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JP5558881B2 - プラズマミグ溶接方法 - Google Patents

プラズマミグ溶接方法 Download PDF

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JP5558881B2 JP2010075338A JP2010075338A JP5558881B2 JP 5558881 B2 JP5558881 B2 JP 5558881B2 JP 2010075338 A JP2010075338 A JP 2010075338A JP 2010075338 A JP2010075338 A JP 2010075338A JP 5558881 B2 JP5558881 B2 JP 5558881B2
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Description

本発明は、1つの溶接トーチを用いてミグアークとプラズマアークとを同時に発生させて溶接を行うプラズマミグ溶接方法に関するものである。
従来から、プラズマ溶接方法とミグ溶接方法とを組み合わせたプラズマミグ溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このプラズマミグ溶接方法においては、溶接トーチを通して送給される溶接ワイヤと母材との間にミグ溶接電流を通電することによってミグアークを発生させる。これと同時に、溶接ワイヤを囲むようにアルゴンなどのガスを供給し、このガスを介して溶接トーチと母材との間にプラズマ溶接電流を通電することによってプラズマアークを発生させる。溶接ワイヤは、ミグアークを発生させる電極として機能すると共に、その先端が溶融することにより溶滴となって母材の接合を補助する。したがって、プラズマミグ溶接方法は、厚板の高効率溶接、薄板の高速溶接等に使用されることが多い。
上記のミグ溶接電流は、スパッタの発生を抑制し、かつ、溶滴を安定して供給するために、一般的に直流のパルス波形が使用される。したがって、ミグ溶接方法は、一般的なミグパルス溶接方法である。ミグパルス溶接方法を含む消耗電極式アーク溶接方法では、溶接中のアーク長を適正値に維持することが重要であるために、アーク長制御が行われる。上記のプラズマ溶接電流には、直流又は直流パルス波形が使用される。ここで、第1ピーク電流及び第1ベース電流から形成されるミグ溶接電流を通電してミグアークを発生させ、第2ピーク電流及び第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流を通電してプラズマアークを発生させる場合において、上記の第1ピーク電流通電中に上記の第2ベース電流を通電し、上記第1ベース電流通電中に上記の第2ピーク電流を通電する従来技術(特許文献2参照)が開示されている。すなわち、ミグ溶接電流及びプラズマ溶接電流にパルス波形を使用すると共に、互いのピーク電流通電が重ならないように位相をずらしている。このようにすることによって、互いのピーク電流が重なって母材への入熱が過多になることがなくなるので、アルミニウム材の溶接において組織の劣化及び割れが防止でき、良好な溶接品質を得ることができる。これ以降の説明において、単にアーク長と記載したときはミグアークのアーク長を意味している。以下、この従来技術について説明する。
図9は、従来技術のプラズマミグ溶接方法を示す波形図である。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はミグ溶接電圧Vwmを示し、同図(C)はプラズマ溶接電流Iwpを示す。ミグアークへの電力の供給は定電圧制御によって行われるので、電流及び電圧波形を示しており、プラズマアークへの電力の供給は定電流制御によって行われるので電流波形のみを示している。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、時刻t1〜t2のピーク期間Tp中は第1ピーク電流Ipmが通電し、時刻t2〜t3のベース期間Tb中は第1ベース電流Ibmが通電する。このピーク期間Tpとベース期間Tbとを合わせてパルス周期Tfになる。そして、このミグ溶接電流Iwmの通電に対応して、同図(B)に示すように、ピーク期間Tp中は第1ピーク電圧Vpmが溶接ワイヤと母材との間に印加し、ベース期間Tb中は第1ベース電圧Vbmが印加する。
ミグ溶接では、良好な溶接品質を得るためにアーク長を適正値に維持するアーク長制御が行われる。通常、このアーク長制御は、ミグ溶接電圧Vwmがアーク長と略比例関係にあることを利用して、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が予め定めた電圧設定値と等しくなるようにパルス周期が制御される。ミグ溶接電圧Vwmの平均値は、ミグ溶接電圧Vwmをローパスフィルタに通すことによって生成される。このアーク長制御の方式は、周波数変調制御と呼ばれる。この場合、ピーク期間Tp、第1ピーク電流Ipm及び第1ベース電流Ibmは所定値に設定され、定数のパルスパラメータとなる。第1ピーク電流Ipmは臨界値以上に設定され、ピーク期間Tpと組み合わせてユニットパルス条件と呼ばれる。このユニットパルス条件は、1パルス周期1溶滴移行になるように設定される。第1ベース電流Ibmは、臨界値未満の数十A程度の小電流値に設定される。ユニットパルス条件及び第1ベース電流Ibmは、溶接ワイヤの材質、直径、ガスの種類等に応じて適正値に設定される。上記のパルス周期Tfは、フィードバック制御における操作量となるパラメータであり、周波数変調制御によってアーク負荷の変動に応動して過渡的に刻々と変化している。アーク状態が安定状態にあるときは、パルス周期Tfは略一定値の定常値になる。溶接ワイヤの送給速度が変化すると、適正なアーク長を維持するためには、ミグ溶接電流Iwmの平均値もそれに対応して変化する必要がある。これは、アーク長は送給速度と溶融速度とのバランスによって定まり、溶融速度はミグ溶接電流Iwmの平均値に比例するからである。すなわち、周波数変調制御によるアーク長制御では、送給速度が変化すると電圧設定値をそれに対応して適正値に変化させるので、パルス周期Tfの定常値が変化することになる。換言すれば、周波数変調制御では、送給速度に応じてパルス周期Tfが変化することになる。
