して、キャリアガスの到達した飽和温度と、その飽和温度に到達するまでの時間を測定した。その結果、設定温度の変更後、90秒でキャリアガス温度は飽和温度801℃に達した。従って、試験3の温度比は0.801、昇温比は0.660である。設定条件及び結果を、後の表1及び表2に示す。
[試験4]
試験4では、試験3からU1/U2/U3の設定温度を1050℃/1050℃/1050℃に変更して、キャリアガスの到達した飽和温度と、その飽和温度に到達するまでの時間を測定した。その結果、設定温度の変更後、60秒でキャリアガス温度は飽和温度830℃に達した。従って、試験4の温度比は0.790、昇温比は0.580である。設定条件及び結果を、後の表1及び表2に示す。
[試験5]
試験5では、試験4からU1/U2/U3の設定温度を1100℃/1100℃/1100℃に変更して、キャリアガスの到達した飽和温度と、その飽和温度に到達するまでの時間を測定した。その結果、設定温度の変更後、80秒でキャリアガス温度は飽和温度858℃に達した。従って、試験5の温度比は0.780、昇温比は0.560である。設定条件及び結果を、以下の表1及び表2に示す。更に、表2に示すU3設定温度と温度比及び昇温比との対比結果をグラフ化して図3に示す。
[纏め]
表1及び表2から明らかなように、実施例で製作したキャリアガスヒーターを用い、U1〜U3それぞれのチューブユニットの設定温度を、1000℃とすればキャリアガスの温度は800℃を超え、1100℃とすればキャリアガスを温度850℃以上に安定加熱できることが確認できた。
[考察]
図3に明らかなように、温度比と昇温比とは高温になるほど小さくなり、実験を行なった温度範囲ではほぼ直線的(温度比:1次相関係数r=−0.994、昇温比:1次相関係数r=−0.991)に変化している。このように、チューブユニットの設定温度を変更すると、温度比と昇温比もほぼ直線的に変化することから、加熱ガスチューブからキャリアガスへの伝熱が安定していることが確認できた。そして、図3から、U3の設定温度を1150℃以上とすればキャリアガスを900℃に加熱できることが明らかである。また、発熱抵抗体にインコネル600よりも耐熱性が良好な材質を用い、U3の設定温度を1400℃に制御すれば、キャリアガス温度を1000℃以上に加熱することも可能であることを示唆している。更に、加熱ガスチューブからキャリアガスへの伝熱が安定しているため、キャリアガスを800℃よりも低温に加熱する場合であっても、従来のCS装置が備えるヒーターに比べて安定した温度制御が可能であると判断できる。
本件発明に係るコールドスプレー装置は、キャリアガスを900℃以上の高温に安定して加熱できるため、原料粉末の溶射効率が改善される。更に、キャリアガスヒーターを構成する発熱抵抗体との組み合わせを調整すれば、キャリアガスを1000℃以上の高温に加熱することもでき、従来はコールドスプレー溶射法を用いることができなかった原料粉末を用いて皮膜を形成することも可能になる。
U1〜U3 加熱機能付きチューブユニット1〜加熱機能付きチューブユニット3
T1〜T4 通電端子1〜通電端子4
1 コールドスプレー用ノズル
1a スロート部
1b 圧縮部
1d 膨張部
1h パウダーポート
2 圧縮ガスボンベ
3 キャリアガスライン
4 搬送ガスライン
5a、5b 圧力調整器
6a、6b 流量調節弁
7a、7b 流量計
8a、8b 圧力ゲージ
9 電力源
10 キャリアガスヒーター(加熱機能付きガスチューブ)
11 コールドスプレーガン
12 チャンバー
13 圧力計
14 温度計
15 原料粉末供給装置
16 計量器
17 原料粉末供給ライン
18 基材
20 中心軸(コールドスプレーガン)
21 中心軸(加熱機能付きガスチューブユニット)
30 制御盤
101 コールドスプレーガン
102 混合チャンバー
103 ポストヒーター
104 フレキシブルチューブ
105 プレヒーター
106 電気抵抗発熱線

Claims (9)

  1. コールドスプレーガンの出口で超音速流とするキャリアガス中に、搬送ガスにより搬送された原料粉末をパウダーポート先端から噴出させて投入し、原料粉末を固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー装置であって、
    前記コールドスプレー装置が備えるキャリアガスヒーターは、通電により電気抵抗発熱して、その内部に流入するキャリアガスを加熱する発熱抵抗体で構成された加熱機能付きガスチューブであり、当該加熱機能付きガスチューブは、通電距離が長さ1m〜5mであり、且つ、1000℃以上に発熱可能な発熱抵抗体を1単位の加熱機能付きガスチューブユニットとし、
    当該1単位の加熱機能付きガスチューブユニットを3ユニット以上直列配置すると共に、各ガスチューブユニットへの通電量を個別に制御するものとし、
    これらの加熱機能付きガスチューブユニットのうち、コールドスプレーガンと接続する側に配置する加熱機能付きガスチューブユニットの発熱能力を他のガスチューブユニットの発熱能力以上とすると共に、その設定温度を1000℃以上とすることを特徴とするコールドスプレー装置。
  2. 前記加熱機能付きガスチューブは、コールドスプレーガンと接続する側に配置する1単位の加熱機能付きガスチューブユニットが備える前記発熱抵抗体の長さが、ほかの1単位の加熱機能付きガスチューブユニットが備える当該発熱抵抗体の長さよりも長いものである請求項1に記載のコールドスプレー装置。
  3. 前記加熱機能付きガスチューブは、コールドスプレーガンと接続する側に配置する1単位の加熱機能付きガスチューブユニットが備える発熱抵抗体の内径が、ほかの1単位の加熱機能付きガスチューブユニットが備える当該発熱抵抗体の内径よりも小さいものである請求項1又は請求項2記載のコールドスプレー装置。
  4. 前記1単位の加熱機能付きガスチューブユニットは、前記発熱抵抗体の長さが、キャリアガスの入口側に備える通電端子とキャリアガスの出口側に備える通電端子とを結ぶ直線距離の10倍〜30倍であり、巻数が3〜10のコイル形状としたものである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコールドスプレー装置。
  5. 前記1単位の加熱機能付きガスチューブユニットは、キャリアガスの入口と出口とを前記コイル形状の中心軸上に配置したものである請求項4に記載のコールドスプレー装置。
  6. 前記キャリアガスヒーターは、前記コイル形状の中心軸が、前記コールドスプレーガンの中心軸と平行になるように当該コールドスプレーガンに固定して一体化したものである請求項4又は請求項5に記載のコールドスプレー装置。
  7. 前記1単位の加熱機能付きガスチューブユニットは、キャリアガスの入口側の片端と出口側の他端とにそれぞれ前記通電端子を接続した継ぎ手を備えるものである請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のコールドスプレー装置。
  8. 前記加熱機能付きガスチューブは、1単位の加熱機能付きガスチューブユニットを3ユニット以上備えるものである請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のコールドスプレー装置。
  9. パウダーポートからスロート部までの長さが200mm〜1000mmのコールドスプレーガンを用いたものである請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のコールドスプレー装置。
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