JP5590336B2 - 空調制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、空調装置における噴出口を選択するモードが、防曇性(曇り止め性能)を高めるデフロスタモードや、デフロスタ&フットモード(D/Fモード)の場合、空気に含まれる湿気(水蒸気)を凝縮させるために、空調装置の冷房サイクルシステム部を構成する冷房機器を駆動するとともに、この冷房サイクルシステム部によって冷却された空気の温度を目的の噴出温度に上昇させるために、空調装置の暖房機器を駆動するように制御している。
特許文献2に係るハイブリッド車用空調装置は、室内を設定温度に調整するためにエアコンユニットが必要とする空調必要電力を演算し、車両走行中に、空調必要電力の増加に伴ってバッテリ残量の目標値を高く設定するものである。
また、デフロスタモードやデフロスタ&フットモード(D/Fモード)の場合、冷房機器の駆動と暖房機器の駆動を同時に行う必要があり、冷房と暖房の両方のシステムに電力を必要とするため、極めて消費電力が多くなる。そして、瞬間的には車両の駆動力に費やす電力に影響を与える可能性があり、長時間にわたれば航続距離を大きく減らすことに繋がるので、車両走行に影響を与える可能性が他のモードに比べ高いといえる。そのため、電力制限によって実質的な機能を損ない易い反面、電力制限によって実質的に機能しなくなると防暑性が下がることになる。走行時の視界確保の観点から、特定の条件下で防暑性が下がることを避け、空調性能を確保したい都合がある。
更に、制限実行の肯定/否定だけの粗い判断に基づく結果としての空調制御では、空調装置の運転条件等の詳細な判断を行っておらず、詳細な判断に基づいて電力配分を変更する空調制御を行っていない。
空調が消費する電力を抑制した分に応じて、航続距離を延ばすことはできるが、航続距離に必要な電力が確保されていても、快適性を著しく損ねてしまう空調制御となってしまうことがあった。
図1、図2において、1は電気車両やハイブリッド車両等からなる電動車両(以下「車両」という)、2は車両1のフロントガラス、3は車室である。
車両1には、推進用の駆動モータと変速機とからなるパワートレイン4と、車室3内を空調する空調装置(エアコン)5と、バッテリ6とが搭載される。
空調装置5は、図1に示すように、車室3内の空気温度と相対湿度とに基づいて除湿・冷房・暖房を行って車室3を空調するものであって、空気流通通路7を形成する通路形成体8を備えている。
この通路形成体8には、上流側となる一端で外気導入ダクト9が接続する外気導入口10と内気導入ダクト11が接続する内気導入口12とを切り替えるように内部側に揺動する内外気切替ダンパ13と、この内外気切替ダンパ13を作動する吸込口アクチュエータ14と、下流側となる他端でデフロスタダクト15に接続するデフロスタ吹出口16とベントダクト17に接続するベント吹出口18とを切り替えるように内部側に揺動する第1吹出口切替ダンパ19と、この第1吹出口切替ダンパ19を作動する第1モードアクチュエータ20と、また、下流側となる他端でフットダクト21に接続するフット吹出口22を開閉するように内部側に揺動する第2吹出口切替ダンパ23と、この第2吹出口切替ダンパ23を作動する第2モードアクチュエータ24とが設けられている。なお、第1モードアクチュエータ20と第2モードアクチュエータ24を、一つのアクチュエータとしてリンク機構で繋ぐことによって、同様に構成できる。
送風ファン25は、この送風ファン25を駆動するファンモータ30を備えて、冷却された空気を車室3内に送給するものである。ヒータコア27は、車室3内を暖房するために駆動されるものである。このヒータコア27の下流近傍には、暖房機器33を構成する補助(PTC)ヒータ34が配置されている。
更に、通路形成体8外には、電気により駆動して車室3内の冷房に用いられる冷房機器31を構成する電動コンプレッサ32が配置されている。
冷房機器31は、空調装置5の冷房システムを使用する際に電力によって駆動する。暖房機器33は、空調装置5の暖房システムを使用する際に電力によって駆動する。
空調制御装置35は、バッテリ6に連絡するとともにパワートレイン4を駆動制御するパワートレイン用制御手段36と、自動又は手動で空調装置5を駆動制御する空調用制御手段37と、これらパワートレイン用制御手段36及び空調用制御手段37に連絡した電動車両用空調制御手段(EVコントローラ又はHEVコントローラとなる手段)38とを備えている。
