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JP5586917B2 - 情報処理装置、情報処理方法およびプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、磁気共鳴映像装置(MRI)、核医学診断装置(SPECT、PET)、超音波画像診断装置など、様々な種類の医用画像収集装置(モダリティ)で撮影した医用画像を処理する装置に関する。
医療の分野において、医師は、患者を撮影した医用画像をモニタに表示し、表示された医用画像を読影して、病変部の状態や経時変化を観察する。この種の医用画像を生成する装置としては、単純X線撮影装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、核磁気共鳴映像装置(MRI)、核医学診断装置(SPECT、PETなど)、超音波画像診断装置(US)等が挙げられる。
例えば、乳腺科領域においては、MRIで撮影した画像上で乳房内における病変部の位置を同定したうえで、超音波画像診断装置によって当該部位の状態を観察するという手順で画像診断を行う場合がある。ここで、乳腺科における一般的な撮影プロトコルでは、伏臥位(うつ伏せの体位)でMRIの撮影を行い、仰臥位(あお向けの体位)で超音波撮影を行うことが多い。このとき医師は、撮影体位の差異に起因する乳房の変形を考慮して、伏臥位のMRI画像から得た病変部位置から仰臥位における病変部位置を推定したうえで、当該病変部の超音波撮影を行っていた。
しかし、撮影体位の差異に起因する乳房の変形は非常に大きいために、医師が推定する病変部の位置が実際とずれてしまい、本来観察したい病変部の超音波画像を描出できない、あるいは、その探索に長い時間を要してしまうという課題があった。超音波の撮影体位と同じ仰臥位でMRIを撮影すればこの課題に対処できるが、仰臥位の撮影は被検者の呼吸の影響を受けてしまうため、読影に必要な鮮明なMRI画像を得ることができないという新たな課題が生じる。
もし仮に、伏臥位で撮影したMRI画像に画像処理による変形を施して、仮想的に仰臥位で撮影したMRI画像を生成できれば、変形後のMRI画像から病変部位置を同定することで、撮影体位の差を気にすることなく病変部の超音波撮影を行うことができる。例えば、伏臥位で撮影したMRI画像を読影して当該画像上における病変部位置を得た後に、伏臥位から仰臥位への変形情報に基づいて、仮想的な仰臥位のMRI画像上における病変部位置を算出することができる。あるいは、生成した仮想的な仰臥位のMRI画像を読影することで、当該画像上における病変部位置を直接的に求めることもできる。
これを実現する方法として、例えば、非特許文献1に示す方法を用いれば、伏臥位のMRI画像を仰臥位のMRI画像と同一の形状に変形させることができる。この方法では、まず、物理シミュレーションに基づいて伏臥位のMRI画像から仮想的な仰臥位のMRI画像が生成される。次に、仮想的な仰臥位のMRI画像と、実際に仰臥位で撮影したMRI画像との変形位置合わせが、画素値の類似度に基づいて実行される。そして、以上の処理で得られた対応関係に基づいて、伏臥位のMRI画像を仰臥位のMRI画像と同一の形状に変形させる処理が実行される。
また、非特許文献2には、対象物体の変形に係るパラメータ(以下変形パラメータと呼ぶ)を様々に設定した場合の変形形状群を物理シミュレーションによって予め取得する。そして、その結果を主成分分析することで統計動きモデル(以下、SMM(Statistical Motion Model))を取得する技術が開示されている。さらに、非特許文献2には、別途取得した変形後の形状データと、そのSMMの表面部分の形状とを比較して変形の推定を行うことにより、変形前後の形状間の対応付けを行う技術が開示されている。
T.J.Carter,C.Tanner,W.R.Crum and D.J.Hawkes,"Biomechanical model initialized non−rigid registration for image−guided breast surgery,"9th Computational Biomechanics for Medicine,9th MICCAI Conference workshop. Y.Hu,D.Morgan,H.U.Ahmed,D.Pendse,M.Sahu,C.Allen,M.Emberton and D.Hawkes,"A Statistical Motion Model Based on Biomechanical Simulations,"MICCAI 2008,Part I,LNCS 5241,pp.737−744,2008.
しかし、非特許文献1に記載の方法による処理を適正に作用させるためには、対象物体の変形パラメータの正確な値を事前に取得する必要があった。すなわち、変形パラメータが不明な場合には、非特許文献1に記載の方法を適用できないという課題があった。なお、変形パラメータが未知である場合に、変形パラメータのあらゆるパターンに基づく変形を試行するというアプローチも考えられるが、多数の変形の試行には膨大な時間を要するという課題があった。
また、非特許文献2に記載の方法は、対象物体の輪郭形状だけを用いて変形の推定を行っているため、人体の乳房表面のように滑らかな曲面形状を対象とすると推定に曖昧さが残り、精度の高い変形推定が実現できないという課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、対象物体の変形パラメータが未知の場合に、変形条件の違いによって生じる変形を高精度かつ高速に推定する仕組みを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための、本発明の一態様によるによる情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、原画像の形状を対象画像の形状に近似するように変形させる処理を実行する情報処理装置であって、
原画像の変形による特徴領域の移動を前記変形と対応づけて変形規則を取得する取得手段と、
前記対象画像の特徴領域と対応する前記原画像の領域との位置情報を拘束条件として、前記変形規則に従って原画像を変形する変形手段と、
を有する。
本発明によれば、対象物体の変形パラメータが未知の場合であっても、変形を高精度かつ高速に推定する仕組みを提供できる。
第1実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。 第1実施形態に係る情報処理装置の装置構成を示す図である。 第1実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る対象物体および対象物体の形状取得を説明する図である。 第1実施形態に係る重力加速度を説明する図である。 第1実施形態に係るメッシュモデルを説明する図である。 第1実施形態に係るステップS209の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るステップS209の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るステップS3101の処理手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係るステップS209の処理手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係るステップS4101の処理手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係るステップS4103の処理手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面に従って本発明に係る情報処理装置及び方法の好ましい実施形態について詳説する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されるものではない。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を示している。本実施形態に係る情報処理装置は、画像撮影装置2としてのMRI装置、および形状測定装置3としてのレーザレンジセンサと接続される。情報処理装置1は、第1の変形条件下における対象物体を画像撮影装置2で撮影することによって得た第1の3次元画像データ(原画像データ)を取得する。また、第2の変形条件下における対象物体を形状測定装置3で計測することによって得た対象物体の表面形状を対象画像の形状(以下、第2の表面形状)として取得する。
そして、これらの情報に基づいて、前記第1の3次元画像に写る対象物体の形状(以下、第1の形状)が、前記第2の変形条件下における対象物体の形状(以下、第2の形状)と略一致するように、第1の3次元画像を変形させた変形画像を生成して表示するものである。
情報処理装置1は、さらに以下に説明する機能により構成されている。
