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JP5594682B2 - 耐酸性を有する無鉛低融点ガラス - Google Patents

耐酸性を有する無鉛低融点ガラス Download PDF

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Description

本発明は、耐酸性を有する無鉛低融点ガラスに関する。
従来から、電子部品には、各種部材の接着や封着の目的でガラスが利用されている。また、電子部品における導体配線の結合材として、或いは、形成された導体配線部の絶縁や保護のための被覆材料としてもガラスが用いられている。これらの用途においては、ソーダ石灰系の通常のガラスと比べて、低い温度で軟化・変形する低融点ガラスが用いられている。従来、この様な用途に用いられる低融点ガラスとしては、主に鉛系ガラスが用いられてきたが、近年、鉛を含むガラスは、環境上の観点からその使用を避けられる傾向にある。
このように電子部品においては、種々の目的で無鉛低融点ガラスが使用されているが、電子部品の高性能化に伴って、低融点ガラスに対して、更に高品質化が求められている。例えば、電子部品の製造工程において、酸性を示すニッケルめっき浴やハンダめっき浴によりめっき処理されるものが多く、この場合、使用するガラスには耐酸性が要求される。
更に、電界放出型ディスプレイパネルでは、金属ゲート電極層のパターニングやプラズマディスプレイパネルの隔壁の形成において、硝酸などの酸によるケミカルエッチング法が用いられる場合がある。この場合にも、絶縁層として用いられる無鉛ガラスや、配線に使用される導体に添加される無鉛ガラスにも耐酸性が求められる。
また、配線に使用される導体をAg粉末にガラス粉末を混ぜて焼結して構成することや、Ag電極に対する被覆層としてガラスを用いることがある。これらの場合、Ag電極やAg粉末とガラスとが接触した状態で使用されることになるが、Ag+がガラスに拡散するマイグレーション現象が起こり易く、絶縁不良や黄変という問題を引き起こす可能性がある。このため、Ag+のマイグレーションを生じ難いガラスが求められている。
従来、鉛を含まない低融点ガラスとしては、化学的耐久性の観点から、Bi系ガラスが使用されることが多い。しかしながら、Bi系ガラスは、ガラスの軟化点を下げるためにBiの含有量を多くすると、耐酸性が低下するという欠点がある。
そこで、耐酸性を向上させる目的で、例えばSiO、ZrO、Al、TiOなどを添加することが試みられているが、これらの成分の添加量が多くなるとガラス軟化点が高くなり、低融点ガラスとすることができない。また、軟化点を下げる目的で、LiO、NaO、KOなどのアルカリ金属酸化物や、BaO、MgO、CaO、SrO、Bなどを添加することがあるが、アルカリ金属酸化物はAgマイグレーションを引き起こしやすく、また、BaO、MgO、CaO、SrO、Bなどは添加量が多くなると耐酸性が低下するという弊害がある。
下記特許文献1〜3には、 耐酸性を有する無鉛、無アルカリ金属酸化物のガラス組成物が記載されている。これらの内で、特許文献1及び2に記載されているガラスは、いずれも軟化点を低下させる成分としてZnOを含むものであるが、ZnOは耐酸性を低下させる作用を有するために、耐酸性を有するガラス組成物の構成成分としては不適切である。また、特許文献3に記載されているガラス組成物も、耐酸性に対して悪影響のあるB2O3を3〜20%含むものである。よって、特許文献1〜3に記載されているガラス組成物では、耐酸性と低融点を両立することは困難である。
特開2007−63105公報 特開2008−189532公報 特開2009−221027公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、耐酸性に優れ、Agのマイグレーションが生じ難い、低融点の無鉛ガラスを提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、アルカリ金属酸化物を含まない特定組成のBi系ガラスにおいて、耐酸性を付与するために有効であるが、ガラス軟化点を上げる成分と、ガラス軟化点を下げる働きをするが、耐酸性に悪影響を及ぼす成分として、特定の成分を見出し、これらの成分の比率を一定範囲に制御することによって、耐酸性と低融点という両方の特性を同時に満足し、しかもAgのマイグレーションが生じ難い、優れた性能を有する無鉛ガラスが得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の耐酸性を有する無鉛低融点ガラスを提供するものである。
