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JP5563165B2 - 切り替え可能なデータレートによる直列データ伝送のための方法及び装置 - Google Patents

切り替え可能なデータレートによる直列データ伝送のための方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、バスシステムの少なくとも2つの加入者間でデータを伝送する方法及び装置であって、伝送されるビットの時間的長さが少なくとも2つの異なる値の間で切り替えられる、上記方法及び装置に関する。
例えば、独国特許出願公開第10000305号明細書には、「コントローラ・エリア・ネットワーク」(CAN:Controller Area Network)と、「タイム・トリガ型CAN」(TTCAN:Time Triggered CAN)と呼ばれるCANの拡張版と、が記載されている。CANで利用される媒体アクセス制御方法は、ビットごとのアービトレーションに基づいている。ビットごとのアービトレーションの場合は、複数の加入者局がバスシステムのチャネルを介してデータを同時に伝送することが可能であり、これにより、データ伝送が妨げられることはない。さらに、加入者局は、チャネルを介したビットの送信の際に、当該チャネルの論理的状態(0又は1)を定めることが出来る。送信されるビットの値が、チャネルの定められた論理的状態と一致しない場合には、加入者局はチャネルへのアクセスを終了する。CANの場合、ビットごとのアービトレーションは通常、チャネルを介して伝送されるデータフレーム内のアービトレーションフィールドにおいて行われる。加入者局がアービトレーションフィールドを完全にチャネルに送信した後で、当該加入者局は、自身がチャネルに対する排他的アクセス権を有することが分かる。従って、アービトレーションフィールドの伝送の終わりは、加入者局がチャネルを排他的に利用できる許可区間の始まりに相当する。CANのプロトコル仕様によれば、他の加入者局は、送信加入者局がデータフレームの検査フィールド(CRCフィールド)を伝送してしまうまでチャネルにアクセスしてはならず、即ち、チャネルにデータを送信してはならない。従って、CRCフィールドの伝送の終了時点は、許可区間の終了に相当する。
ビットごとのアービトレーションによって、チャネルを介した、データフレームの破壊されない伝送が達成される。これにより、CANの良好な実時間性能が得られるが、これに対して、加入者局により送信されるデータフレームが、他の局により送信された更なる別のデータフレームとの衝突のために、チャネルを介した伝送の間に破壊される可能性がある媒体アクセス制御方法の場合には、明らかに不都合な実時間動作を有する。なぜならば、衝突及び当該衝突により必要となるデータフレームの新たな伝送のために、データ伝送の遅延が生じるからである。
CANプロトコルは、実時間条件下で短いメッセージを伝送するために特に適している。しかしながら、より大きなデータブロックがCANドメインを介して伝送される場合には、チャネルの比較的小さなデータレートは、制限を加える要因となる。ビットごとのアービトレーションの正しい機能を保証するために、ビットの伝送のために、第一に、バスシステムの寸法(Ausdehnung)と、チャネル上での信号前処理速度と、バス加入者のインタフェースモジュール内での本来の処理時間と、に依存する最小時間が保たれる必要がある。なぜならば、全てのバス加入者は、バス状態(0又は1)についての均一なイメージを有し、当該バス状態に対する同等のアクセス権を有する必要があるからである。従って、ビットレートは、個々のビットの時間の短縮によっては簡単に上げることが出来ない。
それにもかかわらず、制御ユニットのプログラミングのために必要な比較的大きなデータブロックを、本来はCANドメインへの接続のために設けられた通信インタフェースを介して十分に高速に伝送しうるために、独特特許出願公開第10153085号明細書は、データブロックの伝送のための通信インタフェースを、ビットごとのアービトレーションが実施されず比較的高いビットレートが可能な他の通信モードに一時的に切り替えることを提案している。但し、この場合、ある程度の時間CANプロトコルによる通信を中断する必要がある。例えばエラーのためにCANプロトコルに準拠したバスシステムの駆動がもはや開始されえない場合には、バスシステムの故障が起こる。さらに、比較的大きなデータブロックの伝送によって、CANプロトコルに従って行われる後続の伝送が著しく遅延することになり、CANの実時間性能が損なわれる。
独国特許出願公開第10311395号明細書には、非対称な直列通信を、代替的に非対称な物理的なCANプロトコルを介して、又は、対称的な物理的CANプロトコルを介して行うことが可能なシステムが記載されており、これによって、非対称な通信のためのより高いデータ伝送レート又はデータ伝送安全性が実現されうる。
