JP5503797B1 - 冷媒用管継手構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】パイプが銅管から成る場合、端部にフレア加工せず、迅速に強力な接続が可能な冷媒用管継手構造を提供する。
【解決手段】雄ネジ付き継手本体1と、継手本体1の雄ネジ2に螺着される袋ナット3と、を備え、銅管PCuを接続する冷媒用管継手構造に於て、袋ナット3の内部収納空間10に収納されると共に、外周面8に凹周溝9を有し、袋ナット3と継手本体1の雄ネジ2を螺着させる際に継手本体1と袋ナット3からアキシャル方向の圧縮力を受けて、凹周溝底薄壁部13がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されている銅管の外周面14側から食い込んで抜止めする圧縮変形用スリーブ7を有し、さらに、ステンレス鋼製廻り止め円筒体50を、外端側の第1凹周溝9Aに対応して設けている。
【選択図】図1
【解決手段】雄ネジ付き継手本体1と、継手本体1の雄ネジ2に螺着される袋ナット3と、を備え、銅管PCuを接続する冷媒用管継手構造に於て、袋ナット3の内部収納空間10に収納されると共に、外周面8に凹周溝9を有し、袋ナット3と継手本体1の雄ネジ2を螺着させる際に継手本体1と袋ナット3からアキシャル方向の圧縮力を受けて、凹周溝底薄壁部13がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されている銅管の外周面14側から食い込んで抜止めする圧縮変形用スリーブ7を有し、さらに、ステンレス鋼製廻り止め円筒体50を、外端側の第1凹周溝9Aに対応して設けている。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷媒用管継手構造に関する。
管継手の一種として、フレア継手が古くから用いられている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、図12に示すように、雄ネジ付き継手本体30のテーパ面31と、継手本体30の雄ネジ32に螺着される袋ナット33のテーパ面34の間に、銅製パイプ35の端部を拡径テーパ状に塑性加工して成るフレア端部37を、挟持させて圧接力により密封する構成である。
しかし、フレア加工を現場で行う必要があったため、配管作業能率アップが阻害されていた。
一般に、図12に示すように、雄ネジ付き継手本体30のテーパ面31と、継手本体30の雄ネジ32に螺着される袋ナット33のテーパ面34の間に、銅製パイプ35の端部を拡径テーパ状に塑性加工して成るフレア端部37を、挟持させて圧接力により密封する構成である。
しかし、フレア加工を現場で行う必要があったため、配管作業能率アップが阻害されていた。
そこで、本発明者は、従来の(図12に示すような)フレア継手の上記欠点を解決し、さらに、部品点数も少なくて、シンプルな部品形状の管継手構造として、かつて図13に示すような発明を提案している(特許文献2参照)。
即ち、図13に於て、袋ナット38の内部収納空間39に圧縮変形用スリーブ40を内有させて、袋ナット38を継手本体41の雄ネジ42に螺進させ、この螺進させる際に、継手本体1のテーパ状先端面43と、袋ナット38の内鍔38Aによって、アキシャル方向の強い圧縮力を付与させることで、上記スリーブ40の2個の外周凹溝44,44のアキシャル方向幅寸法を減少させつつ、この外周凹溝44の溝底薄壁部45をラジアル内方向へ塑性変形させて、挿入されているパイプ46の外周面に、塑性変形した溝底薄壁部45を食い込ませて、(図13のように)パイプ46の引抜けを阻止する構造である。なお、PTFE等を塗装したシール層47であり、溝底薄壁部45のパイプ46の外周面への食い込み変形に伴って、強く圧縮されて密封作用を増加させている。