1. アルカリ金属酸化物を含まない無鉛低融点ガラスであって、酸化物換算で、Biを55〜75重量%、SiOを15〜35重量%、ZrOを1〜10重量%、BaO、MgO、CaO及びSrOからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で1〜10重量%、Bを0〜2重量%、Alを0〜5重量%、TiOを0〜5重量%含有し、且つ、(SiO、ZrO、Al及びTiOの合計量)/(BaO、MgO、CaO、SrO及びBの合計量)(重量比)=2〜6である、軟化点が600℃以下の低融点ガラス。
2. 上記項1の低融点ガラス及び有機ビヒクルを含有することを特徴とする無鉛ガラスペースト。
3. 上記項1の低融点ガラス、並びに金属粉末及び金属酸化物粉末からなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末成分を含有することを特徴とする無鉛導体組成物。
本発明の無鉛低融点ガラスにおける各構成成分について説明する。
(1)Bi
ガラスの軟化点を低下させる効果を有する成分であり、本発明の低融点ガラスにおける必須成分である。Biの含有量が少なすぎると十分に低い軟化点のガラスとすることができず、一方、含有量が多すぎる場合には、耐酸性が低下すると共に線膨張係数が高くなる傾向がある。このような観点から、Biの含有量は55〜75重量%程度であることが好ましく、60〜70重量%程度であることがより好ましい。
(2)SiO
ガラスのネットワークを形成する成分であり、ガラスの安定化、耐酸性を向上させるための必須成分である。また、線膨張係数を低下させる効果を有する成分でもある。SiOの含有量が少ない場合には耐酸性が不十分となり、含有量が多い場合はガラスの軟化点が高くなりすぎ、溶融時に失透しやすくなる。このような観点から、SiOの含有量は15〜35重量%程度であることが好ましく、15〜25重量%程度であることがより好ましい。
(3)ZrO
耐酸性を向上させるための必須成分である。含有量が少なすぎると耐酸性を向上させる効果が得られず、含有量が多すぎるとガラスの軟化点が高くなりすぎ、溶融時に失透しやすくなる。このような観点から、ZrOの含有量は1〜10重量%程度であることが好ましく、3〜8重量%程度であることがより好ましい。
(4)BaO、MgO、CaO及びSrOからなる群から選ばれた少なくとも一種の成分
これらの成分は、ガラスの軟化点を低下させ、ガラスを安定化させる成分であり、本発明の低融点ガラスは、BaO、MgO、CaO及びSrOからなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有することが必要である。但し、これらの成分の含有量が多いと耐酸性が低下する。このような観点から、BaO、MgO、CaO及びSrOの合計含有量は1〜10重量%程度であることが好ましく、3〜7重量%程度であることがより好ましい。
(5)B
SiOと同じくガラスのネットワークを形成し、ガラスを安定化させる効果が得られる成分であるが、含有量が多いと耐酸性が低下する。このような観点から、Bの含有量は2重量%程度以下であることが好ましい。
(6)Al
耐酸性を向上させる効果を有する成分であるが、多量に添加するとガラスの軟化点が上昇し、ガラスの流動性を損なう。このような観点から、Alの含有量は5重量%程度以下であることが好ましく、3重量%以下程度であることがより好ましい。
(7)TiO
耐酸性を向上させる効果を有する成分であるが、多量に添加するとガラスの軟化点が上昇し、更にTiOを含む結晶が析出して、ガラスの流動性を損なう。このような観点から、TiOの含有量は5重量%程度以下であることが好ましく、3重量%以下程度であることがより好ましい。
(8)その他の成分