独国特許出願公開第102007051657号明細書は、伝送するデータ量を増大させるために、TTCANプロトコルの排他的なタイムスロットにおいて、CANに準拠しない非対称で高速のデータ伝送を利用することを提案している。
G.CenaとA.Valenzanoは、「Overclocking of controller area networks」(Electrics Letters、Vol.35、No.22(1999)、S.1924)で、理論的な側面から、効率良く獲得されるデータレートに対する、データフレームの部分範囲内のバス周波数のオーバークロックの作用について論じているが、方法の詳細、並びに、バス加入者の様々な状態及び状態移行について述べていない。
引用した文献から、先行技術は、あらゆる点で満足できる結果を提供しないことが分かる。
本発明の課題は、CANネットワーク内でより短時間でデータフレームを伝送することが可能であると同時に、エラー検出及びエラー処理並びにネットワーク全体でのデータの一貫性のような、CANの基本的な特性を保持する方法を示すことである。このために、CANプロトコルに対して、ISO11898−1〜4(以下、規格CAN(Norm−CAN)と呼ぶ)に従って修正されたデータ伝送方法(以下、FastCANと呼ぶ)が提案される。
上記の課題は、請求項1に記載の特徴を備えた本伝送方法によって、及び、従属請求項に記載される装置によって解決される。
上記の課題は、本発明に基づいて、データフレーム内の時間的ビット長が少なくとも2つの異なる値を取ることが可能であり、データフレーム内の予め設定可能な範囲について、時間的ビット長がバス上の全ての加入者について同一のままであり、時間的ビット長の変更が同じデータフレーム内に含まれる標識によってシグナリングされ、時間的ビット長の変更が少なくとも2つの異なる倍率の利用により、バス時間単位と最小時間単位との間又はバス時間単位と稼働時の発振クロックとの間で実現されることによって解決される。
本発明の利点は、本発明ではCANプロトコルの修正が最小限にとどめられ、特に、CANデータフレームの構造が、少なくともSOFとCRCデリミタ(CRC−Delimiter)との間の範囲について保持されることである。アプリケーションプログラムへのインタフェースは変更されない。FastCANコントローラは、規格CANネットワーク内でも使用することが可能である。FastCANコントローラを備えた加入者のみ含むネットワーク内では、全ての加入者がアービトレーション後に高速モードに切り替わり、従って、同期化及びエラー検出の全て仕組みが、引き続きそのタスクを満たすことが可能である。
本発明の更なる別の利点は、FastCANコントローラとして動作できるために、規格CANコントローラを最小限にのみ変更すればよいことである。規格CANコントローラとしても動作しうるFastCANコントローラは、本質的なことではないが、規格CANコントローラよりも大きい。アプリケーションプログラムは変更する必要がなく、CANコンフォーマンステスト(CAN−Conformance−Test)(ISO16845)の広範な部分が引き継がれうる。
ビット長の短縮は、事象制御型の通信のために、アービトレーションによって、当該アービトレーションが成功した後に初めて行われる。なぜならば、先に記載したように、アービトレーションのためにバス全体でのデータの一貫性が必要とされるからである。さらに、FastCANプロトコルとTTCANプロトコルとを組み合わせることも可能である。なぜならば、TTCANでも、全てのデータが、その原則的な構造がISO11898−1の規定に対応するCANデータフレームで伝送されるからである。この場合には、少なくとも、TTCANマトリックス(TTCAN−Matrix)の、アービトレーションが行われずにバスアクセス権が排他的に付与される排他的タイムスロットにおいて、アドレスフィールド及びコントロールフィールド(Control Field)も、完全又は部分的に、短縮されたビット長により送信されうるであろう。
さらに、異なるビット長の間の移行を、容易に実現可能な移行条件が付いた簡単な状態モデルによって記述できることは有利である。
同様に、ビット長の切り替えを、例えばボーレート分周器(Baud Rate Prescaler)を用いて、発振周期又は最小時間単位と、バス時間単位と、の間での倍率(Skalierungsfaktor)の簡単な適合によって行えることは有利である。当然のことながら、その場合の前提は発振周期が十分に短いことである。
以下では、本発明が図面を用いてより詳細に解説される。
