具体的には、本発明の1つの目的は、1つまたは複数の相互接続可能接触パッドを介した迅速な加熱/冷却能力を提供し、一方、サイズ、重量、および動作効率をももたらす改良された患者体温制御システムおよび方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い熱交換確実性を提供し、一方、1つまたは複数の接触パッドの相互接続性により適用の順応性に対応する改良された患者体温制御システムおよび方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、容易なセットアップおよび携帯性を容易にする改良された患者体温制御システムおよび方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、1つまたは複数の相互接続可能接触パッドの着用および性能の改善をもたらす改良された患者体温制御システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、患者の快適さを向上させる改良された患者体温制御システムおよび方法を提供することにある。
上記の目的および追加の利点の1つまたは複数は、以下において開示する体温制御システムの特徴および関連する方法を使用することによって実現することが可能である。システムの特徴には、流体の加熱および冷却の少なくとも一方に影響を与えるための少なくとも1つの熱交換器と、流体を熱交換器に循環させる循環ポンプと、患者と接触パッドとの間の伝熱に影響を与える少なくとも1つの相互接続可能な患者接触パッドとを含むことが可能である。本明細書の目的では、「接触パッド」という用語は、流体が入力ポートから出力ポートに通って流れることが可能であり、そうでない場合は、加熱または冷却に影響を与えるために患者に接触するように適合されるあらゆるタイプのパッドを指す。
一態様では、本発明のシステムは、接触パッドと流体相互接続可能な少なくとも1つの第1流体リザーバまたは「メーク・アップ流体リザーバ」を含むことも可能である。第1流体リザーバを使用して、使用中にパッドを満たす/循環させるためにリザーバから除去可能な流体を含むことが可能である。この態様に関連して、該システムは、通常の加熱/冷却動作中に、流体が、第1流体リザーバを事実上通らずに、循環ポンプによってパッドおよび熱交換器を循環可能であるように確定することが可能である。この構成により、迅速な流体温度変化を該システムにおいて達成することが可能であるが、その理由は、循環流体のみが温度制御されるからである(たとえば、第1流体リザーバ内に残存しているあらゆる追加の流体は、流体循環中に温度制御されない)。これに関連して、熱交換器要件を緩和することが可能である。さらに、複数の相互接続可能接触パッドを満たすのに十分な流体容積を第1リザーバに含むことによって、順応性を維持することが可能である。
該システムは、流体が、通常の加熱/冷却動作中に循環する第2流体リザーバまたは「循環流体リザーバ」からもなることが好ましい。これに関連して、第1リザーバおよび第2リザーバは、流体が、第2流体リザーバを通ることにより第1流体リザーバから除去され、再び第1流体リザーバに再び流れ込むことが可能であるように、直接流体相互接続することが可能である。さらに、熱交換器、循環ポンプ、第1流体リザーバ、および第2流体リザーバは、共通のハウジング内に支持して配置することが可能であり、該システムは、携帯使用を容易にするように、ほぼ自蔵式である。
より具体的には、第1流体リザーバのすべてまたは少なくとも一部を第2流体リザーバより物理的に上に配置して、流体が第1リザーバから第2リザーバへ重力により流れることに備えることが可能である。これに関連して、第1リザーバの上部をほぼ大気圧に維持することが可能であり(たとえば、半浸透性フィルタを有するベントを介して)、気体を該システムから除去する/該システムの中に通過させることが可能である。さらに、第2リザーバが接触した流体量を感知するために、第2流体リザーバにおいてセンサを提供することが可能であり、流体量が所定量より降下した場合/とき、ユーザ出力を提供することが可能である。
たとえば、センサは、出力信号を制御装置(マイクロプロセッサなど)に提供することが可能であり、制御装置は、信号をユーザ出力(表示装置および/または可聴出力装置など)に送信する。そのようなユーザ出力は、ユーザに状況について警告することが可能であるだけでなく、流体再充填手続きに関してユーザに助言することも可能である。さらに、制御装置は、リザーバの感知された流体量が、所定レベルより降下した場合/とき、循環ポンプおよび熱交換器を自動的にターン・オフすることが可能である。
上記した態様にさらに関して、システム(たとえば、該システムが、相互接続可能パッドから流体分離されているとき)内に存在する流体の第1流体容積および第2流体容積をそれぞれ含むために、第1流体リザーバおよび第2流体リザーバを提供することが可能であり、第1流体容積は、第2流体容積より大きい。第1流体容積は、第1流体容積の約3%と50%との間にあることが好ましい。理解することが可能であるように、相互接続可能接触パッドは、第2流体容積より大きい内容積を有することが可能であり、第1流体リザーバに含まれている流体の少なくともいくらかが、加熱/冷却中にパッドを循環するために、第1リザーバから流れ出ることが可能である。そのような目的で第1リザーバから除去される流体量は、相互接続されているパッドの数に依存する。
以上の内容と関連して、流体を第1流体リザーバに含む工程と、その流体の少なくとも一部が第1リザーバから流れ出る工程とを含む本発明の体温制御方法が提供されることを理解することが可能である。除去された部分は、第1リザーバを事実上通らずに、少なくとも1つの相互接続された接触パッドと、その接触パッドに流体相互接続された熱交換器とを循環する。次に、該方法は、パッドと患者との間の伝熱に影響を与えるために、パッドを患者に接触させる工程をさらに含む。通常、除去された部分に対応する流体量は、たとえば所与の患者加熱/冷却手続きを完了した際に、第1流体リザーバに戻る。
該方法は、接触パッドの流体相互接続を選択的に確立する工程をさらに含むことが可能である。これに関して、該方法は、所与の状況において患者を加熱/冷却する医療従事者によって適切であると見なされるように、1つまたは複数の接触パッドに選択的かつ容易に相互接続し、またそれから分離することが可能であるシステムを使用して実施することが可能であるということが予期される。そのような目的では、該方法は、第1流体容積を第1流体リザーバに保持し、かつ第2流体容積を第2流体リザーバに保持することにさらに備えることが可能であり、第1流体容積および第2流体容積は、複数の接触パッドを満たすのに十分であるように組み合わされている。好ましくは、第2流体リザーバに存在する流体量を感知することが可能であり、センサ出力信号は、上記で言及したように、ユーザ出力を提供するために使用可能である(たとえば、流体レベルが事前に設定された量より降下したとき)。
記述されたシステムおよび方法は、負圧下で相互接続可能接触パッドを流れる循環流体を汲み出すことに備えることも可能である。そのような負圧は、循環ポンプをパッドの下流に配置することによって確立することが可能であり、流体は、パッドから熱交換器を経て第2流体リザーバの中にポンピングされる。言及したように、第2流体リザーバは、ほぼ大気圧に維持することが可能である。好ましくは、本発明の方法は、第1流体リザーバおよび第2流体リザーバより上に相互接続接触パッドを配置することにさらに備えることが可能である。そのような配置により、たとえばパッドから漏れた/ポンプが停止した場合に、流体が相互接続可能接触パッドから流れ出て、再びシステムに流れ込むことが容易になる。
他の態様では、循環ポンプおよび少なくとも1つの熱交換器だけでなく、循環ポンプの入口側と相互接続接触パッドの出口ポートとの間に流体相互接続された圧力センサをさらに含む本発明の患者体温制御システムが提供される。圧力センサは、循環ポンプを制御するために使用可能な出力圧力信号を提供することが可能である。再び、相互接続可能接触パッドにおいて負圧を確立するように、循環ポンプを配置することが可能である。次に、出力圧力信号を使用して、負圧を所定の範囲内に維持するように、循環ポンプを制御することが可能である。そのような構成により、1つまたは複数の相互接続可能接触パッドのそれぞれにおいて、所望の最低圧力を維持することが容易になる。
さらに、該システムは、圧力センサからの出力圧力信号を受信し、それに応答して、制御信号を循環ポンプに提供する制御装置を含むことが可能である。後者に関して、ポンプの動作速度を制御するために、制御信号を提供することが可能である。より具体的には、制御装置は、出口圧力信号および所定の情報集合を使用して(たとえば、相互接続可能接触パッドの所望の圧力範囲に対応する)ポンプの動作速度を制御することが可能である。
本発明のシステムは、循環ポンプの出口側と相互接続可能接触パッドの入口ポートとの間における流体の流量を測定する流量計を含むことも可能である。流量計は、出力流れ信号を提供する。次に、出力流れ信号とポンプ動作速度および/または出力圧力信号との所定の関係の特定に応答して出力を提供するユーザ出力装置を含むことが可能である。主な例として、そのような所定の関係は、潜在的な流体回路障害物(パッド相互接続に使用された配管線のキンクなど)の存在を示すことがある状況に対応する可能性がある。ユーザ出力は、状況に対処する際にユーザを補助するために、治療行為情報を含むことが可能である。
記述されたシステムでは、流量計および熱交換器、ならびにあらゆる他の圧力降下システム構成要素(流体リザーバなど)は、循環ポンプの下流で相互接続可能パッドの上流に配置することが可能であることが好ましい。そのようにすることによって、相互接続可能パッドにおいて所望の負圧をより確実に維持することが可能である。再び、言及したシステム構成要素は、自蔵システムとなるように、共通のハウジングに支持して配置すること可能である。
上記で言及した本発明のシステムに関連して、流体に熱交換器および少なくとも1つの相互接続接触を循環させるように循環ポンプを動作する工程と、循環ポンプの入口側と少なくとも1つの相互接続接触パッドの出口ポートとの間における流体の圧力を感知する工程とを含む患者体温制御方法が提供されることを理解することが可能である。感知された流体圧力は、ポンプを動作する工程において使用される。動作する工程は、接触パッドにおいて負圧を確立することに備えることが可能である。さらに、感知圧力に関して出力圧力信号を提供することが可能であり、出力圧力信号は、負圧を所定の範囲内に維持するために、動作する工程において使用される。そのような所定の範囲は、所望の伝熱に影響を与えるのに十分な流体の流れを維持することを保証し、一方、接触パッドに過度に応力をかけることがある高圧を回避するように、所与の相互接続接触パッドの属性に関して設定することが可能である。