他方、プラズマ溶接電流Iwpは、ミグ溶接電流Iwmと同期している。ここで、ピーク期間Tpの終了時刻t2から所定遅延期間Td経過した時刻をt21とすると、同図(C)に示すように、時刻t1〜t21の期間中は予め定めた第2ベース電流Ibpが通電し、時刻t21〜t3の期間中は予め定めた第2ピーク電流Ippが通電する。すなわち、プラズマ溶接電流Iwpの波形においては、所定値である遅延期間Td、第2ピーク電流Ipp及び第2ベース電流Ibpが定数のパルスパラメータとなり、その周期は上記のパルス周期Tfと同一となる。このようにすることによって、第1ピーク電流Ipmの通電と第2ピーク電流Ippの通電とが重ならないように制御している。
特開2008−229641号公報 特開2008−105039号公報
上述したように従来技術では、パルス周期Tfは、送給速度が一定である場合にはミグアークの負荷変動に応動して過渡的に変化する。さらに、パルス周期Tfの定常値は、送給速度が変化するとそれに対応して変化する。ミグアークでは、このようにパルス周期Tfが変化することによってアーク長が適正値に維持されることになり、安定したアーク状態となる。他方、プラズマ溶接電流Iwpに対しては、パルス周期Tfが変化すると、それに伴ってプラズマ溶接電流Iwpの平均値が変化することになる。これは、上述したように、パルスパラメータである遅延期間Td、第2ピーク電流Ipp及び第2ベース電流Ibpが所定値であるので、周期が変化するとその平均値が変化するためである。プラズマ溶接電流Iwpの平均値は、母材の溶接継手、板厚、溶接速度等に応じて良好な溶接ビードが形成されるように設定される。しかし、上述したように、周波数変調制御によってパルス周期Tfが変化すると、強制的にプラズマ溶接電流Iwpの平均値も変化してしまう。この結果、溶接ビードが悪くなる場合が生じることになる。
そこで、本発明では、ミグ溶接電流を周波数変調制御してパルス周期が変化しても、プラズマ溶接電流の平均値を所定値に維持することができるプラズマミグ溶接方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
第1ピーク電流の通電と第1ベース電流の通電とを1パルス周期として繰り返すことによって溶接ワイヤと母材との間にミグアークを発生させ、周波数変調制御によって前記パルス周期を変化させて前記ミグアークのアーク長を制御し、
前記第1ベース電流の通電期間の一部又は全部の期間中は第2ピーク電流を通電し、前記パルス周期のその他の期間中は第2ベース電流を通電して前記溶接ワイヤを囲むように配置されたプラズマ電極と前記母材との間にプラズマアークを発生させるプラズマミグ溶接方法において、
前記周波数変調制御によって前記パルス周期が変化して前記第2ピーク電流及び前記第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流の平均値が変化すると、プラズマ溶接電流の平均値が予め定めた電流設定値と等しくなるように前記プラズマ溶接電流の波形パラメータを制御する、
ことを特徴とするプラズマミグ溶接方法である。
請求項2の発明は、前記波形パラメータの制御が、前記第2ベース電流と前記第2ピーク電流の通電期間とを所定値に設定し、前記プラズマ溶接電流の平均値が前記電流設定値と等しくなるように前記第2ピーク電流をフィードバック制御によって変化させる制御である、
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法である。

請求項3の発明は、前記波形パラメータの制御が、前記第2ベース電流及び前記第2ピーク電流を所定値に設定し、前記プラズマ溶接電流の平均値が前記電流設定値と等しくなるように前記第2ピーク電流の通電期間をフィードバック制御によって変化させる制御である、
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法である。
本発明によれば、ミグ溶接電流の第1ピーク電流の通電とプラズマ溶接電流の第2ピーク電流の通電とが重ならないように位相をずらしており、かつ、ミグ溶接電流の周波数変調制御によってパルス周期が変化してもプラズマ溶接電流の平均値が所定値になるように制御している。このために、互いのピーク電流が重なって母材への入熱が過多になることがなく、かつ、プラズマアークからの入熱を所定値にすることができるので、アルミニウム材の溶接において組織の劣化及び割れが防止でき、良好な溶接品質を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。 図1の溶接装置を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。 図1の溶接装置を構成するプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。 実施の形態1において、送給速度が低速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。 