本発明に係る方法に関してFastCANコントローラが取りうる様々な状態と、移行条件と、が示された状態図を概略的に示す。 ビットタイミングの、伝送レートに依存する様々な設定の一例を示す。 本発明に基づき様々なビット長の範囲に分割され、予約ビットにより標識が付けられた標準フォーマット及び拡張フォーマットにおけるCANデータフレームの構造を示す。 システムマトリックス(System Matrix)により示された、本方法とTTCANプロトコルの時間駆動型伝送方法とを組み合わせた場合の、短縮されたビット長の範囲の拡張の一例を示す。 様々なビット長の範囲への、排他的TTCANタイムスロット内のデータフレームの分割のための可能性を示す。 先行技術に対して拡張された、CRCデリミタ又はアクノリッジビットの許容基準を示す。
以下では、本発明に係る方法及び装置の実施例が記載される。この具体例は実現を解説するために使用されるが、本発明の思想の範囲を限定するものではない。
まず、第1の実施例において図1〜3を用いて、本発明に係るFastCANコントローラの状態、及び、対応するデータ伝送特性、並びに、状態の移行及びそのために必要な移行条件が記載される。
図1は、FastCANコントローラの3つの駆動状態、即ち、規格CAN(Norm−CAN)101、FastCANアービトレーション(Fast−CAN−Arbitration)102、及び、FastCANデータ(Fast−CAN−Data)103を示している。駆動状態「規格CAN101」では、FastCANコントローラは、規格CANプロトコルに従って動作する。駆動状態「FastCANアービトレーション102」では、FastCANコントローラは、規格CANコントローラのように振る舞うが、状態「FastCANデータ103」に変化することも可能である。状態「FastCANデータ103」では、FastCANコントローラは、規格CANコントローラのように動作するが、より短いビット時間(Bit−Time)により動作する。FastCANコントローラは、アプリケーションプログラムにより要求された場合には、FastCANアービトレーションモード102で作動された後の状態にある。アプリケーションプログラムにより要求されない場合には、規格CANモード101で作動された後の状態にある。
バス時間単位(「time quantum」、タイム・クァンタム)と最小時間単位(「minimum time quantum」)との間、又は、バス時間単位と稼働時の発振クロックとの間での倍率の変更(Prescaler、前置分周器)による、時間的ビット長の変更が構想されている。これにより、バス時間単位の長さ、従って、ビットの長さが調整される。その長さがバス時間単位により測定されるビット時間セグメント(Bit−Time−Segment)に変更はなく、同様に、再同期化についての規則、及び、サンプルポイント(Sample−Point)の位置にも変更はない。状態「FastCANアービトレーション102」及び「規格CAN101」では、長いバス時間単位が利用され、状態「CastCANデータ103」では、短いバス時間単位が利用される。代替的に、ビット時間セグメントの設定を、状態及び利用されるバス時間単位に従って変更することも可能であり、このことが、図2との関連でより詳細に記載される。
状態「FastCANアービトレーション102」では、例えば標識として、CANフレーム内でデータ長コード(DLC:Data Length Code)の前に存在する「予約ビット」(reserved bit)R0が、レセッシブで(rezessiv)送信される。規格CANプロトコルでは、この予約ビットはドミナントで(dominant)送信されなければならないことが規定されている。FastCANコントローラが、この予約ビットをドミナントで受信する場合には、規格CAN状態へと永続的に変化する(状態変化T1又はT2)。これにより、FastCANコントローラと規格CANコントローラを、同じネットワーク内で使用することが可能であり、2つのコントローラが規格CANプロトコルにより動作することが保証される。規格CANプロトコルで固定値が規定された他のビットを、標識として選択することも可能である。
標識として例えばDLCの前の「予約ビット」R0をレセッシブで受信し又は予約ビットをレセッシブで送信することに成功した、状態「FastCANアービトレーション102」にあるFastCANコントローラは、倍率を切り替えることで、この予約ビットのサンプリングポイントから、より短いバス時間単位に切り替え、状態「FastCANデータ103」に変化する(状態変化T3)。状態変化はまた、少なくとも近似的に一定の時間間隔で、又は、サンプリングポイントの後で所定数のバス時間単位が経過した後にも起こりうる。
