JP5547680B2 - 封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、封止用エポキシ樹脂組成物の成形で発生するパッケージ表面汚れ、パッケージ空孔を低減、抑制することを課題としている。
(a)酸化ポリエチレン
(b)天然カルナバ
(c)ヒドロキシステアリン酸アミド及びモンタン酸ビスアミドのうちの少なくとも一種
また、この封止用エポキシ樹脂組成物においては、離型剤は、予め(a)、(b)、(c)の3成分を加熱により溶融、混合後常温まで冷却した固化物として配合されていることが好ましい。
さらに、この封止用エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を含むことが好ましい。
また、本発明の半導体装置は、上記の封止用エポキシ樹脂組成物により封止されていることを特徴とする。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂としては、その種類は特に制限されず、公知のものをはじめとする各種のものを全て使用することができる。
たとえば、O-クレゾールノボラック型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、ジシクロペンタジエン型エポキシ、ビスフェノール型エポキシ、ナフトール型エポキシ、ブロム含有エポキシ等のエポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化剤としては、その種類は特に制限されず、公知のもの、たとえば、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等各種のものを使用することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物においては、硬化剤として、あるいは硬化剤との併用として、いわゆる硬化促進剤と呼ばれるものを使用することができる。このような硬化促進剤としては、特に制限されず、公知のものをはじめとする各種のものを使用することができる。
エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤の配合量は、有効量であれば特にその範囲は制限されないが、エポキシ樹脂組成物の全量に対して通常、0.1〜5質量%の範囲内、好ましくは0.5〜2質量%の範囲内とすることが考慮される。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の無機充填剤としては、その種類は特に制限されず、公知のものをはじめとする各種のものを使用することができる。たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素などが挙げられ、これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。無機充填剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物の全量に対して好ましくは70〜90質量%の範囲内とすることが考慮される。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物では、
(a)離型剤として金型界面に介在して離型性を高める性能の優れた酸化ポリエチレン、
(b)性能バランスの良い天然カルナバ、
(c)樹脂成分との相溶性の良いヒドロキシステアリン酸アミド、モンタン酸ビスアミド
の3成分を同時に含む。
そして、(a)酸化ポリエチレンが、離型剤合計に対して50質量%以下である。
そして、(a)(b)(c)3成分を含む離型剤の合計量は、エポキシ樹脂組成物の全量に対して、好ましくは、0.03〜3質量%の範囲内とすること、より好ましくは、0.1〜1質量%の範囲内とすることが考慮される。成形作業性などを考慮すると、3成分を含む離型剤の合計量は、エポキシ樹脂組成物の全量に対して、0.03質量%以上が好ましい。また、成形物表面の滑らかさなどを考慮すると、エポキシ樹脂組成物の全量に対して、3質量%以下が好ましい。
酸化ポリエチレン(酸化PE)としては、滴点、酸価、数平均分子量、密度、平均粒径等の数値を適宜選定して用いることが好ましい。滴点としては、100〜130℃、酸価としては10〜70mgKOH/g、数平均分子量としては、800〜3000、密度としては、0.8〜1.1g/立方cmが好ましい範囲である。本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の連続成形性を高めるなどの効果を奏する。
天然カルナバとしては、好ましくは、数平均分子量:340〜820、融点:82〜86℃、比重:0.99〜1.00程度のものが用いられる。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物においては、脂肪族アミド系離型剤の中でも、ヒドロキシステアリン酸アミドが特に好ましく用いられる。ヒドロキシステアリン酸アミドは、いわゆる離型剤として金型界面に介在して離型性を高めるほか、組成物中の樹脂成分と相溶性が良く、樹脂組成物の流動性を高める。
このため、上記した酸化ポリエチレンワックス、天然カルナバとの併用で、それら他の離型剤と親和性を持ち、離型剤全体のブリードアウトや金型への転写が抑制される。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物において、ヒドロキシステアリン酸アミドと同様に好適な脂肪族アミド系離型剤として、モンタン酸ビスアミドのメチレンビスモンタン酸アミド、エチレンビスモンタン酸アミドが挙げられる。
モンタン酸ビスアミドは、脂肪酸アミドがメチレン鎖で繋がって2量化したアルキレン脂肪酸アミドの構造を持ち、100℃以上の高融点で、樹脂成分と相溶性が優れ、樹脂組成物の流動性を高める作用も高い。このため、酸化ポリエチレンワックス、天然カルナバと併用の場合、離型剤全体のブリードアウトや金型への転写が低減、抑制される。
カップリング剤として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を更に配合することが考慮される。
シリカ系の無機充填剤を配合する場合は、シランカップリング剤が好適である。γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上の併用でもよい。
なお、カップリング剤は、封止用エポキシ樹脂組成物の調製時に配合しても良いが、予め無機充填剤の表面処理に適用すれば、より効果的である。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらに他の成分を配合することができる。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、赤リンなどの難燃剤、カーボンブラックなどの着色剤、シリコーンエラストマーなどの低応力化剤、無機イオントラップ剤等である。これらは単独で使用しても、2種類以上の併用でもよい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の製造では、まず、上記のエポキシ樹脂をはじめとする各成分をミキサー、ブレンダー等を用いて十分均一になるまで混合する。その後、熱ロールやニーダー等の混練機により加熱状態で溶融混合し、これを室温に冷却した後、公知の手段により粉砕する。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物では、良好な成形性、離型性を備え、且つ、成形物表面への離型剤滲みだしが少ないので、成形物表面上の汚れを低減、抑制することができる。