この空調制御装置35は、バッテリ6に供給可能な電力あるいはこのバッテリ6から供給される電力を用いて空調装置5を駆動し、また、少なくともバッテリ6の充電状態が低い場合に空調装置5に供給する電力を制限する。
パワートレイン用制御手段36は、空調使用可能電力量算出部36Aと、空調装置5に供給する電力への制限の有無を判定する制限判定部36Bとを備え、発電制御、電力供給、車両駆動制御、電力消費、バッテリ残量、電力供給等から、空調(冷房、暖房)用システムに割り当てることができる空調使用可能電力量を算出する。
空調用制御手段37は、空調装置5が自動空調システムとして用いられる場合に用いられる自動空調制御手段39、又は、空調装置5が手動空調システムとして用いられる場合に用いられる手動空調制御手段40とからなる。
自動空調制御手段39は、乗員によって操作されるパネル操作部39Aと、外気温度検出センサ41に連絡して目標吹出し温度・吹出し口温度算出部39Bとを備え、(操作パネルは別でも可)にて、乗員が行うパネル操作、外気温度検出センサ41等(他の自動エアコンシステムとして必要とされる一般的なセンサ項目)にて目標吹出し温度、吹出し口(MODE状態)を算出する。
手動空調制御手段40は、乗員によって操作される操作パネル40Aを備え、乗員が行うパネル操作のMODE位置、温度調節位置により、乗員のパネル操作状態を算出する。
そして、電動車両用空調制御手段38は、冷却機器31としての電動コンプレッサ32と、暖房機器33としての補助ヒータ34とに連絡し、エバポレータサーミスタ温度、水温等から算出し、快適となるために必要とされる目標冷房電力量(電動コンプレッサ32の電力量)、目標暖房電力量(補助ヒータ(PTC等)34の電力量)を算出する。
また、この電動車両用空調制御手段38においては、自動空調システムの場合に、自動エアコン制御手段38が算出した目標吹出し温度とMODE(吹出し口)状態から、図3に示す冷房機器の使用割合Xを算出する(Xは、0〜100%間で設定を行う)。ここで、MODEは、デフロスタ(DFR)、D(デフロスタ)/F(フット)時は曇り止めを優先するため、冷房機器31の使用割合を大きめに設定する。一方、手動空調システムの場合は、MODE位置、温度調節位置から、図4に示す冷房機器31の使用割合を算出する(Xは、0〜100%間で設定を行う)。
また、前記算出された空調使用可能電力量は、変動が大きい入力のため、平均処理を設けて、値の変動を抑制する。制限無しの場合には、空調機器の制限が無いため、以下の処理は、制限有りの場合のみ実施する。
この平均処理にて算出された平均空調使用可能電力量から冷房機器31の使用割合、暖房機器33の使用割合を用いて、冷房機器使用可能電力量、暖房機器使用可能電力量を算出する(図5参照)。
そして、前記算出された冷房機器使用可能電力量と前記算出された目標冷房電力量とを比較し、目標冷房電力量>冷房機器使用可能電力量となる場合には、暖房機器33へ提供できる冷房機器電力差を零(0)とし、冷房駆動制限値を、冷房機器使用可能電力量+暖房機器電力差とする(図6参照)。
さらに、この冷房駆動制限値にて、冷房機器31の駆動を行う。目標冷房電力量よりも冷房機器使用電力量が低い場合には、冷房機器使用可能電力の差分を暖房機器33側に提供し、冷房駆動制限値を、制限無しと同様に、目標冷房電力量にて冷房機器31の駆動を行う。この暖房に関しても、冷房機器31と同様に、暖房駆動制限値を確定させる(図7参照)。
具体的に説明すると、空調使用可能電力量を算出するとともに冷房機器31の使用割合を算出した場合に、この空調使用可能電力量と冷房機器31の使用割合とから冷房機器31の使用可能電力量を算出する。また、暖房機器33の使用割合を算出し、空調使用可能電力量と暖房機器33の使用割合とから暖房機器33の使用可能電力量を算出する。
また、冷房機器31の使用割合を、目標噴出温度又はそれに相当する物理量と噴出口選択モードとに基づいて設定する。この場合、暖房機器33の使用割合を、全体1、すなわち100%から冷房機器31の使用割合を差し引いた差分とする。
更に、デフロスタを含む噴出口選択モード、すなわち、デフロスタモードやデフロスタ&フットモード(D/Fモード)では、冷房機器31の使用割合を他の噴出口選択モードより大きく設定する。
