図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨選別装置の略正面図である。
図1に示されるように、硬貨1が搬送される硬貨通路2には、光が透過可能なガラス、アクリル樹脂などからなる透明材料により形成された透明通路部3が設けられている。
図2は、透明通路部3の略平面図であり、図3は、透明通路部3近傍の詳細を示す略側面図である。
図1ないし図3に示されるように、硬貨1は、搬送ベルト3aによって、一対のガイドレール5、5に沿って、矢印Aの方向に、硬貨通路2内を透明通路部3に送られる。硬貨1の搬送方向に対して、透明通路部3の上流側には、硬貨1の磁気的性質を検出する一対の磁気センサ6、6が設けられている。
硬貨1は、搬送ベルト3aにより硬貨通路2の上面に押し付けられつつ、搬送されるように構成されており、したがって、透明通路部3の部分では、硬貨1は、搬送ベルト3aにより透明通路部3の上面に押し付けられつつ、搬送されるように構成されている。透明通路部3の下方には、透明通路部3を通過する硬貨1に光を照射する発光手段7が設けられ、さらに、その下方には、発光手段7から発せられ、硬貨1により反射された光を受光し、画像データを生成する画像データ生成手段8が設けられている。発光手段7と画像データ生成手段8とによって、パターンデータ検出ユニット10が構成されている。
発光手段7は、図2に示されるように、透明通路部3の中心部を中心とした円上に配置された多数のLEDなどの発光素子9を備えており、各発光素子9は、光軸が、水平方向に対して、小さな角度をなし、透明通路部3の中心部を中心とした円の中心軸上の所定の点を向くように配置されており、透明通路部3上を通過する硬貨1に、浅い角度で光を照射可能なようになっている。
画像データ生成手段8は、光軸が、透明通路部3の中心部を中心とした円の中心軸と一致するように配置されたレンズ系12と、レンズ系12の下方に設けられ、その焦点が、透明通路部3の上表面に位置するように配置されており、発光素子9から発せられ、硬貨1の表面により反射された光を光電的に検出するカラーセンサ13と、カラーセンサ13により光電的に検出されて得られた硬貨1の下面のアナログ画像データをディジタル信号に変換して、硬貨1の下面のディジタル化された画像パターンデータを生成するA/Dコンバータ(図示せず)を備えている。本実施態様においては、カラーセンサ13として、二次元CCDタイプのカラーセンサが用いられている。
画像データ生成手段8の直下流側には、発光素子15aと受光素子15bとからなる二組のタイミングセンサ15、15が設けられており、発光素子15aから発せられた光が、透明通路部3を介して、受光素子15bによって受光可能であり、かつ、受光素子15bが発光素子15aから発せられた光を受光しないときに、タイミング信号を出力するように構成されている。タイミングセンサ15は、発光素子15aから発せられた光が、透明通路部3の表面上を搬送される硬貨1によって遮られて、受光素子15bに受光されず、タイミング信号が出力されるときに、硬貨1の中心が透明通路部3の中心と合致する位置にあるように、画像データ生成手段8に対して、配置されている。
図1および図3には詳細に図示されていないが、図2に示されるように、透明通路部3の上流側の硬貨通路2の一方のガイドレール5には切り欠き部5aが形成されており、ガイドレール5に切り欠き部5aの側方には、ガイドレール5の切り欠き部5aを搬送されている硬貨1に向けて、光を照射するLED光源20と、LED光源20から発せられた光を平行光に変換する凸レンズ22と、2つのスリットが形成されたスリット板23と、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1の側面よって反射された無指向性の光を平行光に変換する第一の凸レンズ24aおよび第二の凸レンズ24bと、第一の凸レンズ24aおよび第二の凸レンズ24bを通過した平行光を受光する第一のフォトダイオード21aおよび第二のフォトダイオード21bが設けられている。
図2に示されるように、LED光源20からの光は、硬貨1の側面に斜め方向から入射するように構成されている。
また、硬貨通路2のガイドレール5に形成された切り欠き部5aの直上流部には、発光素子16aと受光素子16bとからなる二組のタイミングセンサ16、16が設けられている。
図4は、LED光源20および凸レンズ22と、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1を示す略側面図であり、図5は、スリット板23の略正面図である。
図4および図5に示されるように、スリット板23には、上下方向に離間した横方向に細長い第一のスリット23aおよび第二のスリット23bが形成されており、LED光源20から発せられ、凸レンズ22によって平行光に変換された光25は、第一のスリット23aまたは第二のスリット23bを通過することによって、横方向に細長い2つの光ビーム25a、25bに変換されて、第一のスリット23aを通過した光ビーム25aは、硬貨1の側面の略中央部分に入射し、第二のスリット23bを通過した光ビーム25bは、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射して、それぞれ、反射される。
図6は、硬貨通路2のガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1、第一の凸レンズ24aおよび第二の凸レンズ24bならびに第一のフォトダイオード21aおよび第二のフォトダイオード21bを示す略側面図である。
図6に示されるように、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1の側面の略中央部分によって反射された無指向性の光26aは、第一の凸レンズ24aに入射し、平行光となって、上側に設けられた第一のフォトダイオード21aに入射し、検出されて、第一のフォトダイオード21aから光量検出信号が出力され、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された無指向性の光26bは、第二の凸レンズ24bに入射し、平行光となって、下側に設けられた第二のフォトダイオード21bに入射し、検出されて、第二のフォトダイオード21bから光量検出信号が出力される。
ここに、LED光源20、凸レンズ22、スリット板23の第一のスリット23aおよび第二のスリット23b、第一の凸レンズ24aおよび第二の凸レンズ24bならびに第一のフォトダイオード21aおよび第二のフォトダイオード21bは、LED光源20から発せられ、凸レンズ22および第一のスリット23aを通過した光が、硬貨通路2のガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1の側面の略中央部分に入射し、硬貨1の側面の略中央部分によって反射され、第一の凸レンズ24aによって平行光とされた光が、第一のフォトダイオード21aに入射し、LED光源20から発せられ、凸レンズ22および第二のスリット23bを通過した光が、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1の下側角部近傍の側面に入射し、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射され、第一の凸レンズ24aによって平行光とされた光が、第一のフォトダイオード21aに入射するように、その位置が設定されている。
本実施態様においては、硬貨1は、搬送ベルト3aにより透明通路部3の上面に押し付けられつつ、搬送されるように構成されているから、金種によって硬貨1の厚さが異なっていても、LED光源20、凸レンズ21、スリット板23の第二のスリット23b、第二の凸レンズ24bおよび第二のフォトダイオード21bをこのように配置することによって、LED光源20から発せられた光を、確実に、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射させることが可能になる。
図7は、本実施態様にかかる硬貨判別装置の検出系、制御系および判別系を示すブロックダイアグラムである。
図7に示されるように、硬貨判別装置の検出系は、硬貨1が透明通路部3に達したことを検出する2組のタイミングセンサ15、15と、硬貨1の磁気的性質を検出する一対の磁気センサ6、6と、硬貨通路2のガイドレール5に形成された切り欠き部5aに達したことを検出する2組のタイミングセンサ16、16と、LED光源20から発せられ、硬貨1の側面の略中央部で反射された光を検出する第一のフォトダイオード21aおよびLED光源20から発せられ、硬貨1の下側角部近傍の側面で反射された光を検出する第二のフォトダイオード21bを備えている。
