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JP5583434B2 - ウェハ裏面研削用粘着シート、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents

ウェハ裏面研削用粘着シート、その製造方法及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウェハ裏面を研削する際にその反対面であるウェハの凹凸回路パターンが形成されている表面を保護するために表面に貼り付けて使用するウェハ裏面研削用粘着シート、その製造方法並びにその使用方法に関する。
近年、エレクトロニクス機器分野において、集積化、小型化、薄型化などの要求は極めて大きく、通常、シリコンウェハ、GaP系ウェハ、SiC系ウェハその他の半導体ウェハや、LEDなどの製造にはサファイヤなどの絶縁性のウェハなどが用いられ、この上に更に必要な回路などが形成されていくが、この製造工程において、通常、ウェハを研削して薄くする工程が入る。ウェハを研削して薄くする工程は、ウェハ研削後に回路を形成すると、ウェハが薄いため、回路形成工程にてウェハが欠けたり或いは破損する危険性があるので、ウェハの片面に必要な回路などを形成させた状態で行われ、当該回路などを形成した面(以下、表面と略称する)の汚染や回路の破損などを防止し、保護するため、粘着テープなどの粘着シートを表面に貼着して当該ウェハの裏面を研削し薄くすることが行われている。ウェハの裏面とは、上記ウェハ研削工程の時点においては回路などが形成されていない面を言い、裏面に必要に応じその後回路などが形成されることは自由である。
そして上述したような目的で使用される粘着シートを、本願においては、「ウェハ裏面研削用粘着シート」と称する。この「ウェハ裏面研削用粘着シート」は、「ウェハ裏面研削用粘着テープ」を包含する概念である。
このウェハ裏面研削用粘着シートは、突起状のバンプ電極その他の回路などが形成されているウェハ表面に粘着シートの粘着剤層側をウェハ表面側に向けて貼り付けられるがウェハ表面は突起状のバンプ電極その他の回路などが形成されているので凹凸が生じている。この凹凸ができるだけ粘着シートの基材フィルム側に反映しないような粘着シートとすることが、均一な研削をする上で好ましい。この凹凸が粘着シートの基材フィルム側に反映してしまうと、基材フィルムを貼った状態でウェハ表裏面から押さえつけられてウェハ裏面が研削されるので、凹凸が粘着シートの基材フィルム側に反映していると、突起物のある部分に余分に力が作用し、不均一な研削になったり、研削後ウェハ厚み精度の確保が難しくなったり、場合によっては、クラックが生じてウェハが破損するからである。
更に、かかる研削が終了した時点で、ウェハ裏面研削用粘着シートはウェハ表面からはがして捨てることになるが、研削後のウェハ表面から粘着シートを剥離させた際に、粘着剤の一部が残り、ウェハ表面を汚染させないことが必要である。
また、ウェハ裏面研削用粘着シートは使い捨て品なので、製造コストが安いということも要求される。すなわち、なるべく不要な材料を使用せずに、工程数をできるだけ少なくして製造できることが製造コストの削減に寄与する。
ウェハ裏面研削用粘着シートとして、下記特許文献1には、基材フィルムの片表面に少なくとも1層の中間層、及び粘着剤層が設けられ、粘着剤層(B)の50〜100℃における貯蔵弾性率(G')の最小値(G'min)が0.07〜5MPaであり、中間層の少なくとも1層(C)の50℃における貯蔵弾性率が0.001MPa以上、0.07MPa未満であり、且つ、粘着剤層(B)の厚み(tb、単位:μm)と前記貯蔵弾性率を有する中間層(C)の合計厚み(tc、単位:μm)が数式tc≧3tb ・・・(1)の関係を満たすことを特徴とする半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムが提案されている。
特開2003−173994号公報
上記特許文献1に提案されているウェハ裏面研削用粘着シートは、貯蔵弾性率を厳密にコントロールする必要があることと、製造方法からも明らかなように、この粘着テープを製造するには、(1)離型性シート(a)に中間層の塗液を塗布し乾燥し、(2)実際の工業的製造では長尺物なので巻き取りながら中間層側に基材となる基材フィルムを貼り合せ、離型性シート(a)/中間層/基材フィルムの3層で巻き取り、(3)次に別の離型性シート(b)に粘着剤層の塗液を塗布し乾燥し、(4)実際の工業的製造では長尺物なのでこれを巻き取りながら、前記(2)の離型性シート(a)/中間層/基材フィルムの3層から離型性シート(a)を剥がしながら、中間層を露出させ中間層側を離型性シート(b)/粘着剤層からなる粘着剤層を貼り合せ、基材フィルム/中間層/粘着剤層/離型性シート(b)の構成とし、この粘着シートを使用する際に、離型性シート(b)を剥がして使用することになる。
つまり、離型性シート(a)と(b)の2枚が必要で、最低上記4工程が必要となる。
また、粘着剤層は、ウェハに貼り合せた時と剥がす時に、貼り合せる時は粘着力が強く、はがすときは意図的に粘着力の変化を生じさせ、粘着力を弱くするような工夫がされていないので、しっかり粘着させるが、剥がした時には粘着剤が残らないようにすることは、相反する性質を粘着剤層にもたせることになり、極めて、厳密な貯蔵弾性率のコントロールが必要になるので、品質安定面で不安が残ることになる。
本発明は、貯蔵弾性率のコントロールではなく、ウェハに貼り合せる時にはしっかり粘着し、はがすときには、紫外線などの電離性放射線を照射することにより、粘着剤層の架橋が容易に進んで粘着剤層の粘着力が低下し、粘着剤が残らずに容易に問題なく剥離できるタイプの粘着シートで、ウェハの凹凸回路パターンが形成されている表面に貼り合せても、中間層が有するガラス転移点Tgが20℃以下で常温で塑性又又は弾性を有している性質を利用し、また粘着剤層もその物性上、塑性又は弾性を有するので、中間層、粘着剤層が変形し、凹凸を中間層、粘着剤層で吸収して基材フィルムへの凹凸の反映をできるだけ少なくし、ウェハ研削においてウェハ裏面の不均一な研削やクラックによるウェハの破損が生じにくく、製造コストを抑えたウェハ裏面研削用粘着シート、その製造方法及びその使用方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、次のものである。
(1)ウェハの裏面を研削する際に、ウェハの凹凸回路パターンが形成されている表面を保護するためのウェハ裏面研削用粘着シートであって、前記粘着シートは、電離性放射線を透過し得る基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面側に形成された中間層とその上に積層された粘着剤層と、粘着剤層表面をカバーし使用時に剥離除去して使用する離型性シートを含む粘着シートからなり、前記中間層がガラス転移点Tgが20℃以下であって常温で塑性又は弾性を有する中間層であって、前記粘着剤層と中間層は、これらを構成するための塗液が同時に塗工されることにより形成された粘着剤層と中間層であり、また、前記粘着シートの離型性シートを剥がして当該粘着層側をSUS−304BA板に貼り付けた場合に、電離放射線照射前のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mm以上8.0N/10mm以下で、かつ、電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mmより低くなることを特徴とするウェハ裏面研削用粘着シート。
(2)前記(1)項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記粘着シートの粘着剤層厚み(ta、単位μm)と中間層厚み(tm、単位μm)とウェハの凹凸パターンが形成されているウェハ表面の突起物高さ(ha、単位μm)が式(1)および式(2)を満す粘着シートであることが好ましい。
ha≦(ta+tm)・・・(1)
ta<tm・・・・・(2)
(3)前記(1)項又は(2)項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記粘着シートの粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含み、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーを含むモノマーの共重合体に、前記官能基含有モノマー官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物とを含む化合物を反応させることにより構成された共重合体を含む層からなることが好ましい。
(4)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記中間層が、ナノインデンテーション法で荷重200mgfをかけた時の、圧子の押し込み深さが5μm〜15μmであることが好ましい。