第1画像取得部100は、画像撮影装置2が対象物体を第1の変形条件下で撮影した第1の3次元画像(原画像)を取得し、第1形状取得部101、第1特徴点位置取得部102、および変形画像生成部110へ送信する。
第1形状取得部101は、第1画像取得部100が取得した第1の3次元画像を処理して第1の変形条件下における対象物体の形状(第1の形状)に関する情報を抽出し、第1の形状を記述する形状モデル(以下、第1の形状モデル)を生成する。そして、生成した第1の形状モデルを、第1特徴点位置取得部102へ送信する。
第1特徴点位置取得部102は、第1画像取得部100が取得した第1の3次元画像を処理して、第1の変形条件下における対象物体に係る所定の特徴領域を抽出する。そして、その位置(以下、第1の特徴領域の位置)に関する情報を、第1の形状モデルに組みこむ処理を実行する。そして、特徴領域に関する情報を付加した第1の形状モデルを、変形形状群生成部104、変位ベクトル算出部109、および変形画像生成部110へ送信する。
仮想変形パラメータ取得部103は、対象物体の変形パラメータがとり得る値を仮想的に設定した仮想変形パラメータを後に説明する方法でn組取得して、変形形状群生成部104へ送信する。ここで、対象物体の変形パラメータとは、例えば、対象物体の変形に係る性質を定める材料力学的な物理量(例えば弾性係数など)や、第1及び第2の変形条件下において対象物体に作用する外力に関する情報などである。
変形形状群生成部104は、仮想変形パラメータ取得部103から受信する複数の仮想変形パラメータの夫々に基づいて、第1の形状モデルに物理シミュレーションを施す。そして、第1の形状を変形させた複数の変形形状(以下、変形形状群)を生成し、特徴領域の位置の変位を算出する。そして、これらの情報を変形形状モデル生成部105へ送信する。
変形形状モデル生成部105は、前記変形形状群に基づいて、第2の変形条件下において対象物体がとり得る様々な変形形状と特徴領域の位置の変位を近似表現可能な変形形状モデルを生成し、変形成分推定部108へ送信する。
第2形状取得部106は、形状測定装置3から、第2の変形条件下における対象物体の表面形状(第2の表面形状)を取得する。本実施形態では、物体表面上に密に配置した点群の位置を表す3次元座標の集合からなるレンジデータが、対象物体の表面形状として形状測定装置3から供給されるものとする。
第2特徴点位置取得部107は、第2形状取得部106が取得した第2の表面形状(レンジデータ)に基づいて、対象物体の特徴領域の位置(第2の特徴領域の位置)を抽出し、変形推定部109へ送信する。
変形成分推定部108は、第2特徴点位置取得部107が抽出した第2の特徴領域の位置に基づいて、前記変形形状モデルで第2の形状を記述するための変形成分推定値を算出する。そして、その推定値を、変位ベクトル算出部109へ送信する。
変位ベクトル算出部109は、前記変形成分推定値に基づいて、前記第1の形状モデルを前記第2の形状へと変形させる変位ベクトルを算出し、変形画像生成部110へ送信する。
変形画像生成部110は、前記第1の形状モデルと、前記変位ベクトルに基づいて、前記第1の3次元画像を第2の形状へと変形させた第2の3次元画像(変形画像)を生成し、画像表示部111へ送信する。
画像表示部111は、前記第2の3次元画像を表示する。
図2は、第1実施形態に係る情報処理装置及びそれと接続される装置の構成を示す図である。情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などで実現することができ、中央演算処理装置(CPU)10、主メモリ11、磁気ディスク12、表示メモリ13、モニタ14、マウス15、キーボード16を有する。
CPU10は、主として情報処理装置1の各構成要素の動作を制御する。主メモリ11は、CPU10が実行する制御プログラムを格納したり、CPU10によるプログラム実行時の作業領域を提供したりする。磁気ディスク12は、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライバ、後述する変形推定処理等を行うためのプログラムを含む各種アプリケーションソフト等を格納する。表示メモリ13は、モニタ14のための表示用データを一時記憶する。モニタ14は、例えばCRTモニタや液晶モニタ等であり、表示メモリ13からのデータに基づいて画像を表示する。マウス15及びキーボード16はユーザによるポインティング入力及び文字等の入力をそれぞれ行う。上記各構成要素は共通バス17により互いに通信可能に接続されている。
情報処理装置1は、イーサネット(登録商標)等によるLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して形状測定装置3と接続されており、形状測定装置3から対象物体の表面形状を取得できる。また、情報処理装置1は、イーサネット(登録商標)等によるLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して画像撮影装置2と接続されており、画像撮影装置2から画像データを取得できる。なお、本発明の形態はこれに限定されず、これらの機器との接続は、例えば、USBやIEEE1394等の他のインターフェイスを介して行ってもよい。また、これらのデータを管理するデータサーバから、LAN等を介して必要なデータを読み込む構成であってもよい。また、情報処理装置1に記憶装置、例えばFDD、CD−RWドライブ、MOドライブ、ZIPドライブ等を接続し、それらのドライブから必要なデータを読み込むようにしてもよい。
本実施形態に係る情報処理装置1は、第1の変形条件下における対象物体の形状から、第2の変形条件下における対象物体の形状への変形を推定し、それに基づいて第1の3次元画像を変形して表示する。すなわち、第1の3次元画像に変形処理を施して、第2の変形条件下における3次元画像を仮想的に生成して表示することに相当する。
本実施形態では人体の乳房を対象物体とする場合を例として説明する。本実施形態における第1の変形条件は、重力方向に対して乳房がうつ伏せ(伏臥位)の状態であるものとする。また第2の変形条件は、重力方向に対して乳房があお向け(仰臥位)であるものとする。すなわち、第1の変形条件と第2の変形条件では乳房に作用する重力の方向が異なることを意味している。この条件が互いに異なるため、第1の形状と、第2の形状との間には変形が生じる。本実施形態に係る情報処理装置1は、第1の変形条件と第2の変形条件の夫々における対象物体に作用する重力方向の差異と、対象物体の弾性係数(ヤング率、ポアソン比)とが未知の変形パラメータであるとして、変形位置合わせを実行する。
次に、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理を、図3のフローチャートを用いて詳しく説明する。
以下では、図4の(a)に示すような、変形しない胸壁面401に接続されている乳房400を撮影する場合を例として、夫々の処理の説明を行う。なお乳房400上には乳頭402があり、乳房400と接続されているものとする。図4においては、図示の都合上、乳房400、胸壁面401、乳頭402が2次元平面上の物体であるかのように示しているが、本実施形態でこれらは3次元的な形状を持つものとし、同図はその断面を表しているものとする。
本実施形態では、ヤング率、ポアソン比はそれぞれスカラー量とし、それぞれp、pと表記する。また、重力加速度の差異は乳房400に働く重力加速度の3次元のベクトル量pであり、その各成分をpgx、pgy、pgzとする。すなわち、本実施形態における乳房400の変形パラメータpは、数1に示す5次元ベクトルによって記述される。
Figure 0005586917
ここで、以下の説明を円滑に行うために、重力加速度の差異pの意味について、図5を用いて詳しく説明する。図5は、重力加速度により対象物体の任意の局所領域が受ける力のベクトルを示すベクトル図である。ここでは図示の都合上、2次元のベクトル図を用いて説明するが、本実施形態におけるpは3次元のベクトルであるため、この図による説明を3次元に拡張して適用するものとする。
図5において、第1の重力条件500は、第1の変形条件で対象物体に働く重力加速度のベクトルをあらわしている。図5では第1の重力条件500をベクトル図の原点におき、後に説明する無重力条件501および第2の重力条件502を、第1の重力条件500との相対ベクトルとして表記する。
無重力条件501は、第1の重力条件500を基準としたときの、無重力状態の重力加速度のベクトルのとり得る値を示したものである。ここで、無重力条件501の重力加速度ベクトルの絶対値は、地球上での重力加速度の大きさとして一意に決められる。ここでは、その絶対値をgとする。ただし、そのベクトルの方向は定まらない。したがって、図5における無重力状態の力のベクトルのとり得る値は、第1の重力条件500を中心とした半径gの円周上のいずれかの点である。
