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JP5503654B2 - 変性ポリシロキサン化合物の製造方法 - Google Patents

変性ポリシロキサン化合物の製造方法 Download PDF

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JP5503654B2 JP2011527588A JP2011527588A JP5503654B2 JP 5503654 B2 JP5503654 B2 JP 5503654B2 JP 2011527588 A JP2011527588 A JP 2011527588A JP 2011527588 A JP2011527588 A JP 2011527588A JP 5503654 B2 JP5503654 B2 JP 5503654B2
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Description

本発明は、変性ポリシロキサン化合物の製造方法に係り、詳しくは、p−アルケニルフェノール単位とオルガノシロキサン単位とを必須構成単位としてブロック共重合させて得られるフェノール骨格導入の変性ポリシロキサン化合物の製造方法に関する。
本願は、2009年8月21日に出願された日本国特許出願第2009−192151号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
オルガノポリシロキサン化合物は、熱安定性、撥水性、消泡性、離型性等の界面特性に優れているため、種々の分野で多用されている。特に、近年においては、その特異な界面特性を生かして皮膜形成剤としての用途が拡大する半面、各種の樹脂に対してオルガノポリシロキサン化合物が有する温度特性や界面特性を付与するための改質剤としての応用も積極的に展開されている。
すなわち、従来から塗料、成形品等の合成樹脂の性能改良のため、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等が使用されている。しかしながら、これらは樹脂との相溶性が不十分であったり、耐熱性が不十分であるために使用範囲が限定されていた。
これらの欠点を改良するために、各種の反応性ポリシロキサン化合物、例えば、分子末端にエポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、(メタ)アクリル基等の官能基を有する低分子量ジメチルシロキサン化合物が市販されている。また、それらと他の樹脂との反応物、例えば、末端エポキシ基含有ポリシロキサンとフェノール樹脂との反応物(特許文献1、特許文献2等)、末端ハイドロジエン基含有ポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ樹脂との反応物(特許文献3等)が提案されている。
近年、超LSIの製造に必要なサブミクロンの解像能力を有するレジスト材料として、種々の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の機械的特性、耐湿性、表面特性等の改質剤として、また、分離膜や生体適合性高分子材料として、構造が制御されかつ分子内に任意の数の官能基を有するポリシロキサン化合物が渇望されているが、前記した方法において、市販されている分子内に官能基を有する低分子量ジメチルシロキサン化合物を用いる方法は、他樹脂との相溶性が十分でないため、成形加工性や機械的強度の低下をもたらす欠点を有する。また、末端に官能基を有するポリシロキサンと他の樹脂との反応物を用いる方法は、変性反応中に異常な増粘やゲル化等の好ましくない現象を起こし易く、かつ未反応成分が残留し、結果として相溶性の低下をもたらすこと等の問題があった。
そのため、分子量、構造が制御され、かつ分子量分布の狭いフェノール骨格を導入した変性ポリシロキサン化合物を製造することを目的として、出願人は、p−アルケニルフェノールのフェノール性水酸基を飽和脂肪族系保護基により保護した化合物をアニオン重合法により重合し、次いで環状シロキサン化合物を加えて共重合した後、飽和脂肪族系保護基を脱離させる方法を開発した(特許文献4)。
特開昭61−73725号公報 特開昭62−174222号公報 特開昭62−212417号公報 特許3471010号公報
特許文献4における方法は、飽和脂肪族系保護基を脱離させるため、酸性物質を使用する必要があるが、用いる酸の種類や反応条件によっては、分解や縮合により、分子量が変化したり、着色などの懸念がある。特許文献4においては塩化水素ガスの吹込みにより保護基の脱離を行った具体例が記載されているが、塩化水素の適正な使用条件及び適正な使用量について不明であった。
本発明は、分解や縮合により、分子量が変化したり、着色などを起こさない塩化水素の使用条件及び使用量を提供することが目的である。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、飽和脂肪族系保護基を脱離させるために、非水系において塩化水素を飽和脂肪族系保護基に対してほぼ当量反応させることにより目的を達成できることが分かり、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(I)
X(Y)n (I)
[式中、Xは式(II)
Figure 0005503654
