JP5548566B2 - 自動車用ホイールディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
この対策として、ディスクフランジのディスク軸方向の形状の精度向上のため、絞り加工前にディスクフランジとなる部分を上記変形をキャンセルするような(打ち消すような)形状に切り抜いてからプレス加工する方法がある(特許文献1参照)。
(a)材料の加工性、金型との摩擦係数などは不安定であり、成形後のディスクフランジの上記変形を十分に打ち消すことは難しい。成形後のディスクフランジのディスク軸方向端部を切削加工等してディスクフランジのディスク軸方向精度を向上させることも考えられるが、コスト高である。
(b)飾り穴がディスクの最外周またはその近傍まであるため、ディスクをリムに嵌合して組付けるときに、飾り穴の外周側の周縁ディスク部分(エッジ部)と、リムの嵌合部とが、齧り現象を起こしてしまう。そのため、(i)ディスクをリムに嵌合した後の補修工程を要し、生産性が悪化する。また、(ii)リムの品質低下、嵌合位置のばらつきを生じさせ、ホイールの振れ精度が悪化する。
(c)プレス成形時のスプリングバックのため、図18に示すように、ディスクフランジ1aがディスク半径方向外側に反り返る傾向にあり、図示略のリムとの密着性が低下し、リムとディスクフランジ1aとの溶接部の耐久性が低下しやすい。
(1) 〔実施例1,2〕
円形平板状素材に飾り穴となる穴を開けて第1の素材を得る第1の工程と、
第1の素材を、プレス加工で絞り成形してディスクフランジを有するディスク形状の第2の素材を得る第2の工程と、
パンチと、パンチに対向する側の側面であるパンチ対向面とディスクフランジの周方向部分のうち飾り穴のディスク半径方向外側に隣接する周方向部分のディスク軸方向一端を保持するストッパ部とを有するダイと、を用いて、ディスクフランジをしごき加工し、ディスクフランジのディスク軸方向の波打ちを矯正する第3の工程と、
を有する自動車用ホイールディスクの製造方法。
(2) 〔実施例1,2〕
第3の工程では、パンチをダイに接近する方向にディスク軸方向に移動させることで、パンチとダイのパンチ対向面とによりディスクフランジを薄肉化させつつ、パンチからディスクフランジが受けるディスク軸方向の力をダイのストッパ部で受けることでディスクフランジのディスク軸方向の波打ち形状をディスク軸方向に波打ちの無い形状に矯正する、(1)記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
(3) 〔実施例1,2〕
第3の工程では、ディスクフランジをしごき加工しつつ、ディスクフランジのディスク周方向の一部にディスク周方向のその他の部分より小径となる小径部を形成する、(1)記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
(4) 〔実施例1,2〕
第3の工程では、ディスクフランジをしごき加工しつつ、または、ディスクフランジをしごき加工した後に、ディスクフランジの飾り穴側の端部が飾り穴と反対側の端部よりもディスク半径方向内側に変位した段付き状の移行部をディスクフランジに形成する、(1)記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
(5) 〔実施例1,2〕
第2の工程後第3の工程前に、ディスクフランジの、第3の工程においてダイのストッパ部によって保持されるディスク軸方向一端と反対側の端部に、ディスク半径方向に第3の工程におけるパンチから離れる方向に傾斜する傾斜部を形成する、第2´の工程を有する、(1)記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
第1の工程で飾り穴となる穴を開けて第1の素材を得た後に、第1の素材をプレス加工で絞り成形してディスクフランジを有する第2の素材を得た場合であっても、ディスクフランジのディスク軸方向位置の精度を向上させることができる。
また、ディスクフランジのディスク軸方向の端部を切削加工等してディスクフランジのディスク軸方向の精度を向上させる場合に比べて低コストである。
汎用のプレス機を用いて第3の工程を行なうことができる。また、ディスクフランジの真円度、円筒度が向上することによりホイールの耐久性が向上するとともに、ディスクフランジの薄肉化によりホイールを軽量化できる。