第2の重力条件502は、第2の変形条件で対象物体に加わる重力加速度ベクトルのとり得る値を示したものである。第2の変形条件で対象物体に加わる重力加速度ベクトルは、無重力状態を基準とすると、その絶対値は前記同様にgとなる。ただし、そのベクトルの方向は定まらない。したがって、無重力状態を基準としたベクトル図で表現したとすると、無重力状態を原点とした半径gの円上のいずれかのベクトルをとり得る。一方、図5のように第1の重力条件を基準とした場合には、第2の変形条件において対象物体に加わる重力加速度ベクトルは、無重力条件501の円周上の任意の点を中心として半径gの円を描いたときの、その円周上のベクトルをとり得る。したがって、図5において第2の重力条件は、第1の重力条件を中心とした半径2gの円内のいずれかのベクトルをとり得る。したがって、本実施形態における外力に関する3次元ベクトル量pは、絶対値が2g以下の任意の3次元ベクトル量をとり得ることになる。
(S200)
ステップS200において、第1画像取得部100は、画像撮影装置2が乳房400を第1の変形条件下で撮影することによって得られるMRI画像を、第1の3次元画像(原画像)として取得する。ここで、図4の(b)は、第1画像取得部100が取得する第1の3次元画像の一例を示している。第1の3次元画像403の情報は撮影範囲の3次元空間内で定義される撮影画像の輝度の関数として数2のように記述されるものとする。
Figure 0005586917
ここで、x、y、zは撮影範囲の3次元空間内における位置座標を意味し、撮影装置または撮影画像を基準とした直交する座標系(以下、MRI座標系)において、原点からx[mm]、y[mm]、z[mm]だけ並進した位置を表すものとする。
(S201)
ステップS201において、第1形状取得部101は、ステップS200で取得した第1の画像403を処理することで、第1の変形条件下における乳房400の形状を表す第1の形状モデルを生成する。この処理について図4を用いて詳しく説明する。
まず、第1形状取得部101は、第1の3次元画像403(図4の(b))に対して輪郭抽出の処理を行うことで、図4の(c)に示す輪郭形状404を得る。輪郭抽出の処理とは、第1の3次元画像403における乳房400の内部と外部の境界である輪郭を求める処理である。この処理の具体的な方法としては、第1の3次元画像403の輝度値の空間勾配を算出して、それに閾値処理を施すなどの方法で輪郭形状404を求めることができる。これ以外にも、第1の3次元画像403における乳房400の内部と外部の輝度値のヒストグラムや輝度値のパターン(テクスチャ)の違いに基づいて画像の領域分割を行い、その領域の境界を輪郭形状404として求めることもできる。輪郭形状404を求める処理は上記のいずれかの方法、またはこれらを組み合わせた方法、またはこれ以外のいかなる方法で実行してもよい。
次に、第1形状取得部101は、輪郭形状404を適当な間隔で区切り、図4の(d)に示す輪郭ノード群405を配置する。輪郭ノード群405は、個々の輪郭ノードが夫々、3次元位置座標の情報を持つ。ここではm’個の輪郭ノードにより輪郭ノード群405が構成されるものとし、その夫々の位置座標を、3次元位置座標ベクトルs1i(1≦i≦m’)と表記する。
次に、第1形状取得部101は、この輪郭ノード群405の中で、乳房400が胸壁面401と接する位置に対応するノード群を固定ノード群406とする。例えば、領域分割処理によって胸壁面401の領域を検出・認識して、当該領域の近傍のノード(当該領域からの距離が予め定めた閾値以内のノード)のうちの連続するノード群を固定ノード群406と判別する。そして、固定ノード群406とそれ以外のノード群(以下、表面ノード群)との識別が可能なように、必要な情報を記録する。
次に、第1形状取得部101は、上記の処理で得た輪郭ノード群405に関する情報を用いて、第1の形状モデルを生成する。本実施形態では、以下に説明するメッシュモデルを用いて、第1の形状モデルを表現する。以下、第1形状取得部101が行うメッシュモデルの生成処理を、図6を用いて説明する。図6において、輪郭ノード群405と固定ノード群406は、図4で説明したものと同一である。まず、第1形状取得部101は、輪郭ノード群405に囲まれた領域内に内部ノード群700を生成する。このとき内部ノード群700は、輪郭ノード群405で囲まれた領域内を、例えば等間隔に分割した分割位置に配置すればよい。ただし本発明の実施において、内部ノード群700はいかなる方法で配置してもよい。さらに、第1形状取得部101は、輪郭ノード群405および内部ノード群406の接続に関する情報を生成する。ノード群の接続に関する情報の生成は、前記ノード群に対してドロネー分割を適用するなどの方法で実現できる。以上の処理により生成された輪郭ノード群および内部ノード群の接続に関する情報を表すデータのことを、以下ではメッシュモデルと呼ぶ。また、メッシュモデルを構成するノードの夫々に、上記で得た夫々のノードの位置情報を付与したもの(すなわち、第1の変形条件下における乳房400の形状を表すように、該メッシュモデルを形成したもの)を、第1の形状モデルと呼ぶ。以下の説明では、生成した内部ノード群700の夫々の位置座標を、3次元位置座標ベクトルs1i(m’+1≦i≦m)によって表記する(mはメッシュモデルのノード総数)。そして、数3に示すように、輪郭ノード群405と内部ノード群700を合わせた全てのノードの位置座標を縦に並べた3×m次元ベクトルsによって、第1の形状モデルを構成するノード群の位置情報を表現する。
Figure 0005586917
なお、以上の処理によって生成される第1の形状モデルは各部に送信され、以降の処理で利用されるものとする。
(S202)
ステップS202において、第1特徴点位置取得部102は、ステップS200で取得した第1の画像403を処理し、乳房400の表面上に存在する所定の特徴領域を抽出する。この特徴領域としては、例えば乳頭402の位置を用いることが好適である。また、第1の画像403を撮像する際に、MRIで撮影可能な複数のマーカ(図4には不図示)を被検体の表面に貼り付けておいて、これを特徴領域として用いてもよい。以下の説明では、上記の処理によって取得した特徴領域の数をnと表記する。また、それらの特徴領域の位置を表す座標値をv1j=(x1j、1j、1j)(1≦j≦n)と表記し、以後、これを第1の特徴領域の位置と呼ぶ。
さらに、ステップS202において、第1特徴点位置取得部102は、上記の処理で取得した第1の特徴領域の位置に関する情報を、第1の形状モデルに組みこむ処理を実行する。具体的には、第1の特徴領域の夫々に関して、第1の形状モデルを構成する表面ノード群の中から、その位置が特徴領域の位置v1jに最も近接するノードを探索し、当該特徴領域を表すノード(以下、特徴領域ノード)として設定する。すなわち、j番目の特徴領域を表す特徴領域ノードとして当該ノードのインデックスn(1≦j≦n)を記録するとともに、その位置s1njをv1jによって置換する。つまり、数4に示す関係となる。
Figure 0005586917
例えば、図4の(b)に示す乳頭402を抽出した場合に、乳頭402の位置に最も近接するノードが乳頭ノード407(図4の(d))として設定される。そして、乳頭ノード407の位置情報が、本ステップで抽出した乳頭402の位置によって置き換えられる。なお、本実施形態では、特徴領域を3個以上抽出する場合を例として説明することとする。つまり、n≧3の場合について説明することとする。
(S203)
ステップS203において、仮想変形パラメータ取得部103は、変形パラメータがとり得る値を仮想的に組み合わせた仮想変形パラメータを複数取得する。本実施形態では、n個の仮想変形パラメータp(1≦k≦n)を取得する場合を例として説明する。
仮想変形パラメータpは、変形パラメータの各成分値がとり得る範囲を適当な間隔で分割して、それらの全ての組み合わせを得ることによって生成する。このとき、各成分が対象物体の変形に与える影響の大きさなどに応じて、分割の細かさを変更する。例えば、仮想変形パラメータpのうちp、pに関しては、とりうる範囲を1000<p<4000[kPa],0<p<0.5とし、pgx,pgy,pgzに関してはpgx +pgy +pgz ≦(2g)を満たす範囲とする。そして、例えばpは変形に与える影響が大きいものとして前記範囲を30[kPa]づつ10分割し、pは変形に与える影響が比較的に小さいものとして前記範囲を0.1づつ5分割する。またpgx,pgy,pgz関しては、夫々−2gから+2gまでの範囲を5分割した組み合わせのうち前記範囲に関する条件を満たす組み合わせを設定する。
(S204)
ステップS204において、変形形状群生成部104は、ステップS203で取得した変形パラメータの複数の仮説(仮想変形パラメータ)の夫々に基づいて、第1の形状モデルに変形を施した変形形状群を生成する処理を実行する。変形形状算出部104が行う前記処理は、例えば有限要素法を用いた物理シミュレーションによって実現できる。
まず、仮想変形パラメータp(1≦k≦n)の夫々を仮定して、第1の形状モデルに対して有限要素法に基づく物理シミュレーションを施すことで、メッシュモデルを構成する夫々のノードの変位ベクトルdki(1≦k≦n,1≦i≦m)を算出する。そして、数5に示す計算を実行することで、第1の形状モデルのノードの位置s1i(1≦i≦m)に、変位ベクトルdki(1≦k≦n,1≦i≦m)に基づく変位を施す。これにより、夫々のノードの変位後の位置sdki(1≦k≦n,1≦i≦m)を算出する。