実施の形態1において、送給速度が高速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係るプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。 実施の形態2において、送給速度が低速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。 実施の形態2において、送給速度が高速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。 従来技術におけるプラズマミグ溶接方法を示す波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1は、ミグ溶接電流に対する周波数変調制御によってパルス周期が変化したときに、第2ピーク電流及び第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流の平均値が予め定めた電流設定値と等しくなるように第2ピーク電流値をフィードバック制御するものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して、各構成物について説明する。
本溶接装置は、破線で囲まれた溶接トーチWT、ミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPを備えている。溶接トーチWTは、シールドガスノズル52内に、プラズマノズル51、プラズマ電極1b及び給電チップ4が同心軸上に配置された構造となっている。シールドガスノズル52とプラズマノズル51との隙間からは、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のシールドガス63が供給される。プラズマノズル51とプラズマ電極1bとの間には、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のプラズマガス62が供給される。プラズマ電極1bと給電チップ4との間には、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のセンターガス61が供給される。
給電チップ4に設けられた貫通孔からは、溶接ワイヤ1aが送給される。給電チップ4は、溶接ワイヤ1aに対して導通している。溶接ワイヤ1aは、送給モータWMを駆動源とする送給ロール7の回転によって送給される。プラズマ電極1bは、たとえば銅又は銅合金からなり、図外の経路を通る冷却水によって間接的に水冷されている。プラズマノズル51は、たとえば銅又は銅合金からなり、冷却水を通す流路が形成されていることにより、直接冷却されている。溶接トーチWTは、通常ロボット(図示は省略)によって保持された状態で、母材2に対して移動させられる。溶接ワイヤ1aの先端と母材2との間には、ミグアーク3aが発生する。プラズマ電極1bと母材2との間には、プラズマガス62によって熱的に拘束されたプラズマアーク3bが発生する。したがって、ミグアーク3aは、プラズマアーク3bに包まれた状態になっている。このために、プラズマアーク3bは、ミグアーク3aの形状が広がるのを拘束する作用がある。
ミグ溶接電源PSMは、給電チップ4を介して溶接ワイヤ1aと母材2との間に、ミグ溶接電圧Vwmを印加することにより、ミグ溶接電流Iwmを通電するための電源である。ミグ溶接電源PSMからは、送給モータWMに対して送給制御信号Fcが送られ、溶接ワイヤ1aの送給速度が制御される。また、ミグ溶接電源PSMから後述するピーク期間タイマ信号Tpsがプラズマ溶接電源PSPに出力される。ミグ溶接電源PSMからミグ溶接電圧Vwmが印加されるときは、溶接ワイヤ1aが+側とされる。ミグ溶接電源PSMは、定電圧特性の電源であり、ミグ溶接電圧Vwmが予め定めた電圧設定信号Vr(図示は省略)の値と等しくなるように制御される。また、ミグ溶接電流Iwmの平均値は、溶接ワイヤ1aの送給速度によってその値が定まる。
プラズマ溶接電源PSPは、プラズマ電極1bと母材2との間にプラズマ溶接電圧Vwpを印加することによりプラズマ溶接電流Iwpを通電するための電源である。プラズマ溶接電源PSPからプラズマ溶接電圧Vwpが印加されるときは、プラズマ電極1bが+側とされる。プラズマ溶接電源PSPは、定電流特性の電源であり、プラズマ溶接電流Iwpを形成する第2ピーク電流及び第2ベース電流が所定値になるように制御される。
図2は、上述した図1を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、ミグ溶接電圧Vwm及びミグ溶接電流Iwmを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流回路と、整流された直流を平滑するコンデンサと、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧するインバータトランスと、降圧された高周波交流を整流する2次整流回路と、整流された直流を平滑するリアクトルと、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってPWM変調制御を行ないその結果に基づいてインバータ回路を駆動する駆動回路と、から構成される。溶接ワイヤ1aは、送給モータWMに結合された送給ロール7によって給電チップ4内を通って送給され、母材2との間にミグアーク3aが発生する。溶接トーチの構造は図1のとおりであり、ここでは簡略化して図示している。
