以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る灯具ユニット10の構成を示す断面図である。図1において右側が灯具前方となり、左側が灯具後方となる。以下、灯具前方を単に「前方」といい、灯具後方を単に「後方」という。灯具ユニット10は、車両用前照灯に含められる。灯具ユニット10は、投影レンズ12、光源ユニット14、およびホルダ16を備える。
投影レンズ12は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、その後側焦点面上に形成される光源像を反転像として前方に投影する。以下、例えば車両前方25メートルの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される投影像を基準に説明する。なお、投影像が形成されるものとする仮想面はこのような鉛直な面に限られないことは勿論であり、例えば路面を想定した水平面であってもよい。ホルダ16は、投影レンズ12および光源ユニット14の双方を支持する。
図2は、第1の実施形態に係る光源ユニット14の構成を示す断面図である。光源ユニット14は、シェーディングプレート18、第1像形成ユニット20、第2像形成ユニット22、第3像形成ユニット24、第4像形成ユニット26、および第5像形成ユニット28を有する。まず、シェーディングプレート18の形状等を図3に関連して説明する。
図3は、図2においてシェーディングプレート18を視点Pから見た図である。シェーディングプレート18は、長方形の外形を有する板状部材である。シェーディングプレート18には、各々が矩形の開口部である第1スリット18a、第2スリット18b、および第3スリット18cが形成されている。第2スリット18bは、シェーディングプレート18の略中央において上下方向に細長い長方形状の開口部として設けられる。第1スリット18aおよび第3スリット18cは、第2スリット18bを挟むようにその左右に配置される。第1スリット18aおよび第3スリット18cは、第2スリット18bと同じ高さを有するが、第2スリット18bよりも広い幅を有する開口部として設けられる。
第1スリット18aと第2スリット18bの間の矩形の領域には、アルミニウム材料が蒸着された反射面18dが設けられる。反射面18dは、第1スリット18aの縁部および第2スリット18bの縁部の各々に至るまで設けられる。なお、アルミニウムに代えて銀が蒸着されていてもよい。反射面18dは、第1スリット18aおよび第2スリット18bと同様の高さを有し、第1スリット18aより短く第2スリット18bより長い幅を有する。
第3スリット18cと第2スリット18bの間の矩形の領域には、アルミニウム材料が蒸着された反射面18eが設けられる。反射面18eは、第2スリット18bの縁部および第3スリット18cの縁部の各々に至るまで設けられる。なお、アルミニウムに代えて銀が蒸着されていてもよい。反射面18eは、第3スリット18cおよび第2スリット18bと同様の高さを有し、第3スリット18cより短く第2スリット18bより長い幅を有する。反射面18dおよび反射面18e以外の領域は、光の反射を抑制するよう黒の塗装が施された光吸収面18fとされている。
図2に戻る。シェーディングプレート18は、前方に進むにしたがって高くなるよう傾斜して配置される。このとき、反射面18dおよび反射面18eが設けられた面は、下前方を向くよう配置される。
第1像形成ユニット20は、第1リフレクタ30、基板40、およびシェーディングプレート18のうち第1スリット18aを形成する部分を含む。基板40には、第1発光素子50が設けられている。第1発光素子50は、発光チップ(図示せず)および薄膜を有する。発光チップは、1mm角程度の正方形の発光面を有する白色発光ダイオードによって構成される。なお、発光チップはこれに限られないことは勿論であり、例えばレーザダイオードなど略点状に面発光する他の素子状の光源であってもよい。薄膜はこの発光チップの発光面を覆うように設けられる。基板40は、シェーディングプレート18の第1スリット18aの後方において第1発光素子50が上方に光を発するよう配置される。
第1リフレクタ30は、基板40の上方に配置され、第1発光素子50が発した光を反射面30aで第1スリット18aに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート18は、第1リフレクタ30によって反射された光の一部を遮り、第1スリット18aを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第1被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。また、第1像形成ユニット20は、第1被投影像を形成する像形成手段として機能する。