図7に示されるように、硬貨判別装置の制御系は、タイミングセンサ15、15からタイミング信号を受けたときに、発光手段7に発光信号を出力して、光を発せさせ、透明通路部3の上表面に位置する硬貨1に光を照射させるとともに、タイミングセンサ16、16からタイミング信号を受けたときに、LED光源20を発光させる発光制御手段30と、タイミングセンサ15、15からタイミング信号を受けたときに、画像データ生成手段8のカラーセンサ13に、硬貨1の表面により反射された光の検出を開始させるとともに、タイミングセンサ16、16からタイミング信号を受けたときに、第一のフォトダイオード21aおよび第二のフォトダイオード21bに、硬貨1の側面により反射された光の検出を開始させる画像読取制御手段31とを備えている。
図7に示されるように、硬貨判別装置の判別系は、金種毎の磁気的性質を示す磁気データを記憶している第一の基準データメモリ41と、各金種の硬貨の径に関する基準データ、基準色度データ、基準明度データおよび側面に凹凸パターンが形成されているか否かに関する基準データを記憶する第二の基準データメモリ42と、各金種の硬貨表面の複数の環状領域に対応する2値画像パターンデータ群中のデータ“0”のデータの割合を示す基準比率データを記憶する第三の基準データメモリ43と、流通前の硬貨1の側面の略中央部に、LED光源20から光を照射し、反射された光を第一のフォトダイオード21aによって検出したときの光の光量に基づいて決定された金種毎の基準側面反射データを記憶する第四の基準データメモリ44と、流通前の硬貨1の一方の角部近傍の側面に、LED光源20から光を照射し、反射された光を第二のフォトダイオード21bによって検出したときの光の光量に対応する基準摩耗データを記憶する第五の基準データメモリ45とを備えている。ここに、第四の基準データメモリ44に金種毎の基準側面反射データが記憶されているのは、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判定するためであり、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されている場合には、LED光源20から発せられ、硬貨1の側面の略中央部に照射された光は、凹凸パターンによって散乱され、硬貨の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出された光の光量は、側面に凹凸パターンが形成されていない硬貨1の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出された光の光量よりも小さくなるから、基準側面反射データは金種毎のしきい値の形で、第四の基準データメモリ44に記憶されている。
さらに、硬貨判別装置の判別系は、磁気センサ6、6からの検出信号に基づき、第一の基準データメモリ41にアクセスし、第一の基準データメモリ41に記憶されている金種毎の磁気的性質を示す基準磁気データと磁気センサ6、6から入力された硬貨1の磁気データとを比較して、硬貨1の金種を判別する第一の判別手段36と、第一の判別手段36の判別結果、第二の基準データメモリ42に記憶されている各金種の硬貨の径に関する基準データ、基準色度データおよび基準明度データ、第三の基準データメモリ43に記憶されている基準比率データおよびカラーセンサ13により光電的に検出され、A/Dコンバータ18によってディジタル化された硬貨1の下面の画像パターンデータならびに第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出され、A/Dコンバータ27aによってディジタル化された硬貨1の側面反射データおよび第二のフォトダイオード21bにより光電的に検出され、A/Dコンバータ27bによってディジタル化された硬貨1の一方の角部近傍の側面の摩耗データに基づいて、硬貨1の金種および下面の汚損度を判別する第二の判別手段37と、第一の判別手段36および第二の判別手段37の判別結果に基づき、硬貨1が受け入れ可能か否かおよび硬貨1の金種を最終的に判別する金種・受け入れ可能決定手段65を備えている。
図7には示されていないが、硬貨判別装置は、硬貨1が受け入れ可能か否かおよび硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損している旨を表示するディスプレイを備えている。
本実施態様においては、第一の判別手段36からの金種判別信号は、発光制御手段30に出力され、発光制御手段30は、第一の判別手段36からの金種判別信号にしたがい、第一の判別手段36が判別した硬貨1の金種に基づいて、発光手段7の発光量を制御するように構成されている。ここに、第三の基準データメモリ43には、処理すべきすべての金種の表面および裏面の各環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データが記憶されている。
図8は、第二の判別手段37のブロックダイアグラムである。
図8に示されるように、第二の判別手段37は、カラーセンサ13により、光電的に検出され、A/Dコンバータ18によって、ディジタル化された硬貨1の下面の画像パターンデータを、直交座標系、すなわち、xy座標系に、展開して記憶する画像パターンデータメモリ50と、第二の基準データメモリ42にアクセスして、第二の基準データメモリ42に記憶されている各金種の硬貨の径に関するデータと、画像パターンデータメモリ50から読み出した硬貨1の下面の画像パターンデータとを比較して、硬貨1の径に基づき、硬貨1の金種を判別し、金種判別信号を出力する第一の金種判別部51と、第一の判別手段36から入力された金種判別信号と第一の金種判別部51から入力された金種判別信号とに基づいて、硬貨1の金種を判別し、金種判別信号を出力する第二の金種判別部52と、画像パターンデータメモリ50に記憶された硬貨1の下面の画像パターンデータ中の光の三原色R、G、Bに対応するR、G、Bデータに基づき、硬貨1の色度データと明度データを算出し、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号に基づいて、第二の基準データメモリ42に記憶されている第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨の基準色度データおよび基準明度データと比較して、硬貨1の汚損度を判別し、金種・受け入れ可能決定手段65に第一の汚損判別信号を出力する第一の硬貨汚損度判別部61と、LED光源20から発せられ、硬貨1の一方の角部近傍の側面によって反射された光を検出して、第二のフォトダイオード21bが生成した受光光量データを、A/Dコンバータ27によって、ディジタル化して、得られた硬貨1の摩耗データと、第五の基準データメモリ45に記憶されている基準摩耗データとを比較して、硬貨1の摩耗レベルを判別し、金種・受け入れ可能決定手段65に第二の汚損判別信号を出力する第二の硬貨汚損度判別部62と、画像パターンデータメモリ50に展開されて記憶された硬貨1の下面の画像パターンデータの中心座標を求める中心座標決定部54と、画像パターンデータメモリ50に展開されて記憶された硬貨1の下面の画像パターンデータを2値化して、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号および中心座標決定部54から入力された中心座標信号とに基づいて、2値化された画像パターンデータを、硬貨1の表面の複数の環状領域に対応する金種に応じた数の2値画像パターンデータ群に分けて、それぞれの環状領域に対応する2値画像パターンデータ群中のデータ“0”のデータの数を求め、さらに、全データ中のデータ“0”のデータの割合を求めて、硬貨1の下面の各環状領域に対応する各2値画像パターンデータ群の比率データを生成する2値化データ生成部55と、各金種の硬貨表面の複数の環状領域に対応する2値画像パターンデータ群中のデータ“0”のデータの割合を示す基準比率データを記憶する第三の基準データメモリ43にアクセスして、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号にしたがって、対応する金種の硬貨表面の各環状領域に対応する2値画像パターンデータ群中の基準比率データを読み出し、2値化データ生成部55から入力された硬貨1の下面の各環状領域に対応する各2値画像パターンデータ群の比率データと比較して、硬貨1が受け入れ可能か否かおよび硬貨1の金種を判別し、金種・受け入れ可能決定手段65に金種決定信号を出力する金種決定部60を有している。
以上のように構成された本実施態様にかかる硬貨判別装置は、以下のようにして、硬貨1が受け入れ可能か否か、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損しているか否かおよび硬貨1の金種を判別する。
硬貨1は、一対のガイドレール5、5に沿って、矢印Aの方向に、硬貨通路2内を送られ、ガイドレール5の切り欠き部5aの直上流に設けられた一対のタイミングセンサ16、16によって、硬貨1が検出されると、硬貨検出信号が、発光制御手段30および画像読取制御手段31に出力される。