即ち、図13に於て、袋ナット38の内部収納空間39に圧縮変形用スリーブ40を内有させて、袋ナット38を継手本体41の雄ネジ42に螺進させ、この螺進させる際に、継手本体1のテーパ状先端面43と、袋ナット38の内鍔38Aによって、アキシャル方向の強い圧縮力を付与させることで、上記スリーブ40の2個の外周凹溝44,44のアキシャル方向幅寸法を減少させつつ、この外周凹溝44の溝底薄壁部45をラジアル内方向へ塑性変形させて、挿入されているパイプ46の外周面に、塑性変形した溝底薄壁部45を食い込ませて、(図13のように)パイプ46の引抜けを阻止する構造である。なお、PTFE等を塗装したシール層47であり、溝底薄壁部45のパイプ46の外周面への食い込み変形に伴って、強く圧縮されて密封作用を増加させている。
図13に示した冷媒用管継手は、(図12に示した)フレア継手に代わり得る優れた発明ではあるが、次のような改良すべき点が残っている点に本発明者は気付いた。即ち、(i)パイプ46の耐引抜力は冷媒用配管用として十分であると考えられるが、冷媒用気体の密封性に関して、(後述する図11のような使用状況下で、)少し不安がある点、(ii)図13に示したシール層47の被覆作業が面倒かつコスト高であり、しかも、図13に示したような溝底薄壁部45の塑性変形に伴って部分的にシール層47が破壊する場合も考えられ、密封性能が低下する点。
本発明は、雄ネジ付き継手本体と、該継手本体の雄ネジに螺着される袋ナットと、を備え、上記袋ナットの内部収納空間に収納されると共に、外周面に凹周溝を有し、上記袋ナットと上記継手本体の雄ネジを螺着させる際に上記継手本体と上記袋ナットからアキシャル方向の圧縮力を受けて、凹周溝底薄壁部がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されている銅管の外周面側から食い込んで抜止めする銅から成る圧縮変形用スリーブを有する冷媒用管継手構造に於て、上記凹周溝は、外端側の第1凹周溝と、上記継手本体側の第2凹周溝とを有し、上記圧縮変形用スリーブに予め挿入されて上記第1凹周溝の凹周溝底薄壁部に対応する深さまで最内端縁部が到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体を備えている。
また、雄ネジ付き継手本体と、該継手本体の雄ネジに螺着される袋ナットと、を備え、上記袋ナットの内部収納空間に収納されると共に、外周面に凹周溝を有し、上記袋ナットと上記継手本体の雄ネジを螺着させる際に上記継手本体と上記袋ナットからアキシャル方向の圧縮力を受けて、凹周溝底薄壁部がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されているアルミニウム管の外周面側から食い込んで抜止めする圧縮変形用スリーブを有し、さらに、該圧縮変形用スリーブは、アルミニウム又はアルミニウム層を被覆した銅から成る冷媒用管継手構造に於て、上記凹周溝は、外端側の第1凹周溝と、上記継手本体側の第2凹周溝とを有し、上記圧縮変形用スリーブに予め挿入されて上記第1凹周溝の凹周溝底薄壁部に対応する深さまで最内端縁部が到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体を備えている。
上記ステンレス鋼製廻り止め円筒体の最内端縁部が、第1凹周溝の凹周溝底薄壁部に到達している構成により、凹周溝底薄壁部がラジアル内方向へ塑性変形するに伴って上記最内端縁部もラジアル内方向へ塑性変形し、挿入されたパイプ(銅管又はアルミニウム管)の外周面に食込み、上記円筒体とパイプの相対的回転(廻り)を阻止し、これによって、第1・第2凹周溝の凹周溝底薄壁部のラジアル内方向への塑性変形部位とパイプとの相対的回転による冷媒の外部漏洩を防止するものである。
本発明によれば、パイプに回転トルクが作用した場合にも、パイプの回転は、第1凹周溝の溝底薄壁部の位置に於て確実に阻止できる。これによって、第2凹周溝の溝底薄壁部の塑性変形部位と、パイプ外周面の食い込み部位との間も全く相対的回転を生じないので、冷媒等の洩れ易い気体も、確実に安定して、密封(シール)される。
また、シール層の被覆も不要であり、さらに、ゴム等のシール材を省略できて、耐久性も優れ、コストダウンも達成できる。勿論、フレア加工、溶接、ろう付け等の現場作業も不要である。
特に、エアコン屋外機が倒れた場合には、パイプは約90°の捩れを生じ、パイプに回転トルクが作用するが、本発明では、第1凹周溝の溝底薄壁部とパイプとの間の強力な廻り止めにより、パイプの回転は遮断阻止され、少なくとも(奥側の)第2凹周溝の溝底薄壁部とパイプとの間の相対的回転は(微小角度さえ)発生せず、密封性(シール性)は、長期にわたって安定して維持できる。
