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JP5423831B2 - 樹脂硬化装置 - Google Patents

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JP5423831B2
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Description

本発明は、手や足などの爪に塗布される光硬化樹脂に光を照射することで該光硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化装置に関する。
従来より、手や足などの爪を装飾するために、ネイルチップやスカルプチュアなどの付け爪を自爪に貼り付けることが一般的に行われている。この付け爪には、ウレタンアクリル樹脂などを主成分とするジェルを利用して人工爪を形成するジェルネイルがある。ジェルは、光硬化樹脂の一種であり、特定の紫外線領域の光が照射されると硬化して人工爪となる。
このため、ジェルネイルでは、ジェルを硬化させるために、紫外線領域の光を照射する樹脂硬化装置が必要となる(例えば、特許文献1や特許文献2など)。一般的に、この樹脂硬化装置は、水銀ランプや蛍光ランプなどのUVランプや、紫外線発光ダイオード(以下、単に「UV−LED」と略する)などを光源としている。
登録実用新案第3151698号公報 特開2011− 98073号公報 特開2011− 76825号公報
しかし、一般的に、樹脂硬化装置で使用されているこれらの光源は、図4に破線及び点線で示すように、照射できる光の波長が狭い。また、これらの光源が照射できる光のピーク波長も異なっている。具体的には、UVランプが照射できる光のピーク波長は、370nmである。そのピーク波長に対する光量分布(ピーク波長の光量に対する相対値[%])は、図4に破線で示すとおりである。また、UV−LEDが照射できる光のピーク波長は、405nmである。そのピーク波長に対する光量分布は、図4に点線で示すとおりである。
そのため、UVランプ用のジェルは、UVランプを備えた樹脂硬化装置で硬化させることができるが、UV−LEDを備えた樹脂硬化装置で硬化させるには、必要な波長の光が不足しており、十分に硬化させることができないか、若しくは硬化させるのに時間がかかる。その逆も同様である。つまり、それぞれの樹脂硬化装置は、硬化するのに適する光硬化樹脂をその搭載する光源によって制限せざる得なかった。
ところで、一般的に光硬化樹脂を硬化させるのに使用される光源としては、特許文献3に記載されているようなキセノンフラッシュランプ(以下、単に「Xeランプ」と略する)などもある。このXeランプであれば、図4に実線で示されているように、いずれの光源のピーク波長も包含する波長の光を照射できる。これらの異なる光硬化樹脂を硬化させることができる感光波長は、ピーク波長に対して60%以上の光照射エネルギを維持している。よって、どちらの光源に適する光硬化樹脂であっても硬化させることができる。
特許文献3に記載されているXeランプは、このジェルなどの光硬化樹脂を硬化することだけを目的とした光源ではなく、一般的な光硬化樹脂を硬化させる光源である。このXeランプは、人体に影響を与える可能性のある紫外線領域の波長を遮断して、感光波長のみの光を照射できるよう構成されている。そのため、このXeランプを備えた樹脂硬化装置は、紫外線に対する影響が軽減されている。しかし、このXeランプは、指先に対して一定時間照射するネイルアートにおいて考慮しておいた方が好ましい低温火傷についてまで具体的に考慮されていない。よって、このXeランプは、硬化する光の波長が異なる複数の光硬化樹脂に対応できる一方で、人体に対する低温火傷への安全性が高いといえるものではなかった。
本発明は、かかる事情に鑑み、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂に対応するとともに、人体に対する低温火傷への安全性の高い樹脂硬化装置を提供することを目的とする。
本発明の樹脂硬化装置は、爪に塗布された光硬化樹脂を硬化させるために光を照射する樹脂硬化装置であって、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応するために、前記複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を少なくとも照射するフラッシュランプを備え、該フラッシュランプは、1秒当たり複数回で発光するとともに、照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上でかつ前記照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度である光を照射するという構成を有している。
かかる構成によれば、フラッシュランプは、複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を光硬化樹脂に照射する。そのため、この樹脂硬化装置は、複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応することができ、各光硬化樹脂を硬化させることができる。
