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JP5503316B2 - 微細凹凸パターン形成用シート - Google Patents

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JP5503316B2
JP5503316B2 JP2010023410A JP2010023410A JP5503316B2 JP 5503316 B2 JP5503316 B2 JP 5503316B2 JP 2010023410 A JP2010023410 A JP 2010023410A JP 2010023410 A JP2010023410 A JP 2010023410A JP 5503316 B2 JP5503316 B2 JP 5503316B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Description

本発明は、インプリント法によりモールドを押し付けて微細凹凸パターン形成用シートにパターンを転写し、当該シートからモールドを除去した状態で電磁線を照射することにより硬化させて微細凹凸パターンを形成するための、半硬化状態の微細凹凸パターン形成用シートに関する。
また本発明は、当該シートを形成するために用いる微細凹凸パターン形成用組成物、及び、その組成物を用いた微細凹凸パターン形成方法に関する。
近年、微細凹凸パターンの形成方法として、インプリント法と呼ばれる微細なパターンを忠実に転写可能な技術が提案されている(非特許文献1参照)。インプリント法はナノメートルオーダーのものをナノインプリント法、またマイクロメートルオーダーのものをインプリント法と呼ぶことが多いが、ここでは、両者併せて全てをインプリント法と呼ぶことにする。
インプリント法は、最終的に転写すべきパターンのネガポジ反転像に対応するパターンが形成されたモールドと呼ばれる金属や石英基板、シリコン基板上などに形成される型を、樹脂に型押しし、その状態で樹脂を硬化させることで、パターン転写を行うものである。熱により樹脂を硬化させる熱インプリント法(非特許文献1、非特許文献2参照)、紫外線により樹脂を硬化させる光インプリント法(特許文献1参照)、などが提案されている。
熱インプリント法としては、例えば、ポリメタクリル酸に代表される(メタ)アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂を樹脂材料とし、樹脂表面に樹脂のガラス転移点温度以上に加熱した微細パターンを有する型を押し当てて、溶融した樹脂表面に型の微細パターンを転写する方法がある(特許文献2参照)。
光インプリント法としては、例えば、基板上に室温で液状の光硬化性レジストを塗布した後、光透過性のモールドをレジストに押し当て、光を照射させることで基板上のレジストを硬化させパターンを形成する方法がある。光硬化性レジストを硬化させた際に形成される微細凹凸転写パターンは、凹部に光硬化性レジストのベース層が形成される。基板上に微細凹凸パターンを転写するには、このベース層を通常ドライエッチングやウエットエッチングなどにより除去する(特許文献3参照)。
これらの方法はいずれも、基材上に半硬化状態のハードコート前駆層を有するシート(箔)が用いられる。しかし、これらシートにも、半硬化状態が不安定なために半硬化状態で長期間保存できない、長尺のシートをロール等に回巻する際には、シート同士の接着(ブロッキング)を回避するために離型性樹脂フィルム等を間に挟みこむことが必要等の問題もあった。
一方、ハードコート膜では、UV硬化樹脂としてアクリレート系樹脂等を用いることが知られている。たとえば、特許文献4には、(メタ)アクリル酸エステル混合物(A)、光重合開始剤(B)、エチレン性不飽和基含有ウレタンオリゴマー(C)、コロイダルシリカゾル(D)及び希釈剤(E)を含有するハードコートフィルムが記載されており、得られたフィルムは、鉛筆硬度、カール、基材への密着性が良好であることが記載されている。
また、特許文献5には、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子、(B)分子内にウレタン結合及び2以上の重合性不飽和基を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する硬化性組成物を用いることが記載されており、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた被膜(層)を形成し得ることが記載されている。
さらに、特許文献6には、有機ケイ素化合物の加水分解物と金属酸化物微粒子の混合物、(B)多官能アクリレート又はメタクリレート、(C)光重合開始剤を配合してなることを特徴とする紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物が記載されており、帯電防止剤の表面へのブリード、透明性の低下、耐湿性の劣化等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、且つハードコートとしての機能(耐擦傷性、表面硬度、耐湿性、耐溶剤・薬品性等)を満足することが記載されている。
しかしながら、これらのアクリレート系樹脂等を用いるハードコート膜は、耐摩耗性に関しては無機膜よりも劣るため、金属酸化物ゾルを添加することにより改善を図っており、そのため、硬度は向上するが、透明性、可撓性が低下するという問題があった。
この問題に対して本発明者らは、ポリシロキサン系の組成物および紫外線硬化性化合物を含有する薄膜は、表面が無機化され非常に高い硬度を有するため耐擦傷性に優れ、かつ、被着体との密着性にも優れることを見い出している(特許文献7)。
特開2000−194142号公報 米国特許第5772905号公報 特開2004−304097号公報 特開2006−150949号公報 特開2005−272702号公報 特開2001−214092号公報 国際公開2008/069217号公報
S. Y. Chou et al. Appl. Phys. Lett., vol. 67, 1995年、P3314 「ナノインプリント技術徹底解説」、Electric Journal、2004年11月22日、PP20-38
本発明の課題は、インプリント法において使用する微細凹凸パターン形成用シートであって、使用前には保存安定性に優れ、かつ、耐擦傷性が高いハードコート層を形成するための微細凹凸パターン形成用シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題に取り組み鋭意研究した結果、自らの発明したポリシロキサン系の組成物、紫外線硬化性化合物及び、光感応性化合物を含有する有機無機複合体(特許文献6)を、インプリント法による微細凹凸パターン形成用シートに適用すると、使用前には保存安定性に優れるとともに、ある程度の柔軟性を有するための微細凹凸パターンを形成でき、硬化後には、微細凹凸パターンを維持したまま表面が無機化され非常に高い硬度を有するため、耐擦傷性に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)
