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JP5564971B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートに関し、詳しくは、車幅方向に対を成すアッパレールの長手方向の両端部にそれぞれブラケットを介して固着される一対のロアアームと、この両ロアアームの先端を橋渡すように固着されるフロントパネルと、を有するクッションフレームを備えた車両用シートに関する。
従来、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止する機能を備えた車両用シートが既に知られている。ここで、下記特許文献1には、車幅方向に対を成すフレームサイド(左右一対のロアアーム)の先端を橋渡すように固着されたストラットパイプ(フロントロッド)によってサブマリン現象を防止する機能を備えた車両用シートが開示されている。これにより、簡便な構造でもサブマリン現象を防止することができる。
特開2003−104107号公報
しかしながら、上述した従来技術では、例えば、図4〜5に示すように、クッションフレーム102の先端における乗員の着座荷重を支える(クッションを受ける)ためのフロントパネル130がフロントロッド134と平行するように左右一対のロアアーム126、126に固着されている。そのため、これらロアアーム126、126の前部には、このフロントパネル130とフロントロッド134との2部品が必要となり、結果として、車両用シート(例えば、助手席)101の部品点数が増加してしまうという問題が発生していた。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、フロントロッドを必要とすることなくフロントパネルだけであっても、シートクッションの先端における乗員の着座荷重を支えつつ、さらに、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止することができる車両用シートを提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、車幅方向に対を成すアッパレールの長手方向の両端部にそれぞれブラケットを介して固着される一対のロアアームと、この両ロアアームの先端を橋渡すように固着されるフロントパネルと、を有するクッションフレームを備えた車両用シートであって、フロントパネルは、クッションフレームに包着状に組み付けられるクッションを受けるクッション受け部と、車両の前突発生時にクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止するサブマリン防止部とから構成されており、このサブマリン防止部は、クッション受け部からロアアームの基端側へ下り傾斜するように延設された傾斜体から構成されており、両端部のブラケットのうち、先端側のブラケットは、フロントパネルにおけるサブマリン防止部の車幅方向の縁に対応するように略逆U字状に構成されており、この先端側のブラケットにおけるフロントパネルのサブマリン防止部に対応する縁には、内側に向けてフランジが形成されており、フロントパネルは、そのクッション受け部の車幅方向の両縁がロアアームに溶接によってそれぞれ固着されていると共に、そのサブマリン防止部の車幅方向の両縁が先端側のブラケットのフランジに面当て状態で溶接によってそれぞれ固着されており、サブマリン防止部は、傾斜体から略鉛直方向に沿うように延設された立壁体を備えており、サブマリン防止部の傾斜体と立壁体とは、先端側のブラケットの略逆U字状に沿うようにクッション受け部から折り曲げ形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、フロントパネルのクッション受け部によって、シートクッションの先端における乗員の着座荷重を支えることができる。また、フロントパネルのサブマリン防止部によって、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止することができる。そのため、従来技術で説明したストラットパイプ(フロントロッド)を必要とすることなくフロントパネルだけであっても、シートクッションの先端における乗員の着座荷重を支えつつ、さらに、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止することができる。これにより、車両用シートの部品点数の削減(フロントロッドの削減)に繋げることができる。
図1は、本発明の実施例に係る助手席のクッションフレームの構造を示す斜視図である。 図2は、図1の側面図である。 図3は、図1の主要部の拡大図である。 図4は、従来技術に係る助手席のクッションフレームの構造を示す斜視図である。 図5は、図4の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜3を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、車両用シートの例として、助手席1を例に説明していく。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、助手席1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
まず、図1〜3を参照して、本発明の実施例に係る助手席1の構成を説明する。この助手席1は、シートクッションとシートバック(いずれも図示しない)とから構成されている。このクッションフレーム(シートクッションのフレーム)2の構造は、左右一対のアッパレール20、20の長手方向の各前後部にそれぞれブラケット22、22、24、24(「前ブラケット22、後ブラケット24」と記す)を介して固着される左右一対のロアアーム26、26と、この両ロアアーム26、26の前部を橋渡すように固着されるフロントパネル30と、この両ロアアーム26、26の後部を橋渡すように固着されるリアロッド40とから略矩形状に構成されている。なお、バックフレーム(シートバックのフレーム)の構造およびシートバックは、公知の構造でよいため、これらの詳細な説明は省略することとする。
上述した構成部材(アッパレール20、前ブラケット22、後ブラケット24、ロアアーム26、フロントパネル30、リアロッド40)のうち、前ブラケット22とフロントパネル30を個別に説明する。なお、残りの構成部材(アッパレール20、後ブラケット24、ロアアーム26、リアロッド40)は、公知の構成でよいため、その詳細な説明は省略することとする。
まず、フロントパネル30から説明する。フロントパネル30は、その縦断面が略逆U字状を成すように車幅方向に沿って折り曲げ成形されているパネル部材である。このフロントパネル30は、クッションフレームに包着状に組み付けられるクッション(図示しない)の前部を受ける(シートクッションの前部における乗員の着座荷重を支える)クッション受け部32と、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止するサブマリン防止部34とから構成されている。