Figure 0005586917
なお、ステップS202の処理で述べたように、メッシュモデルを構成するノードの中には特徴領域を表す特徴領域ノードが含まれている。したがって、上記の処理を行うことで、仮想変形パラメータp(1≦k≦n)の夫々を仮定した場合の、夫々の特徴領域の変位後の位置vdkj(=sdknj)も推定される。
最後に、夫々の仮想変形パラメータp(1≦k≦n)に関して、全ノードの位置座標sdki(1≦i≦m)を縦に並べた3×m次元ベクトルsdkを生成する。そして、ベクトルsdkによって、当該仮想変形パラメータpを仮定した場合に第1の形状が変形するであろう形状(すなわち変形形状)を表現する。
以上で示したステップS204の処理を行うことで、変形形状群生成部104は、変形形状群sdk(1≦k≦n)を生成する。なお、本実施形態では有限要素法に基づく物理シミュレーションを用いて変形形状に関する情報を生成する一実施形態について説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば差分法や有限差分法などに基づく物理シミュレーションを用いて対象物体の変形形状を算出することもできる。またMPS法などのメッシュフリー手法を用いれば、メッシュモデルを用いずに変形形状を算出することもできる。ステップS204の処理は、仮想変形パラメータの夫々に基づく変形形状の算出ができる方法であれば、前記に示した方法以外のいかなる方法を用いて行ってもよい。
(S205)
ステップS205において、変形形状モデル生成部105は、ステップS204で求めた複数の変形形状に関する情報sdk(1≦k≦n)に基づいて、対象物体の変形を近似表現する変形形状モデルを生成する。
変形形状モデルの生成方法には様々な方法を用いることができるが、例えば非特許文献2に開示されているSMM(Statistical Motion Model)を用いることができる。この方法によれば、変形形状群sdk(1≦k≦n)に対して主成分分析を施すことで、複数の固有変形成分を抽出し、その固有変形成分の線形和によって対象物体の変形を近似表現することができる。この方法の具体的な処理について説明する。
まず、ステップS204で求めた複数の変形形状に関する情報sdk(1≦k≦n)から、平均形状sd_aveを数6により算出する。
Figure 0005586917
次に、sdk(1≦k≦n)から平均形状sd_aveを引いた正規化変形形状群sdk’(1≦k≦n)を算出する。そして、sdk’(1≦k≦n)の分散共分散行列を求め、その行列の固有値分解を行い、固有値λ(1≦i≦n)および固有ベクトルe(1≦i≦n)を得る。ここで、nは算出する固有ベクトルの数であり、固有値の累積寄与率がある閾値を超えるように選択する。なお、以下では必要に応じて、固有ベクトルeを固有変形成分と呼ぶ。
なお、数7に示すように、以上の処理により得たsd_aveおよびeを線形結合することで、夫々の変形形状sdk(1≦k≦n)を近似表現することができる。
Figure 0005586917
ここで、cki(1≦i≦n)は、k番目の変形形状sdkを表すための線形結合の係数である。
以上の処理により取得した平均形状sd_aveおよび固有変形成分e(1≦i≦n)を、乳房400の変形形状モデルと呼ぶ。変形形状モデルは、第2の変形条件下における乳房400の形状sをsd_aveとeの線形結合によって表現するためのものである。次式に示す係数c(1≦i≦n)の値を調整することで、第2の変形条件下において乳房400がとり得るであろう任意の形状sを記述できる。
Figure 0005586917
なお、ステップS202の処理で述べたように、メッシュモデルを構成するノードの中には特徴領域を表す特徴領域ノードが含まれている。したがって、上記の線形結合により、第2の変形条件下において乳房400上の特徴領域がとり得るであろう位置vdj(=sdnj)も表現される。なお、以下では必要に応じて、形状sを構成する各ノードの位置座標をsdi(1≦i≦m)、各特徴領域ノードの位置座標をvdj(1≦j≦n)と表記する。
また、原画像の変形は、対応したメッシュモデルを構成するノードの位置情報の変更であらわされる。したがって、特徴領域の位置の移動も変形と対応づけて変形規則として記述されている。
(S207)
ステップS207において、第2形状取得部106は、形状計測装置3から、第2の変形条件下における乳房400の表面形状(第2の表面形状)を表すレンジデータを取得する処理を実行する。レンジデータは、物体表面上に密に配置した点群の、形状計測装置3によって定義される座標系(以下、レンジセンサ座標系)における位置を表す3次元座標の集合によって構成される。
(S208)
ステップS208において、第2特徴点位置取得部107は、ステップS202において第1の特徴領域の位置を取得した乳房400に係る所定の特徴領域について、第2の変形条件下における夫々の特徴領域の位置(第2の特徴領域の位置)を取得する処理を実行する。この処理は、例えば、ステップS207で得た第2の表面形状から、突起部などの特徴的な形状の部位を抽出することで実行される。以下では、第2の特徴領域の位置を表す座標値をv2j=(x2j、2j、2j)(ただし1≦j≦n)と表記する。
(S209)
ステップS209において、変形成分推定部108は、変形形状モデルによる形状表現(すなわち数8のs)が、乳房400の第2の形状sを最も適切に表すような、線形結合の係数の組c(1≦i≦n)を推定する。すなわち、線形結合の係数の組を推定することで、乳房400の第2の形状sを推定する。なお、本ステップで求める線形結合の係数の組をn次元ベクトルcestで表記し、以下ではこれを変形成分推定値と呼ぶ。
具体的には、ステップS205で生成した変形形状モデルによって記述する特徴領域ノードの位置が、ステップS208で取得した第2の特徴領域の位置と略一致することを拘束条件として、上記推定値cestの最適化を行う。以下、変形成分推定部108の具体的な処理を、図7に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、以下の処理では、変形形状モデルを記述するMRI座標系と、第2の特徴領域の位置を記述するレンジセンサ座標系との間の座標系変換の推定が、cestの推定と同時に実行される。ここで、座標系変換とは、回転を表す3×3行列Rと、並進を表す3次元ベクトルtで表現される剛体変換を意味する。
(S1100)
ステップS1100において、変形成分推定部108は、変形成分推定値cestおよび剛体変換パラメータの推定値R、tの初期化を行う。この初期化は、例えばcestおよびtをゼロベクトルとし、Rを単位行列とすることができる。
(S1101)
ステップS1101において、変形成分推定部108は、現在の変形成分推定値cestに基づいて、数9の計算を行うことで、推定変形形状sd_estを生成する。
Figure 0005586917
ただし、ci_estはcestのi番目の成分を表す。そして、j番目の特徴領域ノードの推定座標値vdj_est(1≦j≦n)を、推定変形形状sd_estが表すn番目のノードの座標、すなわち、sd_estの3(n−1)+1,3(n−1)+2,3(n−1)+3番目の要素からなるベクトルとして取得する。ここでnは、ステップS202の処理でj番目の特徴領域ノードを割り当てたノードのインデックスを表している。
(S1102)
ステップS1102において、変形成分推定部108は、ステップS1101で得た特徴領域ノードの推定座標値vdj_est(1≦j≦n)と、ステップS208で得た第2の特徴領域の位置v2j(1≦j≦n)を剛体変換した位置とを最も整合させる剛体変換のパラメータを推定する。すなわち、対応点間の距離の平均値を求める数10を評価関数として、評価値dを最小化するRとtを算出する。
Figure 0005586917
なお、複数の対応点を用いて座標系変換を求める方法は周知であるので、詳細な説明は省略する。
(S1103)
ステップS1103において、変形成分推定部108は、ステップS1102で得た剛体変換パラメータの推定値Rとtに基づいて、第2の特徴領域の位置v2j(1≦j≦n)を剛体変換した位置v2j_rigid(1≦j≦n)を、数11に示す計算により算出する。
Figure 0005586917
(S1104)
ステップS1104において、変形成分推定部108は、ステップS1103で得た剛体変換後の第2の特徴領域の位置v2j_rigidと、対応する特徴領域ノードの推定座標値vdj_estとの間の距離の平均値(すなわち数10の評価値d)が小さくなるように、変形成分推定値cestを更新する。
つまり、第1特徴領域の位置と第2の特徴領域の位置とを拘束条件として、変形規則に従って原画像を変形するものである。