本発明の方法は、循環流体の少なくとも一部を流体リザーバに含む工程と、流体リザーバをほぼ大気圧に維持する工程とをさらに含むことが可能である。次に、維持する工程は、流体リザーバの周囲大気などに対する通気を提供することが可能である。
さらに、該方法は、上記で言及した出力圧力信号を使用して、制御信号を循環ポンプに提供する(たとえば、マイクロプロセッサ制御装置を介して)工程を含むことが可能であり、そのような制御信号は、ポンプの動作速度を制御する。さらに、該方法は、循環ポンプの下流および相互接続接触パッドの入口ポートの上流において流量を測定する工程を含むことが可能であり、出力流れ信号を(制御装置などに)提供することが可能である。次に、該方法は、出力流信号とポンプ動作速度および/または出力圧力信号との所定の関係の特定に応答してユーザ出力を提供することが可能である。言及したように、そのような所定の関係は、システムの流体回路における障害物を示す条件に関して確立される可能性がある。ユーザが取る可能性がある少なくとも1つの治療応答を識別するために、ユーザ出力を提供することが可能である。
追加の態様では、流体の加熱/冷却の少なくとも一方のための熱交換器と、流体に熱交換器および相互接続可能接触パッドを循環させる循環ポンプと、相互接続可能パッドに流体相互接続可能であり、かつ循環流体の少なくとも一部を含む流体リザーバとを含む本発明のシステムが提供される。この態様で重要なことは、流体リザーバの内部が、ほぼ大気圧に維持されることである。そのような目的のために、ベントを流体リザーバに相互接続することが可能であり、そのようなベントは、気体が通過することを可能にし、かつ流体の通過を制限するように、多孔質疎水性膜を有する。さらに、相互接続可能パッドにおいて負圧を確立するように、循環ポンプを配置することが可能である。そのような構成により、流体が接触パッドを確実に通過することが容易になり、パッドに穴が開いたまたは破れた場合に、流体の漏れが最小限に抑えられる。
言及したベント(たとえば流体リザーバにある)と流体リザーバの出口側との間に、ベント線を提供することも可能である。さらに、ベント線を開閉するために、ベント・バルブを提供することが可能であり、ベント線を開放すると、内部に確立された負圧に応答して、気体がベント線および相互接続接触パッドを自由に通過する。ベント線は、流体リザーバの上端部に相互接続されることが好ましい。
ベント・バルブを開放/閉鎖するために、制御装置を提供することも可能である。それに関連して、制御装置を動作するユーザ入力命令を受信するために、ユーザ・インタフェースを含むことが可能である。すなわち、ユーザは、ベント・バルブが閉鎖され、流体が相互接続可能接触パッドを循環する1動作モードにおいてシステムを動作することなどが可能である。他の動作モードでは、気体を少なくとも1つの相互接続可能接触パッドを通して汲み出して、流体を接触パッドから排出するように、ベント・バルブの開放を制御装置に「命令」することが可能である。そのような動作モードは、所与の患者体温制御手続きの完了時に使用することが可能である。再び、様々なシステム構成要素を共通のハウジングに支持して配置することが可能である。
以上を考慮して、流体に熱交換器と、流体リザーバと、その間に流体相互接続された少なくとも1つの接触パッドとを循環させるように循環ポンプを動作する工程と、流体リザーバをほぼ大気圧に維持する工程とを含む他の本発明の方法も提供される。動作する工程は、相互接続接触パッドにおいて負圧を確立することに備えることが可能である。それに関連して、接触パッドは、流体リザーバより上に配置することが可能であることが好ましい。
流体を相互接続接触パッドから排出するために、該方法は、気体がベント線を通って相互接続接触パッドに流れ込むことにさらに備えることが可能である。そのような気体の流れは、制御装置によって提供される制御信号に応答して、ベント線に配置されたベント・バルブを開放/閉鎖することによって選択的に達成することが可能である。再び、ユーザによって提供された入力命令に応答して、そのような制御信号を提供することが可能であり、一つの動作モードにおいて流体を排出し、他の動作モードにおいて加熱/冷却のために流体を循環させることが可能である。
他の態様では、熱交換器と、流体に熱交換器および相互接続可能パッドを循環させるための循環ポンプと、熱交換器の出口側から再び循環ポンプの入口側に流体を流すための流体バイパス線とを使用する患者体温制御システムおよび方法が提供される。そのような構成は、たとえば、パッドを相互接続する前に、または流体がパッドを流れる前に、流体の事前条件付けを達成するために、相互接続可能接触パッドを経ずに循環流体を加熱/冷却することを見込む。本発明のシステム/方法と関連して、流体バイパス線を開閉するために、バイパス・バルブを使用することが可能である。さらに、バルブを開放/閉鎖する制御信号を供給するために、制御装置を提供することが可能である。次に、該システム/方法は、流体条件付けを開始/終了して、それによりバイパス・バルブを開放/閉鎖するコマンドなどの命令を制御装置において受信するためのユーザ・インタフェースを使用することも可能である。
一つの構成では、本発明のシステムは、循環流体の少なくとも一部を含む流体リザーバを備えることも可能であり、流体バイパス線が、流体リザーバと循環ポンプの入口側との間に延びる。そのようなリザーバは、上記したようにシステムから気体を除去するために、排出させることが可能である。
さらに、循環流体の温度を感知し、それに応答して出力温度信号を提供する流体温度センサを使用することが可能である。次に、そのような出力温度センサを熱交換器の制御に使用することが可能である。たとえば、制御装置は、熱交換器の動作を制御するために、流体出力温度信号を受信することが可能であり、流体は、所定の範囲内の温度に調節される。そのような範囲は、上記したユーザ・インタフェースにおいて設定することが可能である。再び、上記したシステム構成要素を共通のハウジングに支持して配置することが可能である。
他の態様では、流体をそれぞれ加熱および冷却する第1熱交換器および第2熱交換器と、流体を少なくとも1つの相互接続接触パッドに循環させる循環ポンプとを使用する患者体温制御システムおよび方法が提供される。ポンプおよび第1熱交換器ならびに第2熱交換器を支持して収容するために、ハウジングも提供され、熱交換器の一方は、媒体の加熱または冷却の一方を提供する外部源に選択的に相互接続可能である。言及した構成により、構成要素および重量が低減された温度制御システムおよび関連する方法を提供することが可能であり、それにより、入手可能性が向上する。主な例として、言及した熱交換器の一方は、著しい流体冷却を必要とする応用分野に冷却流体を提供する外部流体冷却システムと選択的に相互接続可能とすることが可能である。
本発明のシステム/方法は、外部源と相互接続された熱交換器を通して流体をポンピングする補助ポンプをさらに使用することが可能である。次に、システム流体の温度を感知して、補助ポンプの動作を制御するのに使用可能な出力温度信号を提供する流体温度センサを提供することが可能である。これに関して、出力温度信号を受信して、補助ポンプの速度を設定する制御信号を提供する制御装置を提供することも可能であり、外部源との所望の程度の伝熱が達成される。
本発明の他の追加の態様では、流体の加熱および冷却の一方のための熱交換器と、流体に熱交換器および少なくとも1つの流体相互接続可能な接触パッドを循環させるための循環ポンプと、熱交換器のそれぞれ上流および下流に配置された第1流体温度センサおよび第2流体温度センサとを使用する患者体温制御システムおよび方法が提供される。そのようなセンサは、循環流体の温度を感知して、第1温度出力信号および第2温度出力信号を提供する。さらに、第1温度出力信号および第2温度出力信号を使用して制御信号を熱交換器に提供するために、制御装置を使用することが可能である。記述した構成により、パッドへ/パッドから流れる流体の温度が決定されるので、患者への/患者からの相互接続可能接触パッドを経た熱交換量を決定することが可能である。したがって、熱交換器をより精確に制御して、目標患者体温を達成することが可能である。
さらにこれに関して、該システム/方法は、循環ポンプと、相互接続可能な接触パッドへの出口ポートとの間における流体の流量を測定する流量計を使用することが可能である。そのような流量計は、流量出力信号を提供することが可能であり、この流量出力信号は、熱交換器制御信号を提供する際に、制御装置によっても使用可能である。
さらに、言及したシステム/方法は、患者の体温を示す入力信号を受信して、熱交換器制御信号を提供する際にそのような信号を使用するように適合された制御装置を含むことが可能である。例として、入力信号は、1つまたは複数の患者核心体温センサから受信することが可能である。例として、そのような患者核心体温センサは、鼻咽頭、食道、膀胱、鼓膜、および/または直腸の探針を比較することが可能である。
理解することが可能であるように、上記した様々な特徴のそれぞれは、随意に選択システムにおいて組み合わせることが可能である。さらに、多くのユーザ・インタフェースの特徴は、高度に自動的でユーザにとって使い易いシステムをもたらすように実施することが可能である。
本発明者は、本明細書において使用する様々な熱交換装置の精確な制御を提供する温度制御システムを構成することが有利であることをさらに認識した。本発明者は、該システムが、温度の揺れおよびオーバーシュートを著しく低減する様々な温度制御モデリングを使用する特別に構成された制御装置を含むことが可能であることをさらに認識した。
本明細書には、患者体温制御システムにおいて使用される温度制御装置が記述されている。制御装置は、該システムの入口および出口において温度を測定する複数の温度センサと、温度制御を提供するために患者の上に配置可能な体温制御パッドへのおよびそれからの水の流量を監視する流量計とに電気的に接続可能である。制御装置において受信された信号は、該システムを循環する流体の流量と、少なくとも1つの体温制御パッドへ循環する流体の出力温度と、少なくとも1つの体温制御パッドから循環する流体の入力温度とを示す。
温度制御システムの動作中、制御装置は、様々なセンサから受信した信号を処理して、いくつかの制御項を計算するように構成される。制御項は、1つまたは複数の熱交換装置に送信可能な1つまたは複数の電力信号を計算するためにさらに使用可能である。制御項は、入口温度と選択設定点との間の流体について、該システムを循環する流体の温度の第1差に比例する第1制御項を含むことが可能である。制御装置によっても使用可能である第2制御項は、出口温度と選択温度設定点との差に比例する可能性がある。システム制御装置は、熱交換装置の1つまたは複数に送信可能な電力信号を生成するために、第1項および第2項をさらに使用することが可能である。応答して、熱交換装置は、それに応じて循環温度の温度に影響を与えることが可能である。