また、フラッシュランプは、1秒当たり複数回で発光する光源であり、瞬間的に発光される光量が多いことから、光硬化樹脂を短時間で硬化させるのに適している。そして、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上であるため、光硬化樹脂を短時間で硬化させることができる。しかも、照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度であるため、この樹脂硬化装置は、人体への低温火傷への安全性が高いものとなっている。
また、請求項2記載の発明において、前記照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギが5.0J/cm以下であることが好ましい。
かかる構成によれば、フラッシュランプは、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが5.0J/cm以下に抑えられているため、複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応することができるとともに、人体に照射しても低温火傷を起こしにくい安全性の高い光源となっている。
また、請求項3記載の発明において、前記フラッシュランプの発光回数が1秒当たり100回以下であることが好ましい。
かかる構成によれば、フラッシュランプは、複数種類ある光硬化樹脂のそれぞれを短時間で硬化させることができる。
また、請求項4記載の発明において、前記照射光に赤外線領域の光が含まれる場合の該赤外線領域の光を遮断する赤外線遮断手段を備えることが好ましい。
かかる構成によれば、照射光に波長領域以外の赤外線領域の光が含まれている場合であっても、人体には、赤外線遮断手段によって赤外線領域の光が遮断されて照射される。そのため、人体には、赤外線領域を含まない光が照射され、低温火傷が起こりにくくなっている。
また、請求項5記載の発明において、前記光硬化樹脂が塗布された爪に光を照射するために指先を挿入可能な照射室と、該照射室に挿入された指先の爪に塗布された光硬化樹脂を乾燥させるための乾燥手段とを備え、該乾燥手段は、前記照射室内に送風する送風ファンと、前記照射室内に送風するための複数の吹き出し口とを備えることが好ましい。
かかる構成によれば、送風ファンは、吹き出し口から送風して、照射室内に挿入された指先の爪に塗布された光硬化樹脂を乾燥させることができる。
また、請求項6記載の発明において、筐体と、該筐体内に設けられ、前記フラッシュランプを冷却する冷却手段とを備えることが好ましい。
かかる構成によれば、冷却ファンは、複数回発光するため高温となりやすいフラッシュランプを冷却することにより、フラッシュランプだけでなく、筐体内部の温度上昇を抑制することができる。
また、請求項7記載の発明において、前記フラッシュランプの発光を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギ、1秒当たりの発光回数、発光1回当たりの照射エネルギ、及び、照射時間の少なくとも1つを設定可能であることが好ましい。
かかる構成によれば、制御部は、複数種類ある光硬化樹脂ごとに最適な条件(照射光における波長領域の光の総照射エネルギ、1秒当たりの発光回数、発光1回当たりの照射エネルギ、及び、照射時間)に設定された光を各光硬化樹脂に照射することができるようになっている。
本発明の樹脂硬化装置によれば、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂に対応するとともに、人体に対する低温火傷への安全性を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂硬化装置の断面図 同実施形態に係る樹脂硬化装置の照射光における波長領域の光の総照射エネルギと照射対象の表面温度との関係を示すグラフ 同実施形態に係る樹脂硬化装置が各照射対象に照射光を照射した結果を示す表をあらわす図 樹脂硬化装置で用いられる光源における光の波長を示すグラフ
本発明の一実施形態に係る樹脂硬化装置について、図1〜図4を参酌しつつ、説明する。同実施形態に係る樹脂硬化装置1は、図1に示すように、爪Nに塗布されたジェルなどの光硬化樹脂を硬化させるために発光する発光部2と、光硬化樹脂が塗布された爪Nに光を誘導する光学系3と、爪Nに光を照射するために指先Fを挿入可能な照射室4と、爪Nに塗布された光硬化樹脂を乾燥する乾燥手段5と、発光部2を冷却する冷却手段6と、発光部2の発光を制御する制御部7と、該制御部7を操作するための操作部8と、これらを収納する筐体9とを備える。
発光部2は、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂に対応するために、複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を少なくとも照射するフラッシュランプ10と、フラッシュランプ10が発光した光を反射する反射部材11と、フラッシュランプ10が発光した光から特定の領域の光を遮断可能な光遮断手段12とを備える。
