JP5438441B2 - 積層鉄心の製造方法及びこれを用いて製造した積層鉄心 - Google Patents
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Description
そこで、全ての打ち抜き工程を分割して、1つの金型に配分される工程数を少なくして、金型やこれを装着するプレス機械を小さくする方法が考えられる。具体的には、図6(B)に示すように、打ち抜きの工程1〜6を、工程1、2と、工程3、4と、工程5、6の3つの工程に分割し、これら分割された少数工程の打ち抜きを、金型93〜95でそれぞれ行う。
ここで、打ち抜きラインの長さを短くするため、各金型93〜95を1台のプレス機械に載せ換えて、最終形状まで打ち抜く方法もあるが、金型の交換等による取り替え作業が頻繁に発生するため手間がかかり、作業性や生産性が著しく低下していた。
1つの前記セグメント鉄心片が打ち抜かれる前記条材の打ち抜き領域内には、該セグメント鉄心片のヨーク片部の外周輪郭の一部分を形成する外側輪郭部と前記ヨーク片部の内周輪郭及び磁極片部の輪郭の一部分を形成する内側輪郭部を有する第1の打ち抜く部分が、該セグメント鉄心片の周方向に渡って複数存在し、前記外側輪郭部と前記内側輪郭部とを同時に打ち抜く第1の金型を、前記セグメント鉄心片の周方向に順次移動させて、前記1つのセグメントの前記ヨーク片部の外周輪郭と前記ヨーク片部の内周輪郭及び前記磁極片部の輪郭を打ち抜く第1工程と
前記条材の送り方向に隣り合う前記セグメント鉄心片の間に位置し、該セグメント鉄心片を形成する側方輪郭部を有する第2の打ち抜く部分を、該第2の打ち抜く部分に対応した形状の第2の金型で打ち抜き前記セグメント鉄心片を形成する第2工程とを有する。
従って、金型やこれを取り付けるプレス機械の小型化が図れ、更に、プレスに高い推力を必要としないため、積層鉄心の製造装置にかかるコストを低減できる。
また、第1の打ち抜く部分は、セグメント鉄心片を形成する外側輪郭部と内側輪郭部を有するので、セグメント鉄心片の内側輪郭を形成する工程と外側輪郭を形成する工程とを同時に実施でき、製品製造までの工程数を少なくできて、生産性の向上が図れる。
また、金型やこれを取り付けるプレス機械の小型化により、打ち抜きラインの長さを短くできるため、プレス機械への金型の取り替えを行う必要がなく、作業性や生産性も向上できる。なお、プレス機械への金型の取り替えを行う場合は、金型の小型化により、取り替え作業を容易にできる。
更に、第1の金型による打ち抜きを、その隣り合う打ち抜き位置が周方向に隙間を有するように行い、しかも、隣り合う打ち抜き位置を連続させる開口部を形成する場合、確実に打ち抜き残しをなくすことができる。
また、重複した際に発生するバリやダレ等の問題もなく、製品精度が向上する。
まず、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を用いて製造した積層鉄心について説明する。
積層鉄心は、固定子積層鉄心(ステータ)であり、図1に示すように、厚みが、例えば、0.15〜0.5mm程度の電磁鋼板(条材の一例)10から、複数の円弧状のセグメント鉄心片11を打ち抜き、セグメント鉄心片11を環状に積層して構成されるものである。ここで、複数のセグメント鉄心片11の積層方法には、かしめ、溶接、及び接着のいずれか1を適用することも、また、いずれか2以上を併用することもできる。
なお、セグメント鉄心片11の形成に際しては、パイロット孔形成用金型15、周方向輪郭形成用金型(第1の金型の一例)16、かしめ部形成用金型17、及び側部輪郭形成用金型(第2の金型の一例)18を使用している。
また、隣り合うセグメント鉄心片11の間には、セグメント鉄心片11を外周領域で結合する連結部19が設けられているが、複数のセグメント鉄心片11を、連結部19で連続させることなく、1枚ごとに分離してもよい。
まず、パイロット孔20を形成する準備工程について説明する。
パイロット孔20は、電磁鋼板10を搬送しながら、パイロット孔形成用金型15を用いて、電磁鋼板10の幅方向両側に、その送り方向に所定ピッチで形成する。なお、図1の斜線部は、パイロット孔形成用金型15によるパイロット孔20の形成位置を示している。
このパイロット孔形成用金型15は、電磁鋼板10の幅方向両側に配置される2つのパイロット孔20を1対として形成するものである。このように、パイロット孔形成用金型15は、電磁鋼板10の送り方向の幅が、1つのパイロット孔20を形成できる幅を有すればよいため、小型化が図れる。