第2像形成ユニット22は、第2リフレクタ32、基板42、およびシェーディングプレート18に設けられた反射面18dを含む。基板42には、第2発光素子52が設けられている。第2発光素子52は、第1発光素子50と同様のものが用いられる。基板42は、シェーディングプレート18の下面、すなわち反射面18dが設けられている面に取り付けられる。このとき、第2発光素子52が反射面18dよりも下後方に位置するよう基板42が配置される。こうして第2発光素子52は、下前方に向けて光を発するよう配置される。
第2リフレクタ32は、第2発光素子52の下方に設けられ、第2発光素子52が発した光を反射面32aで反射面18dに向けて反射するよう設けられる。反射面18dは、第2リフレクタ32によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ12の後方焦点面に第2被投影像を形成する。したがって第2像形成ユニット22は、第2被投影像を形成する像形成手段として機能する。
第3像形成ユニット24は、第3リフレクタ34、基板44、およびシェーディングプレート18のうち第2スリット18bを形成する部分を含む。基板44には、第3発光素子54が設けられている。第3発光素子54は、第1発光素子50と同様のものが用いられる。基板44は、シェーディングプレート18の第2スリット18bの後方において第3発光素子54が上方に光を発するよう配置される。
第3リフレクタ34は、基板44の上方に配置され、第3発光素子54が発した光を反射面34aで第2スリット18bに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート18は、第3リフレクタ34によって反射された光の一部を遮り、第2スリット18bを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第3被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。また、第3像形成ユニット24は、第3被投影像を形成する像形成手段として機能する。
なお、第3リフレクタ34および第3発光素子54の各々は、第1リフレクタ30および第1発光素子50よりも前方から見て左側に配置される。また、第1リフレクタ30と第3リフレクタ34との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第1発光素子50によって発せられ第1リフレクタ30によって反射された光が第2スリット18bに入射することを抑止する。また、この仕切部材は、第3発光素子54によって発せられ第3リフレクタ34によって反射された光が第1スリット18aに入射することを抑止する。
第4像形成ユニット26は、第4リフレクタ36、基板46、およびシェーディングプレート18に設けられた反射面18eを含む。基板46には、第4発光素子56が設けられている。第4発光素子56は、第1発光素子50と同様のものが用いられる。基板46は、シェーディングプレート18の下面、すなわち反射面18eが設けられている面に取り付けられる。このとき、第4発光素子56が反射面18eよりも下後方に位置するよう基板46が配置される。こうして第4発光素子56は、下前方に向けて光を発するよう配置される。
第4リフレクタ36は、第4発光素子56の下方に設けられ、第4発光素子56が発した光を反射面36aで反射面18eに向けて反射するよう設けられる。反射面18eは、第4リフレクタ36によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ12の後方焦点面に第4被投影像を形成する。したがって第4像形成ユニット26は、第4被投影像を形成する像形成手段として機能する。
なお、第4リフレクタ36および第4発光素子56の各々は、第2リフレクタ32および第2発光素子52よりも前方から見て左側に配置される。また、第2リフレクタ32と第4リフレクタ36との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第2発光素子52によって発せられ第2リフレクタ32によって反射された光が反射面18eに届くことを抑止する。また、この仕切部材は、第4発光素子56によって発せられ第4リフレクタ36によって反射された光が反射面18dに届くことを抑止する。
第5像形成ユニット28は、第5リフレクタ38、基板48、およびシェーディングプレート18のうち第3スリット18cを形成する部分を含む。基板48には、第5発光素子58が設けられている。第5発光素子58は、第1発光素子50と同様のものが用いられる。基板48は、シェーディングプレート18の第3スリット18cの後方において第5発光素子58が上方に光を発するよう配置される。
