JP5432613B2 - 貼付剤および貼付製剤 - Google Patents
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Description
そのような粘着物性に取り組んだ貼付剤として、例えば特許文献1および特許文献2には、粘着剤層を、官能基を有するゴム成分を架橋させたものとする貼付剤が開示されている。しかし、特許文献1の実施例4には、このような貼付剤について、試験片の周辺部にて3mm以内の粘着剤の滲み出しが見られたことが記載されていることから、これらの貼付剤は凝集力が不十分であることが示唆される。さらに、これらの文献における貼付剤は、ゴム成分中の官能基の存在によって、貼付剤の品質の安定性が満足いくものではない可能性がある。このように、従来の貼付剤では、上記の要求を十分に満たすものは得られていない。
(1)支持体、および当該支持体の少なくとも片面上に設けられた粘着剤層を含む貼付剤であって、当該粘着剤層が、式I:
の構造部分を有するエラストマーを含有する、貼付剤。
(2)上記有機基が、それぞれ置換されてもよい、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選ばれる、(1)記載の貼付剤。
(3)上記有機基が、フェニル、ベンゾイルおよびベンゾイルオキシからなる群から少なくとも1つ選ばれる有機基である、(1)または(2)記載の貼付剤。
(4)上記粘着剤層が、有機液状成分をさらに含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の貼付剤。
(5)上記粘着剤層が、粘着付与剤をさらに含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の貼付剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の貼付剤の粘着剤層に薬物をさらに含有してなる、貼付製剤。
また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量は特に限定されないが、通常5〜30g/m2、好ましくは6〜15g/m2である。
式Iに示すように、粘着剤層に含有するエラストマーは、不飽和炭化水素鎖を有する2以上の基本ポリマー間を、炭素−炭素単結合で架橋した構造としたものである。官能基を介さずに炭素−炭素単結合で架橋される構造としたので、貼付剤の製造中および保管中の品質を長期間安定に維持することができる。
上記「有機基」は、例えば、それぞれ、その一部が他の置換基で置換されてもよいアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシルおよびアシルオキシからなる群より選ばれる。特に、これらのうち、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノなどの官能基で置換されていないものが、粘着剤層の品質の安定化の観点から好ましい。
また、「置換されてもよいアルコキシ」としては、例えば、上記C1−6アルキルが酸素原子と結合してなるC1−6アルコキシなどが挙げられる。
また、「置換されてもよいアリール」としては、例えば、フェニル、ナフチル、クミルなどのC6−10アリールが挙げられる。
また、「置換されてもよいアリールオキシ」としては、例えば、フェニルオキシ、クミルオキシなどの上記C6−10アリールが酸素原子と結合してなるC6−10アリールオキシが挙げられる。
また、「置換されてもよいアシル」としては、例えば、ベンゾイル、イソブチリル、ラウロイル、2−エチルヘキシルモノカーボネート、3−メチルベンゾイルなどのC1−6アルキル−カルボニル、C6−10アリール−カルボニルなどが挙げられる。
また、「置換されてもよいアシルオキシ」としては、例えば、ベンゾイルオキシなどの上記「アシル」が酸素原子と結合してなるC1−6アルキル−カルボニルオキシ、C6−10アリール−カルボニルオキシなどが挙げられる。
―CH2−CH=CH−CH2−
分析条件
GPC装置:HLC8120(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgelGMH−H(S)(東ソー株式会社製)
標準:ポリスチレン
溶離液:テトラヒドロフラン 流速:0.5ml/min
測定温度:40℃
検出手段:示差屈折計
また、基本ポリマーとしてスチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SB)またはスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)を用いると、式Iの構造部分に、スチレン部分を連結させたエラストマーが得られ、強い凝集力を粘着剤層に付与することができる。
粘着付与剤の含有量は、60重量部の基本ポリマーに対して、好ましくは10〜180重量部、より好ましくは30〜90重量部である。粘着付与剤の量が10重量部未満であるとタック及び凝集力が乏しい場合があり、他方180重量部を超えると粘着剤層が柔らかくなりすぎ、べたつく傾向にある。
薬物の含有量は、その経皮吸収用薬物の効果を満たし、粘着剤の接着特性を損なわない範囲であれば特に限定されないが、60重量部の基本ポリマーに対して例えば0.5〜50重量部である。
〔1〕(i)不飽和炭化水素鎖を含む基本ポリマーと、必要により粘着付与剤、有機液状成分、薬物等を、溶媒に溶解または分散させ、さらに有機過酸化物を添加し混合攪拌する工程;(ii)得られた粘着剤溶液または分散液を支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥して粘着剤層を支持体の表面に形成する工程;(iii)次いで、剥離ライナーを粘着剤層上に設ける工程を含む方法(いわゆる直写法)。