基材上に、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、式(II)
SiX4−n・・・(II)
(式中、nは1又は2を表しnが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、及びそれらの加水分解縮合物からなり、
{〔式(I)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=30〜100モル%、かつ、
{〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=0〜70モル%である有機ケイ素化合物
b)電磁線硬化性化合物又は一部が硬化した電磁線硬化性化合物、及び
c)Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物
を含有する半硬化物からなる層を有することを特徴とするインプリント法による微細凹凸パターン形成用シート、
(2)
{〔式(I)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=30〜95モル%、かつ、
{〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=5〜70モル%であることを特徴とする、上記(1)記載の微細凹凸パターン形成用シート、
(3)電磁線硬化性化合物又は一部が硬化した電磁線硬化性化合物が、組成物の固形分の全質量に対して80質量%以下であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の微細凹凸パターン形成用シート、及び、
(4)金属化合物が光感応性化合物であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の微細凹凸パターン形成用シートに関する。
また、本発明は、
(5)
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、nは1又は2を表しnが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、
式(II)
SiX4−n・・・(II)
(式中、nは1又は2を表しnが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、及び、存在するならば、それらの加水分解縮合物からなり、
{〔式(I)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/ {〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=30〜100モル%、かつ、
{〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=0〜70モル%
である有機ケイ素化合物
b)電磁線硬化性化合物、及び
c)Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物、
を含む、
インプリント法による微細凹凸パターン形成用組成物、
(6)
{〔式(I)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=30〜95モル%、かつ、
{〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=5〜70モル%であることを特徴とする、上記(5)に記載のインプリント法による微細凹凸パターン形成用組成物、
(7)電磁線硬化性化合物が組成物の固形分の全質量に対して80質量%以下であることを特徴とする、上記(5)又は(6)に記載の微細凹凸パターン形成用組成物、及び、
(8)金属化合物が光感応性化合物であることを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の微細凹凸パターン形成用組成物に関する。
さらに、本発明は
(9)(A)基材上に微細凹凸パターン形成用組成物を塗工する工程、
(B)熱及び/又は電磁線によって、塗工面を半硬化させて微細凹凸パターン形成用シートとする工程、
(C)当該微細凹凸パターン形成用シートにインプリント法によりモールドを押し付けて微細凹凸パターンを転写する工程、
(D)転写した当該微細凹凸パターン形成用シートからモールドを除去した状態で電磁線を照射することにより硬化させる工程、
を有することを特徴とする、微細凹凸パターン形成方法、及び、
(10)微細凹凸パターン形成用組成物が、上記(5)〜(8)のいずれかに記載の微細凹凸パターン形成用組成物であることを特徴とする、上記(9)に記載の微細凹凸パターン形成方法に関する。
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物をインプリント法による微細凹凸パターンの作成のために使用すると、使用前には保存安定性に優れるとともに、ある程度の柔軟性を有するための微細凹凸パターンを形成でき、硬化後には、微細凹凸パターンを維持したまま表面が無機化され非常に高い硬度を有するため、耐擦傷性に優れている。
また、本発明の微細凹凸パターン形成用組成物を基材上に塗工して半硬化させることにより、モールドを押し付けた後、モールドを除去して電磁線を照射することができるため、通常の光インプリントで行われているような、モールドを押し付けた状態で電磁波を照射するときに必要な電磁波を透過するような基材もしくはモールドを用いなくてもよくなり、安価なモールド材料が使用でき、基材もどのような材質でもよくなり、製造コストの大幅な削減が可能となる。
Siウェハモールドのマイクロスコープ観察像(L/S=5μm/5μm) 実施例1により作製した微細パターンのマイクロスコープ観察像 実施例4により作製した微細パターンの走査型電子顕微鏡観察像
本明細書において「電磁線」とは、紫外線、X線、放射線、イオン化放射線、電離性放射線(α、β、γ線、中性子線、電子線)を意味する。
また、「半硬化」とは、タック性がなく、成形時には型に追従してクラックが発生しない程度に硬化した状態を意味する。さらに、「硬化」とは、スチールウールによる擦過で傷が付き難い程度に硬化している状態を意味する。
1.微細凹凸パターン形成用組成物
本発明における微細凹凸パターン形成用組成物は、基材上に積層して、微細凹凸パターンを作成するためのハードコート層を形成する組成物であり、以下の成分を含有する。
a)有機ケイ素化合物
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物における有機ケイ素化合物は、次の成分を含有する。
a−1) 式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物
a−2) 式(II)
SiX4−n・・・(II)