本発明の一つの構成では、該システムによって使用可能な熱交換装置は、電力信号に応答して流体を加熱するように特別に構成された第1熱交換装置を含むことが可能である。電力信号の受信に応答して循環流体を冷却するように、第2熱交換装置を構成することが可能である。流体を熱交換装置に通過させるために、1つまたは複数の補助ポンプを使用することが可能である。
本発明の他の構成では、第1制御項は、循環水を測定入口温度から選択温度設定点に上昇または降下させるために必要な理論上の伝熱率にモデリングすることが可能である。より具体的には、第1制御項は、利得項、測定流量、提供された流れオフセット、ならびに上述した温度差の組合せにより、計算することが可能である。
第2制御項は、出口の測定温度が温度設定点に到達する際に、温度変化率を制御するように特別に構成することが可能である。具体的には、第2項によって対処される事項は、設定点付近における出力温度の揺れおよびオーバーシュートである。本発明の他の構成によれば、第2制御項は、修正比例積分微分(PID)制御装置に基づくことが可能である。PID制御アルゴリズムの一部として、修正積分項および修正微分項を含むことが可能である。また、システムを流れる流体の測定流量に関する可変利得が使用可能である。
修正積分項に関して、これは、長期にわたる測定誤差の総和によって近似することが可能である。誤差は、出口温度と温度設定点との測定温度差である。測定誤差は、制御された方式にて使用可能としてもよい。たとえば、誤差が過度に緩慢に減少していたり、またはどんな割合であっても増大していたりする場合、現行誤差を総和に使用することが可能である。誤差の大きさが指定値より大きい場合、積分が変化しないように、統合をさらに制限することが可能である。積分項の最小値および最大値は、温度交換装置の制御全体の大部分とならないように、さらに限定することが可能である。
修正微分項に関して、これは、最近のNデータ点(誤差)に適応された「ランニング最小2乗」線の傾斜を決定することにより計算することが可能である。修正微分項の大きさは、雑音に対する応答を防止するように、ある状況において限定することも可能である。
本発明によれば、該システムは、入口または出口の測定温度に応じて、1つまたは複数の異なるモードにおいて動作するようにさらに構成することが可能である。たとえば、高過ぎるまたは低過ぎる温度は、患者にとって危険である可能性がある。したがって、本明細書において記述する制御モデルは、ある温度において異なる応答をするように構成することが可能である。一つのモードでは、温度が高過ぎると検出された場合、より迅速な割合で増大するように修正積分項を変更することが可能である。これは、修正積分項に加重ファクタを乗算することによって実施することが可能である。さらに、温度が降下している場合、修正微分項を不能にすることが可能である。
本発明によれば、制御装置は、体温制御システムの一部として構成することが可能である。体温制御システムは、該システムの入口および出口において温度を監視する1つまたは複数の温度センサを含むことが可能である。出口温度センサは、システム内の任意のリザーバから患者の上に配置された体温制御パッドに流れる水温を測定するように特別に構成される。入口温度センサは、体温制御パッドから本明細書において記述するシステムに流れる流体温度を測定する。該システムは、循環流体を保持するための1つまたは複数のリザーバと、選択された割合で流体にシステムを循環させる1つまたは複数のポンプとをさらに含むことが可能である。さらに、該システムには、熱交換器に配置された媒体と流体との熱交換に影響を与えるために、第1熱交換器または第2熱交換器を流れる流体をポンピングするように構成された少なくとも1つの補助ポンプを含むことが可能である。該システムの構成に応じて、補助ポンプを流れる流体の流量は、温度を制御する手段とすることが可能である。さらに制御装置と関連して、ユーザ・インタフェース装置とすることが可能であり、この装置により、システムのユーザは、温度設定点および最低温度ならびに最高温度など、該システムによって使用される値を手作業で入力することが可能である。温度を制御するプログラムされたシーケンスも入力することが可能である。たとえば、手術中、手続きの様々な部分で、制御された冷却または加熱を使用することが可能である。これらのシーケンスは、自動的にまたは手作業で開始することができるようにプログラムすることが可能である。
システムの動作に関して、体温制御パッドを温度制御システムに接続することが可能であり、手術手続きを実施する前に、体温制御設定を特定することが可能である。手続きが開始され、体温制御システムが始動された後、入口および出口の温度センサにおいて、ならびに流量計から、周期的に読取りを行う。これらの周期的な読取りのそれぞれについて、第1制御項および第2制御項の値を計算する。上記で議論したように、第1制御項は、測定流体温度と設定点との間の温度入口における測定誤差に比例する。第2制御項は、出口温度と設定点との間の誤差に比例する。
第1制御項および第2制御項が計算された後、電力信号が生成されて、所望のタイプの熱交換を提供するように特定された熱交換装置に送信される。温度を監視しているので、出口または入口の測定温度が温度の指定範囲を超えたことを検出することが可能である。この状況において、制御装置は、第2項がより迅速な割合で増大する代替動作モードを自動的に開始する。温度が許容可能な範囲の方向に移動し始めた後、調節工程を緩慢にしないように、微分項をゼロに設定することが可能である。第2項をより迅速な割合で増大させることは、出口温度が再び所望の範囲内にあることが検出されるまで続行される。この時点で、制御装置は、通常の動作モードを開始することが可能である。動作中、事前プログラム・シーケンスの一部として、1つまたは複数の温度設定点を特定することが可能であり、それにより、システムは、流体の温度を所望の温度設定点に変化させる。
本発明の追加の態様および利点は、以下に提供するさらなる記述を考慮する際に、当業者には明らかになるであろう。
図1、2、および3A〜3Cは、本発明の多くの態様からなる患者体温制御システムの一実施形態に関する。当業者には明らかになるように、そのような態様は、様々な他の実施形態において実施することが可能である。
図1の水圧概略図によれば、図示された患者体温制御システム10は、患者を加熱/冷却するために、1つまたは複数の接触パッドに選択的に相互接続することが可能である。例として、パッド1は、米国特許第6,197,045号明細書に記載されたタイプとすることが可能である。システム10には、負圧下(たとえば、通常の動作中、好ましくは少なくとも約−11684パスカル(約−3psi)であり、最も好ましくは少なくとも約−48263パスカル(約−7psi)の負である)においてパッド1を流れる流体(水など)を汲み出すための循環ポンプ20と、流体を含む循環リザーバ30およびメーク・アップ・リザーバ40と、システム10を循環する流体を加熱/冷却する制御可能な熱交換装置62、64(たとえば、流体を加熱する電気ヒータおよびラジエータ/温度流体冷却)とが含まれる。
1次流体線50(たとえば配管線によって確定された)が、言及したシステム構成要素を流体相互接続する。外部インタフェースを介した他の選択的な流体冷却/加熱を実施するために、2次流体線52(たとえば配管線によって確定された)を、組込み熱交換装置66で各端部において1次流体線50に流体相互接続することが可能である。さらに、流体を選択的に条件付けするために、流体バイパス線54(たとえば、配管線によって確定された)をリザーバ40と循環ポンプ20との間において流体相互接続することが可能である。
リザーバ30および40と、循環ポンプ20と、熱交換装置62、64、および66と、言及した流体線50、52、および54とは、すべて、共通ハウジング100の内部に配置することが可能である。ハウジング100は、選択的に開放可能/閉鎖可能な流体出力ポート110および流体入力ポート120を備えており、その間でパッド1を選択的に流体相互接続することが可能である。後者に関して、対向配管3/マニホルド5組立て品を提供して、出口ポート110および入口ポート120に相互接続することが可能であり、1つまたは複数のパッドが、対向マニホルド5の間に流体相互接続可能である。
さらに記述するように、パッド1を満たしている/空にしている間(たとえば、流体の条件付けおよびパッド1の相互接続の後)、流体が、循環リザーバ30からパッド1の中へ、およびメーク・アップ・リザーバ40から循環リザーバ30へ/循環リザーバ30からメーク・アップ・リザーバ40へ流れる。通常の患者加熱/冷却動作中、流体は、メーク・アップ・リザーバ40をほぼ通らずに、循環リザーバ30と、パッド1と、熱交換装置62および64および/または66とを循環する。
システム10の流体包含、取扱い、および熱交換の構成要素について、図1および3A〜3Cを参照してさらに詳細に記述する。循環リザーバ30は、メーク・アップ・リザーバ40より物理的に下に配置することが可能であり、その間に延びる流体相互接続線32を有する。図3A〜3Cに示す実施形態では、循環リザーバ30上部は、メーク・アップ・リザーバ40の底部より下に位置する。明らかになるように、そのような構成は、メーク・アップ・リザーバ40から循環リザーバ30の中への流体の重力による流れを提供する。これに関連して、メーク・アップ・リザーバ40は、相互接続されたとき、パッド1より物理的に下に配置することが可能である。
動作中、循環リザーバ30内の気体は、流体相互接続線32を通ってメーク・アップ・リザーバ40の中に上昇することが可能である。さらに、ベント線34を、循環リザーバ30から気体を除去するために、循環リザーバ30の上部において提供することが可能である。ベント線34は、大気に対するノンスピル出口を介して大気に通気されることが可能であり、または、図1に示すように、メーク・アップ・リザーバ40の中に通気されることが可能である。次に、メーク・アップ・リザーバ40は、大気へのノンスピル出口44を有するベント線42を備えることが可能である。ベント44は、メーク・アップ・リザーバ40内において大気圧(たとえば約101353パスカル(約14.7psi))を維持するように機能する。例として、ベント44は、流体の流れを制限し、気体が膜を通過することを可能にする多孔質疎水性膜からなることが可能である。