電圧検出回路VDは、パルス波形のミグ溶接電圧Vwmを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。電圧平均値算出回路VAVは、この電圧検出信号Vdの平均値を算出して、電圧平均値信号Vavを出力する。この平均値の算出は、ローパスフィルタを通すことによって行う。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frによって定まる送給速度Fwで溶接ワイヤ1aを送給するための送給制御信号Fcを送給モータWMに出力する。
電圧設定回路VRは、予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、この電圧設定信号Vrと上記の電圧平均値信号Vavとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。電圧/周波数変換回路VFは、この電圧誤差増幅信号Evの値に応じた周波数を有するパルス周期信号Tfsを出力する。このパルス周期信号Tfsは、パルス周期ごとに短時間だけHighレベルになるトリガ信号である。
ピーク期間設定回路TPRは、予め定めたピーク期間設定信号Tprを出力する。ピーク期間タイマ回路TPSは、上記のパルス周期信号TfsがHighレベルになると上記のピーク期間設定信号Tprの値によって定まる期間だけHighレベルになるピーク期間タイマ信号Tpsを、後述する電流設定制御回路IRCに出力すると共に、プラズマ溶接電源PSPに出力する。このピーク期間タイマ信号TpsがHighレベルのときがピーク期間となり、Lowレベルのときがベース期間となる。
第1ベース電流設定回路IBMRは、予め定めた第1ベース電流設定信号Ibmrを出力する。第1ピーク電流設定回路IPMRは、予め定めた第1ピーク電流設定信号Ipmrを出力する。電流設定制御回路IRCは、上記のピーク期間タイマ信号TpsがLowレベルのときは上記の第1ベース電流設定信号Ibmrを電流設定制御信号Ircとして出力し、Highレベルのときは上記の第1ピーク電流設定信号Ipmrを電流設定制御信号Ircとして出力する。
電流検出回路IDは、パルス波形のミグ溶接電流Iwmを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流設定制御信号Ircと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。上述したミグ溶接電源PSMでは、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が電圧設定信号Vrの値と等しくなるようにパルス周期が変化して周波数変調制御が行われるので、定電圧特性の電源となる。
図3は、上述した図1を構成するプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御等の出力制御を行いプラズマ溶接電流Iwpを出力する。このプラズマ溶接電流Iwpは、プラズマ電極1b、プラズマアーク3b、母材2を通って通電する。溶接トーチの構造は上述した図1のとおりであるが、ここでは簡略化して図示している。
論理反転回路NOTは、上述したようにミグ溶接電源PSMからのピーク期間タイマ信号Tpsを入力として、その論理反転を行い、論理反転信号Notを出力する。この論理反転信号Notは、ミグ溶接電流Iwmのピーク期間中はLowレベルになり、ベース期間中はHighレベルになる信号である。オンディレイ回路ODは、この論理反転信号Notを入力として、その信号がHighレベルになるのを予め定めたオンディレイ期間Todだけ遅延させたオンディレイ信号Odを出力する。第2ピーク電流通電期間設定回路TPPRは、予め定めた第2ピーク電流通電期間設定信号Tpprを出力する。第2ピーク電流通電期間タイマ回路TPPSは、上記の論理反転信号Not、上記のオンディレイ信号Od及びこの第2ピーク電流通電期間設定信号Tpprを入力として、オンディレイ信号OdがHighレベルに変化した時点から第2ピーク電流通電期間設定信号Tpprによって定まる期間だけHighレベルになる信号を生成し、この信号と論理反転信号Notとの論理積を取り第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsを出力する。この第2ピーク電流通電期間タイマ信号TppsがHighレベルのときは第2ピーク電流が通電する期間となり、Lowレベルのときは第2ベース電流が通電する期間となる。そして、この第2ピーク電流通電期間タイマ信号TppsがHighレベルになる期間は、論理反転信号Notとの論理積された信号であるので、ミグ溶接電流Iwmのベース期間中に限定されることになる。
電流検出回路IDは、パルス波形のプラズマ溶接電流Iwpを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流平均値算出回路IAVは、この電流検出信号Idを入力として、その平均値を算出して電流平均値信号Iavとして出力する。電流設定回路IARは、プラズマ溶接電流Iwpの平均値を設定するための予め定めた電流設定信号Iarを出力する。電流誤差積分回路SIは、この電流設定信号Iar及び上記の電流平均値信号Iavを入力として、第2ピーク電流設定信号Ippr=Ipp0+∫(Iar−Iav)・dtを出力する。ここで、Ipp0は予め定めた第2ピーク電流の初期値である。積分は溶接中行われる。第2ベース電流設定回路IBPRは、予め定めた第2ベース電流設定信号Ibprを出力する。電流設定制御回路IRCは、上記の第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tpps、上記の第2ピーク電流設定信号Ippr及び上記の第2ベース電流設定信号Ibprを入力として、第2ピーク電流通電期間タイマ信号TppsがHighレベルのときは第2ピーク電流設定信号Ipprを電流設定制御信号Ircとして出力し、Lowレベルのときは第2ベース電流設定信号Ibprを電流設定制御信号Ircとして出力する。電流誤差増幅回路EIは、この電流設定制御信号Ircと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って溶接電源の出力制御が行われることによって、第2ピーク電流及び第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流Iwpが通電する。