発光制御手段30は、タイミングセンサ16、16から硬貨検出信号を受けると、LED光源20をオンさせる。その結果、LED光源20から、ガイドレール5の切り欠き部5aに向けて、光が放出される。
LED光源20から発せられた光は、凸レンズ22によって平行光にされ、スリット板23の第一のスリット23aおよび第二のスリット23bを通過することによって、横方向に細長い2つの光ビーム25a、25bに変換されて、第一のスリット23aによって生成された光ビーム25aは、硬貨1の側面の略中央部分に入射し、第二のスリット23bによって生成された光ビーム25bは、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射して、それぞれ、反射される。
硬貨1の側面の略中央部分によって反射された光は、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出され、生成された受光光量に対応するアナログデータが、A/Dコンバータ27aによりディジタル化され、硬貨の側面データメモリ46の第一のメモリ領域に、硬貨1の側面反射データとして、記憶される。
一方、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光は、第二のフォトダイオード21bによって光電的に検出され、生成された受光光量に対応するアナログデータが、A/Dコンバータ27bによりディジタル化されて、側面データメモリ46の第二のメモリ領域に、硬貨1の摩耗データとして記憶される。
図9は、流通前の硬貨1の略側面図であり、図10は、長期間にわたって流通し、汚損された硬貨1の略側面図である。
図9に示されるように、流通前の硬貨1は、その側面と表面とがなす角度が約90度であるため、硬貨1の一方の角部近傍の側面に入射した光ビーム25bは、硬貨1の側面で正反射し、側面に直交する方向に反射されるのに対し、長期間にわたって流通し、汚損された硬貨1は、図10に示されるように、硬貨1の両角部が摩耗して、丸みを帯びた状態になっているので、硬貨1の一方の角部近傍の側面に入射した光25bは、硬貨1の側面に直交する方向だけでなく、硬貨1の一方の角部と隣り合った硬貨1の表面方向にも反射される。
したがって、流通後の硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光を、第二のフォトダイオード21bが受光して、生成した受光光量に対応するアナログデータをA/Dコンバータ27bによってディジタル化された硬貨1の摩耗データは、流通前の硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光を第二のフォトダイオード21bが受光して、生成した受光光量に対応するアナログデータをA/Dコンバータ27bによってディジタル化された基準摩耗データよりも小さく、流通期間が長いほど小さくなるから、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光を第二のフォトダイオード21bによって検出することによって、硬貨1の角部の摩耗レベル、したがって、硬貨1の汚損レベルを検出することが可能になる。
また、一般に、硬貨の厚さは金種によって異なるが、本実施態様においては、搬送ベルト3aにより硬貨通路2の上面に押し付けられつつ、搬送されている硬貨1の下側角部近傍の側面に、光を照射し、硬貨1の側面によって反射された光を第二のフォトダイオード21bによって検出するように構成されているので、金種によって、硬貨1の厚さが大きく異なっている場合にも、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、LED光源20からの光を確実に、硬貨1の下側角部近傍の側面に照射することができ、したがって、硬貨1の摩耗ないしおよび汚損レベルを精度よく判別することができる。
一方、第一のスリット23aを通過することによって、横方向に細長い光ビーム25aとなった光が、硬貨1の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出されて生成された受光光量に対応するアナログデータが、A/Dコンバータ27aによりディジタル化された硬貨の側面反射データは、後述のように、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判別するために用いられる。
硬貨1は、さらに、一対のガイドレール5、5に沿って、矢印Aの方向に、硬貨通路2内を送られ、一対の磁気センサ6、6により、その磁気的性質が検出され、検出信号が、第一の判別手段36に出力される。
第一の判別手段36は、磁気センサ6、6から検出信号が入力されると、第一の基準データメモリ41にアクセスして、第一の基準データメモリ41に記憶されている金種毎の磁気的性質を示す基準磁気データを読み出し、磁気センサ6、6から入力された硬貨1の磁気データと比較して、硬貨1の金種を判別し、金種判別信号を、第二の判別手段37および発光制御手段30に出力する。
さらに、硬貨1が、硬貨通路2内を透明通路部3に送られ、タイミングセンサ15の発光素子15aから発せられた光を遮り、受光素子15bが発光素子15aからの光を受光しなくなると、タイミングセンサ15からタイミング信号が発光制御手段30および画像読取制御手段31に出力される。
発光制御手段30は、タイミングセンサ15からタイミング信号が入力されると、第一の判別手段36から入力された金種判別信号に基づき、発光手段7に発光信号を出力して、発光素子9から、透明通路部3上に位置している硬貨1の下側表面に向けて、第一の判別手段36により判別された硬貨1の金種に応じた光量の光を発光させる。
すなわち、第一の判別手段36により判別された金種の硬貨1が、白銅やアルミニウムなどの光の反射率の高い材料からなる場合には、発光制御手段30は、発光素子9が、強度の小さい光を発光するように、発光手段7に発光信号を出力し、他方、第一の判別手段36によって判別された金種の硬貨1が、銅や黄銅など光の反射率の小さい材料からなる場合には、発光制御手段30は、発光素子9が、強度の大きい光を発光するように、発光手段7に発光信号を出力するように構成されている。
また、画像読取制御手段31は、タイミングセンサ15からタイミング信号が入力されると、画像データ生成手段8のカラーセンサ13に、発光素子9から発せられ、硬貨1の下側表面によって反射された光の検出を開始させる。
発光手段7は、透明通路部3上を通過する硬貨1に、浅い角度で光を照射可能に配置されているので、硬貨1の下面の凹凸パターンにしたがって、光は反射される。硬貨1の表面からの反射光は、レンズ系12により、カラーセンサ13に導かれて、カラーセンサ13により光電的に検出され、硬貨1の表面の画像パターンデータがカラーセンサ13によって生成される。カラーセンサ13により生成された硬貨1の表面の画像パターンデータは、A/Dコンバータ18によって、ディジタル化され、ディジタル化された画像パターンデータは、第二の判別手段37の画像パターンデータメモリ50内に、直交座標系、すなわち、xy座標系に、展開されて記憶される。
第二の判別手段37の画像パターンデータメモリ50に、硬貨1の下面の画像パターンデータが記憶されると、第二の判別手段37の第一の金種判別部51が、第二の基準データメモリ42にアクセスして、硬貨1の径に関する基準データを読み出すとともに、画像パターンデータメモリ50に記憶された画像パターンデータを読み出して比較し、硬貨1の金種を判別して、金種判別信号を第二の金種判別部52に出力する。
ここに、金種が異なっていても、径がわずかしか違わない硬貨があり、わずかに径の大きい硬貨が摩耗した場合などには、径がほとんど一致することがあるから、径を検出することによっては、正確に、硬貨1の金種を判別し得ない場合がある。本実施態様においては、第一の判別手段36により、硬貨1の磁気的性質に基づき、硬貨1の金種を判別して、金種判別信号を第二の金種判別部52に出力するとともに、第二の判別手段36の第一の金種判別部51により、硬貨の径に基づき、硬貨1の金種を判別し、金種判別信号を第二の金種判別部52に出力して、これらの金種判別信号に基づき、第一の判別手段36および第二の判別手段37の第一の金種判別部51により判別された硬貨1の金種が一致しないときは、受け入れ不能の硬貨であると判別するように構成されているので、第二の判別手段37の第一の金種判別部51が、硬貨1の径に基づき、硬貨1の金種を一つに決めて、金種判別信号を生成し、第二の金種判別部52に出力する場合には、硬貨1が受け入れ可能な硬貨であるにもかかわらず、第二の金種判別部52において、硬貨1が受け入れ不能と判別されるおそれがある。そこで、本実施態様においては、第二の判別手段37の第一の金種判別部51は、検出された硬貨1の径に基づき、最も径が近い金種および二番目に径が近い金種の二つの金種を選択して、金種判別信号を、第二の金種判別部52に出力するように構成されている。
