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JP5541941B2 - 固定砥粒式ソーワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、Si(シリコン)等の比較的軟質な硬脆性材料の加工に適した固定砥粒式ソーワイヤに関する。
硬脆性材料からなるインゴッド等の被加工物からウエハを得るために、ワイヤを用いる被加工物のマルチ切断技術が利用されている。切断方法には、砥粒を含むスラリを吹きかけながらワイヤで被加工物を切断する遊離砥粒式と、表面に砥粒を固着させたソーワイヤによって被加工物を切断する固定砥粒式の2種類が存在する。
固定砥粒式に使用されるソーワイヤは、ワイヤ径としてφ0.14mm前後の金属線に、φ5〜40μm程度の砥粒をメッキによって固着させたものが一般的である。そして、砥粒としては通常人工ダイヤモンド、CBN(窒化ホウ素)、単結晶SiC等の硬質単結晶化合物又はそれらに金属被覆したものが使用されている。
半導体素材の製造工程では、図10に示すようなワイヤソーマシンを用いて、被加工物であるSiC(炭化シリコン)等のインゴットをスライス加工することが行われる。図10のワイヤソーマシンでは、供給側リール21から供給されたソーワイヤ22は、ローラー24a〜24cに幾重にも巻きかけて走行する。このとき、ソーワイヤ22はローラー間で高張力状態となっており、インゴット23を上から押し付けると、表面に固着された砥粒によってインゴット23が研削され、薄くスライスされる。なお、使用済みのソーワイヤ25は、排出側リール26へと巻き取られる。
固定砥粒式のマルチ切断技術は、切断能力が高く、特にSiCやサファイア等の硬度の高い硬脆性材料の切断に用いられている。ソーワイヤに固着されている砥粒は、特許文献1の図4に示されているように、ソーワイヤの周方向に均一に固着されており、どの面においても均一な切断能力を有する。
特開平9−150314号公報
従来、Si(シリコン)等の比較的軟質な硬脆性材料は、遊離砥粒式で加工及び切断されていたが、近年では、Siインゴット等の加工及び切断についても、切断性能の高い固定砥粒式ソーワイヤを用いる切断技術が適用されつつある。
しかし、本発明者等は、Siインゴット等をソーワイヤによって加工及び切断する場合、特許文献1に開示されているような固定砥粒式のソーワイヤでは、複数の砥粒先端に均等に圧力が掛かるため、加工対象物であるSiインゴット等を切削するのに必要な砥粒先端圧力が得られず、結果として切断能力(切断速度)が低下してしまう場合があることを発見した。
本発明は、単結晶Si等の比較的軟質な硬脆性材料の加工及び切断に適した固定砥粒式ソーワイヤの提供を目的とする。なお、「比較的軟質な硬脆性材料」とは、具体的には、単結晶Si、磁性材料、水晶、石英ガラス類、セラミックス類、Si全般等の各種半導体材料を意味する。
本発明者等は、固定砥粒式ソーワイヤの構造について鋭意検討した結果、砥粒の平均粒径を40μm以下とし、ソーワイヤ表面に砥粒の一部を凝集させて固着させることにより、単結晶Siインゴット等の比較的軟質な硬脆性材料を加工・切断しても切断能力が低下しないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
内側に位置する砥粒付着用メッキ層である第一メッキ層と、
外側に位置する砥粒埋込用メッキ層である第二メッキ層とによって芯線の外周面に、単体砥粒の平均粒径40μm以下の砥粒を固着した固定砥粒式ソーワイヤであって、
ソーワイヤ表面に固着される砥粒には、単体砥粒と凝集砥粒とが混在しており、
長さ1mmあたりの単体砥粒と凝集砥粒の合計数が10個以上58個以下であり、長さ1mmあたりの凝集砥粒数が3個以上17個以下であることを特徴とする固定砥粒式ソーワイヤに関する。
ここで、「単体砥粒」とは、各砥粒が他の砥粒とは独立して、芯線の外周面に固着されたものを意味する。また、「凝集砥粒」とは、複数個の砥粒が凝集し、一体化して芯線の外周面に固着されたものを意味する。なお、砥粒としては、人工ダイヤモンドが好ましい。