理解することが可能であるように、ベント線34および42を含むことは、パッド1を循環する流体から気泡を除去することを提供するため、有利である。これに関して、漏れがシステム10の外部に配置された流体回路において生じた場合(たとえば、パッド1における漏れ)、循環ポンプ20によって生成された負圧動作条件のために、空気が、漏れによりシステム10の中に吸い込まれることに留意されたい。次に、そのような空気は、ノンスピルベント44を経て、メーク・アップ・リザーバ40から最終的に排除される。
パッド1から流体を排除するために、システム10は、循環リザーバ30の下流にある1次流体線50に一端において相互接続されたベント線46を含むことが可能である。ベント線46の他端は、メーク・アップ・リザーバ40の上部に相互接続することが可能である。制御可能なベント・バルブ90を、メーク・アップ・リザーバ40より物理的に上の位置においてベント線46に沿って挿入して、リザーバ40に選択的に気体を流すことが可能である。より具体的には、パッド1を空にするために、循環ポンプ20が動作している間、ベント・バルブ90を選択的に開放することが可能である。次に、空気が、パッド1を通過して、パッド1内の流体を排出するために、ベント44と、メーク・アップ・リザーバ40と、ベント・バルブ90とを経て、1次流体線50の中に吸い込まれる。同時に、パッド1内の流体は、循環ポンプ20によってパッド1から汲み出され、その後、循環リザーバ30を通ってメーク・アップ・リザーバ40において収集される。
流体は、循環リザーバ30に流体相互接続され、かつその下に配置されたドレイン36を経てシステム10から除去することが可能である。パッド1がシステム10から分離されているとき、出口ポート110を経て流体をシステム10の中に容易に導入することが可能である。
熱交換装置62、64、および66は、すべて、循環ポンプ20の下流および循環リザーバ30の上流に配置することが可能である。そのような配置により、循環ポンプ20正圧側に対するこれらの構成要素に関連する圧力降下が分離され、それにより、パッド1内において所望の負圧を維持するポンプ20の能力が向上する。
図1にさらに示すように、流体を熱交換装置66に選択的に循環させるために、別個に制御可能な補助ポンプ68を2次流体線52に沿って挿入することが可能である。熱交換装置66は、ハウジング100内の所定の位置に配置することが可能であり、外部冷却および/または加熱源との好都合な相互接続を容易にする。一つの構成では、熱交換装置66は、ハウジング100の底部に配置された両面交換器からなることが可能であり、流体は、外部冷却装置200から熱交換器66の一側を経て再び冷却装置200を通って循環し、システム10内の流体は、冷却を向上させるために、熱交換器66の他側を通過する。補助ポンプ68の速度は、交換器66において所望の程度の流体冷却/加熱の影響を与えるように選択的に制御することが可能である。上述した2次流体線52を提供することにより、大型で重い冷却機器または加熱機器を、システム10とは依然として物理的に分離しているが、システム10と組み合わせて使用することが可能になる。これにより、システム10は著しくより小さくかつより軽量になり、携帯性が向上する。
流体バイパス線54にさらに関して、図1は、循環ポンプ20の下流でパッド1から上流の位置におけるメーク・アップ・リザーバ40と1次流体線50との間の流体相互接続を示す。流体バイパス線54は、制御可能バイパス・バルブ92を通って経路指定され、流体バイパス線54を流れる流体の流れを選択的に制御することが可能である。具体的には、パッド1を相互接続する前にシステム10の流体を事前条件付けすることに備えるために、バイパス・バルブ92を開放することが可能である。たとえば、流体は、循環ポンプ20および熱交換装置62、64、および/または66の動作を介してバイパス流体線54を循環することが可能であり、それにより、パッド1を相互接続する前に所望の流体温度が達成される。従って、効果的な患者体温制御をより迅速に確立することが可能であり、患者の快適さが向上する。
上述した流体の経路指定、包含、および熱交換の構成要素の他に、図1、2、および3A〜3Cに示すシステム10は、システム制御および性能の向上のために、いくつかのセンサも備えている。具体的には、メーク・アップ・リザーバ40において、その内部の流体量を感知するために、レベル・センサ80を提供することが可能である。1構成では、レベル・センサ80は、圧力センサからなることが可能であり、感知したヘッド圧力に関して、リザーバ40内の流体量を決定することが可能である。そのような流体レベル感知をシステム10において使用して、所定量より下および/または上の流体レベルを感知した際に、ユーザ警告、システム制御、および/またはシステム不能化をもたらすようにすることが可能である。
パッド1を循環する流体の所望の温度を確立するために、システム10は、1つまたは複数の温度センサを使用することが可能である。具体的には、出口温度センサ70を熱交換装置62、64、および66の下流のある位置において1次流体線50に沿って配置することが可能である。図1に示した実施形態では、出口温度センサ70は、循環リザーバ30において、その内部の流体温度を感知するために提供される。代替としておよび/または追加として、パッド1の下流で熱交換装置62、64、および66の上流のある位置において、1次流体線50に沿って入口温度センサ72を配置することが可能である。図1に示した実施形態では、入口温度センサ72は、循環ポンプ20の上流に配置される。センサ70および/または72によって感知された流体の温度は、循環流体の所望の温度を獲得するために、熱交換装置62、64、および66の1つまたは複数の制御と関連して使用することが可能である(たとえば、補助ポンプ68の動作を制御することによって)。さらに記述するように、出口流体温度センサ70および入口温度センサ72の両方を含むことは、パッド1と所与の患者との間の熱エネルギー交換率の持続的な計算を見込み、それにより、システム性能の向上に使用可能な情報が得られる(たとえば、「目標」患者体温の所定の範囲内に迅速に上昇するように、熱交換装置62、64、およびポンプ68を制御する)。
温度センサ70および72の他に、システム10は、熱交換装置62、64、および66から下流に1次流体線50に沿って配置された警報流体温度センサ74をさらに含むことが可能である。図1に示した実施形態では、警報温度センサ74は、循環リザーバ30において、その内部の流体温度を感知するために配置される。警報温度センサ74は、出口温度センサ70の温度感知にとって冗長な可能性がある温度感知を提供し、循環流体が所定の温度範囲外にあるあらゆる危険性を実質的に低減することが可能である。たとえば、システム10は、センサ70または74のどちらかによって、所定の高/低範囲外の流体温度を感知した際に、循環ポンプ20が自動的に停止されるようにすることが可能である。
システム10は、相互接続可能パッド1の下流で、かつ循環ポンプ20の上流に配置された入口圧力センサ82をさらに含むことが可能である。より具体的には、入口圧力センサ82は、入口ポート120と循環ポンプ20の入口側との間に1次流体線50に沿って配置することが可能である。言及した位置において流体の圧力を感知することにより、相互接続可能パッド1内における所定で所望の負圧を維持することが容易になる。これに関して、循環ポンプ20の速度は、センサ82における感知流体圧力に関して制御することが可能である。そのような機能は、1つまたは複数のパッド1がシステム10に相互接続されているかに関係なく、記述した構成によって提供される。
システム10は、循環ポンプ20の下流において1次流体線50に沿って配置された流量計94をさらに含むことが可能である。図示した実施形態では、流量計94は、循環ポンプ20と熱交換装置62、64、および66との間に配置される。流量計94は、1次流体線50を流れる流体の流れを感知するために設けられ、それにより、パッド1を流れる予期される流体の流れ対実際の流体の流れを監視することが容易になる。次に、そのような機能により、システム10が、潜在的な望ましくない流体の流れの障害物を検出することが可能になる(たとえば、パッド1を入口ポート110または出口ポート120に相互接続する配管線3におけるキンク)。さらに、流体の流量を監視することにより、患者の熱エネルギー交換および流体加熱/冷却制御の決定が容易になる。
上記したように、様々な熱交換装置62、64、および66と、ポンプ20および68と、バルブ90および92とは、すべて選択的に制御することが可能である。やはり言及したように、特定されたセンサは、いくつかのシステム制御機能を達成するために使用可能な情報を提供することが可能である。そのような機能をさらに記述するために、ここで、図2の電気概略図を特に参照する。システム10が、信号条件付けインタフェース140を介して様々な言及したセンサに作動的に相互接続された少なくとも1つの制御装置またはマイクロプロセッサ130を含むことが可能であることが重要である。例として、信号条件付きインタフェース140は、様々なセンサから受信したアナログ信号をたとえばフィルタリングやシフトさせるためのハードウエア/ソフトウエアからなることが可能である。さらに、条件付き信号を処理のためにデジタル信号に変換するために、A/D変換器をインタフェース140またはプロセッサ130において提供することが可能である。
理解されるように、プロセッサ130は、デジタル信号を処理して、本明細書において記載する様々な制御機能を提供するように、プログラムすることが可能である。より具体的には、プロセッサ130は、メモリ132(不揮発性ランダム・アクセス・メモリなど)に記憶されている制御アルゴリズムおよび関連する事前設定/ユーザ確定制御限界/範囲を使用することが可能である。制御アルゴリズムと共に使用可能な制御限界集合を選択的に修正し、ならびにシステム動作を開始/終了するために、システム10は、プロセッサ130に相互接続されたユーザ・インタフェース150を含むことが可能である。ユーザ・インタフェース150は、1つまたは複数の入力装置(キーパッド・エントリ、タッチ・スクリーン、ポインタを有するマウスなど)と、ならびに1つまたは複数の表示装置152とを含むことが可能である。表示装置152は、システム動作条件、設定、およびユーザに対する警報を表示する、および/またはユーザにシステム10のセットアップおよび動作、ならびに対象となるシステム条件が検出された場合に行うことが可能な治療行為を促すことが可能である。
この時点で、システム10は、内部駆動回路(図示せず)に給電する電源160(24ボルトDC源など)をさらに含む、またはそれに相互接続可能とすることが可能であることに留意されたい。次に、駆動回路は、上記で言及した様々なセンサ、ならびに温度シミュレータ180、較正シミュレータ182、および制御チップ172に駆動信号を供給することが可能である。さらに、電源160は、駆動信号を、スイッチ162を介して、ベント・バルブ90、バイパス・バルブ92、循環ポンプ20、および補助ポンプ68に提供し、かつ固体リレー164(SSR)を介してヒータ62に提供することが可能である。最後に、電源160は、駆動信号をラジエータ/ファン64およびエレクトロニクス・ファン170に直接提供することが可能である。
