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JP5432455B2 - 炎症治療用の果実細胞培養抽出物 - Google Patents

炎症治療用の果実細胞培養抽出物 Download PDF

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Description

本発明は、赤ブドウ細胞(RGC)からの活性健康促進成分に、より詳細にはその治療用製剤に関する。
現代の科学思想は、慢性心不全(CHD)及び発作は心臓血管(CV)の健康の不振に関係する共通疾患の症状であるというものである。世界中のCV疾患は、中年における全死亡(及び相当な追加の身体障害)の半分、並びに老年における全死亡の3分の1を占める。これらの死亡の大部分は、虚血性心疾患(IHD)又は発作を含む(Lewington,2003,Eur.Heart J.24:1703〜1704)。それはまた、主として入院及び外来の内科的治療の高コストによる保健予算上の実質的な負担を負う。心臓発作は、男性の主な死亡原因であると考えられているが、最近の研究によって心臓発作は女性の3分の1にも起こることが明らかに示された。
急性の冠不全症候群をもたらす、冠状動脈硬化症の進行過程は、4つの続いて起こる病態生理学的段階、すなわち、内皮の機能不全、プラーク形成、プラーク進行及びプラーク崩壊並びに血栓症を備える。
内皮の機能不全は、心血管系危険因子(上昇したLDL濃度、喫煙、高血圧などの)への曝露の結果としての血管内皮の機能的完全性の崩壊である。その保護特性を欠く機能不全の内皮は、アテローム発生因子の血管壁への作用を可能にし、壁内の炎症を促進し、したがって増加した単球の活性、接着及び移行、増加した内皮透過性及び減少した血管拡張をもたらし、それにより壁内のマクロファージ及びリポタンパクの蓄積を媒介する。
動脈硬化性プラークは、マクロファージが化学的に修飾された(通常酸化された)LDL分子を取り込んで、T−細胞及び血管平滑筋細胞(VSMC)と一緒になって、動脈硬化性プラークの初期の形態である脂肪線条を生じる泡沫細胞を形成する場合に形成される。
炎症伝達物質及び他の分子は、プラークの線維脂肪性アテロームへのさらなる進行を促進し、線維脂肪性アテロームは後に密集した細胞外基質を有する線維性被膜で覆われる。この皮膜は、プラークを、それをより大きくすることによって崩壊から安定化する。
泡沫細胞による分子(例えば、炎症性分子)の分泌は、皮膜基質分子の消化をもたらし、最終的にプラーク崩壊、血栓(血塊)の形成及び動脈の閉塞をもたらす。これは一般的に心発作又は脳卒中をもたらす。
数年前まで、大部分の医師は、アテローム性動脈硬化は特定のサイズに到達したプラークによる、動脈血流の停止によって引き起こされる、配管の問題と考えていた。心筋又は脳組織などの不可欠な組織への酸素を豊富に含んだ血液の欠乏は、とりわけより大きな必要性の重大な局面においては、誘発された心臓発作及び脳卒中に関与すると言われていた。しかしながら、最近の研究は、実際には心臓発作の約15%だけがこのように起こることを明らかに示した。病理学及び他の研究は、プラーク線維性被膜の破壊につながり血液凝固をもたらす炎症性過程をたどる事象が、大部分の心臓発作及び脳卒中に関与することを実証した(Libby,2002,Nature 420:868−874;Libby,2004,Sci.Am.Special edition 14:50−59)。炎症性過程は、内皮の機能不全からプラーク崩壊までの、アテローム発生の全ての段階に関与するので、これらの炎症性機構への介入はアテローム性動脈硬化の予防又は治療の助けとなりうる。
アテローム性動脈硬化のこの新しい見解は、最近の20年間に開発されたアテローム性動脈硬化の薬物療法のいくらかの限られた成功及び望ましくない副作用を説明している。例えば、バルーン血管形成及びステントは、残余のプラークの崩壊を仲介し、したがって、強い炎症性応答を顕在化させうる。アテローム性動脈硬化の治療の現在の戦略は、プラーク形成の予防、及び炎症及び血塊形成をもたらす過程に対抗しうる薬物の開発を強調する。このような現在使用中の薬物には、スタチン(LDL生合成の阻害)、β−遮断薬(高血圧又は脈拍数を減少させる)、アスピリン(炎症又は血液凝固の予防の補助)、及び抗酸化薬(LDL修飾の予防)が含まれる。
心臓疾患からの死亡の減少及び増加したワイン消費量の間の厳密な相関関係が、25年前に報告された。実質的な研究が、「フレンチパラドックス」として知られる、冠状心臓病(CHD)による死亡率に対する、適度な赤ワイン消費量の、アルコールに関係しないプラス効果を明らかに実証した(Renaud and de Lorgeril,1992,Lancet 339:1523−1526;Criqui and Ringel,1994,Lancet 344:1719−1723)。さらに、白ワインに比べて赤ワインにより高濃度で存在するポリフェノールは、血液の低密度リポタンパク(LDL)を、CHDの進行における重要な危険因子であることが知られている修飾である酸化から保護する抗酸化剤として作用することが示唆された。
最近の結果は、その濃度が赤ワイン中に存在する成分によって調節されうる、CHDに至る炎症性過程におけるいくつかのタンパク質、すなわち、エンドセリン−1(ET−1)、強力な血管作動性ペプチド(Kinlay他、2001,Curr.Opin.Lipidol.12:383−389)、内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)、内皮細胞中のNOプロデューサー(NO producer)(Leikert他、2002,Circulation 106:1614−1617)、VSMC中で活性である血小板由来増殖因子(PDGF)(Iijima他、2002,Circulation 105:2404−2410)及び炎症マーカーC−反応性タンパク質(CRP;Aikawa&Libby,2004,Can.J.Cardiol.20:631−634)の関与を実証した。
これらの調節成分の原料としての赤ワインの使用は、その高いアルコール含有率により限られている。同様に、これらの活性剤の原料としてのブドウ又はブドウジュースの使用は、それらの高い糖含有率により限られている。さらに、ワイン及びワイン用ブドウの治療効果は、種、場所、年(年度気候)、加工などに依存し、したがって、これらの調節化合物の消費用の原料としての赤ワイン又は食用ブドウへの依存は、均質又は一定の原料供給をもたらさないことが示されてきた。さらに、ブドウは、一般的に、残存する防かび剤、病原菌、殺虫剤及び汚染物質によって汚染されている。
赤ワイン及びブドウ種子抽出物に存在するポリフェノールの潜在的な利点に関連した主な問題は、標的組織及び細胞へのそのバイオアベイラビリティにある(Manach and Donovan,2004,Free Rad.Res.38:771−785;Williamson&Manach,2005,Am.J.Clin.Nutr.81:243S−255S)。腸を通過する際のそのバイオアベイラビリティにおける際立った差異により、明確な相関関係を、所定の食物中の特定のポリフェノールの豊富さと生体中での活性化合物としてのその濃度との間に引くことができない。小腸中のフラボノイドの吸収は、例えば、用量の0から60%にわたり、排出半減期は2から48時間にわたる(Manach and Donovan,2004,supra)。大部分のポリフェノールは、腸中で大量の代謝を行い、主にグルクロニド、メチル又はサルフェート複合体として血清及び尿中に存在する。
口中の粘膜層は、有益なポリフェノールに改善された吸収率を提供する潜在的な場所である。トランス−レスベラトロルのバイオアベイラビリティは、即座に嚥下される代わりに、ポリフェノールが口中に嚥下の前に1分間保持される場合に増加され、多量のトランス−レスベラトロルが投与後ちょうど2分に、次いで血漿中に測定されたと報告された(Asensi他、2002,Free Radic Biol Med.33:387−398)。さらに、最近の疫学的証拠は、食物のフラボノイドは、唾液で活性化された場合に癌を含めた口腔疾患に保護効果を発揮する(Browning他、2005,J Pharm Pharmacol.57:1037−42)という見解を支持している。
PCT特許出願公開WO00/35298及びPCT特許出願公開WO01/21156は、ブドウ種子抽出物及びポリフェノールなどの栄養補給剤を含む医薬活性成分を含むチューインガムを教示している。果実細胞培養製剤(例えば、抽出物)、又は果実細胞系培養抽出物は開示されていない。欧州特許出願公開EP1327441は、対象におけるニコチン曝露を減少させるのに有用なチューインガム組成物を教示している。ニコチンを排除する薬剤は、種々の植物の混合物の抽出物、果実、及びポリフェノール類のケルシチン又はカテキンである。ブドウ皮抽出物は、活性剤としてではなくチューインガムを着色するための天然色素として言及されている。本明細書で上記の通り、ブドウ皮及びブドウ種子抽出物の両方とも、明確でなく、一定でなく且つ均質でない活性剤を提供する。皮又は種子抽出物と異なり、果実細胞培養物、より詳しくは果実細胞系培養物が、活性化合物のタイプ及び量に影響を与えるように操作しうる厳しく制御された環境において、糖及びペクチンなどの関連した妨害化合物の多くを含まない非常に明確な植物化学物質を産生する。
炎症性障害の治療用の、バイオアベイラビリティを増すよう処方された、活性剤に富む果実細胞、より詳細にはブドウ細胞系抽出物を有することは、したがって、広く認められた必要性があり、且つそれは極めて有利となろう。
本発明の一態様によれば、活性成分として果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤及び粘膜送達に適した薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、粘膜送達用に処方される、活性成分としてブドウ細胞系培養物及び/又はそれから得られる製剤を含む医薬組成物が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、炎症性障害の治療方法が提供され、該方法は、抗炎症活性を有する治療有効量の果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤を、それを必要とする対象へ粘膜投与し、それにより炎症性障害を治療することを含む。
本発明のさらに別の態様によれば、対象における炎症性障害の治療法が提供され、該方法は、有効量のブドウ細胞系培養物及び/又はそれから得られる製剤を、それを必要とする対象に投与し、それにより炎症性障害を治療又は予防することを含む。
本発明の追加の一態様によれば、炎症性障害を治療するための、抗炎症活性を有するブドウ細胞系培養物及び/又はそれから得られる製剤の使用が提供される。
本発明のさらなる追加の一態様によれば、炎症性障害を粘膜的に治療するための、果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤の使用が提供される。
本発明のさらなる追加の一態様によれば、抗炎症活性を有する果実細胞培養物を特定する方法が提供され、該方法は、複数の果実細胞培養物から、予め決定された閾値を上回る抗炎症活性を有する少なくとも1つの培養物を特定し、それにより抗炎症性活性を有する果実細胞培養物を特定することを含む。
本発明のさらなる一態様によれば、無味の又は味のよい果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤を特定する方法が提供され、該方法は、複数の果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤を味に関して分析するステップと、複数の果実細胞培養物から、無味の又は味のよい果実細胞培養物及び/又は製剤を選択し、それにより無味の又は味のよい果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤を特定するステップとを含む。
本発明の一層さらなる一態様によれば、無味の果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤が提供される。
本発明の一層さらなる一態様によれば、活性成分として植物細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤及び粘膜送達に適した薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、果実細胞は果実細胞系である。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、果実細胞は少なくとも2%のポリフェノールを含む。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、果実は、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、プルーン、クランベリー、エルダベリー、ビルベリー、ゲンテイン(gentain)、オレンジ、マンゴー、キーウィ、ザクロ、ブラックベリー、ラズベリー、イチゴ、西洋ナシ、サクランボ、プラム、トマト、グレープフルーツ、パイナップル、柿及びゴシュユからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、ブドウは有色ブドウである。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、ブドウは無色ブドウである。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、果実は野生種である。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、果実は栽培種である。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、粘膜送達は、口送達、咽頭送達、食道送達、直腸送達及び膣送達からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、口送達は、口腔送達及び舌下送達からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、製剤は、前記果実細胞培養物の親水性抽出物を含む。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は、少なくも2%のポリフェノールを含む。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は、1%未満のアルコールを含む。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は無味である。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は味がよい。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は、無色の濃縮物で提供される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物及び/又は製剤は、10%未満の甘い糖(sweetening sugar)を含む。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、細胞培養物又は細胞系培養物は、遺伝子組換えされている。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、炎症性疾患は、アテローム性動脈硬化である。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、口送達は、うがい薬、ストリップ(strip)、泡沫、チューインガム、経口スプレー、ロゼンジ、カプセル、練り歯磨き及び食物からなる群によって実施される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、口送達は、チューインガムによって実施される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、投与は粘膜的に実施される。