ソーワイヤの一定領域を観察した場合に、単体砥粒と凝集砥粒の総計が総砥粒数である。なお、凝集砥粒を計数する場合には、凝集砥粒に含まれる砥粒の個数ではなく、他の凝集砥粒と独立して固着されている凝集砥粒全体を1個として計数する。
原料として使用する砥粒の平均粒径は、メジアン径を意味する。従来の固定砥粒式ソーワイヤは、砥粒を凝集させることなく、専ら単体砥粒を積極的に表面に固着していたが、本発明の固定砥粒式ソーワイヤは、単体砥粒と凝集砥粒とを混在させることにより、Si等の比較的軟質な硬脆性材料の加工及び切断に適した切断性能を発揮することを特徴としている。
芯線には、φ0.05〜0.50mm程度の鋼線等の金属線を使用しうる。
長さ2mmあたりの断面投影図において、凝集砥粒の外周端を結ぶ直線によって形成される多角形がソーワイヤ表面と接触又は交差しないことが好ましい。なお、長さ2mmあたりの断面投影図において、凝集砥粒の最外周端を結ぶ直線によって形成される多角形がソーワイヤ表面と接触又は交差しないことの確認方法については、後述する。
第一メッキ層と第二メッキ層とを合わせた全メッキ層の平均厚は、原料として使用する単体砥粒の平均粒径の0.2倍以上0.5倍以下であることが好ましい。なお、ここでいう平均厚とは、全メッキ層の平均的な厚みであり、マイクロスコープを用いて測定した、無作為に選定した砥粒が存在しない部分10箇所の線径の平均値と、芯線の線径と、による算出値である。すなわち、平均厚は、(10箇所の線径の平均値−芯線の線径)÷2という計算式により算出される値である。
凝集砥粒の高さの平均値は、原料として使用する砥粒の平均粒径の1.3倍以上1.6倍以下であることが好ましい。
凝集砥粒の外周部が平坦化されており、外周部における第二メッキ層のメッキ厚が平坦化されていない部分における第二メッキ層の平均厚よりも小さくなっていることが好ましい。
平坦化された凝集砥粒の外周部における第二メッキ層の硬度は、ビッカース硬度HV250以上であることが好ましい。
本発明の固定砥粒式ソーワイヤによれば、Siインゴット等を効率よく加工・切断することが可能である。
本発明の固定砥粒式ソーワイヤの概略斜視図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の固定砥粒式ソーワイヤ長さ2mmあたりの断面投影図の一例を説明する図である。 本発明の固定砥粒式ソーワイヤ長さ2mmあたりの断面投影図を作成するための方法を説明する図である。 図4の方法によって得られた断面投影図である。 特許文献1の固定砥粒式ソーワイヤの断面図である。 芯線表面から凝集砥粒の外周端までの距離を説明する図である。 本発明の固定砥粒式ソーワイヤの製造方法の工程図である。 図8の各工程における固定砥粒式ソーワイヤ表面の状態を説明する図である。 一般的なソーワイヤマシンによる被加工物の切断を説明する概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しながら説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されない。実施例8,9,11及び12は、本発明に含まれない。
<本発明のソーワイヤの構造>
まず、本発明のソーワイヤの構造について説明する。本発明のソーワイヤの概略斜視図を、図1に示す。ソーワイヤ1は、芯線2と、第一メッキ層3と、第二メッキ層4と、単体砥粒5と、凝集砥粒6とから構成される。図1のA−A断面図を、図2に示す。単体砥粒5と凝集砥粒6とは、第一メッキ層3及び第二メッキ層4によって芯線2の外周面に固着されている。内側となる第一メッキ層は砥粒付着用メッキ層として機能し、外側となる第二メッキ層は砥粒、凝集砥粒埋込用メッキ層として機能する。単体砥粒5と凝集砥粒6とは、主に第二メッキ層4によって芯線2に固着されている。
使用する砥粒(単体砥粒5)の平均粒径は40μm以下であることが好ましい。平均粒径が40μmを超えると比表面積が小さくなり、複数個の砥粒から凝集砥粒が形成される際の固着力が低下するために好ましくない。また、平均粒径の大きな人工ダイヤモンドは非常に高価であるため、ソーワイヤの製造コストが高くなる。