状態「FastCANデータ103」にあるFastCANコントローラは、以下の2つの条件のうちの1つに該当するまでは、状態「FastCANデータ103」のままである。即ち、
(A)FastCANコントローラに、CANエラーフレーム(CAN−Error−Frame)を開始する理由が分かる、又は、
(B)CANフレーム内でCRCデリミタ(CRC−Delimiter)に到達する。
(A)又は(B)が満たされた場合には、コントローラは、状態「FastCANアービトレーション102」へと戻って切り替わる(状態変化T4)。
DLCとCRCデリミタとの間の範囲では、CANプロトコルによれば、エラーフレームを開始する理由が2つある。即ち、(A1)送信機にビットエラー(Bit−Error)が分かり、又は(A2)受信機にスタッフビット(Stuff−Bit)が分かる。場合により重畳されるエラーフラグ(Error−Flag)の終わりで、即ちエラーデリミタ(Error−Delimiter)の開始時には、ネットワーク内の全てのコントローラが、状態「FastCANアービトレーション102」にある。
(A1)及び(A2)においても、(B)においても、状態「FastCANアービトレーション102」への変化T4が起こり、従って、上記条件に該当するサンプルポイントで、又は、当該サンプルポイントに対して近似的に一定の時間間隔で、倍率の切り替えが行われる。状態変化は、サンプルポイントの後で所定数のバス時間単位が経過した後にも起こる可能性があり、例えば、位相バッファセグメント(Phase Buffer Segment)2の終わりで起こりうる(図2参照)。
図2は、その長さがバス時間単位で測定されるビット時間セグメントへの、各伝送されるビットの分割を示している。この設定は、通常では各バス加入者内で構成され、バス上での信号移動時間、及び、利用されるクロックジェネレータ又は発振器での許容差(Toleranz)を補正するために役立つ。本発明に係るFastCANコントローラでは、ビット時間セグメントの設定を、状態及び/又は現在利用されるバス時間単位に従って個別に行うことが構想される。このために、構成設定が格納された対応するレジスタを二重に設ける必要がある。記載される例では、バス時間単位が200nsの、1ビット210の個々のセグメントと、バス時間単位が50nsの、連続する4ビットのセグメント220と、が示されている。ビット210については、伝播時間セグメント(Propagation Time Segment)は、1バス時間単位分の長さがあり、位相バッファセグメント1及び2は、それぞれ4バス時間単位を占める。これに対して、220の各ビットの場合は、伝播時間セグメントと、位相バッファセグメント1及び2とは、それぞれ3バス時間単位となる。
状態「FastCANアービトレーション102」及び「規格CAN101」では、長いバス時間単位が利用され、ビット時間セグメントは、示されるビット210のビット時間セグメントに対応し、状態「FastCANデータ103」では、短いバス時間単位が利用され、ビット時間セグメントは、示されるビット220のビット時間セグメントに対応する。
特に、本発明に係るケースでは特に状態「FastCANデータ」で伝送レートが高い場合に重要となりうる発振器の許容差を、CAN再同期化の仕組みにより可能な限り良好に補正しうるために、状態「FastCANデータ」において、伝播時間セグメントを可能な限り小さく選択し、例えば1バス時間単位分の長さを選択することは有利でありうる。
以下では、図3を用いて、利用されるデータフレームの構造、異なるビット長を有する範囲、コントローラの各状態に対するビット長の依存性、及び、本発明に係る標識が解説される。
図3は、ISO11898−1に準拠したCANデータフレームの構造を、2つの可能なバリエーション、即ち、標準フォーマットと拡張フォーマットで示す。2つのバリエーションについて、本発明に基づき状態「FastCANアービトレーション102」と「FastCANデータ103」との間で切り替えられる範囲が示される。同様に、これに伴うビット長の切り替え、及び、倍率の対応する変更も示される。最後にさらに、本発明に係る標識の、本実施例で選択された位置が、DLCの前に伝送される「予約ビット」R0で示される。
データ伝送レートのための、第1の実施例で記載される方法の効果によれば、以下の計算が示される。即ち、11ビットのアドレスを有する標準フォーマットでのデータフレームの、データフィールドの長さは8バイトであり、ボーレートは500kBit/sであることから出発する。さらに、倍率が「予約ビット」R0の後に4倍に上げられると仮定する。このケースでは、ビット長は「予約ビット」R0の後で、3マイクロ秒から0.5マイクロ秒に短縮される。可能なスタッフビットを無視した際に、本例では、データフレームごとに、通常のビット長による27ビット(SOF、識別子、RTR、IDE、r0、ACKフィールド、EOF、インターミッション)と、短縮されたビット長による84ビット(DLD、Data、CRC、CRCデリミタ)と、が伝送され、これにより、96マイクロ秒間に11ビットという効率の良い伝送パフォーマンスが獲得される。これは、同一のバス負荷を仮定した際に、修正されていない規格CAN伝送に対して2.3倍上げられたデータ伝送レートに相当する。