(式中、nは1又は2を表しnが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物
a−3) 存在するならば、それらの加水分解縮合物
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物における有機ケイ素化合物は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物、及び、存在するならば、それらの加水分解縮合物の混合物であるが、(II)で表される化合物及びそれを単位として含有する加水分解縮合物は必ずしも存在しなくてもよい。加水分解縮合物とは、化合物同士が加水分解縮合してシロキサン結合を形成した2量体等であって、式(I)又は式(II)の化合物のみが加水分解縮合した物であってもよく、式(I)の化合物と式(II)の化合物とが加水分解縮合した物であってもよく、これらの2種以上が混在していてもよい。
{〔式(I)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/ {〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは30〜95モル%であり、
{〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは0〜70モル%であり、より好ましくは5〜70モル%である。
また、加水分解縮合物の平均粒子径は2nm〜100nmが好ましく、5nm〜30nmであることがより好ましい。平均粒子径が100nmより大きいと膜が白濁し、溶液が不安定となりゲル化し易くなる。平均粒子径が2nmより小さいと塗膜性に悪影響が出る場合がある。
式(I)中、nは1又は2を表し、nは1であることが好ましい。nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。つまり、nが1のとき、Rはビニル基含有炭化水素基であり、nが2のとき、Rのうち1又は2は、前記のビニル基含有炭化水素基であり、前記以外の基は有機基である。
ビニル基含有炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等のアルケニル基(好ましくは、C2−8アルケニル基)、2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基(好ましくは、C3−8シクロアルケニル基)等が挙げられる。
有機基としては、上記ビニル基含有炭化水素基を除く、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいビニル化合物のポリマーからなる基等を挙げることができる。
炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。これらのうち、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、さらに、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のエポキシアルキル基がより好ましい。
また、有機基は、ケイ素原子を含んでいてもよく、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアクリルシラン等のポリマーを含む基であってもよい。
ここで、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、tert−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられ、これらのうち炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられ、これらのうち、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。
アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等が挙げられ、これらのうち炭素数2〜6のアルキニル基が好ましい。
アリール基は、単環又は多環のアリール基を意味し、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含する。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、C6−10アリール基である。
上記「置換基を有していてもよい」における「置換基」としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、エポキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシル、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、1−メチルブトキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ等が挙げられ、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。
アルケニルオキシ基は、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基と酸素原子が結合した基であり、例えば、ビニルオキシ、2−プロペニルオキシ、3−ブテニルオキシ、4−ペンテニルオキシ等が挙げられ、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基が好ましい。
アルケニルカルボニルオキシ基としては、アルケニル基がカルボニルオキシ基と結合した基であり、アクリロキシ、メタクリロキシ、アリルカルボニルオキシ、3−ブテニルカルボニルオキシ等が挙げられ、炭素数2〜10のアルケニルカルボニルオキシ基が好ましい。
置換基を有していてもよいビニル化合物のポリマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;
(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;
アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物;を単独又は共重合したビニル系ポリマーを挙げることができる。
式(II)中、nは1又は2を表し、nは1であることがより好ましい。nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合しているビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Rの有機基としては、Rの有機基と同様のものを挙げることができる。
式(I)及び式(II)中、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアシルオキシ基としては、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ等のアシルオキシ基が挙げられる。