第5リフレクタ38は、基板48の上方に配置され、第5発光素子58が発した光を反射面38aで第3スリット18cに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート18は、第5リフレクタ38によって反射された光の一部を遮り、第3スリット18cを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第3被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。また、第5像形成ユニット28は、第5被投影像を形成する像形成手段として機能する。
なお、第5リフレクタ38および第5発光素子58の各々は、第3リフレクタ34および第5発光素子58よりも前方から見て左側に配置される。また、第3リフレクタ34と第5リフレクタ38との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第3発光素子54によって発せられ第3リフレクタ34によって反射された光が第3スリット18cに入射することを抑止する。また、この仕切部材は、第5発光素子58によって発せられ第5リフレクタ38によって反射された光が第2スリット18bに入射することを抑止する。
図4は、第1の実施形態に係る灯具ユニット10によって仮想鉛直スクリーン上に形成される付加配光パターンPA1を示す図である。投影レンズ12は、第1像形成ユニット20によって形成された第1被投影像を前方に投影し、第1分割配光パターンPA11を形成する。また、投影レンズ12は、第2像形成ユニット22によって形成された第2被投影像を前方に投影し、第2分割配光パターンPA12を形成する。また、投影レンズ12は、第3像形成ユニット24によって形成された第3被投影像を前方に投影し、第3分割配光パターンPA13を形成する。また、投影レンズ12は、第4像形成ユニット26によって形成された第4被投影像を前方に投影し、第4分割配光パターンPA14を形成する。また、投影レンズ12は、第5像形成ユニット28によって形成された第5被投影像を前方に投影し、第5分割配光パターンPA15を形成する。付加配光パターンPA1は、第1分割配光パターンPA11〜第5分割配光パターンPA15が組み合わされて形成される。
付加配光パターンPA1は、車両左側に設けられた車両用前照灯に含まれる灯具ユニット10からの照射光と、車両右側に設けられた車両用前照灯に含まれる灯具ユニット10からの照射光とが重なり合って形成される。灯具ユニット10は、付加配光パターンPA1を形成する付加光源として機能する。なお、灯具ユニット10は、いわゆるハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム用光源として機能してもよい。なお、これらの分割配光パターンは矩形のものに限られず、例えば台形や平行四辺形、その他の形状であってもよい。
灯具ユニット10を含む車両用前照灯が搭載される車両(図示せず)には公知のハイビームスイッチ(図示せず)の他に、中間ビームスイッチ(図示せず)が設けられている。中間ビームスイッチがユーザによってオンにされると、中間ビームモードが開始される。中間ビームモードでは、第1分割配光パターンPA11〜第5分割配光パターンPA15のうち、対向車や先行車などの前走車が存在する分割配光パターンを形成する発光素子を消灯することにより、前走車の運転者に与えるグレアを抑制する。
具体的には、灯具ユニット10を含む車両用前照灯が搭載される車両には、カメラ(図示せず)および制御部(図示せず)が設けられている。制御部は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMなどを有し、灯具ユニット10による光の照射を制御する。カメラは、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を有し、車両前方の映像を撮像して画像データを生成する。カメラは制御部に接続されており、生成された画像データは制御部に出力される。
中間ビームスイッチがユーザによってオンにされると、中間ビームオン信号が制御部に出力され、制御部は中間ビームモードによる前照灯ユニットの照射光制御を開始する。中間ビームモード時は、制御部は、カメラから入力された画像データを解析して、例えば前照灯が点灯状態にある対向車などの前走車があるか否かを判定する。そのような前走車がある場合には、制御部は、解析して得られた前照灯の位置を利用してその対向車の位置を特定する。このように画像データを利用して前走車の位置を特定する技術は公知であるため説明を省略する。