更にまた、目標冷房電力を算出し、この目標冷房電力が冷房機器31の使用可能電力量以下の場合、冷房機器31の使用可能電力量と目標冷房電力との差分を冷房機器電力差として設定するとともに、目標冷房電力を冷房駆動制限値として駆動する。一方、目標冷房電力が冷房機器31の使用可能電力量を超える場合には、冷房機器電力差を零(0)とするとともに、冷房機器31の使用可能電力量と暖房機器電力差を冷房駆動制限値として駆動する。暖房機器電力差があれば、それを冷房機器の使用可能電力量に上乗せして冷房駆動制限値として駆動する。
また、目標暖房電力を算出し、この目標暖房電力が暖房機器33の使用可能電力量以下の場合には、暖房機器33の使用可能電力量と目標暖房電力の差分を暖房機器電力差として設定するとともに、目標暖房電力を暖房駆動制限値として駆動する。一方、目標暖房電力が暖房機器33の使用可能電力量を超える場合には、暖房機器電力差を零(0)とするとともに、暖房機器33の使用可能電力量と冷房機器電力差を暖房駆動制限値として駆動する。冷房機器電力差があれば、それを暖房機器33の使用可能電力量に上乗せして暖房駆動制限値として駆動する。
図5に示すように、プログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、空調装置5に供給する電力に制限が有るかどうかを判断し(ステップA02)、このステップA02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA02がYESの場合には、空調使用可能電力量を算出し(ステップA03)、フィルタ処理によるなまし平均空調使用可能電力量を算出し(ステップA04)、冷房機器31の使用割合X%を算出し(ステップA05)、暖房機器33の使用割合を、100%−X%で算出する(ステップA06)。
その後、冷房機器31の使用可能電力量を、平均空調使用可能電力量×冷房機器31の使用割合X%で算出し(ステップA07)、そして、暖房機器33の使用可能電力量を、平均空調使用可能電力量×暖房機器33の使用割合(100%−X%)で算出し(ステップA08)、プログラムをリターンする(ステップA09)。
図6に示すように、プログラムがスタートすると(ステップB01)、先ず、空調装置5に供給する電力に制限が有るかどうかを判断する(ステップB02)。
このステップB02がYESの場合には、目標冷房電力量を算出し(ステップB03)、目標冷房電力量が冷房機器31の使用可能電力量を超えているかどうかを判断する(ステップB04)。
このステップB04がYESの場合には、冷房機器電力差を零(0)とし(ステップB05)、冷房機器31の使用可能電力量+暖房機器電力差を、冷房駆動制限値とし(ステップB06)、制限有りとする(ステップB07)。
一方、前記ステップB04がNOの場合には、冷房機器電力差を、冷房機器31の使用可能電力量−目標冷房電力量で算出する(ステップB08)。
このステップB08の処理後、又は、前記ステップB02がNOの場合には、冷房駆動制限値を算出し(ステップB09)、制限無しとする(ステップB10)。
前記ステップB07の処理後、又は、前記ステップB10の処理後は、プログラムをリターンする(ステップB11)。
図7に示すように、プログラムがスタートすると(ステップC01)、先ず、空調装置5に供給する電力に制限が有るかどうかを判断する(ステップC02)。
このステップC02がYESの場合には、目標暖房電力量を算出し(ステップC03)、目標暖房電力量が暖房機器33の使用可能電力量を超えているかどうかを判断する(ステップC04)。
このステップC04がYESの場合には、暖房機器電力差を零(0)とし(ステップC05)、暖房機器33の使用可能電力量+冷房機器電力差を、暖房駆動制限値とし(ステップC06)、制限有りとする(ステップC07)。
一方、前記ステップC04がNOの場合には、暖房機器電力差を、暖房機器33の使用可能電力量−目標暖房電力量で算出する(ステップC08)。
このステップC08の処理後、又は、前記ステップC02がNOの場合には、暖房駆動制限値を算出し(ステップC09)、制限無しとする(ステップC10)。
前記ステップC07の処理後、又は、前記ステップC10の処理後は、プログラムをリターンする(ステップC11)。
先ず、請求項1に記載の発明は、空調使用可能電力量(の平均値)を算出し、冷房機器31の使用割合を算出するとともに、空調使用可能電力量と冷房機器31の使用割合から冷房機器31の使用可能電力量を算出する一方、暖房機器33の使用割合を算出するとともに、前記空調使用可能電力量と暖房機器33の使用割合から暖房機器33の使用可能電力量を算出し、目標冷房電力を算出する。