この、dを最小化するcestを求める処理は、一般的に知られた非線形な最適化問題を解くことで実行することができ、その具体的な方法として例えば貪欲法を用いることができる。この場合、現在のcestのある要素を微小に増加あるいは減少させた新たな係数を生成し、その係数によって(数9を用いて)変形形状を生成する。そして、その変形形状に関して数10の評価値dを算出し、その値が元のcestに基づく評価値dよりも小さくなる場合には、cestの当該要素の値を更新する。この処理を、cestの各要素に対して独立に実行することで、対応点間の距離が小さくなるようにcestを更新できる。さらに、上記の処理を繰り返して実行するようにして、より最適に近いcestを求めるようにしてもよい。最適化の方法はこれ以外にも、一般的に知られた非線形最適化手法の如何なるものを用いてもよい。例えば、最急降下法やニュートン法などを用いることができる。
上記の方法によりcestは更新され、以後の処理は更新後のcestに基づいて実行される。
(S1105)
ステップS1105において、変形成分推定部108は、ステップS1102で更新された剛体変形のパラメータR、tおよび、ステップS1104で更新された変形成分推定値cestに基づいて、数10の評価値dを算出する。そして、評価値dに基づいて、以後に行う処理の切り変えを行う。例えば、評価値dが予め設定した閾値よりも小さい場合には、本処理(すなわち、ステップS209の処理)を終了するようにし、そうでない場合には、ステップS1101に処理を戻して、変形成分推定値cestの更新処理を継続する。すなわち、ステップS1101からステップS1105までの処理を、ステップS1105での終了判定が否定される限り繰り返す。
以上に説明したステップS209の処理により、変形成分推定部108は、変形成分推定値cestを算出する処理を実行する。
(S210)
ステップS210において、変位ベクトル算出部109は、ステップS209で算出したcestに基づいて数9の計算を行い、乳房400の第2の形状の推定値s2_estを得る。そして、第1の形状モデルの各ノードを第2の形状に変形させるための変位ベクトルd(1≦i≦m)を、数12を用いて算出する。
Figure 0005586917
ここで、s1iは、第1の形状モデルにおけるi番目のノードの3次元位置座標ベクトルを示している。また、s2iは、第2の形状の推定値s2_estが示すi番目のノードの3次元位置座標ベクトルであり、s2_estの3(i−1)+1,3(i−1)+2,3(i−1)+3番目の要素がこれに相当する。
(S211)
ステップS211において、変形画像生成部110は、ステップS200で取得した第1の3次元画像に変形を施し、変形後の乳房400の形状が第2の形状と同様であるような第2の3次元画像(変形画像)を生成する。この変形は、ステップS201で生成した第1の形状モデルと、ステップS210で算出した各ノードの変位ベクトルd(1≦i≦m)に基づいて、公知の画像変形手法によって実行される。
(S212)
ステップS212において、画像表示部111は、ステップS211で生成した第2の3次元画像をモニタ14などに表示する。
ここで、取得手段は、第1形状取得部101、第2形状取得部106、第1特徴点位置取得部102、第2特徴点位置取得部107、変形形状モデル生成部105を有する。また、変形手段は、変形成分推定部108を有する。
以上に説明したように、本実施形態における情報処理装置1によれば、対象物体の変形パラメータが未知の場合に、第2の変形条件下における対象物体の形状に略一致するように変形させた変形画像を生成して表示することができる。
(変形例1−1)
本実施形態では、ステップS210で得た第2の形状の推定値s2_estに基づいて、ステップS211で変形画像を生成していたが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、第1の3次元画像データ中で乳房400内部の注目領域の位置v(例えば腫瘤の位置)が取得されている場合に、第2の撮影条件下における当該注目領域の位置vを推定する目的に本発明を用いることができる。例えば、第1の形状モデルにおいて注目領域の位置vを囲むノード群を求め、それらのノード群が変位した後の座標を第2の形状の推定値s2_estから得て、その加重平均によってvを得ることができる。
(変形例1−2)
本実施形態では、ステップS205で変形形状モデル生成部105が行う処理として、SMMを用いる方法を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、正規化変形形状群sdk’をそのままeとして用いて、以後の処理を実行するようにできる。この方法によれば、より簡易な処理で変形形状モデルを生成できる効果がある。またステップS205の処理としては、この方法に限らず、ステップS204で求めた複数の変形形状に関する情報sdk(1≦k≦n)に基づいて、対象物体の変形を近似表現する変形形状モデルを生成する処理であれば、どのような処理であってもよい。
(変形例1−3)
本実施形態では、対象物体の特徴領域として、対象物体の表面上の特徴的な領域を用いる場合を例として説明したが、特徴領域は対象物体の内部にあってもよい。この場合、形状測定装置3は、第2の特徴領域の位置が取得可能な装置であればよく、例えば、不図示の磁気式センサなどを取り付けた超音波プローブを持つ超音波撮影装置などにより構成される。
このとき、第1特徴点位置取得部102は、ステップS202の処理において、前記実施形態で説明した処理以外に、物体内部の特徴領域を抽出する処理を実行する。例えば、第1の3次元画像403の輝度値が周囲よりも高いような特徴を持つ領域を抽出するようにし、その位置を第1の特徴領域の位置とする。なお、物体内部の特徴領域に対応する特徴領域ノードは、内部ノード群406の中から選択される。
一方、第2形状取得部106は、ステップS207の処理において、操作者が超音波プローブを物体表面上の特徴領域に接触さた際のプローブ先端位置を、物体表面上の特徴領域の「第2の特徴領域の位置」として取得する。また、物体内部の特徴領域の「第2の特徴領域の位置」を取得するための情報として、被検体に接触させた超音波プローブを操作者が操作することによって撮影した超音波画像群と、夫々の超音波画像を撮影した際のプローブ位置を取得する。
また、第2特徴点位置取得部107は、ステップS208の処理において、ステップS207で得た超音波画像群の中から、ステップS202で得た物体内部の特徴領域と対応する領域を抽出する。そして、超音波画像上における該対応点の座標と、該超音波画像を撮像した際のプローブ位置とを利用して、形状測定装置3が基準とする座標系における特徴領域の3次元位置を算出し、その位置を物体内部の特徴領域の「第2の特徴領域の位置」とする。
また、形状測定装置3として、画像撮影装置2を用いてもよい。この場合、第2の条件下における対象物体を画像撮影装置2によって撮影して3次元画像データ(第2の3次元画像データ)を得る。そして、第2形状取得部106は、画像撮影装置2から第2の3次元画像データを取得する。また、第2特徴点位置取得部107は、第1特徴点位置取得部102と同様な処理により、第2の特徴領域の位置を取得する。なお、形状測定装置3として、画像撮影装置2とは異なるMRI装置や、X線CT装置等の他の3次元画像撮影装置を用いてもよいことはいうまでもない。
これらの方法によれば、より広い領域から特徴領域を取得することができるため、より多くの特徴領域を取得できることが期待できる。そのため、より高い精度で変形の推定を行える効果がある。
(変形例1−4)
本実施形態では、形状測定装置3で計測した被検体のレンジデータを用いて第2の特徴領域の位置を取得していたが、第2の特徴領域の位置を取得可能な方法であれば、本発明の実施はこれに限らない。例えば、磁気式の位置センサなどを備えることで先端部位置を計測可能なペン型の指示デバイス(スタイラス)を乳頭やマーカ等の特徴領域に接触させ、この接触点の位置を第2の特徴領域の位置として直接的に計測してもよい。この場合、第2形状取得部106は、ステップS207で、形状測定装置3が計測した第2の特徴領域の位置を取得して変形推定部109へ送信する。このとき、第2特徴点位置取得部107の機能は不要であり、ステップS208の処理は実行されない。
また、本実施形態では、ステップS202で第1特徴点位置取得部102が行う処理として、第1の3次元画像を処理することで第1の特徴領域の位置を求める場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、マウス15やキーボード16などによってユーザの操作に基づいて、第1の特徴領域の位置を取得するようにしてもよい。これによれば、第1の3次元画像からの特徴領域を抽出する処理を省略できるため、より効率的に本発明を実施することができる効果がある。この場合、第1特徴点位置取得部102は第1の3次元画像をモニタ14などに表示してユーザに提示し、ユーザがその画像を視認しながら、その画像上に特徴領域に関する情報を設定できるようにすることが望ましい。
また、第2特徴点位置取得部107も同様に、マウス15やキーボード16などによってユーザの操作に基づいて、第2の特徴領域の位置を取得するようにしてもよく、前記同様の効果が期待できる。
(変形例1−5)