また、シール層の被覆も不要であり、さらに、ゴム等のシール材を省略できて、耐久性も優れ、コストダウンも達成できる。勿論、フレア加工、溶接、ろう付け等の現場作業も不要である。
特に、エアコン屋外機が倒れた場合には、パイプは約90°の捩れを生じ、パイプに回転トルクが作用するが、本発明では、第1凹周溝の溝底薄壁部とパイプとの間の強力な廻り止めにより、パイプの回転は遮断阻止され、少なくとも(奥側の)第2凹周溝の溝底薄壁部とパイプとの間の相対的回転は(微小角度さえ)発生せず、密封性(シール性)は、長期にわたって安定して維持できる。
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1は本発明の実施の形態を示し、軸心線L0 より上半部は未締付状態を、軸心線 L0 より下半部は締付(接続)完了状態を示す断面図である。
図1は本発明の実施の形態を示し、軸心線L0 より上半部は未締付状態を、軸心線 L0 より下半部は締付(接続)完了状態を示す断面図である。
図1に示す冷媒用管継手構造は、雄ネジ2を一体に有する継手本体1と、この雄ネジ2に螺着される袋ナット3と、を備え、冷媒用パイプPを接続するものである。パイプPとしては、銅又はアルミニウムから成るが、まず、(銅から成る)銅管PCuの場合から説明する。
銅管PCuの端部5にフレア加工を施すことなく、銅管PCuと管継手が接続される。継手本体1及び袋ナット3は、例えば真鍮から成る。銅管PCu及び管継手の内部をエアコン等の冷媒が流れる。
図1と図5に於て、7は、銅管PCu用として、銅から成る圧縮変形用スリーブであって、外周面8に第1凹周溝9Aと第2凹周溝9Bの2本の凹周溝9を有する。スリーブ7の外端側に第1凹周溝9Aが設けられ、継手本体1側には第2凹周溝9Bが設けられている。そして、この圧縮変形用スリーブ7は、袋ナット3の内部収納空間10に収納される。
銅管PCuの端部5にフレア加工を施すことなく、銅管PCuと管継手が接続される。継手本体1及び袋ナット3は、例えば真鍮から成る。銅管PCu及び管継手の内部をエアコン等の冷媒が流れる。
図1と図5に於て、7は、銅管PCu用として、銅から成る圧縮変形用スリーブであって、外周面8に第1凹周溝9Aと第2凹周溝9Bの2本の凹周溝9を有する。スリーブ7の外端側に第1凹周溝9Aが設けられ、継手本体1側には第2凹周溝9Bが設けられている。そして、この圧縮変形用スリーブ7は、袋ナット3の内部収納空間10に収納される。
圧縮変形用スリーブ7は、袋ナット3と継手本体1の雄ネジ2を螺着させる際に、図1に於ける軸心線L0 の上半部(自由状態)から、下半部(締付圧縮状態)に示すように、継手本体1と袋ナット3からアキシャル方向の圧縮力(締付力)Fを受けて、凹周溝底薄壁部13がラジアル内方向に塑性変形して(図1及び図8参照)、挿入されている銅管PCuの外周面14側から食い込んで抜止めする。つまり、耐引抜力を発揮して、銅管PCuの引抜けを防止する。この圧縮状態では、銅管PCuの内周面にも小凸条部25が形成される。
圧縮変形用スリーブ7の凹周溝9A,9Bの断面形状は、略半円形の場合を図1,図5,図7に例示する。この断面形状としては、U字形としても良く、場合によっては略V字状にしても良い。
圧縮変形用スリーブ7の凹周溝9A,9Bの断面形状は、略半円形の場合を図1,図5,図7に例示する。この断面形状としては、U字形としても良く、場合によっては略V字状にしても良い。
凹周溝9A,9Bの幅寸法Wは、圧縮変形に伴って(塑性変形の際)、減少して、図1の下半部に示すように、あるいは、図8に示すように、凹周溝9A,9Bの溝奥部が溝側面15,15同志が圧接し、溝開口寄りは、狭小U字乃至狭小V字となる。(なお、図示省略するが全体の溝側面15,15相互に圧接しても良い。)
図6(A)と(B)に点々をもって示すように、基端側の第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13には、係止段付Gを有する小突条23が形成され、図1の下半部に示すように、圧縮状態で銅管PCuの外周面14に食い込んで、銅管PCu(パイプP)の耐引抜力を増加させ、かつ、シール性(密封性)も向上させる。