記載された好ましい実施形態の一層さらなる特徴によれば、抗炎症活性は、内皮細胞培養物中のeNOS産生の増加及び/又はET−1産生の減少によって測定される。
本発明は、粘膜送達用に処方された果実細胞培養物を提供することによって現在知られている形態の欠点の解決に取り組む。
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の技術の1つによって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されたものと類似又は同等な方法及び材料は、本発明の実施又は試験で使用することができるが、適切な方法及び材料は、下記に記載されている。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照は、参照によりその全体が組み込まれる。対立が生じた場合、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示のみのものであり、何ら制限するものではない。
本発明が、ほんの一例として、添付の図面を参照してここで説明される。詳細な図面を個々に参照して、示される詳細は、一例として、本発明の好ましい実施形態の実例となる議論の目的のためのみであり、本発明の原理及び概念的態様の最も有用であり容易に理解される説明と考えられることを提供するために提示されることが強調される。この点で、本発明の基礎的な理解に必要である以上により詳細に本発明の構造的な詳細を表す試みはなされず、図面と共に記載によって、当業者に本発明のいくつかの形態がどのように実際に具体化されうるかが明らかになる。
本発明は、粘膜送達用に処方された、抗炎症特性を有する果実細胞培養物のものである。
具体的には、本発明の果実細胞培養物は、アテローム性動脈硬化などの炎症性障害を治療するのに使用することができる。
本発明による果実細胞培養物の原理及び操作は、図面及び付随する説明を参照してより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その出願において、次の説明に記載された、又は実施例によって例示された詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実践又は実施することができる。さらに、本明細書で用いられる専門語及び用語は、説明の目的のためであり制限的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。
ポリフェノールを含有する果実抽出物から誘導されるニュートラファーマシューティカル(Nutrapharmaceutical)は、その抗炎症作用で知られている。しかしながら、これらの活性剤の原料としての果実抽出物(例えばブドウ抽出物)の使用は、その高い糖含有率により限られている。同様に、これらの調節成分の原料としての赤ワインの使用は、その高いアルコール含有率により限られている。さらに、ワイン及びワイン用ブドウの治療効果は、種、場所、年(年度気候)、加工などに依存し、したがって、これらの調節化合物の原料としての赤ワイン、ブドウ又はブドウの種への依存は、均質又は一定の原料供給に役立っていないことが示されている。さらに、果実は、残存する殺菌剤、病原菌、殺虫剤及び汚染物によってしばしば汚染されている。
さらに、赤ワイン及び果実抽出物に存在するポリフェノールの胃腸送達の潜在的利点は、標的組織及び細胞へのそのバイオアベイラビリティによって制限される。腸を通過する際のそのバイオアベイラビリティの著しい差異によって、所与の食物中の特定のポリフェノールの豊富さと生体内での活性化合物としてのその濃度との間に相関関係を引くことはできない。小腸におけるフラボノイドの吸収は、例えば、用量の0から60%にわたり、排出半減期は2から48時間にわたる。大部分のポリフェノールは、小腸で大量の代謝を行い、血清及び尿中に主としてグルクロニド、メチル又はサルフェート複合体として存在する。
したがって、炎症性障害の治療用の、より明確な、一定の(例えば、クローン製剤)、非常に体内に吸収され利用され易く容易に投与される新規の天然(植物)組成物が必要である。
本発明を実施するに際し、本発明者らは、果実(例えば、ブドウ)細胞培養物から得られる製剤は、赤ワイン又はブドウ抽出物のいずれかに比べてより強い抗炎症活性を含むことを予想外に見出した。このような製剤は、粘膜送達用に処方し、それによって活性剤のバイオアベイラビリティを増強することができる。
本発明者らは、さらに、炎症性疾患の治療に使用されうる、極めて強力な果実細胞培養物の特定用の新規な手段を考案した。
米国特許出願20030100082は、果実細胞培養物から活性剤(プロアントシアニジン)を単離する方法を教示している。本発明と極めて対照的に、米国特許出願20030100082は、炎症性障害の治療用のこのような薬剤の粘膜送達を教示していない。さらに、その中に記載された活性剤とは対照的に、本発明の活性剤は、果実細胞培養物からの抽出を必要としない。これは、抗炎症性組成物の調製の、極めてより簡単なより安価な方法を提供する。
本明細書で以下及びそれに続く実施例の節で説明されるように、本発明者らは、本発明のブドウ細胞培養物は、赤ワイン及び市販ブドウ抽出物の両方に比べてより大きく、ヒト内皮細胞培養物中の炎症性マーカーET−1(図1)の産生を減少させ、また抗炎症性マーカーeNOS(図2)の産生を増加させることを示した。
したがって、本発明の一態様によれば、粘膜送達に適した、活性成分として果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
本明細書で用いられる「医薬組成物」という句は、本明細書に記載される(例えば、本明細書で以下にさらに記載される果実細胞培養物)の1種又は複数の製剤、又は該活性成分の生理学的に適切な担体及び賦形剤などの他の化学成分との混合物の製剤を意味する。医薬組成物の目的は、器官への化合物の投与を促進することである。活性成分は食物(すなわち果実)に見いだされるので、本明細書で用いられる「医薬組成物」という句は、栄養補助組成物及び/又は食品添加物も意味する。
本明細書で「活性成分」という用語は、抗炎症作用の源である果実細胞培養物を意味する。本発明の果実細胞培養物の抗炎症作用は、果実細胞培養物中に含まれるある量の活性剤(例えばポリフェノール)、又は果実細胞培養物中に含まれる活性剤の特定の組合せ若しくは割合から得ることができる。
本明細書で用いられる「果実細胞培養物」という句は、単一の細胞果実培養物(本明細書で用いられる果実細胞系培養物又はクローン培養物)、又は異なる遺伝子型(例えば、異なる変種)を有する果実から誘導されるある量の細胞を含む異種細胞培養物、或いは単一の果実から誘導されるある量の細胞型又は組織を意味する。本発明の細胞培養物は、果実の任意の部分、例えば、果皮、果肉、種皮及び種の肉(seed flesh)から得ることができる。
本発明の別の態様によれば、細胞培養物は、それだけには限らないが、内胚乳、アリューロン層、胚(又は胚盤及び子葉などのその部分)、果皮、茎、葉、塊茎、トリコーム及び根を含めた植物の任意の部分から得ることができる。
果実細胞を培養する方法は当技術分野でよく知られている。例えば、ブドウ細胞を増殖させる方法は、米国特許4,532,733及び6,455,312に開示されれている。ブドウ細胞系培養物を産生する例示的な方法は、本明細書の以下の実施例の節の実施例1に記載されている。要約すると、果実外植片を切り裂き、カルスが誘導されるまで培養する。この果実外植片を、抗酸化剤の存在下で切り裂くことができる。本発明の本態様に従って使用しうる抗酸化剤及び一般的なその濃度の例には、それだけには限らないが、PVP(0.5及び1g/l)、L−システイン(150mg/l)、没食子酸(1.5mg/l)、DTT(70mg/l)、ビオプテリン(15mg/l)、アスコルビン酸(150mg/l)及びクエン酸(150mg/l)が含まれる。果実外植片を培養するのに使用しうる例示的な培地は、0.25%Gelriteで凝固させたMurashige及びSkoogの、MS培地(Murashige and Skoog,1962,Physiol Plant 15:473−497)である。pHは一般的にpH5.9に調節される。カルスを誘導するために、カゼイン加水分解物、スクロース及びイノシトール、キネチン及びNAA(α−ナフタリン酢酸)などの他の薬剤を、培地に添加することができる。
果実培養物のカルスの誘導に使用しうる他の例示的な培地が以下に挙げられている。
250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)がさらに補足されたCP(Chee and Pool 1987,Scientia Horticulturae 32:85−95)塩及びビタミン培地。カルスの誘導のために、0.2mg/lキネチン及び0.1mg/lNAA(α−ナフタリン酢酸)を補足することができる。
WPM(Woody Plant Medium)、(Lloyd and McCown 1981,Int Plant Prop Soc Proc 30:421−427)塩、及びビタミン培地。これには、例えば、250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)を補足することができる。カルスの誘導のために、0.2mg/lキネチン及び0.1mg/l NAA(α−ナフタリン酢酸)を補足することもできる。
B5(Gamborg他、1968,In vitro 12:473−478)塩、及びビタミン培地には、例えば250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)を補足することができる。カルスの誘導のために、1mg/l 2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)及び0.2mg/l BA(6−ベンジルアデニン)を補足することができる。
B5(Gamborg他、supra)塩、及びビタミン培地には、例えば250mg/lカゼイン加水分解物、6%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)を補足することができる。カルスの誘導のために、1mg/l 2,4−D及び0.2mg/l BAを補足することができる。
B5(Gamborg他、supra)塩、及びビタミン培地にはまた、例えば1000mg/lカゼイン加水分解物、9%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)を補足することができる。カルスの誘導のために、2mg/l 2,4−D、0.5mg/l NAA、0.2mg/lキネチン及び0.2mg/l BAを補足することができる。
一般的に、カルスは、果実外植片に応じて、培養開始後約10日から4週間まで目に見える。カルスは、色又は他の物理的性質によって選択し、液体又は固体培養液のいずれかにおいて増殖のために継代培養することができる。一実施形態においては、赤色カルスは、赤色カルス中にポリフェノール及びアントシアニンのより高い含有量があるので、ブドウ培養物から選択される。DTT(例えば70mg/l)、アスコルビン酸(150mg/l)又はクエン酸(150mg/l)などの薬剤を、ネクロジェネシス(necrogenesis)を防ぐために培地に添加することができる。培養物は、一般的に7〜10日毎に新しい生育培地に継代培養される。
本明細書で上記に記載されたように、本発明の果実細胞培養物は抗炎症活性を有する。適切な果実の選択は、抗炎症活性の多数の評価分析によって試験することができる(例えば、本明細書で下記及び実施例の節に記載されるように)。好ましくは、果実細胞培養物は、任意の特定の評価分析において、赤ワイン又は市販のブドウ抽出物のいずれかに比べてより高い抗炎症活性を有する。
好ましくは、細胞培養物は、ポリフェノールを含む果実から得られる。本明細書で用いられる「ポリフェノール」という用語は、2つ以上のフェノール基を有する天然の植物有機化合物を意味する。ポリフェノールは、フェノール酸などの簡単な分子からタンニンなどの大きな高分子化合物までに及ぶことができる。ポリフェノールのフェノール環は、一般的に様々な糖分子、有機酸及び/又は脂質に結合している。この複合化した化学構造の差異は、様々なポリフェノール化合物の化学分類並びに作用形態及び健康特性(health properties)における多様性の原因となる。ポリフェノールの例には、それだけには限らないが、アントシアニン、バイオフラボノイド(サブクラスのフラボン、フラボノール、イソフラボン、フラバノール、及びフラバノンを含めた)、プロアントシアニン、キサントン、フェノール酸、スチルベン及びリグナンが含まれる。
好ましくは、果実は、少なくとも0.1%のポリフェノール、より好ましくは少なくとも0.5%のポリフェノール、より好ましくは少なくとも1%のポリフェノール、より好ましくは少なくとも1.5%のポリフェノール、より好ましくは少なくとも2%のポリフェノール、より好ましくは少なくとも3%のポリフェノール及び一層より好ましくは5%のポリフェノールを含む。ポリフェノールを含む果実の例には、それだけには限らないが、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、プルーン、クランベリー、エルダベリー、ビルベリー、ゲンテイン、オレンジ、マンゴー、キーウィ、ザクロ、ブラックベリー、ラズベリー、イチゴ、西洋ナシ、サクランボ、プラム、トマト、グレープフルーツ、パイナップル、柿及びゴシュユが含まれる。
本発明のこの態様の好ましい実施形態によれば、果実はブドウである。ブドウは、有色ブドウであってよい(例えば、赤、黒、紫、青及び間の全ての色変化)。別法として、ブドウは、無色ブドウであってよい(例えば、緑又は白又は間の任意の色変化)。