ディスクフランジの、ディスクをリムに嵌合して組付けたときにリムとの接触荷重が比較的高くなるディスク周方向部分に、小径部を形成することで、小径部を形成しない場合に比べてディスクとリムとの接触荷重をディスク周方向で均一に近づけることができる。
ディスクをリムに嵌合して組付けるときに、飾り穴の外周側の周縁ディスク部分(エッジ部)と、リムの嵌合部とが、齧り現象を起こすことを抑制できる。その結果、齧り補修が不要になり生産性を向上でき、また、リムの品質を確保でき、また、リムへの嵌合位置のバラツキ抑制によるホイール振れ精度の向上を図ることができる。
また、プレス成形時のスプリングバックによりディスクフランジがディスク半径方向外側に反り返ることを抑制できる。そのため、ディスクフランジとリムとの密着性を従来に比べて向上でき、ディスクフランジとリムとの溶接部の耐久性が向上する。
第3の工程でパンチがディスクフランジのディスク軸方向端面に当たることを抑制でき、第3の工程でしごき加工をスムーズに行なうことができる。
図1〜図13は、本発明実施例1の自動車用ホイールディスクの製造方法を示しており、図14、図15は、本発明実施例2の自動車用ホイールディスクの製造方法を示している。ただし、図1〜図8、図11〜図13は、本発明実施例1だけでなく本発明実施例2にも適用可能である。
本発明全実施例にわたって共通する部分には、本発明全実施例にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明全実施例に共通する部分を、説明する。
なお、成形途中の後述のディスクの素材31においても、ハブ取付け部となる部分の平面部分に対して垂直な方向を、軸方向(ディスク軸方向)といい、ホイール1となったときのホイール1の軸方向をいう。
ハブ取付け部12は、ハブ穴11の周囲に設けられている。ハブ取付け部12は、平板状又は略平板状であり、ディスク軸方向(ホイール軸方向、ホイールディスク10の軸芯)と直交またはほぼ直交する平面内にある。ハブ取付け部12のディスク半径方向中間部にはハブ取付けボルト穴12aが複数設けられている。ハブ取付けボルト穴12aは、ディスク周方向(ホイール周方向)に等間隔にたとえば5個設けられている。ただし、ハブ取付けボルト穴12aの数は、5個に限定されるものではなく、3個、4個でもよく、6個以上であってもよい。ハブから延びてくるハブ取付けボルト(両方共に図示略)をハブ取付けボルト穴12aに挿通し、ハブ取付けボルトに図示略のハブナットを螺合することにより、ディスク10(ホイール1)はハブに固定される。
スポーク側壁13b1は、スポーク底壁13aのディスク周方向両側端部から、スポーク底壁13aから離れる方向かつディスク軸方向に延びている(立ち上がっている)。スポーク側壁13b1は、図11に示すように、スポーク底壁13aからディスク軸方向外側に延びていてもよく、図12に示すように、スポーク底壁13aからディスク軸方向内側に延びていてもよい。なお、図11、図12において、OUTはディスク軸方向外側を示している。なお、本発明実施例および図示例では、特にことわりの無い限り、スポーク側壁13b1がスポーク底壁13aからディスク軸方向外側に延びている場合を説明する。
スポーク補強板13b2は、図11、図12に示すように、スポーク側壁13b1のスポーク底壁13a側と反対側のディスク軸方向端部から、ディスク軸方向からディスク周方向に向かって湾曲しスポーク部13のディスク周方向幅を大にする方向にディスク周方向に延びている。
図5では、スポーク側壁13b1のディスク軸方向幅Hは、最大となる部位からディスク半径方向外側にいくにつれて狭くなっているが、部分的に広くなっていてもよい。
ディスクフランジ14は、円筒状または略円筒状である。ただし、図6〜図8に示すように、ディスクフランジ14には、ディスクフランジ14のディスク周方向の一部にディスクフランジ14のディスク周方向のその他の部分より小径となる小径部14bが形成されていてもよい。以下、本発明実施例では、小径部14bが形成される場合を説明する。
小径部14bによるディスクフランジ14の半径の差(小径部14bによりディスクフランジ14が小径となる量)は、ディスクフランジ14の板厚(例えば5mm、さらに一般的には、2.5mm〜8mm)よりも小さいことが望ましい。また、水抜きの目的の場合には、小径部14bによるディスクフランジ14の半径の差は、1mmより大きいことが望ましい。1mmより大きいことが望ましい理由は、半径の差が板厚よりも小さく、かつ1mmよりも大きいと、小径部14bの加工がしやすく水抜き性がよいからである。