ソーワイヤ長さ1mmあたりの総砥粒数(単体砥粒5+凝集砥粒6の総数)は10個以上80個以下であり、凝集砥粒6の数は3個以上25個以下であることが好ましい。総砥粒数が10個未満ではソーワイヤ表面の砥粒が固着されていない部分と、被加工物とが直接接触する現象(メタルタッチ)が起こり易くなり、80個超ではソーワイヤ製造時に切断に関与しない単体砥粒5が過多となり、製造コストも高くなる。
単体砥粒5は、ソーワイヤ1の加工・切断能力に直接関与しないが、メタルタッチを防止するガイドの役割を有し、ソーワイヤ1外周面における凝集砥粒6を疎な状態とすることで、凝集砥粒6による加工及び切断能力を発揮させている。
一方、ソーワイヤ長さ1mmあたりの凝集砥粒6の数が3個未満では被加工物の切断能力が低く、25個超では従来の固定砥粒式ソーワイヤと同様に、Siインゴット等を切削するのに必要な砥粒先端圧力が得られず、切断能力(切断速度)が低下してしまう場合があるためである。なお、ソーワイヤの長さ1mmあたりの総砥粒数は、ソーワイヤ全周における計数によるものである。
ソーワイヤ長さ2mmあたりの断面投影図において、凝集砥粒6の外周部7先端を結ぶ直線31によって形成される多角形は、ソーワイヤ表面と接触又は交差しないことが好ましい。ここで、本発明のソーワイヤ長さ2mmあたりの断面投影図の一例を、図3に示す。図3では、ソーワイヤ1の断面投影図に凝集砥粒6a〜6fが存在している。そして、凝集砥粒6a〜6fの外周端(外周部の先端となる最外周部分)を直線31で結ぶと多角形(図3では六角形)となる。なお、図3では、単体砥粒5及び凝集砥粒6a〜6fを覆う第二メッキ層4は省略されている。
この多角形を構成する直線31(辺)は、砥粒が存在しない部分の第二メッキ層4の表面とは接触又は交差せず、多角形がソーワイヤ1(砥粒が存在しない部分の第二メッキ層)を囲んでいる。本発明のソーワイヤ1では、図3に示したように、凝集砥粒が全周に分散されている状態となっていることにより、被加工物とソーワイヤ1表面の砥粒が存在しない部分の第二メッキ層4とが接触することが防止され、かつ、被加工物の切断能力も高くなる。
ここで、本発明のソーワイヤ1において、長さ2mmあたりの断面投影図において、図3に示すような断面投影図を作成するための方法について説明する。まず、ソーワイヤ1をL字に折り曲げる。折り曲げた一方を上向きに固定し、任意の長さ2mmの範囲において、ソーワイヤ1の上面及び下面の側方からソーワイヤ1を、マイクロスコープを用いて観察する。そして、凝集砥粒5の見かけ上の高さが、原料として使用する砥粒の平均粒径の1.3倍以上1.6倍以下である凝集砥粒があれば、高さが最大となった時の回転角度を記録する。
例えば、図4(A)では回転角度0°の時に上面に、高さが砥粒の平均粒径の1.3倍以上1.6倍以下である凝集砥粒(●で表示されている)が存在する。そこで、回転角0°で上面に凝集砥粒が存在することを記録する。次に、ソーワイヤを反時計方向に回転し、図4(B)の回転角度b°の時に、2個目の凝集砥粒が最大の高さで下面に観察されたので、回転角b°で下面に凝集砥粒が存在することを記録する。
同様にして、図4(C)〜(E)において、回転角c°、d°、e°の時に、それぞれ上面、下面、上面に凝集砥粒が最大の高さで確認されたことを記録する。なお、図4(F)では回転角度180°の時、下面に凝集砥粒が確認されたが、これは図4(A)で上面に確認された凝集砥粒と同じであるから、この時点で観察を終了する。
上記記録を総合すると、図5に示すような断面投影図が得られる。なお、図5においては、図4の(A)〜(E)の観察において確認された凝集砥粒を表示している。図5の断面投影図でも、凝集砥粒(●で表示されている)の外周部先端を結ぶ直線によって形成される多角形(ここでは五角形)は、ソーワイヤ表面(砥粒が固着されていない表面)と接触又は交差しないことが確認される。