〔2〕(i)上記の粘着剤溶液または分散液を保護用の剥離ライナーの少なくとも片面に塗布する工程;(ii)乾燥して粘着剤層を剥離ライナーの表面に形成する工程;(iii)次いで支持体を粘着剤層に接着させる工程を含む方法(いわゆる転写法)。
また、粘着剤層における基本ポリマーの架橋を促進するため、上記〔1〕、〔2〕の方法には、例えば熟成工程をさらに設けることが好ましい。熟成工程は例えば50〜300℃で10〜100時間加温・保管することにより実施できる。
不飽和炭化水素鎖を含む基本ポリマー:BR(ポリブタジエン)重量平均分子量458,000
不飽和炭化水素鎖を含まない基本ポリマー:PIB(ポリイソブチレン)重量平均分子量425,000
有機過酸化物(PO):ジベンゾイルパーオキサイド
粘着付与剤:脂環族飽和炭化水素樹脂(軟化点100.5℃)
有機液状成分:ミリスチン酸イソプロピル
ポリブタジエンまたはポリイソブチレンおよび有機過酸化物(ジベンゾイルパーオキサイド)を、トルエンを溶媒として、表1に示す割合で配合し、混合後、120℃で4時間加温し、エラストマーを得た。得られたエラストマーの引っ張り強度を下記の通り測定した。
測定法
剥離ライナー上に、エラストマー溶液を、乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布し、これを乾燥させ粘着シートを得た。粘着シートを幅20mm、長さ40mmの矩形に切断して試料を得た。試料をその矩形の長さ方向の一辺から、その一辺を中心軸として密に巻き、円柱ないし丸棒状の試験片を得た。試験片を引張試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH AG−IS)で、チャック間距離20mm、引張強度300mm/minでの応力を測定し、破断するまでの最大応力を比較した。結果を表1に示す。
表1より明らかなように、BRはPIBに比して、PO存在下で最大応力が著しく上昇していた。PIBはPO存在下で最大応力が低下していた。この著しい最大応力の差異は、BRがPO存在下で炭素−炭素単結合により架橋されたことを示している。
実施例1〜4、比較例1、2
トルエンを溶媒とし、表2に示す配合で、固形分が20〜40重量%となるよう粘着剤溶液を調製した。これを粘着剤層の乾燥後の厚みが100μmとなるように剥離ライナーとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃で5分間乾燥した。次に、支持体として、ポリエチレンテレフタレート不織布とポリエチレンテレフタレートフィルムのラミネート品を用い、該ポリエチレンテレフタレート不織布面と粘着剤層を対向させて貼り合せ、積層体を作製した。作製した積層体を窒素存在下で加温・保管して熟成させ、貼付剤を作製した。
実施例1〜4及び比較例1、2の貼付剤を、下記評価項目について、下記の通り測定した。
23℃、60%RHの室内にて、貼付剤を幅12mm、長さ5cmの試験片に切断し、その試験片の剥離ライナーを除去し、試験片を試験板であるフェノール樹脂板に、2kgローラーで1往復させることにより圧着させた。その環境下で30分間放置した後、引張り試験機により試験片を剥離角度180°、剥離速度300mm/分で引っ張った際の粘着力を測定した。破壊モードは凝集破壊をG、界面破壊をKとした。ここで、貼付剤の粘着力としては、0.2N/12mm以上であって凝集破壊しないものが好ましい。
23℃、60%RHの室内にて、貼付剤を幅10mm、長さ5cmの試験片に切断し、その試験片の剥離ライナーを除去し、試験片を試験板であるフェノール樹脂板に、2kgローラーで1往復させることにより圧着させた。その際、貼付面積が200mm2となるようにした。40℃環境下で20分間放置した後、40℃環境下で、試験板が床に対して垂直となるよう、試験板の、試験片が貼付されていない面を固定するとともに、試験片に300gの荷重を吊り下げ、試験片が試験板より落下するまでの時間を保持力として評価した。破壊モードは凝集破壊をG、界面破壊をK、および一部凝集破壊をK/Gとした。ここで、貼付剤の保持力としては、短時間で落下しないものが好ましい。
これに対し、比較例1および比較例2は、粘着力測定時に凝集破壊が起こり、試験板に粘着剤が残る糊残りが見られた。また、凝集力も不十分であり、保持力測定時に、試験片が短時間で落下するとともに、試験片の落下の際に凝集破壊が起こった。これらは、比較例1は、有機過酸化物を配合しなかったため、不飽和二重結合を有する基本ポリマー間が炭素−炭素単結合で架橋されなかったため凝集力が不足したものと考えられる。また、比較例2は、炭素−炭素二重結合のないPIBを基本ポリマーとして用いたため、基本ポリマー間が炭素−炭素単結合で架橋されなかったか、または架橋が不十分で、凝集力が不足したものと考えられる。
実施例5〜8
実施例1〜4における35〜60重量部の基本ポリマーからそれぞれ1重量部を減じ、薬物としてインドメタシン1重量部をそれぞれ配合する以外は、上記実施例1〜4と同様にして実施例5〜8の貼付製剤を作製する。
実施例5〜8の貼付製剤は、上記実施例1〜4の貼付剤と同様の特性を有するものである。
Claims (4)
- 支持体、および当該支持体の少なくとも片面上に設けられた粘着剤層を含む貼付剤であって、当該粘着剤層が、ポリブタジエンを有機過酸化物の存在下に架橋して得られ、式I:
の構造部分を有するエラストマーと、粘着付与剤を含有する、貼付剤。 - 上記有機基が、フェニル、ベンゾイルおよびベンゾイルオキシからなる群から少なくとも1つ選ばれる有機基である、請求項1記載の貼付剤。
- 上記粘着剤層が、有機液状成分をさらに含有する、請求項1または2記載の貼付剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の貼付剤の粘着剤層に薬物をさらに含有してなる、貼付製剤。
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