ディスクフランジ14とリム20との嵌合の接触荷重を均一化する目的の場合は、1mm以下であることが望ましく、さらには0.5mm以下かつ0.1mmより大きいことが望ましく、たとえば0.3mmである。0.5mm以下かつ0.1mmより大きいことが望ましい理由は、ディスク10をリム20に嵌合した際に、ディスク10がわずかに変形してリム20との嵌合部に馴染むため、ディスクフランジ14がディスク周方向の全周でリム20に接触できるからである。
(i)円形(略円形を含む)の平板状素材に飾り穴15となる穴30aを開けて第1の素材30を得る第1の工程(図1(a)参照)と、
(ii)第1の素材30を、プレス加工で絞り成形してディスクフランジ14を有する第2の素材31を得る第2の工程(図1(b)参照)と、
(iii)パンチ32(図9参照)と、パンチ32に対向する側の側面であるパンチ対向面33aとディスクフランジ14のディスク軸方向一端を保持するストッパ部33bとを有するダイ33(図9参照)と、を用いて、ディスクフランジ14をしごき加工し、ディスクフランジ14のディスク軸方向の波打ちを矯正して最終的なディスク10の形状を得る第3の工程(図1(c)参照)と、を有する。
第2´の工程は、図10に示すように、ディスクフランジ14の、第3の工程においてダイ33のストッパ部33bによって保持されるディスク軸方向一端と反対側の端部に、ディスク半径方向に第3の工程におけるパンチ32から離れる方向に傾斜する傾斜部14cを形成する工程である。
パンチ32は、プレス機を作動させることでダイ33に対して相対動(接近)する。パンチ32は、ダイ33に向かって移動されたときの先端部またはその近傍に、ダイ33に向かって突出する突出部32aを備えている。パンチ32は、突出部32aで第2の素材31のディスクフランジ14をしごく。
ダイ33は、パンチ32の突出部32aに対向する側の側面であるパンチ対向面33aと、ディスクフランジ14のディスク軸方向一端を保持するストッパ部33bと、を備えている。
本発明実施例では、パンチ32とダイ33を用いてディスクフランジ14をしごき加工し、ディスクフランジ14のディスク軸方向の波打ちを矯正する第3の工程を有するため、つぎの作用を得ることができる。
第1の工程で飾り穴15となる穴30aを開けて第1の素材30を得た後に、第1の素材30をプレス加工で絞り成形してディスクフランジ14を有する第2の素材31を得た場合であっても、ディスクフランジ14のディスク軸方向位置の精度を向上させることができる。
また、ディスクフランジ14のディスク軸方向の端部を切削加工等してディスクフランジ14のディスク軸方向の精度を向上させる場合に比べて低コストである。
汎用のプレス機を用いて第3の工程を行なうことができる。また、ディスクフランジ14の真円度、円筒度が向上するため、ディスクフランジ14とリム20との嵌合精度が向上し、ホイール1の耐久性が向上する。また、ディスクフランジ14の薄肉化によりホイール1を軽量化できる。
ディスクフランジ14の、ディスク10をリム20に嵌合して組付けたときにリム20との接触荷重が比較的高くなるディスク周方向部分に、小径とする量が1mm以下である小径部14bを形成することで、小径部14bを形成しない場合に比べてディスク10とリム20との接触荷重をディスク周方向で均一に近づけることができる。また、小径とする量が1mmよりも大きい小径部14bを形成することで、リム20のドロップ24以外の部分と嵌合した場合の水抜き穴として利用することができる。
ディスク10をリム20に嵌合して組付けるときに、飾り穴15の外周側の周縁ディスク部分(エッジ部)と、リム20の嵌合部とが、齧り現象を起こすことを抑制できる。その結果、齧り補修が不要になり生産性を向上でき、また、リム20の品質を確保でき、また、リム20への嵌合位置のバラツキ抑制によるホイール振れ精度の向上を図ることができる。
また、プレス成形時のスプリングバックによりディスクフランジ14がディスク半径方向外側に反り返ることを少なくすることができる。そのため、ディスクフランジ14とリム20との密着性を従来に比べて向上でき、ディスクフランジ14とリム20との溶接部の耐久性が向上する。