電源160が、上記で言及した流体取扱い装置および熱交換装置のそれぞれに駆動信号を供給している間、プロセッサ130が、その動作を制御する。より具体的には、プロセッサ130は、ベント・バルブ90およびバイパス・バルブ92の開放/閉鎖状態を制御することが可能である。プロセッサ130は、循環ポンプ20および補助ポンプ68の動作(速度など)を制御することも可能である。さらに、プロセッサ130は、所望の量の加熱および冷却を実施するために、ヒータ62およびラジエータ/ファン64の動作を(たとえばファンの制御により)制御することが可能である。図2に示す実施形態では、リレー166が、プロセッサ130と補助ポンプ68およびラジエータ/ファン64との間に挿入され、プロセッサ130からの制御信号は、外部熱交換装置200が使用されていないとき、ラジエータ/ファン64に向けられ、プロセッサ130からの制御信号は、外部熱交換装置200が相互接続されているとき、補助ポンプ68に向けられる。他の構成では、ラジエータ/ファン64および補助ポンプ68の両方にその二重動作のために連携して制御信号を提供することが可能である。
図2は、1つまたは複数の外部患者体温センサ210と信号条件付けインタフェース140との相互接続を示すことに留意されたい。患者体温センサ210は、たとえば、アナログ信号を信号条件付けインタフェース140に提供する1つまたは複数の身体核心体温センサ(鼻咽頭、食道、膀胱、鼓膜、および直腸の探針など)からなることが可能である。次に、インタフェース140は、事前設定温度制御アルゴリズムの応用例において使用するために、デジタル信号をプロセッサ130に提供する。主な例として、外部センサ210から受信した温度データをプロセッサ130において使用して、事前設定/ユーザ確定患者「目標」温度に関してシステム10によって影響を与えられる熱交換の量および率を決定することが可能である。次に、プロセッサ130は、適切な制御駆動信号をヒータ62、ラジエータ/ファン64、および/または補助ポンプ68に提供することが可能である。
構成要素の他に、図2は、データ・バス174を介して外部動作室データの自動記録装置(自記計)220および/または外部診断プロセッサ230をプロセッサ130に選択的に相互接続することが可能であることをも示す。理解されるように、システム10を自動記録装置220および/またはプロセッサ230と接続する能力は、システム10のセンサの1つまたは複数から収集された情報、またはセンサ情報の処理に使用され、かつセンサ情報に応答したデジタル情報を含めて、デジタル情報をダウンロードおよびアップロードすることを許容する。
ここで、患者体温制御方法の一実施形態の工程流れ図を示す図4を参照する。そのような方法は、図1〜3のシステムの実施形態の動作と関連して実施することが可能であり、様々な工程のより良好な理解を容易にするために、図1〜3のシステム実施形態の動作に関して記述される。しかし、以下で記述する方法は、様々な異なるシステムの実施形態において実施することが可能であることを理解されたい。
図4に示すように、システム10の動作は、ユーザによるシステム制御限界/範囲の選択的確立にまず行うことが可能である(工程300)。限界/範囲の設定は、入力装置154においてユーザによって達成することが可能である(たとえば、表示装置152においてユーザに使い易いプロンプティングにより)。例として、設定可能な限界/範囲は、目標患者体温、最低/最高患者体温、循環流体の目標温度、および最高/最低流体温度を含むことが可能である。
次に、システム10の重要な動作能力を確認/較正するために、システム試験を完了することが可能である(工程310)。例として、そのような試験は、工程300が完了した際に自動的に開始することが可能であり、および/またはそうでない場合は、表示装置152のプロンプティングおよび入力装置154のユーザ入力に準拠して選択的に開始することが可能である。システム試験は、システム10の様々なセンサ、流体処理装置、熱交換装置、および関連する回路の動作を確認するために、プロセッサ130によって開始される任意の数の自動手続きを含むことが可能である。
具体的には、プロセッサ130は、試験信号を温度シミュレータ180(たとえば、既知の値の1つまたは複数の抵抗からなる)に自動的に送信することが可能であり、それにより、温度シミュレータ180は、アナログ信号入力を試験のためにコンパレータ166に提供する。たとえば、プロセッサ130によって提供された試験信号により、温度シミュレータ180が、所定の値(たとえば、最高温度に対応する)を超えたアナログ信号入力をコンパレータ166に提供することが可能である。そのような信号により、コンパレータ166は、スイッチ162を開放する信号を送信し、ならびに応答信号をプロセッサ130に送信するはずである。次に、プロセッサ130は、スイッチ162の応答を監視して、コンパレータ166およびスイッチ162の両方の動作を確認することが可能である。システム試験手続きは、プロセッサ130から較正シミュレータ182(たとえば1つまたは複数の抵抗からなる)に試験信号を提供することを含むことも可能である。次に、較正シミュレータ182は、条件付けされたアナログ信号を提供することが可能である。この信号は、動作中に外部センサ210から受信した信号を、表示される精確な患者体温に変換することが可能であるように、プロセッサ130によってシステム10を自動的に較正するために使用される。
図4に示すように、システム試験手続きのいずれかが、システム10に問題があることを指摘した場合(工程320)、ユーザ警告をユーザ・インタフェース150において提供することが可能である(工程320)。例として、視覚警報を表示装置152において提供することが可能である。追加としておよび/または代替として、可聴警報信号をユーザ・インタフェース150において提供することが可能である。警報出力が提供された際に、ユーザは、警報状況に対処するように適切な訂正行為を取ることが可能である。これに関して、ユーザ・インタフェース150は、治療命令をユーザに表示して、ある状況におけるユーザのオーバーライドを許容する。
図4の方法実施形態は、システム10による流体の随意の事前条件付けを提供する(工程330)。以前に言及したように、そのような事前条件付けは、1つまたは複数の接触パッド1と相互接続する前に、システム10内の流体を加熱または冷却することを必要とする可能性がある。時間が許すとき、そのような事前条件付けは、患者の快適さおよび迅速な患者の体温変化の両方の観点から望ましい可能性がある。例として、事前条件付け工程は、入力装置154を介してユーザによって選択的に開始することが可能である。
流体事前条件付けの開始に従って(工程330)、システム10の様々な構成要素を自動的におよび/または手作業で制御することが可能である(工程340)。より具体的には、ここで図5を参照すると、プロセッサ130によって制御信号を送信することにより、システム10のバイパス・バルブ92を開放することが可能である(工程500)。次に、プロセッサ130による制御信号の送信に従って、循環ポンプ20を所定の速度で動作することが可能である(工程510)。バイパス・バルブ92の開放および循環ポンプ20の動作により、メーク・アップ・リザーバ40内の流体が、バイパス流体線54を通り、循環ポンプ20を通り、循環リザーバ30を経て再びメーク・アップ・リザーバ40の中に流れる。
図5によって示すように、流体温度を感知して、流体温度が所定の所望範囲内にあるかを判定することが可能である(工程520)。より具体的には、温度センサ70を使用して、循環リザーバ30における流体の温度を感知することが可能であり、感知温度信号は、所定の範囲との比較のために、プロセッサ130に提供される。後者に関して、所定の範囲は、事前に設定する、そうでない場合はセットアップ動作と関連してユーザによって確立することが可能である。感知温度が所定の範囲内にない場合、プロセッサ130は、所望の程度の流体加熱/冷却(工程530)を達成するために、制御信号を熱交換装置62、64および/または補助ポンプ68に送信することが可能である。理解することが可能であるように、センサ70による温度感知およびプロセッサ130による熱交換装置62、64、ならびにポンプ68の制御は、所望の流体温度を確立する必要に応じて、続行される。
ここで図4に戻ると、実際の患者の加熱/冷却の開始は、1つまたは複数の接触パッド1をシステム10に相互接続することを必要とする(工程350)。そのような相互接続に関連して、システム10は、ユーザが、入力装置154において適切な制御入力を提供することを必要とする可能性がある。接触パッド1を相互接続した後、パッドを流れる流体循環を開始することが可能である(工程360)。これに関して、適切なユーザ入力が、入力装置154において必要とされる可能性があり、その際に、事前設定速度設定アルゴリズムに従って、循環ポンプ20を動作することが可能である。上記で言及した工程350および360に関連して、パッド1および患者は、図6に示すように、システム10より上に配置することが好ましい。
この時点で、システム試験をさらに提供することが可能である(工程370)。主な例として、プロセッサ130は、流量計94および/または圧力センサ82によって提供された信号と、循環ポンプ20の既知の動作速度とを使用して、流体がシステム10および相互接続パッド1を適切に循環しているかを判定することが可能である。より具体的には、循環ポンプ20の所与の動作速度について、センサ82によって感知された圧力および流量計94によって測定された流体の流れは、通常の動作条件下では、所定の範囲内において予測可能であるべきである。流量計94から受信した信号が、流れ容積が所定の範囲外にあることを示す場合、プロセッサ130は、ユーザにとって潜在的に懸念される状況ならびにユーザ・インタフェース150において取るべき潜在的な治療行為を特定することが可能である(工程380)。例として、パッド1をシステム10に相互接続するために使用された配管線3のキンクを検査するメッセージを、表示装置152において提供することが可能である。さらに、システム条件が所定の範囲外にある場合、および/または所定の時間内に訂正されない場合、循環ポンプ20、熱交換装置62、64、および/または補助ポンプ68の動作を自動的に終了するように、プロセッサ130を提供することが可能である(工程190)。