フラッシュランプ10は、紫外線から赤外線まで幅広い波長の光を照射するキセノン放電管である。紫外線は、波長によって3つの領域に分けられている。第1の領域は、320nm(又は315nm)以上400nm以下の紫外線領域である(UV−A;A領域紫外線)。第2の領域は、280nm以上320nm(又は315nm)以下の紫外線領域である(UV−B;B領域紫外線)。第3の領域は、100nm以上280nm以下の紫外線領域である(UV−C;C領域紫外線)。紫外線は、波長が短くなるにつれて人体に対する傷害性が強くなるため、人体に照射するのに、UV−BやUV−CよりもUV−Aの方が好ましい。フラッシュランプ10は、この紫外線領域のうち、UV−AとUV−Bの波長を包含する光を放射する。
フラッシュランプ10は、1秒当たり複数回で発光する。つまり、樹脂硬化装置1は、フラッシュランプ10を少なくとも1秒当たり2回発光させることにより、光硬化樹脂を硬化させる。フラッシュランプ10の発光回数は、1秒当たり100回以下であることが好ましい。発光回数が1秒当たり100回以下であれば、フラッシュランプ10に過度な負荷がかかることがない。これは、少なくとも、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上で5.0J/cm以下の範囲で確認されている。
フラッシュランプ10は、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上で、かつ、照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度である光を照射する。この照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度とするために、照射光の波長領域の光の総照射エネルギは、5.0J/cm以下とすることが好ましい。これは、図2に示すように、照射光における波長領域の総照射エネルギが5.0J/cm以下であれば、平均的な膜圧である20μmから40μmまでの範囲の光硬化樹脂を塗布した爪に照射しても、その指先の表面温度は、30℃を超えることがないと想定される。つまり、一般的な人間の体温より高くならないため、低温火傷に至るリスクが高くなく、低温火傷に対する安全性が高いといえる。
反射部材11は、長尺状のフラッシュランプ10の長尺方向に沿って半円筒状に形成され、内周面で光を反射する。反射部材11は、フラッシュランプ10を内側に配置して、長尺方向に沿って開口した開口部から光が照射されるように構成されている。
光遮断手段12は、反射部材11の開口部を覆うように配置され、UV−Bの光を遮断するUV−Bカットフィルタと、赤外線領域の光を遮断する赤外線カットフィルタとを有する。つまり、光遮断手段12は、フラッシュランプ10が照射した光のうち、赤外線領域及びUV−Bの光を遮断し、UV−A及び可視光領域の光を透過する。つまり、光遮断手段12は、本発明の「赤外線遮断手段」に対応する。
なお、光遮断手段12が透過を許容する光における波長領域の下限値は、320nm以上であり、好ましくは、340nm以上であり、更に好ましくは、360nm以上である。また、光遮断手段12が透過を許容する光における波長領域の上限値は、450nm以下であり、好ましくは、430nm以下であり、更に好ましくは、410nm以下である。
この波長領域の下限値が360nm以上であれば、UVランプのピーク波長370nm及びLEDランプのピーク波長405nmの両方のピーク波長を含めることができる。また、この波長領域の上限値が410nm以下であれば、UVランプのピーク波長370nm及びLEDランプのピーク波長405nmの両方のピーク波長を含めることができる。
光学系3は、発光部2から発光され照射される光を反射する反射部材13と、発光部2から発光され照射される光のうち、紫外線領域の光のみを透過するフレネルパネル14とを備える。
照射室4は、爪Nに光硬化樹脂が塗布された指先Fを挿入可能な空間を有し、発光部2が発光した光を照射可能な位置に指先Fを載置する指先載置台15を備える。
乾燥手段5は、照射室4内に送風するための複数の吹き出し口16,…と、照射室4内に吹き出し口16,…を介して送風する送風ファン17とを備える。乾燥手段5は、吹き出し口16,…から送風ファン17によって送風して、爪Nに塗布されている光硬化樹脂を乾燥させる。
冷却手段6は、フラッシュランプ10を冷却する冷却ファン18を備える。本実施形態に係る冷却ファン18は、乾燥手段5の送風ファン17と共用されている。冷却ファン18は、筐体9の外部から外気を取り入れ、フラッシュランプ10が設けられる筐体9内部に送風する。フラッシュランプ10を冷却した空気は、吹き出し口16,…から照射室4内に排気される。
制御部7は、照射光における波長領域の光の総照射エネルギ、1秒当たりの発光回数、発光1回当たりの波長領域の光の照射エネルギ、及び、照射時間の少なくとも1つを設定可能である。制御部7には、これらの値が各光硬化樹脂の種類や厚さに合わせて予め決められた照射モードが設定されている。
