JP5541871B2 - 熱安定化された共重合ポリアミド - Google Patents
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Description
そのため、PA6Tにポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミドや、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる非晶性芳香族ポリアミド(以下、PA6Iと略称する場合がある。)などを共重合させ、融点を220〜340℃程度にまで低融点化した6T系共重合ポリアミドとして用いられている。該6T系共重合ポリアミドは確かに、低吸水性、高耐熱性、高耐薬品性という特性を持ってはいるものの、流動性が低く成形性や成形品表面外観が不十分である可能性や、靭性、耐光性に劣る可能性がある。そのため、外装部品のような成形品の外観が要求されたり、日光などに曝される用途では改善が望まれている。また比重も大きく、軽量性の面でも改善が望まれている。
具体的には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合するような半脂環族ポリアミドの電気及び電子部材はハンダ耐熱性が向上すること(例えば、特許文献1)が開示されている。
また、ジカルボン酸単位の85〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位からなり、ジアミン単位が脂肪族ジアミンからなるポリアミドは耐光性、靭性、成形性、耐熱性などに優れること(例えば、特許文献2)が開示されている。
さらに、PA66とPA6CとPA6の三元共重合ポリアミドフィラメント技術(例えば、特許文献3)も開示されている。
また、特許文献3に開示された共重合ポリアミドは耐熱性の面で不十分である。
[1]
(a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂
肪族ジアミンとからなる単位と
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び
/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位からなる共重合ポリアミドで
あって、
前記(a)が17.0〜40.0モル%、前記(b)が50.0〜82.9モル%、前記(c)が0.1〜10.0モル%である共重合ポリアミド。
[2]
前記(a−2)と前記(b−2)が炭素数6の脂肪族ジアミンである、前記[1]に記
載の共重合ポリアミド。
[3]
前記(b−1)が脂肪族ジカルボン酸である、前記[1]又は[2]に記載の共重合ポ
リアミド。
[4]
前記(c)が、ε−カプロラクタム及び/又はラウロラクタムである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[5]
(a)が20.0〜40.0モル%、(b)が50.0〜79.9モル%、(c)が0
.1〜10.0モル%である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[6]
融点が270℃以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[7]
融点が280℃以上である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
(a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と;
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位;
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位。
そして、本実施の形態の共重合ポリアミドは、(a)が13.0〜40.0モル%、(b)が50.0〜86.9モル%、(c)が0.1〜10.0モル%で各単位が共重合しているものである。
本実施の形態に用いられる(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体、シス体の異性体が存在する。トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、種々の比率の前記異性体混合物として用いてもよい。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、トランス体/シス体比がモル比にして、50/50〜0/100であることが好ましい。より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス体/シス体モル比は、液体クロマトグラフィー(HPLC)やNMRにより求めることができる。
本実施の形態に用いられる(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を除く、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの炭素数5〜10の無置換又は環の炭素上が種々の置換基で置換された脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
(b−1)としては、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。より好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸である。さらに好ましくは、アジピン酸、セバシン酸であり、よりさらに好ましくは、アジピン酸である。
前記(b−1)としては、1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を含んでもかまわない。
本実施の形態に用いられる(a−2)や(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンは、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、3−メチル−1,5−ジアミノペンタンなどの脂肪族ジアミンが挙げられる。これら炭素数6〜8の脂肪族ジアミンの中でも、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンを用いるのが好ましい。より好ましくは、ヘキサメチレンジアミンである。