第3の工程でパンチ32がディスクフランジ14のディスク軸方向端面に当たることを抑制でき、第3の工程でしごき加工をスムーズに行なうことができる。
〔実施例1〕(図1〜図13)
本発明実施例1では、以下のようになっている。
パンチ32が、図9に示すように、ディスクフランジ14のディスク半径方向外側に位置する部分32cを有するアウターパンチである。ダイ33が、ディスクフランジ14のディスク半径方向内側に位置する部分33cを有するインナーダイである。
小径部14bは、小径部14bに対応するパンチの突出部32aの内周側への突出量を、その他の突出部32aより大きくすることにより、しごき量を部分的に大きくして成形する。
本発明実施例2では、以下のようになっている。
パンチ32が、図14に示すように、ディスクフランジ14のディスク半径方向内側に位置する部分32dを有するインナーパンチである。ダイ33が、ディスクフランジ14のディスク半径方向外側に位置する部分33dを有するアウターダイである。
小径部14bは、小径部14bに対応するダイ33の内周部分33d(ディスクフランジ14のディスク半径方向外側に位置する部分33d)を、その他の内周部分33dよりも径方向内側に突出させることにより、しごき量を部分的に大きくして(ディスクフランジ14の外周側の拡径量を部分的に抑制して)成形する。
10 ディスク
11 ハブ穴
12 ハブ取付け部
12a ハブ取付けボルト穴
13 スポーク部
13a スポーク底壁
13b スポーク側部
13b1 スポーク側壁
13b2 スポーク補強板
14 ディスクフランジ
14a 移行部
14b 小径部
14c 傾斜部
15 飾り穴
17 ディスク傾斜部
20 リム
21 内側フランジ部
22 内側ビードシート部
23 内側サイドウォール部
24 ドロップ部
25 外側サイドウォール部
26 外側ビードシート部
27 外側フランジ部
30 第1の素材
30a 飾り穴となる穴
31 第2の素材
32 パンチ
32a 突出部
32b 移行部形成部
33 ダイ
33a パンチ対向面
33b ストッパ部
Claims (5)
- 円形平板状素材に飾り穴となる穴を開けて第1の素材を得る第1の工程と、
第1の素材を、プレス加工で絞り成形してディスクフランジを有するディスク形状の第2の素材を得る第2の工程と、
パンチと、パンチに対向する側の側面であるパンチ対向面とディスクフランジの周方向部分のうち飾り穴のディスク半径方向外側に隣接する周方向部分のディスク軸方向一端を保持するストッパ部とを有するダイと、を用いて、ディスクフランジをしごき加工し、ディスクフランジのディスク軸方向の波打ちを矯正する第3の工程と、
を有する自動車用ホイールディスクの製造方法。 - 第3の工程では、パンチをダイに接近する方向にディスク軸方向に移動させることで、パンチとダイのパンチ対向面とによりディスクフランジを薄肉化させつつ、パンチからディスクフランジが受けるディスク軸方向の力をダイのストッパ部で受けることでディスクフランジのディスク軸方向の波打ち形状をディスク軸方向に波打ちの無い形状に矯正する、請求項1記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
- 第3の工程では、ディスクフランジをしごき加工しつつ、ディスクフランジのディスク周方向の一部にディスク周方向のその他の部分より小径となる小径部を形成する、請求項1記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
- 第3の工程では、ディスクフランジをしごき加工しつつ、または、ディスクフランジをしごき加工した後に、ディスクフランジの飾り穴側の端部が飾り穴と反対側の端部よりもディスク半径方向内側に変位した段付き状の移行部をディスクフランジに形成する、請求項1記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
- 第2の工程後第3の工程前に、ディスクフランジの、第3の工程においてダイのストッパ部によって保持されるディスク軸方向一端と反対側の端部に、ディスク半径方向に第3の工程におけるパンチから離れる方向に傾斜する傾斜部を形成する、第2´の工程を有する、請求項1記載の自動車用ホイールディスクの製造方法。
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