こうして第一の判別手段36から入力された金種判別信号および第二の判別手段37の第一の金種判別部51から入力された金種判別信号に基づいて、第二の金種判別部52は、硬貨1の金種を判別して、第一の判別手段36と第二の判別手段37の第一の金種判別部51の判別結果が一致しているときは、金種判別信号を、第一の硬貨汚損度判別部61、2値化データ生成部55および金種決定部60に出力し、判別結果が一致していないときは、硬貨1は、偽貨あるいは外国硬貨であって、受け入れ不能であると判別して、ディスプレイ(図示せず)に受け入れ不能硬貨検出信号を出力する。
金種決定部60は、第二の金種判別部52から金種判別信号を受けると、第三の基準データメモリ43にアクセスして、第三の基準データメモリ43に記憶された基準比率データの中から、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号にしたがって、まず、対応する金種の硬貨の裏面の基準比率データを読み出し、2値化データ生成部55から入力された比率データと比較して、硬貨1の金種を判別する。
硬貨1の金種の判別にあたり、金種決定部60は、硬貨1の各環状領域に対応する各2値画像パターンデータ群の基準比率データと2値化データ生成部55から入力された比率データとの差の絶対値Di(i=1〜n、nは硬貨1の環状領域の数であり、金種によってあらかじめ定められている。)を求め、硬貨1の各環状領域に対応する各2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diがあらかじめ定めた所定値D0未満か否かを判定する。
その結果、硬貨1のすべて環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0未満であるときには、金種決定部60は、さらに、基準比率データと比率データとの差の絶対値Diを、硬貨1の全環状領域に対応する全2値画像パターンデータ群にわたって積分し、得られた積分値Iがあらかじめ定めた所定値I0未満か否かを判定する。
その結果、積分値Iが所定値I0未満であるときは、金種決定部60は、硬貨1は、第二の金種判別部52によって判別された金種の硬貨であると判定する。なお、硬貨1の金種が、第二の金種判別部52により判別された金種と一致していれば、理論上は、絶対値Diおよび積分値Iはゼロになるはずであるが、硬貨1の表面が摩耗したり、あるいは、検出誤差などにより、金種が一致していても、ゼロにならない場合があり得るので、本実施態様においては、DiがD0未満で、かつ、IがI0未満であるときに、硬貨1が、第二の金種判別部52により判別された硬貨であると判別している。
これに対して、硬貨1の少なくとも一つの環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0以上であるとき、あるいは、硬貨1のすべて環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0未満ではあるが、積分値Iが所定値I0以上であるときは、硬貨1の金種が、第二の金種判別部52により判別された金種と同一であると判定することはできない。しかし、硬貨1を、つねに、その表面が上を向くように搬送することはできず、硬貨1の表面が下向きになって、硬貨通路2内を送られ、硬貨1の表面側の表面パターンがカラーセンサ13により検出されている可能性がある。したがって、硬貨1の比率データが、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨の裏面の基準比率データと一致していないからといって、ただちに、その硬貨1が、偽貨あるいは外国硬貨であって、受け入れ不能であると判定することは、判別精度を著しく低下させることになる。
そこで、金種決定部60は、さらに、第三の基準データメモリ43にアクセスして、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨の表面の基準比率データを読み出し、全く同様にして、硬貨1の各環状領域に対応する各2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diがあらかじめ定めた所定値D0未満か否かを判定し、硬貨1のすべて環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0未満であるときには、金種決定部60は、さらに、基準比率データと比率データとの差の絶対値Diを、硬貨1の全環状領域に対応する全2値画像パターンデータ群にわたって積分し、得られた積分値Iがあらかじめ定めた所定値I0未満か否かを判定する。その結果、積分値Iが所定値I0未満であるときは、金種決定部60は、硬貨1は、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨であると判定する。
これに対して、硬貨1の表面の少なくとも一つの環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0以上であるとき、あるいは、硬貨1の表面のすべて環状領域に対応する2値画像パターンデータ群の基準比率データと比率データとの差の絶対値Diが所定値D0未満であるが、積分値Iが所定値I0以上であるときには、流通硬貨の中で、硬貨1の磁気的性質および径が最も近似した金種の硬貨の基準比率データと比率データとを比較した結果、硬貨1の表面および裏面の表面パターンが、第二の金種判別部52によって判別された金種の硬貨の表面パターンとは異なっていることを意味し、したがって、硬貨1は、偽貨かあるいは外国硬貨であり、受け入れ不能と判定されるから、金種決定部60は、ディスプレイ(図示せず)に受け入れ不能硬貨検出信号を出力して、硬貨1が受け入れ不能である旨を表示させる。
硬貨1が第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨であると判定すると、金種決定部60は、さらに、第四の基準データメモリ44にアクセスして、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨1の基準側面反射データを読み出すとともに、側面データメモリ46の第一のメモリ領域に記憶されている硬貨1の側面反射データを読み出して、両者を対比し、硬貨1が第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨であるか否かを判別する。
上述のように、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されている場合には、硬貨1の側面の略中央部に照射された光は、凹凸パターンによって散乱されるから、硬貨1の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aにより検出される光の光量は、側面に凹凸パターンが形成されていない硬貨1の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aによって検出される光の光量よりも小さくなり、したがって、凹凸パターンの有無に応じて、金種毎に、基準側面反射データとして、しきい値を決定し、第四の基準データメモリ44に記憶させておき、硬貨1の側面の略中央部によって反射され、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出された受光光量に対応するアナログデータを、A/Dコンバータ27aによってディジタル化して生成された硬貨1の側面反射データと基準側面反射データとを対比することによって、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを精度よく、判定することができる。
そこで、本実施態様においては、金種決定部60は、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出され、A/Dコンバータ27aによってディジタル化されて生成された硬貨1の側面反射データと基準側面反射データを対比して、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判定した結果、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されていると判定した場合に、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているときは、その硬貨1の金種は第二の金種判別部52により判別された金種であると最終的に決定して、硬貨1の金種が第二の金種判別部52により判別された金種である旨の金種決定信号を、金種・受け入れ可能決定手段65および第二の硬貨汚損度判別部62に出力し、一方、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されていないときは、その硬貨1は偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能の硬貨であると判定して、金種・受け入れ可能決定手段65に受け入れ不能硬貨検出信号を出力する。