前記(a−2)及び(b−2)としては、1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミンなどの3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもかまわない。
また、(a−2)と(b−2)は同じでも異なっていてもよい。
(b−2)の添加量は、(b−1)と同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の脂肪族ジアミン成分の逃散も考慮して、具体的には、(b−1)のモル量1.00に対して、(b−2)のモル量は、0.90〜1.20が好ましい。より好ましくは、0.95〜1.10であり、さらに好ましくは、0.98〜1.05であり、よりさらに好ましくは、1.00〜1.03である。
本実施の形態に用いられる(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味している。
炭素数が4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いるのが好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
ラクタムとしては、例えばブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)などを挙げることができる。ε−カプロラクタム、ラウロラクタムなどが好ましく、より好ましくは、ε−カプロラクタムである。
アミノカルボン酸としては、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸などを挙げることができる。アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げることができる。
本実施の形態において、これらラクタム及び/又はアミノカルボン酸を1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
13.0モル%以上であれば、耐熱性などに優れる共重合ポリアミドとすることができる。40.0モル%以下であることにより、流動性がよく成形性に優れる共重合ポリアミドとすることができる。
(a)単位の割合は、13.0モル%以上であれば、特に限定されるものではないが、15.0モル%以上であることが好ましく、17.0モル%以上であることがより好ましく、18.0モル%以上であることがさらに好ましく、20.0モル%以上であることがよりさらに好ましい。
(a)単位の割合は、40.0モル%以下であれば、特に限定されるものではないが、39.0モル%以下であることが好ましく、38.0モル%以下であることがより好ましく、30.0モル%以下であることがさらに好ましく、26.0モル%以下であることがよりさらに好ましい。
(b)単位の割合は、100−[(a)単位の割合+(c)単位の割合]モル%として求めることができる。
さらに、(b)単位の割合の好ましい範囲として、(b)単位の割合の下限は、50モル%であれば、特に限定されるものではないが、100−[(a)単位の割合の上限値+(c)単位の割合の上限値]モル%として求めることができ、(b)単位の割合の上限は、86.9モル%であれば特に限定されるものではないが、100−[(a)単位の割合の下限値+(c)単位の割合の下限値]モル%として求めることができる。
(c)単位の割合は、0.1モル%以上であれば、特に限定されるものではないが、0.5モル%以上であることが好ましく、1.0モル%以上であることがより好ましく、1.5モル%以上であることがさらに好ましく、2.0モル%以上であることがよりさらに好ましい。
(c)単位の割合は、10.0モル%以下であれば、特に限定されるものではないが、9.5モル%以下であることが好ましく、9.0モル%以下であることがより好ましく、8.5モル%以下であることがさらに好ましく、8.0モル%以下であることがよりさらに好ましい。
また、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
熱溶融法の連続式も当業者にはよく知られている。より具体的には水を溶媒としてポリアミド形成成分を含有する約40〜60質量%の溶液は、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱され、次いで濃縮層/反応器に移され、約0.1〜0.5MPaの圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮される。次いで約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出され、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後必要に応じて減圧することにより重合が完成する。次いで、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンに水を加えた(a)単位の均一の塩水溶液と、(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンに水を加えた(b)単位の均一の塩水溶液とを混合する。これに(c)ラクタム成分及び/又はアミノカルボン酸成分を固体又は水溶液の状態で添加した原料((a)単位、(b)単位、(c)単位となる成分を含む)の均一水溶液(濃度は40〜70質量%)を調製する。必要に応じて、触媒、又は末端封止剤などの添加剤を添加し、これをオートクレーブなどの耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、110〜180℃の温度条件下(ゲージ圧0.1〜0.6MPa)で水溶液濃度が65〜90質量%になるまで水蒸気を徐々に抜いて濃縮する。続いて、加熱を続け、圧力をゲージ圧で1.5〜5.0MPaに昇圧し、さらに水蒸気を徐々に抜いて、反応させながら融点近くになるまで内部温度を上昇させる。その後、1〜2時間かけて徐々に降圧させ、ゲージ圧を0MPaにする。そのまま取り出すことも可能だが、その状態のまま時間をかけて反応を進めたり、減圧にして重合反応を加速したりすることにより所望の分子量に向上させることができる。最終的には、溶融状態のまま、紡口から窒素などで圧力をかけて、ストランド状で取り出し、ペレタイザーなどでカットしペレット状で7,000〜100,000の数平均分子量(Mn)を有する共重合ポリアミドを得る。
数平均分子量(Mn)は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、分子量標準試料としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