従来の固定砥粒式ソーワイヤの製造においては、砥粒を外周面に均等に分散させることが前提とされており、凝集砥粒を積極的に形成させることは検討されてこなかった。図6に示す特許文献1のソーワイヤの断面図においても、超砥粒15は凝集せず、ソーワイヤ外周面に均等に分散されている。本発明のソーワイヤは、砥粒の一部を積極的に凝集させ、外周面に単体砥粒と凝集砥粒を一定割合で形成することにより、Siインゴット等の加工・切断に効果を発揮することを特徴としている。
第二メッキ層4のメッキ厚は、原料として使用する砥粒の平均粒径の0.2倍以上0.5倍以下であることが好ましい。0.2倍未満では単体砥粒5及び凝集砥粒6の脱落が多くなる。一方、0.5倍超では第二メッキの使用量が多くなって製造コストが上昇すると共に、製造時間も長くなる。また、凝集砥粒6の外周部7の第二メッキ層のメッキ厚も増すため、ソーワイヤの切断能力の低下を招く。
凝集砥粒6の外周部7は平坦化されており、外周部における第二メッキ層4が他の部分における第二メッキ層4のメッキ厚よりも小さくなっていることが好ましい。凝集砥粒6の外周部7が平坦化されると、後述する図9に示すような平坦部(平坦面)33が形成される。平坦部33を形成することにより、凝集砥粒6の芯線2への固着力をさらに高めると共に、凝集砥粒6を構成する砥粒の一部が露出しやすくなる。その結果、使用開始から早期に、ソーワイヤ1本来の切断能力を発揮しやすくなる。
凝集砥粒6の高さの平均値は、原料として使用する砥粒の平均粒径の1.3倍以上1.6倍以下であることが好ましい。1.3倍未満ではソーワイヤ1の切断力が充分ではなく、1.6倍超では凝集砥粒6の固着が不安定となる。
ここで、凝集砥粒の高さとは、砥粒が固着されていない部分の第二メッキ層表面から凝集砥粒の外周端までの距離であり、図7に示すh2である。そして、凝集砥粒の高さの平均値とは、長さ1mmあたりの凝集砥粒数における各々の凝集砥粒高さの算術平均値である。なお、図7に示すh1は、単体砥粒の高さである。
凝集砥粒の外周部を平坦化した場合、凝集砥粒の外周部における第二メッキ層の硬度は、ビッカース硬度は一般的にHV250以上であることが好ましい。HV250以上であれば、ソーワイヤ使用時に凝集砥粒の脱落防止を充分に図ることができるためである。平坦化処理した部分の第二メッキ層をこのような硬度とするためには、ニッケルメッキ層、クロムメッキ層、さらに真鍮メッキ層等を第二メッキ層の材質とすることが好ましいが、ダイヤモンド砥粒の固着保持及びダイヤモンド砥粒先端の早期表出のためには、ニッケルメッキ層とすることが好ましい。
<本発明のソーワイヤの製造方法>
次に、本発明のソーワイヤの製造方法について説明する。本発明のソーワイヤの製造方法の工程図を、図8に示す。また、各工程におけるソーワイヤ表面の状態を、図9に示す。
(砥粒付着メッキ工程)
まず、φ0.2〜1.0mmのワイヤ(芯線2)に無電解メッキ又は電気メッキをする。このメッキ層(第一メッキ層3、メッキ厚0.01〜0.1μm)に粒径40μm以下の砥粒32(人工ダイヤモンド、CBN(窒化ホウ素)、単結晶SiC等の硬質単結晶化合物又はそれらに金属被覆したもの)を付着させる。この工程では、ワイヤの走行によって脱落しない程度に、ワイヤに砥粒34が単体砥粒5として付着している。
(電気メッキ工程1)
次に、このワイヤに電気メッキにて金属メッキ(Niメッキ等)を施し、第二メッキ層4で砥粒32(単体砥粒5)を仮固着する。この段階では、後続する工程で遊離の砥粒32と衝突しても脱落しない程度に、ワイヤに単体砥粒5が仮固着している。
(電気メッキ工程2)
ここまでの製造工程では、ワイヤ外周面には専ら単体砥粒が仮固着されているだけであり、凝集砥粒は形成されていない。次に、砥粒32を含有するメッキ液中でワイヤを電気メッキすると、メッキ液中の遊離の砥粒32が、仮固着されている単体砥粒5に付着し、複数個の砥粒32が凝集して一体化する。なお、すべての単体砥粒5に遊離の砥粒32が付着するわけではない。
(電気メッキ工程3)
次に、砥粒を含有しない通常のメッキ液を用いて、ワイヤに仮固着されている凝集砥粒6を完全に固着するように、砥粒32の平均粒径の0.2倍以上0.5倍以下のメッキ厚となるように電気メッキを行う。なお、このとき、ワイヤに仮固着されている単体砥粒5も完全に固着される。
(先端処理工程)