(5)前記(3)項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記主モノマーが、当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃以下となるモノマーであり、前記コモノマーが当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃より高くなるモノマーであることが好ましい。
(6)前記(3)または(5)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記主モノマーが2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
(7)前記(3)、(5)または(6)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記コモノマーが、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレートから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
(8)前記(3)、(5)または(6)〜(7)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記官能基含有モノマーが、不飽和二重結合とともに官能基として、−COOH基、−OH基、−NR12基(但し、R1、R2はそれぞれ−H又は−CH3を表す)、及びグリシジル基から選ばれたいずれかの基を含有するモノマーから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
(9)前記(3)、(5)または(6)〜(8)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物が、置換基として−NCO基を1個有する不飽和基含有化合物であることが好ましい。
(10)前記(3)、(5)または(6)〜(9)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記粘着剤層を構成する、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーと、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物の使用割合が、これらの合計重量に対し、前記主モノマー50〜95重量%、前記コモノマー0〜30重量%、前記官能基含有モノマー1〜30重量%、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物1〜30重量%であることが好ましい。
(11)前記(3)、(5)または(6)〜(10)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記粘着剤層が、更に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する官能基を2つ以上含有する熱架橋剤で架橋されており、前記熱架橋剤の使用割合が、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーの共重合体に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られた共重合反応物と熱架橋剤の合計重量に対し0.001〜10重量%であることが好ましい。
(12)前記(3)、(5)または(6)〜(11)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートにおいては、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物が、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネートからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法は、次のものである。
(13)前記粘着剤層と中間層を構成するための塗液を、粘着剤層側が離型性シートに接する側になるように、前記離型性シート上に塗工する工程と、塗工された粘着剤層と中間層を構成するための塗液層を乾燥させる工程と、前記離型性シート上に形成された粘着剤層と中間層の中間層露出面側に基材フィルムを積層する工程、必要に応じ更に熱架橋する工程を含むウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法であって、前記粘着剤層と中間層を構成するための塗液を、前記離型性シート上に同時に塗工することを特徴とする前記(1)〜(12)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法。
また本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法は、次のものである。
(14)前記(1)〜(12)項のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートの離型性シートを剥離除去し、この粘着シートの粘着剤層側をウェハの凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に貼り合せ、ウェハ裏面を研削し、ウェハ裏面研削終了後、当該粘着シートの基材フィルム側から電離性放射線を照射して、前記粘着剤層の粘着力を低下させた後、当該粘着シートをウェハ表面から剥離させることを特徴とするウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法。
(15)前記(14)項のウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法においては、前記電離性放射線の照射が、150mJ/cm2〜1000mJ/cm2であることが好ましい。
本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、ウェハに貼り合せる時にはしっかり粘着し、ウェハ裏面研削時において凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面への研削液による汚染を防止でき、粘着シートをはがすときには、紫外線などの電離性放射線を照射することにより、粘着剤層の光硬化が容易に進んで粘着剤層の粘着力が低下し、且つ前記粘着剤層と中間層は、これらを構成するための塗液が同時に塗工されることにより形成された粘着剤層と中間層であるので、粘着剤層と中間層の界面の接合が強くなり、ウェハ表面に貼付した粘着シートを剥がした時に、粘着剤層が中間層から剥離して粘着剤が凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面に残らずにウェハ表面を汚染することなく容易に問題なく剥離できるタイプの粘着シートを提供できる。そして、ウェハ研削時に凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面に貼り合せても、中間層が有するガラス転移点Tgが20℃以下であって常温で塑性又は弾性を有している性質を利用し、また粘着剤層もその物性上、塑性又弾性を有するので、中間層、粘着剤層が前記ウェハ表面の凹凸回路パターンの凹凸に応じて変形し、ウェハ表面の凹凸回路パターンの凹凸を中間層、粘着剤層で吸収して基材フィルムへの凹凸の反映をできるだけ少なくし、ウェハ研削においてウェハ裏面の不均一な研削やクラックによるウェハの破損が生じにくく、しかも中間層の素材は、粘着剤層と同様の組成にしなくてもよく、従って粘着剤層よりも安価な材料が使用でき製造コストを抑えたウェハ裏面研削用粘着シートの提供が可能となる。
すなわち、本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、ウェハ表面に凹凸回路パターンが形成されているウェハの裏面研削時における研削水による汚染がなく電離放射線照射後のウェハ上の糊残り(汚染性)を低減させることができかつウェハの回路の凹凸に追従して研削後のウェハ厚み精度を確保できることが可能となるウェハ裏面研削用粘着シートが提供できる。
また、本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法によれば、粘着剤層と中間層を構成するための塗液が前記離型性シート上に同時に塗工されるので、粘着剤層と中間層の界面の接合が強くなり、ウェハ表面に貼付した粘着シートを剥がした時に、粘着剤層が中間層から剥離して粘着剤が凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に残らずにウェハ表面を汚染する可能性をより一層防止し得るウェハ裏面研削用粘着シートを製造できる。そして、粘着剤層と中間層を同時に塗工するので、工業的な現実の生産の場合においても、(1)離型性シート(a)に粘着剤層/中間層を同時に連続的に塗布し乾燥し、離型性シート(a)/粘着剤層/中間層の3層構成とし、(2)実際の工業的製造では長尺物なのでこれを巻き取りながら中間層側に基材となる基材フィルムを貼り合せて、離型性シート(a)/粘着剤層/中間層/基材フィルムの4層で巻き取り、この粘着シート使用する際に、離型性シート(b)を剥がして使用することになる。