共重合ポリアミドの数平均分子量(Mn)が7,000以上であれば、共重合ポリアミドの靱性を発現できる傾向があり、また100,000以下であれば、共重合ポリアミドの良好な成形性を保つことができる傾向がある。
融点の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond−DSCなどが挙げられる。
融点の測定方法として、具体的には、サンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、サンプルの融点に応じて300〜400℃まで昇温して、得られた融解曲線のピーク温度を融点とする。
融点が、265℃以上であれば、耐熱性に優れる共重合ポリアミドとすることができ、340℃以下であれば、押出、成形等の溶融加工での熱分解などの心配が少ない。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond−DSCなどが挙げられる。
ガラス転移温度の測定方法として、具体的には、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させ、溶融状態のサンプルを液体窒素中に急冷し、固化させ、測定サンプルとする。サンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜300℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定する。
また、ガラス転移温度の測定装置として、粘弾性測定装置(レオメトリック社製、RDA−II)を用いて、共重合ポリアミドの成形片をサンプルとし、固体状態での動的粘弾性測定を行い、ガラス転移温度を測定することもできる。
ガラス転移温度が50℃以上であれば、共重合ポリアミドの耐熱性や耐薬品性の低下が起き難く、吸水性が増すことも少ない。また、ガラス転移温度が150℃以下であれば、外観のよい成形品を得ることができる。
本実施の形態の共重合ポリアミドは、前記添加剤などとともに、溶融混練などの公知の方法により、混練することができる。溶融混練法を用いる場合には、溶融混練を行う装置として、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどを用いればよい。中でも、減圧装置、及びサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が好ましい。溶融混練の方法は、全成分を同時に混練してもよく、あらかじめ予備混練したブレンド物を用いて混練してもよく、さらに押出機の途中から逐次、各成分をフィードし、混練を行ってもよい。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
(a−1)
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA) イーストマンケミカル社製 商品名 1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(b−1)
(2)アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
(3)1,3−シクロヘキサンジカルボン酸(1,3−CHDA) イソフタル酸から誘導した。
(a−2)及び(b−2)
(4)ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
(5)オクタメチレンジアミン(C8DA) 東京化成工業製 商品名 1,8−ジアミノオクタン
(c)
(6)ε−カプロラクタム(CPL) 和光純薬工業製 商品名 ε−カプロラクタム
(7)イソフタル酸(IPA) 和光純薬工業製 商品名 イソフタル酸
(8)テレフタル酸(TPA) 和光純薬工業製 商品名 テレフタル酸
(a−2)及び(b−2)の対照
(9)テトラメチレンジアミン(TMD) 和光純薬工業製 商品名 1,4−ブタンジアミン
(10)ドデカメチレンジアミン(C12DA) 東京化成工業製 商品名 1,12−ジアミノドデカン
(1)融点(℃)
JISK7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、Tm1+40℃の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)のピーク温度を融点(Tm(℃))とした。
RIGAKU社製示差熱天秤(TG−DTA)Thermo Plus TG8120を用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度100℃/minで320℃まで昇温し、320℃でそのまま60min保持した。ここでのガス化量は、320℃に到達した時の質量に対しての熱減量の割合(質量%)とした。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を成形後の絶乾状態で密封保存したもの(dry as mold)を用意し、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に120時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率とした。
射出成形機を用いて評価した。装置は日精樹脂(株)製PS40EにASTM引張試験(ASTM D638)用のダンベル試験片(3mm厚)の金型(金型温度=90℃)を取り付けて、成形を行った時のシリンダーノズルからのガス化による樹脂の噴出し(ハナタレ)によって評価した。そのときのシリンダー温度は、ポリアミドの融点より15℃高い温度に設定した。また、成形サイクル時間は、射出時間=10秒、冷却時間=15秒、トータル=約26秒で成形を行った。
成形時ガスの評価基準
◎:成形中のシリンダーノズルからのガス化による樹脂の噴出しはほとんど無し。
○:成形中のシリンダーノズルからのガス化による樹脂の噴出しは少量。自動成形可能。
△:成形中のシリンダーノズルからのガス化による樹脂の噴出しは少し多いが、何とか自動成形可能。
×:成形中のシリンダーノズルからのガス化による樹脂の噴出しが多く、時々その樹脂を取り除く必要がある。
それぞれの組成物のペレットをオーブン中で20分間130℃加熱(空気雰囲気下)を行い、その後の変色を観察した。
耐熱変色性の評価基準(目視)
○:ペレットの熱変色が小さい。
△:ペレットの熱変色が少し大きい。