図4及び図5は、上述したミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。図4は、送給速度が図5よりも低速に設定されている場合であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfが図5よりも長くなる場合である。他方、図5は、送給速度が図4よりも高速に設定されている場合であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfが図4よりも短くなる場合である。以下、両図を用いて動作を説明する。
図4は、送給速度が低速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はプラズマ溶接電流Iwpを示し、同図(C)はパルス周期信号Tfsを示し、同図(D)はピーク期間タイマ信号Tpsを示し、同図(E)は第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsを示す。同図は、周波数変調制御によってピーク期間Tpとパルス周期Tfとの時間比がおよそ1:5となる場合である。以下、同図を参照して動作を説明する。
同図(C)に示すように、パルス周期信号Tfsは、時刻t1及び時刻t3において短時間だけHighレベルになるトリガ信号である。この時刻t1〜t3の期間がパルス周期Tf1となる。このパルス周期Tf1は、ミグ溶接電圧の平均値が電圧設定信号Vrの値と等しくなるように周波数変調制御によって決定される。同図(D)に示すように、ピーク期間タイマ信号Tpsは、パルス周期信号TfsがHighレベルに変化した時点(時刻t1及びt3)からピーク期間設定信号Tprによって定まる期間(時刻t1〜t2の期間)だけHighレベルになる信号である。したがって、同図(D)に示すように、ピーク期間タイマ信号Tpsは、時刻t1〜t2のピーク期間Tp中はHighレベルになり、時刻t2〜t3のベース期間Tb中はLowレベルになる。同図(A)に示すように、ミグ溶接電流Iwmは、ピーク期間タイマ信号TpsがHighレベルのピーク期間Tp中は第1ピーク電流Ipmが通電し、Lowレベルのベース期間Tb中は第1ベース電流Ibmが通電する。
同図(E)に示すように、第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsは、同図(D)に示すピーク期間タイマ信号TpsがLowレベルに変化する時刻t2から予め定めたオンディレイ期間Todが経過した時刻t21においてHighレベルになり、その時点から第2ピーク電流通電期間設定信号Tpprによって定まる時間が経過した時刻t22においてLowレベルになる。したがって、同図(E)に示すように、第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsは、時刻t21〜t22の期間だけHighレベルになる。同図(B)に示すように、プラズマ溶接電流Iwpは、同図(E)に示す第2ピーク電流通電期間タイマ信号TppsがHighレベルになる時刻t21〜t22の期間中は第2ピーク電流Ippが通電し、Lowレベルになる時刻t1〜t21及び時刻t22〜t3の期間中は第2ベース電流Ibpが通電する。
同図(A)に示すミグ溶接電流Iwmの波形において、第1ピーク電流Ipm、第1ベース電流Ibm及びピーク期間Tpは所定値であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfは変化し、これに伴いベース期間Tbも変化する。他方、同図(B)に示すプラズマ溶接電流Iwpの波形において、第2ベース電流Ibp及び第2ピーク電流通電期間Tppは所定値である。そして、ミグ溶接電流Iwmの周波数変調制御によってパルス周期Tfが変化しても、プラズマ溶接電流Iwpの平均値が設定値になるように第2ピーク電流Ippの値が制御される。この制御を電流変調制御と呼ぶことにする。同図では、第2ピーク電流Ipp=Ipp1となっている。
図5は、送給速度が高速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はプラズマ溶接電流Iwpを示し、同図(C)はパルス周期信号Tfsを示し、同図(D)はピーク期間タイマ信号Tpsを示し、同図(E)は第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsを示す。同図は、周波数変調制御によってピーク期間Tpとパルス周期Tfとの時間比がおよそ1:2となる場合である。同図は図4と対応しており、同一動作については説明を省略し、異なる点について説明する。
