JP5553600B2 - アキシャル転がり軸受 - Google Patents

Description

本発明は、転動体を収容する保持器より成るアキシャル転がり軸受であって、前記保持器が２つの走行ディスク間に配置されており、前記２つの走行ディスクが、走行軌道を形成するそれぞれ１つの半径方向区分と、この半径方向区分に接続され、かつ軸方向に整列されたそれぞれ１つの半径方向外側のリムとを有していて、これらのリムが軸方向で重なり合っており、前記半径方向外側の走行ディスクが、半径方向内側の走行ディスクよりも大きい直径を有しており、少なくとも半径方向内側の走行ディスクが、軸方向に延びる半径方向内側のリムを有していて、該半径方向内側のリムが、走行軌道を形成する半径方向区分に続いている形式のものに関する。

発明の背景
ドイツ連邦共和国特許公開第１０２５８８２３号明細書には、自動車のトルクコンバータに適したアキシャル転がり軸受について記載されており、このアキシャル転がり軸受の走行ディスクは、外側に軸方向に折り曲げられた、互いに向き合うリムを備えており、これらのリムに、アキシャル転がり軸受を潤滑剤が貫流し易くする穴があけられている。アキシャル転がり軸受を通る潤滑剤の貫流は、特に大きい開口によって容易にする必要がある。何故ならば、前記ドイツ連邦共和国特許公開第１０２５８８２３号明細書には、従来技術の欠点として、潤滑剤のための従来公知の解決策では潤滑剤膜の破れを生ぜしめる高すぎる流体抵抗をもたらす、という点が挙げられているからである。

冒頭に述べた形式のアキシャル転がり軸受は、米国特許第４６５９０５０号明細書の図１２により公知である。この公知のアキシャル転がり軸受は、製造コストが安価であるという利点を有しているが、転動体として球が使用されているので、このアキシャル転がり軸受は、すべての使用分野のために使用できるものではない。

ドイツ連邦共和国特許公告第１９６１８２１６号明細書によれば、保持器と、保持器ポケット内に収納された転動体とを備えたアキシャル転がり軸受が公知である。この場合、保持器は、特に金属薄板より形成された２つの面平行な走行ディスク間に配置されている。これらの３つの構成部分は、互いに形状接続（formschluessig；形状による束縛）的に係止する（Hintergreifen）ことによって、１つの構造ユニットにまとめられている。この場合、少なくとも第１の走行ディスクはその周縁部の１箇所において、遊びを保って保持器を包囲する、軸方向に向けられたフランジに移行しており、このフランジは第２の走行ディスクの半径方向平面に延びているので、少なくとも１つの環状ギャップが形成される。保持器は、長手方向断面図で見てシグマ（Σ）状の形状を有していて、環状ギャップの領域内で、ポケットから半径方向に間隔を保った貫通開口を備えている。このような構成においても、潤滑剤のための流体抵抗は減少されるべきであり、この場合、流体抵抗のための基礎として、走行ディスクと保持器との間の狭い半径方向及び軸方向のギャップ、並びに保持器のポケットと転動体との間の狭い自由スペースが挙げられる。

また、潤滑剤ができるだけ妨害されることなく、一定の流れ方向でアキシャル転がり軸受を通って貫流できるようにするためのその他の技術的な解決策は、ドイツ連邦共和国特許公開第１０３１３１８３号明細書に記載されている。この公知の明細書によれば、半径方向で外側の走行ディスクの半径方向外側のリムが延長されて、軸方向のフランジを形成している。リムに続くフランジは、潤滑剤流のためのガイドプレートとして働き、潤滑剤流が軸受から一定の方向に流出するように配慮する。