図6(A)と(B)に点々をもって示すように、基端側の第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13には、係止段付Gを有する小突条23が形成され、図1の下半部に示すように、圧縮状態で銅管PCuの外周面14に食い込んで、銅管PCu(パイプP)の耐引抜力を増加させ、かつ、シール性(密封性)も向上させる。
図5に示したスリーブ7の内周面11の縦断面形状に於て、上記小突条23の基端側はストレート部24に凹設され、小突条23の先端側には、緩やかな先端方向に縮径するテーパ26と先端方向に拡径するテーパ27とが順次形成されると共に、拡径テーパ27は(同一内径の)ストレート部28に連続して、このストレート部28が先端に開口している。
ストレート部28と拡径テーパ27との境目線Hの位置は、第1凹周溝9Aの幅の中央近傍が好ましい。50は、(銅よりも十分に硬度の高い)ステンレス鋼製の廻り止め円筒体であって、この廻り止め円筒体50は、図2に示すような継ぎ目の無い薄いステンレス鋼製円筒形状であって、圧縮変形用スリーブ7に予め挿入(内装)されて第1凹周溝9Aの溝底薄壁部13に対応する深さまで、最内端縁部50Aが到達している。
廻り止め円筒体50のアキシャル方向寸法L50は、前述の図5のストレート部28の深さ寸法と略等しいのが望ましい。つまり、境目線Hの位置まで、円筒体50の最内端縁部50Aが略一致するように、円筒体50は圧縮変形用スリーブ7に内装されている。
追加説明すると、図7に示すように、スリーブ7の未圧縮状態では、円筒体50の最内端縁部50Aのアキシャル方向位置は、第1凹周溝9Aの先端寄りの溝側面15と、第1凹周溝9Aの溝幅寸法Wの半分の位置との範囲(1/2・W)内に設定するのが良い。
ストレート部28と拡径テーパ27との境目線Hの位置は、第1凹周溝9Aの幅の中央近傍が好ましい。50は、(銅よりも十分に硬度の高い)ステンレス鋼製の廻り止め円筒体であって、この廻り止め円筒体50は、図2に示すような継ぎ目の無い薄いステンレス鋼製円筒形状であって、圧縮変形用スリーブ7に予め挿入(内装)されて第1凹周溝9Aの溝底薄壁部13に対応する深さまで、最内端縁部50Aが到達している。
廻り止め円筒体50のアキシャル方向寸法L50は、前述の図5のストレート部28の深さ寸法と略等しいのが望ましい。つまり、境目線Hの位置まで、円筒体50の最内端縁部50Aが略一致するように、円筒体50は圧縮変形用スリーブ7に内装されている。
追加説明すると、図7に示すように、スリーブ7の未圧縮状態では、円筒体50の最内端縁部50Aのアキシャル方向位置は、第1凹周溝9Aの先端寄りの溝側面15と、第1凹周溝9Aの溝幅寸法Wの半分の位置との範囲(1/2・W)内に設定するのが良い。
そして、図1の上半部に示した未圧縮状態から、袋ナット3を継手本体1に対して螺進してゆくと、図1の下半部、及び、図8に示す如く、第1凹周溝9A・第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13が、各々、ラジアル内方向へ、U字状乃至V字状に塑性変形する。この溝底薄壁部13の塑性変形によって、第1凹周溝9Aでは、廻り止め円筒体50の最内端縁部50Aもラジアル内方向へ塑性変形し、最内端縁部50Aは、U字状(V字状)に塑性変形した溝底薄壁部13の最小径部近傍に対応しつつ、パイプP(銅管PCu)の外周面14に深く食込み、図8に矢印F50にて示した極めて大きい押込力(食込力)にてパイプP(銅管PCu)に食い込む。なお、パイプP(銅管PCu)側からは同じ大きさの反力F50´が生ずる。
このように大きい押込力(食い込み力)にて円筒体50の最内端縁部50Aが食い込むことによって、円筒体50とパイプP(銅管PCu)との相対的回転は阻止される。
なお、硬質のステンレス鋼の薄肉の円筒体50とスリーブ7との圧接面には、縮径方向の塑性変形に伴う微小な皺N(図9参照)が多数存在し、相互の回転は全く生じない。
一方、第2凹周溝9Bは、小突条23がパイプP(銅管PCu)の外周面14に食い込み、強力な耐引抜力を発揮すると同時に、安定した密封性(シール性)を発揮する。