システム10が通常の予測範囲内で動作していると想定して、相互接続パッド1において所望の患者の加熱/冷却を提供するように、システム10を自動的に制御することが可能である。これに関して、入口ポート120の入口圧力は、所定の動作範囲において維持することが可能であり、循環流体の温度は、パッド1を経た患者の所望の加熱/冷却に影響を与えるように確立することが可能である(工程400)。相互接続パッド1において所望の負圧を維持するために、プロセッサ130は、入口圧力センサ82によって提供された感知圧力信号を使用して、動作ポンプ20の速度を制御することが可能である。循環流体の温度を確立するために、プロセッサ130は、システム10の温度センサ72、70からの出力信号の一方または両方と、ならびに外部温度センサ210によって提供された感知温度信号とを使用することが可能である。そのような感知温度信号のすべてを使用することが特に有利であることに留意されたい。より具体的には、これらの信号のすべてを使用することは、患者との熱交換の計算を許容する。従って、熱交換装置の制御を設定することが可能である。一つの構成では、そのような設定は、以下のアルゴリズムを使用して提供することが可能である。
W=KQ(Ti−Tt)−MCdTavg/dt
ここで、W=熱交換装置62、64、および66の伝達、
K=カロリー/分からワットへの変換、
Q=水の流量(たとえば、流量計94によって測定)、
Ti=水の入口温度(たとえば、センサ72によって測定)、
Tt=水の目標温度(たとえば、ユーザによって設定)、
M=循環水の質量(たとえば、システム10によって入力または決定)、
C=水の熱容量、及び、
dTavg/dt=循環する水の温度の平均変化率(たとえば、センサ70による測定を使用して決定)。
ここで図4に戻ると、センサ70、72、74、82、および94からの出力信号を周期的に使用して、事前設定の許容範囲内においてシステム動作を保証することが可能である(工程410)。監視動作が許容限界外にある場合、訂正行為のためにユーザ警告を提供することが可能であり(工程420)、懸念される条件が続く場合、動作を自動的に終了することが可能である(工程390)。
上述した熱交換器アルゴリズムに関して、本明細書において記載するシステムは、該システムが、特定の患者体温設定点に近付き、かつそれを維持する方式を制御する追加のアルゴリズムを使用するようにさらに構成することが可能である。再び図2を参照すると、プロセッサ130は、動作中に、これらの水温制御アルゴリズムの1つまたは複数にアクセスして使用することが可能であり、それにより、水温に制御された方式で影響を与えることが可能である。
本発明によれば、使用される水温制御アルゴリズムは、水温が所望の設定点温度に迅速に近付いて、次いでその近傍で維持されるように、循環水に加えられる電力(単位時間当たりのエネルギー)を決定する。本明細書において使用される温度制御アルゴリズムは、選択された患者体温設定点付近での著しい温度の揺れを低減し、システムの監視温度の1つまたは複数が事前設定範囲外にあるとき、水温を迅速に変化させる能力を含むようにさらに構成される。
本発明の一実施形態によれば、供給された電力は、少なくとも2つの制御項の組合せを使用して計算することが可能である。第1項は、該システムの入口において測定される水温に基づき、第2項は、出口の水温に基づく。この温度制御工程の一部として、出口水温は、設定点まで駆動される温度である。第1制御項は、入口水温と患者体温設定点との計算された差に比例する可能性がある。より具体的には、第1制御項は、利得、それから減算されたオフセット項を有する測定流量、水温設定点と測定入口水温との差、の積とすることが可能である。これは、以下の式で計算することが可能である。
制御項1=利得×(測定流量−流れオフセット)×(水温設定点−測定入口温度)。
上記の式によれば、測定流量が流れオフセットより小さい場合、制御項1はゼロに設定される。流れオフセットがゼロに設定された場合、制御項1が、測定入口温度から水温設定点まで循環水を上昇または降下させるのに必要な伝熱率に等しいように、利得を選択することが可能である。制御項1は、水温を温度設定点まで変化させる理論的な温度変化を提供するが、アルゴリズムは、本明細書に記述するシステムの現実的な特性を考慮に入れるようにさらに改良することが可能である。
具体的な1つの特性は、現実的には、実際の熱入力率または加えられる電力がコマンド値に正確には整合しない可能性があることである。これは、2つ以上の熱効果装置を使用して伝熱を提供する状況では特に当てはまる。本質的に、ヒータは熱を加えることのみが可能であり、ラジエータ、冷却装置、氷、またはある他の装置は、冷却するためにのみ使用することが可能である。さらに、ヒータによって提供される実際の電力は、線電圧の変化、ヒータの電気抵抗、及び、環境への熱損失により、コマンド値から変化することがある。冷却装置によって除去される電力は、周囲大気温度、気流の部分的な遮断、および様々な他のファクタによって影響を受けることがある。
考慮に入れることが可能な第2の特性は、水に熱を加える、または、水から熱を除去することが瞬間的ではないということである。時間のある瞬間に決定された必要な伝熱率を、その瞬間において適用することは可能ではない。より具体的には、最速のシステムにおいても、コマンドが開始される時間と、熱交換装置が指定レベルまで冷却または加熱する時間量、したがって水に熱を加える/水から熱を除去するのにかかる時間量との間には、ある程度の遅延が生じる。
考慮に入れることが可能な第3の特性は、特定の水量に追加することが可能な、または、それから除去することが可能な熱量に対する限界である。たとえば、ラジエータは、ある特定の流量以下では動作することが可能ではなく、ある特定の最低温度には到達可能ではない。
上述した特性を考慮に入れるために、利得を、理論的に必要な伝熱率をもたらす値より低い値に設定することが可能であり、非ゼロの流れオフセットを含むことも可能である。流れオフセット項により、低流量では制御項1の値が低減され、上述した伝熱遅延の影響が低減される。
第2制御項は、水温の変化率、ならびに温度設定点付近の揺れ制動を制御することを主に対象とする。第2項は、水温設定点と測定出口温度との差を使用して計算される。上述したように、測定出口温度は、水が体温制御パッドを循環する前に、システムの出口において測定される。本発明によれば、第2項を計算するアルゴリズムは、いくつかの修正を伴う比例、積分、および微分(PID)制御装置に基づくことが可能である。
本明細書において使用可能なPID制御装置は、以下の式によって表すことが可能である。
PID制御=Kp×誤差+KI×積分(誤差)+Kd×微分(誤差)
ここで、
Kp=比例利得、
KI=積分利得、
Kd=微分利得、
誤差=出口温度と設定点との間の測定温度。
第2項を計算するために水温制御アルゴリズムによって使用される式は、以下の通りである:
制御項2=可変利得×(Kp×誤差+KI×(修正積分(誤差))+Kd×(修正微分(誤差))。
可変誤差は、システムを流れる水の測定流量を使用して計算される。上述したように、流量は流量計を使用して計算される。可変利得は以下の式によって計算される:
可変利得=K0+K1×測定流量。
これは、利得を計算する式の単なる1つの表現であるが、当業者であれば他の形態を使用することが可能であることを理解するであろう。
上記の式を見ると、可変利得は、測定流量が増大する際に増大することがわかる。システムをさらに研究することにより理解されるように、水温を所与の量だけ上昇させるのに必要な伝熱率は、流量が増大する際に増大しなければならない。また、出口水温は、ヒータおよび冷却装置の下流において測定されるので、所与の水の塊(bolus)に熱を加える時間とその温度を測定する時間との間に時間遅延が存在する。この時間遅延は、流量が減少するに従って増大する。
制御システムを分析する際に理解されるように、時間遅延は、制御システムにおいて揺れおよびオーバーシュートを誘起する傾向がある。時間遅延が増大する際に、制御システムの応答は、オーバーシュートを低減するように緩慢にしなければならない。これは、比例利得Kpおよび積分利得KIを低減し、微分項Kdを増大させることによって達成することが可能である。測定雑音がある場合、大きな微分により、制御システムが不安的になることがある。したがって、可変利得を使用して、制御項の比例利得および積分部分を低減し、一方微分は変更しないままとする。その結果、微分項は、より低い流量において制御項のより大きな部分に寄与する。
本明細書において記述するシステムを流れる水の流量は、システムに接続された体温制御パッドの数に関係する。パッド数は伝熱表面積に直接関係し、伝熱表面積は機械に対する伝熱負荷に関係する。流量が増大する際に、熱負荷は一般に増大する。本明細書において記述する制御システムは、負荷が増大するに従い、応答性が高まるように構成される。
本明細書において記述する積分項は、定常状態の誤差を排除するように構成される。本明細書において記述するシステムによれば、小さく、緩慢に変化する誤差が存在する場合、誤差の積分は、誤差をゼロにするように、時間と共に徐々に増大する。しかし、システムに時間遅延が存在する場合、オーバーシュートおよび揺れをもたらすことがある。
システム動作に影響を与える可能性がある温度限界を回避するために、温度のオーバーシュートを最低限に抑えることが重要である。上述した修正積分項は、積分が可能な条件を限定することによって、オーバーシュートおよび揺れを低減するように適合される。サンプリングしたデータ・システムでは、積分は、長時間にわたる誤差の総和によって近似される。本明細書において記述する制御システムによれば、現状誤差は、誤差の大きさが非常に緩慢に減少する場合、または任意の割合で増大する場合にのみ、修正積分項に追加される。統合は、誤差の大きさが所定の値(5℃など)より大きい場合に積分が変化しないように、さらに制限することが可能である。修正積分項の最大値および最小値は、制御全体の大部分とならないようにも制限される。
微分は、サンプリング時間によって除算された2つの連続測定の差によって通常近似される。測定雑音を有するシステムでは、これは、近似微分の大きな変化となることがあり、これにより、制御項が大きく変化することがある。これは、デジタルフィルタリングで対処することが可能であるが、信号対雑音比が非常に大きい可能性があるので、フィルタリングの結果は、良好な近似ではない。
本明細書において使用する修正微分項は、最近のNデータ点に適応された「ランニング最小2乗」線の傾斜を決定することによって計算することが可能である。この近似の導出は、以下のように実施することが可能である:
微分を決定するために、最近のNデータ点を通るように線を適合する。点(Ti,Ti)が与えられると、点を通るように適合された最小2乗線
T=A+Bt
は、以下から決定される:
微分の推定は、傾斜Bである。ランニング最小2乗傾斜を維持するために、以下を推定する:
一連の第1データ点が線上にあることが想定される場合、以下のようになる:
傾斜を推定する際に、「スライド」T軸を使用し、以下の式を設定する:
これらの推定により、以下の式が成立する。
Th−N−1=Aold とすると、
設定点がフィルタリングされるので、制御装置が、設定点の変化に適切に応答するように、温度誤差が、温度の代わりに上記の計算において使用される。
最小2乗傾斜計算に関して、以下の例の定数を使用することが可能である:
時間総和=45; \*(0+1+2・・・9)時間総和ではない
2乗時間和=285; *(1+4+9+・・・+8)
デルタ=825; \*10−num−サンフ゜ル*2乗時間総和−(総和−時間)2
タウ=1; \*サンプリング期間
サンプル数=10 \*使用されているサンプルの数
変数は、以下を含むことが可能である:
時間誤差総和 \*時間温度誤差の総和
誤差総和 \*誤差の総和
誤差インターセプト \*最小2乗インターセプト項
誤差傾斜 \*最小2乗傾斜
当初、すべての変数は、ゼロに設定される。
時間誤差総和=時間誤差総和=τ*誤差総和+サンプル数*τ*誤差+誤差インターセプト
誤差総和=誤差総和−誤差インターセプト+誤差;
誤差インターセプト=(時間2乗総和*誤差総和−時間総和*時間誤差総和)/デルタ;
誤差傾斜=(サンプル数*時間誤差総和−時間総和*誤差総和)/デルタ
修正微分項の大きさは、雑音への応答を防止するように限定することも可能である。
上述した工程を使用する際に、様々な安全上の特徴もシステムに組み込むことが可能である。より具体的には、ある監視条件が検出された場合、1つまたは複数の代替処理モードを使用することが可能である。たとえば、水温が非常に高いまたは非常に低い場合、代替動作モードにより、水温を可能な限り迅速に安全領域内にすることが可能である。動作の前に、最大許容水温設定点を設定することが可能である(42℃など)。この値より高い温度は、患者にとって危険な可能性がある。本明細書において記述するアルゴリズムは、水温を再びより安全なレベルまで迅速に降下させるように、42℃より高温では異なる応答をするように構成することが可能である。このモードにおいて実施するために、修正積分項を、より迅速な割合で増大させることが可能である。これは、修正積分項に加重ファクタを乗算することによって実施することが可能である。さらに、微分項は、温度が降下している間、不能にされる(ゼロに設定される)。非ゼロ積分項は、温度の降下率を遅くさせる傾向がある可能性がある。反対に、本明細書において記述するシステムが低体温を誘起するように使用される状況では、温度が指定最低温度より降下する場合、修正積分項および修正微分項は、迅速な温度上昇を提供するように、さらに修正することが可能である。
本明細書において記述するシステムの通常の動作モードを、図8a〜8dのフローチャートにおいて開示する。温度制御システムの特定の動作モードに応じて、水の温度設定点が、準備の前にシステムのユーザによって選択され、または、事前にプログラムされたシーケンスの一部として特定される。たとえば、体温制御パッドが低体温を誘起するものである状況では、温度設定点は、それに応じて冷却するように選択される。反対に、温度制御システムが加熱モードにある場合、温度設定点は、所望の量の身体加熱を提供するように選択される。またこの時点において、流れオフセット設定値が確立される。システムの動作中、システムの入口および出口の両方の水温を周期的に測定する。
電力信号を計算する初期工程として、現行測定流量が、選択された流れオフセットより大きいかについてまず判定することが可能である。測定流量が、流れオフセットより小さい場合、第1制御項はゼロに設定され、計算工程は続行される。測定流量が流れオフセットより小さくない場合、第1制御項は、上記から、様々なセンサからの読取りを伴う数式を使用して計算される。
第1制御項が特定の期間について計算された場合、処理は、第2制御項の計算に継続する。この時点で、出口温度が測定される。次いで、測定出口温度と設定点温度との差である現行誤差値が計算される。
次いで、変化率を計算するために、現行誤差を以前のデータと組み合わせる。最後のNの誤差が識別され、上述したように適合された「ランニング最小2乗」線を計算する。この変化率を使用して、修正積分を識別する。Nより少ない誤差が利用可能である場合、利用可能な点のみを使用して計算する。
次いで、現行誤差値を事前に決定された誤差範囲である積分帯と比較する。誤差値が積分帯内にない場合、誤差値は、時間にわたる誤差の積分の推定として使用される総和には追加されない。これは、測定温度が設定点温度に近付くまで、制御項の積分部分を効果的に無効にする。これは、オーバーシュートおよび揺れを低減するのに役立つ。積分項は、定常状態誤差を低減または排除することを意図している。誤差が大きいとき、設定点に向かって迅速に駆動され、定常状態では駆動されない。誤差が小さいときのみ誤差を積分項に追加することにより、制御装置の積分部分が非定常状態誤差に応答することが防止される。
誤差が積分帯内にある場合、誤差の大きさが迅速に減少しているかについて判定が行われる。誤差の大きさが所定の割合以上で減少していない場合、積分項に追加される。そうでない場合、積分項は変化されない。定義によって、定常状態誤差は変化しないので、誤差の変化率を使用して積分項に追加するかを判定することにより、積分項が定常状態誤差にのみ応答することが保証される。これにより、積分項が、オーバーシュートおよび揺れを誘起することがある過度な保証をすることが防止される。
積分総和を計算する工程が完了した後、出口温度が上限を超えたかについてさらに判定することが可能である。以前に記述したように、測定温度が最高温度を超える、または最低温度より降下する状況では、システムは、温度をそれぞれ迅速に降下または上昇させるように構成することが可能である動作モードを開始する。この状況では、加重ファクタを現行測定誤差に追加することが可能であり(この場合、誤差に2を乗算する)、この修正誤差が積分総和に追加される。
累積誤差の最小2乗適応について計算された傾斜が負であるかについて、さらに問合わせを行うことが可能である。負である場合、これは温度が降下していることを意味し、したがって、傾斜をゼロに設定することが可能であり、これにより、微分項が効果的に不能になり、温度変化率が増大する。
この時点で、修正積分項および修正微分項は計算されており、両項とも、所定の範囲外にないように限定することが可能である。これらの範囲は、修正積分項が制御項全体の大部分とならないように確立される。計算される第2制御項の最終成分は、流れ変化利得である。上述したように、これは、流量計から受信した信号を使用して行うことが可能である。
可変利得および修正微分項ならびに修正積分項が計算されているので、全制御項を生成するために、制御項2を計算して、制御項1に付加することが可能である。全制御項も、所定の範囲内に限定することが可能である。最後に、熱交換を使用するべきであるかについて判定を行うことが可能である。選択された装置に基づいて、コマンド信号が生成されて送信される。上述した制御工程は、システム・プログラムおよび/またはシステムのユーザによる手作業動作に応じて、周期的に反復される。
ここで、ユーザ・インタフェース150の一実施形態を示す図6を参照する。そのようなインタフェース150について、上述したシステム10の様々な特徴の例示的な適用に関して記述する。ユーザ・インタフェース150は、ユーザ動作キー502〜518と、メッセージ・スクリーン530と、患者体温表示装置540とからなる。メッセージ・スクリーン530は、動作中に、パラメータ設定、警告、及び警報を表示する。
患者体温センサ210が所与の手続きで使用される場合、表示装置540が測定された患者体温を提供する。一つの構成では、表示温度は25℃から42℃の範囲であるべきである。患者体温センサ210が適所にある場合、アイコン542が患者体温の傾向または変化を示す。図示したように、アイコン542は、複数の上方向矢印および下方向矢印からなることが可能であり、上方向矢印と下方向矢印との間には円がある。照明された上方向黄色矢印は、患者の体温が上昇していることを示す。照明された下方向黄色矢印は、患者の体温が降下していることを示す。照明された矢印が高くまたは低くなるほど、温度の変化は迅速である。黄色の円のみが照明されているとき、患者の体温はほぼ一定である。
システム10の4つの主な自動動作モードをキー502〜508を使用して設定することが可能である:
1.「患者体温制御モード」−−キー502を押すことによって設定、
2.「水温制御モード」−−キー504を押すことによって設定、
3.「排出モード」−−キー506を押すことによって設定、
4.「停止モード」−−キー508を押すことによって設定、
特定のモードおよび対応するパラメータ設定の修正に関する追加の情報は、さらに記述するように、所与のモードにある間に、「アップ矢印」キー510または「ダウン矢印」キー512を押すことによって達成することが可能である。
患者体温制御モードでは、システム10は患者の体温を監視して、設定対象温度に制御するように自動的に機能する。対象温度を達成するために、水を必要に応じて冷却または加熱し、パッド1を経てポンピングする。一つの構成では、患者体温は33℃と37℃との間において制御および監視することが可能である。稼動されたとき、キー502の上の黄色インジケータ光が照明される。水の流量が、1分当たりのリットル(すなわち「lpm」)でメッセージ・スクリーン530に表示される。
水温制御モードでは、システム10は温度制御された水がパッド1を流れるように自動的に機能する。水はオペレータによって設定された特定の目標温度に制御される。一つの構成では、目標水温は4℃と42℃との間で設定することが可能である。稼動されたとき、キー504の上の黄色インジケータ光が照明される。このモードが稼動しているとき、警報条件が生じない限り、水温および流量が、メッセージ・スクリーン530に表示される。
排出モードでは、システム10はパッド1から水を排出するように自動的に機能する。モードが稼動されたとき、キー506の上の黄色光が照明される。このモードが稼動しているとき、メッセージ(「水を排出する」など)が、メッセージ表示スクリーン530に表示される。パッド1が空になったとき、自動的に停止モードに戻るように、システム10を提供することが可能である。
停止モード・キー508を随時押すことにより、3つの他のモード(すなわち患者体温制御、水温制御モード、または排出モード)のいずれかが停止される。稼動されたとき、停止モード・キー508の上の黄色光が照明される。対応するモード・キーを押すことによって、あらゆる他のモードを停止モードから稼動することが可能である。