それ以外は同じ条件で、29ビット長のアドレスを有する拡張フォーマットから出発すると、データフレームごとに、通常のビット長による47ビットと、短縮されたビット長による84ビットと、が伝送され、これにより、136マイクロ秒間に131ビットという効率の良い伝送パフォーマンスが獲得される。これは、同一のバス負荷を仮定した際に、通常の伝送パフォーマンスに対して1.9倍上げられたデータ伝送レートに相当する。
以下では、更なる別の実施例が図4及び図5を用いて示される。
図4は、ISO11898−4に準拠した、そこに記載された基本サイクル及びタイムスロットを有するTTCANネットワークのシステムマトリックスを示す。「メッセージA」(Message A)、「メッセージC」(Message C)等と表示され、特定のデータフレームの伝送のために排他的に提供されるタイムスロットが存在する一方、「アービトレーション」(Arbitration)と表示された他のタイムスロットでは、通常のCANアービトレーションにより、バスアクセス権が付与される。
これ以外の何も記載されないデータフレームは全て、第2の実施例では、第1の実施例の方法に従って処理される。さらに、前もって定められた、排他的に付与される特定のタイムスロットについては、ビット長の短縮は倍率の調整によって、既に早期に、例えばSOFビットから行われ、例えばCRCフィールドの終わりまで維持される。このように修正されて伝送されるデータフレームの例が、図5に示される。目前に迫る高速伝送のための標識として、例えば、先行する基準メッセージの予約ビットを援用することが可能である。この予約ビットの設定によって、記載される例では、後続の基本サイクルで排他的なタイムスロットで伝送されるデータフレームが、既にSOFビットからCRCフィールドの終わりまで加速され、即ち短縮されたビット長により伝送されることがシグナリングされるであろう。
好適な実施形態において、各基本サイクルで、即ち反復因数1により伝送される排他的なデータフレームが、本方法によってさらに加速されることが構想されうる。この場合が図4に示される。例示的に示されるシステムマトリックスでは、「メッセージA」及び「メッセージC」と表示されたデータフレームが、解説された方法によって、各先行する基準メッセージ内の対応する標識によって、加速されて伝送されるであろう。
第2の実施例で示される方法については、標識を省略して、全ての排他的なタイムスロット内でデータフレームが、例えばSOFビットからCRCフィールドの終わりの間のように基本的に固定の範囲で、短縮されたビット長により伝送されることを定めることも可能である。この理由から、図4では、標識に「任意」(optional)という参考情報が付けられている。
示される第2の実施例における本方法の効果は、第1の例よりも高い。なぜならば、排他的なタイムスロット内のアービトレーションフィールド及びコントロールフィールドのビットも、高速伝送されるからである。実際に実現されるデータ伝送レートは、少なくとも、排他的なタイムスロットの割合及びアドレス指定形式に依存する。
ISO11898−1で規定された方法に対して修正された方法は、図6で詳細に解説するように、FastCANコントローラ内で、送信確認(CRCデリミタ及びアクノリッジスロット(Acknowledge−Slot))の処理のために必要となる可能性がある。
図6の「A」には、内部での処理時間又は信号移動時間が非常に短い場合の、状態「FastCANデータ」から「FastCANアービトレーション」への移行の理想的な推移が示されている。送信者は、1個のレセッシブビットとしてCRCデリミタを送信し、先に記載された本発明の実施例に従って、例えば、当該CRCデリミタビットのサンプルポイントで、又は、位相バッファセグメント2を過ぎた後で、状態「FastCANアービトレーション」に変化する。受信者も、例えばこのビット位置で、状態「FastCANアービトレーション」に変化する。倍率のリセットによるこの状態移行T4は、例えば信号移動時間又は内部の処理時間に基づいて、様々なバス加入者内で、正確には一致しない時点に起こる。即ち、関与するバス加入者は、正確には一致しない時点に、バス時間単位のためのその倍率を再び初期状態に設定する。これによって、バス加入者のために、次のビットの様々な開始時点が得られる。