従って、上記特許文献1に記載の従来の粘着シートの現実の工業的製造工程と比べると半分の工程数ですみ、従って工程数が少なくなるのでコストが安くなるとともに、離型性シートも半分で済み大幅にコストが安くできるのと、工程数が少なくなるので、不良発生の機会がそれだけ減少し、生産歩留まりが向上するのでこれもコストを安くできる要因として寄与する。なお、本発明方法により得られる裏面研削用粘着シートは、裏面研削用粘着シートの発明の効果の項で上述した効果を奏する裏面研削用粘着シートを製造することができる。
また、本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法によれば、ウェハ裏面研削用粘着シートの離型性シートを剥離除去し、この粘着シートの粘着剤層側をウェハの凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に貼り合せ、ウェハ裏面を研削し、ウェハ裏面研削終了後、当該粘着シートの基材フィルム側から電離性放射線を照射して、前記粘着剤層の粘着力を低下させた後、当該粘着シートをウェハ表面から剥離させるので、粘着シートをウェハ表面から剥がす時の剥離力が小さくなり、粘着剤層の粘着剤が凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面に残らずにウェハ表面を汚染することなく容易に問題なく剥離できる。しかも上述したように、ウェハの裏面研削時における研削水による汚染がなく電離放射線照射後のウェハ上の糊残り(汚染性)を低減させることができかつウェハの回路の凹凸に追従して研削後のウェハ厚み精度を確保できることが可能となる。
本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、電離性放射線を透過し得る基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面側に形成された中間層とその上に積層された粘着剤層と、粘着剤層の表面をカバーしていて当該粘着シート使用前の粘着層への異物の附着や、粘着層の性能変化を防止するための使用時に剥離除去して使用される離型性シートを含み、中間層がガラス転移点Tgが20℃以下であって常温で塑性又は弾性を有する中間層であって、前記粘着剤層と中間層は、これらを構成するための塗液が同時に塗工されることにより形成された粘着剤層と中間層であり、また、前記粘着シートの離型性シートを剥がして当該粘着層側をSUS−304BA板に貼り付けた場合に、電離放射線照射前のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mm以上8.0N/10mm以下で、かつ、電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mmより低くなる電離放射線照射前のウェハ裏面研削用粘着シートである。
上記粘着シートの剥離力は、前記粘着シートの離型性シートを剥がして当該粘着層側をSUS−304BA板に貼り付けた場合電離放射線照射前のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mm以上8.0N/10mm以下であり、同様にSUS−304BA板に貼り付けた場合、電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mmより低くなる、好ましくは電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が0.8N/10mm以下、より好ましくは0.5N/10mm以下となる粘着シートである。
本発明においては、このような特性を有する本発明のウェハ裏面研削用粘着シートを用いることにより、ウェハに貼り合せる時にはしっかり粘着し(粘着シートをウェハに貼り合せる時には上述したように、離型性シートを剥がして使用)、ウェハ表面よりはがすときには、紫外線などの電離性放射線を照射することにより、粘着剤層の架橋が容易に進んで粘着剤層の粘着力が低下し、粘着剤が凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面に残らずにウェハ表面を汚染することなく容易に問題なく剥離できるタイプの粘着シートを提供できる。
当然のことながら、上記説明からも明らかなように、ウェハに貼り合せる時には電離性放射線が未照射の状態の本発明のウェハ裏面研削用粘着シートを用いる。本願請求項1〜13で「ウェハ裏面研削用粘着シート」と記載して請求している事項は、この電離性放射線が未照射の状態の本発明のウェハ裏面研削用粘着シート並びにその製造方法であることを意味している。即ち前記請求項1で「前記粘着シートの離型性シートを剥がして当該粘着層側をSUS−304BA板に貼り付けた場合に、電離放射線照射前のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mm以上8.0N/10mm以下で、かつ、電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mmより低くなる」との記載は、本発明の粘着シートの特性を規定するための要件であって、本願請求項1〜13の発明が電離放射線照射後のウェハ裏面研削用粘着シート又はその製造方法を請求している意味ではない。
かくして、かかる本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、電離性放射線が未照射の状態のウェハ裏面研削用粘着シートをウェハの凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に貼り合せ、研削装置に装着し(特に限定するものではないが、粘着シートが貼付された側が研削装置の治具に減圧吸引で吸引固定されて、粘着シート貼付のウェハが把持され、ウェハ裏面が研削される)、ウェハ裏面研削し、ウェハ裏面研削終了後、研削装置の治具から粘着シート貼付のウェハを取り外し、粘着シートがウェハに貼着したままの状態で、紫外線などの電離性放射線を、たとえば、150mJ/cm2〜1000mJ/cm2程度粘着シートの基材フィルム側から照射することにより、少なくとも粘着剤層の光硬化を増進させて、粘着力(剥離力)を低下させた状態で、ウェハ表面から剥離するという使用方法が採用される。剥離の際に照射する電離性放射線の照射量は、照射する電離性放射線の種類、粘着剤層を構成する素材の構成、粘着剤層の厚さや、どれだけの剥離力にするかなどによって異なるが、150mJ/cm2〜1000mJ/cm2程度が目安となる照射量である。
本発明のウェハ裏面研削用粘着シートを構成する基材フィルムとしては、電離性放射線を透過し得る基材フィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレン又はポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート積層フィルム、エチレンプロピレン共重合体/ポリプロピレン積層フィルム、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層積層フィルムなどが代表的な例であるが、何らこれらのフィルムに限定されるものではなく、例えば日本特開2003−173994号公報の[0031]などに記載のフィルムやこれらの積層フイルムなどで、電離性放射線が透過可能なフィルムが挙げられる。これらの基材フィルムの中間層が形成される側の表面が、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、易接着アンカーコート処理などの易接着処理がされていてもよい。
基材フィルムの厚さは、電離性放射線が透過可能な厚さであれば特に制限するものではないが、あまり厚いとコストがかかるのと、余りに薄すぎると、強度が不十分となるので、フィルムの種類にもよるが、10〜300μm程度の範囲が目安となる。
粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む層であって、通常、主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーを含むモノマーの共重合体に、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させることにより構成された共重合体を含む層からなることが好ましい。本発明で「(メタ)アクリル酸・・・・」とは「アクリル酸・・・・及び/又はメタクリル酸・・・・」を意味する。
前記主モノマーとしては、主にタッキネスを付与するための成分で、通常のアクリル系粘着剤の主モノマーとして使用されている公知のモノマーが挙げられ、通常、当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃以下となるモノマーがタッキネスを付与する観点から好ましく用いられる。具体例としては、好ましくは、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)、ブチルアクリレート(Tg:−55℃)、エチルアクリレート(Tg:−22℃)などがあげられる。主モノマーは2種類以上併用してもよい。