本発明の低融点ガラスは、必要に応じて、他の適当なガラス成分を含有することもできる。配合できるガラス成分及びその配合量は、得られるガラスの特性に悪影響を及ぼさない成分であって、悪影響を及ぼさない範囲であればよい。このようなガラス成分の具体例としては、例えばV、Nb、La等を例示できる。これらは一種又は二種類以上用いることができ、その含有量は、合計量として10重量%程度以内であることが望ましい。これらの成分の配合は、ガラスの軟化点、結晶化の抑制等の微調整に役立つ場合がある。
また、本発明の低融点ガラスは、不可避的に含まれる場合を除いて、Agマイグレーションを引き起こし易いアルカリ金属酸化物を実質的に含まないものである。このため、本発明の低融点ガラスは、耐Agマイグレーション性にも優れたものである。
(9)含有量の制限
上記した成分のうちで、SiO、ZrO、Al及びTiO(以下、「A成分」ということがある)は、いずれも耐酸性を向上させるためには有効であるが、ガラス軟化点を上げる働きをする成分である。また、BaO、MgO、CaO、SrO及びB(以下、「B成分」ということがある)は、いずれもガラス軟化点を下げるが、耐酸性を低下させる作用のある成分である。本発明では、このようなA成分とB成分の特性に着目し、B成分の含有量に対するA成分の含有量の重量比、即ち、A成分/B成分(重量比)を2〜6程度の範囲内に制御することによって、耐酸性と低融点の両方の要求特性を同時に満足する無鉛ガラスを得ることが可能となった。特に、A成分/B成分(重量比)を3〜6程度の範囲内とする場合には、低い軟化点を維持した上で、優れた耐酸性を有するものとなる。
本発明の低融点ガラスの軟化点
本発明の低融点ガラスは、軟化点が600℃以下である。電子部品の焼成温度としては、例えば厚膜チップ抵抗器の抵抗値変動を抑え、且つ特性を劣化させないよう、通常500〜800℃程度である。また、表示パネルによく用いられるソーダライムガラスは、歪点が520℃程度であるため、600℃程度以下で焼成が行われる。これらの点を考慮して、ガラスの焼き付け、フロー性の観点から、本発明の低融点ガラスの軟化点は600℃程度以下であり、好ましくは、520〜600℃程度である。
本発明の低融点ガラスの線膨張係数
上記した組成を有する本発明の低融点ガラスは、50〜350℃における線膨張係数が100×10-7/℃以下であり、特にソーダライムガラスやアルミナ基板を基材に用いる場合は、基板の反りや接着時の剥離を回避するため、好ましくは、70〜90×10-7/℃程度である。
本発明の低融点ガラスの調製方法
本発明のガラスの調製方法については特に限定はなく、溶融時に目的の組成となる量の原料を混合し、溶融した後、冷却してガラス化させることによって得ることができる。
例えば、溶融時に目的の組成となる量の原料を混合して原料組成物とし、これを約1000℃以上、通常1100〜1300℃で溶融し、溶融物を水中にて急冷してポップコーン状ガラスとするか或いは水冷ロールに挟んでフレーク状ガラスとする。次いで、得られたガラスを、例えばボールミル中でアルミナボール等を用いて、乾式或いは水系溶媒又は有機溶剤系溶媒にて湿式粉砕する。湿式粉砕にて得られたスラリーは乾燥機で乾燥してケーキ状とし、その後、篩又は粉砕機等を用いて解砕して粉末状とする。また上記スラリーをスプレードライヤー等を用いて直接粉末化してもよい。
かくして得られるガラス粉末の粒径は、通常、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度の範囲にあるのが良い。従って、粒径が30μmを超える粗大粒子が生成している場合は、例えば気流分級装置や篩等を用いて除くことが好ましく、更に10μm以下に制御することがより好ましい。
本発明の低融点ガラスを含むペースト
上記した方法で粉末状とした本発明の低融点ガラスは、例えば、スクリーン印刷やコーター塗布等に適したペーストとして使用することができる。
本発明の低融点ガラスを含むペーストは、例えば、上記した方法で得られる本発明の低融点ガラスの粉末を有機ビヒクル(バインダー樹脂を高沸点有機溶剤に溶解させたオイル状のもの)中に分散させることによって得ることができる。この際、耐酸性向上や線膨張係数の調整、着色等の目的で、無機フィラー、無機顔料などを添加する場合もある。
有機ビヒクルとしては、昜燃焼性の樹脂を溶剤に溶解したものを使用できる。ここで、昜燃焼性の樹脂としては、例えばセルロース樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ブチラール樹脂、ビニールピロリドン樹脂等の熱分解性のよい樹脂が好ましく使用できる。また、溶剤としては、例えばパインオイル、α−ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングライコール等の比較的高沸点の溶剤が使用できる。