なお、硬質のステンレス鋼の薄肉の円筒体50とスリーブ7との圧接面には、縮径方向の塑性変形に伴う微小な皺N(図9参照)が多数存在し、相互の回転は全く生じない。
一方、第2凹周溝9Bは、小突条23がパイプP(銅管PCu)の外周面14に食い込み、強力な耐引抜力を発揮すると同時に、安定した密封性(シール性)を発揮する。
以上、パイプPが銅管PCuの場合について説明したが、パイプPがアルミニウム管PAlの場合は、電蝕防止の面から、圧縮変形用スリーブ7の材質を、アルミニウムとするか、又は、アルミニウム層を被覆した銅とするが、これ以外の構成及び作用効果と機能は、銅管PCuと同様である。(従って、重複説明を省略する。)
次に、図3に示す他の実施例のように、廻り止め円筒体50として、最内端縁部50Aは、(少なくとも)小凹凸加工面とするのが良い。図4(A)のような四角の凹凸波型をローレットや打抜加工や圧潰加工にて形成したり、図4(B)の三角の三角凹凸波型を同様の加工にて形成したり、あるいは、図4(C)に示すように研削やヤスリ加工によって、微小凹凸のある粗面加工としても良い。このようにすれば、図8にて述べた状態で、さらに強力な廻り止め作用が行われる。
上述したように、第1凹周溝9Aの溝底薄壁部13の塑性変形によれば、(パイプPの)廻り止め機能(グリップ機能)を発揮し、かつ、(当然ながら)パイプPの耐引抜力、及び、冷媒に対する密封機能(シール性能)を発揮する。他方、第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13の塑性変形によれば、パイプPの耐引抜力が発揮される。しかしながら、冷媒に対する密封機能(シール性能)に関しては、第1凹周溝9Aの(前述の)廻り止め機能(グリップ機能)の助けが無ければならない。以下、この点について説明する。
図9は、図1の下半部の圧縮接続完了状態下で、仮にパイプPを除去した場合の圧縮変形用スリーブ7の要部拡大説明図であり、この図9からも明らかなように、第1・第2凹周溝9A,9Bに於ける各溝底薄壁部13の内周面には、U字状又はV字状に塑性変形する際に多数の皺Nが発生する。その理由は、全体に縮径変形であるがために、圧縮変形に伴って、皺Nが発生すると推定される。
当然に、パイプP側の(対応する)圧接部には、凹と凸が逆の皺が発生し、相互に密に凹凸が入り込んでいる。しかし、銅管PCuと銅製スリーブ7はいずれも軟らかく相互の回転阻止力(グリップ機能)は弱い。あるいは、アルミニウム管PAlとアルミニウムスリーブ7はいずれも軟らかく相互の回転阻止力(グリップ機能)は弱い。
当然に、パイプP側の(対応する)圧接部には、凹と凸が逆の皺が発生し、相互に密に凹凸が入り込んでいる。しかし、銅管PCuと銅製スリーブ7はいずれも軟らかく相互の回転阻止力(グリップ機能)は弱い。あるいは、アルミニウム管PAlとアルミニウムスリーブ7はいずれも軟らかく相互の回転阻止力(グリップ機能)は弱い。
第1凹周溝9A側の廻り止め円筒体50の付加による廻り止め機能(グリップ機能)が存在しないと仮定すると、第2凹周溝9B側では、銅管PCu・アルミニウム管PAlとスリーブ7とが皺Nによって凹凸が入り込んでいるといえども、簡単にパイプPが回転してしまう。そうすると、凹凸の入り込みが、逆に、極微小間隙を発生させ、冷媒が外部漏洩する。
勿論、第2凹周溝9B自体に於ても、廻り止め円筒体50が存在しなければ、第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13のU字状(又はV字状)の塑性変形部の皺Nによる凹凸と、パイプP
の外周面14の対応部の逆凹凸との入り込みも、同様に簡単にパイプPが回転してしまう。
実験の結果、微小な皺Nによる凹凸の入り込み状態から、パイプPが1°〜2°の微小角度の回転が生ずると、冷媒(気体)は外部漏洩を発生することが判明した。
勿論、第2凹周溝9B自体に於ても、廻り止め円筒体50が存在しなければ、第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13のU字状(又はV字状)の塑性変形部の皺Nによる凹凸と、パイプP
の外周面14の対応部の逆凹凸との入り込みも、同様に簡単にパイプPが回転してしまう。