なお、ここでモノマーの単独重合体のガラス転移点Tgは、「Polymer Handbook」3rd edition edited by J. Brandrup, E. H. Immergut, A Wiley-Interscience publication include indexes ISBN 0-471-81244-7, Copy right 1989 by John Wiley & Sons. Inc.に記載されているガラス転移点を基準にする。上記で、括弧内のTgは当該モノマーの単独重合体のガラス転移点を示すものであり以下のモノマーについても同様である。
前記コモノマーとしては、主に凝集力を付与するための成分で、通常のアクリル系粘着剤のコモノマーとして使用されている公知のモノマーが挙げられ、通常、当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃より高くなるモノマーが凝集力の効果を十分発揮させる観点から好ましく用いられる。具体例としては、好ましくは、スチレン(Tg:80℃)、アクリロニトリル(Tg:97℃)、酢酸ビニル(Tg:32℃)、メチルアクリレート(Tg:8℃)、メチルメタクリレート(Tg:105℃)などがあげられる。コモノマーは2種類以上併用してもよい。尚、コモノマーは、必ずしも使用しなくてもよく、必要に応じて使用すればよい。
前記官能基含有モノマーとしては、モノマーであるから、不飽和二重結合を有する。そして不飽和二重結合とともに官能基を有するモノマーであり、官能基としては、例えば−COOH基、−OH基、−NR12基(但し、R1、R2はそれぞれ−H又は−CH3を表す)、及びグリシジル基などの基を含有するモノマーなどがあげられ、特に−OH基及び/又は−COOH基を含有するモノマーが好ましい。
これらのモノマーは、主として架橋基点を導入するために用いられるモノマーであり、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられる。
以上、主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーのそれぞれの不飽和結合を利用して、これらを共重合することにより、ポリマー主鎖に官能基含有モノマーの官能基を側鎖として有する形の共重合体になる。
そして、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(以下、他のモノマーとの区別が分かるように、あるいは、表現を簡易化するため符号(A)を付けて「官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)」ないしは単に「不飽和基含有化合物(A)」と表現することがある。)は、かかる置換基を1個有する不飽和基含有化合物(A)が用いられる。不飽和基は、紫外線などの電離性放射線照射により重合する重合性不飽和結合であり、この不飽和基は、不飽和基含有化合物(A)1分子中に少なくとも1個有していればよい。かかる不飽和基含有化合物(A)の不飽和基は、通常、光重合開始剤の存在下で紫外線などの電離性放射線照射により重合する(すなわち架橋反応を生じる)重合性不飽和結合を有するものである。
この不飽和基含有化合物(A)については、前述の主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーを共重合して形成されたポリマー主鎖に官能基含有モノマーの官能基を側鎖として有する形の共重合体の官能基に前記不飽和基含有化合物(A)の1個の置換基が反応して結合する。その結果、前述したポリマー主鎖に官能基含有モノマーの官能基を側鎖として有する形の共重合体に前記不飽和基含有化合物(A)の重合性不飽和基が付加された形となる。従って、電離性放射線照射前においては、粘着剤層においては、ポリマー鎖に重合性不飽和基が付加された形となっており、この状態で、このウェハ裏面研削用粘着シートは、ウェハ表面に貼り合せられ、裏面研削終了後、粘着シートに電離性放射線照射をすることにより、上記重合性不飽和基が付加されたポリマー鎖の前記重合性不飽和基同志を重合させて、ポリマー鎖を架橋することにより粘着剤層の粘着力を減退させ、剥離力を小さくする機能を発揮する。かくして電離性放射線照射後に、当該粘着シートを剥離除去するのである。
かかる不飽和基含有化合物(A)としては、官能基含有モノマーの官能基が活性水素を含有する官能基であることが多いので、−NCO基を1個有する不飽和基含有化合物であることが好ましい。
前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネートなどがあげられる。
以上の、主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーと、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)の使用割合は、これらの合計重量に対し、前記主モノマー50〜95重量%、前記コモノマー0〜30重量%、前記官能基含有モノマー1〜30重量%、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物1〜30重量%であることが好ましい。
以上の如く、主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーを共重合し、上述したように、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を反応させて得られる粘着剤層を構成するための粘着剤は、必要に応じて、凝集性を付与し、粘度を調整するために、官能基含有モノマー由来の前記ポリマー主鎖に官能基含有モノマーの官能基を側鎖として官能基で残存しているもの(すなわち、不飽和基含有化合物(A)と反応せずに残っている官能基)と反応して熱架橋を生じさせる熱架橋剤を添加して、一部架橋させておくことが好ましい。熱架橋剤を使用する場合、熱架橋剤の添加時期は後述する。
かかる熱架橋剤としては、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する官能基を2つ以上含有する化合物が好ましく、官能基含有モノマーの官能基の種類によって異なるが、例えば、ポリイソシアネート系熱架橋、エポキシ系熱架橋などが用いられ、具体的には、ポリイソシアナート系熱架橋化合物として、芳香族有機多価イソシアナート化合物、脂肪族有機多価イソシアナート化合物、脂環族有機多価イソシアナート化合物およびこれらの多価イソシアナート化合物の三量体、ならびにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等が挙げられる。ポリイソシアナート系熱架橋化合物の具体的な例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアナート、リジンイソシアナート等が挙げられる。また、エポキシ系熱架橋化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、1,3−ビス(N,Nジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(N,Nジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミジフェニルメタン等が挙げられる。
熱架橋剤を併用する場合には、熱架橋剤の使用割合は、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーの共重合体に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られた共重合反応物と熱架橋剤の合計重量に対し0.001〜10重量%であることが好ましい。すなわち、熱架橋剤による架橋は、凝集性を付与し、粘度を調整するために用いられるのであるから、あまり多くの架橋をさせるものではないので、熱架橋剤の使用量は少なめになる。
また電離放射線照射後に粘着力の低下を引き起こす特性を効果的にするため、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤の添加時期は後述する。
かかる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、べンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、ナフトキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2、3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物、α−ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、ミヒラーケトン類など公知の各種の光重合開始剤を用いることができる。これらは単独でも、二種以上を組み合わせても使用できる。光重合開始剤を併用する場合には、光重合開始剤の使用割合は、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーの共重合体に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られた共重合反応物と光重合開始剤の合計重量に対し、0.05〜5重量%であることが好ましい。