CRCデリミタの受信後に、各受信者は、自身のCRC検査(CEC−Check)がポジティブ(positiv)であった場合には、1個のドミナントなアクノリッジビット(Acknowledge−Bit)を送信する。例えば受信者がバスの離れた末端に接続されているために、このアクノリッジビットの送信が比較的遅く行われる場合には、レセッシブなCRCデリミタビットは、1ビットよりも長く出現する可能性がある。このケースが図6の「B」に示される。アクノリッジビットの重畳によってさらに、図6の「C」に示すように、アクノリッジスロットが1ビットよりも長く出現する可能性がある。このアクノリッジビットの、位相がずれた送信時点を場合によっては補正するために、FastCANコントローラ内での上記ビットの処理は、状態「FastCANアービトレーション」において、CRCデリミタの直後又は1ビット遅く開始する1又は2ビット長のドミナントなアクノリッジスロットが、有効な確認応答(Acknowledge)として承認される程度にまで変更されうる。
引き続いて、アクノリッジビットの立下りエッジによって、バス加入者は、通常の再同期化の仕組みの枠組みにおいて再同期化される。送信者によって、CRCデリミタの第1ビットの後に、1個だけではなく、2個の更なる別のリセッシブなビットが受信される場合には、これは、送信者にとってはアクノリッジエラー(Acknowledge−Error)である。第2のドミナントなアクノリッジビットの後に、第3のドミナントなビットが受信された場合には、これは、全バス加入者にとってフォーマットエラー(Format−Error)である。規格CANのように、アクノリッジスロットの後には、1ビット長のレセッシブなアクノリッジデリミタが続く。規格CANのように、CRCエラーを検知したFastCAN受信者は、エラーフレーム(Error Frame)を、アクノリッジデリミタの後のビットで初めて開始する。
以上、提示された方法によって、CANネットワーク内でデータフレームをより短時間で伝送することが可能であると同時に、エラー検出及びエラー処理並びにデータの一貫性に関するCANの基本的な特徴を保持する方法を記載するという、提示した課題への解決策が示される。

Claims (19)

  1. 少なくとも2つの関与するデータ処理ユニットを有するネットワーク内でのデータ伝送のため方法であって、前記少なくとも2つの関与するデータ処理ユニットは、前記ネットワークを介してデータフレームを交換し、
    送信される前記データフレームは、CAN仕様ISO11898−1に準拠した論理的構造を有し、
    データフレーム内の1ビットを送信する時間は、少なくとも2つの異なる値を取ることが可能であり、
    前記データフレーム内の第1の予め設定可能な範囲について、前記1ビットを送信する時間は、約1マイクロ秒の予め設定された最小値よりも大きく又は当該最小値と等しく、前記データフレーム内の少なくとも1つの第2の予め設定可能な範囲において、前記1ビットを送信する時間は、前記第1の予め設定可能な範囲に対して少なくとも半減される、前記方法において、
    前記1ビットを送信する時間の変更は、最小時間単位又は稼働時の発振クロックに対して相対的にバス時間単位を設定するための少なくとも2つの異なる倍率の利用によって実現されることを特徴とする、方法。
  2. 前記第2の予め設定可能な範囲は、エラーフレームの開始の理由が検出された直後に、又は、切り替え復帰のために定められたビットに到達した直後に、バス加入者によって終了され、前記バス加入者内の倍率が、前記第1の予め設定可能な範囲の前記値に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. バスアクセス権は、ISO11898−1に記載されたアービトレーションによって付与され、前記データフレーム内の前記予め設定可能な第2の範囲は、早くともデータ長コードの第1のビットで始まり、遅くともCRCデリミタビットで終わることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記1ビットを送信する時間の前記変更は、前記予め設定可能な第1の予め設定可能な範囲内に存在する標識によりシグナリングされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記標識は、前記データフレームのコントロールフィールド内の予約ビットであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. バスアクセス権は、ISO11898−4に記載される時間制御型の手続きによって付与され、前記データフレーム内の前記予め設定可能な第2の範囲は、早くとも前記データフレームのスタートオブフレームビットで始まり、遅くともCRCデリミタビットで終わることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  7. 前記データフレームのアドレスと、前記データフレーム内の、前記1ビットを送信する時間の変更が行われる範囲とが、時間制御型バス通信の設定の枠組みにおいて定められることを特徴とする、請求項1又は2又は6に記載の方法。