また、有機ビヒクルとして、例えば、光重合開始剤、光重合性モノマー、及び感光性樹脂成分を含む成分を使用すれば、紫外線などによって硬化する感光性ペーストを調製できる。
本発明ガラスの粉末を含むペーストにおいて、ガラス粉末、無機フィラー、無機顔料などの固形分に対する有機ビヒクルの配合割合及び有機ビヒクル中の樹脂と溶剤との使用比率は、得られる組成物の形態、塗工方法に応じて便宜決定され、特に限定されるものではないが、例えばスクリーン印刷等に適したペースト状形態に調整する場合、一般には、固形分100重量部に対して、有機ビヒクル10〜50重量部の範囲とすることが好ましい。尚、有機ビヒクル中のバインダー樹脂と溶剤の使用比率についても特に限定されるものではないが、通常、溶剤100重量部に対して、樹脂を5〜50重量部程度とすることが適当である。
本発明のガラス粉末を含むペーストにおいて、無機フィラーとしては、高温時に軟化しないものが好ましい。特に、耐酸性の観点から、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコンなどを用いることができる。更に、線膨張係数を調整するため、特に低膨張の粉末、例えばβ−ユークリプトタイト、コージェライト、溶融シリカなどを無機フィラーとして添加することもできる。
無機フィラーの粒度については、特に限定はない。但し、その本来の効果が粒子表面積に依存することが多いことを考慮すれば細かいほど有利であるが、細かすぎるとガラス組成物の融着温度を上昇させることになる。このため、一般には0.05〜30μm程度、好ましくは0.1〜20μm程度の範囲から選択することが好ましい。
無機フィラーの配合量についても特に限定的ではないが、配合量が多すぎると焼き付けが不十分になる傾向がある。このため、通常、無機フィラーの配合量は、本発明の低融点ガラスの粉末を含む固形分中に50重量%以下とすることが好ましく、20重量%以下とすることがより好ましい。
無機顔料としては、例えばCuO・Cr(ブラック)、CoO・Cr(ブラック)、Fe(ブラウン)、TiO(ホワイト)、CoO・Al(ブルー)、Cr(グリーン)等及びそれらの組み合わせ等を用いることができる。無機顔料の粒度は特に限定されるものではないが、通常、0.1〜1μm程度の範囲にあるのが一般的である。
無機顔料の配合量についても、無機フィラーと同様に、焼き付け性の低下を防ぐために、本発明の低融点ガラスの粉末を含む固形分中に50重量%以下とすることが好ましく、顔料の種類の着色力にもよるが、20重量%以下とすることがより好ましい。
本発明の低融点ガラスを含む導体組成物
本発明の低融点ガラスは、金属粉末及び金属酸化物粉末からなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末成分と混合することによって、導体組成物とすることができる。該導体組成物では、本発明の低融点ガラスは、金属粉末及び金属酸化物粉末からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分からなる導体を、焼き付けによって基材に密着させるための助材として有効に作用する。
金属粉末及び金属酸化物粉末としては、その目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Zn、Pd、Pt、Sn、Ag−Pd、SnO、ITO、ZnO、RuOなどが挙げられる。
該導体組成物における本発明の低融点ガラスの配合量については、特に限定的ではないが、一般的に金属粉末及び金属酸化物粉末からなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末成分が90〜99重量%程度と本発明の低融点ガラスの粉末が1〜10重量%程度の範囲とすればよい。
本発明のガラスは、600℃程度以下という低い軟化点と優れた耐酸性を両立した無鉛ガラスであり、更に、Agのマイグレーションが生じ難いという優れた性能を有するものである。