制御部は、特定した前走車の位置を利用して、第1分割配光パターンPA11〜第5分割配光パターンPA15のいずれかの形成領域に前走車が存在するか否かを判定する。いずれかの分割配光パターンの形成領域に前走車が存在する場合、制御部は、その分割配光パターンを形成する発光素子を消灯させる。なお、制御部は、発光素子を消灯させることに代えて、前走車が存在すると判定された分割配光パターンを形成する照射光の光度を、車両が存在しないと判定されたときよりも低くするよう発光素子の点灯を制御してもよい。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る光源ユニット80の構成を示す図である。なお、光源ユニット14に代えて光源ユニット80が設けられる以外は、灯具ユニットの構成は第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
光源ユニット80は、シェーディングプレート82、第1像形成ユニット84、第2像形成ユニット86、第3像形成ユニット88、第4像形成ユニット90、および第5像形成ユニット92を備える。
シェーディングプレート82は、長方形の外形を有する板状部材である。シェーディングプレート82は、各々が矩形の開口部である第1スリット82a、第2スリット82b、および第3スリット82cが形成されている。第1スリット82a、第2スリット82b、および第3スリット82cの形状、大きさ、および相対的な位置関係は、上述のシェーディングプレート18における第1スリット18a、第2スリット18b、および第3スリット18cと同様である。
第1スリット82aと第2スリット82bの間の矩形の領域には、アルミニウム材料が蒸着された反射面82dが設けられる。反射面82dは、第1スリット82aの縁部および第2スリット82bの縁部の各々に至るまで設けられる。なお、アルミニウムに代えて銀が蒸着されていてもよい。
第3スリット82cと第2スリット82bの間の矩形の領域には、アルミニウム材料が蒸着された反射面82eが設けられる。反射面82eは、第3スリット82cの縁部および第2スリット82bの縁部の各々に至るまで設けられる。なお、アルミニウムに代えて銀が蒸着されていてもよい。
反射面82dおよび反射面82eの形状、大きさ、および相対的な位置関係は、上述のシェーディングプレート18における反射面18dおよび反射面18eと同様である。反射面82dおよび反射面82e以外の領域は、光の反射を抑制するよう黒の塗装が施された光吸収面82fとされている。
シェーディングプレート82は、前方に進むにしたがって低くなるよう傾斜して配置される。このとき、反射面82dおよび反射面82eが設けられた面は、上前方を向くよう配置される。
第1像形成ユニット84は、第1リフレクタ94、基板104、およびシェーディングプレート82のうち第1スリット82aを形成する部分を含む。基板104には、第1発光素子114が設けられている。第1発光素子114には、上述の第1発光素子50と同様のものが用いられる。基板104は、シェーディングプレート82の第1スリット82aの後方において第1発光素子114が上方に光を発するよう配置される。
第1リフレクタ94は、基板104の上方に配置され、第1発光素子114が発した光を反射面94aで第1スリット82aに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート82は、第1リフレクタ94によって反射された光の一部を遮り、第1スリット82aを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第1被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。
第2像形成ユニット86は、第2リフレクタ96、基板106、およびシェーディングプレート82に設けられた反射面82dを含む。基板106には、第2発光素子116が設けられている。第2発光素子116は、第1発光素子114と同様のものが用いられる。基板106は、シェーディングプレート82の上方において、第2発光素子116が前方に向けて光を発するよう配置される。
第2リフレクタ96は、第2発光素子116の前方に配置され、第2発光素子116が発した光を反射面96aでシェーディングプレート82の反射面82dに向けて反射するよう設けられる。反射面82dは、第2リフレクタ96によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ12の後方焦点面に第2被投影像を形成する。