本発明のこの態様の果実は、野生の又は培養された品種のものであってよい。培養されたブドウの例には、ヴィティス属に属するブドウが含まれる。ヴィティス品種の例には、それだけには限らないが、Vitis vinifera(V.vinifera)、V.silvestris、V.muscadinia、V.rotundifolia、V.riparia、V.shuttleworthii、V.lubrisca、V.daviddi、V.amurensis、V.romanelli、V.aestivalis、V.Cynthiana、V.cineria、V.palmate、V.munsoniana、V.cordifolia、Hybrid A23−7−71、V.acerifolia、V.treleasei及びV.betulifoliaが含まれる。
果実細胞培養物の抗炎症性プロフィール又は増殖を増強する変更形態も、本発明の範囲内にあると考えられ、当業者によって実施されうる。
例えば、スクロースの濃度は、培養物中の有色ポリフェノールの量を増加させるために培地(例えば、懸濁培地)中で増加させることができる。さらに、窒素源(例えばNHNO)は、植物組織培養物中のポリフェノール含有量を変えるように操作することができる(Neera他、Phytochemistry,31(12):4143−4149,1992)。例えば、果実細胞培養培地中の窒素源の濃度を減少させることは、培養物中のポリフェノールの産生を増加させると考えられている。さらに、グルタミン、グリシン、及びセリンなどの懸濁培地中の特定のアミノ酸の投入はまた、果実培養物中のポリフェノールの産生に有意に影響を及ぼしうる。
照明条件も、果実培養物中の改変されたポリフェノール含有量を達成するために変更することができる。例えば、照明は、放射照度又は光への曝露の長さを増すことによって変更することができる。さらに、継代培養期間の頻度又は継続期間は、ポリフェノールの収率を改善又は変更するために延長することができる。他の要因(例えば成長因子)も、果実培養物の増殖を増強するために培地に添加することができる。
果実細胞培養物はまた、他の活性剤を発現するように遺伝子操作することができる。発現しうる特に有用な活性剤の例には、アドラピン(Toxicon.1982;20(1):317−21)、又はCD4ポリペプチド(米国特許5869055を参照されたい)などの抗炎症性ポリペプチド;血管形成ポリペプチド(例えばVEGF、血小板由来内皮細胞成長因子、アンジオジェニン、塩基性及び酸性線維芽細胞増殖因子(それぞれヘパリン結合性増殖因子I及びIIとしても知られる)、トランスフォーミング成長因子−β、血小板由来成長因子、肝細胞成長因子、線維芽細胞増殖因子−18、プロスタグランジンPGE1及びPGE2、ニコチンアミド;及び血管活性腸管ポリペプチドなどの鎮痛性ポリペプチド、及びサブスタンスPが含まれる。
植物を遺伝子形質転換する方法は、当技術分野で周知である。このような方法は、一般的に、Sambrook他、分子クローニング(Molecular Cloning):A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992)、Ausubel他、分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989)、Chang他、体細胞遺伝子療法(Somatic Gene Therapy)CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995)、Vega他、遺伝子標的法(Gene Targeting)CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995)、ベクター:分子クローニングベクター及びその使用の調査(Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses)Butterworths,Boston Mass.(1988)並びにGilboa他、[Biotechniques4(6):504−512,1986]に記載されており、例えば、安定な又は一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション及び組換えウイルスベクターの感染を含む。さらに、正負選択法(positive−negative selection method)について米国特許5,464,764及び5,487,992を参照されたい。
米国特許5753475及び欧州特許EP973922A2に開示されたものなどの果実特異的プロモーターは、果実細胞培養物中に遺伝子発現を促進するのに使用することができる。
ウイルス感染による核酸の導入は、より高いトランスフェクション効率が、ウイルスの感染性により得られるので、リポフェクション及び電気せん孔法などの他の方法に比べていくつかの利点を提供する。
記載される本発明の組成物は、果実細胞培養物から得られる製剤を含むことができる。
本明細書で用いられる「製剤」という用語は、本発明の医薬組成物に使用される回収された果実細胞培養物、例えば、抽出物を意味する。
製剤は、該製剤が活性剤を含む限り、当技術分野で周知の任意の方法を用いて、生の又は凍結された果実細胞培養物から得ることができる。製剤は、全ての培養物又はその活性部分(例えば、抽出物)を含むことができる。後者は、活性成分の濃度を増加させるため、又は望ましくない性質(例えば、アルコール、味又は糖含有量)を減らすために実施することができる。したがって、果実細胞培養物は、ブレンドすること、液体窒素下で磨砕すること及び/又は乾燥することによって処理することができる。果実細胞培養物中の活性剤は、処理の前又は後に精製することができる。部分的な精製は、それだけには限らないが、果実細胞構造をバラバラにしてそれにより可溶性の果実細胞成分及び不溶性の果実細胞成分を含む組成物を生成するステップを含むことができ、その可溶性の果実細胞成分及び不溶性の果実細胞成分は、例えば、それだけには限らないが、遠心分離、ろ過又はそれらの組合せによって分離することができる。部分的な精製は、任意の適切な塩、例えばKHSOを用いた沈殿による可溶性の活性剤の水性抽出も含むことができる。他の方法は、抽出物の直接の使用を可能にするための大規模なマセレーション及び果汁抽出を含むことができる。
別法として、果実細胞培養物からの活性剤の精製は、それだけには限らないが、限外ろ過、アフィニティクロマトグラフィー及び/又は電気泳動を含めた、当技術分野で周知のより精巧な精製法を用いて実施することができる。
抗炎症活性の保持の試験は、本明細書で以下に記載されるように処理後に試みることができる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、製剤は乾燥された製剤である。乾燥は、凍結乾燥、又は例えば40℃から60℃の温度で加熱したオーブン中に置くことによって実施することができる。乾燥の後、製剤は、さらに処理、例えば微粉に磨砕することができる。製剤は、親水性又は疎水性であってよい。
好ましくは、果実細胞培養物は、アルコール依存症、肝臓毒(liver poisoning)及び心不全などのアルコールに関連した影響を回避するためにアルコールを含まない。糖の摂取に関連した問題(例えば肥満、糖尿病、虫歯)を回避するために、本発明の果実培養物は、好ましくは10重量/体積%未満の甘い糖を含む。本明細書で用いられる「甘い糖」という句は、甘味を提供する糖、例えばスクロース及びフルクトースを意味する。好ましくは、本発明の果実培養物は、少なくとも2重量/体積%のポリフェノールを含む。ポリフェノール含有量は、分光光度フォリン−チオカルト試験及び電解塩素(electrogenerated chlorine)を用いるレドックス誘導(redox derivative)電位差滴定などの当技術分野で周知の方法を用いて測定することができる。
本発明の果実細胞培養物又は製剤は、味がよくてよい。しかしながら、本発明の好ましい一態様によれば、果実細胞培養物は無味である。
味の分析法は、当技術分野で周知である。例えば、果実細胞培養物は、人間の被験者によるインビボ味覚評価分析、すなわち本明細書で以下の実施例4に記載される味覚パネル(taste panel)にかけることができる。一般的には、有意の数及び代表例の人々が、本発明の果実培養物を目隠しして味わい、しかるべく味について決定する。結果は、パラメトリック法又はノンパラメトリック法を用いて統計的に分析される。個々の解答者及び彼らの身体状態の差異の影響を排除するためには、インビトロ及び自動システムも、味覚を測定するのに利用できる。したがって、米国特許6942874は、果実細胞培養物が味を含むか否かを究明するために、本発明のこの態様に従って使用しうるインビトロ味覚評価分析を教示している。人工脂質膜味覚センサーも、人工脂質膜及びポリマーの膜電位の測定によって味覚認識を実施するのに利用できる。Alpha M.O.S.(Toulouse,France)は、試料の完全に複合的な化学的性質の分析(化学指紋)をする電子舌(e−tongue)を開発した。センサーは、様々な味覚属性に相互に関連付けるよう特に処方された。センサータイプの組合せを通して、医薬用途を特に目的としたセンサーアレイ(sensor array)が、指定されて検証された。他のセンサーの組合せも設定可能である。
記載された果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤は、抗炎症活性について評価分析することができる。このような方法は、当技術分野で周知である。評価分析は、インビトロ又はインビボであってよい。本発明の果実細胞培養物を評価するのに使用しうるインビトロ抗炎症性評価分析の例には、シクロオキシゲナーゼ2活性の阻害、又はキノン還元酵素活性の増加が含まれる。特に好ましいのは、培養された内皮細胞のeNOS活性の増加及びET−1活性の減少を測定するインビトロ評価分析である。このような方法は、実施例3において下記に記載されている。
本発明の果実細胞培養物の抗炎症活性の測定に使用しうるインビボ評価分析の例は、カラギーナンで誘発される足浮腫の試験である。この評価分析においては、足浮腫が、生理食塩水中のλ−カラギーナン(Sigma,USA) の1%溶液(例えば100μl又は40μl(それぞれラット又はマウス)の量をラットの左後足の足底面に注射することによって誘発される。賦形剤が処置された動物又は果実細胞培養物又はそれから得られた製剤を処置した動物におけるカラギーナン投与後の足体積の変化が測径器で測定される。抗炎症性活性は、一般的に足浮腫の抑制百分率として表される。
本発明の果実細胞培養物の抗炎症活性の測定に使用しうるインビボ評価分析の別の例は、外耳のアラキドン酸により誘発された炎症である。この評価分析においては、外耳の炎症が、アラキドン酸の局所適用後の組織腫脹の測定によって評価される。この酸は、一般的に外耳の内側の表面に適用され、反対の耳は対照として役立つ。耳の厚さは、アラキドン酸の適用直後に始めて、ある期間にわたって測径器を用いて測定することができる。果実細胞培養物は、アラキドン酸投与の前又はそれと同時に投与することができる。
本明細書で上記に記載された通り、果実培養物に存在する活性剤のバイオアベイラビリティを増強するために、本発明の果実細胞培養物が薬学的に許容される担体と一緒に粘膜送達用に製剤化される。
以下、互換的に使用しうる「生理学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される担体」という句は、有機体に大きな刺激を与えず、投与された化合物の生理活性及び性質を無効にしない担体又は希釈剤を意味する。アジュバントはこれらの句に含まれる。
本明細書で用いられる「粘膜送達」という句は、消化管及び初回通過肝臓代謝の回避を可能にし、その結果、薬剤が循環に直接入ることを可能にする、活性成分が粘膜を通して身体に導入される活性成分の送達を意味する。これは経口摂取による消化管を通した通過を含むことができるが、咽頭などの場所の粘膜を通した送達を意味する。粘膜送達の例には、それだけには限らないが、口送達、咽頭送達、食道送達、直腸送達及び膣送達が含まれる。
大部分のポリフェノールは腸で大きな代謝を行い、主として不活性なグルクロニド、メチル又はサルフェート複合体として血清及び尿中に存在することが示された。本発明者らは、本発明の果実細胞培養物の粘膜送達は、含まれる活性剤のバイオアベイラビリティを増強しそれにより抗炎症作用を高めるという仮説を立てた。
好ましくは、送達の場所は経口である。最近の疫学的証拠はこの見解を支持している。というのは、食事性フラボノイドは口中の唾液によって活性化されることが示されたからである(Browning他、2005,J.Pharm.Pharmacol.57:1037−42)。経口の粘膜送達は、口底を覆っている粘膜を通した活性剤の全身送達である舌下送達、又は頬を覆っている粘膜(頬粘膜)を通しての薬剤投与である頬側送達によって実施することができる。口腔粘膜送達用に特に有用である製剤には、それだけには限らないが、うがい薬、ストリップ、泡沫、チューインガム、経口スプレー、ロゼンジ、食物、練り歯磨き及びカプセルが含まれる。特に好ましい製剤はチューインガムである。
製剤、例えばチューインガムは、低又は高水分、糖又は無糖、ワックス含有又はワックスを含まず、低カロリー(ハイベース(high base)若しくは低カロリー充填材による)であってよく、且つ/又は歯科薬を含んでよい。
本発明の活性剤は、カプセル化又は閉じ込めて粘膜製剤からの遅延放出を提供することもできる。活性剤の部分又は完全なカプセル化を提供する任意の標準の技術を使用することができる。これらの技術には、それだけには限らないが、噴霧乾燥、噴霧冷却(spray chilling)、流動層被覆及びコアセルベーションが含まれる。これらのカプセル化技術は、単一ステッププロセスで個別に、又は多数ステッププロセスで任意の組合せで使用することができる。
遅延放出製剤を提供する他の方法には、それだけには限らないが、部分カプセル化を提供するアグロメレーション、同じく部分カプセル化を提供する凝固又は吸収、及び押し出された化合物中への閉じ込めが含まれる。
活性剤のコーティング又はカプセル化材料の量も、チューインガムからのその放出時間の長さを制御することができる。
一般的に、コーティングのレベルが高くなるほど、及び活性剤の量が少なくなるほど、それだけ放出が遅くなる。遅延放出製剤を製剤化するための方法及び材料は、当技術分野で周知である。例えば、PCT特許出願公開WO00/35298は、チューインガムの遅延放出製剤を製剤化するための方法及び材料を教示している。
本発明の活性剤(すなわち、特定の果実細胞培養物から得られる活性剤)は、様々な方法で製剤化し同一の賦形剤を経由して投与することができる。例えば、活性剤は、同一の賦形剤中で速い放出、中程度の放出、及び遅い放出用にカプセル化することができる。さらに、本発明の活性剤は、速い放出用にガムコーティングに添加することができ、遅い放出用に、カプセル化して又はしないでガムの中心にも添加することができる。
より速い吸収は、着香料の濃度を増加させること、並びにメントール及びメントール誘導体、リモネン、カルボン、イソメントール、オイカリプトール、メントン、ピネン、樟脳及び樟脳誘導体、及びモノテルペン天然産物、モノテルペン誘導体、並びにカリオフィレン及びコパエン(copaene)を含めたセスキテルペンなどの他の着香成分の添加によって実施することができる。
