JP5429148B2 - 予混合圧縮自己着火エンジン - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される往復ピストン型の多気筒ガソリンエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、紙面に直交する方向に並ぶ複数の気筒2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダブロック3の各気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。なお、エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものであればよく、その中身は、全てガソリンであってもよいし、ガソリンにエタノール(エチルアルコール)等を含有させたものでもよい。
図2は、エンジンの制御系を示すブロック図である。本図に示されるECU30は、エンジンの各部を統括的に制御するための装置であり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
次に、以上のような機能を有するECU30の制御に基づき、図3に示した各運転領域(A1,A2,A3)で、それぞれどのような燃焼形態が選択されるのかを説明する。なお、この説明の前提として、エンジンの冷却水温Twは充分に暖まっている(つまり温間時の運転である)ものとする。したがって、上記運転領域A1〜A3のいずれの場合であっても、火花点火によらず混合気を自着火させる燃焼形態(圧縮自己着火燃焼)が選択されることになる。ただし、適切な圧縮自己着火燃焼を行わせるには、インジェクタ21からの燃料噴射時期やグロープラグ22のON/OFFを運転領域A1〜A3によって変化させる必要があり、ECU30は、エンジンの運転点を逐次判定しながらそのような制御(インジェクタ21やグロープラグ22の制御)を実行する。
エンジンが第1運転領域A1で運転されている場合は、燃料と空気との混合気をピストン5の圧縮作用によって自着火させる、一般的な予混合圧縮自己着火燃焼が実行される。具体的に、この第1運転領域A1では、圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程との間の上死点)よりもかなり手前の段階で(例えば吸気行程中に)インジェクタ21から筒内に燃料を噴射し、この噴射された燃料と、吸気通路23から筒内に導入される空気(新気)とが混合した混合気を、ピストン5の圧縮作用で充分に高温、高圧化することにより、混合気を自着火させる。
エンジン回転速度Neが低くかつ負荷Tが高い第2運転領域A2は、例えば図4の矢印X1に示すような加速を行ったときに、エンジンの運転点が一時的に通過する領域である。すなわち、車両が停止もしくは低速走行しているような状態から、比較的勢いよく車両を加速させようとして、運転者がアクセルペダルを深く踏み込んだような場合には、上記矢印X1のように、まず負荷Tのみが急激に上昇し、その後エンジン回転速度Neが徐々に上昇するというようにしてエンジンの運転点が変化する。このとき、主に負荷Tのみが上昇する加速初期の段階で、エンジンの運転点が第2運転領域A2を通過する。なお、以下では、上記矢印X1に示したような加速の形態を、第1加速モードと称する。
上記第1、第2運転領域A1,A2よりも回転速度Neが高い第3運転領域A3は、例えば図5の矢印X2に示すような加速を行ったときにエンジンの運転点が入り込む領域である。すなわち、車両が停止もしくは低速走行しているような状態から、緩やかに車両を加速させようとして、運転者がアクセルペダルを浅く踏み続けたような場合には、上記矢印X2のように、負荷Tがそれほど上昇することなく、主に回転速度Neのみが徐々に上昇するというようにしてエンジンの運転点が変化する。そして、このような回転速度Neの上昇の過程で、エンジンの運転点が第3運転領域A3に入り込む。なお、以下では、上記矢印X2に示したような加速の形態を、第2加速モードと称する。
(i)第1加速モード
次に、図4の矢印X1に示した第1加速モードにおいて、インジェクタ21からの燃料の噴射時期やグロープラグ22の通電量等が運転状態の変化とともにどのように制御されるかを、図10に基づき説明する。
次に、図5の矢印X2に示した第2加速モードにおいて、インジェクタ21からの燃料の噴射時期やグロープラグ22の通電量等が運転状態の変化とともにどのように制御されるかを、図11に基づき説明する。
以上説明したように、当実施形態のエンジンは、ガソリンを含有する燃料を筒内に噴射するインジェクタ21と、筒内温度を強制的に上昇させるグロープラグ22(加熱手段)と、上記インジェクタ21およびグロープラグ22を制御するECU30(制御手段)とを備える。そして、ECU30の制御の下、例えばエンジンの低回転・低負荷域に設定された第1運転領域A1からこれよりも負荷の高い第2運転領域A2に移行するような加速時(図4の矢印X1に例示する第1加速モードのとき)には、当該第2運転領域A2に移行した時点t2から、圧縮行程後半および膨張行程前半の2回に分けてインジェクタ21から燃料を噴射させる分割噴射が実行されるとともに、グロープラグ22への通電が開始される。さらに、その後グロープラグ22の発熱部の温度Tgが所定値Tg1以上に上昇した時点t4で、上記分割噴射が解除され、上記インジェクタ21からの燃料噴射時期θiが圧縮行程後半のみに設定される。このような構成によれば、主に負荷Tが上昇するような加速時に、ノッキング等の異常燃焼を防止しながら、負荷に応じた高い出力を適正に確保することができる。
12 排気弁
21 インジェクタ
22 グロープラグ(加熱手段)
30 ECU(制御手段)
A1 第1運転領域
A2 第2運転領域
A3 第3運転領域
Tg1,Tg1’ (温度の)所定値
Tg2 (温度の)上限値
Claims (7)
- ガソリンを含有する燃料により駆動され、少なくともエンジンの低回転かつ低負荷域に設定された第1運転領域で、上記燃料と空気とが混合された混合気を圧縮、高温化して自着火させる予混合圧縮自己着火エンジンであって、
上記エンジンの筒内温度を強制的に上昇させる加熱手段と、
上記燃料を筒内に噴射するインジェクタと、
上記加熱手段およびインジェクタを制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、
上記第1運転領域で運転されている状態から当該領域よりも負荷が高い第2運転領域に移行するような加速時には、少なくとも上記第2運転領域への移行後の所定期間、圧縮行程後半および膨張行程前半の少なくとも2回に分けて上記インジェクタから燃料を噴射させる分割噴射を行うことにより、混合気を自着火させる一方、
上記第1運転領域で運転されている状態から上記第1、第2運転領域よりも回転速度が高い第3運転領域に移行するような加速時には、上記第3運転領域への移行後において、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定しつつ上記加熱手段を作動させることにより、混合気を自着火させることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項1記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上記加熱手段が、通電により発熱する発熱部を筒内に有したグロープラグであることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項2記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上記制御手段は、上記第1運転領域から第2運転領域に移行する加速時に、当該第2運転領域に移行した時点から、上記分割噴射を実行するとともに上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で上記分割噴射を解除して、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半のみに設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項2または3記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上記制御手段は、上記第1運転領域から第3運転領域に移行する加速時に、当該第3運転領域に移行した時点から上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項3または4記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上記制御手段は、上記グロープラグの発熱部の温度が予め定められた上限値まで上昇すると、上記第2運転領域または第3運転領域での運転が継続されていても、上記グロープラグへの通電量を低下させることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上制御手段は、上記第1運転領域における上記インジェクタからの燃料噴射時期を、吸気行程中に設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。 - 請求項6記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
上記制御手段は、エンジンの吸排気弁の動作を制御する機能を有し、上記第1運転領域では、上記吸排気弁の動作制御に基づいて、筒内で生成された既燃ガスの一部を筒内に残留させる内部EGRを実行することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
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