実験の結果、微小な皺Nによる凹凸の入り込み状態から、パイプPが1°〜2°の微小角度の回転が生ずると、冷媒(気体)は外部漏洩を発生することが判明した。
本発明では、第1凹周溝9Aの溝底薄壁部13に対応して廻り止め円筒体50の最内端縁部50Aを具備することで、強力な回転阻止力(グリップ機能)を発揮できて、第2凹周溝9Bに対して助けを行って、第2凹周溝9Bの溝底薄壁部13の塑性変形部位と、パイプPとの廻り止めを確保することで、冷媒等の気体に対しても、十分に長期間にわたって、かつ、過酷な使用状況にあっても、密封機能(シール性能)を、第2凹周溝9Bに於て発揮可能である。
次に、図11は本発明に係る管継手構造の使用状態の一例を示す図であって、箱型のエアコン室外機17の側面に、冷媒配管18,18が接続される部位―――図11では、黒丸19,19をもって示す―――に本発明に係る管継手が使用されている。
冷媒配管18は、既述のパイプP(銅管PCu又はアルミニウム管PAl)が相当するが、図11(A)に示した正常姿勢の室外機17に於て、L字(Z字)型等にパイプPは折曲げられており、このような正常姿勢から図11(B)に示すように、地震や他の物体が衝突する等の何らかの原因で矢印C方向へ倒れる事故が発生すると、パイプPの管継手との接続近傍位置では、矢印M方向の捩れが発生する。室外機17の設置面20は通常水平面状であるから、約90°の角度β0 の捩れが管継手(黒丸19参照)とパイプPの接続領域で生ずる。
冷媒配管18は、既述のパイプP(銅管PCu又はアルミニウム管PAl)が相当するが、図11(A)に示した正常姿勢の室外機17に於て、L字(Z字)型等にパイプPは折曲げられており、このような正常姿勢から図11(B)に示すように、地震や他の物体が衝突する等の何らかの原因で矢印C方向へ倒れる事故が発生すると、パイプPの管継手との接続近傍位置では、矢印M方向の捩れが発生する。室外機17の設置面20は通常水平面状であるから、約90°の角度β0 の捩れが管継手(黒丸19参照)とパイプPの接続領域で生ずる。
図10は、このような事故の状況を本発明者が再現して冷媒外部漏洩実験を行った斜視説明図である。即ち、図10に示すように、管継手Xとして、図13に示した従来―――即ち、本発明の特に廻り止め円筒体50を具備しないもの―――と、本発明の実施例として、図1と図2と図4(C)に示した構造の管継手とを、エアコン室外機17(に想到する固定壁面)に水平に突出状に固着し、さらに、パイプPを最小可能曲げアール半径R1 にて鉛直上方に曲げた状態で、この曲げアール半径R1 とストレート状となる境目の箇所(2つの三角印21,21にて示す)にて掴持工具で掴持して、矢印M方向に捩りをパイプに与え、しかも冷媒には通常の使用状態に於ける最高使用圧を付与しつつ管継手X及びパイプP内に流して、外部漏洩テストを行った。パイプPはいずれも銅管PCuとアルミニウム管PAlを用いた。
上記表1から判るように、従来例の管継手では、図11に示した室外機17の倒れ事故の際に、冷媒の外部漏洩が発生する虞が高い。このようにパイプ捩れが加えられた際、密封性に不安がある。これに対し、本発明の実施例では、銅管PCuとアルミニウム管PAlのいずれに於ても、室外機17の倒れ事故にあっても約90°を十分に越えたパイプ捩れ角度βまで冷媒漏洩の心配がなく、安定して優れた密封性能を発揮することが判明した。
なお、図3及び図4(A)(又は(B))に示した円筒体50を使用した管継手では、上記表1の結果よりも、一層大きな捩れ角度βに耐える優れた結果が得られる。
なお、図3及び図4(A)(又は(B))に示した円筒体50を使用した管継手では、上記表1の結果よりも、一層大きな捩れ角度βに耐える優れた結果が得られる。
なお、図13にもどって追加説明する。継手本体1は、先端にテーパ面48を有し、また、圧縮変形用スリーブ7は、基端部に、上記テーパ面48に対応した同一テーパ角度の圧接シール用テーパ面49を有する。この両テーパ面48,49の圧接による密封は、JIS B8607のフレア継手の場合と同様に良好にシールされる。また、両テーパ面48,49が相互に強く圧接した際に、圧縮変形用スリーブ7の基端部が(ラジアル外方向へ)過大な拡径塑性変形を発生することを防止するために、(図1と図5で明らかなように)補強用内鍔部7Cを有する。