具体的に、式(I)で表される化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、2−シクロプロぺニルトリメトキシシラン、2−シクロペンテニルトリメトキシシラン、2−シクロヘキセニルトリメトキシシラン、ジビニルジアミノシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジアセトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ3-ブテニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、アリルメチルトリメトキシシラン、アリルエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(II)で表される化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。
これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機ケイ素化合物を組み合わせて使用する場合、例えば、ビニルトリメトキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせ、ビニルトリメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせを好ましく例示できる。
これらの有機ケイ素化合物は縮合物であってもよい。縮合物とは、具体的には例えば、上記の有機ケイ素化合物が加水分解縮合してシロキサン結合を形成した2量体等が挙げられる。
また、式(I)で表される有機ケイ素化合物のうち、Rの炭素数が3以下であるものが、30モル%以上、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%である。また、式(I)で表される有機ケイ素化合物のうち、Rの炭素数が4以上であるものが、70モル%以下、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%である。
b)電磁線硬化性化合物
本発明の電磁線硬化性化合物とは、活性エネルギー線の照射により重合する化合物である。特に、光重合開始剤の存在下で紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂のことであり、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ樹脂、アクリレート系化合物を除くビニル化合物などがある。官能基の数は、1個以上であれば特に限定はない。
アクリレート系化合物としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
分子量は、他のハードコート層組成物と相溶性を有する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。または、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、
荒川化学工業(株)製 商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92;
サンノプコ(株)製 商品名:フォトマー6008、6210;
新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H;
東亜合成(株)製 商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960;
共栄社化学(株)製 商品名:AH−600、AT606、UA−306H;
日本化薬(株)製 商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101;
日本合成化学工業(株)製 商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−7600B、UV−2010B、UV−7610B、UV−7630B、UV−7550B;
根上工業(株)製 商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20;
ダイセルユーシービー(株)製 商品名:Ebecryl 6700、204、205、
220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301;
ダイセル・サイテック(株)製 商品名:ACA200M、ACAZ230AA、ACAZ250、ACAZ300、ACAZ320;
等を挙げることができる。
又、アクリレート系化合物をのぞくビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステルなどがあり、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどを挙げることができる。
光重合開始剤としては、(i)光照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(ii)光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等を挙げることができる。
光照射によりカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、下記式(III)に示す
構造を有するオニウム塩を好適例として挙げることができる。
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
[R1aR2bR3cR4dW]+e[MLe+f]−e (III)
(式(III)中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
上記式(III)中における陰イオン(MLe+f)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
また、式〔MLf(OH)〕に示す陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオン等の他の陰イオンを有するオニウム塩であってもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
本発明において用いられる光重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレート系紫外線硬化性化合物の固形分に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。
なお、本発明においては、必要に応じて増感剤を添加することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用できる。