製剤は、粘膜を通した血液中への活性剤の浸透を増強する他の薬剤を含むことができる。このような薬剤の例には、それだけには限らないが、23−ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、ラウリン酸、ラウリン酸/プロピレングリコール、リゾホスファチジルコリン、メントール、メトキシサリチレート、メトキシオレエート、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、ナトリウムEDTA、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、スルホキシド及び種々のアルキルグリコシドが含まれる。
他の変更形態も、活性剤の粘膜中への放出速度に影響を及ぼしうる。ベースを軟化する質感改変剤は、硬いベースがより緩慢な放出を与えうる場合により速い放出を与えることができる。重炭酸ナトリウム又は水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質の添加は、唾液をわずかにアルカリ性にすることができ、それは薬剤の血流中への頬側/舌側吸収を増加させることができる。
本発明の活性剤の放出は、製剤の形状及びサイズによっても影響されうる。例えば、大きな表面の板ガムは、咀嚼されるときにガムから活性剤をより早く唾液中に放出することができるが、球形又は立方体は、薬剤及び活性剤をより緩慢に放出することができる。
チューインガムの錠剤化は、英国特許公開1,489,832;米国特許4,753,805;欧州特許公開0221850;及びイタリア特許公開1,273,487に開示されている。これらの特許は、チューンガムに添加され次いで錠剤化される活性剤を開示している。
着色剤も製剤に添加することができる。本発明により企図された着色剤は、食品品質色素を含む。シロップに好ましく添加される塗膜形成要素には、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど及びそれらの組合せが含まれる。好ましい一実施形態によれば、本発明の果実細胞培養物は、無色の濃縮物で提供される。
上記の通り、本発明の果実細胞培養物は、味がよくてよく、苦味を相殺する薬剤、例えばナトリウム塩を添加してよい。さらに、甘味料を添加してよい。甘味料は、無糖又は糖含有成分を含んでよい。
鼻孔吸入による投与用には、本発明による使用される活性成分は、都合よくは、適切な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素を使用する加圧パック又はネブライザーからのエアゾールスプレー供給の形態で送達することができる。加圧エアゾールの場合においては、単位用量は、定量を送達するバルブを提供することによって決定することができる。化合物及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベースの混合粉末を含む、ディスペンサーでの使用のための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジを製剤化することができる。
本発明の製剤は、例えば、ココアバター又は他のグリセリドなどの通常の座薬ベースを使用して、座薬又は滞留浣腸などの直腸用組成物に製剤化することもできる。
本明細書で上記に記載された通り、本発明の果実細胞培養物及びそれから得られる製剤は、食品添加物として提供し経口で摂取することもできる。
「食品添加物」[FDAによって21C.F.R.170.3(e)(1)中に定義された]という句は、食品に添加されることを目的とした任意の液体又は固体材料を含む。この材料は、例えば、明確な味及び/又は香味又は生理的影響(例えば、ビタミン)を有する薬剤を含むことができる。さらに、果実細胞培養物及びそれから得られる製剤は、飼料添加物として動物に提供することができる。
本発明の食品添加組成物は、様々な食品に添加することができる。好ましくは、本発明の果実細胞培養物は、粘膜送達を増すように、嚥下の前に口中に留まる食物に添加される。このような食物の例にはチョコレート、キャンディー及びアイスクリームが含まれる。
本明細書で用いられる「食品」という句は、本質的に、成長、修復及び生命過程を維持しエネルギーを供給するために有機体の身体に使用されるタンパク質、炭水化物及び/又は脂肪を含む材料を表す。食品は、ミネラル、ビタミン及び香辛料などの補助物質も含むことができる。Merriani−Webster’s Collegiate Dictionary,10th Edition,1993を参照されたい。本明細書で使用される「食品」という句は、人間又は動物の消費用に適合された飲料をさらに含む。
本発明の食品添加物を含む食品は、例えば、それらの有用性及び効果が当技術分野で周知である、抗酸化薬、甘味料、香味料、着色料、保存料、ビタミン及びミネラルなどの栄養添加物、アミノ酸(すなわち、必須アミノ酸)、乳化剤、酸味料などのpH調整剤、親水コロイド、消泡剤及び離型剤、小麦改良又は補強剤、膨らまし又は膨脹剤、ガス及びキレート剤などの追加の添加物を含むこともできる。
本発明の別の態様によれば、ブドウ細胞系培養物及びそれらから得られる製剤は、経口、腸、又は筋肉内、皮下及び髄内注射並びにくも膜下、直接脳室内、静脈、腹腔内、鼻腔内、若しくは眼内注射を含めた非経口送達を含めた送達の他の方式用に製剤化することができる。
注射用には、医薬組成物の活性成分は、水溶液、好ましくはハンク溶液(Hank’s solution)、リンガー溶液、又は生理的食塩水などの生理学的に適合する緩衝剤に製剤化することができる。
したがって、本明細書に記載されるブドウ細胞培養物及びそれらから得られる製剤は、非経口的投与、例えば、ボーラス投与又は持続点滴のために製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形形態で、例えば、場合によっては追加の保存料を含む、アンプルで、又は複数回投与容器(multidose container)で提供することができる。組成物は、油性又は水性賦形剤中の懸濁液、溶液又は乳濁液であってよく、懸濁化、安定化及び/又は分散剤などの製剤補助剤(formulatory agent)を含むことができる。
非経口的投与用の医薬組成物は、水溶性の形態の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性注射懸濁液として調製することができる。適切な脂溶性の溶媒又は賦形剤には、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル、トリグリセリド若しくはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射用懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含むことができる。場合によっては、懸濁液は、適切な安定剤、又は複合体の可溶性を増加させて極めて濃縮された溶液の製剤を可能にする薬剤を含むこともできる。
本発明に関する使用に適した医薬組成物は、活性成分が所定の目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を含む。より詳細には、治療有効量は、疾患(例えば、アテローム性動脈硬化)の症状を予防、緩和又は改善する、又は治療される対象の生き残りを延長するのに有効な活性成分(果実細胞培養物)の量を意味する。
治療有効量の決定は、特に、本明細書で提供される詳細な開示を踏まえると、当業者の能力の範囲である。
本発明の方法に使用される任意の製剤用には、治療有効量又は用量は、下記の実施例3に記載されるET−1及びeNOS細胞培養評価分析などのインビトロ及び細胞培養評価分析から最初に見積もることができる。例えば、用量を、動物モデルにおいて、所望の濃度又は滴定量を達成するように処方することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するのに使用することができる。
本明細書に記載された活性成分の毒性及び治療効力は、インビトロ、細胞培養又は実験動物における標準の製剤手順によって決定することができる。インビトロ及び細胞培養評価分析及び動物研究から得られるデータは、人間に使用するための用量の範囲を処方するのに使用することができる。用量は、用いられる投薬形態及び使用される投与経路に応じて変わりうる。厳密な処方、投与経路及び用量は、患者の状態を考慮して個別の医師によって選択されうる(例えば、Fingl他、1975,「治療学の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、Ch.1 p.lを参照されたい)。
用量及び間隔は、生物学的効果(最小有効濃度、MEC)を誘導又は抑制するのに十分な、活性成分の血漿又は脳濃度を提供するように個々に調節することができる。MECは、それぞれの製剤で変わるが、インビトロデータから見積もることができる。MECを達成するのに必要な用量は、個々の特徴及び投与経路による。検出評価分析を、血漿濃度を測定するのに使用することができる。
治療すべき病気の重篤性及び反応性に応じて、投薬は、数日から数週間まで、又は治癒が行われる又は疾患状態の減少が達成されるまでの治療過程を伴う単一又は複数の投薬でありうる。
投与されるべき組成物の量は、当然、治療される対象、苦痛の重篤性、投与の方法、処方をする医師の判断に依存する。
相溶性のある製薬用担体に製剤化される、本発明の製剤を含む組成物は、調製し、適切な容器に置き、指示条件の治療用にラベルを貼ることもできる。
本発明の組成物は、必要に応じて、活性成分を含む1つ又は複数の単位投薬形態を含むことができるFDA承認キットなどのパック又はディスペンサー機器で提供することができる。該パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属又はプラスティックホイルを含むことができる。該パック又はディスペンサー機器には、投与の説明書を添えることができる。該パック又はディスペンサーには、医薬の製造者、使用又は販売を規制する行政機関によって規定された書式の、容器に付随する注意書きを添えることもでき、その注意書きは、該組成物の書式又はヒト若しくは動物用投与の機関による承認を反映する。このような注意書きは、例えば、米国食品医薬品局によって承認された、処方薬のラベル表示のもの、又は承認された製品注意書きのものであってよい。
本発明の果実細胞培養物は抗炎症活性を含むので、それらは炎症に関係した疾患の治療用に使用することができる。
したがって、本発明の別の態様によれば、治療有効量の果実細胞培養物及び/又はそれから得られる製剤を、それを必要とする対象に粘膜投与し、それにより炎症性障害を治療するステップを含む、炎症性障害の治療法が提供される。
本明細書で用いられる「治療」という用語は、炎症性疾患、状態又は障害に関係する症状のいくらか又は全ての防止を意味する。「治療」という用語は、炎症性疾患の症状又は根本原因を緩和すること、疾患を有する患者の期待寿命の延長、及び疾患からの完全な回復も意味する。
本明細書で用いられる「炎症性障害」という句には、それだけには限らないが、慢性炎症性疾患及び障害、及び急性炎症性疾患及び障害が含まれる。このような疾患及び状態の例は以下に要約されている。
過敏症に関係した炎症性疾患
過敏症の例には、それだけには限らないが、タイプI過敏症、タイプII過敏症、タイプIII過敏症、タイプIV過敏症、即時型過敏症、抗体媒介性過敏症、免疫複合体媒介性過敏症、Tリンパ球媒介性過敏症及びDTHが含まれる。
ぜんそくなどのタイプI又は即時型過敏症。
タイプII過敏症には、それだけには限らないが、リウマチ様疾患、リウマチ様自己免疫疾患、関節リウマチ(Krenn V.他、Histol Histopathol 2000 Jul;15 (3):791)、脊椎炎、強直性脊椎炎(Jan Voswinkel他、Arthritis Res 2001;3(3):189)、全身性疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Erikson J.他、Immunol Res 1998;17(1−2):49)、硬化症、全身性硬化症(Renaudineau Y.他、Clin Diagn Lab Immunol.1999 Mar;6(2):156);Chan OT.他、Immunol Rev 1999 Jun;169:107)、腺疾患、自己免疫性腺疾患、自己免疫性膵臓疾患、糖尿病、タイプI糖尿病(Zimmet P.Diabetes Res Clin Pract 1996 Oct;34 Suppl:S125)、甲状腺疾患、自己免疫甲状腺疾患、グレーブス病 (Orgiazzi J.Endocrinol Metab Clin North Am 2000 Jun;29(2):339)、甲状腺炎、突発性自己免疫甲状腺炎(Braley−Mullen H.and Yu S,J Immunol 2000 Dec 15;165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N.他、Nippon Rinsho 1999 Aug;57(8):1810)、粘液水腫、特発性粘液水腫(Mitsuma T.Nippon Rinsho.1999 Aug;57(8):1759);自己免疫生殖疾患(autoimmune reproductive disease)、卵巣疾患、卵巣自己免疫疾患(Garza KM.他、J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、自己免疫抗精子不妊症(autoimmune anti−sperm infertility)(Dickman A.B.他、Am J Reprod Immunol.2000 Mar;43(3):134)、反復胎児死亡(repeated fetal loss)(Tincani A.他、Lupus 1998;7 Suppl 2:S107−9)、神経変性病、神経系の疾患、神経系自己免疫疾患、多発性硬化(Cross AH.他、J Neuroimmunol 2001 Jan 1;112(1−2):1)、アルツハイマー病、(Oron L.他、J Neural Transm Suppl.1997;49:77)、重症筋無力症(Infante AJ.And Kraig E,Int Rev Immunol 1999;18(1−2):83)、運動神経障害(Kornberg AJ. J Clin Neurosci.2000 May;7(3):191)、ギランバレー症候群、ニューロパシー及び自己免疫ニューロパシー(Kusunoki S. Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):234)、筋無力性疾患、Lambert−Eaton筋無力症候群(Takamori M.