同様に、第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出され、A/Dコンバータ27aによってディジタル化されて生成された硬貨1の側面反射データと基準側面反射データを対比して、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判定した結果、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されていないと判定した場合に、第二の金種判別部52により判別された金種の硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されていないときは、その硬貨1の金種は第二の金種判別部52により判別された金種であると最終的に決定して、硬貨1の金種が第二の金種判別部52により判別された金種である旨の金種決定信号を、金種・受け入れ可能決定手段65および第二の硬貨汚損度判別部62に出力し、一方、第二の金種判別部52によって判別された金種の硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているときは、その硬貨1は偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能の硬貨であると判定して、金種・受け入れ可能決定手段65に受け入れ不能硬貨信号を出力する。
金種・受け入れ可能決定手段65は、第二の判別手段37の金種決定部60から、受け入れ不能硬貨信号を受けたときは、ディスプレイ(図示せず)に、受け入れ不能な硬貨が検出された旨のメッセージを表示する。
一方、第一の硬貨汚損度判別部61は、画像パターンデータメモリ50に記憶されている硬貨1の下面の画像パターンデータを読み出し、画像パターンデータ中のR、G、Bデータに基づき、硬貨1の色度データおよび明度データを算出するとともに、第2基準データメモリ42にアクセスして、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号に基づいて、第二の金種判別部52によって判別された金種の硬貨の基準色度データおよび基準明度データを読み出し、算出した硬貨1の色度データおよび明度データと比較して、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損しているか否かを暫定的に判別する。すなわち、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損している場合には、硬貨1の表面の色が変化し、硬貨1の色度データと基準色度データの差が所定レベルを越えることになり、また、硬貨1の表面が黒ずんで、硬貨1の明度データと基準明度データが所定レベルを越えることになるので、第一の硬貨汚損度判別部61は、硬貨1の色度データおよび明度データと、基準色度データおよび基準明度データを比較することによって、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損しているか否かを判別することができる。
硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損していると判別したときは、第一の硬貨汚損度判別部61は、汚損硬貨が検出された旨を示す第一の汚損硬貨信号を金種・受け入れ可能決定手段65に出力する。金種・受け入れ可能決定手段65は、第一の硬貨汚損度判別部61から第一の汚損硬貨信号を受けたときは、ディスプレイ(図示せず)に、受け入れ不能な硬貨が検出された旨のメッセージを表示する。
これに対して、硬貨1の汚損レベルが所定の汚損レベル以下と判別したときは、第一の硬貨汚損度判別部61は何の信号も出力しない。
第二の硬貨汚損度判別部62は、金種決定部60から金種決定信号を受けると、第五の基準データメモリ45から、対応する金種の基準摩耗データを読み出し、側面データメモリ46の第二のメモリ領域に記憶された硬貨1の摩耗データを読み出して、両者を対比する。
その結果、硬貨1の摩耗データと対応する金種の基準摩耗データとの差が、所定値よりも大きいときは、硬貨1の下側角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベルよりも大きいため、LED光源20から、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、硬貨1の下側角部近傍の側面に照射された光が、硬貨1の下側角部近傍の側面によって散乱されていると判定することができるから、第二の硬貨汚損度判別部62は、硬貨1は汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨である旨を示す第二の汚損判別信号を、金種・受け入れ可能判別手段65に出力し、同時に、ディスプレイ(図示せず)に、汚損硬貨が検出された旨を表示する。
他方、硬貨1の摩耗データと対応する金種の基準摩耗データとの差が、所定値よりも小さいときは、硬貨1の下側角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベル以下であると判定することができるから、第二の硬貨汚損度判別部62は、硬貨1は汚損レベルが所定の汚損レベル以下の硬貨であると判定し、何の信号も出力しない。
こうして、受け入れ不能と判別された硬貨は選別され、受け入れ可能と判別された硬貨とは、別個に回収され、また、受け入れ可能な硬貨であっても、所定の汚損レベルを越えて汚損していると別された硬貨も、受け入れ可能と判別された硬貨とは、別個に回収される。
本実施態様によれば、硬貨1の角部は、流通期間が長くなるほど、摩耗するから、硬貨1の角部の摩耗レベルを検出すれば、硬貨の汚損レベルを検出することができるという知見に着目して、LED光源20から、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、流通前の対応する金種の硬貨の下側角部近傍の側面に光を照射し、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射され、第二の凸レンズ24bによって平行光になった光を第二のフォトダイオード21bによって検出して、受光光量に対応するアナログデータを生成し、A/Dコンバータ27bによってディジタル化して得られた硬貨1の下側角部の基準摩耗データを生成して、第五の基準データメモリ45に記憶させておき、LED光源20から、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、硬貨1の下側角部近傍の側面に光を照射し、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射され、第二の凸レンズ24bによって平行光になった光を第二のフォトダイオード21bによって検出して、受光光量に対応するアナログデータを生成し、A/Dコンバータ27bによってディジタル化して得られた硬貨1の下側角部の摩耗データを、第五の基準データメモリ45に記憶されている対応する金種の基準摩耗データと比較し、基準摩耗データとの差が、所定値よりも大きいときは、硬貨1の下側角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベルよりも大きいために、LED光源20から、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、硬貨1の下側角部近傍の側面に照射された光が、硬貨1の下側角部近傍の側面によって散乱されていると判定し、硬貨1を汚損硬貨と判別しているから、簡易な構成によって、硬貨1が汚損されているか否かを判別することが可能になる。
また、本実施態様においては、LED光源20、凸レンズ22、スリット板23の第二のスリット23b、第二の凸レンズ24bおよび第二のフォトダイオード21bが、LED光源20から発せられ、凸レンズ22および第二のスリット23bを通過した光が、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1の下側角部近傍の側面に入射し、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射され、第二の凸レンズ24bによって平行光とされた光が、第二のフォトダイオード21bに入射するように、その位置が設定されており、硬貨1は、搬送ベルト3aにより透明通路部3の上面に押し付けられつつ、搬送されるように構成されているから、金種によって硬貨1の厚さが異なっていても、LED光源20から発せられた光を、確実に、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射させることができ、したがって、硬貨1がその汚損レベルが所定の汚損レベルを越えて汚損された硬貨か否かを、精度よく、判別することが可能になる。