紫外線硬化性化合物は、微細凹凸パターン形成用組成物の固形分の全質量に対して、80質量%以下であることが好ましい。
c)Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物(シラノール縮合触媒)
シラノール縮合触媒として使用される、Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物は、有機ケイ素化合物中の加水分解性基を加水分解し、シラノールを縮合してシロキサン結合とするものであるが、有機金属化合物、有機酸金属塩、金属キレート化合物等が挙げられる。
有機金属としては、例えば、テトラメチルチタン、テトラプロピルジルコニウム等のアルキル金属化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコラート等が挙げられる。
有機酸金属塩としては例えば、カルボン酸金属塩、スルフォン酸金属塩、フェノール金属塩等が挙げられる。
金属キレート化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、α−ヒドロキシエステル化合物等との金属キレート化合物が挙げられる。
これ等のうち、特に、350nm以下の波長の光の作用によって表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物が好ましい。
光感応性化合物とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、表面から深さ方向2nmにおける表面部の炭素含有量が、炭素量が減少していない部分(膜の場合、例えば、膜裏面から深さ方向10nmにおける裏面部)の炭素含有量の80%以下、より好ましくは2〜60%、さらに好ましくは2〜40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する層を形成することができる化合物をいう。具体的には、例えば、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。
ここで、350nm以下の波長の光とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いてなる光、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いてなる光、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いてなる光を意味する。
本発明に使用される光感応性化合物としては、Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる金属のキレート化合物、有機酸塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。これから誘導される化合物としては、例えば、金属キレート化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものであってもよい。
金属キレート化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、及びα−ヒドロキシエステル化合物が好ましく、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸等が配位した化合物が挙げられる。
金属有機酸塩化合物としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記金属キレート化合物及び金属有機酸塩化合物を除くものであり、例えば、水酸化物や、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等の金属アルコラート等を挙げることができる。
金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
かかる金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属キレート化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
本発明において、シラノール縮合触媒を2種以上使用する場合、上記の光感応性を有する化合物を含んでいてもよいし、光感応性を有する化合物を含んでいなくてもよい。また、光感応性を有する化合物と光感応性を有しない化合物を併用することもできる。
2.微細凹凸パターン形成用組成物の調製
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物の調製方法としては、必要に応じて水及び溶媒を加え、有機ケイ素化合物、電磁線硬化性化合物、及びTi、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物を混合する。
具体的には公知の条件・方法によることができ、例えばWO2008/69217に記載の方法等で調製することができる。
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
2種以上組み合わせる場合、例えばブタノール/酢酸エチル/エタノールの組み合わせが好ましく挙げられる。
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物の固形分(有機ケイ素成分、紫外線硬化性化合物、Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物及び光重合開始剤等)としては、1〜75質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解縮合物、Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物、紫外線硬化性化合物及び光重合開始剤等の固形分の全質量に対して、紫外線硬化性化合物は特に制限されないが、好ましくは80%以下、より好ましくは10〜70%である。
また、Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物として光感応性化合物を含む場合、光感応性化合物の含有量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、光感応性化合物中の金属原子が0.01〜0.5モル当量、好ましくは0.05〜0.2モル当量であることが好ましい。
また、当該組成物には、得られるハードコート層の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを添加することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
3.微細凹凸パターン形成用シート
本発明の微細凹凸パターン形成用シートは、微細凹凸パターンを作成するためのハードコート層を形成する前のシートであって、基材上に形成された前記微細凹凸パターン形成用組成物の半硬化物を含有するハードコート前駆層である。