第3像形成ユニット88は、第3リフレクタ98、基板108、およびシェーディングプレート82のうち第2スリット82bを形成する部分を含む。基板108には、第3発光素子118が設けられている。第3発光素子118は、第1発光素子114と同様のものが用いられる。基板108は、シェーディングプレート82の第2スリット82bの後方において第3発光素子118が上方に光を発するよう配置される。
第3リフレクタ98は、基板108の上方に配置され、第3発光素子118が発した光を反射面98aで第2スリット82bに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート82は、第3リフレクタ98によって反射された光の一部を遮り、第2スリット82bを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第3被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。
なお、第3リフレクタ98および第3発光素子118の各々は、第1リフレクタ94および第1発光素子114よりも前方から見て左側に配置される。また、第1リフレクタ94と第3リフレクタ98との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第1発光素子114によって発せられ第1リフレクタ94によって反射された光が第2スリット82bに入射することを抑止する。また、この仕切部材は、第3発光素子118によって発せられ第3リフレクタ98によって反射された光が第1スリット82aに入射することを抑止する。
第4像形成ユニット90は、第4リフレクタ100、基板110、およびシェーディングプレート82に設けられた反射面82eを含む。基板110には、第4発光素子120が設けられている。第4発光素子120は、第1発光素子114と同様のものが用いられる。基板110は、シェーディングプレート82の上方において、第4発光素子120が前方に向けて光を発するよう配置される。
第4リフレクタ100は、第4発光素子120の前方に配置され、第4発光素子120が発した光を反射面100aでシェーディングプレート82の反射面82eに向けて反射するよう設けられる。反射面82eは、第4リフレクタ100によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ12の後方焦点面に第4被投影像を形成する。
なお、第4リフレクタ100および第4発光素子120の各々は、第2リフレクタ96および第2発光素子116よりも前方から見て左側に配置される。また、第2リフレクタ96と第4リフレクタ100との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第2発光素子116によって発せられ第2リフレクタ96によって反射された光が反射面82eに届くことを抑止する。また、この仕切部材は、第4発光素子120によって発せられ第4リフレクタ100によって反射された光が反射面82dに届くことを抑止する。
第5像形成ユニット92は、第5リフレクタ102、基板112、およびシェーディングプレート82のうち第3スリット82cを形成する部分を含む。基板112には、第5発光素子122が設けられている。第5発光素子122は、第1発光素子114と同様のものが用いられる。基板112は、シェーディングプレート82の第3スリット82cの後方において第5発光素子122が上方に光を発するよう配置される。
第5リフレクタ102は、基板112の上方に配置され、第5発光素子122が発した光を反射面102aで第3スリット82cに向けて反射するよう設けられる。シェーディングプレート82は、第5リフレクタ102によって反射された光の一部を遮り、第3スリット82cを通過した光によって、投影レンズ12の後方焦点面に第3被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。
なお、第5リフレクタ102および第5発光素子122の各々は、第3リフレクタ98および第3発光素子118よりも前方から見て左側に配置される。また、第3リフレクタ98と第5リフレクタ102との間には仕切部材(図示せず)が設けられている。この仕切部材は、第3発光素子118によって発せられ第3リフレクタ98によって反射された光が第3スリット82cに入射することを抑止する。また、この仕切部材は、第5発光素子122によって発せられ第5リフレクタ102によって反射された光が第2スリット82bに入射することを抑止する。