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):204)、腫瘍随伴症の神経系疾患、小脳萎縮症、腫瘍随伴症の小脳萎縮症、非腫瘍随伴性スティフマン症候群、小脳萎縮症、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジルドラツレット症候群、多腺性内分泌障害、自己免疫多腺性内分泌障害、(Antoine JC.and Honnorat J.Rev Neurol(Paris)2000 Jan;156(1):23);ニューロパシー、免疫不全ニューロパシー(dysimmune neuropathies)(Nobile−Orazio E.他、Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl 1999;50:419);神経性筋強直症、後天性神経性筋強直症、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A.他、Ann NY Acad Sci.1998 May 13;841:482)、循環器疾患、循環器自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症(Matsuura E.他、Lupus.1998;7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O.Lupus.1998;7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A.他、Lupus 1998;7 Suppl 2:S107−9)、肉芽腫症、ヴェーゲナー肉芽腫症、動脈炎、高安動脈炎及び川崎症候群(Praprotnik S.他、Wien Klin Wochenschr 2000 Aug 25;112(15−16):660);抗因子VIII自己免疫疾患(anti−factor VIII autoimmune disease)(Lacroix−Desmazes S.他、Semin Thromb Hemost.2000;26(2):157);脈管炎、壊死性小血管脈管炎(necrotizing small vessel vasculitises)、顕微鏡的多発性血管炎、チャーグ及びストラウス症候群、糸球体腎炎、乏免疫沈着性巣状壊死性糸球体腎炎(pauci−immune focal necrotizing glomerulonephritis)、半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH.Ann Med Interne(Paris).2000 May;151(3):178);抗リン脂質症候群(Flamholz R.他、J Clin Apheresis 1999;14(4):171);心不全、心不全におけるアゴニスト様βアドレナリン受容体(agonist−like beta−adrenoceptor antibodies in heart failure)(Wallukat G.他、Am J Cardiol.1999 Jun 17;83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F.Ann Ital Med Int.1999 Apr−Jun;14(2):114);溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG.他、Leuk Lymphoma 1998 Jan;28(3−4):285)、胃腸病、消化管の自己免疫性疾患、消化管疾患、慢性炎症性消化管疾患(Garcia Herola A.他、Gastroenterol Hepatol.2000 Jan;23(1):16)、セリアック病(Landau YE.and Shoenfeld Y.Harefuah 2000 Jan 16;138(2):122)、筋肉組織の自己免疫性疾患、筋炎、自己免疫性筋炎、シェーグレン症候群(Feist E.他、Int Arch Allergy Immunol 2000 Sep;123(1):92);平滑筋自己免疫疾患(Zauli D.他、Biomed Pharmacother 1999 Jun;53(5−6):234)、肝疾患、自己免疫性肝疾患、自己免疫性肝炎(Manns MP.J Hepatol 2000 Aug;33(2):326)及び原発性胆汁性肝硬変症(Strassburg CP.他、Eur J Gastroenterol Hepatol.1999 Jun;11(6):595)が含まれる。
タイプIV又はT細胞媒介過敏症には、それだけには限らないが、リウマチ様疾患、関節リウマチ(Tisch R,McDevitt HO.Proc Natl Acad Sci USA 1994 Jan 18;91(2):437)、全身性疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Datta SK.,Lupus 1998;7(9):591)、腺疾患、自己免疫性腺疾患、膵疾患、自己免疫性膵臓疾患、タイプ1糖尿病(Castano L.and Eisenbarth GS.Ann.Rev.Immunol.8:647);甲状腺疾患、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病(Sakata S.他、Mol Cell Endocrinol 1993 Mar;92(1):77);卵巣疾患(Garza KM.他、J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、前立腺炎、自己免疫性前立腺炎、(Alexander RB.他、Urology 1997 Dec;50(6):893)、多腺症候群、自己免疫性多腺症候群、タイプI自己免疫性多腺症候群(Hara T.他、Blood.1991 Mar 1;77(5):1127)、神経疾患、自己免疫性神経疾患、多発性硬化症、神経炎、視神経炎(Soderstrom M.他、J Neurol Neurosurg Psychiatry 1994 May;57(5):544)、重症筋無力症(Oshima M.他、Eur J Immunol 1990 Dec;20(12):2563)、スティフマン症候群(Hiemstra HS.他、Proc Natl Acad Sci U S A 2001 Mar 27;98(7):3988)、循環器疾患、シャーガス病における心臓自己免疫病(cardiac autoimmunity in Chagas’disease)(Cunha−Neto E.他、J Clin Invest 1996 Oct 15;98(8):1709)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(Semple JW.他、Blood 1996 May 15;87(10):4245)、抗ヘルパーTリンパ球自己免疫(anti−helper T lymphocyte autoimmunity)(Caporossi AP.他、Viral Immunol 1998;11(1):9)、溶血性貧血(Sallah S.他、Ann Hematol 1997 Mar;74(3):139)、肝疾患、自己免疫性肝疾患、肝臓炎、慢性活動性肝炎(Franco A.他、Clin Immunol Immunopathol 1990 Mar;54(3):382)、胆汁性肝硬変、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE.Clin Sci(Colch)1996 Nov;91(5):551)、腎臓疾患、腎臓自己免疫疾患、腎炎、間質性腎炎(Kelly CJ.J Am Soc Nephrol 1990 Aug;1(2):140)、結合組織病、耳疾患、自己免疫性結合組織病、自己免疫性耳疾患(Yoo TJ.他、Cell Immunol 1994 Aug;157(1):249)、内耳の疾患(Gloddek B.他、Ann.NY Acad Sci 1997 Dec 29;830:266)、皮膚病(skin disease)、皮膚病(cutaneous diseases)、皮膚病(dermal diseases)、水疱性皮膚病、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡及び落葉状天疱瘡が含まれる。
遅延型過敏症の例には、それだけには限らないが、接触性皮膚炎及び薬疹が含まれる。
Tリンパ球媒介性過敏症のタイプの例には、それだけには限らないが、ヘルパーTリンパ球及び細胞障害性Tリンパ球が含まれる。
ヘルパーTリンパ球媒介性過敏症の例には、それだけには限らないが、T1リンパ球媒介性過敏症及びT2リンパ球媒介性過敏症が含まれる。
自己免疫疾患
自己免疫疾患には、それだけには限らないが、循環器疾患、リウマチ様疾患、腺疾患、消化器疾患、皮膚病、肝疾患、神経疾患、筋疾患、腎臓疾患、生殖に関係した疾患、結合組織病及び全身性疾患が含まれる。
自己免疫性循環器疾患の例には、それだけには限らないが、アテローム性動脈硬化(Matsuura E.他、Lupus.1998;7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O.Lupus.1998;7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A.他、Lupus 1998;7 Suppl 2:S107−9)、ヴェーゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎症候群(Praprotnik S.他、Wien Klin Wochenschr 2000 Aug 25;112(15−16):660)、抗因子VIII自己免疫疾患(Lacroix−Desmazes S.他、Semin Thromb Hemost.2000;26(2):157)、壊死性小血管脈管炎(necrotizing small vessel vasculitis)、顕微鏡的多発性血管炎、チャーグ及びストラウス症候群、乏免疫沈着性巣状壊死性糸球体腎炎及び半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH.Ann Med Interne(Paris).2000 May;151(3):178)、抗リン脂質症候群(Flamholz R.他、J Clin Apheresis 1999;14(4):171)、抗体誘導性心不全(antibody−induced heart failure)(Wallukat G.他、Am J Cardiol.1999 Jun 17;83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F.Ann Ital Med int.1999 Apr−Jun;14(2):114;Semple JW.他、Blood 1996 May 15;87(10):4245)、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG.他、Leuk Lymphoma 1998 Jan;28(3−4):285;Sallah S.他、Ann Hematol 1997 Mar;74(3):139)、シャーガス病における心臓自己免疫病(Cunha−Neto E.他、J Clin Invest 1996 Oct 15;98(8):1709)及び抗ヘルパーTリンパ球自己免疫(anti−helper T lymphocyte autoimmunity)(Caporossi AP.他、Viral Immunol 1998;11(1):9)が含まれる。
自己免疫性リウマチ様疾患の例には、それだけには限らないが、関節リウマチ(Krenn V.他、Histol Histopathol 2000 Jul;15(3):791;Tisch R,McDevitt HO.Proc Natl Acad Sci units SA 1994 Jan 18;91(2):437)及び強直性脊椎炎(Jan Voswinkel他、Arthritis Res 2001;3(3):189)が含まれる。
自己免疫性腺疾患の例には、それだけには限らないが、膵疾患、タイプI糖尿病、甲状腺疾患、グレーブス病、甲状腺炎、突発性自己免疫甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液水腫(idiopathic myxedema)、卵巣自己免疫病(ovarian autoimmunity)、自己免疫性抗精子不妊症、自己免疫性前立腺炎及びタイプI自己免疫性多腺症候群(Type I autoimmune polyglandular syndrome)が含まれる。疾患には、それだけには限らないが、膵臓の自己免疫性疾患、タイプ1糖尿病(Castano L.and Eisenbarth GS.Ann.Rev.Immunol.8:647;Zimmet P.Diabetes Res Clin Pract 1996 Oct;34 Suppl:S125)、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病(Orgiazzi J.Endocrinol Metab Clin North Am 2000 Jun;29(2):339;Sakata S.他、Mol Cell Endocrinol 1993 Mar;92(1):77)、突発性自己免疫甲状腺炎(Braley−Mullen H.and Yu S,J Immunol 2000 Dec 15;165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N.他、Nippon Rinsho 1999 Aug;57(8):1810)、突発性粘液水腫(Mitsuma T.Nippon Rinsho.1999 Aug;57(8):1759)、卵巣自己免疫病(Garza KM.他、J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、自己免疫性抗精子不妊症(Diekman AB.他、Am J Reprod Immunol.2000 Mar;43(3):134)、自己免疫性前立腺炎(Alexander RB.他、Urology 1997 Dec;50(6):893)及びタイプI自己免疫性多腺症候群(Hara T.他、Blood. 1991 Mar 1;77(5):1127)が含まれる。
自己免疫性消化器疾患の例には、それだけには限らないが、慢性炎症性消化管疾患(Garcia Herola A.他、Gastroenterol Hepatol.2000 Jan;23(1):16)、セリアック病(Landau YE.and Shoenfeld Y.Harefuah 2000 Jan 16;138(2):122)、結腸炎、回腸炎及びクローン病が含まれる。
自己免疫性皮膚病の例には、それだけには限らないが、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡及び落葉状天疱瘡などの自己免疫性水疱性皮膚病が含まれるがそれだけには限らない。