同図(A)に示すミグ溶接電流Iwmの波形において、第1ピーク電流Ipm、第1ベース電流Ibm及びピーク期間Tpは図4と同一値であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfは変化し、これに伴いベース期間Tbも変化する。図4ではパルス周期Tf=Tf1となり、同図ではパルス周期Tf=Tf2となる。Tf1>Tf2である。他方、同図(B)に示すプラズマ溶接電流Iwpの波形において、第2ベース電流Ibp及び第2ピーク電流通電期間Tppは図4と同一値である。そして、ミグ溶接電流Iwmの周波数変調制御によってパルス周期Tfが変化しても、プラズマ溶接電流Iwpの平均値が電流設定値になるように第2ピーク電流Ippの値が制御される。図4では、第2ピーク電流Ipp=Ipp1となっており、同図では、第2ピーク電流Ipp=Ipp2となっている。Ipp1>Ipp2である。これは、パルス周期Tfは同図の方が短いので、同一の平均値を得るためには第2ピーク電流Ippを小さくできるためである。
同図において数値例を挙げて説明する。ミグ溶接電流Iwmの波形パラメータである第1ピーク電流Ipm=450A、第1ベース電流Ibm=50A、ピーク期間Tp=2msとして、パルス周期Tf1=10msに制御されたとする。他方、プラズマ溶接電流Iwpの波形パラメータであるオンディレイ期間Tod=0、第2ベース電流Ibp=50A、第2ピーク電流通電期間Tpp=2msとし、電流変調制御によって第2ピーク電流Ipp=50〜450Aの範囲で変化すると、プラズマ溶接電流Iwpの平均値は50〜130Aの範囲で設定することができる。このときのミグ溶接電流Iwmの平均値は130Aである。プラズマ溶接電流Iwpの平均値は、実用上、ミグ溶接電流Iwmの平均値以下で設定されることが多いので、上記の設定範囲はさほど問題ではない。図5の場合には、パルス周期Tf2=4msとすると、プラズマ溶接電流Iwpの平均値は50〜250Aの範囲で設定することができる。このときのミグ溶接電流Iwmの平均値は250Aである。この設定範囲についても、上記と同様である。
オンディレイ期間Todを設ける理由は、以下のとおりである。オンディレイ期間Tod=0の場合には、図4及び図5の時刻t2において、第1ピーク電流Ipmは立ち下がり、第2ピーク電流Ippは立ち上がることになる。実際の電流波形では、溶接電源内部のリアクトル及び外部のケーブルの引き回しによるリアクトルの影響によって、立下り及び立上りに傾斜が存在する。このために、オンディレイ期間Todを設けることで、立下りと立上りとの交差する期間における電流の重なりを防止して、母材への過熱を抑制している。
上述した実施の形態1によれば、ミグ溶接電流の第1ピーク電流の通電とプラズマ溶接電流の第2ピーク電流の通電とが重ならないように位相をずらしており、かつ、ミグ溶接電流の周波数変調制御によってパルス周期が変化してもプラズマ溶接電流の平均値が所定値になるように制御している。このために、互いのピーク電流が重なって母材への入熱が過多になることがなく、かつ、プラズマアークからの入熱を所定値にすることができるので、アルミニウム材の溶接において組織の劣化及び割れが防止でき、良好な溶接品質を得ることができる。さらに、本実施の形態では、プラズマ溶接電流の平均値が常に所定値に制御されるので、プラズマアークからの溶接ワイヤへの予熱が一定となり、溶接ワイヤの溶滴移行が安定化され、溶接ヒューム及びスパッタの発生を低減することができる。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2は、ミグ溶接電流に対する周波数変調制御によってパルス周期が変化したときに、第2ピーク電流及び第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流の平均値が予め定めた電流設定値と等しくなるように第2ピーク電流の通電期間をフィードバック制御するものである。
実施の形態2に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置は、上述した図1と同一である。また、溶接装置を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図についても、上述した図2と同一である。しかし、溶接装置を構成するプラズマ溶接電源PSPのブロック図は、上述した図3とは一部が異なっているので、以下、その点について説明する。
図6は、実施の形態2に係るプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。同図において、上述した図3と同一ブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図3の第2ピーク電流通電期間設定回路TPPRを削除し、図3の電流誤差積分回路SIを破線で示す第2電流誤差積分回路SI2に置換し、破線で示す第2ピーク電流設定回路IPPRを追加したものである。以下、これらのブロックについて同図を参照して説明する。
第2電流誤差積分回路SI2は、電流設定信号Iar及び電流平均値信号Iavを入力として、第2ピーク電流通電期間設定信号Tppr=Tpp0+∫(Iar−Iav)・dtを出力する。ここで、Tpp0は予め定めた第2ピーク電流通電期間の初期値である。積分は溶接中行われる。第2ピーク電流設定回路IPPRは、予め定めた第2ピーク電流設定信号Ipprを出力する。
図7及び図8は、実施の形態2に係るミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。図7は、上述した図4と対応しており、送給速度が図8よりも低速に設定されている場合であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfが図8よりも長くなる場合である。他方、図8は、上述した図5に対応しており、送給速度が図7よりも高速に設定されている場合であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfが図7よりも短くなる場合である。以下、両図を用いて動作を説明する。