1つのセグメント鉄心片11が打ち抜かれる電磁鋼板10の打ち抜き領域21(電磁鋼板10の送り方向に隣り合うパイロット孔20で囲まれた領域)内には、セグメント鉄心片11を形成するために打ち抜かれる外側輪郭部22と内側輪郭部23を有する同一形状の第1の打ち抜き片部(第1の打ち抜く部分)24が、製造する固定子積層鉄心からみて、セグメント鉄心片11の周方向に渡って複数(ここでは5つ)存在している。この外側輪郭部22は、細長状で、形成するセグメント鉄心片11のヨーク片部12の外周輪郭を形成するための一部分である。また、内側輪郭部23は、逆T字状で、形成するセグメント鉄心片11のヨーク片部12の内周輪郭及び磁極片部13の輪郭を形成するための一部分である。
この第1の打ち抜き片部24は、周方向輪郭形成用金型16により打ち抜く部分を意味するため、周方向輪郭形成用金型16での打ち抜き後は電磁鋼板10中に存在しないが、説明の便宜上、必要に応じて二点鎖線で図示している(以下、同様)。
ここで、打ち抜きには、1回の打ち抜きで1つのスロット14が形成される周方向輪郭形成用金型16を用いたが、形成するセグメント鉄心片11の大きさ等により、1回の打ち抜きで複数(2つ又は3つ)のスロットを形成できる周方向輪郭形成用金型を用いてもよい。この場合、内側輪郭部の周方向の打ち抜き幅に応じて、外側輪郭部の周方向の打ち抜き幅も調整する。
まず、周方向輪郭形成用金型16により、図2(A)に示すように、第1の打ち抜き片部24を打ち抜く。そして、周方向輪郭形成用金型16を、図1に示すように、形成するセグメント鉄心片11の周方向に所定角度移動させた後、再び第1の打ち抜き片部24を打ち抜く。
このとき、図2(B)に示すように、隣り合う第1の打ち抜き片部24の外側輪郭部22の打ち抜き位置の端部に重複領域25が、また内側輪郭部23の打ち抜き位置の端部に重複領域26が、それぞれ形成されるように打ち抜きを行う。なお、各重複領域25、26の周方向の重複幅は、形成するセグメント鉄心片の大きさに応じて、例えば、0.5〜3mm程度である。
このように、上記方法を繰り返し(ここでは、5回)行うことで、形成するセグメント鉄心片11のヨーク片部12の外周輪郭と、ヨーク片部12の内周輪郭及び磁極片部13の輪郭を、それぞれ形成できる。
なお、上記した周方向輪郭形成用金型16による打ち抜きは、端部から順次行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、周方向中央部から行ってもよい(以下、同様)。
この周方向輪郭形成用金型16による打ち抜きは、その隣り合う打ち抜き位置が周方向に隙間を有するように行ってもよいが、この場合は、図4(A)〜(C)に示す第1工程を行う前に、図3(A)〜(C)に示すように、隣り合う打ち抜き位置を連続させる開口部27、28を形成する予備工程を行う。なお、図4(A)〜(C)の斜線部は、周方向輪郭形成用金型16により打ち抜く第1の打ち抜き片部24の位置を示している。以下、詳しく説明する。
図3(A)に示すように、1つの開口部形成用金型(図示しない)で、形成するセグメント鉄心片11のヨーク片部12の外周輪郭部に開口部27を、磁極片部13の先端輪郭部に開口部28を、それぞれ形成する。
そして、開口部形成用金型を、形成するセグメント鉄心片11の周方向にずらしながら、図3(B)、(C)に示すように、各開口部27、28を所定ピッチで形成する。
このように、開口部27、28を形成した後、第1工程を行う。
まず、周方向輪郭形成用金型16により、図4(A)に示すように、第1の打ち抜き片部24を打ち抜く。このとき、第1の打ち抜き片部24の外側輪郭部22の打ち抜き位置の周方向端部と開口部27に重複領域29が、また内側輪郭部23の打ち抜き位置の端部(半径方向内側部分の周方向端部)と開口部28に重複領域30が、それぞれ形成されるように打ち抜きを行う。
このように、上記方法を繰り返し行うことで、形成するセグメント鉄心片11のヨーク片部12の外周輪郭と、ヨーク片部12の内周輪郭及び磁極片部13の輪郭を、それぞれ形成できる。
上記した予備工程は、第1工程の後に行ってもよい。これは、外側輪郭部と内側輪郭部を先に打ち抜き、その後、開口部を打ち抜いても、形成されるセグメント鉄心片の形状は同じだからである。
しかし、より確実に重複領域を形成するには、開口部の径方向の内幅を、外側輪郭部と内側輪郭部の径方向の幅より大きくすることが好ましい。
この場合、図5(A)に示すように、形成するセグメント鉄心片32a内に開口部の一部が形成される。これにより、各セグメント鉄心片32aのヨーク片部の外周部と、磁極片部の先端部には、開口部の形成により凹部32b、32cが形成されるため、このセグメント鉄心片32aを積層して積層鉄心を製造すると、積層鉄心の積層方向にわたって、その外周部と内周部の周方向に切欠きが設けられる。なお、開口部の径方向の内幅を、外側輪郭部と内側輪郭部の径方向の幅より小さくした場合は、上記した凹部の部分に、図5(B)に示す凸部32d、32eがそれぞれ形成される。この凸部32d、32eは、必要に応じて除去する。
かしめ部形成用金型17は、電磁鋼板10の送り方向に隣り合うセグメント鉄心片11に近接配置される2つのかしめ部33を、1対として形成するものである。なお、図1の斜線部は、かしめ部形成用金型17によるかしめ部33の形成位置を示している。