操作部8は、電源をON・OFFする電源スイッチ(図示せず)と、照射モードを選択可能な照射モード選択スイッチ(図示せず)と、光の照射を開始するスタートスイッチ(図示せず)と、各種情報などが表示される表示部(図示せず)とを備える。
筐体9は、発光部2と、光学系3と、照射室4と、乾燥手段5と、冷却手段6と、制御部7と、操作部8とを収納する。そして、筐体9は、内外を貫通する吸気孔19を備え、該吸気孔19から送風ファン17によって外気を内部に吸引できるようになっている。また、送風ファン17によって吸引された外気を発光部2まで導く通風路としても機能する。
次に、同実施形態に係る樹脂硬化装置1の動作について、図1を参酌しつつ説明する。まず、爪に光硬化樹脂(ジェル)を塗布する。ここで用いられるジェルには、モノマー・オリゴマー・光重合開始剤や色素などが含有されている。そして、樹脂硬化装置1の電源をONして、操作部8で照射モードを選択する。
照射モードの選択が完了すると、指先Fを照射室4内に挿入して、指先載置台15に載置する。光が照射される位置に爪Nが配置されると、操作部8のスタートスイッチ(図示せず)を押して、光の照射を開始する。
制御部7は、発光部2のフラッシュランプ10を発光させる。その発光光は、光遮断手段12を透過することにより、UV−B及び赤外線領域の光が遮断されて、波長領域が含まれるUV−Aと可視光領域との光となる。この透過光は、更に、フレネルパネル14を透過することにより、可視光領域(の一部)の光が遮断されて、波長領域の光となる。そして、この波長領域の光は、照射室4内に照射されて、照射室4内の指先F及び爪Nに照射される。
この波長領域の光が爪Nに照射されると、爪に塗布されている光硬化樹脂が、その仕様に係らず、硬化する。更に、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上であるため、光硬化樹脂を硬化するのに適している。
一方、この波長領域の光が爪N以外の指先Fに照射されても、UV−Bの光が含まれていないため、皮膚に対する安全性も確保されている。また、赤外線領域の光も含まれていないため、照射によって表面温度が30℃を超えることがなく、低温火傷に対する安全性も確保されている。
次に、同実施形態に係る樹脂硬化装置1を用いて、一般に市販されている光硬化樹脂の商品における硬化の有無を評価した結果について、図3を参酌しつつ説明する。
樹脂硬化装置1の設定条件は、照射時間を20秒とし、照射光における波長領域の光の総照射エネルギと照射回数とをそれぞれ変更した光を商品ごとに照射して、その硬化の有無を評価した。波長領域の光の総照射エネルギは、0.05J/cmのとき、0.1J/cmのとき、1J/cmのとき、5J/cmのとき、及び、10J/cmのときの5パターンにおいて評価した。照射回数は、1Hz、2Hz、100Hzの3パターンにおいて評価した。
なお、図3の「照射回数」は、1秒当たりの照射回数であり、単位を「Hz」で表している。つまり、「1Hz」とは、1秒当たり1回照射することを意味している。「100Hz」とは、1秒当たり100回照射することを意味している。「硬化仕様」の「UV」は、UVランプの光源に対応する光硬化樹脂を意味する。「LED」は、UV−LEDの光源に対応する光硬化樹脂を意味する。「UV/LED」は、UVランプ及びUV−LEDの両方の光源に対応する光硬化樹脂を意味する。評価結果は、「○」又は「×」で表されており、「○」は、従来の方法による硬化水準と同等若しくはそれ以上に硬化したもの、「×」は、硬化しなかったものを意味する。
まず、UV/LEDタイプの硬化仕様を有する商品(A)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を2Hz又は100Hzで光を照射すると硬化することが確認できた(「○」)。しかし、照射回数を1Hzで光を照射すると、硬化しなかった(「×」)。波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
LEDタイプの硬化仕様を有する商品(B)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を2Hz又は100Hzで光を照射すると硬化することが確認できた(「○」)。しかし、照射回数を1Hzで光を照射すると、硬化しなかった(「×」)。波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
UVタイプの硬化仕様を有する商品(C)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を2Hz又は100Hzで光を照射すると硬化することが確認できた(「○」)。また、波長領域の光の総照射エネルギが5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を1Hzで光を照射しても硬化することが確認できた(「○」)。しかし、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm又は1J/cmのときにおいて、照射回数を1Hzで光を照射すると、硬化しなかった(「×」)。波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