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロック、Yは式(III)
Figure 0005503654
(式中、R及びRは、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。式中、R及びRは互いに同一又は異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロックであり、nは1又は2である。]で表され、XとYとの重量比が1/99≦X/Y≦90/10、数平均分子量が、1,000〜100,000である変性ポリシロキサン化合物を、非水系溶媒の存在下、塩化水素を含有する非水溶液を式(II)で表される繰り返し単位1当量に対して塩化水素として0.9〜1.3当量となるように加えて水酸基の保護基の脱離処理をすることを特徴とする、式(IV)
X’(Y)n (IV)
〔式中、X’は式(V)
Figure 0005503654
(式中Rは前記定義と同じ)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロック、Y及びnは前記定義と同じ〕で表される変性ポリシロキサン化合物の製造方法に関し、好ましくは、分子量分布が1.05〜1.5である変性ポリシロキサン化合物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、式(I)で表される変性ポリシロキサン化合物が、アニオン重合開始剤の存在下、式(VII)
Figure 0005503654
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)で表される化合物を単独重合、又は式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物を共重合させ、次いで環状シロキサン化合物を加えて共重合させて得たものであることを特徴とする変性ポリシロキサン化合物の製造方法に関する。
(変性ポリシロキサン化合物)
本発明において使用する変性ポリシロキサン化合物は、以下の式(I)で表される。
X(Y)n (I)
[式中、Xは式(II)
Figure 0005503654
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロック、Yは式(III)
Figure 0005503654
(式中、R及びRは、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。式中、R及びRは互いに同一又は異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロックであり、nは1又は2である。]
上記変性ポリシロキサン化合物は、XとYとの重量比が1/99≦X/Y≦90/10、数平均分子量が、1,000〜100,000である。
Xは、一種又は二種以上のp−アルケニルフェノール誘導体に由来する繰り返し単位を有する重合体ブロック、又は、p−アルケニルフェノール誘導体に由来する繰り返し単位と一種又は二種以上の共役ジエン及び/又は一種又は二種以上のビニル化合物の繰り返し単位からなるランダム共重合体又はブロック共重合体からなるブロックであり、また、下記式(VI)で示されるものも含まれる。
Figure 0005503654
(式中、R、Rは前出と同じ意味を表し、a及びbは重合度に応じた任意の自然数である。)
本発明の上記の式(I)中のYは、前記式(III)で表されるオルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロックである。
式(I)で表される化合物は、X−Y又はY−X−Yで表される。
(変性ポリシロキサン化合物の製法)
本発明のX(Y)nで表される変性ポリシロキサン化合物は、その製法に特に制限はなく、公知の方法を採用することができるが、例えば、以下の方法で製造することができる(特許3471010号公報参照)。
アニオン重合開始剤の存在下、式(VII)
Figure 0005503654
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)で表される化合物を単独重合、又はそれと共重合可能な化合物を共重合させ、次いで環状シロキサン化合物を加えて共重合させる。
1.X部分の重合法
式(VII)で表される化合物、又はそれと共重合可能な化合物とを、真空下又は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、アルカリ金属及び/又は有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、−100℃〜150℃の温度でアニオン重合を行う。当該方法により、分子量が制御され、かつ分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
本発明に用いる前記式(VII)で示される化合物としては、例えば、p−n−ブトキシスチレン、p−sec−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシ−α−メチルスチレン等が例示され、特にp−tert−ブトキシスチレン及びp−tert−ブトキシ−α−メチルスチレンが好ましい。