主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーの共重合は、溶媒の存在下でラジカル重合させる溶液重合法(ラジカル溶液重合と略称する)が好ましく採用されるが、これに限定されるものではない。
溶媒としては、従来の粘着剤の製造において、ラジカル溶液重合に用いられる公知溶媒が用いられる。特に限定するものではないが、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが代表的な溶媒である。
必要に応じ、ラジカル溶液重合に用いられる、公知の重合開始剤、連鎖移動剤等が添加されていてよい。
なお、かくして得られた主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーを含む共重合体の官能基含有モノマー由来の官能基に、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を反応させるには、主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーをラジカル重合により反応させ、その反応溶液状態のものに、官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物、例えば2-メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(以下MOIと略す)などを反応温度10℃〜60℃の範囲で1〜10hr反応させることにより、主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーを含む共重合体の前記官能基含有モノマー由来の官能基にそれと反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を反応させることができる。
また、前記主モノマー/コモノマー/官能基含有モノマーを含む共重合体で、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を反応させて得られた反応生成物(この反応生成物を「反応生成物(B)」と略称することあり)に更に熱架橋を反応させるには、反応生成物(B)に適宜の溶媒、例えば酢酸エチルに溶かした熱架橋剤を例えば、20℃〜60℃の範囲で、長時間、例えば、1日〜7日程度加熱して穏やかな架橋を行うことが好ましい。反応生成物(B)に予め熱架橋剤を加えて貯蔵しておくのではなく、粘着剤を離型性シートなどの基材に塗布し粘着シートを製造する際のなるべく直前に添加する。反応生成物(B)に予め熱架橋剤を加えて貯蔵しておくと、これらが反応して固化してしまうおそれがあるからである。尚、前述した光重合開始剤も同様であり、反応生成物(B)に予め光重合開始剤を加えて貯蔵しておくのではなく、粘着剤を離型性シートなどの基材に塗布し粘着シートを製造する際のなるべく直前に添加する。予め光重合開始剤を加えて貯蔵しておくと光重合開始剤が分解し、反応生成物(B)の架橋の進行が生じてしまうことを防止するためである。
即ち、熱架橋剤と光重合開始剤とを使用する場合には、粘着剤としては、反応生成物「B」まで作成し、この反応生成物「B」からなる粘着剤を用いて粘着シートを形成する際、この反応生成物「B」に対して、熱架橋剤と光重合開始剤を添加する。反応生成物「B」に熱架橋剤と光重合開始剤を添加したものを反応生成物「C」とした場合、反応生成物「C」を離型性シートに中間層を構成するための塗液の塗布と同時に、前記離型性シート上に塗工、乾燥後、中間層露出面側に基材フィルムを積層しシート化する。シート化したものを熱架橋する。光重合開始剤が添加されている場合に、熱架橋は、強い光が当たらないようにして、具体的には、光が遮断できるような恒温槽にて20〜60℃の範囲で、長時間、例えば、1〜7日程度加熱して穏やかな熱架橋を行う。
次に中間層としては、ウェハを研削する際に、凹凸回路パターンが形成されているウェハの表面に本発明の粘着シートを貼り合せた時に、粘着剤層とともに、ウェハ凹凸回路パターンの突出部に応じて、へこみ、ウェハの表面凹凸を粘着剤層とともに中間層で吸収してその上の層である基材フィルムへの凹凸の反映をできるだけ少なくできる性質、すなわち、ガラス転移点Tgが20℃以下であって常温で塑性又は弾性を有している性質を有し、粘着剤層や基材フィルムに非接着性でないもの、好ましくは、粘着剤層や基材フィルム(前述した中間層が積層される面が易接着処理されている基材フィルムを含む)と積層したときに、これらと接着性が良好な素材からなるものであればよい。更に、前記中間層は、常温で塑性又は弾性を有している性質を、ナノインデンテーション法で評価した場合、荷重200mgfをかけた時の、圧子の押し込み深さが5〜15μmであることが好ましい。中間層のガラス転移点がTgが20℃より高いとウェハ凹凸回路パターンの突出部に応じて、へこみ、ウェハの表面凹凸を粘着剤層とともに中間層で吸収してその上の層である基材フィルムへの凹凸の反映をできるだけ少なくすることができないため、突起物のある部分に余分に力が作用し、不均一な研削になったり、研削後ウェハ厚み精度の確保が難しくなったり、場合によっては、クラックが生じてウェハが破損するなどの問題が生じる恐れがある。
かかる、中間層の素材としては、前述した本発明で用いる粘着剤層において、官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を用いていないもの、また、タッキファイヤーが添加されていないものが好ましい。
すなわち前記主モノマー、コモノマー、必要なら更に官能基含有モノマーとの共重合体、更に必要なら、この共重合体に更に前記熱架橋剤を含有するもの等(但し、熱架橋は、中間層を塗布対象素材に塗布した後に行う。)が使用できる。共重合組成は前記不飽和基含有化合物(A)が添加されていないと言うことを除いて、前記粘着剤層の組成範囲と同様でよく、具体的に前記不飽和基含有化合物(A)を除いた状態で数値を記載すると、前記主モノマー50〜95重量%、前記コモノマー0〜30重量%、前記官能基含有モノマー1〜30重量%の範囲のものが好ましく用いられる。
更に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する官能基を2つ以上含有する熱架橋剤を併用する場合には、熱架橋剤の使用割合は、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーを重合して得られた共重合体と熱架橋剤の合計重量に対し0.001〜10重量%であることが好ましい。
中間層の素材として上述した本発明で用いる粘着剤層において、官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(A)を用いていない中間層は、コストの高い前記不飽和基含有化合物(A)が含有されないことにより、前記不飽和基含有化合物(A)を含有したものに比べてコストを削減できる。前記不飽和基含有化合物(A)を含有させることもでき、特に性能上は支障はないが、コストが高くなるし、前記不飽和基含有化合物(A)を含有させるメリットはあまりない。
また、中間層として前記主モノマー、コモノマー、官能基含有モノマーの共重合体に、紫外線などの電子線で重合する不飽和結合を1分子中に2個以上有するモノマーやオリゴマーをブレンドした、いわゆるブレンド型粘着剤といわれている電子線架橋型粘着剤でタッキファイヤーが添加されていないもの等も好適に使用できる。この場合には固形分全重量基準で光重合開始剤は、紫外線などの電子線で重合する不飽和結合を1分子中に2個以上有するモノマーやオリゴマーに対して0.05〜15重量%添加しておくことが好ましい。中間層に熱架橋剤や光重合開始剤を添加して使用する場合には、粘着剤層の調整の際と同様の理由により、中間層を基材フィルムなどの基材に塗布する際のなるべく直前に添加して使用するのが好ましい。
また、中間層として公知のセロファン粘着テープ等に用いられている汎用の粘着剤でタッキファイヤーが添加されていないもの等も好適に使用できる。その他、上記特性を有する、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、各種エラストマー樹脂等が挙げられる。
前記中間層は、常温で塑性又は弾性を有しているものが用いられるが、この性質を、ナノインデンテーション法で評価した場合、前述したように、荷重200mgfをかけた時の、圧子の押し込み深さが5〜15μmであるものが好ましい。中間層をナノインデンテーション法で評価する場合の方法としては、株式会社エリオニクス社製超微小押込み硬さ試験機ENT-1100aを使用し、設定条件を以下の通りに行なう。
分割数:50
ステップインターバル:100msec