図7は、送給速度が低速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はプラズマ溶接電流Iwpを示し、同図(C)はパルス周期信号Tfsを示し、同図(D)はピーク期間タイマ信号Tpsを示し、同図(E)は第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsを示す。同図は、周波数変調制御によってピーク期間Tpとパルス周期Tfとの時間比がおよそ1:5となる場合である。以下、同図を参照して動作を説明する。
同図(C)に示すように、パルス周期信号Tfsは、時刻t1及び時刻t3において短時間だけHighレベルになるトリガ信号である。この時刻t1〜t3の期間がパルス周期Tf1となる。このパルス周期Tf1は、ミグ溶接電圧の平均値が電圧設定信号Vrの値と等しくなるように周波数変調制御によって決定される。同図(D)に示すように、ピーク期間タイマ信号Tpsは、パルス周期信号TfsがHighレベルに変化した時点(時刻t1及びt3)からピーク期間設定信号Tprによって定まる期間(時刻t1〜t2の期間)だけHighレベルになる信号である。したがって、同図(D)に示すように、ピーク期間タイマ信号Tpsは、時刻t1〜t2のピーク期間Tp中はHighレベルになり、時刻t2〜t3のベース期間Tb中はLowレベルになる。同図(A)に示すように、ミグ溶接電流Iwmは、ピーク期間タイマ信号TpsがHighレベルのピーク期間Tp中は第1ピーク電流Ipmが通電し、Lowレベルのベース期間Tb中は第1ベース電流Ibmが通電する。
同図(E)に示すように、第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsは、同図(D)に示すピーク期間タイマ信号TpsがLowレベルに変化する時刻t2から予め定めたオンディレイ期間Todが経過した時刻t21においてHighレベルになり、その時点から第2ピーク電流通電期間設定信号Tpprによって定まる時間が経過した時刻t22においてLowレベルになる。したがって、同図(E)に示すように、第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsは、時刻t21〜t22の期間だけHighレベルになる。同図(B)に示すように、プラズマ溶接電流Iwpは、同図(E)に示す第2ピーク電流通電期間タイマ信号TppsがHighレベルになる時刻t21〜t22の期間中は第2ピーク電流Ippが通電し、Lowレベルになる時刻t1〜t21及び時刻t22〜t3の期間中は第2ベース電流Ibpが通電する。
同図(A)に示すミグ溶接電流Iwmの波形において、第1ピーク電流Ipm、第1ベース電流Ibm及びピーク期間Tpは所定値であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfは変化し、これに伴いベース期間Tbも変化する。他方、同図(B)に示すプラズマ溶接電流Iwpの波形において、第2ベース電流Ibp及び第2ピーク電流Ippは所定値である。そして、ミグ溶接電流Iwmの周波数変調制御によってパルス周期Tfが変化しても、プラズマ溶接電流Iwpの平均値が電流設定値になるように第2ピーク電流通電期間Tppが制御される。この制御を期間変調制御と呼ぶことにする。同図では、第2ピーク電流通電期間Tpp=Tpp1となっている。
図8は、送給速度が高速であるときのミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPの各信号のタイミングチャートである。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はプラズマ溶接電流Iwpを示し、同図(C)はパルス周期信号Tfsを示し、同図(D)はピーク期間タイマ信号Tpsを示し、同図(E)は第2ピーク電流通電期間タイマ信号Tppsを示す。同図は、周波数変調制御によってピーク期間Tpとパルス周期Tfとの時間比がおよそ1:2となる場合である。同図は図7と対応しており、同一動作については説明を省略し、異なる点について説明する。
同図(A)に示すミグ溶接電流Iwmの波形において、第1ピーク電流Ipm、第1ベース電流Ibm及びピーク期間Tpは図4と同一値であり、周波数変調制御によってパルス周期Tfは変化し、これに伴いベース期間Tbも変化する。図7ではパルス周期Tf=Tf1となり、同図ではパルス周期Tf=Tf2となる。Tf1>Tf2である。他方、同図(B)に示すプラズマ溶接電流Iwpの波形において、第2ベース電流Ibp及び第2ピーク電流Ippは図7と同一値である。そして、ミグ溶接電流Iwmの周波数変調制御によってパルス周期Tfが変化しても、プラズマ溶接電流Iwpの平均値が電流設定値になるように第2ピーク電流通電期間Tppの時間長さが制御される。図7では、第2ピーク電流通電期間Tpp=Tpp1となっており、同図では、第2ピーク電流通電期間Tpp=Tpp2となっている。Tpp1>Tpp2である。これは、パルス周期Tfは同図の方が短いので、同一の平均値を得るためには第2ピーク電流通電期間Tppは短くなるためである。
同図において数値例を挙げて説明する。ミグ溶接電流Iwmの波形パラメータである第1ピーク電流Ipm=450A、第1ベース電流Ibm=50A、ピーク期間Tp=2msとして、パルス周期Tf1=10msに制御されたとする。他方、プラズマ溶接電流Iwpの波形パラメータであるオンディレイ期間Tod=0、第2ベース電流Ibp=50A、第2ピーク電流Ipp=450Aとし、期間変調制御によって第2ピーク電流通電期間Tpp=0〜8msのベース期間Tbの範囲で変化すると、プラズマ溶接電流Iwpの平均値は50〜370Aの範囲で設定することができる。このときのミグ溶接電流Iwmの平均値は130Aとなる。図8の場合には、パルス周期Tf2=4msとすると、プラズマ溶接電流Iwpの平均値は50〜250Aの範囲で設定することができる。このときのミグ溶接電流Iwmの平均値は250Aとなる。