また、前記目標冷房電力が冷房機器31の使用可能電力量以下の場合、冷房機器31の使用可能電力量と前記目標冷房電力の差分を冷房機器電力差として設定するとともに、前記目標冷房電力を冷房駆動制限値として駆動し、前記目標冷房電力が冷房機器31の使用可能電力量を超える場合、冷房機器電力差を零とするとともに、冷房機器31の使用可能電力量と暖房機器電力差を冷房駆動制限値として駆動し、目標暖房電力を算出する。
更に、前記目標暖房電力が暖房機器33の使用可能電力量以下の場合、暖房機器33の使用可能電力量と前記目標暖房電力の差分を前記暖房機器電力差として設定するとともに、前記目標暖房電力を暖房駆動制限値として駆動し、前記目標暖房電力が暖房機器33の使用可能電力量を超える場合、前記暖房機器電力差を零とするとともに、暖房機器33の使用可能電力量と前記冷房機器電力差を暖房駆動制限値として駆動する。
これにより、空調装置5に使用できる電力が制限される電力制限下において、暖房と冷房とに使用する電力配分を最適な配分ないしそれに近い状態の配分に近づけることができる。また、暖房と冷房とのうち目標電力に対して余裕のある一方の電力(電力差)を他方の電力にまわすことができ、電力制限下であっても、空調装置5の能力をより高く確保できるので、快適性や視界を確保できる。
これにより、目標噴出温度、又はそれに相当する物理量である温度調節位置と、噴出口選択モードとに基づくので、自動、手動を問わずに冷房機器31及び暖房機器33の使用割合を設定して、電力配分を最適ないしそれに近い状態に設定できる。
これにより、噴出口選択モードに応じて、防暑性を確保できるように設定することができる。
また、上記の実施例の制御を使用するか否かの乗員選択スイッチ等を設けて、従来通り、一律最低駆動にする空調機器の動作を止める等を選択できるようにすることも可能である。
4 パワートレイン
5 空調装置
6 バッテリ
31 冷房機器
32 電動コンプレッサ
33 暖房機器
34 補助ヒータ
35 空調制御装置
36 パワートレイン用制御手段
37 空調用制御手段
38 電動車両用空調制御手段
41 外気温度検出センサ
Claims (3)
- 車両に搭載されるバッテリと、このバッテリに供給可能な電力あるいはこのバッテリから供給される電力を用いて駆動する空調装置とを備えた車両の空調制御装置であって、前記空調装置の冷房システムを使用する際に電力によって駆動する冷房機器と、前記空調装置の暖房システムを使用する際に電力によって駆動する暖房機器とを備え、少なくとも前記バッテリの充電状態が低い場合に前記空調装置に供給する電力を制限する空調制御装置において、空調使用可能電力量を算出し、前記冷房機器の使用割合を算出するとともに、前記空調使用可能電力量と前記冷房機器の使用割合から前記冷房機器の使用可能電力量を算出する一方、前記暖房機器の使用割合を算出するとともに、前記空調使用可能電力量と前記暖房機器の使用割合から前記暖房機器の使用可能電力量を算出し、目標冷房電力を算出し、この目標冷房電力が前記冷房機器の使用可能電力量以下の場合、前記冷房機器の使用可能電力量と前記目標冷房電力の差分を冷房機器電力差として設定するとともに、前記目標冷房電力を冷房駆動制限値として駆動し、前記目標冷房電力が前記冷房機器の使用可能電力量を超える場合、前記冷房機器電力差を零とするとともに、前記冷房機器の使用可能電力量と暖房機器電力差を冷房駆動制限値として駆動し、目標暖房電力を算出し、この目標暖房電力が前記暖房機器の使用可能電力量以下の場合、前記暖房機器の使用可能電力量と前記目標暖房電力の差分を前記暖房機器電力差として設定するとともに、前記目標暖房電力を暖房駆動制限値として駆動し、前記目標暖房電力が前記暖房機器の使用可能電力量を超える場合、前記暖房機器電力差を零とするとともに、前記暖房機器の使用可能電力量と前記冷房機器電力差を暖房駆動制限値として駆動することを特徴とする空調制御装置。
- 前記冷房機器の使用割合を、目標噴出温度又はこの目標噴出温度に相当する物理量と、噴出口選択モードとに基づいて設定する一方、前記暖房機器の使用割合を全体1から前記冷房機器の使用割合を差し引いた差分とすることを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
- デフロスタを含む噴出口選択モードでは、前記冷房機器の使用割合を他の噴出口選択モードよりも大きく設定することを特徴とする請求項2に記載の空調制御装置。
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