光源ユニット80を備える灯具ユニットによって形成される付加配光パターンは、図4における付加配光パターンPA1と同様である。すなわち、投影レンズ12は、第1像形成ユニット84によって形成された第1被投影像を前方に投影し、第1分割配光パターンPA11を形成する。また、投影レンズ12は、第2像形成ユニット86によって形成された第2被投影像を前方に投影し、第2分割配光パターンPA12を形成する。また、投影レンズ12は、第3像形成ユニット88によって形成された第3被投影像を前方に投影し、第3分割配光パターンPA13を形成する。また、投影レンズ12は、第4像形成ユニット90によって形成された第4被投影像を前方に投影し、第4分割配光パターンPA14を形成する。また、投影レンズ12は、第5像形成ユニット92によって形成された第5被投影像を前方に投影し、第5分割配光パターンPA15を形成する。なお、灯具ユニットを含む車両用前照灯が搭載される車両に上述の中間ビームモードが設けられている点は、第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る灯具ユニット130の上面図であり、図7は、図6のQ−Q断面図である。以下、図6および図7の双方に関連して灯具ユニット130の構成について説明する。
灯具ユニット130は、投影レンズ132、および光源ユニット134を備える。投影レンズ132の形状等は、第1の実施形態における投影レンズ12と同様である。光源ユニット134は、第1像形成ユニット140、第2像形成ユニット142、第3像形成ユニット144、および第4像形成ユニット146を有する。光源ユニット134には、中央ユニット160が設けられている。第2像形成ユニット142および第3像形成ユニット144は、この中央ユニット160に設けられる。
中央ユニット160は、仕切部材162、シェーディング部材164、基板166、第2リフレクタ168、シェーディングプレート170、基板172、第3リフレクタ174、およびシェーディングプレート176を有する。基板166には第2発光素子152が、基板172には第3発光素子154が、それぞれ設けられている。第2発光素子152および第3発光素子154は、それぞれ上述の第1発光素子50と同様のものが用いられる。
仕切部材162は厚みのある板状に形成され、前方から見て両面が左右方向に向くよう配置される。基板166は、前方から見て第2発光素子152が右方向に光を発するよう仕切部材162の側面に取り付けられる。基板172は、前方から見て第3発光素子154が左方向に光を発するよう仕切部材162の側面に取り付けられる。シェーディング部材164は、上方から見てくさび形に形成され、先端部164aが前方に向くよう仕切部材162の前面に固定される。
第2リフレクタ168は、前方から見て第2発光素子152の右側に配置され、シェーディングプレート170は第2リフレクタ168の前方に配置される。このとき、シェーディングプレート170は、投影レンズ132の光軸に近づくほど前方に向かうよう傾斜して配置される。また、前方から見てシェーディングプレート170の左縁部とシェーディング部材164との間には間隔が設けられる。シェーディングプレート170の外面には、アルミニウム材料が全面にわたって蒸着された反射面170aが設けられる。
第3リフレクタ174は、前方から見て第3発光素子154の左側に配置され、シェーディングプレート176は第3リフレクタ174の前方に配置される。このとき、シェーディングプレート176は、投影レンズ132の光軸に近づくほど前方に向かうよう傾斜して配置される。また、前方から見てシェーディングプレート176の右縁部とシェーディング部材164との間には間隔が設けられる。シェーディングプレート176の外面には、アルミニウム材料が全面にわたって蒸着された反射面176aが設けられる。
図8は、中央ユニット160を前方から見た図である。中央ユニット160には、上方プレート190および下方プレート192が設けられる。上方プレート190は、シェーディング部材164、シェーディングプレート170、およびシェーディングプレート176の上部に取り付けられる。下方プレート192は、シェーディング部材164、シェーディングプレート170、およびシェーディングプレート176の下部に取り付けられる。
こうして、シェーディングプレート170の左縁部、上方プレート190、シェーディング部材164の先端部164a、および下方プレート192によって囲われる開口部194が形成される。また、シェーディングプレート176の右縁部、上方プレート190、シェーディング部材164の先端部164a、および下方プレート192によって囲われる開口部196が形成される。なお、シェーディングプレート170の左縁部とシェーディング部材164の先端部164aとの間の間隔は、シェーディングプレート176の右縁部とシェーディング部材164の先端部164aとの間の間隔よりも広くされている。このため、開口部194の幅は、開口部196の幅よりも大きくなっている。