上述した実施の形態2によれば、ミグ溶接電流の周波数変調制御によってパルス周期が変化しても、プラズマ溶接電流の第2ピーク電流通電期間を制御することによってプラズマ溶接電流の平均値を所定値にすることができる。このために、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、プラズマ溶接電流の平均値の設定範囲を実施の形態1よりも広くすることができる。
その他の実施の形態として、プラズマ溶接電流の平均値が電流設定値と等しくなるように第2ベース電流値をフィードバック制御しても良い。さらに、プラズマ溶接電流の平均値が電流設定値と等しくなるように第2ピーク電流値、第2ベース電流値又は第2ピーク電流通電期間の少なくとも2つ以上を組み合わせてフィードバック制御しても良い。また、ミグアークに対する周波数変調制御において、ミグ溶接電圧Vwmの平均値に代えて、第1ピーク電圧Vpmの瞬時値又は平均値を使用しても良い。これは、母材にアルミニウム材を使用する場合には、ミグ溶接電圧Vwmの平均値よりも第1ピーク電圧Vpmの瞬時値又は平均値の方がアーク長をより正確に検出することができるためである。
1a 溶接ワイヤ
1b プラズマ電極
2 母材
3a ミグアーク
3b プラズマアーク
4 給電チップ
7 送給ロール
51 プラズマノズル
52 シールドガスノズル
61 センターガス
62 プラズマガス
63 シールドガス
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
IAR 電流設定回路
Iar 電流設定信号
IAV 電流平均値算出回路
Iav 電流平均値信号
Ibm 第1ベース電流
IBMR 第1ベース電流設定回路
Ibmr 第1ベース電流設定信号
Ibp 第2ベース電流
IBPR 第2ベース電流設定回路
Ibpr 第2ベース電流設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Ipm 第1ピーク電流
IPMR 第1ピーク電流設定回路
Ipmr 第1ピーク電流設定信号
Ipp 第2ピーク電流
IPPR 第2ピーク電流設定回路
Ippr 第2ピーク電流設定信号
IRC 電流設定制御回路
Irc 電流設定制御信号
Iwm ミグ溶接電流
Iwp プラズマ溶接電流
NOT 論理反転回路
Not 論理反転信号
OD オンディレイ回路
Od オンディレイ信号
PM 電源主回路
PSM ミグ溶接電源
PSP プラズマ溶接電源
SI 電流誤差積分回路
SI2 第2電流誤差積分回路
Tb ベース期間
Td 遅延期間
Tf パルス周期
Tfs パルス周期信号
Tod オンディレイ期間
Tp ピーク期間
Tpp 第2ピーク電流通電期間
TPPR 第2ピーク電流通電期間設定回路
Tppr 第2ピーク電流通電期間設定信号
TPPS 第2ピーク電流通電期間タイマ回路
Tpps 第2ピーク電流通電期間タイマ信号
TPR ピーク期間設定回路
Tpr ピーク期間設定信号
TPS ピーク期間タイマ回路
Tps ピーク期間タイマ信号
VAV 電圧平均値算出回路
Vav 電圧平均値信号
Vbm 第1ベース電圧
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF 電圧/周波数変換回路
Vpm 第1ピーク電圧
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vwm ミグ溶接電圧
Vwp プラズマ溶接電圧
WM 送給モータ
WT 溶接トーチ

Claims (3)

  1. 第1ピーク電流の通電と第1ベース電流の通電とを1パルス周期として繰り返すことによって溶接ワイヤと母材との間にミグアークを発生させ、周波数変調制御によって前記パルス周期を変化させて前記ミグアークのアーク長を制御し、
    前記第1ベース電流の通電期間の一部又は全部の期間中は第2ピーク電流を通電し、前記パルス周期のその他の期間中は第2ベース電流を通電して前記溶接ワイヤを囲むように配置されたプラズマ電極と前記母材との間にプラズマアークを発生させるプラズマミグ溶接方法において、
    前記周波数変調制御によって前記パルス周期が変化して前記第2ピーク電流及び前記第2ベース電流から形成されるプラズマ溶接電流の平均値が変化すると、プラズマ溶接電流の平均値が予め定めた電流設定値と等しくなるように前記プラズマ溶接電流の波形パラメータを制御する、
    ことを特徴とするプラズマミグ溶接方法。
  2. 前記波形パラメータの制御が、前記第2ベース電流と前記第2ピーク電流の通電期間とを所定値に設定し、前記プラズマ溶接電流の平均値が前記電流設定値と等しくなるように前記第2ピーク電流をフィードバック制御によって変化させる制御である、
    ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法。
  3. 前記波形パラメータの制御が、前記第2ベース電流及び前記第2ピーク電流を所定値に設定し、前記プラズマ溶接電流の平均値が前記電流設定値と等しくなるように前記第2ピーク電流の通電期間をフィードバック制御によって変化させる制御である、
    ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法。
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