本発明に用いる前記式(VII)と共重合可能な化合物は、好ましくは、共役ジエン又はビニル化合物であり、共役ジエン又はビニル化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン類;スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;アクリルニトリル等が挙げられ、それらは一種又は二種以上の混合物として使用される。
アニオン重合開始剤のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり、また有機アルカリ金属化合物として、前記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等が使用される。有機アルカリ金属化合物の具体例として、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、ブタジエニルジリチウム、ブタジエニルジナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムフルオレン、ナトリウムビフェニル、ナトリウムナフタレン、ナトリウムトリフェニル、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン等が挙げられ、これらは一種又は二種以上の混合物として使用される。
有機溶媒として、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の通常アニオン重合において使用される有機溶媒が一種又は二種以上の混合溶媒として使用される。
前記アニオン重合によって得られる共重合体の形態は、前記式(IV)で示される化合物と前記モノマーとの混合物を反応系に加えて重合することによりランダム共重合体が、どちらか一方の一部を予め重合しておき、その後両者の混合物を加えて重合を継続することにより部分ブロック共重合体を得、また前記式(IV)で示される化合物と前記モノマーとを反応系に逐次添加して重合を行うことにより完全ブロック共重合体が合成される。
2.Y部分の製法
前記X部分の重合反応後、反応系に環状シロキサン化合物を加え、前記例示したと同様の条件下においてアニオン重合反応を継続する。
最終的に、前記式(VII)で示される化合物単独又はそれと共重合可能な化合物とからなる連鎖と、ポリシロキサン連鎖とからなるブロック共重合体(以下、前駆体と記す)が製造される。
ここで用いられる前記環状シロキサン化合物としては、下記式(VIII)で示される化合物である。
Figure 0005503654
(ここに、R、Rは、それぞれ炭素数1〜20の直鎖又は分枝のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基であり、cは3〜7の正整数である。又、R、Rは互いに同一又は異なっていてもよい。)
前記式(VIII)で示される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等であり、これらは一種又は二種以上の混合物として使用することができる。
この逐次的に行なれるアニオン重合反応において、反応温度、反応溶媒等の重合条件は、設定した範囲内で適宜変更して行うことができる。
また、本発明の変性ポリシロキサン化合物は、前記した方法以外の方法、例えば、前記(VII)で表される化合物の単独重合後、又は、(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物との共重合反応後、反応系に前記重合体の成長末端と反応し得る官能基を有するオルガノシロキサン化合物を加え、前記例示したと同様の条件下においてカップリング反応を行うことにより、前記式(VII)で示される化合物の連鎖、又は、(VII)で示される化合物と共重合可能な化合物との連鎖と、ポリシロキサン連鎖とからなる共重合体が製造される。
ここで用いられるオルガノシロキサン化合物としては、前記重合体の成長末端とカップリング反応可能な官能基を有するものであれば特に構造に制限はなく、具体例を挙げると下記式(IX)や(X)で示される化合物等が用いられる。
Figure 0005503654
(式中、R、R10は、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、X、Xは、ハロゲン原子、エポキシ基、カルボニル基、クロロカルボニル基、又は、ハロゲン原子、エポキシ基、カルボニル基、クロロカルボニル基等を含有する炭素数1〜20の炭化水素基を表し、但し、dは1以上の整数を表す。)
Figure 0005503654
(式中、R,R10,X及びdは前記と同じ意味を表し、R11は、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)
前記式(IX)や(X)で示される化合物の具体例としては、例えば、市販のα,ω−ビス(クロロメチル)ポリジメチルシロキサン、1−(3−クロロプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジクロロポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
この逐次的に行われる重合反応及びカップリング反応において、反応温度、反応溶媒等の条件は、設定した範囲内で適宜変更して行うことができる。
(水酸基の保護基の脱離処理)