また、図1に於て、圧縮変形用スリーブ7には、基端を除いた外周面径寸法をやや小さく形成して、ステンレス鋼等の硬質金属(又は硬質プラスチック)のカバー部材29が外嵌状に取付けられている。このカバー部材29は、袋ナット3の内周面と、圧縮変形用スリーブ7の外周面との摩擦抵抗(圧着による抵抗)を低減し、滑りを助長する円筒状のものである。
また、図1に於て、圧縮変形用スリーブ7には、基端を除いた外周面径寸法をやや小さく形成して、ステンレス鋼等の硬質金属(又は硬質プラスチック)のカバー部材29が外嵌状に取付けられている。このカバー部材29は、袋ナット3の内周面と、圧縮変形用スリーブ7の外周面との摩擦抵抗(圧着による抵抗)を低減し、滑りを助長する円筒状のものである。
本発明の最大の特徴とする構成の一つは、図8等に示したように、スリーブ7が圧縮力Fを受けて、溝底薄壁部13のラジアル内方向へのU字状(又はV字状)に塑性変形するに伴って、その最小径の最大変形部近傍に、廻り止め円筒体50の最内端縁部50Aを強力に(ラジアル内方向へ押圧しつつ)パイプPの外周面14に最内端縁部50Aを食い込ませ、パイプP(の外周面14)と、圧縮変形用スリーブ7との相対的回転を阻止する(廻り止めする)構成にある。また、最内端縁部50Aの近傍も、図8では小山のように盛り上った溝底薄壁部13の中腹面にて(強くパイプPの外周面14に対して)押圧されており、その摩擦抵抗力も、上記相対的回転を阻止する(廻り止めする)役目を強力に補助している。
図9に示したような縮径方向の変形によって発生する小さな皺Nによて、U字状(又はV字状)に塑性変形した溝底薄壁部13と、それに対応したパイプ外周面14が、相互に凹凸に噛み合っているといえども、両者の材質は、銅と銅、又は、アルミニウムとアルミニウムというように、柔らかい材質同志の圧接状態であり、図11(図10)にて述べたような矢印M方向のパイプ捩り力が作用すれば、1°〜2°の僅かな回転滑りを発生してしまって、上記小さな皺Nが、このときは逆に気体(冷媒)が通過する極微小流路を形成し、外部漏洩を発生するものと考えられ、本発明はこのような外部漏洩を、小さな薄肉(厚さ 0.2mm以下)の短筒状廻り止め円筒体50にて、簡易にかつ安定して、防止できる。
なお、本発明にあっては各部品を電蝕現象の起こらない材質を組合せている点も、別の特徴である。また、本発明では、ゴムやプラスチック等の冷媒による劣化(腐食)を生ずる材質を用いていない点も他の特徴である。溶接や銀ロウの作業は全く不要である点もさらなる特徴であるといえる。
なお、本発明にあっては各部品を電蝕現象の起こらない材質を組合せている点も、別の特徴である。また、本発明では、ゴムやプラスチック等の冷媒による劣化(腐食)を生ずる材質を用いていない点も他の特徴である。溶接や銀ロウの作業は全く不要である点もさらなる特徴であるといえる。
本発明は、以上詳述したように、雄ネジ付き継手本体1と、該継手本体1の雄ネジ2に螺着される袋ナット3と、を備え、上記袋ナット3の内部収納空間10に収納されると共に、外周面8に凹周溝9を有し、上記袋ナット3と上記継手本体1の雄ネジ2を螺着させる際に上記継手本体1と上記袋ナット3からアキシャル方向の圧縮力Fを受けて、凹周溝底薄壁部13がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されている銅管PCuの外周面14側から食い込んで抜止めする銅から成る圧縮変形用スリーブ7を有する冷媒用管継手構造に於て、上記凹周溝9は、外端側の第1凹周溝9Aと、上記継手本体1側の第2凹周溝9Bとを有し、上記圧縮変形用スリーブ7に予め挿入されて上記第1凹周溝9Aの凹周溝底薄壁部13に対応する深さまで最内端縁部50Aが到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体50を備えた構成であるので、従来の問題点を簡易な構成にて解決して、銅管PCuに捩り力M(図10・図11参照)が作用した際にも、確実な廻り止めが行われ、この銅管PCuと管継手との相対的回転に伴う(微量)冷媒漏洩を防いで、密封性能が安定してかつ優れている。