以上述べた型式が、自動車のトランスミッションにおけるアキシャル転がり軸受に使用されるものである場合は、これまではできるだけ開放した構造が有利である。この開放した構造を通って、アキシャル軸受を潤滑するために及びトランスミッションのその他の構成部分を潤滑するために必要な潤滑剤を、できるだけ抵抗なしに貫流するようにすれば、有利である。このような形式の流体力学的に開放した構造は、利点ばかりではない。流体力学的に開放した構造によれば、トランスミッション内の液圧ポンプによって循環されか、若しくはトランスミッション内にポンピングされる潤滑剤の消費量が比較的大きくなる。アキシャル転がり軸受の流過抵抗が小さければ小さい程、循環される潤滑剤の量は多くなり、それによって比較的高い出力を有するポンプが必要となる。さらにまた従来のアキシャル転がり軸受は、所定の回転速度からポンプとして働き、それによって、循環させようとする潤滑剤の量がさらに増える。従来では、貫流量は、結果として生じたものであって、決定要素としては見なされていない。

このような理由から、潤滑剤の貫流量を減少させることによって、トランスミッション構造全体の効率を高めることができる。

発明の課題
本発明の課題は、前記のような欠点を取り除いたアキシャル転がり軸受を提供することである。特に、軸受は、例えば軸受の故障のない運転のためだけに必要とされる潤滑剤量に相当する所定量の潤滑剤貫流量によって貫流されるようにしなければならない。また設定が異なる場合には、アキシャル軸受を通るその他の潤滑剤流が実現可能でなければならない。

発明の要約
本発明によれば、ガイドプレートの半径方向及び軸方向の幾何学形状を、潤滑剤流のための絞りを形成するラビリンスシールが得られるように、互いに調整することによって、前記課題が特に簡単な形式で解決される、という認識に基づいている。

この課題を解決した本発明によれば、転動体を収容する保持器より成るアキシャル転がり軸受であって、前記保持器が２つの走行ディスク間に配置されており、前記２つの走行ディスクが、走行軌道を形成するそれぞれ１つの半径方向区分と、この半径方向区分に接続され、かつ軸方向に整列されたそれぞれ１つの半径方向外側のリムとを有していて、これらのリムが軸方向で重なり合っており、前記半径方向外側の走行ディスクが、半径方向内側の走行ディスクよりも大きい直径を有しており、少なくとも半径方向内側の走行ディスクが、軸方向に延びる半径方向内側のリムを有していて、該半径方向内側のリムが、走行軌道を形成する半径方向区分に続いている。

さらに本発明によれば、内側の走行ディスクの半径方向内側のリムが軸方向外側に延長されてフランジを形成しており、前記保持器が半径方向外側の区分を有していて、該半径方向外側の区分が、半径方向内側の走行ディスクの半径方向外側のリムに支えられており、前記保持器が半径方向内側の区分を有していて、この半径方向内側の区分が、折り曲げられて軸方向外側向けられたリムとして形成されており、前記半径方向内側の走行ディスクのフランジと保持器のリムとが、同じ軸方向に向けられてラビリンスシールを形成している。

このような構成によって、できるだけ多くの軸方向の重なりが形成され、これらの重なりによって、アキシャル転がり軸受の妨げられることのない貫流は不可能となる。潤滑剤流は、しばしば変向されるので、比較的長い経路を通ってアキシャル転がり軸受を通過するようになっている。それでも、アキシャル転がり軸受を通る基本的な潤滑剤の量は維持される。

内側の走行ディスクの半径方向内側のリムが軸方向外側に延長されてフランジを形成していることによって、潤滑剤貫流量を特に効果的に減少させることができる。このフランジは、ほぼガイドプレートとして用いられ、それによって潤滑剤に所定の流れ方向が与えられる。しかもこのような環状のフランジは、アキシャル転がり軸受を簡単な形式で、例えばコンバータクラッチのケーシング部分に接続するために使用される。

本発明のアキシャル転がり軸受の実験によれば、アキシャル転がり軸受によって潤滑剤貫流量に影響を及ぼすことができる。つまり、所定の圧力における毎分の所定の容積流に影響を及ぼすことができ、またそれとは逆に所定の容積流毎の時間に影響を及ぼすことができる。