最後に、ここまでの工程で製造されたソーワイヤに、ローラーによる圧延を行ったり、ダイスに通す等により、凝集砥粒6の外周端のメッキ層の少なくとも一部が除去され、平坦化される。その結果、凝集砥粒6の外周端に平坦部33が形成される。
なお、ソーワイヤをダイスに通すことによって平坦部33を形成する場合には、ダイス孔は芯線の線径(直径)+(凝集砥粒の高さ×2)程度とすることが好ましい。
[実施例1〜12]
芯線としてφ0.12mmの鋼線、砥粒として平均砥粒径20μmの人工ダイヤモンドを用いて、上述した製造方法によってソーワイヤ(固定砥粒式ソーワイヤ)を製造した。
(砥粒付着メッキ工程)
φ0.12mmの鋼線を、平均砥粒径20μmの人工ダイヤモンド(Niコート品)を3〜5g/L混合した銅無電解メッキ液(硫酸銅20g/L)中を通過させ、金属線表面に銅を析出するとともにダイヤモンド砥粒を付着させた。
(電気メッキ工程1)
スルファミン酸ニッケル(400g/L)、塩化ニッケル(5g/L)及び硼酸(20g/L)を含むメッキ液を用い、電流密度8〜15A/dm2という条件で、鋼線にニッケルメッキを施し、砥粒付着メッキ工程で鋼線に付着した砥粒を仮固着した。
(電気メッキ工程2)
電気メッキ工程1で用いたメッキ液に、平均砥粒径20μmの人工ダイヤモンドを3〜5g/L混合した。この砥粒を含有したメッキ液を700〜1300rpmの撹拌速度で撹拌しながら、電気メッキ工程1と同じ条件で鋼線をニッケルメッキした。
(電気メッキ工程3)
電気メッキ工程1と同じ条件で電気メッキ工程2後の鋼線をニッケルメッキし、固定砥粒式ソーワイヤを製造した。ニッケルメッキ層の最終的な平均厚は、電気メッキ工程1〜3におけるワイヤの送り速度を固定することにより、すべてのソーワイヤについて7μmに調整した。
(先端処理工程)
電気メッキ工程3後に得られたソーワイヤをローラダイスにより押圧加工(押し付け荷重2〜3kg)した。それによって、凝集砥粒の高さを29〜30μm程度の範囲内で均一化させ、凝集砥粒の外周部におけるメッキ層の硬度を、ビッカース硬度HV250以上とした。
[比較例1〜2]
電気メッキ工程2におけるメッキ液の撹拌速度を0又は500rpmとし、実施例と同様にして固定砥粒式ソーワイヤを製造した。なお、比較例1のソーワイヤは、凝集砥粒を有しない従来のソーワイヤに相当する。
上記製造方法によって得られた複数のソーワイヤについて、ソーワイヤの長さ1mmにおける総砥粒数及び凝集砥粒数を計測した。また、長さ2mmにおける断面投影図を作製し、凝集砥粒の外周部先端を結ぶ直線によって形成される図形を確認した。
また、切断加工機(ヤスナガ社、TW320型)を用いて、ソーワイヤ走行速度700m/分(平均値)、ソーワイヤに掛かる張力25Nという条件で、被加工物として単結晶Si(125mm×125mm×125mm)を切断した。
ソーワイヤの長さ1mmにおける総砥粒数、凝集砥粒数、比較例1のソーワイヤが被加工物を完全に切断を終えるまでに要した時間を「1」とした場合における他のワイヤの切断時間の相対値を、表1に示す。なお、表1には、電気メッキ工程2におけるメッキ液の撹拌速度(rpm)も記載した。
電気メッキ工程2において砥粒含有メッキ液の撹拌を行わなかった比較例1では、凝集砥粒が全く形成されなかった。また、比較例2でも凝集砥粒が全く認められなかったが、撹拌速度が大きいほど、総砥粒数及び凝集砥粒数が増加する傾向が認められた。
総砥粒数及び凝集砥粒数が多い実施例ほど、切断速度が大きい傾向が認められたが、実施例9及び実施例12では、切断速度の増加が限定的であった。一方、実施例1〜実施例3のソーワイヤでは切断速度が10%以上、実施例4〜実施例7のソーワイヤでは切断速度が20%以上増加した。このように、切断速度の向上は、実施例1〜実施例7において大きいことが確認された。
[実施例13〜24]
ニッケルメッキ層の最終的なメッキ厚を変化させること以外、実施例5と同様の操作を行い、ソーワイヤ長さ1mmにおける凝集砥粒数が9〜10個、長さ1mmにおける総砥粒数が37〜43個である複数のソーワイヤを製造した。なお、ニッケルメッキ層のメッキ厚は、電気メッキ工程3における線速と電流密度を変化させることによって2〜12μmに調整した。