図11は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる硬貨判別装置のガイドレール5の切り欠き部5a近傍の略側面図であり、図12はスリット板の正面図である。
図11および図12に示されるように、本実施態様にかかる硬貨判別装置においては、スリット板23には、LED光源20から発せられた光25を、光ビーム25aに変換して、硬貨1の側面の略中央部分に導く第一のスリット23aに代えて、LED光源20から発せられた光25を、光ビーム25cに変換して、硬貨1の上側角部近傍の側面に導く第三のスリット23cが形成されている。
ここに、第三のスリット23cは、光ビーム25cが、判別すべき硬貨のうち、厚さが最小の硬貨の上側端部近傍の側面に入射するように、その位置が決定され、第三のスリット23cを通過した光ビーム25cを第三のフォトダイオード(図示せず)によって光電的に検出するように構成されている。
本実施態様においては、図1ないし図10に示された実施態様にかかる硬貨判別装置とは異なって、LED光源20から硬貨1の側面の略中央部に照射され、硬貨1の側面の略中央部から反射された光を第一のフォトダイオード21aによって検出するようには構成されていないから、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判別することはできず、したがって、硬貨1の金種と受け入れ可能か否かはもっぱら硬貨1の磁気的な性質および表面パターンに基づいて、第二の判別手段37の金種決定部60によって決定されるように構成されている。
本実施態様においては、硬貨1の上側角部近傍の側面に照射され、硬貨1の上側角部近傍の側面によって反射された光を、第三のフォトダイオード(図示せず)によって光電的に検出し、検出された光の光量に基づいて、硬貨1の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判定する第三の硬貨汚損度判別部(図示せず)が設けられている。
このように構成された本実施態様にかかる硬貨判別装置においては、硬貨1の表面パターンに基づいて、硬貨1の汚損レベルが所定の汚損レベルを越えているか否かを判別する第一の硬貨汚損度判別部61、硬貨1の下側角部近傍の側面の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別する第二の硬貨汚損度判別部62および硬貨1の上側角部近傍の側面の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別する第三の硬貨汚損度判別部のいずれかが、硬貨1の汚損レベルないし摩耗レベルが所定のレベルを越えていると判定したときに、その硬貨1が汚損硬貨であると判別するように構成されている。
汚損レベルないし摩耗レベルが低い段階で、汚損硬貨を選別し、回収するために、硬貨1の汚損レベルないし摩耗レベルを判別する所定の汚損レベルないし摩耗レベルを比較的低いレベルに設定して、硬貨1の汚損レベルないし摩耗レベルが所定レベルを越えているか否かを判別し、越えている場合に、汚損硬貨と判別する場合には、硬貨1の一方の角部の摩耗レベルが所定レベルを越えているが、硬貨1の他方の角部の摩耗レベルが所定レベル以下であるという場合があり、硬貨1の一方の角部の摩耗レベルのみを検出して、硬貨1が汚損硬貨か否かを判別する場合には、汚損硬貨として選別すべき硬貨を選別できないということがあり得るが、本実施態様によれば、搬送ベルト3aによって、硬貨通路2の表面に押し付けられながら搬送されている硬貨1の下側角部の側面の摩耗レベルだけでなく、硬貨通路2の表面に押し付けられながら搬送されている硬貨1の上側角部の側面の摩耗レベルをも検出して、硬貨1が汚損硬貨であるか否かを判別しているので、硬貨1の一方の角部の摩耗レベルは所定の摩耗レベル以下であるが、他方の角部の摩耗レベルが所定摩耗レベルを越えている硬貨1も汚損硬貨として選別し、回収することが可能になる。
図13は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかる硬貨判別装置の検出系、制御系、判別系および入力系を示すブロックダイアグラムであり、 図14は、第二の判別手段のブロックダイアグラムである。
本実施態様にかかる硬貨判別装置は、硬貨包装機など、特定の金種の硬貨のみを処理する硬貨処理機に組み込まれるものであり、図13に示されるように、硬貨判別装置の入力系は、オペレータあるいはユーザーによって操作され、処理すべき硬貨の金種を指定する金種指定手段70を備えている。
図13に示されるように、金種指定手段70に入力された金種指定信号は、第一の判別手段36および第二の判別手段37に入力されるように構成されている。
図15は、本実施態様で用いられるスリット板の略正面図である。
また、図15に示されるように、本実施態様にかかる硬貨判別装置のスリット板23には、LED光源20から発せられ、凸レンズ22によって平行光に変換された光を、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射する横方向に細長い光ビーム25bに変換するスリット23bのみが形成されている。
したがって、本実施態様にかかる硬貨判別装置は、基準側面反射データを記憶する第四の基準データメモリ44を備えてはいない。
以上のように構成された本実施態様にかかる硬貨判別装置は、以下のようにして、硬貨1が受け入れ可能か否か、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損しているか否かおよび硬貨1の金種が金種指定信号によって指定された指定された金種と一致するか否かを判別する。
まず、オペレータあるいはユーザーによって、金種指定手段70に処理すべき硬貨の金種が入力され、金種指定手段70から、金種指定信号が、第一の判別手段36および第二の判別手段37に出力される。
第一の判別手段36および第二の判別手段37は、金種指定手段70から金種指定信号を受けると、それぞれ、オペレータあるいはユーザーによって指定された硬貨の金種をメモリ領域(図示せず)に格納する。
硬貨1は、一対のガイドレール5、5に沿って、矢印Aの方向に、硬貨通路2内を送られ、ガイドレール5の切り欠き部5aの直上流に設けられた一対のタイミングセンサ16、16によって、硬貨1が検出されると、硬貨検出信号が、発光制御手段30および画像読取制御手段31に出力される。
発光制御手段30は、タイミングセンサ16、16から硬貨検出信号を受けると、LED光源20をオンさせる。その結果、LED光源20から、ガイドレール5の切り欠き部5aに向けて、光が放出される。
LED光源20から発せられた光は、凸レンズ22によって平行光にされ、スリット板23のスリット23bを通過することによって、横方向に細長い光ビーム25bに変換されて、スリット23bによって生成された光ビーム25bは、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射して、反射される。
硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光は、フォトダイオード21bによって光電的に検出され、生成された受光光量に対応するアナログデータが、A/Dコンバータ28bによりディジタル化されて、側面データメモリ46のメモリ領域に、硬貨1の摩耗データとして記憶される。
上述のように、流通前の硬貨1は、その側面と表面とがなす角度が約90度であるため、硬貨1の一方の角部近傍の側面に入射した光ビーム25bは、硬貨1の側面で正反射し、側面に直交する方向に反射されるのに対し、長期間にわたって流通し、汚損された硬貨1は、硬貨1の両角部が摩耗して、丸みを帯びた状態になっているので、硬貨1の下側角部近傍の側面に入射した光ビーム25bは、硬貨1の側面に直交する方向だけでなく、下側角部と隣り合った硬貨1の表面方向にも反射される。
したがって、流通後の硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光をフォトダイオード21bが受光して、生成した受光光量に対応するアナログデータをA/Dコンバータ27bによってディジタル化された硬貨1の摩耗データは、流通前の硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光をフォトダイオード21bが受光して、生成した受光光量に対応するアナログデータをA/Dコンバータ27bによってディジタル化された基準摩耗データよりも小さく、流通期間が長いほど小さくなるから、硬貨1の下側角部によって反射された光をフォトダイオード21bによって検出することによって、硬貨1の角部の摩耗レベル、したがって、硬貨1の汚損レベルを検出することが可能になる。