本実施形態のステップS202およびステップS208では、特徴領域を3点以上抽出する場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、画像撮影装置2および形状測定装置3の夫々が基準とする座標系(すなわち、MRI座標系とレンジセンサ座標系)が一致している場合には、ステップS202およびS208で抽出する特徴領域は2点であってもよい。この場合、ステップS1102およびステップS1103の処理は省略し、ステップS1101の処理の後にステップS1104の処理に進むようにできる。このとき、剛体変換パラメータRおよびtはステップS1100で初期化された値に保持されることになる。また、画像撮影装置2および形状測定装置3の夫々が基準とする座標系同士が一致しいない場合でも、それらの座標系の関係が既知である場合には、前記と同様の処理にすることができる。この場合、ステップS1100では前記座標系間の既知の関係に基づいて剛体変換パラメータRおよびtを初期化し、そのパラメータを用いて以後の処理を実行するようにできる。
この方法によれば、より少ない特徴領域の数で本発明を実施することが可能となり、特徴領域の抽出処理を簡便に済ませられる効果がある。また、剛体変換のパラメータに既知の値を設定することで、その推定に要する処理を省略できるため、処理を簡略化できる効果がある。
また、ステップS202およびステップS208で特徴領域を3個以上取得する場合でも、画像撮影装置2および形状測定装置3の夫々が基準とする座標系同士が一致している場合や、それらの関係が既知の場合には、前記と同様の処理を実行することができる。この方法によれば、剛体変換のパラメータに既知の値を設定することで、その推定に要する処理を省略できるため、処理を簡略化できる効果がある。
(変形例1−6)
ステップS1105の処理は、上記以外の方法で実行してもよい。例えば、ステップS1101からステップS1105の繰り返し計算の前後で得た評価値dの大きさの比較によって誤差の減少量を求め、それに基づいて判定を行うことができる。例えば、その減少量が予め設定した閾値よりも小さい場合に処理を終了し、そうでない場合にステップS1101に戻るようにしてもよい。この方法によれば、繰り返し処理によって誤差の減少が見込めない場合などに処理を打ち切ることができる効果がある。また、ステップS1101からステップS1105の繰り返し計算の回数をカウントし、この反復処理を一定回数以上行わないようにしてもよい。この方法によれば、この処理に要する計算時間の上限を予め見積もることができる効果がある。また上記の複数の方法を組み合わせて判定を行うようにしてもよいし、その組み合わせをマウス15やキーボード16などによってユーザが指定できるようにしてもよい。
(変形例1−7)
ステップS203の処理における仮想変形パラメータに関する前記の範囲、分割数などは具体的な実施の一例に過ぎず、本発明の実施はこれに限らない。また、ステップS203の処理は、後段の処理に必要な仮想変形パラメータpを取得できる方法であれば、いかなる方法で行ってもよい。例えば、マウス15やキーボード16等からなるユーザインタフェースを介してユーザがpの値を入力し、仮想変形パラメータ取得部103がそれを取得する構成であってもよい。これ以外にも、各パラメータの範囲や分割の細かさなどをユーザが入力し、仮想変形パラメータ取得部103がその指示に基づいてpの値を自動的に生成する構成であってもよい。また、磁気ディスク12などにpに関する情報をあらかじめ記録しておいて、仮想変形パラメータ取得部103がそれを取得できるようにしてもよい。
(変形例1−8)
本実施形態では画像撮影装置2としてMRI装置を用いる場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、X線CT装置、超音波画像診断装置、核医学装置などを用いることができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、第1の形状から第2の形状への変形を、対応する特徴領域の位置を指標として推定する場合について説明した。それに対し第2の実施形態では、さらに前記特徴領域以外の情報も用いることで、より高い精度で変形を推定する場合について説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態の第2形状取得部106および変形成分推定部108の処理の一部を変更したものである。それ以外の機能については第1の実施形態と同様の内容であるため、説明を省略する。
本実施形態に係る情報処理装置の機能構成は、第1の実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を示す図1と同様である。ただし、第2形状取得部106が取得した表面形状の情報を変形成分推定部108へ送信する処理をさらに行う点が、第1の実施形態とは異なっている。また、変形成分推定部108は、第2特徴点位置取得部107が抽出した第2の特徴領域の位置に加えて、さらに第2形状取得部106が取得する第2の表面形状に基づいて、変形成分推定値を算出する処理を行う。
なお、本実施形態に係る情報処理装置の全体の処理フローは図3で説明した第1の実施形態の処理フローと同様であるから、ここでは説明を省略する。ただし、本実施形態では、ステップS202およびステップS208で位置が取得される特徴領域の数(すなわち、n)が、ステップS200で得る第1の3次元画像とステップS207で得るレンジデータの状況に応じて変化するものとする。また、ステップS209で変形成分推定部108が実行する処理の内容は第1の実施形態とは異なるため、以下ではこれについて詳しく説明する。
図8は、本実施形態に係る変形成分推定部108がステップS209で実行する処理フローを、さらに詳しく説明する図である。
(S3100)
ステップS3100において、変形成分推定部108は、特徴領域の数nが3個以上の場合には以後の処理をステップS3101に進める。そうでない場合にはステップS3102に進めるように処理の切り変えを行う。
(S3101)
ステップS3101において、変形成分推定部108は、特徴領域の数nが3以上の場合の処理として、図9のフローチャートに示す処理を実行する。
(S2100)から(S2102)
ステップS2100からステップS2102の処理は、第1の実施形態におけるステップS1100からステップS1102と同様の処理であるから、説明を省略する。
(S2103)
ステップS2103において、変形成分推定部108は、ステップS2102で得た剛体変換パラメータの推定値Rとtに基づいて、第1の実施形態におけるステップS1103と同様の処理を実行して、剛体変換後の第2の特徴領域の位置を算出する。また、ステップS207で得た第2の表面形状を表す各点の座標に次式の剛体変換を施し、MRI座標系での各点の座標s2j_rigid(1≦j≦m)を算出する。
Figure 0005586917
ここで、s2j(1≦j≦m)は、ステップS207で得た第2の表面形状を表す各点の座標(すなわち、レンジセンサ座標系における座標)を表す。またmは、点の総数を表す。
(S2104)
ステップS2104において、変形成分推定部108は、ステップS2103の計算で得た点群s2j_rigid(1≦j≦m)の中から、推定変形形状sd_estを構成する表面ノードの夫々に最も距離が近接する点を対応づける処理を実行する。ただし、特徴領域ノードの夫々に関しては、剛体変換後の第2の特徴領域の位置(すなわち、数11のv2j_rigid)を対応付ける。
(S2105)
ステップS2105において、変形成分推定部108は、S2104で対応付けられた点間の誤差評価値dが小さくなるように、変形成分推定値cestを更新する処理を実行する。このとき、誤差評価値dとしては、例えば対応付けられた各点間のユークリッド距離の平均値を用いることができる。また、特徴領域ノードと対応点との距離と、それ以外の表面ノードと対応点との距離に異なる重みを与え、これらの加重平均を誤差評価値dとしてもよい。すなわち、特徴領域ノードが対応点と一致しないことにより大きなペナルティを与えるような評価尺度を用いてもよい。また、誤差評価値dは、これ以外にも、例えば各形状の輪郭面における法線方向も考慮して算出するようにしてもよい。このcestの更新処理は、第1の実施形態におけるステップS1104の処理と同様に、一般的に知られた非線形な最適化問題を解くことで実行することができるので、その詳細な説明は省略する。
(S2106)
ステップS2106の処理は、第1の実施形態におけるステップS1105と同様の処理であるから、説明を省略する。
以上に説明したように、ステップS3101の処理が実行される。
(S3102)
ステップS3102において、変形成分推定部108は、特徴領域の数nが2個である場合には以後の処理をステップS3103に進め、そうでない場合(特徴領域の数nが1個の場合)にはステップS3104に処理を進める切り変えを行う。
(S3103)
ステップS3103において、変形成分推定部108は、特徴領域の数nが2個の場合の処理を行う。具体的には、ステップS2102の部分を以下のように変更した上で、図9のフローチャートの処理を実行する。