また本発明によれば、半径方向外側の走行ディスクの軸方向外側の区分が、軸方向内側に折り曲げられてリムを形成しており、該リムが、内側の走行ディスクの半径方向内側のリムから少なくとも半径方向で間隔を保っていて、保持器の軸方向外側に向けられたリムを覆っており、前記角リム間にそれぞれ１つのギャップが残されている。

本発明の別の実施態様によれば、半径方向外側の走行ディスクの、フランジとして構成されたリムが、半径方向内側の走行ディスクのフランジを少なくとも部分的に軸方向及び半径方向で覆っており、前記フランジ間にギャップが形成されている。

本発明の別の実施態様によれば、半径方向内側の走行ディスクのフランジが軸方向端部で以て半径方向内側に折り曲げられて縁部を形成しており、該縁部の角縁と半径方向外側の走行ディスクのフランジの半径方向下側とが、同じ半径方向高さ位置にあって、半径方向内側の走行ディスクの前記縁部と半径方向外側の走行ディスクの前記フランジとの間にギャップが形成されている。

本発明の枠内で、保持器の半径方向下側の区分のリムが、軸方向及び半径方向の２重の折り曲げ部を備えており、該折り曲げ部が、半径方向内側に向けられた区分と軸方向のフランジとから成っており、該フランジが、半径方向内側の走行ディスクの前記フランジを少なくとも部分的に半径方向及び軸方向で覆っている。

この構成は、前記半径方向内側の走行ディスクのフランジと、前記保持器のフランジとの間に軸方向の間隔がゼロに等しいことによって、さらに補われる。

本発明の別の実施態様によれば、半径方向外側の走行ディスクの軸方向外側の区分が、リムとして構成された軸方向内側に向けられた折り曲げ部を有しており、該リムの下縁部が、保持器のフランジの下縁部と同じ半径方向高さ位置に配置されている。

本発明の別の有利な実施態様によれば、保持器のリムの半径方向内側に向いた区分と、前記半径方向外側の走行ディスクのリムの端縁部との間にギャプが形成されている。

また本発明の枠内で、半径方向外側の走行ディスクの軸方向外側の区分に、少なくとも１つの開口又は孔が形成されている。

この構成は、径方向外側の走行ディスクの軸方向内側のリムが、少なくとも１つの半径方向の延びる孔を有していることによって補われ、この場合さらに、半径方向外側の走行ディスクの軸方向内側に向けられたリムの孔が、この走行ディスクの軸方向外側の区分形成された孔よりも小さい直径を有していることによって、補われる。

本発明の別の実施態様によれば、半径方向外側の走行ディスクの半径方向外側及び軸方向に向けられたリムが、半径方向外側の鼻状の突起を有しており、該突起が、周方向で互いに均一な間隔を保って配置された複数の保持突起より成っているか、又は３６０゜に亘って延びる半径方向の縁部として構成されている。

同様に本発明の枠内で、前記転動体がニードル又はローラとして構成されている。また、記保持器が、Ｎ個の複数のポケットを有しており、これらのポケット内に挿入された転動体の数が前記Ｎ個の数に相当する。

本発明の特に有利な実施態様によれば、前記保持器が、Ｎ個の複数のポケットを有しており、前記ポケット内に挿入された転動体の数がＮ−ｎであり、この場合ｎ≧１である。

本発明の第１実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第２実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第３実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第４実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第５実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第６実施例によるアキシャル転がり軸受の横断面図である。 本発明の第７実施例によるアキシャル転がり軸受けの横断面図である。 流量を示す線図である。 流量を示す線図である。

本発明を以下に図面を用いて詳しく説明する。

図１乃至図５には、本発明によるアキシャル転がり軸受１のそれぞれ異なる実施例が示されており、このアキシャル転がり軸受１は、すべての実施例において２つの走行ディスク２，３を有している。これらの走行ディスク２，３はそれぞれ１つの半径方向区分４，５を有していて、これらの半径方向区分４，５は、保持器６内でガイドされた転動体７の走行軌道として使用される。