硬貨1は、さらに、一対のガイドレール5、5に沿って、矢印Aの方向に、硬貨通路2内を送られ、一対の磁気センサ6、6により、その磁気的性質が検出され、検出信号が、第一の判別手段36に出力される。
第一の判別手段36は、磁気センサ6、6から検出信号が入力されると、第一の基準データメモリ41にアクセスして、オペレータあるいはユーザーによって指定された金種の硬貨の磁気的性質を示す基準磁気データを読み出し、磁気センサ6、6から入力された硬貨1の磁気データと比較して、硬貨1の金種が、オペレータあるいはユーザーによって指定された硬貨の金種に一致するか否かを判別する。
その結果、硬貨1の金種が、オペレータあるいはユーザーによって指定された硬貨の金種に一致していないと判別したときは、第一の判別手段36は、硬貨1の金種が指定された金種ではないことを示す受け入れ不能硬貨検出信号を、第二の判別手段37および発光制御手段30に出力するとともに、ディスプレイ(図示せず)に受け入れ不能硬貨検出信号を出力する。
これに対して、硬貨1の金種が、オペレータあるいはユーザーによって指定された硬貨の金種に一致していると判別したときは、第一の判別手段36は、金種判別信号を、第二の判別手段37および発光制御手段30に出力する。
さらに、硬貨1が、硬貨通路2内を透明通路部3に送られ、タイミングセンサ15の発光素子15aから発せられた光を遮り、受光素子15bが発光素子15aからの光を受光しなくなると、タイミングセンサ15からタイミング信号が発光制御手段30および画像読取制御手段31に出力される。
発光制御手段30は、タイミングセンサ15からタイミング信号が入力されると、第一の判別手段36から入力された金種判別信号に基づき、発光手段7に発光信号を出力して、発光素子9から、透明通路部3上に位置している硬貨1の下側表面に向けて、第一の判別手段36により判別された硬貨1の金種に応じた光量の光を発光させる。
また、画像読取制御手段31は、タイミングセンサ15からタイミング信号が入力されると、画像データ生成手段8のカラーセンサ13に、発光素子9から発せられ、硬貨1の下側表面によって反射された光の検出を開始させる。
発光手段7は、透明通路部3上を通過する硬貨1に、浅い角度で光を照射可能に配置されているので、硬貨1の下面の凹凸パターンにしたがって、光は反射される。硬貨1の表面からの反射光は、レンズ系12により、カラーセンサ13に導かれて、カラーセンサ13により光電的に検出され、硬貨1の表面のアナログ画像パターンデータがカラーセンサ13によって生成される。カラーセンサ13により生成された硬貨1の表面のアナログ画像パターンデータは、A/Dコンバータ18によって、ディジタル化され、ディジタル化された画像パターンデータは、第二の判別手段37の画像パターンデータメモリ50内に、直交座標系、すなわち、xy座標系に、展開されて記憶される。
第二の判別手段37の画像パターンデータメモリ50に、硬貨1の下面の画像パターンデータが記憶されると、第二の判別手段37の第一の金種判別部51が、第二の基準データメモリ42にアクセスして、オペレータあるいはユーザーによって指定された金種の硬貨1の径に関する基準データを読み出すとともに、画像パターンデータメモリ50に記憶された画像パターンデータを読み出して比較し、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された硬貨の金種と一致するか否かを判別し、一致していると判別したときは、判別継続信号を第二の金種判別部52に出力する。
こうして、第二の判別手段37の第一の金種判別部51から入力された判別継続信号に基づいて、第二の金種判別部52は、硬貨1の金種を判別して、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致していると判別したときは、判別継続信号を、第一の硬貨汚損度判別部61、2値化データ生成部55および金種決定部60に出力し、判別結果が一致していないときは、硬貨1は、偽貨あるいは外国硬貨であって、受け入れ不能であると判別して、ディスプレイ(図示せず)に受け入れ不能硬貨検出信号を出力する。
金種決定部60は、第二の金種判別部52から判別継続信号を受けると、第三の基準データメモリ43にアクセスして、第三の基準データメモリ43に記憶された基準比率データの中から、オペレータあるいはユーザーによって指定された金種の硬貨の裏面の基準比率データを読み出し、2値化データ生成部55から入力された比率データと比較して、図1ないし図10に示された実施態様と同様にして、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致しているか否かを判別し、一致していると判別したときは、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致している旨を示す受け入れ可能硬貨検出信号を金種・受け入れ可能決定手段65に出力する。
これに対して、オペレータあるいはユーザーによって指定された金種の硬貨の裏面の基準比率データを読み出し、2値化データ生成部55から入力された比率データと比較した結果、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致していないと判別したときは、金種決定部60は、さらに、図1ないし図10に示された実施態様と同様にして、第三の基準データメモリ43に記憶された基準比率データの中から、オペレータあるいはユーザーによって指定された金種の硬貨の表面の基準比率データを読み出し、2値化データ生成部55から入力された比率データと比較して、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致しているか否かを判別する。
その結果、一致していると判別したときは、金種決定部60は、硬貨1の金種がオペレータあるいはユーザーによって指定された金種と一致している旨を示す受け入れ可能信号を金種・受け入れ可能決定手段65に出力し、一致していないと判別したときは、金種・受け入れ可能決定手段65に、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨が検出された旨の受け入れ不能硬貨検出信号を出力する。
金種・受け入れ可能決定手段65は、第二の判別手段37の金種決定部60から、受け入れ不能硬貨信号を受けたときは、ディスプレイ(図示せず)に、受け入れ不能な硬貨が検出された旨のメッセージを表示する。
第一の硬貨汚損度判別部61は、第二の金種判別部52から判別継続信号を受けると、図1ないし図10に示された実施態様と同様にして、画像パターンデータメモリ50に記憶されている硬貨1の下面の画像パターンデータを読み出し、画像パターンデータ中のR、G、Bデータに基づき、硬貨1の色度データおよび明度データを算出するとともに、第二の基準データメモリ42にアクセスして、第二の金種判別部52から入力された金種判別信号に基づいて、第二の金種判別部52によって判別された金種の硬貨の基準色度データおよび基準明度データを読み出し、算出した硬貨1の色度データおよび明度データと比較して、硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損しているか否かを暫定的に判別する。
硬貨1が所定の汚損レベルを越えて汚損していると判別したときは、第一の硬貨汚損度判別部61は、汚損硬貨が検出された旨を示す第一の汚損硬貨信号を金種・受け入れ可能決定手段65に出力する。金種・受け入れ可能決定手段65は、第一の硬貨汚損度判別部61から第一の汚損硬貨信号を受けたときは、ディスプレイ(図示せず)に、受け入れ不能な硬貨が検出された旨のメッセージを表示する。
これに対して、硬貨1の汚損レベルが所定の汚損レベル以下と判別したときは、第一の硬貨汚損度判別部61は何の信号も出力しない。
第二の硬貨汚損度判別部62は、金種決定部60から金種決定信号を受けると、第五の基準データメモリ45から、対応する金種の基準摩耗データを読み出し、側面データメモリ46に記憶された硬貨1の摩耗データを読み出して、両者を対比し、図1ないし図11に示された実施態様と同様にして、硬貨1の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別する。
その結果、硬貨1の下側角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えていると判別したときは、第二の硬貨汚損度判別部62は、硬貨1は汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨である旨を示す第二の汚損判別信号を、金種・受け入れ可能決定手段65に出力し、同時に、ディスプレイ(図示せず)に、汚損硬貨が検出された旨を表示する。