×:ペレットの熱変色が非常に大きい。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を用いて、ASTM D638に準じて行った。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)に、波長254nmの紫外線光(UV光)を1mm離れた距離で24時間照射し、UV照射前後の引張強度保持率(%)により評価した。
PA6C/66/6=21.1/76.6/2.3(モル比)
トランス体/シス体のモル比が25/75である1,4−CHDA206.0g(1.196mol)、ADA635.0g(4.345mol)、HMD644.0g(5.541mol)、CPL15.0g(0.133mol)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50%均一水溶液を作った。したがって、該溶液は、(a)単位((a−1)として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)と(a−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD))が21.1モル%、(b)単位((b−1)としてアジピン酸(ADA)と(b−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD))が76.6モル%、(c)単位((c)としてε−カプロラクタム(CPL))が2.3モル%である原料モノマーの50%均一水溶液であった。
この水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、モノマーが析出しないように50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。次に温度を約50℃から約160℃まで昇温した。この際槽内の圧力をゲージ圧にして約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約75%まで濃縮した。その後、温度を約220℃に昇温して、圧力は約18kg/cm2に保つように水を除去しながら加熱を続けた。その後、温度が275℃まで上昇してから、加熱は続けながら最後に90分ほどかけながら圧力を大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)までゆっくり降圧した。温度を最終的に約300℃まで昇温した。その後、窒素で加圧し下部ノズルからストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドを得た。得られた共重合ポリアミドの評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=23.0/74.7/2.3(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=25.1/68.0/6.9(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=37.7/60.0/2.3(モル比)
実施例1と同様、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を調製し、この水溶液を内容積6Lのオートクレーブに仕込み、モノマーが析出しないように50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。次に温度を約50℃から約160℃まで昇温した。この際槽内の圧力をゲージ圧にして約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約75%まで濃縮した。その後、温度を約250℃に昇温して、圧力は約35kg/cm2に保つように水を除去しながら加熱を続けた。その後、温度が290℃まで上昇してから、加熱は続けながら最後に90分ほどかけながら圧力を大気圧までゆっくり降圧した。温度を最終的に約320℃まで昇温した。その後、窒素で加圧し下部ノズルからストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドを得た。得られた共重合ポリアミドの評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=38.0/55.0/7.0(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=38.0/53.0/9.0(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/6C’/6=38.0/53.0/9.0(モル比)
(1,3−CHDAはC’と略)
実施例1と同様、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を調製し、この水溶液を内容積6Lのオートクレーブに仕込み、モノマーが析出しないように50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。次に温度を約50℃から約160℃まで昇温した。この際槽内の圧力をゲージ圧にして約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約75%まで濃縮した。その後、温度を約250℃に昇温して、圧力は約35kg/cm2に保つように水を除去しながら加熱を続けた。その後、温度が305℃まで上昇してから、加熱は続けながら最後に90分ほどかけながら圧力を大気圧までゆっくり降圧した。温度を最終的に約330℃まで昇温した。その後、窒素で加圧し下部ノズルからストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドを得た。得られた共重合ポリアミドの評価結果を表1に示す。
PA8C/66/6=40.0/59.0/1.0(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=17.8/75.4/6.8(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いたこと、並びに、反応後期で温度が265℃まで上昇したところで降圧を始めて、最終的に約285℃まで昇温したこと以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=16.8/76.4/6.8(モル比)