UVタイプの硬化仕様を有する商品(D)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を1Hz,2Hz又は100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化することが確認できた(「○」)。しかし、波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
UVタイプの硬化仕様を有する商品(E)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を2Hz又は100Hzで光を照射すると硬化することが確認できた(「○」)。また、波長領域の光の総照射エネルギが5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を1Hzで光を照射しても硬化することが確認できた(「○」)。しかし、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm又は1J/cmのときにおいて、照射回数を1Hzで光を照射すると、硬化しなかった(「×」)。波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
UVタイプの硬化仕様を有する商品(F)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を2Hz又は100Hzで光を照射すると硬化することが確認できた(「○」)。しかし、照射回数を1Hzで光を照射すると、硬化しなかった(「×」)。波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
UVタイプの硬化仕様を有する商品(G)の場合、波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm,1J/cm,5J/cm又は10J/cmのときにおいて、照射回数を1Hz,2Hz又は100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化することが確認できた(「○」)。しかし、波長領域の光の総照射エネルギが0.05J/cmのときにおいては、照射回数を1Hz,2Hz及び100Hzのいずれの回数で光を照射しても硬化しなかった(「×」)。
これらの結果より、光重合開始剤などの光硬化樹脂は、光を吸収すると、光吸収能力が失われていく特性を有するため、同じ波長領域の光の総照射エネルギを与えるのであれば、一度に大きな照射エネルギを与えるよりも、少ない照射エネルギを複数回に分けて与える方が光硬化樹脂の全体を硬化させるのに有効であることがわかる。このことは、大きな照射エネルギを一度に与えるパターン(照射回数1Hzに相当)において、光硬化樹脂の表面部分のみが硬化して、その内側を硬化しないケースにより確認できる。
また、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが5J/cmを超える場合、各商品A〜Gにおいて光硬化樹脂を硬化させることができるが、前述のとおり照射された人体の部位の表面温度が30℃超える恐れがあり、照射された人体の部位に対して低温火傷を起こす恐れが出てくるため、好ましくない。
照射回数が100Hz以上では、フラッシュランプに負担がかかるため、波長領域の光の総照射エネルギの値に関係なく、不適当であると評価した(図3には評価結果を記載しない)。
このように、フラッシュランプ10は、複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を光硬化樹脂に照射する。そのため、この樹脂硬化装置1は、複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応することができ、各光硬化樹脂を硬化させることができる。
また、フラッシュランプ10は、1秒当たりに複数回で発光する光源であり、瞬間的に発光される光量が多いことから、光硬化樹脂を短時間で硬化させるのに適している。つまり、この樹脂硬化装置1は、従来技術におけるUVランプやUV−LEDを光源とする樹脂硬化装置であれば、30秒〜3分かかる照射時間を短縮することができる。そして、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上であるため、光硬化樹脂を短時間で硬化させることができる。しかも、照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度であるため、この樹脂硬化装置1は、人体への低温火傷への安全性が高いものとなっている。
特に、フラッシュランプ10は、照射光における波長領域の光の総照射エネルギが5.0J/cm以下に抑えられているため、複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応することができるとともに、人体に照射しても低温火傷を起こしにくい安全性の高い光源となっている。