前記微細凹凸パターン形成用組成物の半硬化物とは、加熱による処理をした場合は、当該組成物中の有機ケイ素化合物の少なくとも一部が加水分解縮合した化合物を含むことを意味する。また、電磁線を使用した場合には、当該組成物中の有機ケイ素化合物の少なくとも一部が加水分解縮合した化合物及び電磁線硬化性化合物が一部硬化している化合物を含むことを意味する。
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物の半硬化物は、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、式(II)
SiX4−n・・・(II)
(式中、nは1又は2を表しnが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、及びそれらの加水分解縮合物からなる有機ケイ素化合物、
b)電磁線硬化性化合物又は一部が硬化した電磁線硬化性化合物、及び
c)Ti、Sn、Al及びZrから選ばれる1種類以上の金属化合物
を含有する。
ここで、各置換基の具体例は、前記微細凹凸パターン形成用組成物における式(I)及び(II)で表される化合物の具体例と同様である。
半硬化物中の有機ケイ素化合物は、式(I)と式(II)で表される化合物とそれらの加水分解縮合物との混合物であるが、通常、大部分は加水分解縮合物である。
また、有機ケイ素化合物の組成は以下のとおりである。
{〔式(I)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは30〜95モル%であり、
{〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは0〜70モル%であり、より好ましくは5〜70モル%である。
微細凹凸パターン形成用シートとしては、プレス成形用シート、真空成形用シート、圧空成形用シート、マット成形用シート、エンボス成形用シート、インモールドラミネーション用シートなどが挙げられる。これらのシートでは、基材の一方の面に前記ハードコート層形成用組成物の半硬化物からなる、ハードコート前駆層が積層されている。また、必要に応じて、ハードコート層とは反対面に絵柄層や金属蒸着層等の装飾層が積層されていてもよく、基材とハードコート層との間にプライマー層を設けても良い。
基材としては、耐熱性、機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、高衝撃ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、ポリイミドなどのイミド系樹脂などがある。好ましくは、成形性、耐熱性、機械的強度の点で、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネートである。該基材の厚さは、通常、10〜5000μm程度が適用でき、100〜2000μmが好ましい。
該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。該基材は、塗工に先立って塗工面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗工処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
基材上のハードコート前駆層の厚さは、その用途によっても異なるが、0.5〜20μm、特に1〜10μm程度であることが好ましい。
また、各層に、各層の物性と機能を損じない限りにおいて、必要に応じて各種の添加剤、例えば、帯電防止剤、撥水剤、撥油剤、安定剤、導電剤、防曇剤等を添加することができる。
4.微細凹凸パターン形成方法
インプリント法による微細凹凸パターンの形成方法を具体的に説明すると、以下の工程を有する。
第1工程:基材上に微細凹凸パターン形成用組成物を塗工する工程
第2工程:熱及び/又は電磁線によって、塗工面を半硬化させて微細凹凸パターン形成用シートとする工程
第3工程:当該微細凹凸パターン形成用シートにインプリント法によりモールドを押し付けて微細凹凸パターンを転写する工程
第4工程:転写した当該微細凹凸パターン形成用シートからモールドを除去した状態で電磁線を照射することにより硬化させる工程
(第1工程)
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物を、基材の上に塗工して行いうるが、各種の公知の積層方法が使用できる。例えばマイクログラビア塗工、コンマ塗工、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、スプレー塗工などの方法により各層を形成できる。
(第2工程)
基材への微細凹凸パターン形成用シートの形成は、基材上に微細凹凸パターン形成用組成物を含有する液を塗工等した後に、加熱及び/または電磁線を照射することにより半硬化させて行う。この工程によりハードコート層形成用組成物中の有機ケイ素化合物の縮合物が架橋し、ハードコート層が半硬化する。また希釈溶媒等として有機溶剤を用いた時は、加熱により有機溶剤が除去される。加熱は通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃である。加熱時間は通常10秒〜30分間、好ましくは30秒〜5分である。
(第3工程)
基材上に積層された微細凹凸パターン形成用組成物の半硬化物であるシートに、特定パターンからなる凹凸構造が形成されたモールドを押し付けて、微細凹凸パターン形成用シートを変形させる。たとえば、油圧式プレス機により特定のラインが形成されたSiウェハモールドを用いて行う。
モールドの押し付けは、公知の手法により行うことができるが、通常、温度が20〜200℃において、30秒〜30分間行う。
(第4工程)
従来は、モールドを微細凹凸パターン形成用シートに押し付けたまま電磁線を照射していたが、本発明においては、モールドを微細凹凸パターン形成用シートが積層された基材上から取り除いた後、電磁線を照射する。
電磁線としては、紫外線、X線、放射線、イオン化放射線、電離性放射線(α、β、γ線、中性子線、電子線)を用いることができ、350nm以下の波長を含む光が好ましい。
活性エネルギー線の照射には、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光源としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることがより好ましい。
また、半硬化状態のハードコート層を十分に硬化させるために照射する光の照射光量としては、例えば、0.1〜100J/cm程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、1〜10J/cm程度であることが好ましく、1〜5J/cm程度であることがより好ましい。