自己免疫性肝疾患の例には、それだけには限らないが、肝炎、自己免疫性慢性活動性肝炎(Franco A.他、Clin Immunol Immunopathol 1990 Mar;54(3):382)、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE,Clin Sci(Colch)1996 Nov;91(5):551;Strassburg CP.他、Eur J Gastroenterol Hepatol.1999Jun;11(6):595)及び自己免疫性肝炎(Manns MP.J Hepatol 2000 Aug;33(2):326)が含まれる。
自己免疫性神経疾患の例には、それだけには限らないが、多発性硬化(Cross AH.他、J Neuroimmunol 2001 Jan 1;112(1−2):1)、アルツハイマー病(Oron L.他、J Neural Transm Suppl.1997;49:77)、重症筋無力症(Infante AJ.And Kraig E,Int Rev Immunol 1999;18(1−2):83;Oshima M.他、Eur J Immunol 1990 Dec;20(12):2563)、ニューロパシー、運動神経障害(Kornberg AJ.J Clin Neurosci.2000 May;7(3):191);ギランバレー症候群及び自己免疫性ニューロパシー(Kusunoki S.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):234)、筋無力症、Lambert−Eaton 筋無力症候群(Takamori M.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):204);腫瘍随伴症の神経疾患(paraneoplastic neurological diseases)、小脳萎縮症、腫瘍随伴症の小脳萎縮症及びスティフマン症候群(Hiemstra HS.他、Proc Natl Acad Sci units SA 2001 Mar 27;98(7):3988);非腫瘍随伴症のスティフマン症候群、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎(Rasmussen’s encephalitis)、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジルドラツレット症候群及び自己免疫性多腺性内分泌障害(Antoine JC.and Honnorat J.Rev Neural(Paris)2000 Jan;156(1):23);免疫不全ニューロパシー(Nobile−Orazio E.他、Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl 1999;50:419);後天性神経性筋強直症、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A.他、Ann NY Acad Sci.1998 May 13;841:482)、神経炎、視神経炎(Soderstrom M.他、J Neurol Neurosurg Psychiatry 1994 May;57(5):544)及び神経変性病が含まれる。
自己免疫性筋疾患の例には、それだけには限らないが、筋炎、自己免疫性筋炎及び原発性シェーグレン症候群(Feist E.他、Int Arch Allergy Immunol 2000 Sep;123(1):92)及び平滑筋自己免疫疾患(Zauli D.他、Biomed Pharmacother 1999 Jun;53(5−6):234)が含まれる。
自己免疫性腎臓疾患の例には、それだけには限らないが、腎炎及び自己免疫性間質性腎炎(Kelly CJ.J Am Soc Nephrol 1990 Aug;1(2):140)が含まれる。
生殖に関係した自己免疫性疾患の例には、それだけには限らないが、反復胎児死亡(Tincani A.他、Lupus 1998;7 Suppl 2:S107−9)が含まれる。
自己免疫性結合組織病の例には、それだけには限らないが、耳疾患、自己免疫性耳疾患(Yoo TJ.他、Cell Immunol 1994 Aug;157(1):249)及び内耳の自己免疫性疾患(Gloddek B.他、Ann NY Acad Sci 1997 Dec 29;830:266)が含まれる。
自己免疫性全身性疾患の例には、それだけには限らないが、全身性エリテマトーデス(Erikson J.他、Immunol Res 1998;17(1−2):49)及び全身性硬化症(Renaudineau Y.他、Clin Diagn Lab Immunol.1999 Mar;6(2):156);Chan OT.他、Immunol Rev 1999 Jun;169:107)が含まれる。
感染性疾患
感染性疾患の例には、それだけには限らないが、慢性感染性疾患、亜急性感染性疾患、急性感染性疾患、ウイルス性疾患、細菌性疾患、原虫感染症、寄生虫症、真菌病、マイコプラズマ感染及びプリオン病が含まれる。
組織不適合性疾患
組織の移植に関係した疾患の例には、それだけには限らないが、組織不適合、慢性組織不適合、亜急性組織不適合、超急性組織不適合、急性組織不適合及び移植片対宿主拒絶反応が含まれる。
アレルギー性疾患
アレルギー性疾患の例には、それだけには限らないが、ぜんそく、じんましん、皮膚の掻痒、花粉アレルギー、塵埃ダニアレルギー(dust mite allergy)、毒物アレルギー(venom allergy)、化粧品アレルギー、ラテックスアレルギー、化学アレルギー、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー(insect bite allergy)、動物の鱗屑アレルギー、棘植物アレルギー(stinging plant allergy)、ツタウルシアレルギー(poison ivy allergy)及び食物アレルギーが含まれる。
癌性疾患
癌の例としては、それだけには限らないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。癌性疾患の特定の例は、それだけには限らないが、慢性骨髄性白血病などの骨髄性白血病が含まれる。成熟に伴う急性骨髄性白血病。急性前骨髄球性白血病、増加した好塩基球を伴う急性非リンパ性白血病、急性単球性白血病。好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病;バーキット非ホジキン(Birkitt’s Non−Hodgkin’s)などの悪性リンパ腫;急性リンパ芽球性白血病などのリンパ性白血病。慢性リンパ性白血病;充実性腫瘍良性髄膜腫(Solid tumors Benign Meningioma)、唾液腺の混合腫瘍、大腸腺腫などの骨髄増殖性疾患;小細胞肺癌、腎臓、子宮、前立腺、膀胱、卵巣、結腸、肉腫、脂肪肉腫、粘液様、滑膜肉腫、横紋筋肉腫(歯槽)、骨外性粘液様軟骨肉腫(extraskeletal myxoid chondrosarcoma)、ユーイング腫瘍;その他は、睾丸及び卵巣の未分化胚細胞腫、網膜芽腫、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、悪性黒色腫、中皮腫、乳房、皮膚、前立腺、及び卵巣などの腺癌を含む。
本発明のこの態様の好ましい実施形態によれば、疾患は、アテローム性動脈硬化又は口又は歯ぐきの炎症性疾患である。
本発明のさらなる目的、利点、及び新規の特徴は、制限することを目的としていない以下の実施例を調査すれば当業者に明らかになるであろう。さらに、本明細書で上記に記載され、且つ特許請求の範囲の節で以下に主張された本発明の様々な実施形態及び態様のそれぞれは、以下の実施例で実験的な支持を見い出す。
上記の記載と一緒に本発明を非制限的に例示する以下の実施例を参照されたい。
一般的には、本明細書に使用される命名法及び本発明で使用される実験手順には、分子、生化学、微生物学及び組換えDNA技術が含まれる。このような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、以下を参照されたく、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A laboratory Manual)」、Sambrook他、(1989);「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、Volumes I−III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel他、「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「分子クローニングの実用ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」、John Wiley&Sons,New York(1988);Watson他、「組換え型DNA(Recombinant DNA)」、Scientific American Books,NewYork;Birren他、(eds)「ゲノム分析:実験室マニュアルシリーズ(Genome Analysis:A Laboratory Manual Series)」、Vols.1−4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NewYork(1998);米国特許4,666,828;4,683,202;4,801,531;5,192,659及び5,272,057に記載された手順;「細胞生物学:実験室ハンドブック(Cell Biology:A Laboratory Handbook)」、Volumes I−III Cellis,J.E.,ed.(1994);「動物細胞の培養−基礎技術のマニュアル(Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique)」by Freshney,Wiley−Liss,N.Y.(1994),Third Edition;「免疫学における最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)」Volumes I−III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites他(eds)、「基礎及び臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(8th Edition),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds)、「細胞免疫学における選択的方法(Selected Methods in Cellular Immunology)」、W.H.Freeman and Co.,NewYork(1980);利用できる免疫学的検定が、特許及び科学文献に広範囲に記載されており、例えば、米国特許3,791,932;3,839,153;3,850,752;3,850,578;3,853,987;3,867,517;3,879,262;3,901,654;3,935,074;3,984,533;3,996,345;4,034,074;4,098,876;4,879,219;5,011,771及び5,281,521を参照されたく;「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」Gait,M.J.,ed.(1984);「核酸ハイブリッド形成(Nucleic Acid Hybridization)」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985);「転写及び翻訳(Transcription and Translation)」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984);「動物細胞培養(Animal Cell Culture)」Freshney,R.I.,ed.(1986);「固定化細胞及び酵素(Immobilized Cells and Enzymes)」IRL Press,(1986);「分子クローニングの実用ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」Perbal,B.,(1984)and「酵素学の方法(Methods in Enzymology)」Vol.1−317,Academic Press;「PCRプロトコル:方法及び応用のガイド(PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications)」、Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak他、「タンパク質の精製及び特徴付けのための方策−実験室コースマニュアル(Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual)」CSHL Press(1996)、これらの文献の全ては、完全に本明細書に記載されているかのように、参照によりその全体が組み込まれる。他の一般的な参照が、この文献を通して提供されている。その中の手順は当技術分野で周知であると思われ、読者の便宜のために提供される。それに含まれる全ての情報は、参照により本明細書に組み込まれる。
(実施例1)
赤ブドウ細胞系の生成
材料及び方法
植物材料:
植物材料は、ブドウ横断切片の全ての部分、ブドウ皮細胞及びブドウ種皮から誘導されたカルスから抽出された。
ブドウ横断切片からのカルス:長さ4から8cmの若いブドウの房が、開花後20〜50日に屋外栽培のブドウの木から刈り取られ、水道水で十分にすすがれた。種無しブドウのVitis vinifera cv.「AVNIR825」(Agraman及びGamay redの間の交配種)の緑色未熟液果(berry)が、1.3重量/体積%次亜塩素酸ナトリウム及び湿潤剤としての(0.1体積/体積%)Tween20を含む溶液中で10分間殺菌された。外植片が、ろ過滅菌された1.7mMアスコルビン酸及び0.8mMクエン酸、100mg/l DTT(ジチオスレイトール)及び50mg/lアセチルシステインで補完された半強度MS(Murashige and Skoog,1962,Physiol Plant15:473−497)液体基礎培地中で、円刃刀を用いて長さ2から3mmの横断面に切り裂かれた。次の抗酸化剤、すなわち、PVP(0.5及び1g/l)、L−システイン(150mg/l)、没食子酸(1.5mg/1)、DTT(70mg/1)、ビオプテリン(15mg/l)、アスコルビン酸(150mg/1)及びクエン酸(150mg/1)が、細胞ネクロジェネシスを防止し緑色の、健康な液果断面の回復を可能にするために切断用培地(cutting medium)に添加された。