様々なシステム設定および他の情報に、停止モード、水温制御モード、および患者体温モードにおいてメッセージ・スクリーン530の表示されたメニューおよび情報リストから到達することが可能であり、たとえば、以下が含まれる:
1.設定患者目標温度
2.設定水目標温度
3.測定水レベル
4.設定最高/最低水温
5.設定高および低患者体温警告設定
6.他のセットアップ・パラメータ(データ出力間隔など)
理解することが可能であるように、言及した設定は、各手続きについて変更することが可能である。システム10は、システム10が無効にされた後、設定がデフォルト・パラメータに戻るように提供することが可能である。新しいデフォルト・パラメータは、所望であれば、永続的に保存することも可能である。
上記で言及したように、「アップ矢印」キー510および「ダウン矢印」キー512により、ユーザは、メッセージ・スクリーン530上のメニューおよび情報リストをスクロールすることが可能になる。それに関連して、「入力キー」514により、オペレータは、パラメータ設定を選択および変更することが可能になる。たとえば、矢印キー510、512を使用してメッセージ・スクリーン530に列挙された所与のパラメータを選択することが可能であり、次いで、入力キー514を押して、公表された方式(明るくする、または異なる色で照明するなど)パラメータを表示することが可能である。次に、矢印キー510、512を使用して、設定値を増大または減少させることが可能である。所望の値が表示されたとき、ユーザは、入力キー514を押して、再び設定を確立することが可能である。「メイン・メニュー・キーに戻る」516は、所与のメニューを出て、ユーザをメイン・メニューに戻す。「警報/警告」アイコン520は、警告または警報条件を検出した際に、自動的に照明される。「キャンセル・キー」520を押すことにより、警告または警報は解除される。
システム10の使用前に、リザーバ30および40は、蒸留水または滅菌水などの流体で満たされているべきである。これを実施するために、システム10は、プラグインなどを介した適切な電源出口など、電源160に接続されるべきである。ターン・オンされた後、簡潔な自己検査を実施して停止モードに入るように、システム10を提供することが可能である。停止モード・キー508の上の黄色光が照明される。「ダウン矢印」キー512を使用して、ユーザは、表示装置が「水レベル「XX」使用−充填するためにエンタを押す」を読み取るまで、メニューをスクロールすることが可能である。次いで、ユーザは、充填管をブロック・マニホルド5の上の入口コネクタの1つの中に接続することが可能である。充填管の他端は、水容器の中に配置することが可能である。次いで、エンタ・キー514を押して、システム10に充填を開始させ、充填が完了したときに自動的に停止させることが可能である。次いで、システム10は停止モードに戻る。
充填工程は、停止モード・キー508を押すことによって、随時中断することが可能である。しかし、リザーバ30、40は、最大数の使用については、十分に充填されない可能性がある。再充填する前に実行することが可能である手続きの数を決定するために(たとえば、所定の数のパッドの設計限界を想定する)、ユーザは、アップ矢印キー510およびダウン矢印キー512を使用して、メッセージ・スクリーン530が水レベルおよび残された使用数を表示するまで、メニューをスクロールすることが可能である。
システム10で温度を制御する多くのパラメータは、将来の使用のために、変更および/または適応および保存することが可能であることに留意されたい。所与の患者についてシステム10を使用する前に、ユーザがどの設定を使用するかを決定することが可能である。すべてのパラメータは、新しい設定が保存されない限り、デフォルト設定に戻る。
停止モード・キー508が光っている間、温度パラメータに到達することが可能である。ユーザは、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を押して、様々なメニュー選択肢をスクロールすることが可能である。一つの構成では、デフォルト設定および選択肢の範囲は、以下のように設定することが可能である:
ユーザ選択動作設定:
パラメータ デフォルト 選択肢
データ出力間隔 1分 オフ、5秒から10分
間隔5〜60秒 ――5秒
間隔1から10分 ――1分
データ出力フォーマット コンパクト コンパクトまたは詳細
ユーザ選択処理モード:
パラメータ デフォルト 範囲 増分変化
患者対象温度 37℃ 33℃から37℃ 0.1℃増分
水対象温度 37℃ 4.0℃から42.0℃ 1.0℃増分
最高水温 42℃ 32.0℃から42.0℃ 1.0℃増分
最低水温 4℃ 4.0℃から32℃ 1.0℃増分
ユーザ調節可能警告:
パラメータ デフォルト 範囲 増分変化
患者高体温警告 42℃ 25.1℃から42.0℃ 0.1℃
患者低体温警告 25℃ 25.0℃から41.9℃ 0.1℃
パラメータ デフォルト 増分変化
冷却のために接続された冷却装置 いいえ はい又はいいえ。
デフォルト設定のいずれかを停止モードから変更するために、ユーザは以下の手続きを使用することが可能である:
1.アップ矢印キー510およびダウン矢印キー512を使用して、メッセージ・スクリーン530に表示される設定にアクセスする。
2.エンタ・キー514を押し、修正することが可能であるパラメータを強調させる。
3.アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を押して、所望の設定に到達する。エンタ・キー514を押して保存する。
4.追加の設定を変更するために、メニューのスクロールを続行し、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を押して、適切なスクリーンに到達する。
5.表示パラメータを強調、選択、および保存するために、手続きを反復する。
6.新しく構成されたパラメータは、システム10がターン・オフされるまで、所与の手続きを通して残存する。
すべての適応されたパラメータは、永続的に、またはユーザがそれらの変更を決定するまで、保存することが可能である。新しく設定されたパラメータをデフォルト設定として保存するために、ユーザは、以下の手続きを使用することが可能である:
1.「セットアップ」スクリーンが表示されるまで、メニュー・スクリーンをスクロールする。
2.エンタ・キー514を押して、「現行設定保存」が表示されるまで、メニューをスクロールする。
3.エンタ・キー514を押して、設定を保存する。
次いで、温度センサ210を患者に配置して、システム10に接続することが可能である。その後、患者の体温を監視および制御することが可能である。
患者の処置を続行するために、上記で記述したように、ユーザは、停止モード・キー508を押して、停止モード・キー508が稼動されたときに提供されたメニューを使用し、パラメータのすべてが所望の設定にプログラムされていることを確認することが可能である。以下の設定は、まず留意すべきものである:
1.患者目標温度:患者について温度設定点を決定する。温度設定範囲は33℃から37℃に限定することが可能である。
2.最高水温:ユーザが、患者処置モード中にパッドを循環する最高水温を決定することを可能にする。
3.患者体温最高または最低警告:ユーザが、システム10が警告を提供すべき患者の体温を決定することを可能にする。
次に、ユーザは、患者体温制御モード・キー502を押すことが可能である。その後、メッセージ・スクリーン530は、システム10の設定患者目標体温、現行水温、及び、現行水流量を示す。ある手続きについて、または温度センサ210が配置される前に、温度を制御せずに、加熱サイクルまたは冷却サイクルを開始することが可能である。患者の体温を自動的に制御せずに、水温制御モードを使用して、温度制御水を循環させることが可能である。このモードは、温度探針が配置されているか否かに関係なく、使用することが可能である。これを実施するために、ユーザは、停止モードまたは水温制御モードにある間、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を押すことによって、水対象温度スクリーンにアクセスすることが可能である。次いで、ユーザは、以下のように、水温を所望の設定に調節することが可能である:
1.「水目標温度37℃、変化に入る」がメッセージ・スクリーン530に出現するまで、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を押す。
2.新しい水目標温度が所望される場合、エンタ・キー514を押して、温度を強調する。 3.所望の温度が表示されるまで、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー514を押す。4.0℃と42℃との間で、1.0℃/Fの増分で変更することが可能である。
水目標温度が設定され、モード・キー502が押された後、システムは水温を所望の設定に調節することを開始する。流量が、メッセージ・スクリーン530に示される。流量は、患者のサイズ、使用されるパッドのスタイル、および適用されるパッドの数とに応じて、変化する可能性がある。
言及したように、システム10は、以下の
1.患者体温警告
2.水温警告
を含めて、ユーザがある警報を事前にプログラムすることを可能にする特徴をシステム10に組み込むことが可能である。
具体的には、システム10は、患者の体温が設定レベルを超えたとき、水温がその設定レベルを超えて上昇または留まる場合に、警告するデフォルト警報を提供することが可能である。患者の体温が設定レベルより降下したとき、水温がその設定レベルより下に減少または留まる場合に、ユーザに警告するデフォルト警報も存在する。
高および低患者設定体温警告を、以下のように、ユーザによって確立することが可能である:
1.停止モードにある間、スクリーンが「患者体温高警告42℃、変更のためエンター」または「患者体温低警告25.0℃、変更のためエンター」を表示するまで、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を使用して、メニューをスクロールする。
2.エンタ・キーを押し、アップ矢印キー510またはダウン矢印キー512を使用することによって、新しい温度を選択する。高温範囲は、25.1℃と52.0℃との間において0.1℃の増分で調節されるように提供することが可能である。低温範囲は、25.0℃と51.9度との間において0.1℃の増分で調節されるように提供することが可能である。
3.エンタ・キーを押して保存する。
理解することが可能であるように、多くの追加の警告および警報を提供することが可能である
これに関してより一般的には、以上の記述は、本発明の理解を容易にすることを厳密に目的としており、そうでない場合は、以下の請求項によって確定される範囲を限定することを意図していない。