本発明の微細凹凸パターン形成用組成物から形成されるハードコート層は、表面部の炭素含有量が、裏面部の炭素含有量に比して少ない構成であることが好ましく、表面から深さ方向2nmにおける表面部の炭素含有量が、裏面から深さ方向10nmにおける裏面部の炭素含有量の80%以下であることがより好ましく、2〜60%であることがさらに好ましい。ここで、表面部の炭素含有量が、裏面部の炭素含有量に比して少ないとは、表面から中心部までの総炭素量が、裏面から中心部までの総炭素量より少ないことを意味する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限られるものではない。
[実施例1]微細凹凸パターン形成用組成物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達株式会社製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)303.0gをエタノール/酢酸エチル(=50/50:重量%)の混合溶媒584.2gに溶解した後、攪拌しながらイオン交換水112.8g(10倍モル/酸化チタンのモル)をゆっくり滴下し加水分解させた。1日後に溶液をろ過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン264.8g[B−1](信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン190.2g[B−2](信越化学工業株式会社製、KBM−503)を混合させた液[C−1](ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=70/30:モル比)を使用した。
元素比(Ti/Si=1/9)となるように上記[A−1]453.1gと[C−1]455.0gを混合し、さらに、イオン交換水を91.96g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)をゆっくり滴下し、12時間攪拌した液[D−1]を作製した。
電磁線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、エタノール/酢酸エチル(=50/50:重量%)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocure1173)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、溶液[E−1]を作製した。
固形分の割合が70重量%/30重量%=[D−1]/[E−1]となるように上記[D−1]液と[E−1]液を混合させ、微細凹凸パターン形成用溶液[F−1]を作製した。
[実施例2]微細凹凸パターン形成用シートの作製
作製した[F−1]を用いて、ポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス製、ユーピロンNF−2000)に、ディップコートにて5μmの膜厚で製膜した。製膜後、100℃−5分間加熱し、微細凹凸パターン形成用シート[G−1]を作製した。
[試験例1]シート巻取り性の評価
微細凹凸パターン形成用シート[G−1]の塗膜におけるタックについて指触により評価を行ったところ、跡残りもなく良好であった。また、10cm×10cmの塗膜上にポリカーボネートシート(ユーピロンNF−2000)を重ね、1kgの荷重をかけ24時間静置した後、ポリカーボネートシートを剥離し、ブロッキングの有無を評価した。その結果、剥離後の跡残りもなく、ブロッキングは発生しなかった。
[試験例2]微細パターンの作製
L/S=5μm/5μm、アスペクト比1/1のラインが形成されたSiウェハモールド(共同インターナショナル製)と、微細凹凸パターン形成用シート[G−1]を油圧式プレス機に設置した。このシートにプレス圧7MPa、27℃の条件でモールドを2分間押し付けた。その後、モールドを離し、塗膜にライン形状を転写させた。
転写した微細凹凸パターン形成用シートに高圧水銀灯(アイグラフィックス製)を用いて積算照射量2000mJ/cmの紫外線を照射し、硬化させ、微細凹凸パターンを作製した。
次に、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製VHX−900)を用い、転写物の形状の確認を行った。その結果、作製した転写物はモールドと同一の形状を保持しており、微細パターンの作製が可能であった(図1及び図2参照)。
[比較例1]微細凹凸パターン形成用組成物の合成
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン102.9g[B−1](信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン402.6g[B−2](信越化学工業株式会社製、KBM−503)を(ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=30/70:モル比)混合させた液[C−2]を使用したこと以外は、実施例1と同様に塗膜形成用溶液[F−2]を作製した。
[比較例2]微細凹凸パターン形成用シートの作製
作製した[F−2]を用いて、ポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス製、ユーピロンNF−2000)に、ディップコートにて5μmの膜厚で製膜した。製膜後、100℃−5分間加熱し、微細凹凸パターン形成用シート[G−2]を作製した。
[比較試験例1]シート巻取り性の評価
微細凹凸パターン形成用シート[G−2]の塗膜におけるタックについて指触により評価を行ったところ、べたつきがあり、指の跡が残った。また、10cm×10cmの塗膜上にポリカーボネートシート(ユーピロンNF−2000)を重ね、1kgの荷重をかけ24時間静置した後、ポリカーボネートシートを剥離し、ブロッキングの有無を評価した。その結果、シート同士は剥離したが跡が残り、巻き取りは不可能であった。
[実施例3]微細凹凸パターン形成用組成物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)119.7gをメチルイソブチルケトン230.7gに溶解させ、溶液[A−2]を作製した。有機ケイ素化合物としてビニルトリメトキシシラン[B−1] (信越化学工業製、KBM−1003)230.7gと3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン[B−2](信越化学工業製、KBM−503)165.7gを混合させた液[C−1](ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=70/30:モル比)を使用した。元素比(Ti/Si=1/9)となるように上記[A−2]350.4gと[C−1]396.4gを混合し、さらにイオン交換水を84.59g(1倍モル/有機ケイ素化合物のモル数)を添加し、12時間攪拌させた[D−2]を作製した。