まず、第1の特徴領域の位置および第2の特徴領域の位置のそれぞれにおいて、各2個の特徴領域を結ぶ直線同志が一致し、上記2個の特徴領域の中点位置が一致するような仮の剛体変換を算出する。ただし、上記2個の特徴領域を結ぶ直線を軸とした回転成分に曖昧さが残っている。ここで求めた仮の剛体変換を、以下では3行3列の回転行列R’および3次元の並進ベクトルt’とする。
そして、R’とt’を初期値として、回転行列Rおよび並進ベクトルtの修正をさらに行う。この修正は例えば、よく知られたICP(Iterative Closest Point)法を用いて実行することができる。例えば、現在の剛体変換パラメータに基づいてステップS2103及びS2104と同様な処理を実行し、剛体変換後の点群s2j_rigid(1≦j≦m)の中から、推定変形形状sd_estを構成する表面ノードの対応点を求める。そして、対応点間の誤差評価値dがなるべく小さくなるように、特徴領域間を結ぶ直線を軸とした回転成分の最適化を実行する。
(S3104)
ステップS3104において、変形成分推定部108は、特徴領域の数nが1個の場合の処理を行う。具体的には、ステップS2102の部分を以下のように変更した上で、図9のフローチャートの処理を実行する。
まず、第1の特徴領域の位置と第2の特徴領域の位置とが一致するように並進ベクトルt’だけを求め、回転行列R’には単位行列を設定する。そして、R’とt’を初期値として、回転行列Rおよび並進ベクトルtの修正をさらに行う。この修正は、例えばICP(Iterative Closest Point)法を用いて実行することができる。例えば、現在の剛体変換パラメータに基づいてステップS2103及びS2104と同様な処理を実行し、剛体変換後の点群s2j_rigid(1≦j≦m)の中から、推定変形形状sd_estを構成する表面ノードの対応点を求める。そして、対応点間の誤差評価値dを最小化するような前記特徴領域の位置を原点とした回転を求めることで、Rおよびtの最適化を実行する。
以上に説明した本発明における第2の実施形態によれば、特徴領域の位置だけでなく、さらに物体の表面形状に関する情報に基づいて処理を実行するため、第1の実施形態の効果に加えて、より高い精度で変形を推定できる効果がある。また、取得した特徴領域の数に応じて処理を切り変えることで、特徴領域に数に適した処理を実行できる効果がある。
(変形例2−1)
本実施形態では、ステップS209における変形成分推定部108の処理として、取得した特徴領域の数に応じて処理の内容を切り替える場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、予め取得する特徴領域の数が分かっている場合には、ステップS209の処理を、図8に示したステップS3101またはステップS3103またはステップS3104のいずれかの処理に置き換えて実行するようにしてもよい。この方法によれば、予め決められた特徴領域の数に適した処理を実行する機能だけを有する簡易な構成で本発明を実施できる効果がある。
[第3の実施形態]
第1の実施形態および第2の実施形態では、変形条件によって位置が変動する領域のみを特徴領域として用いる場合を例として説明した。それに対し本発明の第3の実施形態では、変形条件によって位置が変動しない固定された1個以上の領域(以下、固定特徴領域)を、さらに特徴領域として加える場合について説明する。これによれば、剛体変換の成分を拘束することができるため、より確信度の高い変形推定ができる効果がある。
本実施形態に係る情報処理装置の機能構成および全体の処理フローは、第2の実施形態と同様である。
本実施形態において形状測定装置3は、例えば不図示の磁気式センサなどを取り付けた超音波プローブを持つ超音波撮影装置などにより構成され、超音波プローブと対象物体(乳房)が接する位置を計測することで、対象物体の形状が測定されるものとする。また超音波画像として胸壁面401などが撮影され、その形状が計測されるものとする。
(S200)から(S201)
ステップS200及びステップS201の処理は、第1の実施形態と同様の内容であるため説明を省略する。
(S202)
ステップS202において、第1特徴点位置取得部102は、第1の実施形態における処理内容に加えて、対象物体の固定特徴領域を第1の3次元画像403から抽出する処理を行う。ここで固定特徴領域とは、例えば胸壁面401や不図示の胸骨や肋骨や鎖骨等における特徴的な部位であり、例えば剣状突起部等がこれに相当する。固定特徴領域は、第1の変形条件と第2の変形条件の違いによって位置が変動しない。
さらに、第1特徴点位置取得部102は、この固定特徴領域とその位置情報(以下、第1の固定特徴領域の位置)を固定ノードとして第1の形状モデルに追加する。なお、nは上記の処理で取得した固定特徴領域の数を意味する。本実施形態では、この固定特徴領域を1個以上抽出する場合を例として説明する。つまり、n≧1の場合について説明する。
(S203)及び(S205)
ステップS203及びステップS205の処理は、第1の実施形態と同様の内容であるため説明を省略する。
(S207)
ステップS207において、第2形状取得部106は、操作者が超音波プローブを物体表面上の特徴領域に接触さた際のプローブ先端位置を、物体表面上の特徴領域の「第2の特徴領域の位置」として取得する。また、第2の変形条件下における固定特徴領域の位置(以下、第2の固定特徴領域の位置)を得るための情報として、被検体に接触させた超音波プローブを操作者が操作して得た超音波画像群と、夫々の画像を撮影した際のプローブ位置を取得する。また、このときのプローブ先端位置の集合を、第2の変形条件下における乳房400の表面形状(第2の表面形状)として取得する。
(S208)
ステップS208において、第2特徴点位置取得部107は、第2の固定特徴領域の位置を取得する処理を実行する。具体的には、ステップS207で得た超音波画像群に画像処理を施し、ステップS202で得た固定特徴領域と対応する領域を抽出する。そして、超音波画像上における該対応領域の座標と、該超音波画像を撮像した際のプローブ位置とを利用して、形状測定装置3が基準とする座標系(以下、センサ座標系)における固定特徴領域の3次元座標を算出し、その座標を第2の固定特徴領域の位置とする。
(S209)
ステップS209において、変形成分推定部108は、図10のフローチャートに示す処理を実行して、変形成分推定値cestを求める。この処理は固定特徴領域の数が3個以上の場合、2個の場合、1個の場合の夫々で異なる処理が切り変えて実行される。以下、ステップS4100からステップS4104の各処理について詳しく説明する。
(S4100)
ステップS4100において、変形成分推定部108は、固定特徴領域の数nに応じて以後の処理を切り変える処理を実行する。ここでは固定特徴領域の数nが3以上の場合にはステップS4101へ進み、それ以外の場合にはステップS4102に進むように処理を切り変える。
(S4101)
ステップS4101において、変形成分推定部108は、固定特徴領域の数nが3以上の場合の変形成分推定処理を実行する。図11は、この処理のフローを詳しく説明する図である。以下、図11の処理について詳しく説明する。
(S5100)
ステップS5100において、変形成分推定部108は、第1の固定特徴領域の位置と第2の固定特徴領域の位置に基づいて、MRI座標系とセンサ座標系との間の剛体変換パラメータR、tを求める処理を実行する。なお、複数の対応点を用いて座標系変換を求める方法は周知であるので、詳細な説明は省略する。
(S5101)
ステップS5101において、変形成分推定部108は、ステップS5100で得たRとtに基づいて、第2の実施形態におけるステップS2103と同様の処理を実行する。そして、その結果として、剛体変換後の第2の特徴領域の位置と、第2の表面形状を表す各点のMRI座標系における座標を算出する。
(S5102)
ステップS5102において、変形成分推定部108は、変形成分推定値cestの初期化を行う。この初期化は、例えばcestをゼロベクトルとることで実行される。
(S5103)
ステップS5103において、変形成分推定部108は、第2の実施形態におけるステップS2101と同様の処理を実行して、推定変形形状sd_estを生成して夫々の表面ノードの推定座標値を取得する。
(S5104)
ステップS5104において、変形成分推定部108は、第2の実施形態におけるステップS2104と同様の処理を実行して、推定変形形状sd_estを構成する夫々の表面ノードの対応点を得る。
(S5105)
ステップS5105において、変形成分推定部108は、第2の実施形態におけるステップS2105と同様の処理を実行して、変形成分推定値cestを更新する。
(S5106)
ステップS5106において、変形成分推定部108は、第2の実施形態におけるステップS2106と同様の終了判定を実行する。そして、ステップS5106の終了判定が否定された場合には、ステップS5103に処理を戻して変形成分推定値cestの更新処理を継続する。すなわち、ステップS5103からステップS5106までの処理を、ステップS5106の終了判定が肯定されるまで反復して実行する。
以上に説明した処理により、変形成分推定部108はステップS4101の処理を実行する。
(S4102)