上記式(I)で表される変性ポリシロキサン化合物から式(II)の繰り返し単位に存在する水酸基の保護基を脱離させ、p−アルケニルフェノール骨格を生成せしめる反応は、非水系溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;四塩化炭素等の塩素系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸類の溶媒存在下、塩化水素を含有する非水系溶液を加えることにより行うことができ、分子量、構造が制御され、かつ分子量分布の狭いフェノール骨格を導入した変性ポリシロキサン化合物が製造される。
(I)で表される変性ポリシロキサン化合物の、脱保護処理を行う場合、前記方法により製造した重合反応粗液をそのまま用いても良い。
塩化水素を含有する非水系溶液は、塩化水素ガスを脱水溶媒に吹き込み、溶解させる事により作製することができる。あるいは市販品を購入しても良い。溶解させた場合、中和滴定により、その濃度を規定することができる。
塩化水素の使用量は、式(II)で表される繰り返し単位1当量に対して塩化水素として0.9〜1.3当量、好ましくは、0.95〜1.1当量となるように加える。反応温度は、0〜100℃、好ましくは室温〜70℃である。
反応時の有機溶媒としては、上記の1種単独又は2種以上の混合溶媒を使用することができるが、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類である。
また、塩化水素を含有する溶液の溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;四塩化炭素等の塩素系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸類の一種単独又は二種以上の混合溶媒を使用することができる。好ましくはテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類である。
上記製法により脱保護された変性ポリシロキサン化合物は、数平均分子量で2,000〜20,000であり、さらに好ましくは4,000〜12,000である。また、分子量分布は1.05〜1.5、好ましくは1.1〜1.3である。
アルカリ現像液によるパターン形成プロセスを含む用途(例えばフォトレジストなど)においては、分子量が小さすぎる(分子量<4,000)とパターンの保持が十分ではなく、分子量が大きすぎる(分子量>20,000)とアルカリ現像液に対する溶解速度が遅くなり、解像性が悪くなってしまう。また、数平均分子量が10,000以上では、溶液とした場合にチキソトロピー性が発現するため、塗料や接着剤の用途に好適である。
脱保護された変性ポリシロキサン化合物の組成は、p−ヒドロキシスチレン、およびジメチルシロキサンのそれぞれの特性が損なわれない限り、限定されるものではないが、p−ヒドロキシスチレン部分の耐熱性、架橋反応部位としての水酸基量、アルカリ溶解性などと、ジメチルシロキサン部分の耐熱性、耐候性、難燃性、誘電特性、電気絶縁性、撥水性、離型性などとのバランスを考慮し、共重合体として特長ある性能が発現する組成比としては、p−ヒドロキシスチレン/ジメチルシロキサン(各ユニットのモル%の比率)で10/90から90/10であり、好ましくは30/70から70/30である。
本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、下記実施例により何ら制限を受けるものではない。
なお、以下の例中において、「PTBST」は、p−tertブトキシスチレンを意味する。
[実施例1]
駆体ポリマー(PTBST−ジメチルシロキサン、数平均分子量(Mn)=6200、分子量分布=1.14、組成比:PTBST/ジメチルシロキサン=50/50モル%)の35重量%濃度のTHF溶液20gに、4M塩化水素−ジオキサン溶液8.1gを添加した。塩化水素の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し1.1当量に相当する。この混合液を50℃に加温し、1時間毎にサンプリングした。脱ブチル化の反応進行確認はIRスペクトル測定で行い、反応終点はPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークの消失で判定した。
結果、反応開始後6時間で899cm−1のピークは消失したため、反応が終了したことを確認した。
[比較例1]
4M塩化水素−ジオキサン溶液の添加量を3.8gとする以外は、実施例1と同様に行った。この塩化水素の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し0.5当量に相当する。
結果、反応開始後48時間でもPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークは消失していないため、0.5当量では反応が終了しないことを確認した。
[比較例2]
前駆体ポリマーの35重量%濃度のTHF溶液10gに、4M塩化水素−ジオキサン溶液の添加量を7.3gとする以外は、実施例1と同様に行った。この塩化水素の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し2当量に相当する。