図6および図7に戻る。第2像形成ユニット142は、第2発光素子152、第2リフレクタ168、シェーディングプレート170、およびシェーディング部材164を含む。第2発光素子152が発した光は、第2リフレクタ168の反射面168aによって反射されて開口部194から出射され、投影レンズ132の後方焦点面に第2被投影像を形成する。開口部194は、この第2被投影像を画定する。したがって、第2像形成ユニット142は、第2被投影像を形成する像形成手段として機能する。また、シェーディングプレート170、シェーディング部材164、上方プレート190、および下方プレート192は、第2発光素子152から発せられた光の一部を遮り、投影レンズ132の後方焦点面に第2被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。
第2発光素子152は、第2リフレクタ168の第1焦点F1に配置される。なお、もう一つの焦点である第2焦点F2が第1焦点F1よりも前方且つ高い位置に位置するよう第2リフレクタ168が設けられる。このように第2発光素子152が配置される第1焦点F1よりも第2焦点F2を高く位置させることにより、第2像形成ユニット142により形成される第2被投影像の上部の光度を高めることができる。このため、投影レンズ132によって第2被投影像が投影されて形成される配光パターンの下部の照度を高めることができる。したがって、いわゆるH線付近の照度を高めることができ、車両運転者の遠方視認性を高めることができる。
第3像形成ユニット144は、第3発光素子154、第3リフレクタ174、シェーディングプレート176、およびシェーディング部材164を含む。第3発光素子154が発した光は、第3リフレクタ174の反射面174aによって反射されて開口部196から出射され、投影レンズ132の後方焦点面に第3被投影像を形成する。開口部196は、この第3被投影像を画定する。したがって、第3像形成ユニット144は、第3被投影像を形成する像形成手段として機能する。また、シェーディングプレート176、シェーディング部材164、上方プレート190、および下方プレート192は、第3発光素子154から発せられた光の一部を遮り、投影レンズ132の後方焦点面に第3被投影像を形成するシェーディング部材として機能する。
第3発光素子154は、第3リフレクタ174の第1焦点F1に配置される。なお、もう一つの第2焦点F2が第1焦点F1よりも前方且つ高い位置に位置するよう第3リフレクタ174が設けられる。このように第3発光素子154が配置される第1焦点F1よりも第2焦点F2を高く位置させることにより、第3像形成ユニット144により形成される第3被投影像の上部の光度を高めることができる。このため、投影レンズ132によって第3被投影像が投影されて形成される配光パターンの下部の照度を高めることができる。このため、いわゆるH線付近の照度を高めることができ、遠方視認性を高めることができる。
第1像形成ユニット140は、第1発光素子150、第1リフレクタ180、およびシェーディングプレート170に設けられた反射面170aを含む。第1発光素子150は、上述の第1発光素子50と同様のものが用いられる。
第1リフレクタ180は、第1発光素子150の右前方に配置され、第1発光素子150が発した光を反射面180aでシェーディングプレート170の反射面170aに向けて反射する。反射面170aは、第1リフレクタ180によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ132の後方焦点面に第1被投影像を形成する。したがって、第1像形成ユニット140は、第1被投影像を形成する像形成手段として機能する。
第4像形成ユニット146は、第4発光素子156、第2リフレクタ182、およびシェーディングプレート176に設けられた反射面176aを含む。第4発光素子156は、上述の第1発光素子50と同様のものが用いられる。
第2リフレクタ182は、第4発光素子156の左前方に配置され、第4発光素子156が発した光を反射面182aでシェーディングプレート176の反射面176aに向けて反射する。反射面176aは、第2リフレクタ182によって反射された光をさらに前方に向けて反射して、投影レンズ132の後方焦点面に第4被投影像を形成する。したがって、第3像形成ユニット144は、第4被投影像を形成する像形成手段として機能する。