また、半導体装置のパッケージ成形において、成形物が滑らかに成形金型から離型し、成形作業性に優れると共に、金型側に離型剤の残留や転写が起こりにくいので、それら離型剤による金型の汚染も起こりにくい。
本発明の半導体装置は、上記のようにして得られた封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止することにより製造することができる。
半導体素子としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等を用いることができる。
また、本発明の半導体装置のパッケージ形態としては、ボール・グリッド・アレイ(BGA)等のエリア実装型のパッケージや、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)等の挿入型パッケージを挙げることもできる。
まず、半導体素子を搭載したリードフレーム、回路基板等を金型キャビティ内に設置し、その後、このキャビティ内に溶融状態の封止用エポキシ樹脂組成物を所定の圧力で注入し、溶融したエポキシ樹脂組成物で半導体素子を包み込みながら充満する。
このときの注入圧力は、エポキシ樹脂組成物や半導体装置の種類等に応じて適宜設定することができるが、例えば4〜7MPa、金型温度は、例えば、160〜190℃、成形時間は、例えば30〜300秒等に設定することができる。
本発明の半導体装置の成形品パッケージは、表面のボイド生成が抑制された滑らかな成形表面を持ち、高充填で緻密に成形されているので、耐湿性、耐熱性も高く、物理的な諸特性も安定しており、信頼性が高い。併せて、成形作業性も優れたものとなる。
〈実施例1〉
下記の各材料を表1の配合処方で調整し、ブレンダーで30分間混合し均一化した後、80℃に加熱した2本ロールで混練溶融させて押し出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して、粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学(株)製の「ESCN 195XL」エポキシ当量195
(硬化剤)
フェノールノボラック樹脂:荒川化学(株)製の「タマノール752」水酸基当量104
(無機充填剤)
結晶シリカ:龍森製の「3K」平均粒径30μm
酸化ポリエチレンワックス:クラリアント社製の「PED−136」
(天然カルナバ)
天然カルナバワックス:大日化学工業(株)製の「F1−100」
(ヒドロキシステアリン酸アミド)
12−ヒドロキシステアリン酸アミド:大日化学工業(株)製
(モンタン酸ビスアミド)
メチレンビスモンタン酸アミド:大日化学工業(株)製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製の「KBM403」
(着色剤)
カーボンブラック:三菱化学(株)製の「MA600MJ」
〈実施例2、比較例1〜6〉
上記の各材料を表1の配合処方で調整し、〈実施例1〉と同様にして粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例3では、実施例1と同じ量比の離型剤3種(酸化ポリエチレン25質量%、天然カルナバ25質量%、モンタン酸ビスアミド50質量%)について、予め、120℃で融解し、ディスパーで15分間溶融混合した後、常温まで冷却して溶融混合固化物を調製した。その粉砕物を他の配合材料と共に実施例1と同じ配合量比でブレンダーに投入して30分間混合し均一化した後、80℃に加熱した2本ロールで混練溶融させて押し出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して、粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
〈評価〉
[スパイラルフロー]
ASTM D3123Aに準じたスパイラルフロー測定金型を用いて、金型温度:175℃、注入圧力:70kgf/平方cm、成形時間:90秒、後硬化:175℃/6hの条件で、封止用エポキシ樹脂組成物のトランスファー成形を行い、流動距離(cm)を測定した。
[ゲルタイム]
キュラストメータを用いて、160℃に保持した封止用エポキシ樹脂組成物の硬化トルクを経時的に測定し、硬化トルク値が0.1kgfになるまでの時間(s)をゲルタイムとして測定した。この値が小さい方が硬化性が早いことを示す。
ガラス基材エポキシ樹脂基板(寸法140×50×0.5mmt)に、寸法4×4×0.4mmtの評価用チップを、マトリックス状に30個銀ペーストを用いて搭載した、外形寸法138×38×0.8mmtの一括封止型BGA(Ball Grid Array)パッケージを上記のスパイラルフロー試験と同じ条件でトランスファー成形し、目視にてパッケージ表面の汚れ具合を確認した。
○:汚れ有 ×:汚れ無
表1の評価結果をみると、酸化ポリエチレンを含まない2成分の離型剤のエポキシ樹脂組成物(比較例3〜4)、天然カルナバを含まない2成分の離型剤のエポキシ樹脂組成物(比較例5)、 ヒドロキシステアリン酸アミド、モンタン酸ビスアミドのいずれも含まない2成分の離型剤のエポキシ樹脂組成物(比較例6)では、どれも、パッケージ表面汚れが見られる。
実施例1、実施例2、並びに、実施例1と同じ量比の離型剤3種を予め、溶融混合し固化物を調製し、その粉砕物を配合したエポキシ樹脂組成物の実施例3では、パッケージ表面汚れが全く見られず、スパイラルフロー値も高く成形時の流動性も優れていることが確認された。特に、実施例3では、パッケージ表面汚れの抑制、スパイラルフロー値、ゲルタイムのいずれも優れていた。また、パッケージ表面を精査すると、離型剤の溶け残りに由来する細かな凹凸が認められなかった。
Claims (5)
- エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤とともに離型剤を含む封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記離型剤は、下記(a)、(b)、(c)成分を含み、かつ離型剤合計に対して成分(a)が10〜35質量%、成分(b)が10〜60質量%、成分(c)が10〜60質量%であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
(a)酸化ポリエチレン
(b)天然カルナバ
(c)ヒドロキシステアリン酸アミド及びモンタン酸ビスアミドのうちの少なくとも一種 - 離型剤の合計の配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物の全体に対して0.03〜3質量%であることを特徴とする請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 離型剤は、予め前記(a)、(b)、(c)の3成分を加熱により溶融、混合後常温まで冷却した固化物として配合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- さらに、カップリング剤を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物により封止されたことを特徴とする半導体装置。
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