[D−2]831.4gに、電磁線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマーA93.8g(根上工業製、UN−952)とウレタンアクリレートオリゴマーB70.34g(根上工業製、UN−904M)を加え混合させた。この溶液に光重合開始剤として2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、Irgacure907)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、微細凹凸パターン形成用溶液[F−2]を作製した。
[実施例4]微細凹凸パターン形成用シートの作製
作製した[F−2]を用いて、PETフィルム(東洋紡績製、コスモシャインA4300)にマイクログラビアコーターにて乾燥温度100℃、乾燥時間3分の条件で3μmの塗膜を作製し、微細凹凸パターン形成用シート[G−2]を作製した。
[試験例3]微細パターンの作製
1辺の長さが1.5μm、高さ100nmのブロックが形成された面積8mmのシリコンウェハモールドと、微細パターン形成用シート[G−2]をナノインプリント形成装置(明昌機工製、NANOIMPRINTER NM−0402)にセットした。このシートにプレス圧3kN、100℃の条件でモールドを180秒間押し付けた。その後、モールドを離し塗膜にブロックパターン形状を転写させた。
次に走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−7401F)を用い、転写物の形状の確認を行った。その結果、微細パターンの作成が可能であることを確認した(図3参照)。
[試験例4]表面硬度の評価
実施例4にて作製した微細凹凸パターン形成シート[G−2]を、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、1灯型、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量2000mJ/cmの紫外線を照射し硬化させた。この後、JIS K5600−5−4の鉛筆法に準拠して硬化した塗膜の鉛筆硬度試験を行った。この結果、鉛筆硬度は2Hであり、UV照射後の微細凹凸パターン形成シートは高硬度の表面を有していることを確認した。
[実施例5]微細凹凸パターン形成用シートの作製
作製した[F−2]を用いて、ソーダライムガラス上にバーコーターにて乾燥温度100℃、乾燥時間3分の条件で2μmの塗膜を作製し、微細凹凸パターン形成用基板[G−3]を作製した。
[試験例4]塗膜の押し込み硬さの評価
微細凹凸パターン形成用基板[G−3]に高圧水銀灯(アイグラフィックス製、ランプ出力:120W/cm)を用いて積算照射量2000mJ/cmの紫外線を照射し硬化させた。次にこの基板を超微小硬さ試験システム(フィッシャーインストルメンツ製、PICODENTER HM500)にセットし、押し込み荷重0.5mNに設定した時の硬度を測定した。この結果マルテンス硬さは324N/mmであり、十分な硬度を有していることが判った。

Claims (3)

  1. (A)ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系フィルム又はイミド系樹脂である厚さ10〜5000μmの基材上に
    a)式(I)
    SiX4−n・・・(I)
    (式中、nは1を表し、RはC2−8アルケニル基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、
    式(II)
    SiX4−n・・・(II)
    (式中、nは1をし、置換基を有していても良いC1〜10アルキル基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物、及び、存在するならば、それらの加水分解縮合物からなり、
    {〔式(I)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕}/ {〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=70〜95モル%、かつ、
    {〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I)の化合物〕+〔式(II)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(II)の化合物由来の単位〕}×100=〜30モル%
    である有機ケイ素化合物
    b)(メタ)アクリレート系化合物であって、含有量が組成物の固形分の全質量に対して80質量%以下である電磁線硬化性化合物、及び
    c)金属元素がTi、Sn、Al及びZrから選ばれ、キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる1種類以上の金属化合物
    を含有する微細凹凸パターン形成用組成物を塗工する工程、
    (B)熱及び/又は電磁線によって、塗工面を半硬化させて微細凹凸パターン形成用シートとする工程、
    (C)当該微細凹凸パターン形成用シートにインプリント法によりモールドを押し付けて微細凹凸パターンを転写する工程、
    (D)転写した当該微細凹凸パターン形成用シートからモールドを除去した状態で電磁線を照射することにより硬化させる工程(但し、電磁線照射後、加熱しない)
    を有することを特徴とする、微細凹凸パターン形成方法。
  2. 金属化合物が光感応性化合物であることを特徴とする、請求項に記載の微細凹凸パターン形成方法。
  3. 式(II)で表される化合物が、
    メチルトリクロロシラン、
    メチルトリメトキシシラン、
    メチルトリエトキシシラン、
    メチルトリブトキシシラン、
    エチルトリメトキシシラン、
    エチルトリイソプロポキシシラン、
    エチルトリブトキシシラン、
    ブチルトリメトキシシラン、
    ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、
    トリフルオロメチルトリメトキシシラン、
    3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
    γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
    3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
    メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、
    メチル−トリグリシジロキシシラン、又は、
    メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン
    であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の微細凹凸パターン形成方法。
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