本発明の低融点ガラスは、この様な優れた性能を利用して、例えば、各種電子部品、表示パネル、太陽電池パネル等の形成、接着、被覆、封着等の各種用途に用いることができる。更に、Ag等の導体、LTCC等の基板に添加される焼結助材としても用いることができる。また、電子部品、素子、導体配線部等の絶縁、保護等の目的や、装飾材料等の幅広い用途に利用が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜6及び比較例1〜4
下記表1及び表2に示すガラス組成となる量の調合バッチ原料を1000〜1300℃で溶融し、溶融ガラスを水中で急冷してポップコーン状ガラスとした。得られたガラスをボールミルにて平均粒径が1〜5μm程度になるよう粉砕して、ガラス粉末を得た。尚、ガラス粉末の平均粒径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置にて求めた。
得られたガラス粉末について、下記の方法で線膨張係数(α)及びガラス軟化点(Ts)を測定し、さらに、耐酸性試験とAgのマイグレーション性試験を行った。結果を表1及び表2に併せて示す。
線膨張係数(α)の測定方法
各ガラス粉末試料を加圧成型後、軟化点+10℃にて焼成し、15mmの長さに切断した後、熱機械分析装置(TMA)を用いて、50〜350℃の温度範囲での伸び率を測定して算出した。
軟化点(Ts)の測定方法
各ガラス粉末試料を白金セル中に投入し、示差熱分析装置(DTA)にて測定した。
耐酸性試験方法
各ガラス粉末試料を加圧成型後、軟化点+10℃にて焼成し、15mmの長さに切断して得られた焼結体を、50℃で10vol%HSO水溶液に2時間浸漬して、重量変化を測定した。その後、ガラスの重量減率(%)を算出し、以下の基準により評価した。
<評価基準>
○ :1.0%未満 × : 1.0%以上
Agマイグレーション性試験
各ガラス粉末試料を20重量部と平均粒径3μmのAg粉末を80重量部含む混合物100重量部に対して、易燃焼性のエチルセルロース樹脂(ダウケミカル社性、商標名:STD-20)10重量部とα−ターピネオール90重量部とからなる有機ビヒクル30重量部を加えて、三本ロールにて分散してAgペーストを調製した。得られたペーストの粘度は100〜200Pa・sであった。
上記したAgペーストを、30mm×60mm角のガラス基板上にスクリーン印刷し、150℃で10分程度乾燥した後、620℃で5分間焼成した。焼成後、Ag膜表面の黄変について目視評価して、Agのマイグレーション性を評価した。
<評価基準>
○ :黄変あり × : 黄変なし
Figure 0005594682
Figure 0005594682
以上の結果から明らかなように、本願請求項1の条件を全て満足する実施例1〜4のガラス粉末は、600℃以下の軟化点を有する低融点ガラスであって、耐酸性も良好であり、更に、Agのマイグレーションも生じ難いものであった。これに対して、アルカリ金属酸化物であるNaOを含む比較例1のガラスはAgマイグレーションが生じ易く、ZrOを含まない比較例2のガラスと、Bの含有量が多く、A成分/B成分(重量比)が2を下回る比較例3のガラスは、いずれも耐酸性が劣るものであった。また、A成分/B成分(重量比)が6を上回る比較例4のガラスは、耐酸性は良好であるが、軟化点が600℃を上回るものであった。

Claims (3)

  1. アルカリ金属酸化物を含まない無鉛低融点ガラスであって、酸化物換算で、Biを55〜75重量%、SiOを15〜35重量%、ZrOを1〜10重量%、BaO、MgO、CaO及びSrOからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で1〜10重量%、Bを0〜2重量%、Alを0〜5重量%、TiOを0〜5重量%含有し、且つ、(SiO、ZrO、Al及びTiOの合計量)/(BaO、MgO、CaO、SrO及びBの合計量)(重量比)=2〜6である、軟化点が600℃以下の低融点ガラス。
  2. 請求項1の低融点ガラス及び有機ビヒクルを含有することを特徴とする無鉛ガラスペースト。
  3. 請求項1の低融点ガラス、並びに金属粉末及び金属酸化物粉末からなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末成分を含有することを特徴とする無鉛導体組成物。
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