液果断面が、0.25%Gelriteで固められた加熱滅菌されたMurashige and Skoog、MS培地の25mlを含む100×15mm培養皿に置かれた。pHは、102kpaで15分間の加熱滅菌の前にpH5.9に調節された。25液果断面をそれぞれ含む30個の培養皿が、パラフィルムで密封され、暗所で26℃において3日間インキュベートされた。培養物が、クールホワイト色蛍光灯から供給される15〜30μmolm−2−1放射照度の16−h光周期の条件下で25℃においてインキュベートされた。MS塩及びビタミン培地はまた、250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース及び100mg/lイノシトールで補完された。カルス誘導については、RD1と指名された0.2mg/lキネチン及び0.1mg/lNAA(α−ナフタリン酢酸)培地でも補完された。
培養開始後3〜4週、緑及び赤カルスの混合物が、液果断面に沿って見ることができた。カルスは、もろい、細長い細胞を含み、そのいくらかはアントシアニンの黒い着色を示した。アントシアニンに富むカルスセクターが選別され、個別に増殖のため継代培養された。緑のカルスセクターが別に培養された。
ブドウ皮細胞からのカルス:長さ4から8cmの若いブドウの房が、屋外栽培のブドウの木から開花後20〜50日に刈り取られ、水道水で十分にすすがれた。種無しブドウのVitis vinifera cv.「AVNIR825」(Agraman及びGamay redの交配種)の緑色未熟液果が、10分間、1.3重量/体積%次亜塩素酸ナトリウム及び湿潤剤としての(0.1体積/体積%)Tween20を含む溶液中で殺菌された。液果皮が、液果皮に3〜8mmの切れ目を生じること及び滅菌ピンセットを用いて剥離することによって皮のみが単離された。皮の単離が、ろ過殺菌された1.7mMアスコルビン酸及び0.8mMクエン酸、100mg/l DTT(ジチオスレイトール)及び50mg/lアセチルシステインで補完された半強度MS(Murashige and Skoog, 1962)液体基礎培地で行われた。
液果皮がRD−1培地に置かれた。約10〜14日後、細胞集塊が果皮の裁断面に増殖し始めた。アントシアニンに富む細胞が選別され、さらなる増殖のために新しい培地中にさらに継代培養された。
ブドウ種皮からのカルス:長さ4から8cmの若いブドウの房が、開花後20〜50日に屋外栽培のブドウの木から刈り取られ、水道水中で十分にすすがれた。種無しブドウのVitis vinifera cv.「AVNIR825」の緑色未熟液果が、1.3重量/体積%次亜塩素酸ナトリウム及び湿潤剤としての(0.1体積/体積%)Tween20を含む溶液中で10分間殺菌された。ブドウを切り開き、若い緑色の生長中の種を現した。未熟な種皮が、切り裂かれて培地に置かれた。単離が、ろ過殺菌された1.7mMアスコルビン酸及び0.8mMクエン酸、100mg/l DTT(ジチオスレイトール)及び50mg/lアセチルシステインで補完された半強度MS (Murashige and Skoog,1962)液体基礎培地で行われた。
種皮部分が、RD−1培地に置かれた。約12〜20日後、種皮は茶色に変わり、カルスは、種皮外植片の頂部に現れ始めた。赤茶色着色に富む細胞が、選択され、さらなる増殖のために新しい培地中にさらに継代培養された。
液体培養物の定着:液体培養物が、10gのカルスの50mlの様々な培地(RD1〜RD6下記参照)中への添加によって定着された。固体培地上で首尾よく定着された全ての細胞系は、ゲル化剤を欠く以外は同じ培地の組合せにおいて均質な細胞懸濁液を生成した。70mg/lのDTT又は150mg/lのアスコルビン酸若しくはクエン酸のいずれかの付加は、液果由来懸濁液培養物の増殖を改良し細胞ネクロジェネシスを防止した。全ての外植片のタイプが、液体培養物の定着に首尾よく利用された。培養物は、7〜10日毎に定期的に新しい生育培地に継代培養された。
液果由来カルス細胞系を定着するために導入された追加のヴィティス種:次のヴィティス種、すなわち、Vitis silvestris、V.muscadinia、V.rotundifolia、V.riparia、V.shuttleworthii、V.lubrisca、V.daviddi、V.amurensis、V.romanelli、V.aestivalis、V.Cynthiana、V.cineria、V.palmate、V.munsoniana、V.cordifolia、Hybrid A23−7−71、V.acerifolia、V.treleasei、V.betulifoliaが、上記に記載されたプロトコルを用いて培養された。
様々なヴィティス種からのカルスの定着に利用された追加の培地:CP(Chee and Pool 1987,Scientia Horticulturae 32:85−95)塩及びビタミン培地がまた、250mg/lのカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)で補完された。カルス誘導用には、それはまた、0.2mg/lキネチン及び0.1mg/l NAA(α−ナフタリン酢酸)で補完され、培地はRD2と指名された。
WPM(木本植物培地)、(Lloyd and McCown 1981,Int Plant Prop Soc Proc 30:421−427)塩及びビタミン培地がまた、250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)で補完された。カルス誘導用には、それはまた、0.2mg/lキネチン及び0.1mg/l NAA(α−ナフタリン酢酸)で補完され、培地はRD3と指名された。
B5(Gamborg他1968,In vitro 12:473−478)塩及びビタミン培地がまた、250mg/lカゼイン加水分解物、2%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)で補完された。カルス誘導用には、それはまた、1mg/l 2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)及び0.2mg/l BA(6−ベンジルアデニン)で補完され、培地はRD4と指名された。
B5(Gamborg他、supra)塩及びビタミン培地がまた、250mg/lカゼイン加水分解物、6%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)で補完された。カルス誘導用には、それはまた、1mg/l 2,4−D及び0.2mg/l BAで補完され、培地はRD5と指名された。
B5(Gamborg他、supra)塩及びビタミン培地がまた、1000mg/lカゼイン加水分解物、9%スクロース、0.25%活性炭及び100mg/lイノシトール(pH5.9)で補完された。カルス誘導用には、それはまた、2mg/l 2,4−D、0.5mg/l NAA、0.2mg/lキネチン及び0.2mg/l BAで補完され、培地はRD6と指名された。
結果
Vitis viniferaブドウ横断切片、ブドウ皮及びブドウ種のカルス生成の効率が、下記の表1に例示されている。
Figure 0005432455
本研究に使用されたいくらかのヴィティス種からの様々なカルスタイプの産生の効率が、下記の表2に要約されている。
Figure 0005432455
(実施例2)
赤ブドウ細胞製剤の生成及び特徴付け
材料及び方法
AVNIR825培養赤ブドウ細胞(RGC)粉末の調製:培養されたRGCが、ろ過され、蒸留水で2回十分に洗浄され、湿った細胞が、水中に懸濁されて(1:1、体積:体積)、凍結乾燥された。別法として、洗浄された細胞が、さらなる使用まで−20℃又は−80℃のいずれかにおいて凍結保存された。乾燥されたRGC粉末が、微粉末に磨砕され、その微粉末が室温で保存された。別法として、洗浄された細胞が、洗浄後に(又は凍結保存された細胞を解凍後に)直ちに液体窒素下で磨砕され、次いで乾燥されて微粉末が得られた。
1グラムの磨砕された湿ったRGC、又は50mgの凍結乾燥されたRGC粉末が、25μg/mlの内皮マイトジェン及び5Uのヘパリンで補完されたM199培地(Gibco,Cat.No.22340020)の700μlと混合され、15分間室温で5分毎にボルテックスしながらインキュベートされた。この混合物が、遠心分離(20000×g、15分、4℃)され、RGC抽出物(RGCE)を含む上澄みが、さらなる使用まで−20℃で貯蔵された。
ワインサンプルの調製:カベルネソービニヨン(Barkan winery,Israel,classic 2003)、Petite Sirah(Barkan winery,Israel,classic 2003)、カベルネソービニヨン(La Tour de Paris,E.A.R.L.du Domain de Grand Vigne,France 2004)の1mlを収容するマイクロチューブが、Hetovac VR1 SpeedVac遠心分離機で40℃において真空下で遠心分離されてスラリーが得られるまでアルコールが除去された。カベルネソービニヨン(Byniamina,Israel,2002)が凍結乾燥された。チューブが、さらなる使用まで4℃又は−20℃で保存された。生物検定(下記参照)の前に、M199培地が、元の体積を取り戻すように添加された。
ブドウ種抽出物サンプルの調製:50mgのブドウ種抽出物(GSE)(OPC,batch 40501−0,Whole Health Products,Boulder,CO,USA)の乾燥粉末が、カプセルから取り出され、300μlの水中に懸濁され、15分間室温で5分毎にボルテックスしながらインキュベートされた。混合物が、遠心分離(20000×g、15分、4℃)され、可溶化されたGSEを含む上澄みが、さらなる使用まで−20℃で保存された。
ブドウ抽出物の特徴付け:ポリフェノール化合物が、磨砕された凍結乾燥RGCから、冷却メタノール:水:酢酸(11:5:1)によって抽出された。これらの抽出物が、Oren Shamir他(Plant Sci.,140:99−106,1999)によって記載された手順に基づいた、酸加水分解(2N HCI,60min.,100℃)を伴う(Fig.1A)又は伴わない(Fig.IB)、RP−18カラムを使用するHPLCにかけられた。注入の前に、サンプルがろ過された(Nalgene,0.45μm,PVDF)。ポリフェノールのプロフィールが、LC−10ATポンプ、SCL−10Aコントローラー及びSPD−M10AVPフォトダイオードアレイ検出器を備えたHPLC(Shimatzu,Japan)を用いて決定された。抽出物サンプルが、RP−18カラム(Vydac 201TP54)に装入され、次の溶液、すなわちDDW(A)及びHO:MeCN:HOAc(107:50:40:3)(B)(両方の溶液ともpH2.3(HPO又はNaOHを用いた滴定))の勾配混合物によって分離された。45分かけて4:1(A:B)の割合から開始して3:7までの線形勾配(0.5ml min−1の流速)が適用され、3:7の割合で追加の10分間保持された。ポリフェノールプロフィールが、主として530nm、310nm及び280nmにおけるその吸収によって視覚化された。
結果
RGC粉末が、−80℃から室温(RT)の温度で18カ月を超えて貯蔵され、観察できる変化はなかった。RGC粉末は、無味であり、あと味もないことが見出された。
(実施例3)
ヒト内皮細胞のET−1及びeNOS濃度に対するRGC抽出物、赤ワイン及びGSEの効果
本発明の赤ブドウ細胞抽出物、赤ワイン及びGSEの抗炎症力が、eNOSの産生を増加、及びヒト臍血管内皮細胞(HUVEC)のET−1の産生を防止するその能力の定量分析によって測定された。ET−1は分泌タンパク質であるので、濃度は培養培地を分析することによって決定された。eNOSは分泌タンパク質ではなく、したがってeNOS濃度は、培養期間の最後においてHUVEC中で決定された。
材料及び方法
内皮プレートの調製:ヒト臍血管内皮細胞(HUVEC)が、ラムバム医療センター血液学研究所(Hematology Laboratory of Rambam Medical Center)から増殖細胞として供給された。この細胞を収容するフラスコが、5%CO雰囲気中で37℃において加湿培養器中で1日間インキュベートされた。これらの条件が、実験を通して維持された。この細胞が、次いでトリプシン処理で回収され等しいアリコットで低温保存された。生物検定を実施する前に、1アリコットが解凍され、20%FCS、25μg/ml内皮マイトジェン、50μg/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン及び5Uヘパリンで補完されたM199培地を含む、50μg/mlフィブロネクチンでプレコートされた100mm皿中で培養された。細胞が70%〜90%の密集度に到達後、それらはトリプトシン処理によって回収され、24−ウエルプレコートプレート中に均一に分配された。培地は隔日に新しくされた。
RGC抽出物、赤ワイン及びGSEを含む内皮細胞のインキュベーション:24−ウエルプレート中の細胞が70%〜90%の密集度に到達後、RGC、GSE又は赤ワインのいずれかの新たに調製されたひと続きの希釈液(FCSを欠く培地中の)を含むサンプル(300μl)が、ウエルに添加され、二通り6時間インキュベートされた。インキュベーション後、吸着細胞を除いて、培地がET−1定量のために完全に集められた。吸着細胞が、PBSで洗浄され、次いでウエスタンブロット分析用のLammeli可溶化SDS緩衝液中に溶解された。
ET−1の測定:各ウエルから別々に取られた培地が遠心分離され、50μlが上澄みから取られ、そのET−1濃度についてラジオイムノアッセイ(Endothelin−1 RIAキットNo.S−2024.0001,Bachem AG,Switzerlandを使用、結果は図1に示されている)、又はELISA(Endothelin EIAキットNo.583151,Cayman Chemical,Ann Harbor MI,USAを使用、結果は表1に示されている)のいずれかによって、定量的に測定された。培地単独でインキュベートされたHUVECの対照が、100%ET−1産生とみなされた。評価分析は二通り実施された。各ウエルのET−1濃度は、対照の%として計算された。
試験されたRGC抽出物、赤ワイン及びGSEサンプルのそれぞれの、対照HUVECに比較したET−1抑制が開始される閾値濃度が、最低の抑制濃度として測定された。ET−1について得られた数値は、各ウエルの全内因性チューブリン量の定量分析によって見積もられた、各ウエルの細胞の量と比較して標準化された(eNOS測定を参照されたい)。
eNOS測定:eNOS産生が、eNOS特異抗体(anti NOS3,C20;Santa Cruz Biotechnology,CA,USA)を用いて可溶化された内皮細胞のウエスタンブロット分析によって測定された。Signalがペルオキシダーゼ抱合二次抗体(Amersham)を用いるECLによって検知され、次いでX線フィルム上に視覚化されるか、又はCCDカメラ(Alfa Innotech FlouroChem 8800)で映された。ゲルバンドのタンパク質の量の測定は、2度目のブロットを抗−βチューブリン(H−235 Santa Cruze Biotechnology,CA,USA)に曝露し、続いてアルカリホスファターゼ二次抗体を用いる比色検出によって実施した。スポットデンシトメトリー(Alfa Innotech software)によるeNOSバンドの定量化は、チューブリンバンド強度に比較して標準化した。