このように第1像形成ユニット140および第4像形成ユニット146は、第2像形成ユニット142および第3像形成ユニット144によって形成される第2被投影像および第3被投影像を挟むように、第1被投影像および第4被投影像を形成する。第1被投影像および第4被投影像は、発光素子が発した光を2回にわたって反射して形成される。これに対して、第2被投影像および第3被投影像は、発光素子が発した光を1回だけ反射して形成される。このように、ある反射回数を経て形成された被投影像を、それより少ない反射回数を経て形成された被投影像を挟むように配置することで、全体として中央の光度が高い被投影像を形成することができる。したがって、灯具ユニットによる車両運転者の遠方視認性を向上させることができる。
なお、反射面170aは、第2被投影像を画定するシェーディングプレート170の左縁部に至るまで設けられている。このため、第1発光素子150および第2発光素子152の双方が点灯されているときに、第1被投影像および第2被投影像による一体的な配光パターンを形成することが可能となっている。
また、反射面176aは、第3被投影像を画定するシェーディングプレート176の右縁部に至るまで設けられている。このため、第3発光素子154および第4発光素子156の双方が点灯されているときに、第3被投影像および第4被投影像による一体的な配光パターンを形成することが可能となっている。
さらに、第3の実施形態では、少ない反射回数を経て形成される第2被投影像および第3被投影像が隣り合うよう、第2像形成ユニット142および第3像形成ユニット144を隣り合わせて配置している。これにより、光度の高い被投影像も分割して点灯、消灯することを可能としている。
なお、シェーディング部材164は、第2像形成ユニット142において第2発光素子152が発した光の一部を遮って第2被投影像を形成する機能と、第3像形成ユニット144において第3発光素子154が発した光の一部を遮って第3被投影像を形成する機能との双方を併せ持つようくさび形に形成されている。換言すれば、シェーディング部材164は、第2像形成ユニット142に含まれる第2被投影像を画定するためのシェーディング部材と、第3像形成ユニット144に含まれる第3被投影像を画定するためのシェーディング部材との互いに隣接する部分が組み合わされてくさび形に形成されている。これにより、第2被投影像と第3被投影像とを近接させている。
さらに、このシェーディング部材164の先端部164aは、投影レンズ132の後方焦点面よりさらに後方に位置するよう設けられている。このように先端部164aを配置することにより、投影レンズ132の後方焦点面において第2被投影像と第3被投影像とが互いにオーバーラップする領域を設けている。
図9は、第3の実施形態に係る灯具ユニットによって仮想鉛直スクリーン上に形成される付加配光パターンPA2を示す図である。投影レンズ132は、第1像形成ユニット140によって形成された第1被投影像を前方に投影し、第1分割配光パターンPA21を形成する。また、投影レンズ132は、第2像形成ユニット142によって形成された第2被投影像を前方に投影し、第2分割配光パターンPA22を形成する。また、投影レンズ132は、第3像形成ユニット144によって形成された第3被投影像を前方に投影し、第3分割配光パターンPA23を形成する。また、投影レンズ132は、第4像形成ユニット146によって形成された第4被投影像を前方に投影し、第4分割配光パターンPA24を形成する。付加配光パターンPA2は、第1分割配光パターンPA21〜第4分割配光パターンPA24が組み合わされて形成される。付加配光パターンPA2は、車両左側に設けられた車両用前照灯に含まれる灯具ユニット130からの照射光と、車両右側に設けられた車両用前照灯に含まれる灯具ユニット130からの照射光とが重なり合って形成される。
このように、灯具ユニット130は、照度の高い第2分割配光パターンPA22および第3分割配光パターンPA23を付加配光パターンPA2の中心に形成して車両前方における遠方視認性を向上させている。また、第1リフレクタ180および第2リフレクタ182による拡散する反射光を利用して、第2分割配光パターンPA22および第3分割配光パターンPA23から左右に広がる第1分割配光パターンPA21および第4分割配光パターンPA24を形成している。これにより左右方向へ広範な範囲を照らし出すことを可能としている。
なお、灯具ユニットを含む車両用前照灯が搭載される車両(図示せず)に中間ビームモードが設けられている点は、上述の実施形態と同様である。第3の実施形態に係る中間ビームモードでは、第1分割配光パターンPA21〜第4分割配光パターンPA24のうち、対向車や先行車などの前走車が存在する分割配光パターンを形成する発光素子を消灯することにより、前走車の運転者に与えるグレアを抑制する。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。