半径方向区分４，５の外周縁部にそれぞれ１つの軸方向に向けられたリム８若しくは９が接続しており、これらのリム８，９は互いに当接し合っていて、この場合、一方の走行ディスク３のリム９と、他方の走行ディスク２のリム８とが互いに重なり合っている。従って、半径方向内側の走行ディスク２の直径は、この内側の走行ディスク２に重なる外側の走行ディスク３の直径よりも小さい。

半径方向内側の走行ディスク２の半径方向区分４の内周縁部に、半径方向内側及び軸方向に延びるリム１０が続いており、このリム１０は、軸方向で外方に向かってフランジ１１まで延長している。フランジ１１を有するリム１０は、前記リム８とは逆向きであるので、半径方向で内側の走行ディスク２は、横断面がほぼＳ字形に形成されている。

保持器６は半径方向外側の区分１２を有しており、この半径方向外側の区分１２は、半径方向内側の走行ディスク２の半径方向外側のリム８に支えられている。保持器６はさらに、半径方向内側の区分１３を有しており、この半径方向内側の区分１３は、折り曲げられて軸方向外側に向いたリム１４を形成している。

半径方向外側の走行ディスク３のリム９は、半径方向外側に向いた鼻状の突起１５を有している。この突起１５は、周方向に互いに均一な間隔を保って配置された複数の保持突起より成っているか、又は３６０゜に亘って延びる縁部として構成されている。突起１５は、２つの走行ディスク２，３の接合を容易にするために用いられ、さらにまたスナップ突起として用いられる。スナップ突起によって、アキシャル転がり軸受１を、伝動装置の相応のケーシング切欠内に係止することができる。

さらにまた、突起１５を製造する際に形成された凹部１６は、アキシャル転がり軸受の個別の構成部分によって形成されたラビリンスシールのその他の構成部分を形成する。これらの構成部分には、２つの走行ディスク２，３の特に半径方向外側の互いに逆向きのリム８，９と、半径方向内側の走行ディスク２の、フランジ１１を備えた半径方向内側のリム１０と、保持器６の、前記リム８に向けられた上側の区分１２と、折り曲げられたリム１４を有する半径方向で下側の区分１３とが所属している。この場合、このリム１４とフランジ１１とは、同じ向きに配向されている。

すべての実施例において、半径方向外側の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７は、軸受軸線１９を有する中央の軸受開口１８内に開口している。

図１には第１実施例が示されており、この第１実施例において、ラビリンスシールの前記構成部分は、その他の構成部分によって補われている。この実施例において、半径方向外側の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７は、リム２０を形成するために軸方向で内方に折り曲げられている。このリム２０は、小さい方の走行ディスク２の半径方向内側のリム１０に対して軸方向及び半径方向で間隔を保っていて、保持器６のリム１４を軸方向及び半径方向で完全に覆っている。リム２０とリム１０との間に、特に半径方向の小さいギャップ２１が残されており、このギャップ２１内で潤滑剤がアキシャル転がり軸受内に流入するようになっている。しかしながら、潤滑剤の大部分は、ガイドプレートとしてのリム１０，１４，２０に沿って流れる。これは矢印Ｓ及びＳ′で示されている。

図２に、本発明によるアキシャル転がり軸受の第２実施例が示されており、この第２の実施例によるアキシャル転がり軸受は、図１に示した第１実施例によるアキシャル転がり軸受にほぼ相当する。図１の実施例との相違点は、半径方向外側の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７が、フランジ２２のリムを形成するために軸方向内側に折り曲げられているが、このフランジ２２は、保持器６のリム１４だけを軸方向で完全に覆っているだけではなく、半径方向内側の走行ディスク２のフランジ１１も部分的に覆っているという点である。前記フランジ１１と２２との間に、潤滑剤入口に通じる軸方向に延びる狭いギャップ２３が残されている。

図３には、図２に示したアキシャル転がり軸受にほぼ相当する、本発明によるアキシャル転がり軸受１の第３実施例が示されている。この場合、第２実施例と同様に、半径方向外側の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７は、リム又はフランジ２２を形成するために軸方向内側に折り曲げられていて、保持器６のリム１４を完全に覆っているだけではなく、半径方向内側の走行ディスク２のフランジ１１も部分的に覆っている。