また、本発明は、雄ネジ付き継手本体1と、該継手本体1の雄ネジ2に螺着される袋ナット3と、を備え、上記袋ナット3の内部収納空間10に収納されると共に、外周面8に凹周溝9を有し、上記袋ナット3と上記継手本体1の雄ネジ2を螺着させる際に上記継手本体1と上記袋ナット3からアキシャル方向の圧縮力Fを受けて、凹周溝底薄壁部13がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されているアルミニウム管PAlの外周面14側から食い込んで抜止めする圧縮変形用スリーブ7を有し、さらに、該圧縮変形用スリーブ7は、アルミニウム又はアルミニウム層を被覆した銅から成る冷媒用管継手構造に於て、上記凹周溝9は、外端側の第1凹周溝9Aと、上記継手本体1側の第2凹周溝9Bとを有し、上記圧縮変形用スリーブ7に予め挿入されて上記第1凹周溝9Aの凹周溝底薄壁部13に対応する深さまで最内端縁部50Aが到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体50を備えた構成であるので、従来の問題点を簡易な構成にて解決して、アルミニウム管PAlに捩り力M(図10・図11参照)が作用した際にも、確実な廻り止めが行われ、このアルミニウム管PAlと管継手との相対的回転に伴う(微量)冷媒漏洩を防いで、密封性能が安定してかつ優れている。
1 (雄ネジ付き)継手本体
2 雄ネジ
3 袋ナット
7 圧縮変形用スリーブ
8 外周面
9 凹周溝
9A 第1凹周溝
9B 第2凹周溝
10 内部収納空間
11 内周面
13 凹周溝底薄壁部
14 外周面
F 圧縮力(締付力)
PAl アルミニウム管
PCu 銅管
2 雄ネジ
3 袋ナット
7 圧縮変形用スリーブ
8 外周面
9 凹周溝
9A 第1凹周溝
9B 第2凹周溝
10 内部収納空間
11 内周面
13 凹周溝底薄壁部
14 外周面
F 圧縮力(締付力)
PAl アルミニウム管
PCu 銅管
Claims (2)
- 雄ネジ付き継手本体(1)と、該継手本体(1)の雄ネジ(2)に螺着される袋ナット(3)と、を備え、上記袋ナット(3)の内部収納空間(10)に収納されると共に、外周面(8)に凹周溝(9)を有し、上記袋ナット(3)と上記継手本体(1)の雄ネジ(2)を螺着させる際に上記継手本体(1)と上記袋ナット(3)からアキシャル方向の圧縮力(F)を受けて、凹周溝底薄壁部(13)がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されている銅管(PCu)の外周面(14)側から食い込んで抜止めする銅から成る圧縮変形用スリーブ(7)を有する冷媒用管継手構造に於て、
上記凹周溝(9)は、外端側の第1凹周溝(9A)と、上記継手本体(1)側の第2凹周溝(9B)とを有し、上記圧縮変形用スリーブ(7)に予め挿入されて上記第1凹周溝(9A)の凹周溝底薄壁部(13)に対応する深さまで最内端縁部(50A)が到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体(50)を備えたことを特徴とする冷媒用管継手構造。 - 雄ネジ付き継手本体(1)と、該継手本体(1)の雄ネジ(2)に螺着される袋ナット(3)と、を備え、上記袋ナット(3)の内部収納空間(10)に収納されると共に、外周面(8)に凹周溝(9)を有し、上記袋ナット(3)と上記継手本体(1)の雄ネジ(2)を螺着させる際に上記継手本体(1)と上記袋ナット(3)からアキシャル方向の圧縮力(F)を受けて、凹周溝底薄壁部(13)がラジアル内方向へ塑性変形して、挿入されているアルミニウム管(PAl)の外周面(14)側から食い込んで抜止めする圧縮変形用スリーブ(7)を有し、さらに、該圧縮変形用スリーブ(7)は、アルミニウム又はアルミニウム層を被覆した銅から成る冷媒用管継手構造に於て、
上記凹周溝(9)は、外端側の第1凹周溝(9A)と、上記継手本体(1)側の第2凹周溝(9B)とを有し、上記圧縮変形用スリーブ(7)に予め挿入されて上記第1凹周溝(9A)の凹周溝底薄壁部(13)に対応する深さまで最内端縁部(50A)が到達しているステンレス鋼製廻り止め円筒体(50)を備えたことを特徴とする冷媒用管継手構造。
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