上記製造方法によって得られた複数のソーワイヤについて、上述した切断試験と同じ条件で、同じ単結晶Siを切断した。そして、切断終了後、ソーワイヤ長さ1mmにおける凝集砥粒数を測定した。その結果を、表2に示す。なお、表2には、各ソーワイヤのニッケルメッキ平均厚(μm)、凝集砥粒の高さの平均値(μm)、凝集砥粒の外周部におけるニッケルメッキ層のビッカース硬度(HV)も記載した。
ニッケルメッキ平均厚が2μm(実施例22)の場合には、単結晶Si切断後の凝集砥粒数が3分の1程度にまで減少した。また、ニッケルメッキ平均厚が3μm(実施例23)の場合にも、単結晶Si切断後の凝集砥粒数が3割程度減少した。この凝集砥粒数の減少は、ニッケルメッキ層のメッキ厚が不足しているために、単結晶Si切断中にソーワイヤ表面から凝集砥粒が脱落したためと推察された。
ニッケルメッキ平均厚が4〜10μmの範囲内である実施例13〜実施例21については、単結晶Si切断後の凝集砥粒数の減少も少なく、かつ、使用(切断)開始初期においても優れた切断能力が発揮された。一方、ニッケルメッキ平均厚が12μm(実施例24)の場合には、単結晶Si切断後の凝集砥粒数の減少も認められなかったが、電気メッキ工程3に時間がかかるとともに、使用開始初期の切断能力が低い傾向が認められた。このため、ニッケルメッキ層の平均厚は、4μm以上10μm以下に調整することが好ましいと考察された。
本発明のソーワイヤは、Si等の比較的軟質な硬脆性材料を切断又は加工するための固定砥粒式ソーワイヤとして、半導体、材料化学、加工機器等の分野において有用である。
1:本発明のソーワイヤ
2:芯線
3:第一メッキ層(砥粒付着用メッキ層)
4:第二メッキ層
5:単体砥粒
6:凝集砥粒
7:凝集砥粒の外周部
8:特許文献1のソーワイヤの断面図
9:ワイヤ(芯線)
10:銅メッキ層
11:ニッケルメッキ層
12:超砥粒
13:超砥粒の内端
14:超砥粒の外端
21:供給側リール
22:ソーワイヤ
23:インゴット(被加工物)
24a,24b,24c:ローラー
25:使用済みのソーワイヤ
26:排出側リール
31:凝集砥粒の外周部の先端を結ぶ直線
32:粒径40μm以下の砥粒
33:平坦部(平坦面)

Claims (6)

  1. 内側に位置する砥粒付着用メッキ層である第一メッキ層と、
    外側に位置する砥粒埋込用メッキ層である第二メッキ層とによって芯線の外周面に、単体砥粒の平均粒径40μm以下の砥粒を固着した固定砥粒式ソーワイヤであって、
    ソーワイヤ表面に固着される砥粒には、単体砥粒と凝集砥粒とが混在しており、
    長さ1mmあたりの単体砥粒と凝集砥粒の合計数が10個以上58個以下であり、長さ1mmあたりの凝集砥粒数が3個以上17個以下であることを特徴とする固定砥粒式ソーワイヤ。
  2. 長さ2mmあたりの断面投影図において、凝集砥粒の外周端を結ぶ直線によって形成される多角形がソーワイヤ表面と接触又は交差しない、請求項に記載の固定砥粒式ソーワイヤ。
  3. 前記第一メッキ層と前記第二メッキ層とを合わせた全メッキ層の平均厚が、原料として使用する単体砥粒の平均粒径の0.2倍以上0.5倍以下である、請求項1又は2に記載の固定砥粒式ソーワイヤ。
  4. 凝集砥粒の高さの平均値が、原料として使用する単体砥粒の平均粒径の1.3倍以上1.6倍以下である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の固定砥粒式ソーワイヤ。
  5. 凝集砥粒の外周部が平坦化されており、外周部における前記第二メッキ層のメッキ厚が平坦化されていない部分における前記第二メッキ層の平均厚よりも小さくなっている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の固定砥粒式ソーワイヤ。
  6. 平坦化された凝集砥粒の外周部における第二メッキ層の硬度がビッカース硬度HV250以上である、請求項に記載の固定砥粒式ソーワイヤ。
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