しかもフランジ１１は、その軸方向の端部が半径方向内側に折り曲げられてフランジ２４を形成しており、この場合、フランジ２４の縁部２５は、フランジ２２の半径方向下側２６と同じ半径方向高さにある。縁部２４とフランジ２２との間に半径方向のギャップ２７が残されており、このギャップ２７内に潤滑剤が流入する。しかしながら潤滑剤の大部分は、ガイドプレートとして働くフランジ１１の縁部２４及びフランジ２２に沿って流れる。

図４には、本発明によるアキシャル転がり軸受１の第４実施例が示されている。この第４実施例によるアキシャル転がり軸受１は、図１及び図２に示した走行ディスク２に相当する半径方向内側の走行ディスク２を有している。半径方向外側の走行ディスク３は、図１乃至図３の実施例とは異なり、軸方向外側の区分１７の延長部に半径方向内側のリム又はフランジを有していない。この実施例では、軸方向外側の区分１７は、半径方向内側に配置された直角な端縁部２８で終わっている。ラビリンスシールの機能若しくは潤滑剤流を変向させるためのガイドプレートの機能を得るために、保持器５の半径方向下側の区分１３のリム１４が二重の軸方向及び半径方向の折り曲げ部２９を備えていることによって、保持器６はさらに頑丈にシステムによって包囲されている。リム１４の折り曲げ部２９は、半径方向内側に向いた区分３０と軸方向のフランジ３１とから成っている。

保持器６のフランジ３１は、半径方向内側の走行ディスク２のフランジ１１に対して、小さい軸方向間隔を有しているだけである。フランジ１１とフランジ３１との間にギャップ３２が残されており、このギャップ３２を通って潤滑剤がアキシャル軸受内に流入するようになっている。しかしながら本発明の枠内で、フランジ１１とフランジ３１とをギャップなしで互いに当接し合うようにすることも可能である。同様に、フランジ３１の端縁部がフランジ１１の端縁部と整列するまで、フランジ３１を軸方向に延長して構成することも可能である。この場合、２つのフランジ１１とフランジ３１との間の軸方向間隔はゼロである。

図５には、本発明によるアキシャル転がり軸受１の第５実施例が示されており、このアキシャル転がり軸受１の半径方向内側の走行ディスク２とフランジ３１を備えた保持器６とは、図４に示したアキシャル転がり軸受に相当する。図５の実施例では、図４の実施例とは異なり、半径方向外側の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７も、リム３３として構成された軸方向内方に向けられた折り曲げ部を有しており、この折り曲げ部の下縁部３４は、保持器６のフランジ３１の下縁部３５と同じ半径方向高さ位置に配置されている。保持器６のリム１４の半径方向内側に向いた区分３０と、リム３３の端縁部３６との間にギャップ３７が残されており、このギャップ３７を通って、少量の潤滑剤流がアキシャル転がり軸受１内に流入する。大部分の潤滑剤流は、直径の小さい方の軸受リングとしての走行ディスク２のフランジ１１と、保持器６のリム３１と、直径の大きい方の軸受リングとしての走行ディスク３のリム３３とを通って変向される。これらのフランジ１１とリム３１とリム３３とは、ガイドプレートとして用いられる。

図６には、本発明の第６実施例によるアキシャル転がり軸受１の部分図が示されており、このアキシャル転がり軸受１の保持器６及び半径方向内側の走行ディスク２の構成は、図１及び図２に示した実施例のものに相当する。これに対して、半径方向外側の走行ディスク３の構成は、図４に示したものに相当する。