ステップS4102において、変形成分推定部108は、固定特徴領域の数nが2点の場合には以後の処理をステップS4103へ進め、それ以外の場合(nが1点の場合)にはステップS4104へ進むように処理の切り変えを実行する。
(S4103)
ステップS4103において、変形成分推定部108は、固定特徴領域の数nが2点の場合の変形成分推定処理を実行する。図12は、この処理のフローを詳しく説明する図である。以下、図12の処理について詳しく説明する。
(S6100)
ステップS6100において、変形成分推定部108は、第1の固定特徴領域の位置および第2の固定特徴領域の位置に基づいて、これら固定特徴領域の位置を一致させる剛体変換のパラメータRおよびtを仮設定する処理を実行する。この処理は、前記固定特徴領域がそれぞれ2個である場合に実行される処理であるため、前記2個の特徴領域を結ぶ直線を軸とした回転の成分に曖昧さが残る。ここではその成分に仮の値を設定し、次ステップ以降の処理を実行することで最終的な剛体変換のパラメータを決定するものとする。
(S6101)から(S6102)
ステップS6101及びステップS6102において、変形成分推定部108は、ステップS5102及びステップS5103と同様の処理を実行する。
(S6103)
ステップS6103において、変形成分推定部108は、固定特徴領域以外の夫々の特徴領域に関して、ステップS6102で得た特徴領域ノードの推定座標値と、対応する第2の特徴領域の位置が最も一致するように、Rとtを修正する。ただし、この修正は、第1の固定特徴領域の位置と第2の固定特徴領域の位置とを結ぶ直線を軸とした回転の成分だけを修正するものとする。
(S6104)
ステップS6104において、変形成分推定部108は、ステップS5101と同様の処理を実行して、ステップS6103で得たRとtに基づいて、第2の特徴領域の位置及び第2の表面形状を表す各点の剛体変換後の座標を算出する。
(S6105)から(S6107)
ステップS6105からステップS6107において、変形成分推定部108は、ステップS5104からステップS5106と同様の処理を実行する。そして、ステップS6107の終了判定が否定された場合には、ステップS6102に処理を戻して変形成分推定値cestの更新処理を継続する。すなわち、ステップS6102からステップS6107までの処理を、ステップS6107の終了判定が肯定されるまで反復して実行する。
以上に説明した処理により、変形成分推定部108はステップS4103の処理を実行する。
(S4104)
ステップS4104において、変形成分推定部108は、固定特徴領域の数nが1点の場合の変形成分推定処理を実行する。この処理は、ステップS6100とステップS6103の処理を以下のように変更した上で、ステップS4103と同様な処理によって実行できる。すなわち、ステップS6100において、変形成分推定部108は、第1の固定特徴領域の位置および第2の固定特徴領域の位置に基づいて、これら固定特徴領域の位置を一致させる並進ベクトルtを算出する。また、回転行列Rの初期値として単位行列を設定する。また、ステップS6103において、変形成分推定部108は、固定特徴領域以外の夫々の特徴領域に関して、ステップS6102で得た特徴領域ノードの推定座標値と、対応する第2の特徴領域の位置が最も一致するように、Rとtを修正する。ただし、この修正は、固定特徴領域の位置が一致することを拘束条件とし、それらの領域の位置を中心とした3自由度の回転成分だけを修正するものとする。
以上に説明したステップS4100からステップS4104の処理により、変形成分推定部108は、ステップS209の処理である変形成分推定値cestの算出を完了する。
(S210)から(S212)
ステップS210からステップS212の処理は、第1の実施形態と同様の内容であるため説明を省略する。
本実施形態によれば、胸壁面401などに存在する固定特徴領域を用いることで、剛体変換の成分を拘束することができるため、より確信度の高い変形推定を実行できる効果がある。
以上説明したように本発明によれば、対象物体の変形パラメータが未知の場合であっても、変形を高精度かつ高速に推定する仕組みを提供できる。
[その他の実施形態]
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な情報処理装置の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
1 情報処理装置
100 第1画像取得部
101 第1形状取得部
102 第1特徴点位置取得部
103 仮想変形パラメータ取得部
104 変形形状群生成部
105 変形形状モデル生成部
106 第2形状取得部
107 第2特徴点位置取得部
108 変形成分推定部
109 変位ベクトル算出部
110 変形画像生成部
111 画像表示部
2 画像撮影装置
3 形状測定装置

Claims (7)

  1. 原画像の形状を対象画像又は対象物体の形状に近似するように変形推定を行う情報処理装置であって、
    第1の変形条件下で取得された前記原画像の形状に関する情報と前記原画像の特徴領域の位置情報とを取得し、複数のパラメータに対応する前記原画像の複数の変形形状と該変形形状に対応付けられた前記特徴領域の位置情報に基づいて、前記原画像の変形形状モデルを生成する変形形状モデル生成手段と、
    第1の変形条件下で取得された前記原画像の特徴領域と対応する第2の変形条件下で取得された前記対象画像又は対象物体の特徴領域の位置情報を拘束条件として、前記変形形状モデルに従って、前記原画像の形状を前記対象画像又は対象物体の形状に近似するように変形推定を行う変形推定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
  2. 原画像の形状を対象画像又は対象物体の形状に近似するように変形推定を行う情報処理装置であって、
    第1の変形条件下で取得された前記原画像の形状に関する情報を取得する第1形状取得手段と、
    第2の変形条件下で取得された前記対象画像又は対象物体の形状に関する情報を取得する第2形状取得手段と、
    前記第1の変形条件下における前記原画像の第1の特徴領域の位置情報を取得する第1特徴点位置取得手段と、
    前記第2の変形条件下における前記対象画像又は対象物体の第2の特徴領域の位置情報を取得する第2特徴点位置取得手段と、
    複数のパラメータに対応する前記原画像の変形形状と該変形形状に対応付けられた前記特徴領域の位置情報から、前記原画像の変形形状モデルを生成する変形形状モデル生成手段と、
    前記第1の特徴領域の位置情報と前記第2の特徴領域の位置情報を拘束条件として前記変形形状モデルに基づいて、前記第2の変形条件下における前記原画像の形状を前記対象画像又は対象物体の形状へ変形するための推定をする変形推定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
  3. さらに、前記対象画像又は対象物体の形状の一部に関する情報を取得する第2形状取得手段を有し、
    前記変形推定手段は、前記第2形状取得手段が取得した前記対象画像又は対象物体の形状の一部に関する情報にさらに基づいて、前記対象画像又は対象物体への変形を推定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  4. さらに、前記第1の変形条件下における前記対象物体を原画像として撮影した画像を取得する画像取得手段と、
    前記変形推定手段が推定した変形に基づいて、前記画像取得手段が取得した画像を変形する変形画像生成手段とを有し、
    前記形状取得手段及び/または前記第1の特徴領域の位置取得手段は、前記画像取得手段が取得した画像から所定の情報を取得することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記対象物体は人体の乳房であり、前記対象物体の特徴領域は少なくとも人体の乳頭を含むことを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 原画像の形状を対象画像又は対象物体の形状に近似するように変形推定を行う情報処理方法であって、
    第1の変形条件下で取得された前記原画像の形状に関する情報と前記原画像の特徴領域の位置情報とを取得し、複数のパラメータに対応する前記原画像の複数の変形形状と該変形形状に対応付けられた前記特徴領域の位置情報に基づいて、前記原画像の変形形状モデルを生成する生成工程と、
    第1の変形条件下で取得された前記原画像の特徴領域と対応する第2の変形条件下で取得された前記対象画像又は対象物体の特徴領域の位置情報を拘束条件として、前記原画像の形状を前記対象画像又は対象物体の形状に近似するように変形推定を行う変形推定工程と、を有することを特徴とする情報処理方法。
  7. 請求項6に記載される情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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