実施例9において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマー
の50%均一水溶液を用いた以外は、実施例9に記載した方法でポリアミドの重合を行っ
た。評価結果を表1に示す。
PA6C/66=18.5/81.5(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66=23.3/76.7(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66=36.0/64.0(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=11.0/84.0/5.0(モル比)
実施例9において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例9に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=15.7/74.2/10.1(モル比)
実施例9において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例9に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=17.8/70.0/12.2(モル比)
実施例9において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例9に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=25.0/62.8/12.2(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=38.0/49.8/12.2(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA4C/46/6=17.8/75.4/6.8(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6I/6=40.0/51.0/9.0(モル比)
実施例1において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6T/6=40.0/51.0/9.0(モル比)
実施例4において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例4に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA12C/66/6=40.0/59.0/1.0(モル比)
実施例9において、上記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液を用いた以外は、実施例9に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
)の各単位を共重合させた実施例1−9、参考例10の共重合ポリアミドは、耐熱性、ガス化率、吸水率、成形時ガス、耐熱変色性、引張強度、引張伸度、UV照射後の強度保持率の全てにおいて特に優れた特性を有するものであった。
これに対して、(c)単位のモル%が、上記特定の範囲外にある比較例1−3及び比較
例5−8の共重合ポリアミドは、高温でのガスの発生が多い。また、成形時にはガス化の
ため発泡してしまい成形性において十分満足できるものではなかった。また、該比較例の
共重合ポリアミドは、耐熱性が上昇したものがみられるものの、熱変色が大きく熱安定性
において十分満足できるものではなかった。
また、(a)単位のモル%が上記特定の範囲外にある比較例4の共重合ポリアミドは、
耐熱性向上の点で、実施例1−9、参考例10の共重合ポリアミドと比較して十分満足できるものではなく、高い耐熱性が要求される用途に用いるのに十分な耐熱性を有するものではなかった。一方、実施例1−9、参考例10の共重合ポリアミドは、融点の向上による耐熱性の向上が図れるだけではなく、ガス化率及び吸水率ともに低減し、更に強度の点でも向上されたものであった。また、成形時のガス化量の低下により、成形性に優れるものであった。
さらに、(b−1)単位として脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸では
ない、芳香族ジカルボン酸を用いた比較例10及び11の共重合ポリアミドは、耐熱性は
向上しているものの、熱変色が非常に大きく、熱安定性において十分満足できるものでは
なく、また、UV照射後の強度保持率が極端に低下するため耐光性、耐候性に十分満足で
きるものではなかった。
またさらに、(a−2)及び(b−2)単位として炭素数6未満の脂肪族ジアミンを用
いた比較例9の共重合ポリアミドは、吸水率が高すぎるものであり、炭素数8より大きい
脂肪族ジアミンを用いた比較例12の共重合ポリアミドは、耐熱性、強度、耐熱変色の点
で十分満足できるものではなかった。
Claims (7)
- (a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂
肪族ジアミンとからなる単位と
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び
/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位からなる共重合ポリアミドで
あって、
前記(a)が17.0〜40.0モル%、前記(b)が50.0〜82.9モル%、前記(c)が0.1〜10.0モル%である共重合ポリアミド。 - 前記(a−2)と前記(b−2)が炭素数6の脂肪族ジアミンである、請求項1に記載
の共重合ポリアミド。 - 前記(b−1)が脂肪族ジカルボン酸である、請求項1又は2に記載の共重合ポリアミ
ド。 - 前記(c)が、ε−カプロラクタム及び/又はラウロラクタムである、請求項1〜3の
いずれか一項に記載の共重合ポリアミド。 - (a)が20.0〜40.0モル%、(b)が50.0〜79.9モル%、(c)が0
.1〜10.0モル%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。 - 融点が270℃以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
- 融点が280℃以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
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