従って、この第６実施例において、走行ディスク３の軸方向外側の区分１７は、半径方向内側で直角な端縁部２８で終わっている。付加的に、走行ディスク３の軸方向外側の区分１７に、開口又は孔３８が形成されている。この場合、単独の孔３８又は複数の穴３８が、直径の大きい方向の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７に形成されている。このような構成によって、第１乃至第５実施例のものに対して、アキシャル転がり軸受１を通る潤滑剤の流量をより多くすることができ、これは所定の前提条件下においては有利である。アキシャル転がり軸受１内に侵入して孔３８を通って流出する潤滑剤は、矢印Ｓ′で示されている。孔３８の数及び／又は直径によって、特に時間単位毎にアキシャル転がり軸受を通ってガイドされる潤滑剤流が規定される。少なくとも１つの孔３８は、潤滑剤流を所定の軸方向でガイドする。

図７は、本発明によるアキシャル転がり軸受１の第７実施例の部分図を示す。この第７実施例によるアキシャル転がり軸受１においては、前記実施例と同様に、直径の大きい方の走行ディスク３の軸方向外側の区分１７内に開口又は孔３８が形成されている。半径方向内側で、走行ディスク３の軸方向外側の区分１７は、図１に示した実施例と同様に軸方向内側に向けられたリム２０を有している。リム２０は、半径方向に延びる孔３９を有しており、この孔３９は、走行ディスク３の軸方向外側の区分１７に形成された孔３８よりも小さい直径を有している。この孔３９を通って潤滑剤が付加的にアキシャル転がり軸受１内に侵入し、孔３８を通って流出する。これは矢印Ｓ′で示されている。

図８ａ及び図８ｂにはそれぞれ、連続的に測定した表（線図）が示されており、縦軸線にバール（Ｂａｒ）で測定したオイル圧力が示され、横軸線に回転速度が毎分の回転数で示されている。測定は、８０℃の温度で実施された。この場合、図８ａの表には、低い潤滑剤流量に相当する値が示されており、これに対して図８ｂに示した表には、比較的高い流量を示す値が示されている。これらの値は、種々異なる構成のアキシャル転がり軸受１を用いたテストの連続によって得られた。この場合、前記構成部分若しくはラビリンスシールの変化実施例を使用するか、又は取り除くことによって、アキシャル転がり軸受を要求に応じて容易に適合させることができる。従って、図８ａに示した比較的高い流量の値は、図６に示したアキシャル転がり軸受によって実施された測定の連続を示す。これに対して、図８ｂに示した比較的低い流量の値は、図１に示したアキシャル転がり軸受によって得られたものである。

アキシャル転がり軸受１によって流量を高めたい場合は、使用された転動体７の数を減らしてもよい。この場合、ニードル又はローラとしての転動体７が装填されている保持器６のポケットに、最大可能な数までの転動体７を装填しなければよい。例えば、保持器６の２，４，８又は１６のポケットを空のままにして、残りのポケットだけに転動体７を装填することができる。

１ アキシャル転がり軸受、 ２，３ 走行ディスク、 ４，５ 半径方向区分、 ６ 保持器、 ７ 転動体、 ８，９，１０ リム、 １１ フランジ、 １２，１３ 区分、 １４ リム、 １５ 突起、 １６ 凹部、 １７ 区分、 １８ 軸受開口、 １９ 軸受軸線、 ２０ リム、 ２１ ギャップ、 ２２ フランジ、 ２３ ギャプ、 ２４ 縁部、 ２５ 角縁、 ２６ 下側、 ２７ ギャップ、 ２８ 端縁部、 ２９ 折り曲げ部、 ３０ 区分、 ３１ フランジ、 ３２ ギャップ、 ３３ リム、 ３４，３５ 下縁部、 ３６ 端縁部、 ３７ ギャップ、 ３８，３９ 孔、 Ｓ，Ｓ′ 矢印、流れ方向

Claims (12)