設定完了後、試験機先端にヴァーコビッチ圧子を取り付ける。又、測定サンプルについては、基材フィルム上に中間層が形成されたサンプルから、5mmX5mmサイズの測定サンプルを切り出し、このサンプルの基材フィルム面側に接着剤を貼り付け、スライドガラス上面に貼り合わせる。尚、中間層表面に対しては、厚さ6μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを貼り付ける。サンプルの準備完了後、中間層に厚さ6μmPETフィルムが張り合わされている面に対して、ヴァーコビッチ圧子が押込まれるような方向に試験機にサンプルを取り付け、最大荷重200mgf時の押込み深さ量を測定する。
粘着剤層、中間層の厚みは、研削対象のウェハの凹凸回路パターンが形成されている表面の突起物高さに応じて、異なるので絶対値では規定しにくいが、前記粘着シートの粘着剤層厚み(ta、単位μm)と中間層厚み(tm、単位μm)とウェハの凹凸パターンが形成されている面の突起物高さ(ha、単位μm)が式(1)および式(2)を満す粘着シートであることが好ましい。
ha≦(ta+tm)・・・(1)
ta<tm・・・・・(2)
前記(1)式を満たさないと、ウェハの凹凸回路パターンの凹凸が粘着シートの粘着剤層、中間層の変形のみでは吸収しきれなくなり、基材フィルム側に反映してしまうおそれがあるので前記(1)式を満たすことが好ましい。また、前記(2)式を満たすことにより、コストのより高くなる粘着剤層の使用量を減らすことができるので、コスト削減に有利となる。
現状では、ウェハの凹凸回路パターンの突起高さの高いものとしてはバンプ電極が考えられ、突起高さ10〜200μm程度であるウェハに用いる場合を考慮すると、粘着剤層の厚さは1μm〜150μm程度の範囲から適宜選ばれ、また、中間層の厚さは9μm〜200μm程度の範囲から適宜選ばれ、かつ、上記(1)及び(2)式を満たすように適宜選ぶのが好ましい。これらの厚さは、将来、突起高さが異なる凹凸回路パターンのウェハが使用されることが主流になった場合には、それに応じて前記(1)、(2)式を参照して決定すればよい。
粘着剤層があまりに薄いと、凹凸回路パターンの突起で粘着剤層が中間層とともにへこんで変形した時に、粘着剤層が破れてしまうと、研削液の侵入などを十分防止できなくなるおそれがあるので、凹凸回路パターンの突起高さにもよるが、粘着剤層の厚さの下限は上記に示した下限値とすることが好ましい。一般的には凹凸回路パターンの突起高さが低くなるほど粘着剤層の厚さは小さくできるし、もちろん中間層も前記(1)式を満たす範囲で小さくすることもできる。
前記粘着シートの粘着剤層厚み(ta、単位μm)、中間層厚み(tm、単位μm)とウェハの凹凸パターンが形成されている面の突起物高さ(ha、単位μm)の測定法としては、まず粘着剤層と中間層の厚み測定については、測定サンプルに対して電離性放射線を照射し、照射後、測定サンプルを-30〜-50℃程度の範囲で凍結させ、凍結されている状態にて、粘着剤層面側から基材に向けてダイヤモンドナイフで切断し、この切断面の断面を光学顕微鏡(Nikon社製 MESURING MICROSCOPE MM-60)にて行い、粘着層厚みおよび中間層厚みを測定する。又、ウェハの凹凸パターンが形成されている突起物高さについては、上記の光学顕微鏡(Nikon社製 MESURING MICROSCOPE MM-60)を用いて、座標軸Z方向の高さをフォーカス調整により、凹凸パターンの凸部と底面部のフォーカスをあわせ、その差し引きにより、凹凸パターンの突起高さを測定する。
本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法の重要なポイントは、前記中間層と粘着剤層を構成するためのそれぞれの塗液を基材上に塗工する場合に、前記中間層と粘着剤層を構成するためのそれぞれの塗液を同時に基材上に塗工する点である。
本発明の粘着シートの製造方法においては、前記中間層と粘着剤層を構成するためのこれらの塗液(溶液)を何らかの基材の上に同時に塗工するのであるが、この塗工対象となる基材は、離型性シートが用いられる。すなわち、通常、粘着剤層と中間層を構成するためのそれぞれの塗液を粘着剤層の方の塗液を離型性シートの離型性のある面側に接するようにして、ファンテンダイなどのリップが2つある同時重層ダイから粘着剤層と中間層を構成するためのそれぞれの塗液を同時に連続吐出させて離型性シート上に粘着剤層、中間層の塗液を塗工する工程、離型性シート上に塗工された粘着剤層、中間層を乾燥させる工程、次いで中間層上に基材フィルムを積層して製造する。粘着剤層及び/又は中間層に熱架橋剤が添加されていて熱架橋を行う場合には、中間層上に基材フィルムを積層した後、加熱処理工程を加えて熱架橋を行う。需要者が使用する場合には、離型性シートを剥がして使用することになる。
上記の方法とは逆に、直接基材フィルム上に中間層と粘着剤層の塗液をこの順で同時に塗工し乾燥させる工程を経てから、露出している粘着剤層上に離型性シートを積層する方法も考えられるが、この方法だと、粘着剤層が露出したまま乾燥工程等を通るので、クリーンルーム中でも、微細なゴミ、塵などが粘着剤層に附着する危険性があり、微細な凹凸回路パターンが形成されているウェハ面を汚染し、ウェハを不良品としてしまうおそれがあるので、前述のような製造方法が採用される。
塗工工程でダイから吐出する粘着剤層と中間層溶液(塗液)の固形分濃度は、それぞれの塗液の粘度により異なるが10〜70重量%程度であり、吐出温度は常温でよい。
したがって、それぞれ重合工程で製造された粘着剤層や中間層の溶液濃度は、そのまま塗工に使用できれば使用してもよいが、適宜、塗工のしやすい濃度に再調整して使用してもよい。
離型性シートとしては、特に限定するものではなく、粘着テープなどで離型性シートがついている場合の、公知の離型性シートを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等で好ましくは、これらの少なくとも片面がシリコーン処理等の離型処理がされているものなどが用いられる。
離型性シートの厚さも、特に限定するものではないが、通常、20〜150μm程度のものが好ましく用いられる。
離型性シート上に塗工された粘着剤層、中間層を乾燥させる工程における乾燥温度は、乾燥時間にもよるが、通常、40〜150℃で、1〜50分程度である。乾燥は、特に限定するものではないが、通常、熱風乾燥機などが用いられる。
かくして離型性シート/粘着層/中間層の3層からなる積層物の中間層側に、基材フィルムを積層して、本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムが製造される。
中間層側に基材フィルムを貼り合わせる方法は、ラミネート方式を採用し、特に限定するものではないが、基材フィルムと剥離性シート/粘着層/中間層が積層されているもの同士を常温(25℃)でニップロールのニップ圧0.05〜5Mpa程度の範囲でラミネート圧着させる。
粘着層及び/又は中間層に前述したように熱架橋剤が添加されている場合で、更に熱架橋を生じさせる加熱処理工程が必要な場合、上述の如くして得られた剥離性シート/粘着層/中間層/基材フィルムからなる積層体を通常、20〜60℃で、1〜7日間程度加熱処理される。熱架橋は、特に限定するものではないが、通常、恒温槽、それに類似する装置などを用いて行われる。
上述のように、本発明の粘着シートの製造方法では、粘着剤層と中間層を同時に連続して塗工することにより、粘着剤層と中間層の界面の接合が強くなり、ウェハ裏面研削後に粘着シートをウェハ表面から剥がす時に、粘着剤層が中間層から剥離して粘着剤が凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に残らずにウェハ表面を汚染する可能性をより一層防止し得るウェハ裏面研削用粘着シートを製造できる。そして、粘着剤層と中間層を同時に塗布するので、粘着剤層と中間層を別々に塗布する場合に比べて、工程数が少なくなることによりコストが安くなるとともに、離型性シートも前述した従来法に比べて半分の量で済み大幅にコストが安くできるのと、工程数が少なくなるので、不良発生の機会がそれだけ減少し、生産歩留まりが向上するのでこれもコストを安くできる要因として寄与する。なお、本発明方法により得られる裏面研削用粘着シートは、裏面研削用粘着シートの発明の効果の項で上述した効果を奏する裏面研削用粘着シートを製造することができる。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。また、以下において、特に断らない限り「部」は「重量部」を表す。
[粘着剤層用(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの作成]
<作成例1:(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーA>
アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)90部と水酸基を含有するアクリル酸2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.4部と、溶剤として、酢酸エチル40部と、トルエン60部とを混合して、窒素雰囲気下で65℃で、10時間重合反応を行い、ガラス転移温度−65℃、重量平均分子量700,000のアクリル酸エステル共重合体のポリマー溶液を調製した。得られたアクリル酸エステル系共重合体固形分100部に対して、得られたアクリル酸エステル系共重合体の水酸基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを10部と重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテル(MEHQ)を0.05部添加し、窒素雰囲気下で65℃、4時間撹拌し、前記アクリル酸エステル系共重合体の水酸基と反応させ、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーA液を作成した。
<作成例2:(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーB>
アクリル酸エチル(EA)90部と水酸基を含有するアクリル酸2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.4部と、溶剤として、酢酸エチル40部と、トルエン60部とを混合して、窒素雰囲気下で65℃で、10時間重合反応を行い、ガラス転移温度−20℃、重量平均分子量700,000のアクリル酸エステル共重合体のポリマー溶液を調製した。
得られたアクリル酸エステル系共重合体固形分100部に対して、得られたアクリル酸エステル系共重合体の水酸基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを10部と重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテル(MEHQ)を0.05部添加し、窒素雰囲気下で65℃、4時間撹拌し、前記アクリル酸エステル系共重合体の水酸基と反応させ、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーB液を作成した。
[粘着剤層用塗工液の作成]
粘着剤層用(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを含む溶液200部に対して、熱架橋剤ポリイソシアネート化合物[トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物](日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)0.1部と、光重合開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア−819)0.5部とを混合し、粘着剤層用塗工液を作成した。
[中間層用(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの作成]
アクリル酸ブチル(BA)90部と水酸基を含有するアクリル酸2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.4部と、溶剤として、酢酸エチル40部と、トルエン60部とを混合して、窒素雰囲気下で65℃で、10時間重合反応を行い、ガラス転移温度−43℃、重量平均分子量700,000の(メタ)アクリル酸エステル共重合体のポリマー溶液を調製した。
[中間層用塗工液の作成]
中間層用(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを含む溶液200部に対して、熱架橋剤ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)0.5部を添加し、中間層用塗工液を作成した。
[粘着シートの作成]
(実施例1)
離型性シートであるホ゜リエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)のシリコーン離形処理面に(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーAをベースとする粘着剤層を下層に固形分換算で厚さ40μm、上記中間層用塗工液をベースとする中間層をその上層に固形分換算で厚さ110μmとなるようにファンテンダイを有するダイコーターを用いて同時に塗布を行い、100℃5分間乾燥した後に、前記中間層塗布面上層側に厚さ100μmのポリプロピレン製フィルム(JSR社製 SP80)のコロナ放電処理されている面を25℃でニップ圧0.5Mpaでラミネートし、次いで40℃の光線の入らない恒温槽に72hr保存して熱架橋し、粘着シートを作成した。
(実施例2)
粘着剤層と中間層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを作成した。
(実施例3)
粘着剤層の粘着剤を作成例2の(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーBに変更した以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを作製した。
(実施例4)
粘着剤層と中間層の厚みを変更した以外は、実施例3と同様の方法で粘着シートを作成した。
(比較例1)
離型性シートであるホ゜リエチレンテレフタレート(厚さ38μm)のシリコーン離形処理面に中間層用塗工液をナイフコーターを用いて塗布し、100℃、5分間乾燥後し、固形分換算で110μm厚さの層を設け、塗布面上層に厚さ100μmのポリプロピレン製フィルム(JSR社製 SP80)のコロナ放電処理されている面を25℃でニップ圧
0.5MpaでラミネートしてフィルムCを作製した。次に、離型性シートであるホ゜リエチレンテレフタレート(厚さ38μm)のシリコーン離形処理面に(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーAをベースとする粘着剤層用塗工液をナイフコーターを用いて塗布し、100℃5分間乾燥し、固形分換算で40μm厚さの粘着層を設け、粘着塗布面上層側に、離形性シートを剥離したフィルムCを25℃でニップ圧0.5Mpaでシートを貼りあわせて粘着シートを作成した。
尚、比較例1においては、表2中の初期剥離力のデータを記載していないのは、粘着剤層の初期剥離力が粘着層とSUS−304BA板間の方が、粘着剤層と中間層の間の初期剥離力より大きく、この粘着シートをSUS−304BA板から、剥離する際、粘着剤層と中間層の間の界面で破壊が生じて、中間層との界面で剥離してしまうためである。
(比較例2)
粘着剤層と中間層の厚みを変更した以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを作成した。
(比較例3)
粘着剤層と中間層の厚みを変更した以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを作成した。
(比較例4)
中間層として、ポリエステルウレタン樹脂“バイロンUR−8300”(東洋紡績株式会社製 ガラス転移温度:23℃ 重量平均分子量30000、固形分濃度30wt%)のポリマー溶液333部に変更した以外は実施例1と同様の方法で粘着シートを作成した。
これらの粘着シートの評価結果を表1と表2に示した。
[評価方法]
<初期粘着力>
粘着シートの離型性シートであるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着面をSUS−304板Ba板に貼り合わせて、23℃50%の環境条件にて30分放置後、JIS Z 0237に準じて粘着力を測定した。
<電離放射線照射後の剥離力>
粘着シートの離型性シートであるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着面をSUS-304BA板に貼り合わせた後、室温環境で30分放置し、照度220mW/cm2、光量440mJ/cm2の条件下でUV光(紫外線)を基材フィルム側から照射後、JIS Z 0237に準じて粘着力を測定した。
<汚染性>
粘着シートを6インチシリコンウェハ表面に貼り付け、照度220mW/cm2、光量440mJ/cm2の条件下でUV光(紫外線)を基材フィルム側から照射後、粘着シートを剥離し、ウェハ表面に糊残りがあるかどうか目視にて確認。「良好」の場合は、糊残りなし。「×」は、糊残りが観察された。
<半田ボール付きウェハへの糊残り>
6インチのシリコンウェハ(厚さ625μm)上に半田ボール高さ80μm、半田ボール中心間のピッチ220μmで均一に半田ボールが形成されている表面に粘着シートを貼り付け、6インチシリコンウェハの裏面を100μm厚まで研削後、照度220mW/cm2、光量440mJ/cm2の条件でUV光(紫外線)を基材フィルム側から粘着シート面に照射し、照射後、粘着シートを剥離して、半田ボール表面に糊残りがあるかどうか目視にて確認を行なう。目視にて糊残りが見られた場合、「×」。目視にて糊残りが見られない場合には、「○」。
<ウェハ研削耐久性>