このサブマリン防止部34は、クッション受け部32から前後に下り傾斜するように延設された傾斜体34aと、この傾斜体34aから略鉛直方向に沿うように延設された立壁体34bとから構成されている。なお、このサブマリン防止部34は、前後に対象を成すように構成されている。もちろん、この前後のサブマリン防止部34のうち、サブマリン現象を防止するためには、後ろのサブマリン防止部34だけでよい。なお、このフロントパネル30の傾斜体34aの傾斜の度合いは、フロントパネル30の断面係数が、従来技術で説明したフロントパネル130とフロントロッド134との合成の断面係数より良好となるように決められている。
次に、前ブラケット22を説明する。前ブラケット22は、フロントパネル30におけるサブマリン防止部34の車幅方向の縁に対応するように、アッパレール20側からロアアーム26側(上側)に向けて先細りの略逆U字状(六角形状)に構成されている。また、前ブラケット22の縁には、内側に向けてフランジ22aが形成されている。このフランジ22aの前側部分により、後述するようにクッションフレーム2を組み立てるとき、クッションフレーム2に被せたクッションが切れることを防止できる。また、このフランジ22aの後側部分により、前ブラケット22そのものの強度を向上させることができる。なお、この前ブラケット22が、特許請求の範囲に記載の「先端側のブラケット」に相当する。
次に、上述した構成部材(アッパレール20、前ブラケット22、後ブラケット24、ロアアーム26、フロントパネル30、リアロッド40)から、クッションフレーム2を組み立てる手順の一例を説明する。まず、アッパレール20の前部に前ブラケット22をかしめ接合させると共に、このアッパレール20の後部にも後ブラケット24をかしめ接合させる。
次に、この前ブラケット22にロアアーム26の前部をかしめ接合させると共に、この後ブラケット24にロアアーム26の後部をかしめ接合させ、アッパレール20とロアアーム26とを組み付けてサイドフレームを組み立てる。このサイドフレームの組み立てを左右のそれぞれで行う。
続いて、フロントパネル30におけるクッション受け部32の車幅方向の両縁を溶接によって左右のロアアーム26、26の前部上縁にそれぞれ固着させる。さらに、フロントパネル30における両サブマリン防止部34の車幅方向の両縁を溶接によって左右の前ブラケット22、22のフランジ22a、22aにそれぞれ固着させる。最後に、リアロッド40の両縁を溶接によって左右のロアアーム26、26の後部にそれぞれ固着させる。
このようにして、クッションフレーム2は組み立てられる。そして、この組み立てられたクッションフレーム2にクッション(図示しない)およびシートカバー(図示しない)を被せてシートクッションが完成する。この完成したシートクッションに公知のシートバックを組み付けて助手席1が完成する。
なお、上述した両アッパレール20、20は、車両フロアFの前後方向に沿って固着された左右一対のロアレール10、10にスライド可能となっている。これにより、左右のロアアーム26、26は、前後方向にスライド可能となっているため、助手席1を前後方向にスライドさせることができる。
本発明の実施例に係る助手席1は、上述したように構成されている。この構成によれば、フロントパネル30のクッション受け部32によって、シートクッションの前部における乗員の着座荷重を支えることができる。また、フロントパネル30のサブマリン防止部34によって、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止することができる。そのため、従来技術で説明したストラットパイプ(フロントロッド)を必要とすることなくフロントパネル30だけであっても、シートクッションの前部における乗員の着座荷重を支えつつ、さらに、車両の前突発生時にシートクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止することができる。これにより、助手席1の部品点数の削減(フロントロッドの削減)にも繋げることができる。
また、この構成によれば、サブマリン防止部34には、立壁体34bが備えられているため、フロントパネル30の強度を向上させることができる。
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、車両用シートの例として、助手席1を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、運転席であっても構わない。
また、実施例では、助手席1は、前後方向にスライド可能な構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、助手席1は、前後方向にスライド可能な構成となっていない構成でも構わない。その場合、両ロアアーム26、26の各前後部は、レッグ等を介して、直に、車両フロアFに固着されることとなる。
また、実施例では、サブマリン防止部34は、傾斜体34aと立壁体34bとから構成されている構成を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、サブマリン防止部34は、傾斜体34aのみから構成されていても構わない。その場合、立壁体34bを備えていない構成のため、フロントパネル30を簡便な構成にすることができる。
1 助手席(車両用シート)
2 シートクッション
20 アッパレール
22 前ブラケット
22a フランジ
24 後ブラケット
26 ロアアーム
30 フロントパネル
32 クッション受け部
34 サブマリン防止部
34a 傾斜体
34b 立壁体


Claims (1)

  1. 車幅方向に対を成すアッパレールの長手方向の両端部にそれぞれブラケットを介して固着される一対のロアアームと、この両ロアアームの先端を橋渡すように固着されるフロントパネルと、を有するクッションフレームを備えた車両用シートであって、
    フロントパネルは、クッションフレームに包着状に組み付けられるクッションを受けるクッション受け部と、車両の前突発生時にクッションに着座した乗員に生じるサブマリン現象を防止するサブマリン防止部とから構成されており、
    このサブマリン防止部は、クッション受け部からロアアームの基端側へ下り傾斜するように延設された傾斜体から構成されており、
    両端部のブラケットのうち、先端側のブラケットは、フロントパネルにおけるサブマリン防止部の車幅方向の縁に対応するように略逆U字状に構成されており、
    この先端側のブラケットにおけるフロントパネルのサブマリン防止部に対応する縁には、内側に向けてフランジが形成されており、
    フロントパネルは、そのクッション受け部の車幅方向の両縁がロアアームに溶接によってそれぞれ固着されていると共に、そのサブマリン防止部の車幅方向の両縁が先端側のブラケットのフランジに面当て状態で溶接によってそれぞれ固着されており、
    サブマリン防止部は、傾斜体から略鉛直方向に沿うように延設された立壁体を備えており、
    サブマリン防止部の傾斜体と立壁体とは、先端側のブラケットの略逆U字状に沿うようにクッション受け部から折り曲げ形成されていることを特徴とする車両用シート。
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