1. 転動体（７）を収容する保持器（６）より成るアキシャル転がり軸受（１）であって、前記保持器（６）が２つの走行ディスク（２，３）間に配置されており、前記２つの走行ディスク（２，３）が、走行軌道を形成するそれぞれ１つの半径方向区分（４，５）と、この半径方向区分に接続され、かつ軸方向に整列されたそれぞれ１つの半径方向外側のリム（８，９）とを有していて、これらのリム（８，９）が軸方向で重なり合っており、前記半径方向外側の走行ディスク（３）が、半径方向内側の走行ディスク（２）よりも大きい直径を有しており、少なくとも半径方向内側の走行ディスク（２）が、軸方向に延びる半径方向内側のリムを有していて、該半径方向内側のリムが、走行軌道を形成する半径方向区分（４）に続いている形式のものにおいて、
   内側の走行ディスク（２）の半径方向内側のリム（１０）が軸方向外側に延長されてフランジ（１１）を形成しており、前記保持器（６）が半径方向外側の区分（１２）を有していて、該半径方向外側の区分（１２）が、半径方向内側の走行ディスク（２）の半径方向外側のリム（８）に支えられており、前記保持器（６）が半径方向内側の区分（１３）を有していて、この半径方向内側の区分（１３）が、折り曲げられて軸方向外側に向けられたリム（１４）として形成されており、前記半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）と保持器（６）のリム（１４）とが同じ軸方向に向けられてラビリンスシールを形成しており、
   半径方向外側の走行ディスク（３）の軸方向外側の区分（１７）が、軸方向内側に折り曲げられて、フランジ（２２）として構成されたリム（２２）を形成しており、
   半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）が軸方向端部で以て半径方向内側に折り曲げられて縁部（２４）を形成しており、該縁部（２４）の半径方向内側の端面（２５）と半径方向外側の走行ディスク（３）のフランジ（２２）の半径方向内側の面（２６）とが、同じ半径方向高さ位置にあって、半径方向内側の走行ディスク（２）の前記縁部（２４）と半径方向外側の走行ディスク（３）の前記フランジ（２２）との間にギャップ（２７）が形成されていることを特徴とする、アキシャル転がり軸受。
2. 前記フランジ（２２）として構成されたリム（２２）が、半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）を少なくとも部分的に軸方向及び半径方向で覆っており、前記フランジ（１１，２２）間にギャップ（２３；２７）が形成されている、請求項１記載のアキシャル転がり軸受。
3. 転動体（７）を収容する保持器（６）より成るアキシャル転がり軸受（１）であって、前記保持器（６）が２つの走行ディスク（２，３）間に配置されており、前記２つの走行ディスク（２，３）が、走行軌道を形成するそれぞれ１つの半径方向区分（４，５）と、この半径方向区分に接続され、かつ軸方向に整列されたそれぞれ１つの半径方向外側のリム（８，９）とを有していて、これらのリム（８，９）が軸方向で重なり合っており、前記半径方向外側の走行ディスク（３）が、半径方向内側の走行ディスク（２）よりも大きい直径を有しており、少なくとも半径方向内側の走行ディスク（２）が、軸方向に延びる半径方向内側のリムを有していて、該半径方向内側のリムが、走行軌道を形成する半径方向区分（４）に続いている形式のものにおいて、
   内側の走行ディスク（２）の半径方向内側のリム（１０）が軸方向外側に延長されてフランジ（１１）を形成しており、前記保持器（６）が半径方向外側の区分（１２）を有していて、該半径方向外側の区分（１２）が、半径方向内側の走行ディスク（２）の半径方向外側のリム（８）に支えられており、前記保持器（６）が半径方向内側の区分（１３）を有していて、この半径方向内側の区分（１３）が、折り曲げられて軸方向外側に向けられたリム（１４）として形成されており、前記半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）と保持器（６）のリム（１４）とが同じ軸方向に向けられてラビリンスシールを形成しており、