結果、反応開始後2時間でPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークは消失していることから、脱ブチル化反応は終了することを確認したが、GPC溶出曲線の形状が劣化しており、ポリマーが分解してしまうことが明らかとなった。
[比較例3]
前駆体ポリマーの35重量%濃度のTHF溶液40gに、硫酸の添加量を6.0gとする以外は、実施例1と同様に行った。この硫酸の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し1.1当量に相当する。
結果、硫酸を使用すると反応開始後すぐに褐色になった。また1時間でPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークは消失していることから、脱ブチル化反応は終了することを確認したが、GPC溶出曲線の形状が劣化しており、ポリマーが分解してしまうことが明らかとなった。
[実施例2]
前駆体ポリマー(PTBST−ジメチルシロキサン、数平均分子量(Mn)=6200、分子量分布=1.14、組成比:PTBST/ジメチルシロキサン=50/50モル%)の35重量%濃度のジオキサン溶液10gに、4M塩化水素−ジオキサン溶液4.0gを添加した。塩化水素の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し1.1当量に相当する。この混合液をそれぞれ室温、40℃、50℃、60℃、70℃で反応させ、1時間毎にサンプリングした。脱ブチル化の反応進行確認はIRスペクトル測定で行い、反応終点はPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークの消失で判定した。
結果、反応開始後、室温では48時間、40℃では6時間、50℃では3時間、60℃では2時間、70℃では2時間で899cm−1のピークの消失していることから、ジオキサン溶液に溶媒置換して、さらに温度を変えても脱ブチル化反応は終了することを確認した。
[比較例4]
4M塩化水素−ジオキサン溶液の添加量を7.3gとする以外は、実施例2と同様に行った。この塩化水素の添加量は前駆体ポリマー中のPTBSTに対し2当量に相当する。
結果、反応開始後、室温では24時間、50℃では1時間でPTBST芳香環C−H面外変角振動に由来する899cm−1のピークの消失していることから、脱ブチル化反応は終了することを確認したが、GPC溶出曲線が形状劣化しており、ポリマーが分解してしまうことが明らかとなった。
本発明の方法によれば、分解や縮合により、分子量が変化したり、着色などを起こさないで、分子量、構造が制御され、分子量分布の狭いフェノール骨格を導入した変性ポリシロキサン化合物を合成することができる。
従って、該変性ポリシロキサン化合物は、超LSIの製造に必要なサブミクロンの解像能力を有するレジスト材料として、また、種々の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の改質剤として、さらには分離膜や生体適合性材料として広範な分野での利用が期待される。

Claims (3)

  1. 式(I)
    X(Y)n (I)
    [式中、Xは式(II)
    Figure 0005503654
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロック、Yは式(III)
    Figure 0005503654
    (式中、R及びRは、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。式中、R及びRは互いに同一又は異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロックであり、nは1又は2である。]で表され、XとYとの重量比が1/99≦X/Y≦90/10、数平均分子量が、1,000〜100,000である変性ポリシロキサン化合物を、非水系溶媒の存在下、塩化水素を含有する非水溶液を式(II)で表される繰り返し単位1当量に対して塩化水素として0.9〜1.3当量となるように加えて水酸基の保護基の脱離処理をすることを特徴とする、式(IV)
    X’(Y)n (IV)
    〔式中、X’は式(V)
    Figure 0005503654
    (式中Rは前記定義と同じ)で表される繰り返し単位を有する重合体ブロック、Y及びnは前記定義と同じ〕で表される変性ポリシロキサン化合物の製造方法。
  2. 分子量分布が1.05〜1.5である請求項1記載の式(IV)で表される変性ポリシロキサン化合物の製造方法。
  3. 式(I)で表される変性ポリシロキサン化合物が、アニオン重合開始剤の存在下、式(VII)
    Figure 0005503654
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)で表される化合物を単独重合、又は式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物を共重合させ、次いで環状シロキサン化合物を加えて共重合させて得たものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の式(IV)で表される変性ポリシロキサン化合物の製造方法。
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