6インチのシリコンウェハ(625μm)上に半田ボール高さ80μm、半田ボール中心間のピッチ220μmで均一に半田ボールが形成されているウェハの半田ボールが形成されている面側に本発明のシートを貼り付け、シリコンウエハの半田ボールが形成されていない面側を当該シリコンウエハ厚みが100μm厚まで研削後、粘着シートが貼り付けられている表面を目視にて観察を行い、粘着剤層と中間層の界面剥離の問題で研削水がウェハ内に浸入しているかどうか確認。研削水がウェハ内に浸入している場合は、「×」。進入していない場合、「○」。
Figure 0005583434
Figure 0005583434
本発明のウェハ裏面研削用粘着シートは、エレクトロニクス機器分野において、ウェハを研削して薄くする工程において有効に利用できる。本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法は、上記ウェハ裏面研削用粘着シートを製造する場合に有用な方法を提供できる。また、本発明のウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法は、エレクトロニクス機器分野において、ウェハを研削して薄くする工程において有用な使用方法を提供できる。

Claims (15)

  1. ウェハの裏面を研削する際に、ウェハの凹凸回路パターンが形成されている表面を保護するためのウェハ裏面研削用粘着シートであって、前記粘着シートは、電離性放射線を透過し得る基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面側に形成された中間層とその上に積層された粘着剤層と、粘着剤層表面をカバーし使用時に剥離除去して使用する離型性シートを含む粘着シートからなり、前記中間層がガラス転移点Tgが20℃以下であって常温で塑性又は弾性を有する中間層であって、前記粘着剤層と中間層は、これらを構成するための塗液が同時に塗工されることにより形成された粘着剤層と中間層であり、また、前記粘着シートの離型性シートを剥がして当該粘着層側をSUS−304BA板に貼り付けた場合に、電離放射線照射前のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mm以上8.0N/10mm以下で、かつ、電離放射線照射後のJIS Z 0237での剥離力が1.0N/10mmより低くなることを特徴とするウェハ裏面研削用粘着シート。
  2. 前記粘着シートの粘着剤層厚み(ta、単位μm)と中間層厚み(tm、単位μm)とウェハの凹凸パターンが形成されているウェハ表面の突起物高さ(ha、単位μm)が式(1)および式(2)を満す請求項1記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
    ha≦(ta+tm)・・・(1)
    ta<tm・・・・・(2)
  3. 前記粘着シートの粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含み、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーを含むモノマーの共重合体に、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させることにより構成された共重合体を含む層からなる請求項1又は2のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  4. 前記中間層が、ナノインデンテーション法で荷重200mgfをかけた時の、圧子の押し込み深さが5〜15μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  5. 前記主モノマーが、当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃以下となるモノマーであり、前記コモノマーが当該モノマーの単独重合体のガラス転移点Tgが0℃より高くなるモノマーである請求項3に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  6. 前記主モノマーが2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートから選ばれた少なくとも1種である請求項3又は5のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  7. 前記コモノマーが、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレートから選ばれた少なくとも1種である請求項3、5又は6のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  8. 前記官能基含有モノマーが、不飽和二重結合とともに官能基として、−COOH基、−OH基、−NR12基(但し、R1、R2はそれぞれ−H又は−CH3を表す)、及びグリシジル基から選ばれたいずれかの基を含有するモノマーから選ばれた少なくとも1種である請求項3、5又は6〜7のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  9. 前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物が、置換基として−NCO基を1個有する不飽和基含有化合物である請求項3、5又は6〜8のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  10. 前記粘着剤層を構成する、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーと、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物の使用割合が、これらの合計重量に対し、前記主モノマー50〜95重量%、前記コモノマー0〜30重量%、前記官能基含有モノマー1〜30重量%、前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物1〜30重量%である請求項3、5又は6〜9のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  11. 前記粘着剤層が、更に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する官能基を2つ以上含有する熱架橋剤で架橋されており、前記熱架橋剤の使用割合が、前記主モノマーとコモノマーと官能基含有モノマーの共重合体に前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られた共重合反応物と熱架橋剤の合計重量に対し0.001〜10重量%である請求項3、5又は6〜10のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  12. 前記官能基含有モノマーの官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物が、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネートからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項3、5又は6〜11のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シート。
  13. 前記粘着剤層と中間層を構成するための塗液を、粘着剤層側が離型性シートに接する側になるように、前記離型性シート上に塗工する工程と、塗工された粘着剤層と中間層を構成するための塗液層を乾燥又は乾燥並びに熱架橋させる工程と、前記離型性シート上に形成された粘着剤層と中間層の中間層露出面側に基材フィルムを積層する工程、必要に応じ更に熱架橋する工程を含むウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法であって、前記粘着剤層と中間層を構成するための塗液を、前記離型性シート上に同時に塗工することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートの製造方法。
  14. 前記請求項1〜12のいずれか1項に記載のウェハ裏面研削用粘着シートの離型性シートを剥離除去し、この粘着シートの粘着剤層側をウェハの凹凸回路パターンが形成されているウェハ表面に貼り合せ、ウェハ裏面を研削し、ウェハ裏面研削終了後、当該粘着シートの基材フィルム側から電離性放射線を照射して、前記粘着剤層の粘着力を低下させた後、当該粘着シートをウェハ表面から剥離させることを特徴とするウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法。
  15. 前記電離性放射線の照射が、150mJ/cm2〜1000mJ/cm2である請求項14に記載のウェハ裏面研削用粘着シートの使用方法。
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