   保持器（６）の半径方向内側の区分（１３）のリム（１４）が、半径方向内側に折り曲げられることで形成された区分（３０）と、さらに、該区分（３０）を軸方向外側に折り曲げることで形成された軸方向のフランジ（３１）とから成っており、該フランジ（３１）が、半径方向内側の走行ディスク（２）の前記フランジ（１１）を少なくとも部分的に半径方向及び軸方向で覆っていることを特徴とする、アキシャル転がり軸受。
4. 前記半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）と、前記保持器（６）のフランジ（３１）との間の軸方向の間隔がゼロに等しい、請求項３記載のアキシャル転がり軸受。
5. 半径方向外側の走行ディスク（３）の軸方向外側の区分（１７）が、リム（３３）として構成された軸方向内側に向けられた折り曲げ部を有しており、該リム（３３）の下縁部（３４）が、保持器（６）のフランジ（３１）の下縁部（３５）と同じ半径方向高さ位置に配置されている、請求項３又は４記載のアキシャル転がり軸受。
6. 前記保持器（６）のリム（１４）の半径方向内側に向いた区分（３０）と、前記半径方向外側の走行ディスク（３）のリム（３３）の端縁部（３６）との間にギャップが形成されている、請求項５記載のアキシャル転がり軸受。
7. 転動体（７）を収容する保持器（６）より成るアキシャル転がり軸受（１）であって、前記保持器（６）が２つの走行ディスク（２，３）間に配置されており、前記２つの走行ディスク（２，３）が、走行軌道を形成するそれぞれ１つの半径方向区分（４，５）と、この半径方向区分に接続され、かつ軸方向に整列されたそれぞれ１つの半径方向外側のリム（８，９）とを有していて、これらのリム（８，９）が軸方向で重なり合っており、前記半径方向外側の走行ディスク（３）が、半径方向内側の走行ディスク（２）よりも大きい直径を有しており、少なくとも半径方向内側の走行ディスク（２）が、軸方向に延びる半径方向内側のリムを有していて、該半径方向内側のリムが、走行軌道を形成する半径方向区分（４）に続いている形式のものにおいて、
   内側の走行ディスク（２）の半径方向内側のリム（１０）が軸方向外側に延長されてフランジ（１１）を形成しており、前記保持器（６）が半径方向外側の区分（１２）を有していて、該半径方向外側の区分（１２）が、半径方向内側の走行ディスク（２）の半径方向外側のリム（８）に支えられており、前記保持器（６）が半径方向内側の区分（１３）を有していて、この半径方向内側の区分（１３）が、折り曲げられて軸方向外側に向けられたリム（１４）として形成されており、前記半径方向内側の走行ディスク（２）のフランジ（１１）と保持器（６）のリム（１４）とが同じ軸方向に向けられてラビリンスシールを形成しており、
   半径方向外側の走行ディスク（３）の軸方向外側の区分（１７）が、軸方向内側に折り曲げられてリム（２０）を形成しており、
   半径方向外側の走行ディスク（３）の軸方向内側に向けられたリム（２０）に形成された孔（３９）が、この走行ディスク（３）の軸方向外側の区分（１７）に形成された孔（３８）よりも小さい直径を有していることを特徴とする、アキシャル転がり軸受。
8. 前記リム（２０）の孔（３９）が半径方向に延びている、請求項７記載のアキシャル転がり軸受。
9. 半径方向外側の走行ディスク（３）の半径方向外側及び軸方向に向けられたリム（９）が、半径方向外側の突起（１５）を有しており、該突起（１５）が、周方向で互いに均一な間隔を保って配置された複数の保持突起より成っているか、又は３６０゜に亘って延びる半径方向の縁部として構成されている、請求項１から８までのいずれか１項記載のアキシャル転がり軸受。
10. 前記転動体（７）がニードル又はローラである、請求項１から９までのいずれか１項記載のアキシャル転がり軸受。
11. 前記保持器（６）が、Ｎ個の複数のポケットを有しており、これらのポケット内に挿入された転動体（７）の数が前記Ｎ個の数に相当する、請求項１から１０までのいずれか１項記載のアキシャル転がり軸受。
12. 前記保持器（６）が、Ｎ個の複数のポケット（６）を有しており、前記ポケット内に挿入された転動体（７）の数がＮ−ｎであり、この場合ｎ≧１である、請求項１１記載のアキシャル転がり軸受。

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