細胞毒性:赤ワインの高濃度がHUVECに毒性であることが見出されたので、細胞は、誤った結果を排除するため、細胞生死判別及び増殖検定として使用されるテトラゾリウム塩で着色することによって(Corder 2002,Meth.Mol.Biol.206:147−164)、その細胞毒性について検査された。ET−1測定用の上澄みの回収に次いで、細胞が、フェノールレッドを欠くM199培地で洗浄され、上記培地中に溶解された0.5mg/ml MTTの300μlで2時間インキュベートされた。インキュベーションに次いで、培地が取り除かれ、細胞によって産生された不溶性ホルマザンが、300μl DMSOで可溶化され、ELISA読取機で570nmにおいて定量化された。
結果
抗炎症性効果:カベルネソービニヨンは、CHD防護(Corder他、2001,Nature 414:863−864)を与える最も有効なワインに入ると報告されたので、その心臓病関連の抗炎症力をRGCのそれと比較するための第1の選択のワインであった。下記の表3は、静脈内皮細胞のET−1の産生を既に抑制するその閾値濃度によって決定されたRGC製剤、市販の赤ワイン及びGSEの抗炎症力を要約している。各製剤がET−1合成の抑制を開始するのに必要な最小量は、その潜在的な抗炎症能力及びアテローム性動脈硬化の進行を遅らせることにおけるその潜在的プラス効果を反映している。
Figure 0005432455
図1は、カベルネソービニヨン(Binyamina 2002,IL)と比較した、固体培地上で培養されたRGCの抗炎症性効果を例示している。16mgの赤ブドウ細胞からの抽出物は、0.12mlの赤ワインに比べて10倍より大きくET−1の濃度を減少させた。それゆえ、1g(果肉湿重量)のブドウ細胞から抽出された抽出物は、75mlの赤ワインと同じだけ効率的にET−1濃度を減少させうる。図2に見られるように、赤ブドウ細胞抽出物は、カベルネソービニヨン及びそのポリフェノール画分及び給餌を制限された(レーン8)及び自由に給餌された(レーン9)ニワトリ(陽性対照として使用された)から得られた血清の1:2希釈物に比べて格段により大きい程度にeNOSの発現を活性化した。
ポリフェノール含有量:RGCPは、フォリン−チオカルト微量法(標準として没食子酸)で測定して、赤ワインにおける2g/リットル及び試験された市販のGSEにおける50%超と比較して、3〜15%のポリフェノール(主として増殖条件及び遺伝源に応じて)を含む。したがって、生物検定におけるET−1合成を完全に抑制するのに必要なポリフェノール量は、他の製品で必要とされる量に比べて格段により少ない。
細胞毒性:ET−1及びeNOS生物検定から得られたデータは、各実験について行われた細胞毒性測定が、ウエルに添加された抽出物がHUVECに対して毒性ではないことを示した場合のみ関連があるとみなされた。HUVE細胞の死が観察されたウエルは、算出データから排除された。細胞毒性の影響の大部分は、高濃度の赤ワインサンプルが使用されたときに観察された。
(実施例4)
本発明のブドウ細胞抽出物の味覚及び香気試験
実験室条件で、Vitis vinifera cv.AVNIR825の18カルスサンプル(約2.5〜5g果肉重量)が、培養皿から集められ、アクセス培地から注意深く水道水で洗浄され、18マルチウエルプレートに置かれた。カルスを、ブロッティングによって乾燥し、さらに2℃から26℃の温度に1〜5時間保った。これらの条件下で、味覚試験が10人の審査員のパネルによって行われた。全10人の審査員が、全てのカルスは無味であり特定の不快な味覚及び/又は香気を示さなかったことを示した。
同じ方法で行われた第2の実験においては、ヴィティス種(表2参照)の14カルスサンプル(約2.5〜5g果肉重量)が10人の審査員のパネルによって味見された。10人の審査員のうちの9人が、カルスを味見して、様々なカルスは無味であり特定の不快な味覚及び/又は香気を示さなかったことを示した。1人の審査員がVitis musdadiniaカルスにおいてかすかな快い液果の香味を報告した。
明確にするために、別の実施形態との関連で記載された、本発明のある特徴はまた、単一の実施形態において組合せで提供することができることを理解されたい。逆に、略して、単一の実施形態との関連で記載された、本発明の様々な特徴はまた、別々に又は任意の適切なサブコンビネーションで提供することができる。
本発明が、その具体的な実施形態と共に記載されてきたが、多くの代替案、変更形態及び変形形態が、当業者には明らかとなろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲に含まれる全てのこのような代替案、変更形態及び変形形態を包含することが意図されている。本明細書に記載された全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個別の刊行物、特許及び特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることを明確且つ個別にに指示されていたかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における任意の参照の引用又は同一視は、このような参照が本発明の先行技術として使用できることの許可であると解釈してはならない。
培地だけ(左)及び生物検定に使用された内皮細胞に有毒でない濃度で培地に溶解されたカベルネソービニヨンワイン乾燥材料を含む培地(中央)又は赤ブドウカルス抽出物(右)で培養されたヒト内皮細胞中のエンドセリン−1の濃度を表す棒グラフを示す図である。 赤ブドウカルス抽出物の存在下で、培地で培養された、培養ヒト内皮細胞中のeNOS濃度のウエスタンブロット分析の写真を示す図である。レーン2及び3は、培地のみで培養された、培養内皮細胞中のeNOSの量を表している。レーン4及び5は、凍結乾燥されたカベルネソービニヨン(Binyamina 2002)から得られた濃縮されたポリフェノール画分を含む培地で培養された培養内皮細胞中のeNOSの量を表している。レーン6及び7は、0.25mgの赤ブドウカルス細胞(レーン6)及び0.5mgのカルス細胞(レーン7)から得られた抽出物を含む培地で培養された、培養内皮細胞中のeNOSの量を表している。レーン8及び9は、給餌を制限された(レーン8)及び自由に給餌された(レーン9)ニワトリから採取されたニワトリ血清活性化因子を含む培地で培養された、培養内皮細胞中のeNOSの量を表している。レーン10は、市販のカベルネソービニヨン(Binyamina 2002,IL)を含む培地で培養された、培養内皮細胞中のeNOSの量を表している。レーン1は、分子量マーカーである。 酸加水分解(2N HCl、60分、100℃)後の本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、530nmにおけるその吸収によって視覚化された。 酸加水分解(2N HCl、60分、100℃)後の本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、310nmにおけるその吸収によって視覚化された。 酸加水分解(2N HCl、60分、100℃)後の本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、280nmにおけるその吸収によって視覚化された。 酸加水分解を行わない本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、530nmにおけるその吸収によって視覚化された。 酸加水分解を行わない本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、310nmにおけるその吸収によって視覚化された。 酸加水分解を行わない本発明のブドウ細胞系抽出物のHPLCパターンを示す図である。ポリフェノールプロフィールが、280nmにおけるその吸収によって視覚化された。

Claims (34)

  1. 活性成分として、インビトロで成長したブドウ果実細胞の乾燥された細胞系カルス培養物であって、該ブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物がブドウ果実横断切片、ブドウ果実皮、ブドウ果肉、ブドウの種、種を取った又は種なしの栽培種のブドウ胚、又はブドウ種皮の一以上に由来する、細胞系カルス培養物、並びに、薬学的に許容される担体を含、炎症性疾患の治療用の医薬組成物
  2. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物が少なくとも2%のポリフェノールを含む、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記ブドウが有色ブドウである、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  4. 前記ブドウが無色ブドウである、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  5. 前記ブドウが野生種のものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物
  6. 前記ブドウが培養種のものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物
  7. 前記医薬組成物が、口、咽頭、食道、直腸又は膣から送達される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物
  8. 前記口送達が口腔送達及び舌下送達からなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物
  9. 前記口送達が、うがい薬、粉末、ストリップ、泡沫、チューインガム、経口スプレー、ロゼンジ、カプセル及び練り歯磨きからなる群によって実施される、請求項7に記載の医薬組成物
  10. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその医薬組成物が1%未満のアルコールを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
  11. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその医薬組成物が無味である、請求項1〜いずれか一項に記載の医薬組成物
  12. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその医薬組成物が味がよい、請求項1〜いずれか一項に記載の医薬組成物
  13. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物及び/又はその医薬組成物が10%未満の甘い糖を含む、請求項1〜いずれか一項に記載の医薬組成物
  14. 前記炎症性疾患が冠状動脈性心臓病である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物
  15. 前記冠状動脈性心臓病がアテローム性動脈硬化である、請求項14に記載の医薬組成物
  16. 活性成分としての無味のインビトロで成長したブドウ果実細胞の乾燥された細胞系カルス培養物であって、該ブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物はブドウ果実横断切片、ブドウ果実皮、ブドウ果肉、ブドウの種、種を取った又は種なしの栽培種のブドウ胚、又はブドウ種皮の一以上に由来するブドウ果実に由来する細胞系カルス培養物、及び薬学的に許容される担体を含む、炎症性疾患の治療用の医薬組成物
  17. 薬学的に許容される担体を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の医薬組成物
  18. 活性成分として、インビトロで成長したブドウ果実細胞の乾燥された細胞系カルス培養物であって、該ブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物がブドウ果実横断切片、ブドウ果実皮、ブドウ果肉、ブドウの種、種を取った又は種なしの栽培種のブドウ胚、又はブドウ種皮の一以上に由来する、細胞系カルス培養物、並びに、薬学的に許容される担体を含み、炎症性疾患の治療用の栄養補助組成物
  19. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物が少なくとも2%のポリフェノールを含む、請求項18に記載の栄養補助組成物
  20. 前記ブドウが有色ブドウである、請求項18又は19に記載の栄養補助組成物
  21. 前記ブドウが無色ブドウである、請求項18又は19に記載の栄養補助組成物
  22. 前記ブドウが野生種のものである、請求項18〜21のいずれか一項に記載の栄養補助組成物
  23. 前記ブドウが培養種のものである、請求項18〜21のいずれか一項に記載の栄養補助組成物
  24. 前記栄養補助組成物が、口、咽頭、食道、直腸又は膣から送達される、請求項18〜23のいずれか一項に記載の栄養補助組成物
  25. 前記口送達が口腔送達及び舌下送達からなる群から選択される、請求項24に記載の栄養補助組成物
  26. 前記口送達が、食物からなる群によって実施される、請求項24に記載の栄養補助組成物
  27. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその栄養補助組成物が1%未満のアルコールを含む、請求項18〜26のいずれか一項に記載の栄養補助組成物
  28. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその栄養補助組成物が無味である、請求項18〜26いずれか一項に記載の栄養補助組成物
  29. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物又はその栄養補助組成物が味がよい、請求項18〜26いずれか一項に記載の栄養補助組成物
  30. 前記インビトロで成長したブドウ果実細胞系カルス培養物及び/又はその栄養補助組成物が10%未満の甘い糖を含む、請求項1〜26いずれか一項に記載の栄養補助組成物
  31. 前記炎症性疾患が冠状動脈性心臓病である、請求項18〜30のいずれか一項に記載の栄養補助組成物
  32. 前記冠状動脈性心臓病がアテローム性動脈硬化である、請求項31に記載の栄養補助組成物
  33. 活性成分としての無味のインビトロで成長したブドウ果実細胞の乾燥された細胞系カルス培養物であって、該ブドウ果実細胞の細胞系カルス培養物はブドウ果実横断切片、ブドウ果実皮、ブドウ果肉、ブドウの種、種を取った又は種なしの栽培種のブドウ胚、又はブドウ種皮の一以上に由来するブドウ果実に由来する細胞系カルス培養物、及び栄養補助的に許容される担体を含む、栄養補助組成物
  34. 栄養補助的に許容される担体を含む、請求項18〜33のいずれかに記載の栄養補助組成物
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