  8. 前記1ビットを送信する時間の前記変更は、以前に送信された基準メッセージ内に存在する標識によってシグナリングされることを特徴とする、請求項1又は2又は6に記載の方法。
  9. バス加入者内での前記第2の予め設定可能な範囲への移行は、切り替えのために定められた標識又は前記切り替えのために定められたビットが検出された直後に実行され、前記倍率が切り替えられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 送信するバス加入者が、前記仕様ISO11898−1に対して、1つ以上の受信者によるデータフレームの正しい受信の、1ビット分だけ遅い確認応答(アクノリッジ)、及び/又は、最大2ビット長のアクノリッジスロットを受け付け、エラーとして処理しない程度にまで、通信プロトコルが変更されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記第1の予め設定可能な範囲及び前記第2の予め設定可能な範囲では、ビット時間セグメントへのビットの分割のために様々な値が利用されることを特徴する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記1ビットを送信する時間は、前記第1の予め設定可能な範囲に対して半分よりも短いことを特徴する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 少なくとも2つの関与するデータ処理ユニットと、データフレーム伝送のための接続線と、を有するネットワーク内でのデータ伝送のための装置であって、
    送信されるデータフレームは、CAN仕様ISO11898−1に準拠した論理的構造を有し、
    少なくとも2つの異なる倍率が、最小時間単位又は発振クロックに対して相対的にバス時間単位を設定するために利用され、
    前記設定から得られる1ビットを送信する時間は、少なくとも1つの第1の設定では、約1マイクロ秒の予め設定された最小値よりも大きく又は当該最小値と等しく、少なくとも1つの第2の設定では、前記第1の設定に対して少なくとも半減される、前記装置において、
    前記設定の切り替えは稼働中に行われることを特徴とする、装置。
  14. バス時間単位の設定のために利用される前記倍率の前記少なくとも2つの異なる値、又は、前記倍率の基準値、及び、少なくとも1つの対応する乗数及び/又は除数は、そのために提供された少なくとも1つのレジスタ又はデータフィールドへの書き込みによって設定されうることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
  15. ビット時間セグメントの設定のために利用される前記少なくとも2つの異なる値は、そのために提供された少なくとも1つのレジスタ又はデータフィールドへの書き込みによって設定されうることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
  16. 前記少なくとも2つの異なる倍率の切り替えは、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法に従って行われることを特徴とする、請求項13〜15に記載の装置。
  17. エラーフレームの開始の理由が検出された際には、又は、様々な倍率を利用しないことをシグナリングする標識の値が受信された際には、バス加入者内の前記倍率が1つの値に設定され、従って、データフレーム全体のビット長は均一であり、規格ISO11898−1に従って許容される値に対応することを特徴とする、請求項13〜16のいずれか1項に記載の装置。
  18. 前記装置を用いて送信するバス加入者は、1つ以上の受信者によるデータフレームの正しい受信の、前記仕様ISO11898−1に対して1ビット分だけ遅れた確認応答(アクノリッジ)、及び/又は、最大2ビット長のアクノリッジスロットを受け付け、エラーとして処理しないことを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の装置。
  19. 前記設定から得られる前記1ビットを送信する時間は、少なくとも1つの第2の設定では、前記第1の設定に対して半分よりも短いことを特徴とする、請求項13〜18のいずれか1項に記載の装置。
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