1つのセグメント鉄心片11に形成するかしめ部33は、セグメント鉄心片11の周方向両側に1つずつ形成されるため、このかしめ部33間の距離よりも、隣り合うセグメント鉄心片11の一方側と他方側に配置されるかしめ部33間の距離の方が短い。
このため、かしめ部形成用金型17の小型化が図れる。
このかしめ部形成工程は、前記第1工程とは別に設けることなく、第1工程に入れてもよい。このとき、かしめ部の形成を周方向輪郭形成用金型で行ってもよく、また、周方向輪郭形成用金型とは別途に、かしめ部の形成のための金型を設け、この金型を回動させて、1箇所ずつ形成してもよい。
電磁鋼板10の送り方向に隣り合うセグメント鉄心片11の間には、セグメント鉄心片11を形成する側方輪郭部を有する第2の打ち抜き片部(第2の打ち抜く部分)34が存在する。この第2の打ち抜き片部34は、隣り合うセグメント鉄心片11の外側輪郭部22の打ち抜き位置と連続して、各セグメント鉄心片11の外周端部輪郭(外周端部形状)を形成する外片部35と、隣り合うセグメント鉄心片11の内側輪郭部23の打ち抜き位置と連続して、各セグメント鉄心片11の側部輪郭(側部形状)を形成する内片部36とを有している。なお、外片部35と内片部36の間には、連結部19が形成されている。
ここで、側部輪郭形成用金型18は、外片部35に対応した形状の第4の金型と、内片部36に対応した形状の第3の金型を有しており、第3の金型と第4の金型との間には、隙間を設けているので、連結部19が形成される。
なお、各セグメント鉄心片を1枚ごとに分離する場合は、第3の金型と第4の金型とを当接させ、隙間をなくせばよいが、側部輪郭形成用金型を、第3の金型と第4の金型に分離することなく、一体としてもよい。
なお、1枚ごとに分離されたセグメント鉄心片を打ち抜き形成した場合は、セグメント鉄心片を環状に積層して、積層鉄心を製造する。
以上のことから、本発明の積層鉄心の製造方法を使用することで、製造装置にかかるコストを低減でき、作業性や生産性を向上できる。
また、前記実施の形態においては、積層鉄心が固定子積層鉄心の場合について説明したが、回転子積層鉄心(ローターともいう)でも当然適用できる。
そして、前記実施の形態においては、開口部を形成する予備工程を、第1工程の前に行った場合について説明したが、第1工程の後(第1工程とかしめ部形成工程との間、又はかしめ部形成工程と第2工程との間)に行ってもよい。
Claims (5)
- 条材から複数の円弧状のセグメント鉄心片を打ち抜き、該セグメント鉄心片を環状に積層する積層鉄心の製造方法において、
1つの前記セグメント鉄心片が打ち抜かれる前記条材の打ち抜き領域内には、該セグメント鉄心片のヨーク片部の外周輪郭の一部分を形成する外側輪郭部と前記ヨーク片部の内周輪郭及び磁極片部の輪郭の一部分を形成する内側輪郭部を有する第1の打ち抜く部分が、該セグメント鉄心片の周方向に渡って複数存在し、前記外側輪郭部と前記内側輪郭部とを同時に打ち抜く第1の金型を、前記セグメント鉄心片の周方向に順次移動させて、前記1つのセグメントの前記ヨーク片部の外周輪郭と前記ヨーク片部の内周輪郭及び前記磁極片部の輪郭を打ち抜く第1工程と
前記条材の送り方向に隣り合う前記セグメント鉄心片の間に位置し、該セグメント鉄心片を形成する側方輪郭部を有する第2の打ち抜く部分を、該第2の打ち抜く部分に対応した形状の第2の金型で打ち抜き前記セグメント鉄心片を形成する第2工程とを有する積層鉄心の製造方法。 - 請求項1記載の積層鉄心の製造方法において、前記第2工程で使用する前記第2の金型は、前記セグメント鉄心片の側部形状を形成する第3の金型と、前記セグメント鉄心片の外周端部形状を形成する第4の金型とに分割されていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- 請求項1又は2記載の積層鉄心の製造方法において、前記第1工程での前記第1の金型による打ち抜きは、その打ち抜き位置の周方向端部を重複させながら行うことを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- 請求項1又は2記載の積層鉄心の製造方法において、前記第1工程での前記第1の金型による打ち抜きは、その隣り合う打ち抜き位置が周方向に隙間を有するように行われ、しかも、前記第1工程の前又は後に、隣り合う前記打ち抜き位置を連続させる開口部を形成する予備工程を行うことを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- 請求項4記載の積層鉄心の製造方法で製造した積層鉄心であって、前記ヨーク片部の外周部と前記磁極片部の先端部には、前記開口部により形成された凹部又は凸部が設けられていることを特徴とする積層鉄心。
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