これに対して、硬貨1の下側角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベル以下であると判定したときは、第二の硬貨汚損度判別部62は、硬貨1は汚損レベルが所定の汚損レベル以下の硬貨であると判定し、何の信号も出力しない。
こうして、受け入れ不能と判別された硬貨は選別され、受け入れ可能と判別された硬貨とは、別個に回収され、また、受け入れ可能な硬貨であっても、所定の汚損レベルを越えて汚損していると別された硬貨も、受け入れ可能と判別された硬貨とは、別個に回収される。
一方、硬貨判別装置により、硬貨1の金種が、オペレータあるいはユーザーが指定した金種と一致し、汚損レベルが所定の汚損レベル以下であると判別された硬貨1は、硬貨通路2をさらに下流側に送られる。
本実施態様によれば、硬貨1の角部は、流通期間が長くなるほど、摩耗するという知見に基づき、硬貨1の下側角部近傍の側面に照射され、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光を検出して、硬貨1の汚損レベルを検出しているから、きわめて簡易な構成で、硬貨1が汚損硬貨であるか否かを精度よく判別することが可能になる。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、図1ないし図10に示された硬貨判別装置においては、カラーセンサ13によって光電的に検出され、A/Dコンバータ18によってディジタル化された硬貨1の下面の画像パターンデータに基づいて、第二の判別手段37の第二の金種判別部52によって、硬貨1の金種を判別するとともに、LED光源20から放出された光を、凸レンズ22および第一のスリット23aを介して、硬貨1の側面の略中央部に照射し、硬貨1の側面の略中央部によって反射された光を第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出して、硬貨1の側面に凹凸パターンが形成されているか否かを判別し、硬貨1がその側面に凹凸パターンが形成された金種の硬貨か、その側面に凹凸パターンが形成されていない硬貨かを判別し、硬貨の判別結果が、硬貨1の画像パターンデータに基づいて判別した硬貨1の金種と一致しない場合に、その硬貨1を偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨であると最終的に判別するように構成されているが、図1ないし図10に示された硬貨判別装置のように、硬貨判別装置が、硬貨1の側面の略中央部によって反射された光を第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出することによって得られた側面反射データに基づいて、硬貨1の金種を判別する手段の他に、硬貨1の金種を判別する手段を備えている場合には、硬貨1の側面の略中央部に光を照射し、硬貨1の側面の略中央部によって反射された光を第一のフォトダイオード21aによって光電的に検出することは必ずしも必要でない。
さらに、図11および図12に示された硬貨判別装置においては、LED光源20から放出された光を、凸レンズ22および第三のスリット23cを介して、硬貨1の上側角部近傍の側面に照射し、硬貨1の上側角部近傍の側面によって反射された光を第三のフォトダイオード(図示せず)によって光電的に検出して、硬貨1の上側角部近傍の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別するように構成されているが、硬貨1の金種によって厚さが異なり、したがって、硬貨1の上側角部の位置も異なるので、スリット23cに代えて、スリット板23に複数のスリットを形成し、LED光源20から放出された光を、硬貨1の上側角部近傍の側面に照射し、反射光を検出して、硬貨1の上側角部の摩耗レベルを判別することが好ましい。
また、図11および図12に示された硬貨判別装置においては、LED光源20から放出された光を、凸レンズ22および第二のスリット23bを介して、硬貨1の下側角部近傍の側面に照射し、硬貨1の下側角部近傍の側面によって反射された光を第二のフォトダイオード21bによって光電的に検出して、硬貨1の下側角部近傍の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別するとともに、LED光源20から放出された光を、凸レンズ22および第三のスリット23cを介して、硬貨1の上側角部近傍の側面に照射し、硬貨1の上側角部近傍の側面によって反射された光を第三のフォトダイオード(図示せず)によって光電的に検出して、硬貨1の上側角部近傍の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別するように構成されているが、通常、硬貨1の流通期間が長くなるにつれて、硬貨の両角部の摩耗は同様に進行し、硬貨1の流通期間が十分に長い場合には、硬貨1の一方の角部の摩耗レベルが所定の摩耗レベル以下であるが、硬貨1の一方の角部の摩耗レベルは所定の摩耗レベルを越えているということは稀であるから、硬貨1の両側部近傍の側面に光を照射し、反射光を検出して、硬貨1の両側部近傍の摩耗レベルが所定の摩耗レベルを越えているか否かを判別することは必ずしも必要でなく、硬貨1が搬送ベルト3aによって、硬貨通路2の表面に押し付けられながら、搬送されている場合には、硬貨1の厚さが変っても、下側角部の位置は変化しないから、硬貨1の下側角部近傍の側面に光を照射して、反射光を光電的に検出することによって、硬貨1の摩耗レベルを検出すれば十分で、硬貨1の上側角部近傍の側面に光を照射して、反射光を光電的に検出することによって、硬貨1の摩耗レベルを検出することは必ずしも必要でない。
さらに、図1ないし図10に示された実施態様ならびに図13ないし図15に示された実施態様においては、第一の硬貨汚損度判別部61および第二の硬貨汚損度判別部62の少なくとも一方が、硬貨1が汚損硬貨であると判別したときには、硬貨1を汚損硬貨と判別しているが、第一の硬貨汚損度判別部61および第二の硬貨汚損度判別部62の双方が、硬貨1を汚損硬貨であると判別している場合にのみ、硬貨1を汚損硬貨と判別するようにしてもよく、また、第一の硬貨汚損度判別部61と第二の硬貨汚損度判別部62の一方が、硬貨1を汚損硬貨であると判別していても、第一の硬貨汚損度判別部61と第二の硬貨汚損度判別部62の他方が、硬貨1を汚損硬貨ではないと判別しているときには、硬貨1は汚損硬貨ではないと判別するようにすることもできる。
また、図11および図12に示された実施態様においては、第一の硬貨汚損度判別部61、第二の硬貨汚損度判別部62および第三の硬貨汚損度判別部(図示せず)のいずれかが、硬貨1が汚損硬貨であると判別したときには、硬貨1を汚損硬貨と判別しているが、第一の硬貨汚損度判別部61、第二の硬貨汚損度判別部62および第三の硬貨汚損度判別部のすべてが、硬貨1を汚損硬貨であると判別している場合にのみ、硬貨1を汚損硬貨と判別するようにしてもよく、また、第一の硬貨汚損度判別部61、第二の硬貨汚損度判別部62および第三の硬貨汚損度判別部のうち、2つの硬貨汚損度判別部が、硬貨1を汚損硬貨であると判別しているときに、硬貨1を汚損硬貨と判別するようにすることもできる。
さらに、前記実施態様においては、透明通路部3の上流部に、ガイドレール5の切り欠き部5aおよびLED光源20を設け、LED光源20から、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1に光を照射し、反射光を検出しているが、透明通路部3の上流側に、ガイドレール5の切り欠き部5aおよびLED光源20を設け、LED光源20から、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1に光を照射することは必ずしも必要でなく、透明通路部3の下流部に、ガイドレール5の切り欠き部5aおよびLED光源20を設け、LED光源20から、ガイドレール5の切り欠き部5aを通過する硬貨1に光を照射するようにしてもよい。
また、前記実施態様においては、発光手段7から、硬貨1の下面に光を照射して、硬貨1の下面の画像パターンデータを検出し、得られた硬貨1の下面の画像パターンデータに基づいて、硬貨1の金種、汚損レベルおよび硬貨が受け入れ可能か否かを判別しているが、特許第3652545号明細書に開示されているように、さらに、発光手段から、硬貨1の上面に光を照射して、硬貨1の上面の画像パターンデータを検出し、得られた硬貨1の上面の画像パターンデータと、硬貨1の下面の画像パターンデータに基づいて、硬貨1の金種、汚損レベルおよび硬貨が受け入れ可能か否かを判別するようにしてもよい。
さらに、本明細書において、手段とは、必ずしも物理的手段を意味するものではなく、各手段の機能が、ソフトウエアによって実現される場合も包含する。また、一つの手段の機能が二以上の物理的手段により実現されても、二以上の手段の機能が一つの物理的手段により実現されてもよい。