また、照射光に波長領域以外の赤外線領域の光が含まれている場合であっても、人体には、光遮断手段12によって赤外線領域の光が遮断されて照射される。そのため、人体には、赤外線領域を含まない光が照射され、低温火傷が起こりにくくなっている。
また、送風ファン17は、吹き出し口16,…から送風して、照射室4内に挿入された指先Fの爪Nに塗布された光硬化樹脂を乾燥させることができる。
また、冷却ファン18は、複数回発光するため高温となりやすいフラッシュランプ10を冷却することにより、フラッシュランプ10だけでなく、筐体9内部の温度上昇を抑制することができる。
また、制御部7は、複数種類ある光硬化樹脂ごとに最適な条件(照射光における波長領域の光の総照射エネルギ、1秒当たりの発光回数、発光1回当たりの照射エネルギ、及び、照射時間)に設定された光を各光硬化樹脂に照射することができるようになっている。
また、この樹脂硬化装置1は、光源としてキセノン放電管を利用しているため、水銀ランプや蛍光ランプを使用するUVランプを光源とする樹脂硬化装置と比較して、小型化が容易であり、持ち運びに便利となる。
なお、本発明の樹脂硬化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々変更を行うことは勿論である。
また、上記実施形態に係る樹脂硬化装置1は、手の爪Nを装飾するために手の指先Fに光を照射する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、樹脂硬化装置は、足の爪を装飾するために足の指先に光を照射するように構成されていてもよい。
本発明に係る樹脂硬化装置は、複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を少なくとも照射するフラッシュランプを備え、該フラッシュランプは、1秒当たり複数回で発光するとともに、照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上でかつ照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度である光を照射することによって、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂に対応するとともに、人体に対する低温火傷への安全性を高くすることが求められる用途に適用することができる。
1 樹脂硬化装置
4 照射室
5 乾燥手段
6 冷却手段
7 制御部
9 筐体
10 フラッシュランプ
12 光遮断手段
F 指先
N 爪

Claims (7)

  1. 爪に塗布された光硬化樹脂を硬化させるために光を照射する樹脂硬化装置であって、硬化する光の波長が異なる複数種類の光硬化樹脂のそれぞれに対応するために、前記複数種類の光硬化樹脂が硬化する各波長を包含する波長領域の光を少なくとも照射するフラッシュランプを備え、該フラッシュランプは、1秒当たり複数回で発光するとともに、照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギが0.1J/cm以上でかつ前記照射光全体の総照射エネルギが指先を低温火傷させない程度である光を照射することを特徴とする樹脂硬化装置。
  2. 前記照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギが5.0J/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂硬化装置。
  3. 前記フラッシュランプの発光回数が1秒当たり100回以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂硬化装置。
  4. 前記照射光に赤外線領域の光が含まれる場合の該赤外線領域の光を遮断する赤外線遮断手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂硬化装置。
  5. 前記光硬化樹脂が塗布された爪に光を照射するために指先を挿入可能な照射室と、該照射室に挿入された指先の爪に塗布された光硬化樹脂を乾燥させるための乾燥手段とを備え、該乾燥手段は、前記照射室内に送風する送風ファンと、前記照射室内に送風するための複数の吹き出し口とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂硬化装置。
  6. 筐体と、該筐体内に設けられ、前記フラッシュランプを冷却する冷却手段とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂硬化装置。
  7. 前記フラッシュランプの発光を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記照射光における前記波長領域の光の総照射エネルギ、1秒当たりの発光回数、発光1回当たりの照射エネルギ、及び、照射時間の少なくとも1つを設定可能であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂硬化装置。
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